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ユーザー事例 / 株式会社日本総合研究所 https://www.jri.co.jp/ avaya.com/jp グループ企業�社のコンタクトセンターを 仮想化基盤上で共通化 各社の使い勝手はそのままにグループ全体で �~�%のコスト削減を目指す グループにおけるシステム共通化の第一弾として取り組んだ コンタクトセンター シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの3つの機能を有する総合情報サー ビス企業である株式会社日本総合研究所では、所属するSMBCグループの各社に 対して金融システムの開発や保守などのサービスを提供している。SMBC グループ がグループ全体でのコストダウンと効率化に向けた取り組みを加速させるなか、同 社ではグループ各社が抱える個別のシステム環境を統合させ、グループ共通の基盤 づくりを進めてきた。 「ハードウェア環境については、既に仮想化をベースにプライベートクラウド環境を 構築し、グループ全体で利用できる共通基盤の整備を推進してきました。当プロジェ クトはそれをさらに一歩進めたもので、業務に関わるシステム部分の共通化を図る、 SMBC グループとしては初めての取り組みでした」と基盤開発部門 基盤システム開 発第五部長(当時)小林和洋氏はプロジェクトの経緯を説明する。 今回、最初に取り組んだのが、各社ごとに構築されてきたコンタクトセンターシステ ムの共通化プロジェクトだった。「各社とも基本的にはアプライアンスベースで構築 運用していましたが、業務要件をみると特別な仕様に依存していない部分が多く、 集約度を高めやすいことが分かりました。そこで、グループにおけるシステム共通化 の第一弾として、グループ 6 社がそれぞれ構築してきたコンタクトセンターを集約し ていくことになりました」と語るのは同部付部長(当時) 藤本和孝氏だ。各社から の同意を得た後、共通化に向けたガイドづくりに取り掛かりながら、基盤となるソ リューションを検討していくことになる。 1 業種 情報・通信業 株式会社日本総合研究所 事業内容 U R L 東京本社 東京都品川区東五反田2丁目18番1号 大崎フォレストビルディング 大阪本社 大阪市西区土佐堀2丁目2番4号 1969年2月20日 100億円 ITを基盤とする戦略的情報システム の企画・構築、アウトソーシングサー ビスの提供、経営戦略・行政改革等の コンサルティング、内外経済の調査分 析・政策提言等の発信、新たな事業の 創出を行うインキュベーションなど https://www.jri.co.jp/

グループ企業 社のコンタクトセンターを 仮想化基盤上で共通化 … · 運用していましたが、業務要件をみると特別な仕様に依存していない部分が多く、

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ユーザー事例 / 株式会社日本総合研究所

https://www.jri.co.jp/

avaya.com/jp

グループ企業�社のコンタクトセンターを仮想化基盤上で共通化各社の使い勝手はそのままにグループ全体で��~��%のコスト削減を目指す

グループにおけるシステム共通化の第一弾として取り組んだコンタクトセンター

シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの3つの機能を有する総合情報サービス企業である株式会社日本総合研究所では、所属するSMBC グループの各社に対して金融システムの開発や保守などのサービスを提供している。SMBC グループがグループ全体でのコストダウンと効率化に向けた取り組みを加速させるなか、同社ではグループ各社が抱える個別のシステム環境を統合させ、グループ共通の基盤づくりを進めてきた。

「ハードウェア環境については、既に仮想化をベースにプライベートクラウド環境を構築し、グループ全体で利用できる共通基盤の整備を推進してきました。当プロジェクトはそれをさらに一歩進めたもので、業務に関わるシステム部分の共通化を図る、SMBC グループとしては初めての取り組みでした」と基盤開発部門 基盤システム開発第五部長(当時)小林和洋氏はプロジェクトの経緯を説明する。

今回、最初に取り組んだのが、各社ごとに構築されてきたコンタクトセンターシステムの共通化プロジェクトだった。「各社とも基本的にはアプライアンスベースで構築運用していましたが、業務要件をみると特別な仕様に依存していない部分が多く、集約度を高めやすいことが分かりました。そこで、グループにおけるシステム共通化の第一弾として、グループ 6 社がそれぞれ構築してきたコンタクトセンターを集約していくことになりました」と語るのは同部付部長(当時) 藤本和孝氏だ。各社からの同意を得た後、共通化に向けたガイドづくりに取り掛かりながら、基盤となるソリューションを検討していくことになる。

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業種 ▶ 情報・通信業

株式会社日本総合研究所所 在 地

設 立資 本 金事 業 内 容

U R L

東京本社東京都品川区東五反田2丁目18番1号大崎フォレストビルディング大阪本社大阪市西区土佐堀2丁目2番4号1969年2月20日100億円ITを基盤とする戦略的情報システムの企画・構築、アウトソーシングサービスの提供、経営戦略・行政改革等のコンサルティング、内外経済の調査分析・政策提言等の発信、新たな事業の創出を行うインキュベーションなどhttps://www.jri.co.jp/

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2© 2019 Avaya Inc. All Rights Reserved.

概要

当プ ロ ジェクトにお いては、グループ6社がそれぞれ運用してきた個別のコンタクトセンターのシステム基盤を仮想環境で統合、以下の効果を目指す。

• 個別の要望に柔軟に対応、操作性は損なわずに席数8,500超の大規模システムに統合

• サーバー台数を約3分の1に削減、スペースも圧縮

• グループ全体で15~20%のコスト削減効果

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コンタクトセンターシステムの共通化を実現させるための大きな課題の一つとなったのは、国内でも類を見ない大規模な席数が確保できる基盤が構築できるかどうかだった。「当プロジェクトでは2,000を超える席数で運用するコンタクトセンターなども含めてまとめ上げることになるため、大規模な基盤を構築する必要がありました」と今回のプロジェクト専任である同部ITプロフェッショナル(エキスパート)(音声基盤・CTI基盤 分野)大島靖之氏は振り返る。

また、当プロジェクトでは共通基盤の仮想環境に構築することによるコスト削減も求められた。「コンタクトセンターを仮想環境で運用することにはコスト面で大きなメリットがあります。サーバーが集約されるため、運用保守関連のコストはもちろん、サーバー設置スペースも削減できるからです」。もちろん、突発的なアクセス集中や急な拡張が必要な場面でも、リソース追加が容易な点も仮想環境に移行する大きな理由であったと藤本氏は説明する。

そこで注目したのが、アバイアが提供するコンタクトセンターソリューションだった。「グループ各社がこれまで活用してきたアプライアンスサーバーが、実はどれもアバイ

アのソリューションでした。そのため、アバイアが基盤の共通化にどの程度柔軟に対応できるかの視点で検討を進めました」と語るのは同部次長(当時)上村洋史氏だ。また、同じグループ企業でも、銀行やカード、証券、消費者金融などそれぞれ業態が異なるため、コンタクトセンターの使い方や位置づけなど各社のニーズが大きく異なるという問題も立ちはだかった。「システムの共通化ではどうしても最大公約数的な機能が実装されることになるため、各社で我慢しなければいけない部分がそれぞれ出てきます。どこまで共通化するのかという範囲を決定することに苦労しましたが、以前から使ってきたアバイア製品なら、各社のニーズの本質を充足できるのではと考えました」と上村氏は語る。

他にも、アバイアのソリューションが外部との柔軟な連携に対応している点も高く評価された。「各社は独自にコンタクトセンター業務システムを構築しており、使い方がそれぞれ異なるため、コンタクトセンターの基盤では異なる業務要件に応えられるようなインタフェースを持つことが求められました。アバイア製品にはAPIなどのインタフェースが豊富にあるため、基幹システムとの連携も含めて、共通基盤として柔軟に対応できることも選定の理由になりました」と大島氏。プロジェクトを統括する小林氏も、以前からアバイア製品に対してポジティブな印象を持っていたという。「かつてアバイアのPBXに関わっていた際、どのような状況でも待機系への切り替えがスムーズに行われ、お客さまにご迷惑をおかけせずに障害に対応することができました。そのため今回も製品の完成度については大きく期待しています」と小林氏。

機能面のほか、セキュリティやID管理などの面で金融機関が求める堅牢性に優れた環境が整備できることを確認したうえで、グループ全体で共通利用するコンタクトセンターソリューションとしてアバイアが採用されることになる。

異業種混在で大規模かつ仮想環境で稼働できることが条件に

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「グループ各社がこれまで活用してきたアプライアンスサーバーが、実はどれもアバイアのソリューションでした。そのため、アバイアが基盤の共通化にどの程度柔軟に対応できるかの視点で検討を進めました」― 株式会社日本総合研究所上村洋史氏

席数8,500を超える大規模システムをクラウド環境で安定稼働させることを目指す

今回のコンタクトセンターシステムの共通化プロジェクトは、グループ内でコンタクトセンターを運用する6社に数年かけて導入されるものとして計画されており、すでに1社が稼働し、直近では2社での展開が予定されている。残りの3社は既存環境の更改タイミングに合わせて実施する。1日数万件のコールに対応できる基盤として席数的には全体で8,500ほどが用意されるなど、国内最大規模となるコンタクトセンターが稼働することになる。機能面でも、PBXやレポートツール、CTI、IVRといったコンタクトセンターに不可欠なものが全て導入されており、各社での運用に欠かせない座席表のアプリケーションなども提供していく計画だ。これらの機能を含め、コンタクトセンターシステムは、同社が資産を保有したうえで各グループに貸し出す形でサービスが提供される。

これまで物理サーバーがメインだった環境からプライベートクラウドとしての仮想環境に移行したことで、先行して展開する3社のサーバー数は3分の1ほどに削減できる見込みであり、ライセンスや運用にかかるコストなどを含めて、全体で15~20%のコスト削減が見込まれている。

また、従来は各社が個別にコンタクトセンターを構築・運用していたため、グループ全体としてノウハウが蓄積・共有されにくい懸念もあった。「専任の組織で構築運用していくことで、我々内部に構築ノウハウを蓄積していけるようにしています。今後各社に展開していく際にもノウハウを生かして期間短縮が可能になるだけでなく、安定稼働に向けた品質向上にも大きく貢献するはずです」と上村氏。

今回、プライベートクラウド環境で整備したコンタクトセンターシステムは、安定的に運用できているという。「まだ1社目が稼働した段階ではありますが、今後の心配はしていません。スペックが明確なアプライアンスとは異なり、今回は汎用的なサーバー群で運用するため、事前に仮想環境で動かすための要件について十分協議しました。開発工程においても当初想定と異なることはありましたが、アバイアからの協力もあり、大きな問題もなく本番稼動を迎えることができています」と藤本氏は評価する。

なお、使い勝手や安定性の面では、以前と特段変わっていないという。「物理環境での操作性が、仮想環境に移行しても大きく変わっていないというのは、実はかなり重要なことです。オペレーターの操作性を損なうことなく、以前と同じように活用できること自体、非常に大きな成果だと思っています」と大島氏は力を込める。

アバイアについては、海外製品が主であるものの、座席管理ツールであるAgentMAPやCTIソフトフォンであるStationLinkなど日本独自の機能を持つソフトウェアが多数用意され、日本のユーザーに配慮されていると大島氏は評価する。「日本製品のほうがかゆいところに手が届くことが多いものですが、日本法人である日本アバイアにはそのあたりもいろいろ工夫いただいており、今後さらなる改善を期待しています」。加えて、万一障害が発生した際には、回線事業者も交えて原因特定を進めることになるが、日本アバイアからは技術的な助言をはじめとした積極的なサポートを受けているという。

同社では、既存のセミナー以外にも社内に技術を根付かせるためのスキルトランスファーを目的とした個別研修を日本アバイアに依頼しており、社内でのスペシャリスト育成にも積極的に取り組んでいる。「数年かかるプロジェクトだけに、社内にしっかりノウハウが蓄積できる環境づくりを進めています。このためにも、今後日本アバイアには協力をお願いしたいと考えています」と上村氏。

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©2019 Avaya Inc. 無断複製を禁ずAvayaの名称、およびAvayaロゴは、Avaya Incの商標であり、アメリカ合衆国、および他国において登録済みです。「®」、「TM」、あるいは「SM」で示された、のすべての商標は、それぞれ、Avaya Inc.の登録商標、商標、およびサービスマークです。

アバイア(Avaya Inc.)についてビジネスはそれを提供する側のエクスペリエンスに基づいて構築されており、毎日何百万ものエクスペリエンスがアバイア(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ)によって構築されています。アバイアは、100 年以上にわたり、お客様とその顧客にインテリジェントなコミュニケーション体験を創造することで、世界中のあらゆる組織における成功を支援してきました。アバイアは、コミュニケーションとコラボレーションを強化し簡素化するため、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境に柔軟に展開できる、オープンで統合された革新的なソリューションを提供します。お客様のビジネスの成長のために、イノベーション、パートナーシップ、そして、未来のテクノロジーの開発に注力しています。お客様が信頼できるテクノロジー企業として、

「真のエクスペリエンス」の提供を支援します。詳細は、アバイアの Web サイトhttps://www.avaya.com をご覧ください。日本アバイア ウェブサイト:https://www.avaya.com/jp 日本アバイア Facebook:https://ja-jp.facebook.com/avaya.jp

「アバイア製品にはAPIなどのインタフェースが豊富にあるため、基幹システムとの連携も含めて、共通基盤として柔軟に対応できることも選定の理由になりました」― 株式会社日本総合研究所大島靖之氏

音声認識やAIを活用したボット連携など新たな技術への挑戦も

土台となる基盤の更改は既に実現しており、計画通り残りのグループ企業への展開を進めていくことになるが、将来的には、新たなチャネル統合も含めたコンタクトセンターのさらなる高度化にも取り組んでいきたい考えだ。「AIを用いて問い合わせを支援するボット連携に取り組みたいという声がすでに挙がるなど、構築したコンタクトセンターへの期待は一層高まっており、私たちも利便性の高い仕組みづくりに積極的に取り組んでいきたい」と藤本氏。

また、オムニチャネル基盤としてのAvaya IX Digital(旧名Avaya Oceana)対応も含め今後どう拡張していくべきなのか、考えをさらに進めていくという。「インフラの共通化を実現したことでライセンスの割り当ても含めて有効活用できる基盤が整備できました。今後は音声認識など先端技術も含めて取り組みながら、グループ全体のデータをうまく活用し、ビジネスにつなげていけるような活動についても積極的に取り組んでいきたい」と小林氏は最後に語った。

今般、日本総合研究所では組織変更を行い、コンタクトセンターシステムの開発/運用を主務とする部署を新設しており、SMBCグループ1社目のリリース完了の後、上村氏が当部署を引き継いている。グループ2社目、3社目のグループ共通化を進めるとともに、コンタクトセンターの高度化を一層加速させていく狙いだ。