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健康セミナー
皮膚トラブルの対応について
NTT東日本札幌病院
皮膚・排泄ケア認定看護師 朽木恵美
皮膚について• 皮膚の面積 1.5~2m弱• 重さ 体重の16%• 表皮、真皮、皮下組織の三層構造
皮膚の機能(1)
• 保護作用
外的保護作用
– 物理的刺激に対して
– 化学的刺激に対して
– 微生物に対して
– 光線に対して
内的保護作用
-免疫抗体産生
皮膚の機能(2)
• 体温調節機能
→脂肪組織による保温、発汗による熱の放散
• 知覚作用→温痛覚や触覚
• 分泌作用→皮脂腺からの分泌、排泄
• 吸収作用
皮膚のバリア機能
酸外套(さんがいとう)=弱酸性の皮脂でコーティング
健康な皮膚のpH
何らかの要因でアルカリ性に
細菌繁殖、湿疹、かぶれ
アルカリ中和能、緩衝作用
表皮の構造
・基底層で細胞分裂し、順次上の層に押し上げられる
・角層までいくと、2週間留まり、垢となって剥がれ落ちる
・基底層から分裂して28日の周期
健康な皮膚
ドライスキンとは• 加齢に伴い皮脂の分泌保湿機能が低下• 65歳以上の90%以上にみられる• すね、わき腹、腰回り、太ももに多い• 秋~冬にかけての空気の乾燥• 女性>男性
角質のはがれ、かゆみ ひび割れと赤み、強いかゆみ 皮脂欠乏性湿疹
川島眞監修:皮脂欠乏症のおはなし(マルホ) より
ドライスキン
スキンケアのポイント
①洗う(清潔の保持)汗、皮脂などの汚れを除去し、皮膚を清潔にする
②保湿(バリア機能の保持)乾燥から皮膚を守り、かゆみを予防する
皮膚の汚れを取るしくみ
石けんの種類
石けんのいろいろベビー石鹸
• PH10.1~10.6の弱アルカリ性
• 皮脂量が多いベビー用
ビオレU
• PH7.1の弱酸性
• 泡切れはあまりよくない
ミノン
• PH6.1の弱酸性
• アレルギーの原因物質を極力カットした低刺激性
コラージュフルフル液体石鹸
• 弱酸性
• 抗カビ成分を含む
石けんのPHの違いと選択
泡立ち 洗浄力 ドライスキン 毎日使用
アルカリ性 多い 強い 適していない 適していない
弱酸性 少ない 弱い 適している 適している
溝上祐子、河合修三編:専門的皮膚ケア より
石けん使用時の注意点
よく泡立ててしっかり流す
•泡立てることで汚れを包み込むミセルという状態になる
•石けん成分が残っていると汗成分に石けんが溶けアルカリ成分が皮膚を刺激する
必要な量以上は使用しない
•高い濃度の石けん液は皮脂を取りすぎてしまう
泡立て方の工夫
保湿剤について
・保湿剤「エモリエント」→皮膚を覆うことで表面に油脂膜をつくり体内からの水分の蒸発を防ぎ、角層を柔らかくする作用
「モイスチャライザー」→天然保湿因子などの水分を保持する作用をもつ
成分を含み、年齢に伴って減少した分を補うことで保湿作用を発揮
保湿剤を使用するタイミング
保湿剤を入浴1分後に塗布した場合と、1時間後に塗布した場合の角層中の水分変化を比較
→有意な差は認められない大谷道輝:Dermatology Today Vol.014(マルホ) より
保湿剤の塗り方
末廣豊ほか監修:はじめてみようスキンケア指導 より
塗る量の目安
末廣豊ほか監修:はじめてみようスキンケア指導 より
塗る回数
1日1回を続けるよりも、1日2回のほうが効果が数倍高い1日1回をいくら続けても変化がないが、2回を続けることで効果が高くなる
大谷道輝:Dermatology Today Vol.014(マルホ) より
形状の違いによる特徴
末廣豊ほか監修:はじめてみようスキンケア指導 より
末廣豊ほか監修:はじめてみようスキンケア指導 より
末廣豊ほか監修:はじめてみようスキンケア指導 より
キュレル
• 市販されている保湿ローション
• 角質のうるおい成分セラミドを含む
白色ワセリン
• 市販もされている
• 水分の蒸散を防止するがべたつきが強い
ヒルドイドソフト・ローション
• 病院で処方される
• べたつきが少なく、においも気にならない
保湿剤のいろいろ
全身が乾燥していて塗るのが大変、背中など手が届きにくいところがある→保湿効果の高い入浴剤の活用
ただし、浴室のすべりに注意! コラージュDメディパワー
薬用保湿入浴剤
注意が必要な習慣
お風呂は熱くないと入った気がしない
ナイロンタオルでゴシゴシこすると気持ちがいい
お風呂のお湯の温度は40度を目安
よく泡立てた洗浄剤でなでるようにするだけで汚れは落ちる
ストレスと皮膚の関係
皮膚の発育、修復に及ぼす睡眠とストレスの相互関係
アドレナリン分泌量
細胞分裂抑制ホルモン
表皮細胞の分裂
表皮細胞の増殖と修復
睡眠安静時
減少 ↓ 減少 ↓ 増加 ↑増加 ↑増進
ストレス活動時
増加 ↑ 増加 ↑ 減少 ↓減少 ↓停滞
細胞分裂はストレス時にはストップし、睡眠安静時には増加し、修復に関わる
温泉について
温泉の効能・泉質による肌(皮膚)への効果・水圧作用ー リンパの流れ促進・温熱作用ー 代謝をサポート、ぬるめでリラックス・浮力作用ー 体を浮かせて脱力することでリラックス・転地作用ー 気分転換リフレッシュ
泉質のいろいろ 1
美肌の湯と呼ばれ、古い角質や汚れを落とす石鹸のような働き。すべすべになるが、皮脂が取れた状態なので、保湿ケアが大切。
体を温める効果があり湯冷めしにくい。肌に水分を運ぶ働きがある。
新陳代謝を高め、血行が良くする働き。硫黄泉は肌に刺激がある場合があり、こすらない、シャワーで上がり湯をするなどケアが必要。
マイルドで皮膚に刺激の少ない温泉。
泉質のいろいろ 2
刺激が強く、殺菌作用がある。皮膚表面の角質を落とす効果あり。入浴中は皮膚をこすらず、湯上りは温泉成分を流す。
酸素に触れることで赤褐色へ変化する。刺激の強い湯もあるので注意。
入浴後はしっかり保湿
よい睡眠をとり
これからの季節の
皮膚の健康を守りましょう!