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撮影ポイント 日本医学放射線学会 社団法人 患児への負担を極力軽減するため、事前に撮影の準備を行う必要がある。 ポータブル装置をベッドサイドまで近づけ、目的部位の近傍にアームを準備し、撮影条件 を設定しておく。 カセッテを患児の下に挿入し、胸郭がカセッテ内に収まるように調整する。 近づけておいたアームを出し照射野(位置・範囲)を決定する。 カセッテを患児の下に挿入し、胸郭がカセッテ内に収まるように調整する。 必要に応じて可動する頭、腰、腕等を固定する。 胸部の正面性を確認し、呼吸のタイミングを見て(胸郭が広がった状態で)撮影する。 感染症の疑いがある場合は予めカセッテをビニール袋に入れ、ディスポーサブル手袋を 着用する。 全体を通して 全体を通して 正面撮影 撮影方向のパターンによるポイント 撮影方向のパターンによるポイント 立位撮影台にまっすぐ立ち 両手を広げる。 術者か介助者 が手を握っていた方が安全である) 前後左右の曲りに注意し 深吸気の肺野像を得る。 立位撮影ができる場合 カセッテに両肩と腰を付け 下顎を少し上げる。 患児の両手を広げる (術者か介助者が手を握っていた方が安全である) 立位と同様に体軸を垂直な肺野像を得る。 また撮影範囲が欠けないよう注意する。 立位での撮影が困難な場合 (座位A-P方向) 仰臥位の体位をとり できるだけ両腕は体幹から離してもらう。 臥位像は腹部臓器により横隔膜が上がるため 立位像とは 多少違った像になる。 臥位撮影 (ポータブル撮影も同様) ポータブル撮影 照射野の設定 撮影機器によるポイント 撮影機器によるポイント 上下は声門~肋骨横隔膜 (CP angle を含め、左右は両肋骨および両上腕の一部が まれるようにする。 P-A方向の場合、X線中心は第 6,7 胸椎 目安として肩甲骨下縁と正中の交点。 A-P方向の場合 目安として胸骨中心。

撮影ポイント · イミングを見て胸郭が膨れた時に撮 影する。 正面撮影と同様準備と注意が必要である。 特に側面撮影は体のねじれが生じやすいので挙上した両手は

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Page 1: 撮影ポイント · イミングを見て胸郭が膨れた時に撮 影する。 正面撮影と同様準備と注意が必要である。 特に側面撮影は体のねじれが生じやすいので挙上した両手は

撮影ポイント

日本医学放射線学会社団法人

● 患児への負担を極力軽減するため、事前に撮影の準備を行う必要がある。● ポータブル装置をベッドサイドまで近づけ、目的部位の近傍にアームを準備し、撮影条件  を設定しておく。● カセッテを患児の下に挿入し、胸郭がカセッテ内に収まるように調整する。● 近づけておいたアームを出し照射野(位置・範囲)を決定する。● カセッテを患児の下に挿入し、胸郭がカセッテ内に収まるように調整する。● 必要に応じて可動する頭、腰、腕等を固定する。● 胸部の正面性を確認し、呼吸のタイミングを見て(胸郭が広がった状態で)撮影する。● 感染症の疑いがある場合は予めカセッテをビニール袋に入れ、ディスポーサブル手袋を  着用する。

全体を通して全体を通して

正面撮影撮影方向のパターンによるポイント撮影方向のパターンによるポイント

● 立位撮影台にまっすぐ立ち、両手を広げる。  (術者か介助者が手を握っていた方が安全である)● 前後左右の曲りに注意し、深吸気の肺野像を得る。

立位撮影ができる場合

● カセッテに両肩と腰を付け、下顎を少し上げる。● 患児の両手を広げる  (術者か介助者が手を握っていた方が安全である)● 立位と同様に体軸を垂直な肺野像を得る。● また撮影範囲が欠けないよう注意する。

立位での撮影が困難な場合(座位A-P方向)

● 仰臥位の体位をとり、できるだけ両腕は体幹から離してもらう。● 臥位像は腹部臓器により横隔膜が上がるため、立位像とは   多少違った像になる。

臥位撮影(ポータブル撮影も同様)

ポータブル撮影

照射野の設定

撮影機器によるポイント撮影機器によるポイント

● 上下は声門~肋骨横隔膜角(CP angle)を含め、左右は両肋骨および両上腕の一部が   含まれるようにする。● P-A方向の場合、X線中心は第6,7胸椎。目安として肩甲骨下縁と正中の交点。  A-P方向の場合、目安として胸骨中心。

Page 2: 撮影ポイント · イミングを見て胸郭が膨れた時に撮 影する。 正面撮影と同様準備と注意が必要である。 特に側面撮影は体のねじれが生じやすいので挙上した両手は

吸気呼気

日本医学放射線学会社団法人

胸部斜位

胸部側臥位正面(デクビタス)

クロステーブル撮影

● 正面撮影と同様準備と注意が必要である。● 補助具として発泡スチロール等を体の下に入れる。● X線束を水平にし、正中がカセッテ中心へ来るように合わせる。● 両手を挙上し、カセッテに背中を付けねじれを予防する。● 特に胸水の確認で撮影することが多いため、両肋骨が欠けないように注意する。

● 正面撮影と同様準備と注意が必要である。● 補助具として発泡スチロール等を体の下に入れる。● 上肢を挙上させるか下垂させる。● X線束を水平にし、仰臥位にて胸部の側面を撮影する。● 撮影時にグリッドを使用する場合は、リス目による干渉に注意して垂直に入射する。

● 体軸のズレの少ない臥位にて撮影する。● 照射野は胸部だけに絞らず上腹部を含めて撮影する。  (時間経過によっては腹部撮影も必要)● 気道内異物が疑われる場合、胸部正面で最大吸気、最大呼気の撮影が必要となる場合がある。

● 正面撮影と同様準備と注意が必要である。● 片手は挙上し頭部へ、もう一方は肘を曲げ腰に当てる撮影法が望ましいが、体位が難し  い場合は両手を挙上させ、骨盤部を押さえながら撮影する。

異物誤飲状況によるポイント状況によるポイント

側面撮影

その他その他

吸気撮影のコツ● 呼吸の指示を理解できる場合は吸気  指示にて息を止めてもらう。● 指示を理解できない場合は呼吸のタ  イミングを見て胸郭が膨れた時に撮   影する。

● 正面撮影と同様準備と注意が必要である。● 特に側面撮影は体のねじれが生じやすいので挙上した両手は   補助具を握らせ、骨盤部を押さえながら撮影するとねじれも   少なくてすむ。● 左右肋骨が重複し、肺野像も重なっている事が望ましい。