19
アナリストレポート・プラットフォーム 1 売上高 百万円 前期比 営業利益 百万円 前期比 経常利益 百万円 前期比 当期純利益 百万円 前期比 EPS 2020/3 1,875 10.1 462 24.5 470 27.0 320 147.0 81.01 2021/3 (2020 年 5 月発表) 1,900 1.3 330 -28.7 330 -29.8 225 -29.8 56.85 アナリスト予想 1,930 2.9 350 -24.3 350 -25.6 235 -26.7 59.37 2022/3 アナリスト予想 2,200 14.0 450 28.6 450 28.6 302 28.5 76.30 エイジア (2352・東証 1 部) (株)QUICK 前田 俊明 自社開発の CRM(Customer Relationship Management)ソフトウェ アを中心としたアプリケーションの企画・開発・販売・保守などを手掛 ける。パッケージシステムを用いるこ とで低価格・短期間での導入を可能と している。パッケージ導入版とクラウ ドサービスを提供する。CRM ソフトウ ェアは「WEBCAS(ウェブキャス)」ブ ランドでメール配信システム「WEBCAS e-mail」など各種製品を展開する。 同社では、新型コロナウイルス感染症の影響で新規商談の進捗に支障 がでるケースがみられる。商談自体がなくなった訳ではないが、成約に 時間がかかる状況としている。21/3 期の連結業績について会社側は売上 高 19.0 億円(前期比 1%増)、営業利益 3.3 億円(同 29%減)を計画。 新型コロナの影響による新規受注の減少額 1.3 億円を織り込んでいる。 好採算のクラウドサービスが伸び悩むこともあり、各種費用の増加を吸 収し切れない見通し。企業価値研究所は売上高 19.3 億円(前期比 3% 増)、営業利益 3.5 億円(同 24%減)を予想。不確実な状況下で会社側 の説明は合理的と判断している。クラウドサービスは会社計画より強め にみていることから、会社計画を若干上回る予想としている。 同社は 21/3 期を初年度とする 3 カ年の中期経営計画を策定。(1)既 存事業の飛躍的成長(2)新規事業「もう 1 つの柱」づくり(3)財務戦 略の最適化――を柱に据えた。数値目標として、最終年度の 23/3 期に 売上高 26 億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式 報酬費用)8.0 億円を計画する。EBITDA はこれまでの営業利益の増加 額と利益率にかえて、重要な経営指標の 1 つとして採用した。 東京都品川区 美濃 和男 1995/4 322 百万円 (2020/3/31 現在) 2005/10/5 http://www.azia.jp/ 情報・通信業 新型コロナ影響などで今期は大幅営業減益予想 ベーシックレポート 2020年7月22日 主要指標 2020/7/20現在 1,401 円 年初来高値 1,639 円 (2/13) 年初来安値 971 円 (3/13) 発行済株式数 4,412,400 株 100 株 6,182 百万円 25.0 円 EPS 59.37 円 PBR 3.59 倍 メール配信システムなどを提供 新中計を策定。最終年度に EBITDA8.0 億円を目指す 好採算のクラウドサービスが伸び悩む見通し

新型コロナ影響などで今期は大幅営業減益予想...12月 通知メール販促システム「WEBCAS marketing receipt」を発売 2014年 6月 データベース作成システム「WEBCAS

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  • アナリストレポート・プラットフォーム 1

    業 績 動 向 売上高

    百万円

    前期比

    営業利益

    百万円

    前期比

    経常利益

    百万円

    前期比

    当期純利益

    百万円

    前期比

    EPS

    2020/3 実 績 1,875 10.1 462 24.5 470 27.0 320 147.0 81.01

    2021/3

    会 社 予 想 (2020 年 5 月発表)

    1,900 1.3 330 -28.7 330 -29.8 225 -29.8 56.85

    アナリスト予想 1,930 2.9 350 -24.3 350 -25.6 235 -26.7 59.37

    2022/3 アナリスト予想 2,200 14.0 450 28.6 450 28.6 302 28.5 76.30

    エイジア (2352・東証 1部)

    (株)QUICK

    前田 俊明

    自社開発の CRM(Customer Relationship Management)ソフトウェ

    アを中心としたアプリケーションの企画・開発・販売・保守などを手掛

    ける。パッケージシステムを用いるこ

    とで低価格・短期間での導入を可能と

    している。パッケージ導入版とクラウ

    ドサービスを提供する。CRMソフトウ

    ェアは「WEBCAS(ウェブキャス)」ブ

    ランドでメール配信システム「WEBCAS

    e-mail」など各種製品を展開する。

    同社では、新型コロナウイルス感染症の影響で新規商談の進捗に支障

    がでるケースがみられる。商談自体がなくなった訳ではないが、成約に

    時間がかかる状況としている。21/3期の連結業績について会社側は売上

    高 19.0億円(前期比 1%増)、営業利益 3.3億円(同 29%減)を計画。

    新型コロナの影響による新規受注の減少額 1.3億円を織り込んでいる。

    好採算のクラウドサービスが伸び悩むこともあり、各種費用の増加を吸

    収し切れない見通し。企業価値研究所は売上高 19.3 億円(前期比 3%

    増)、営業利益 3.5 億円(同 24%減)を予想。不確実な状況下で会社側

    の説明は合理的と判断している。クラウドサービスは会社計画より強め

    にみていることから、会社計画を若干上回る予想としている。

    同社は 21/3期を初年度とする 3カ年の中期経営計画を策定。(1)既

    存事業の飛躍的成長(2)新規事業「もう 1つの柱」づくり(3)財務戦

    略の最適化――を柱に据えた。数値目標として、最終年度の 23/3期に

    売上高 26億円、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式

    報酬費用)8.0 億円を計画する。EBITDA はこれまでの営業利益の増加

    額と利益率にかえて、重要な経営指標の 1つとして採用した。

    会 社 概 要

    所 在 地 東京都品川区

    代 表 者 美濃 和男

    設 立 年 月 1995/4

    資 本 金 322 百万円

    (2020/3/31 現在)

    上 場 日 2005/10/5

    U R L

    http://www.azia.jp/

    業 種 情報・通信業

    新型コロナ影響などで今期は大幅営業減益予想

    ベ ー シ ッ ク レ ポ ー ト

    2020年 7月 22日

    主 要 指 標 2020/7/20現在

    株 価 1,401 円

    年 初 来 高 値 1,639 円

    (2/13)

    年 初 来 安 値 971 円

    (3/13)

    発 行 済 株 式 数 4,412,400 株

    売 買 単 位 100 株

    時 価 総 額 6,182 百万円

    予 想 配 当 ( 会 社 )

    25.0 円

    予 想 E P S ( ア ナ リ ス ト )

    59.37 円

    実 績 P B R 3.59 倍

    メール配信システムなどを提供

    新中計を策定。最終年度に EBITDA8.0 億円を目指す

    好採算のクラウドサービスが伸び悩む見通し

  • アナリストレポート・プラットフォーム 2

    ⚫ 会社概要

    主に大企業・中堅企業向けにインターネットを活用した販売促進ソリュ

    ーションやサービスを提供する。販売促進ソリューション(ソフトウェア+

    サービス)の中でも特に eメールを活用した販売促進ソリューションに強

    みを持つ。社名のエイジアはアジアに由来。創業当初より日本だけでな

    く、海外展開を視野に入れていた。

    ⚫ 経営者 代表取締役 美濃 和男氏

    1989年、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2005年、同社に入社し取

    締役。09年、創業者である江藤晃氏に代わり代表取締役に就任、現在に至

    る。

    ⚫ 経営方針

    同社では、以下の経営方針を掲げ、社員・役員が遂行する全ての企業活

    動の指針としている。

    ■経営理念

    クライアントに満足を買ってもらいたい

    当社では「クライアントの満足」を判断基準として、企業活動を推進して

    おります。

    ■ビジョン

    「メールアプリケーションのエイジア」から

    「eコマース売上 UPソリューションを世界に提供するエイジア」へ

    多くのお客様は「売上を向上させるため」に当社のシステムやサービスを

    導入します。ですから当社が目指すのは、真に売上向上に資するソリュー

    ション。システムに加えて、システムの効果を最大化するコンサルティン

    グサービスも併せて提供し、さらにお客様に貢献したいと考えています。

    このトータルソリューションを、世界へ拡げてまいります。

    ■ミッション

    私たちは、IT技術とサービスで、人と企業の心の距離を縮めます

    私たちの製品やサービスが目指すのは、企業と顧客の心の距離が今よりも

    っと近づいて、双方が幸せになれる世界です。当社が培った技術で、この

    世界を実現できるよう尽力してまいります。

    会 社 概 要

    ⚫ 会社概要

    会 社 概 要

    経 営 者

    経 営 方 針

  • アナリストレポート・プラットフォーム 3

    ⚫ 沿革

    1995年 4月 ホームページ制作を主たる事業として、資本金 1,000

    万円で東京都品川区大井にエイジアを設立

    1997年 6月 ウェブサイトの受託開発を中心とした事業を開始

    2001年 10月 メール配信システム「WEBCAS e-mail」を発売

    2002年 2月 アンケートシステム「WEBCAS formulator」を発売

    6月 「WEBCAS」ASP事業を開始

    12月 「WEBCAS connector」「WEBCAS manager」を発売

    2005年 10月 東京証券取引所マザーズに株式を上場

    2006年 10月 メール共有管理システム「WEBCAS mailcenter」を発

    2007年 10月 CMS「WEBCAS creator」を発売

    2013年 6月 スマートフォン向けフォームデザイン最適化ツール

    「SFO for WEBCAS」を発売

    10月 FUCAを連結子会社化

    12月 通知メール販促システム「 WEBCAS marketing

    receipt」を発売

    2014年 6月 データベース作成システム「WEBCAS DB creator」

    を発売

    電子レシートメール送信サービス「レシートメール」

    を発売

    2015年 5月 SMS配信システム「WEBCAS SMS」を発売

    CRMシステム「WEBCAS CRM」を発売

    11月 セグメント抽出型 LINE メッセージ配信システム

    「WEBCAS taLk」を発売

    12月 DM印刷・配送サービス「WEBCAS DM」を発売

    2016年 6月 マーケティングオートメーション「WEBCAS Auto

    Relations」を発売

    8月 上場市場を東証 2部に変更

    2017年 12月 上場市場を東証 1部に変更

    2018年 8月 ままちゅ(現連結子会社)を設立

    (出所)有価証券報告書、会社ホームページ

    沿 革

    会 社 概 要

    ⚫ 会社概要

  • アナリストレポート・プラットフォーム 4

    ●大株主

    (出所)有価証券報告書(20年 3月 31日現在)

    株主名 持株数

    (株)

    持株比率

    (%)

    KBL EPB S.A. 107704(常任代理人 みずほ銀

    行) 338,100 8.40

    日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 310,200 7.70

    GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL(常任代理人 ゴ

    ールドマン・サックス証券) 238,812 5.93

    日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 168,600 4.19

    美濃 和男 100,500 2.49

    西田 徹 100,000 2.48

    SMBC日興証券 90,700 2.25

    日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口 5) 74,800 1.85

    日本マスタートラスト信託銀行(株式付与 ESOP信

    託口・75960口) 68,296 1.69

    北村 秀一 65,900 1.63

    大 株 主

    会 社 概 要

    ⚫ 会社概要

  • アナリストレポート・プラットフォーム 5

    ⚫ 事業の内容

    自社開発の CRM(Customer Relationship Management:顧客の購入・利

    用履歴や苦情・意見など企業と顧客とのあらゆる接点での情報を統合管理す

    る経営手法)ソフトウェアを中心としたアプリケーションの企画・開発・販

    売・保守を手掛ける。CRMソフトウェアは「WEBCAS(ウェブキャス)」ブラン

    ドで各種製品をシリーズ展開する。顧客毎にシステムを受託開発するのでは

    なく、パッケージシステムを用いることで低価格・短期間での導入を実現。

    パッケージ製品では対応していない機能要件に対しても顧客の要望に応じ

    て個別カスタマイズを施すことができる柔軟な設計となっている。

    提供形態は、サーバー導入型と月額課金をベースとするクラウドサービス

    型の 2種類ある。サーバー導入型「WEBCAS」は保守サービスを提供する。

    「WEBCAS」シリーズを活用したメールマーケティングのプランニングお

    よびメールコンテンツの企画・制作、「WEBCAS」シリーズの付加機能開発、

    ホームページ・ウェブコンテンツの企画・制作、各種システムの受託開

    発・保守なども提供する。

    ⚫ 売上構成

    アプリケーション事業を中核に、コンサルティング事業、オーダーメイ

    ド開発事業、EC事業の 4事業部門。

    アプリケーション事業は「WEBCAS」シリーズの企画・開発などを手掛

    け、連結売上高の 77%を占める主力事業(20/3期)。コンサルティング事

    業は、「WEBCAS」を効果的に活用したインターネットマーケティングのプラ

    ンニング・コンサルティング、メールコンテンツの企画・制作、アンケー

    ト設計や顧客分析などを中心に展開する。オーダーメイド開発事業は、

    「WEBCAS」と関係する業務システムやホームページなどを個別にオーダー

    メイドで開発する。EC事業は 100%子会社「ままちゅ」が自社 ECサイト

    「べびちゅ」を運営する。

    77%

    15%

    1%7%

    図1.事業別売上構成比(20/3期)

    アプリケーションコンサルティングオーダーメイド開発EC(出所)決算短信で当研究所作成

    事 業 の 内 容

    売 上 構 成

    事 業 概 要

    ⚫ 会社概要

  • アナリストレポート・プラットフォーム 6

    ⚫ 製品・サービスの種類

    「WEBCAS」シリーズは用途に応じて各種展開しており、メール配信シス

    テム「WEBCAS e-mail」を中核製品として、アンケートシステム「WEBCAS

    formulator」、メール共有システム「WEBCAS mailcenter」などがある。

    「WEBCAS e-mail」は毎時 300万通を実現する高速メール生成機能やマ

    ーケティング成果を高めるための外部システム連携に加え、様々なデバイ

    スへの対応を進めており、大規模運用から複雑な運用まで柔軟に対応でき

    る。同業他社の製品に比べ高性能を強みとし、特に大量の顧客データを扱

    う通信販売業界との相性が良く業界大手向けでは高シェアを誇る。

    「WEBCAS formulator」は、パソコン、スマートフォン、携帯電話に対

    応したウェブアンケート、資料請求・問合せ、キャンペーンやイベント応

    募などのフォーム入力ページを作成できるウェブアンケートシステム。

    「WEBCAS mailcenter」は、企業の問い合わせ窓口に届く大量のメール

    やフォームからの問い合わせをサーバー上で一元管理することで、複数の

    部署や担当者がグループウェアとして共有・管理することができるシステ

    ム。これにより返信漏れ・二重対応を防ぎながら効率的に返信対応するこ

    とが可能な仕組み。

    ⚫ 製品・サービスの特徴

    「WEBCAS」シリーズは様々なオペレーティングシステム(OS)・データベ

    ース・Webサーバー・Mailサーバーに対応しているため、導入の際にクラ

    イアントの使用環境に左右されにくい。顧客情報などの複数のデータベー

    スとも自由に接続・連携ができ、それぞれのデータベースから同一の条件

    で顧客情報を抽出することができる。

    「WEBCAS」シリーズは導入企業の予算や用途、運用環境などに応じ、自

    社環境に導入できるパッケージ導入版からサーバー管理が不要なクラウド

    サービスまで、幅広い提供形式・料金プランを用意する。EC(electronic

    表1.WEBCAS製品ラインナップメッセージを届ける

    メール配信システム

    WEBCAS e-mail

    LINE配信システム

    WEBCAS taLk

    SMS配信システム

    WEBCAS SMS

    声を集める・理解する

    アンケート・フォーム作成システム

    WEBCAS formulator

    問い合わせに対応する

    問い合わせメール共有システム

    WEBCAS mailcenter

    会員登録の仕組みをつくる

    顧客管理システム

    WEBCAS CRM

    (出所)会社ホームページで当研究所作成

    問い合わせメールを複数人で一元管理できるメール共有・メール管理システム

    会員を集めて管理し、メルマガやアンケートでコミュニケーションができるお手軽CRM

    業界最高レベルの高速配信と抜群の到達環境を実現したメール配信システム

    自社の会員データと連携してパーソナライズLINEメッセージ配信を実現するシステム

    メール配信システムのデータベースと連動し、モバイルにショートメッセージを配信するシステム

    PC・モバイル対応、高セキュリティのアンケート・フォーム作成システム

    製品・サービスの特徴

    製品・サービスの種類

    事 業 概 要

    ⚫ 会社概要

  • アナリストレポート・プラットフォーム 7

    commerce:電子商取引)運営企業や化粧品、アパレル、健康食品、生命保

    険・損害保険、金融機関、官公庁など大手企業を中心に 6000社以上の採用

    実績がある。処理能力の高い高性能な製品を特徴としていることから、主

    要取引先には性能要求が高い傾向がある大手企業がずらりと並ぶ。

    クラウドサービスはインターネット経由でシステムを利用するのに対

    し、パッケージ導入版は顧客の環境にシステムを構築・運用(オンプレミ

    ス型)する違いがある。提供対象別では、クラウドサービス(SaaS型)は

    主に大手企業から中堅企業、クラウドサービス型(ASP型)は主に中堅企

    業から中小企業、パッケージ導入版は主に大手企業を中心に中堅企業まで

    となっている。

    クラウドサービスはパッケージ導入版より低価格での導入が可能。共有

    アプリケーションを利用することで安価かつ迅速に導入可能な ASP型と、

    カスタマイズにも対応する SaaS型を提供する。パッケージ導入版は導入費

    用が高くなるが、個人情報をクラウド環境に預けられない、クラウド環境

    ではセキュリティ要件が満たせないといった顧客に向く。自社環境にシス

    テムを構築するため個人情報などを厳重に管理し易い。

    メール配信システム「WEBCAS e-mail」の場合、表 2のような提供形

    式・価格体系を用意している。

    ⚫ 営業活動

    営業活動は、同社の営業部門であるセールスマーケティンググループが

    営業および販売を担う。こうした直接販売のほか、一部で販売協力契約を

    締結したパートナー企業(販売代理店)を通じた間接販売も行う。直接販

    売では多くの場合、商談への入り口となる Web経由での問い合わせから始

    まる。

    表2.「WEBCAS e-mail」の提供形式・価格体系パッケージ導入版

    ASP型 SaaS型 導入型

    概要

    「WEBCAS」の各機能を、インターネットを通じて、顧客が利用期間に応じてレンタルできるサービス。顧客企業が共有でアプリケーションを利用するため、安価かつ迅速に利用できる。

    「WEBCAS」の各機能を、インターネットを通じて、顧客が利用期間に応じてレンタルできるサービス。顧客専用のアプリケーションを用意することができるため、大規模運用や他システムとの連携、カスタマイズが可能。

    「WEBCAS」をパッケージとして提供する形式。自社サーバーに導入して運用することができるため、自社環境で個人情報を厳重に管理することが可能。

    初期費用:3万円~ 初期費用:50万円~ ライセンス費用:200万円~月額費用:1万円~ 月額費用:10万円~ 保守費用:別途利用開始まで2営業日

    契約期間は最短1カ月

    (出所)会社ホームページ、有価証券報告書で当研究所作成

    自社の既存システムとフレキシブルに連携可能

    自社のセキュリティポリシーに対応可能

    クラウドサービス(月額課金)

    費用

    形式

    特徴など

    クラウド環境ながら必要な機能をカスタマイズで拡張可能

    VPN等で自社のデータベースとも接続可能

    事 業 概 要

    ⚫ 会社概要

    営 業 活 動

  • アナリストレポート・プラットフォーム 8

    同社の主力製品であるメール配信システムは、同種の製品を取り扱う事

    業者が国内に数多くある。同社の製品よりも低価格で提供する事業者も多

    いが、同社では低価格路線から距離を置いている。同社の製品は同業他社

    の製品に比べ大規模配信などが可能な高性能を特徴としており、信頼性や

    機能性、柔軟性などシステム性能に対する要求水準が高い大手企業~中堅

    企業を主な顧客としている。中小企業も対象としているものの、高機能を

    前面に押し出すことで価格競争に巻き込まれないようにしている。高機

    能・高価格帯の市場に対応した製品を供給可能な業者は限られる模様で実

    質的な競合先はそれほど多くない。

    システムの所有から利用というクラウドサービスの流れが強まる中で、

    システムの提供方法をクラウドサービスのみに絞る同業他社も増えてお

    り、オンプレミス型を希望する顧客は必然的に同社製品を採用するケース

    が増えているようだ。同社は顧客要望への対応があり、残存者利益が享受

    できるパッケージ導入版の提供を続けつつ、クラウドサービスを重点強化

    している。

    過去の業績推移をみると、売上高は右肩上がりの成長が続いている(図 2

    参照、14/3 期から連結決算を開始したため、13/3 期まで単独)。20/3 期で

    連続増収は 11期に伸びた(14/3期は 13/3期の単独業績との比較)。クラウ

    ドサービスを中心に主力のアプリケーション事業が業績拡大を牽引してい

    るほか、19/3期には事業譲受により EC事業に参入した。EC事業ではベビー

    服の EC サイト「べびちゅ」を運営するが、EC 事業そのものの成長よりも

    「WEBCAS」シリーズの製品開発の強化が狙い。ECサイト運営によって ECビ

    ジネスのマーケティングノウハウを吸収し、製品企画や機能要件等に反映さ

    せる目的を持つ。利益面をみると(図 3参照)、15/3 期は消費増税の影響で

    小売・サービス業界向けが振るわず採算の良い大型案件が低調に推移した。

    加えて、14/3 期に実施した積極的な人材採用に伴う労務費などの増加も負

    担となり、営業減益だった。それ以降は増益基調に戻り 20/3 期で連続営業

    増益は 5期に伸びた。営業利益率は 15/3期こそ 20%を割り込んだが、それ

    以降は 20%超を維持し高収益を維持している。20/3 期は 24.7%に上昇し、

    過去最高だった 14/3期の 24.0%も上回った。

    財 務 分 析

    ⚫ 会社概要

    高性能を武器に低

    価格製品と一線を

    画す

    11期連続増収、

    5期連続営業増益

  • アナリストレポート・プラットフォーム 9

    財務面をみると(図 4参照)、毎年の利益蓄積により利益剰余金が増加し、

    自己資本が厚くなっている。必要以上の自己資本を持つと資本効率の低下を

    招くこともあるが、収益性のビジネスを手掛けていることに加え、自社株買

    いを行ったこともあり自己資本の膨張を抑えている。19/3 期に自己資本が

    目減りしたのは、特別損失の計上で純利益が低水準だったこともあるが、比

    較的大規模な自社株買いを実施したことが理由。無借金経営で自己資本比率

    は 80%前後と高水準を維持しており、財務体質は健全と当研究所は評価し

    ている。

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    11/3期 12/3期 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期

    単位:百万円

    (注)14/3期から連結決算を開始、13/期まで単独

    (出所)決算説明資料で当研究所作成

    図2.売上高の推移

    ECオーダーメイド開発コンサルティングアプリケーション

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期

    利益率(%)

    (出所)決算短信で当研究所作成

    金額(百万円)

    図3.業績推移営業利益 営業利益率

    財 務 分 析

    ⚫ 会社概要

    無借金経営、財務

    体質は健全

  • アナリストレポート・プラットフォーム 10

    自己資本を効率的に活用しているかを確認する指標に ROE(自己資本利益

    率)がある(図 5 参照)。一般的には 8%を上回ることが目安とされるが、

    19/3期を除き 10%台に乗せている。19/3期は特別損失に減損損失を計上し

    純利益が前期比で減少したことから、ROEが 2桁を割り込んだ。ただ、一過

    性の損失だったことに加え、20/3 期は業績拡大を伴って ROE は 20%を上回

    った。

    ROE を 3 分解すると、財務レバレッジは概ね 1.2 倍程度で安定している。

    レバレッジは梃子を意味し、財務レバレッジは負債活用の程度を示す。低倍

    率は財務健全性に繋がっている半面、負債(有利子負債)を活用していない

    ともいえる。効率性を示す総資産回転率は徐々に改善しており、20/3 期は

    1.0 倍を上回った。純利益率は 20/3 期に 17%に上昇し、総資産回転率と純

    利益率の向上が ROE改善の原動力になったことがわかる。

    0

    25

    50

    75

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    800

    1,200

    1,600

    14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期

    比率(%)

    金額(百万円)

    (出所)決算短信で当研究所作成

    図4.自己資本、現預金、自己資本比率の推移

    自己資本現預金自己資本比率

    0.8

    0.9

    1.0

    1.1

    1.2

    1.3

    1.4

    0

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    15/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期

    (倍)(%)

    (出所)決算短信で当研究所作成

    図5.ROE(自己資本利益率)とROEの3分解 ROE(左軸)売上高純利益率(左軸)総資産回転率(右軸)財務レバレッジ(右軸)

    財 務 分 析

    ⚫ 会社概要

    20/3期の ROEは

    20%を上回る

  • アナリストレポート・プラットフォーム 11

    現預金の動きを確認するため、キャッシュフロー(CF)の推移をみると(図

    6参照)、営業 CFはプラス(資金流入)が続くとともに増加基調にあり、本

    業による現金創出力が高まっている。投資 CF は自社ソフトウェア製品に係

    る無形固定資産の取得が主なもので、16/3 期を除きマイナス基調となって

    いる(適正に投資を行っている会社は通常マイナス)。16/3期はプラスとな

    っているが、定期預金の払い戻しにより資金流入が増加したためで一過性の

    要因。ここ数年は製品ラインナップの充実や新バージョンの開発など成長に

    向けた投資を積極化しているほか、M&A を実施したこともあり、投資 CF の

    マイナス幅が拡大した。数年来の積極採用の成果で従業員数が増加し、製品

    開発力が高まり投資拡大を支えている。将来成長を見据えた投資であり、営

    業 CFで投資 CFを賄えていることから、当研究所は資金面では健全と評価し

    ている。財務 CFは配当金の支払いと自社株買いによる資金流出が主なもの。

    配当性向を引き上げていることもあり、財務 CF のマイナスが大きくなって

    いる。

    同社は利益配分に関する基本的な考えとして、新規事業投資や研究開発投

    資等に必要な内部留保を行いつつ、利益配分として期末配当のみを行う方針。

    -400

    -300

    -200

    -100

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    100

    200

    300

    400

    500

    14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期

    (百万円)

    (出所)決算短信で当研究所作成

    図6.キャッシュフロー推移

    FCF(①+②)

    ①営業CF

    ②投資CF

    ③財務CF

    財 務 分 析

    ⚫ 会社概要

    積極的な製品開発

    投資で投資 CF

  • アナリストレポート・プラットフォーム 12

    ⚫ 業績解説

    20/3 期の連結業績は売上高が前期比 10%増の 18.8 億円、営業利益は同

    24%増の 4.6億円。11期連続の増収、5期連続の営業増益となった。好採算

    のクラウドサービスを中心に中核のアプリケーション事業が拡大し、営業利

    益率は同 2.9ポイント上昇した。

    アプリケーション事業は売上高が同 12%増の 14.4 億円。システム導入

    の際に顧客がクラウドサービスを選択するケースが増えており、ライセン

    ス販売は振るわなかったが、クラウドサービスが伸びた。クラウドサービ

    スは同 18%増収だった(図 7参照)。クラウドサービスには廉価プランの

    「ASP」と高価格帯プランの「SaaS」があり、「SaaS」、「ASP」ともにストッ

    ク収益である月額売上げの積み上げが進捗。「SaaS」は大型案件が前倒しで

    進捗したこと寄与した。初期売上げや月額売上げが大きく伸びた。

    表3.業績動向 (単位:百万円)19/3期

    通期

    A B B/A B-A

    売上高 1,703 1,875 10.1% 172

    アプリケーション 1,282 1,438 12.2% 156

    コンサルティング 305 286 -6.2% -19

    オーダーメイド開発 14 13 -2.9% -0

    EC 100 136 35.2% 36

    営業利益 371 462 24.5% 91

    営業利益率 21.8% 24.7% - -

    経常利益 370 470 27.0% 100

    純利益 129 320 147.0% 191

    (出所)決算短信、四半期報告書で当研究所作成

    20/3期

    通期

    0

    10

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    50

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    1,000

    1,200

    13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 18/3期 19/3期 20/3期

    (%)(百万円)

    (出所)決算説明資料で当研究所作成

    図7.クラウドサービス売上高の推移

    金額-左軸

    前期比-右軸

    業 績

    ⚫ 会社概要

    20/3 期は 10%

    増収、24%営業増

    アプリケーション事

    業は 12%増収

  • アナリストレポート・プラットフォーム 13

    コンサルティング事業は売上高が同 6%減の 2.9 億円。子会社 FUCA の大

    型 Web制作案件の受注が一巡したほか、メールコンテンツの定期案件がいく

    つか顧客都合により終了した。ただ、下期から注力した新規営業の成果でデ

    ザインサービスは増収を確保した。

    EC 事業は売上高が同 35%増の 1.4 億円。同事業は製品開発を強化するた

    め、EC事業のマーケティングノウハウ吸収を目的にベビー服 ECサイトを 18

    年 9 月に事業買収し新設した事業セグメント。100%子会社「ままちゅ」が

    ECサイト「べびちゅ」を運営する。前期は期中からの連結だったことから、

    大幅増収だが、実態は伸び悩んだ。特にゴールデンウィーク後の販売が振る

    わなかったほか、消費増税による買い控えが響いた。追い打ちをかけるよう

    に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で例年 2 月下旬から入荷する春夏

    物の入荷が遅れ、販売機会を逸した。

    オーダーメイド開発事業は売上高が同 3%減の 13 百万円。同社はアプリ

    ケーション事業の各種製品の開発に社内エンジニアを優先的に振り向けて

    いることから、オーダーメイド開発事業は新規の受注活動を積極的には行わ

    ず、好採算案件に絞って受注する方針。

    ⚫ 会社計画

    同社では、新型コロナ感染症の流行に伴う営業活動への状況を以下のよ

    うに説明している。

    ・新規問合せ数は堅調であり、従来同様月間 200件以上の問い合わせがコ

    ロナ影響下でも継続中

    ・開示日時点(有価証券報告書提出日:6月 29日)で既存顧客との契約状

    況に大きな変動はなく、解約率は大きく変わっていない

    ・既に受注済みの案件は当初予定通り納品が進んでいる

    ・電話や Web会議により商談は継続的に進行中

    ・新規見込顧客企業の多くもテレワークに入っており、最終的な発注まで

    の所要時間が伸びている

    ・新規案件の引合い後のコロナ影響による失注は 1 割程度

    ・アンケートシステムはコロナ影響調査などの新規需要が発生している

    経済活動が全く止まっている状況ではなく、新規問合せ数は感染拡大前の

    状況を維持しており、既存顧客の契約も継続している状況。しかし、新規

    商談のリードタイム(契約に至るまでの期間)が長くなり、顧客もテレワ

    ークが主となったことで組織的な意思決定に時間を要している状況と認識

    している。

    21/3期の連結業績について会社側は売上高 19億円(前期比 1%増)、

    EBITDA(※)4.4億円(同 14%減)、営業利益 3.3億円(同 29%減)を計

    画。新型コロナ感染拡大の影響で新規商談の進捗に支障がでるケースがみ

    業 績

    ⚫ 会社概要

    21/3 期は 3 割営

    業減益の見通し

    EC 事業は大幅増

    収も、販売振るわ

    ず実態は苦戦

  • アナリストレポート・プラットフォーム 14

    られる。商談自体がなくなった訳ではないが、成約に時間がかかる状況が

    続いている。前提条件として、(1)解約率は悪化しない(現時点で悪化し

    ていないが、それが継続する前提)(2)20年 4月~6月の新規受注は、現

    在申込済みの案件のみカウントする(3)同年 7月~10月までに徐々に商

    談が成立していき、20年 11月から元の水準に戻る――。新型コロナ感染

    拡大の影響で新規受注の減少 1.3億円を織り込んでいる。クラウドサービ

    スは増収を見込むが、従来の 2桁成長から減速する見通し。ライセンス販

    売は大型の特殊案件で大幅に伸びる見通し。ライセンス保守は微減を見込

    むが、アプリケーション事業全体では増収を見込む。コンサルティング事

    業は前期に大型案件が増加した反動などで落ち込む見通し。EC事業は 20

    年のゴールデンウィーク直前から急激に受注が伸びているほか、現在着手

    中の販売サイトのリニューアルが完成する予定で増収を見込む。好採算の

    クラウドサービスが伸び悩むことから、各種費用の増加を吸収し切れず、

    大幅な営業減益を見込む。

    ※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用

    ⚫ 中期経営計画

    同社は 21/3期を初年度とする 3カ年の中期経営計画を策定した。(1)既

    存事業の飛躍的成長(2)新規事業「もう 1つの柱」づくり(3)財務戦略

    の最適化――を柱に据えた。既存事業(既存製品)だけでは継続的な成長

    を今後も維持し続けることができないリスクがあるとして、既存製品に並

    ぶ主力事業となる新製品の開発や M&Aを通じた新事業の創出が重要な経営

    テーマとしている。こうした状況を踏まえ、同社は日本成長投資アライア

    ンス(J-GIA)と業務提携するとともに、J-GIAに対する第三者割当により

    新株予約権を発行した。J-GIAは日本たばこ産業、博報堂がアライアンス・

    パートナーとなっており、日本の潜在成長力のある中堅・中小企業に対し

    表4.業績見通し 単位:百万円20/3期

    実績 会社

    A B B/A C C/B

    売上高 1,875 1,900 1,930 2.9% 2,200 14.0%

    アプリケーション 1,438 1,539 1,564 8.7% 1,790 14.5%

    コンサルティング 286 200 200 -30.3% 220 10.0%

    オーダーメイド開発 13 6 6 -56.2% 6 0.0%

    EC 136 155 160 17.3% 184 15.0%

    EBITDA 510 435 455 -10.8% 580 27.5%

    営業利益 462 330 350 -24.3% 450 28.6%

    営業利益率 24.7% 17.4% 18.1% - 20.5% -

    経常利益 470 330 350 -25.6% 450 28.6%

    純利益 320 225 235 -26.7% 302 28.5%

    (注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用

    (出所)会社資料などで当研究所作成

    当研究所 当研究所

    21/3期予想 22/3期予想

    業 績

    ⚫ 会社概要

    3 カ年の中計を策

    J-GIA と業務提携

  • アナリストレポート・プラットフォーム 15

    て成長資金及び事業支援を提供することを目的としたファンドを運用する

    投資会社。同社では既存事業の強化と新事業開発に J-GIAの協力を得る考

    え(表 5参照)。M&Aでは Webマーケティング領域やコンサルティング領域

    など、同社とシナジー効果を有する有望な M&A候補先の情報を J-GIAと共

    同で発掘。投資判断や投資後の PMI(買収後の統合作業)に際してのアド

    バイス提供などにも協力を仰ぐ。

    財務戦略の最適化では、成長投資に積極的に資金を振り向ける(表 6参

    照)。資本提携による調達資金と合わせ、有利子負債も新たに活用して投資

    余力を確保する。また資金配分も見直す。これまでは留保資金の割合が大

    きかったが、既存事業の開発、M&A等の新規事業開発に重点配分する。株

    主還元は配当性向 30%前後を維持しつつ、利益成長による増配と合わせ、

    自社株買いも市況を見ながら柔軟に検討する。

    表5.J-GIAとの取り組み概要

    (出所)会社資料で当研究所作成

    既存事業の強化

    ・J-GIAと共同で、WEBCASの取引のさら

    なる拡大を目的としたプロモーション戦略策定や営業ツールの開発に取り組む

    新事業開発

    営業及びマーケティング活動の強化 M&A戦略策定・実行による新事業開発

    ・既存事業とシナジーの見込めるM&Aの

    発掘、実行及び統合をJ-GIAが多面的に支援し、M&Aを通じた新たな事業の柱の

    確立を追求する

    表6.成長に向けた積極投資

    これまでの資金使途のイメージ 新中計における資金使途のイメージ

    (出所)中期経営計画資料で当研究所作成

    留保資金

    (新中計)資本提携による調達及び備有利

    子負債の新規活用

    既存事業

    開発投資

    株主還元

    留保資金

    M&A成長投資

    M&A等

    新規事業開発

    M&Aによる新規事業の創出(「もう一つの柱」への挑戦)を中心に成長投資へ

    ・M&A資金として潤沢な資金を準備・新事業構築や既存事業とシナジーの

     ある領域のM&A機会を積極的に追求

    ・配当性向30%前後を維持・毎年配当金額を増額

    ・自己株式取得も市況を見て柔軟に検討

    ・WEBCASの機能向上や新製品開発への成長投資

    株主還元

    既存事業開発投資

    業 績

    ⚫ 会社概要

    成長投資に積極的

    に資金投下

  • アナリストレポート・プラットフォーム 16

    新中計の経営目標として、最終年度の 23/3期に売上高 26億円、

    EBITDA8.0億円を計画する。既存事業の成長のみを織り込んでおり、M&Aな

    どによる新規事業は見込まない数値とし、新規事業を軌道に乗せ上積みを

    目指す考え。同社では、重要な経営指標の 1つとして営業利益の増加額と

    利益率を指標にしていたが、EBITDAを新たな指標とする。営業利益は製品

    開発投資の増加による減価償却費の増加などで期間比較をしていく指標と

    して、適切でないと判断した。

    ⚫ 当研究所予想

    21/3期の連結業績について当研究所は売上高 19.0億円(前期比 3%

    増)、EBITDA4.6億円(同 11%減)、営業利益 3.5億円(同 24%減)を予

    想。新型コロナ感染症の拡大という不確実な状況下で会社側の説明は合理

    的と判断している。会社計画に近い予想だが、クラウドサービスは会社計

    画より強めにみており、アプリケーション事業は会社計画を若干上回る見

    通し。営業利益も会社計画を上回るとみている。

    翌 22/3期の連結業績について、売上高 22.0億円(前期比 14%増)、

    EBITDA5.8億円(同 27%増)、営業利益 4.5億円(同 29%増)を予想す

    る。人件費の増加のほか、ソフトウェア投資の積み増しに伴う減価償却費

    の増加などを想定するが、クラウドサービスの拡大で吸収する見通し。ア

    プリケーション事業は同 14%増収を予想。ライセンス販売は前期の一過性

    の大型案件の反動から落ち込むが、クラウドサービスが拡大する見通し。

    コンサルティング事業は新型コロナ感染症の一巡などから、同 10%増収を

    見込む。EC事業は前期実施の販売サイトのリニューアルに伴う販売拡大に

    期待し、同 15%増収を予想する。

    21/3 期は 3%増

    収、24%営業減益

    を予想

    22/3 期は 14%

    増収、29%営業増

    益を予想

    業 績

    ⚫ 会社概要

  • アナリストレポート・プラットフォーム 17

    2018/3 2019/3 2020/3 2021/3 予

    (アナリスト)

    株 価 推 移

    株価(年間高値) 円 1971.0 1776 1639 -

    株価(年間安値) 円 911.0 1018 971 -

    月間平均出来高 百株 13,290 10,134 6,191 -

    業 績 推 移

    売 上 高 百万円 1,523 1,703 1,875 1,930

    営 業 利 益 百万円 348 371 462 350

    経 常 利 益 百万円 361 370 470 350

    当 期 純 利 益 百万円 236 129 320 235

    E P S 円 57.98 32.29 81.01 59.37

    R O E % 17.6 9.1 22.1 14.4

    貸 借 対 照 表

    主 要 項 目

    流 動 資 産 合 計 百万円 1,370 1,168 1,316 -

    固 定 資 産 合 計 百万円 480 519 625 -

    資 産 合 計 百万円 1,851 1,688 1,942 -

    流 動 負 債 合 計 百万円 315 274 332 -

    固 定 負 債 合 計 百万円 36 48 59 -

    負 債 合 計 百万円 352 323 392 -

    株 主 資 本 合 計 百万円 1,375 1,268 1,512 -

    純 資 産 合 計 百万円 1,498 1,364 1,549 -

    キャッシュフ

    ロ ー 計 算 書

    主 要 項 目

    営業活動による CF 百万円 349 209 440 -

    投資活動による CF 百万円 -54 -217 -221 -

    財務活動による CF 百万円 -51 -268 -80 -

    現金及び現金同等

    物 の 期 末 残 高 百万円 1,122 845 983 -

    (出所)㈱QUICK

    上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。

    上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。

    上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。

  • アナリストレポート・プラットフォーム 18

    ⚫ 事業に関するリスク

    ※競合他社について

    自社開発アプリケーション「WEBCAS」シリーズが属する CRM市場は、ベ

    ンチャー企業を中心に多数の企業が参入している分散型市場となってい

    る。しかし、資金力、ブランド力を有する大手企業の参入や全く新しいコ

    ンセプトおよび技術を活用した画期的なシステムを開発した競合他社が出

    現した場合には、同社の事業に影響を及ぼす可能性がある。

    ※法的規制について

    電子メールによる一方的な商業広告の送りつけ(いわゆる迷惑メール)

    の問題に対応するため、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」

    が制定されている。主要製品「WEBCAS e-mail」に制約を受ける事実はな

    いが、悪徳業者が迷惑メール等に利用できないよう、「WEBCAS e-mail」が

    接続するメールサーバーには技術的制限をかけている。これにより、悪徳

    業者がメールサーバーを意図的に変更し、制限を避けてメール配信をする

    ことができない仕組みになっている。

    販売先に対しては、「メール配信を行う際は、顧客からメールを受け取る

    許可を必ず得ること」を確認または指導してから販売しているほか、迷惑

    メールの配信業者への販売防止のため、納入先を調査している。しかし、

    「WEBCAS e-mail」が悪徳業者に利用され、信用の失墜が生じた場合に

    は、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。

    ※納期遅延等

    アプリケーション事業では、自社製品「WEBCAS」のカスタマイズを行っ

    ており、オーダーメイド開発事業およびコンサルティング事業でも顧客か

    らの個別仕様に基づきウェブサイトや企業業務システムの開発、コンテン

    ツ制作などを行う。その際、開発案件で想定外の工数増加や納期遅延等が

    生じた場合には、同社の業績に影響を及ぼす可能性がある。

    リ ス ク 分 析

    ⚫ 会社概要

    事 業 に

    関 す る リ ス ク

  • アナリストレポート・プラットフォーム 19

    デ ィ ス ク レ ー マ ー

    ⚫ 会社概要

    <指標の説明について>

    本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。

    参照 URL ⇒ https://www.jpx.co.jp/listing/ir-clips/analyst-report/index.html

    1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)が実施する「アナリストレポー

    ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。

    2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作成

    されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社 QUICK

    (以下「レポート作成会社」といいます。)に支払われています。

    3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに誤

    りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありませ

    ん)。

    4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ

    れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。

    5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の取

    引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変動そ

    の他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資の知

    識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適合する

    とは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお願いいた

    します。

    6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当該

    企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものではな

    く、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点のもの

    であり、今後予告なく変更されることがあります。

    7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及び

    レポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が欠け

    ていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものではあり

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