9
GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」 「変革」 グループ 安全計画2023

グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

  • Upload
    others

  • View
    5

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

GROUPSAFETYPLAN2023

一人ひとりの「安全行動」を起点に、「究極の安全」へ

「進化」と「変革」

グループ安全計画2023

Page 2: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

32

 

安全綱領

安全は輸送業務の最大の使命である。

安全の確保は、規程の遵守及び

執務の厳正から始まり、

不断の修練によって築きあげられる。

確認の励行と連絡の徹底は、

安全の確保に最も大切である。

安全の確保のためには、職責をこえて

一致協力しなければならない。

疑わしいときは、あわてず、自ら考えて、

最も安全と認められるみちを

採らなければならない。

私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。

技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。

安全の追求

「究極の安全」を追求し、お客さまに安心を届けます。

お客さま志向

質の高いサービスを提供し、お客さまのご期待に応えます。

地域密着

ネットワークの力を活かし、地域社会の発展に貢献します。

自主自立

広い視野と挑戦の志を持ち、自ら考え、自ら行動します。

グループの発展

社会的責任を果たし、グループ一体で持続的な成長をめざします。

トップメッセージT o p M e s s a g e

〜「グループ安全計画2023」の実現に向けて〜

 当社は会社発足以来、安全を経営のトッププライオリティと位置づけ、全

社一丸となって安全性を高めるための取組みを継続してきました。これまで

6回の「安全5ヵ年計画」を策定し、総額4兆円を超える安全投資を行うととも

に、「守る安全からチャレンジする安全へ」という方針のもと、安全について

社員が自ら考え、自ら行動する文化を醸成してきました。この結果、鉄道運

転事故の発生件数は、会社発足当初に比べ大幅に減少しています。

 2018年7月にJR東日本グループ経営ビジョン「変革2027」を策定しました。

「鉄道を起点としたサービスの提供」から「ヒトを起点とした価値・サービスの創造」への転換に果敢に

挑戦しています。あわせて「究極の安全」を実現するために、さらに積極的な取組みを行います。「究極

の安全」を追求することにより、グループのあらゆる活動の基盤である、お客さまや地域の皆さまから

の「信頼」をさらに高めていきます。

 一方で、当社グループを取り巻く環境は、人口減少、ICT(情報通信技術)を中心とする技術革新、

自然災害の激甚化など、非常に激しく変化しており、今後も急激に加速していくことが見込まれます。

特に鉄道を支えるシステムや機器が大きく変わっていることもあり、これまで想像もしなかった事故や

事象が突発的に発生するリスクも想定しなければなりません。従来の延長線上の発想や行動だけでは、

こうした状況に対応していくことが難しくなってきています。環境の急激な変化を常に把握し続けると

ともに、変わりゆくリスクを的確に捉え、未然に対処していくことがますます重要となります。

 このような背景から、新たに策定した「グループ安全計画2023」では、環境の激変に対応すべく「進

化」と「変革」をサブタイトルとして掲げています。これまで当社グループが継続して進めてきた安全

性向上の取組みを、そのまま実行するだけでなく環境変化に的確に対応して「進化」させるとともに、

オープンイノベーションを推進し新たな技術を積極的に活用するなどの新たな取組みによって「変革」

していくのです。

 具体的には、社員一人ひとりが、決められたことをただ実行するだけでなく、扱う機器の動作原理は

どうなっているのか、システムが変わると自分の仕事がどう変わるか、仕事の全体像の中で自分の作業

が他者とどのようにつながっているのか、といった自分の「仕事の本質」の理解を深めましょう。その

上で、自ら徹底的にリスクを掘り起こしリスクに対して主体的に臨機応変に対処することで「安全行動」

を進化させていきましょう。さらに日々の作業の中で作業実態と合わなくなっているルールや安全に作

業しにくい設備環境などを自ら発信し、周囲と協調して関係者の協力を得ながらルールや設備の改善を

図ることで業務変革に結びつけ、安全性をさらに向上させていきましょう。

 当社グループの安全は、グループ会社、パートナー会社、協力会社と当社が一体となって支えていま

す。一人ひとりの「安全行動」を起点にして、環境変化に対応したルール・しくみの変革を図り、グルー

プ全体の安全レベルを飛躍的に向上させて「究極の安全」を追求していきましょう。

東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長

行 動 指 針

グループ理念

Page 3: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

「グループ安全計画2023」の全体像

一人ひとりの「安全行動」を起点に、「究極の安全」へ

基本的な考え方○全社員一人ひとりの力を引き出す○技術革新を積極的に推進、展開する ・未来予測型の安全対策 ・新幹線に関する安全対策の強化 ・鉄道のシステムチェンジの推進○これまで以上にホーム・踏切の安全対策 および防災対策に注力する

命を守る 「究極の安全」 不断に追求すべき「状態」

お客さまの死傷事故ゼロ、社員の死亡事故ゼロ※

※J�R東日本、グループ会社、パートナー会社など、 鉄道の仕事に携わる人すべて

到達点

54

「グループ安全計画2023」の3本柱

① 一人ひとりの「安全行動」の進化と変革

②「安全マネジメント」の進化と変革

環境変化に対応した人材育成の推進

新たなリスクを捉えルール・しくみを変革

③ 新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備

5年間の目標鉄道運転事故:2割減

当社原因の事故完封

より安全なホーム・踏切を実現

災害・テロによるリスクを低減

・当社グループに起因する鉄道運転事故:ゼロ

・ホームにおける鉄道人身障害事故:3割減・踏切障害事故を着実に減少

・自然災害に対するリスクの着実な低減

重大インシデント:ゼロ

数値目標は2018年度比

安全文化のさらなる進化

Page 4: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

一人ひとりの「安全行動」の進化と変革

 鉄道の安全は、「基本動作」「ルールを守る」「過去の事故から学ぶ」など、社員一人ひとりの安全に対する具体的行動により支えられています。今後さらに大きな環境変化が予想される中で、一人ひとりが、これまでの取組みをそのまま実行するだけでなく、「仕事の本質」を理解した上で起こり得るリスクを徹底的に掘り起こすなど、環境変化に対応して「進化」させるとともに、実態と乖離している身近な作業環境を見直し業務変革を行うなど、新たな取組みにより「変革」していく必要があります。

一人ひとりの「安全行動」

一人ひとりの「安全行動」を起点にしてさらなる安全性向上をグループ全体で目指そう!!

「なぜ」を意識して自分の仕事を理解するなど、

「仕事の本質」を理解した上で○決められたことを自ら確実に実行する○自ら徹底的にリスクを掘り起こし、的確に対応する

※「安全行動」:安全レベルを向上させるためにとるすべての行動

一人ひとりの具体的取組み例

CS運動、各種訓練、My Project、業務研究など日々の様々な取組みの中で、自ら意欲的に具体的な「安全行動」を実践していきましょう

一人ひとりの目指す姿

一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」が一体となった業務変革

 一人ひとりの具体的な取組みによって知得した問題点等を発信、共有、議論し、CS運動に対する予算の活用など「安全マネジメント」と一体となって業務変革を実現し、さらに安全性を向上させていきましょう。

PDCAサイクルを回す

76

Page 5: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

「安全マネジメント」の進化と変革

安全文化のさらなる進化 環境変化に対応した人材育成の推進 当社グループが今まで大切にしてきた「5つの文化」「CS運動」「三現主義」などの安全文化が、様々な安全の取組みの土台となります。一人ひとりが「安全行動」を実践すること、具体的には「リスクを掘り起こす」「うまくいっていることにも着目する」などの取組みを通じて、環境変化に対応しながら、安全文化をさらに進化させていきましょう。

グループ全体の確固たる行動規範

「危ないと思ったら列車を止める!」 「安全」は人の命を守ること、「安定」は列車の正確な運行を守ることであり、どちらも鉄道にとって重要です。ただ列車を遅らせまいとするあまり、安全確認の手順が疎かにならないようにしましょう。 ・「危ない」と思ったら、遅れを気にせず列車を止めましょう。 ・�「おやっ」「いつもとちょっと違う」と思ったら、ワンアクション�(指令や上司にまずは一報するなどの行動)を起こしましょう。

学習する

気づく

(1)5つの文化のさらなる浸透

(2)CS運動のさらなる活性化

「CS運動基本の『き』」などの活用

CS運動の本来の趣旨を理解し、様々な視点を取り入れて、身近な取組みから進めていきましょう

(3)三現主義のさらなる進化

三現主義とは現地(げんち)� :実際に現地に出向いて状況を知る現物(げんぶつ)�:�実際に現物(車両、装置、機械、道具など)を�

見て、状態を知る現人(げんじん)�:実際に関係している人々と向きあって状態を知る

 過去の重大事故が発生した現地に赴き、事故の悲惨さや恐ろしさを心に刻むなどの取組みを引き続き進めていきましょう。 また、普段から作業現場に足を運び、日々の作業の中で起こり得るリスクを掘り起こし事前に対処することで、「三現主義」をさらに進化させていきましょう。

 一人ひとりが環境変化に的確に対応して「安全行動」を実践するために、一人ひとりの「意欲」「技量」の向上を図り、人材育成を推進していきましょう。

(1)一人ひとりと、管理者や「安全の取組みの核となる人」が一体となった業務変革  � 一人ひとりの発意・発想を的確に把握し、支社・本社等とともに課題を解決するなど、一人ひとりと一体となって業務変革を実現していきましょう。

(2)一人ひとりの良い行動、取組みをしっかり認め、展開  安全行動表彰受賞箇所の発表会の実施などにより、良い取組みをしっかり認め、展開していきます。

(3)一人ひとりが自ら学び、行動できる環境整備  � 「過去の事故を教訓化する」取組みの推進(事故の歴史展示館への全社員訪問の実施)などにより、一人ひとりがより一層自ら学び行動できる環境整備を行っていきます。

(4)安全に関する知識・指導力・技術力を持った社員をさらに体系的に育成  � 鉄道の安全を担っているのは、鉄道に携わるすべての社員です。人手不足やシステム化により仕事のしくみが大きく変わっていく環境下では、より一層安全に関する知識・指導力・技術力を持った社員の育成が重要になります。そのために、安全のしくみを理解し系統を越えて議論できる「安全の取組みの核となる人」を育成し拡大するとともに、その人達を軸にして、安全に関する知識等を持った社員を拡大していきます。

一人ひとりの意欲の向上

体系的な「安全を担う人づくり」①「安全の取組みの核となる人」の拡大 � 「安全指導のキーマン」「安全のプロ」「総合訓練センター・技能教習所」に加え、「安全エキスパート」「安全エキスパートJr.※」といった、 安全のしくみを理解して系統を越えて議論できる人を「安全の取組みの核となる人」として育成し、拡大していきます。 � 「安全エキスパート」は本社を中心に育成、「安全エキスパートJr.」は各支社等において「安全のプロ」や「安全エキスパート」が主体となって育成していきます。 ※各支社独自の育成研修修了者(支社によって名称が異なる)

②�「安全の取組みの核となる人」を軸にした、�����安全を担う人づくり(すそ野の拡大) � 「安全の取組みの核となる人」が軸となって安全性向上の取組みを進めることにより、安全に関する知識等を持った社員を拡大していきます。 � 例えば、「安全エキスパートJr.」が「安全指導のキーマン」と連携し、社員一人ひとりと協力しながら「仕事の本質」の理解の促進を進めていきましょう。

安全の

取組みの核となる人

安全を担う人

安全を担う人

安全を担う人

安全を担う人

安全に関する知識・指導力・技術力の向上 ➡ さらなる安全の取組みへの意欲の向上

・「仕事の本質」の理解の促進・徹底的なリスクの掘り起こし などの具体的取組みを社員一人ひとりと協力しながら実践

 一人ひとりの「安全行動」の進化と変革のために、職場、支社、本社の「安全マネジメント」も一人ひとりと一体となって、進化・変革させていきましょう。具体的には「安全文化のさらなる進化」 「環境変化に対応した人材育成の推進」「新たなリスクを捉えルール・しくみを変革」に取り組んでいきましょう。さらに、「グループ会社・パートナー会社・協力会社が安全に作業できる体制のさらなる整備」「新幹線に関するさらなる安全対策」を進めていきます。

98

Page 6: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

「安全マネジメント」の進化と変革

環境変化に対応した人材育成の推進 新たなリスクを捉えルール・しくみを変革 環境が大きく変化する中では、仕事のしくみも大きく変化し、ひいては事故・事象が起こり得るリスクが変化するとともに、新たなリスクも発生することになります。常に環境変化に対応して、ルール・しくみを変革していかないと、新たなリスクに対応できなくなります。一人ひとりの取組みを起点にして、現場で起きていることを的確に把握し、作業実態に合ったルール・しくみに変革していきましょう。

一人ひとりの技量の向上(1)「仕事の本質」の理解の促進  � 大きな環境変化に的確に対応していくためには、「仕事の本質」を理解することが大切です。単に仕事の手順ややり方を学ぶだけでなく、仕事の目的、ルールの成り立ち、機器の動作原理など7つの心得を意識して、「仕事の本質」の理解を深めましょう。

①仕事の目的、ルールの成り立ち、機器の動作原理などの理解

勉強会でルールの成り立ちを学ぶ 機器の構造やしくみを学ぶ(教育訓練設備の徹底活用)

実物を活用して実践的に学ぶ ロールプレイング訓練で仕事の全体像を学ぶ

 新たに導入される機器等についても、取扱い手順だけでなく、施策全体の目的や機器等のしくみの説明会、勉強会の開催などにより、仕事の変化にも的確に対応していきましょう。

②「うまくいっていること」にも着目する取組みを推進

現場の作業を見てうまくいっている理由を掘り下げる

個人が持つ事故防止のための工夫・コツを共有する

〇マイ・ヒャットを「うまくいっていること」の視点から活用 ・�マイ・ヒャットを、「事故の芽」としての捉え方だけでなく、「うまくいっていること」として「なぜ事故・事象にいたらなかったのか」という新たな視点で捉えてみましょう。「仕事がうまくいくための理由や方法」を、発信、共有、議論し、

  リスクを察知、回避するための材料として、徹底的に活用していきましょう。

〇取組みの趣旨や具体的取組み例の周知による推進 ・�「CS運動基本の『き』」や「青信号」等を活用して周知するとともに、安全に関する各種研修等でも徹底的に伝えていきます。

(2)臨機応変に対応する力の向上   リスクに直面した場合も臨機応変に対応する力を身につけるために、教育訓練設備を徹底的に活用し、実践に即した訓練を実施していきましょう。

(3)第一線からの「発信力」の向上   管理者等は、一人ひとりの発意・発想を的確に把握し、支社、本社等に発信していきましょう。

マイ・ヒャットを「うまくいっていること」の視点から活用

一人ひとりの取組みを起点にしたルール・しくみの変革

(1) 一人ひとりの各種取組み※を起点にした、作業実態と合わなくなっているルール、機器、訓練設備等の変革※CS運動、業務研究、My�Project、委員会活動など日々の様々な安全性向上に向けた取組み

  一人ひとりが各種取組みで知得した問題点等を発信、共有、議論し、管理者等とともにルール・しくみの変革につなげていきましょう。

水郡線ワンマンミラー結露対策 上総一ノ宮駅構内作業通路整備

(設備の改善例)

(2)作業実態や、ルールの成り立ち・経緯の把握に基づく変革 安全性の確保を大前提に、現場第一線の意見を取り入れ、既存のルールの見直しやシステムによる支援などにより、全社的に業務変革を行っていきます。

作業実態や、ルールの成り立ち・経緯の把握

安全性の確保を大前提に、現場第一線の意見を取り入れ・全社的なルールの棚卸し、見直し (過去の対策がルールの上乗せだけになっていないか など)・システムによる支援などにより、現場作業員の負荷軽減

ヒューマンエラーの防止による安全性向上

ベテランと若手が一緒にリスクの想定や工夫・コツの見える化を行う

工夫の見える化

1110

Page 7: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

「安全マネジメント」の進化と変革

新たなリスクを捉えルール・しくみを変革 グループ会社・パートナー会社・協力会社が安全に作業できる体制のさらなる整備

 当社グループの安全は、グループ会社・パートナー会社・協力会社と当社が一体となって支えています。グループが一体となってさらに安全性を向上させるために、それぞれが役割を認識して主体となって取組みを進めていきましょう。さらに、お互いに安全に対する価値観を共有するなどして連携し、安全に作業できる体制の強化を進めていきましょう。

新幹線に関するさらなる安全対策

未来予測型の安全対策の推進(1)システムチェンジの前にリスクを捉え対処する仕組みの構築

新たなシステム等の導入前に、運用開始後に起こり得るリスクを検討し、対処する勉強会、会議等を開催していきましょう。

(2)ビッグデータ、AI、IoTなどを活用した未来予測型の安全対策の推進今まで想像していなかった、新たなリスクによる重大事故につながりかねない予兆を的確に捉えるため、ビッグデータ、AI、IoTなどを活用した安

全対策を推進します。

さらに、過去の事故等のビッグデータなどを活用した、日々の作業のリスクを見える化できるシステムの開発を進めていきます。

(3)リスクアセスメント手法を導入し、安全対策や設備投資の検討

10年後における鉄道運転事故のリスクの分析を行った結果

・車両、設備等の強靭化・ホーム、踏切の安全対策・自然災害への対応・新幹線に関する安全対策・テロ等への対応

に特に注力し、着実にリスクを低減させていきます。

さらに、支社版リスクアセスメントの実施により、支社の弱点やリスクを見える化し、安全対策を随時検討していきます。

【被害想定ランク】⇒�お客さまや社員の負傷者数の程度、�当社グループの被害、損害の程度を示す

○「当社グループに起因する鉄道運転事故:ゼロ」のために⇒事故の一歩手前の「注意を要する事象」のうち「繰り返し発生している事象」が未だ完封に至っていません。 �「確実・有効な対策を立てる」「その対策を徹底的に実行する」「対策に不具合があれば改善する」「『他山の石』や『うまくいっている工夫』を有効活用する」などの各種取組みにより、「繰り返し発生している事象」を完封していきます。

○「ホームにおける鉄道人身障害事故:3割減」「踏切障害事故の着実な減少」のために�⇒ホーム、踏切のさらなる安全性向上のために、当社グループによる着実な対策を行ってまいりますが、お客さまや地域の方々にも鉄道に潜む危険についてご理解いただき、危険の回避にご協力いただくことも大切です。少子高齢化やお客さまの多様化を踏まえて、お客さまや地域の方々にキャンペーンの展開(プラットホーム、踏切など)等を通じ、危険回避にご協力いただく取組みを進めるとともに、自治体と連携した踏切の統廃合に向けた取組みを進めていきます。

○テロ等への対応�⇒東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、テロ等に対するセキュリティ強化として、駅、列車内、重要施設等への防犯カメラの設置などを進めていきます。

 *JR東日本は、東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)です。

グループ会社・パートナー会社・協力会社とともに進める安全マネジメントの強化

特に当社は、グループ会社・パートナー会社との連携を強化し、より安全性の高い作業ができるようにマネジメント

具体的取組み例◆必要な情報提供や教育支援、ルールの見直し⇒「安全ポータル」を相互活用できる環境整備⇒全社的なルールの棚卸しと見直し

◆現場の作業実態と課題等に基づいた作業環境の整備◆作業の機械化などのシステム支援◆鉄道工事マネジメント等の取組みの進化⇒定期的な情報共有、意見交換の実施⇒現場の作業実態の把握と課題等の共有⇒工事計画における課題の共有、サポートの実施  など

 新幹線については、万が一重大事故が発生した場合には被害が甚大になることが予想されます。「設備のまとまった更新時期の到来」「高速化」「ネットワークの拡充」等、新幹線特有の変化点を的確に捉えるとともに、重大事故につながりかねない予兆を把握する取組みを推進して、これまで以上に新幹線の安全対策を強化していきます。

◆高度な技術領域における事故・事象の予兆の把握〜ビッグデータ、AI、IoTなどを活用した未来予測型の安全対策の推進〜

◆新幹線特有の変化点への的確な対応⇒新幹線レール更新および大規模改修に向けた技術開発の推進⇒次世代新幹線の実現に向けた試験車両の新造(ALFA-X)

◆新幹線ホームのさらなる安全性向上⇒新幹線ホームドア整備計画の推進

◆自然環境への対応力強化⇒着落雪対策の実施

◆新幹線業務に特化した体制強化など

新幹線設備の更新 次世代新幹線の実現に向けた試験車両の新造(ALFA-X)

あらゆる定常状態データの収集強化

今まで想像していなかった新たなリスクによる重大事故につながりかねない予兆の的確な把握

CBMの展開や画像検知、温度検知、異常な音の認識など、さまざまなセンサの活用

各種モニタリングデータ

車両、設備やホーム、踏切の異常の予兆を捉える技術を実用化

さらなるリスクの低減

1312

Page 8: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備

1514

年度※18年度は見込み額

グループ安全計画2023

(見込み)

グループ安全計画2023

(見込み)

〇保守工事のさらなる安全性向上・線閉・保守作業システムを導入拡大します・保守用車短絡走行線区の拡大⇒踏切制御子化を進め、保守用車短絡走行線区の拡大を完了します⇒�短絡走行ができない線区に、保守用車衝突防止支援装置の整備を完了します

・多線区列車接近警報装置の開発を進め、実用化を目指します

〇グループ会社・パートナー会社・協力会社が安全に作業できる環境整備・�施工基面の整備、点検用昇降台の整備、構内作業通路の改良などを継続します

など

 安全設備の整備については、会社発足以降、重点的に安全投資を継続してきました。今後も安全設備を重点的に整備していくとともに、より新たな技術を積極的に活用し、新たなリスクに対応していきます。 なお、5年間の安全投資額は

約1.2兆円を見込んでいます。

基幹設備の強靭化

〇在来線・新幹線設備の強化および老朽化対応・電力設備・構造物・駅設備の強化および老朽化対応⇒電化柱倒壊や信号機柱倒壊を防止するための増強工事を完了します⇒高抵抗地絡対策を完了します⇒�気がかりな橋りょう、トンネルに対して、設備強化による予防保全を継続して進めます⇒駅や車両基地の屋根の落下対策を継続して進めます⇒分岐器のベアリング床板整備を拡大します・新幹線設備の更新および強化⇒新幹線のレール更新工事を継続して進めます⇒新幹線の建物設備改良工事(屋根・外壁等)を継続して進めます

〇運転・車両における信号冒進・速度超過対策等・ATS-Pを地方線区に継続して整備します・ATS-P等を取り付ける車両改修を継続して実施します・�列車無線の未整備区間への整備を検討します

当社グループに起因する鉄道運転事故:ゼロ

ホームにおける鉄道人身障害事故:3割減・�在来線ホームドア(スマートホームドアを含む)の整備を加速します・内方線付き点状ブロックの整備⇒�乗降人員が3千人以上1万人未満の駅に整備を完了します(乗降人員1万人以上の駅は整備済)

・CPラインの整備⇒�ホームドア整備計画等を考慮し、首都圏駅に継続して整備

   します・高解像度ITVの設置を継続して進めます・�新幹線ホームドア整備計画を、主要ターミナル駅を中心に推進します・新幹線駅のホーム端部柵を継続して整備します・�車両・ホームの戸挟み検知機能を向上させる技術を開発し、実用化を目指します・�ホーム上の異常を検知する技術を開発し、実用化を目指します(画像認識・センシング技術等の活用) 

�など

踏切障害事故を着実に減少・踏切廃止や統廃合に向けた地域との協議を進めます・第4種、3種踏切の第1種踏切への改良を継続して進めます・踏切無しゃ断対策を継続して進めます・障害物検知装置の整備⇒�障害物検知装置の未整備箇所に3DLR式 (3次元レーザレーダ式)を継続して整備します⇒�交通量が多い踏切を対象に、大型障害物検知装置を3DLR式に置き換えます

・踏切支障報知装置の整備⇒主要幹線の整備を完了し、地方交通線の整備を拡大します・全方位警報灯の整備を加速します・踏切融雪装置(ロードヒーティング)を継続して整備します・�保守用車踏切鳴動装置(ズバコン)を、交通量が多い踏切を優先的に、継続して整備します・新型の障害物検知装置の開発・導入⇒�より高機能化した障害物検知装置を開発し、導入します (3DLR式の高機能化等)⇒�踏切における異常を検知する技術を開発し、実用化を目指します(画像認識・センシング技術等の活用)

・自動車業界との連携によるITS技術等の活用⇒�自動車側のITS(高度道路交通システム)、ナビゲーションシステム等を活用した踏切事故防止対策を推進します

など

将来の鉄道の姿・列車運転の自動化と作業のシステム化・ホーム・踏切のさらなる安全性向上・災害の早期捕捉・検知・把握  の実現

既存の延長線上ではなく、将来の鉄道の姿を見据えながら、

鉄道のシステムチェンジを進めていきます

新たな技術による鉄道のシステムチェンジ

・CBM(車両・線路・電車線等)等のモニタリングの積極的な展開⇒車両モニタリングをE235系に導入します⇒線路設備モニタリングを地方線区に導入拡大します⇒電車線モニタリング装置を車両に搭載し、モニタリングを実施します・新幹線台車モニタリングの開発を進め、実用化を目指します・次世代新幹線ATCおよび第三世代COSMOSの開発を進め、導入します・次世代新幹線の実現に向けた試験車両(ALFA-X)を新造します・新幹線大規模改修に向けた技術開発を推進します・ATACSの導入拡大を検討します・ドライバレス運転の実現に向けた自動運転技術の開発を推進します・作業および施工のロボット化・自動化に向けた技術開発を推進します・ビッグデータ、AI、IoTなどを活用した、重大事故につながりかねない予兆を捉える技術開発を進め、実用化を目指します・ビッグデータ、AI、IoTなどを活用した、日々の作業のリスクを見える化するシステム開発を進め、実用化を目指します

などあらゆる定常データの収集強化により、

重大事故につながりかねない予兆を把握する技術の実現技術革新を積極的に推進・展開

自然災害に対するリスクの着実な低減〇大規模地震対策・�首都直下地震等を踏まえたさらなる耐震補強対策の実施⇒�これまで実施している対策のエリアを拡大します(高架橋柱、山岳トンネル覆工、電化柱〈モルタル基礎〉、

    盛土〈高さ6m以上〉、無筋橋脚等の対策)⇒�新たな対策を推進します(山岳トンネル路盤、桁支点部、電化柱〈砂詰め基礎〉、

    盛土〈高さ6m未満〉、ホーム、ホームの上家等の対策)・地震のさらなる早期検知⇒�海底地震計情報の活用海域拡大や早期検知地震計の改良により、地震検知から列車緊急停止までに要する時間を短縮します

・新幹線の逸脱防止対策拡大⇒レール転倒防止装置の整備範囲を拡大します

〇降雨防災対策・気象レーダ雨量による運転規制の導入⇒�局地的大雨に対し、面的な観測が可能な社外気象情報(気象レーダ雨量)による運転規制を導入します

・�橋脚・護岸洗堀対策、斜面盛土対策(落石や土砂崩壊への対策)を継続して進めます

〇強風対策・�車両が風から受ける力を、より適正に評価し、運転規制を行う手法の適用線区を拡大します (風速計の整備、プレダスの改修、防風柵の整備)・�新幹線の強風警報システム導入を目指します

〇突風対策・�ドップラーレーダーを用いた突風に対する運転規制の実施エリア拡大を検討します

〇雪対策・新幹線落雪対策の実施⇒�秋田新幹線大釜駅に台車の融雪装置を設置します⇒�落下した氷雪による信号設備の損傷を防止するための増強工事を完了します(地上子の防護工設置等)

〇新たな検知・検査技術の開発・導入・�新しい落石検知技術、洗堀検知技術を開発し、実用化を目指します

〇テロ等への対応・�駅や列車内、重要施設等に防犯カメラを整備します

など

新幹線設備の更新

在来線ホームドア整備の加速

3DLR式障害物検知装置の整備

CBM等のモニタリングの積極的な展開

斜面盛土対策

ドップラーレーダーを用いた運転規制の実施エリア拡大

Page 9: グループ 安全計画2023GROUP SAFETY PLAN 2023 一人ひとりの「安全行動」を起点に、 「究極の安全」へ 「進化」と「変革」 グループ 安全計画2023

16