24
2019年12月6日 大崎クールジェン株式会社 久保田 晴仁 気候変動・災害対策Biz 2019 カンファレンス 「NEDOのCCUSに係る取組について」

大崎クールジェン株式会社 久保田晴仁CoolGen計画 技術開発ロードマップに基づき、IGCC、IGFCとCCSを組み合わせた 『革新的低炭素石炭火力発電』の実現を目指した実証試験研究プロジェク

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

2019年12月6日

大崎クールジェン株式会社

久保田 晴仁

気候変動・災害対策Biz 2019 カンファレンス

「NEDOのCCUSに係る取組について」

会社概要 3

社 名

大崎クールジェン株式会社( Osaki CoolGen Corporation )

国のクリーンコール政策である『Cool Gen計画』を

実現していくという思いを込めて命名

Cool Gen計画技術開発ロードマップに基づき、IGCC、IGFC と CCS を組み合わせた

『革新的低炭素石炭火力発電』の実現を目指した実証試験研究プロジェクト

設 立 平成21年7月29日

所 在 地 広島県豊田郡大崎上島町中野 6208-1

出 資 比 率中国電力株式会社 50%電源開発株式会社 50%

事 業 内 容

究極の高効率石炭火力発電である石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC)の基

盤技術である酸素吹石炭ガス化複合発電 (酸素吹IGCC) および二酸化炭素

分離回収技術に関する大型実証設備の建設および 試験の実施

※IGCC(Integrated Coal Gasification Combined Cycle):石炭ガス化複合発電※IGFC(Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle ):石炭ガス化燃料電池複合発電※CCS(Carbon Dioxide Capture and Storage ):二酸化炭素回収・貯留

大崎上島町の概要 4

安芸津港

竹原港

大西港

白水/垂水港

広島空港

しまなみ海道大崎上島町

面積 約43km2

人口 7,477人(2019年10月末現在)

アクセス 広島県本土側とは、陸路がなく、竹原・安芸津港と高速船、フェリーで結ばれている(広島県近郊の港までフェリーで約30分) 広島県

今治市

呉市

とびしま海道

目次

1.大崎クールジェンプロジェクト

2.プロジェクト進捗状況

-第1段階:酸素吹IGCC実証-

3.プロジェクト進捗状況

-第2段階:CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証-

4.プロジェクト進捗状況

-第3段階:CO2分離・回収型IGFC実証-

5. CO2有効利用

1.大崎クールジェンプロジェクト

年 度 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022

環境アセスメント

フィージビリティースタディー

第1段階

酸素吹IGCC実証

第2段階

CO2分離・回収型IGCC実証

第3段階

CO2分離・回収型IGFC実証

FS調査 FS調査 FS調査

実証試験設計・製作・据付

設計・製作・据付 実証試験

設計・製作・据付 実証試験

大崎クールジェンプロジェクトの概要 7

N2

O2

CO2

H2 リッチガス

CO,H2

CO2,H2

シフト反応器

CO2 吸収塔

石炭

空気分離設備(ASU)

ガス化炉 ガス精製

圧縮機

発電機ガスタービン

蒸気タービン 燃料電池

第2段階第1段階

第3段階

CO2輸送・貯留へ※

※本プロジェクトにはCO2

輸送および貯留試験は含まない。

石炭火力発電から排出されるCO2を大幅に削減させるべく、究極の高効率発電技術であるIGFCとCO2分離・回収を組み合わせた革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指す

プロジェクトは3段階で構成され、第1段階は2012年度から経済産業省補助事業として開始し、2016年度からは第2段階と合わせてNEDO助成事業として実施

石炭火力の「高効率化」に向けた技術開発 8

我が国の石炭火力は、現在、蒸気タービンのみで発電する微粉炭火力(PCF)の超々臨界圧(USC)が主流だが、更なる高効率化に向け、発電要素を増やした複合発電方式の技術開発を進めている。

究極の複合化技術であるIGFCの実用化により15pt以上の発電効率向上が可能となる。その結果、USC比で約30%のCO2排出量を低減。

・数値は発電効率(送電端,HHV)・( )内は、CO2削減率

超々臨界圧(USC)

40%

(ベース)

超臨界圧(SC)

38%

先進的超々臨界圧(A-USC)

46%

46%

(約▲15%)

1300℃ IGCC 1500℃ IGCC 1700℃ IGCC

固体酸化物形燃料電池(SOFC)

燃料電池(FC)

石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC)

石炭ガス化複合発電(IGCC)

微粉炭火力発電(PCF)

55%~(約▲30%)

ガスタービンガス化炉

排熱回収ボイラ

蒸気タービン

ボイラ

蒸気タービン

ガス化炉 ガスタービン

燃料電池

排熱回収ボイラ

蒸気タービン

※大崎クールジェン実証規模(目標値40.5%)

9

1.石炭ガス化技術開発について

石炭ガス化技術開発の意義

石炭ガス化ガスの多目的利用

酸素吹の石炭ガス化技術は、発電用途以外に合成燃料や化学原料製造など産業分野にも幅広く利用可能

・経済発展

・資源確保

・環境保全

に貢献

石炭火力発電の高効率化・低炭素化による環境保全と化石資源の有効活用

発電効率の飛躍的な向上とCO2排出量の大幅な低減が可能

→ 究極の複合化技術であるIGFCの実用化により、 USC※から約15pt効率向上、約30%のCO2削減が可能。 ※微粉炭火力発電(PCF)の超々臨界圧(USC)

燃焼前の高圧な石炭ガスからの効率的なCO2分離・回収が可能

石炭可採埋蔵量の半数を占めるも、十分に活用されていない低品位炭(亜瀝青炭等)の利用が可能

発電による副製品(石炭灰)をガラス状の固化物として排出するため灰の減容化が可能

システムのインフラ輸出

諸外国へ輸出・普及させ、世界のCO2排出量削減に貢献

2.プロジェクト進捗状況

-第1段階 酸素吹IGCC実証試験-

第1段階:酸素吹IGCC実証試験の設備構成 11

三菱日立パワーシステムズ 日揮 ダイヤモンドエンジニアリング

チャー回収設備

石炭ガス化設備

空気

窒素

空気

複合発電設備

冷却水

圧縮機

復水器

排熱回収ボイラ

発電機

脱硝

ガスタービン圧縮機

ガス精製設備

燃焼器

石炭

微粉炭機

ホッパ

スラグ

第1水洗塔

煙突

酸素

精留塔

空気分離設備

ガス化炉熱回収ボイラ

第2水洗塔

COS転化器

H2S吸収塔

H2S再生塔

硫黄回収吸収塔

燃焼炉

空気

石膏

排水処理設備

汚泥

処理水排水

石炭前処理・微粉炭搬送

設備

チャー搬送設備

蒸気タービン

COS:硫化カルボニル

H2S :硫化水素

第1段階:酸素吹IGCC実証試験の目標と実績

項 目 目 標 これまでの実績

基本性能(プラント性能)

送電端効率 40.5%(HHV) 送電端効率 40.8%(HHV)

基本性能(環境性能)

SOx:8ppm NOx:5ppm ばいじん:3mg/m3N (O2:16%換算)

SOx:8ppm未満 NOx:5ppm未満 ばいじん:3mg/m3N未満(O2:16%換算)

多炭種適合性 炭種性状適合範囲の把握 4炭種を試験し、良好な適合性を確認 運転を継続しながら炭種切替を行い

安定したプラント状態を確認

設備信頼性 商用機レベルの年利用率70%以上の見通しを得る

こと(5,000時間の長時間耐久試験)

長時間耐久試験 5,119時間 連続運転 2,168時間

プラント制御性・運用性

事業用火力発電所として必要な運転特性,制御性(負荷変化率:1~3%/分 他)

非常停止試験において安全停止を確認 負荷変化率:~16%/分を確認 送電端出力0MWで安定運転を確認 送電端出力制御で良好な運用性を確認 コールド起動時間(GT起動~定格負荷)

7時間程度の見通しを得た

経済性 商用機レベルで発電原価が微粉炭火力と同等以下

になる見通しを得ること 商用機レベルで発電原価が微粉炭火力と

同等になる見通しを確認

目標達成

目標達成

目標達成

12

目標達成

目標達成

目標達成

第1段階:酸素吹IGCC実証試験設備2018年8月13日撮影

中国電力㈱大崎発電所1-1号石炭ガス化設備

ガス精製設備

空気分離設備

複合発電設備

新設排水処理設備

硫黄回収設備

13

第1段階:石炭ガス化設備 14

3.プロジェクト進捗状況

-第2段階 CO2分離・回収型酸素吹IGCC実証試験-

第2段階:実証試験設備構成・仕様

IGCCプラントにCO2分離回収実証設備が付設された場合でも、安定的に高効率発電を維持し、同時にCO2を安定的に分離できる技術を検証する。

CO2分離・回収実証設備概要

実証規模IGCCガスからのCO2回収率15%相当

CO2吸収再生方式

物理吸収方式

COシフト方式Sweetシフト(脱硫後ガス抜き出し)

基本性能CO2回収効率:90%以上、回収CO2純度:99%以上

CO2回収効率〔分離回収装置単体のCO2回収割合〕:(分離回収されたCO2ガスのC量/CO2分離回収装置導入ガスのC量) × 100

シフト触媒パイロット試験設備

COシフト方式 低温Sourシフト(脱硫前ガス抜き出し)

第2段階 実証システム概要図

16

第2段階:実証試験の開発目標

「酸素吹石炭ガス化複合発電(IGCC)」に「CO2分離回収設備」を組み合わせた大型実証設備においてシステム検証を行い、商用スケールでの実用化を目指す。

テーマ 目標

システム基本性能の検証

新設商用機(1,500℃級IGCC)において、CO2を90%回収しつつ、発電効率40%※1 (送電端、HHV※2)程度の見通しを得る。CO2分離回収装置におけるCO2回収効率:90%以上回収CO2純度:99%以上

プラント運用性・信頼性の検証

発電所特有の負荷変動等に追従すべく、CO2分離回収設備の運用手法を確立し、信頼性について検証する。

経済性の検証商用機におけるCO2分離回収の費用原単位について、技術ロードマップに示された費用原単位(回収CO2量当りの分離回収コスト)をベンチマークとして評価する。

※1 発電効率には分離回収プロセスまでを含む(貯留に係る動力は含まない)※2 高位発熱量基準

17

第2段階:CO2分離回収設備 18

建設エリア

4.プロジェクト進捗状況

-第3段階 CO2分離・回収型IGFC実証-

商用規模固体酸化物形燃料電池(SOFC)の最小構成単位の燃料電池モジュールを並べ、CO2分離・回収型IGCC設備のCO2分離後の水素リッチガスを分岐し、SOFCに導入する。また、IGCCから脱硫後の石炭ガス化ガスを分岐し、ガスクリーンアップ技術の実証試験を行う。

第3段階:実証試験計画概要

商用規模固体酸化物形燃料電池(SOFC)の最小構成単位の燃料電池モジュールを並べ、CO2分離・回収型IGCC設備のCO2分離後の水素リッチガスを分岐し、SOFCに導入する。また、IGCCから脱硫後の石炭ガス化ガスを分岐し、ガスクリーンアップ技術の実証試験を行う。

20

第3段階:実証試験の開発目標

第2段階までで建設したCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証設備に燃料電池を組み合わせて石炭ガス化ガスの燃料電池への適用性を確認し、最適なCO2分離・回収型IGFCシステムの実現に向けた試験を行う。

21

目 標CO2分離・回収型IGFC商用機(500MW級)として、CO2回収率90%の条件で、発電効率47%※1 (送電端、HHV※2)程度の見通しを得る。

項 目

①CO2分離・回収型酸素吹IGFC実証研究(a)燃料電池の基本性能検証(b)燃料電池の信頼性検証(c)IGFCシステムの運用性検証(d)CO2分離・回収型IGFC実現に向けての検討

②IGFC向け石炭ガスクリーンナップ試験(a)COリッチガス通ガス試験(b)IGFC向け燃料電池用ガス精製設備の概念設計

※1 発電効率には分離回収プロセスまでを含む(貯留に係る動力は含まない)※2 高位発熱量基準

5.CO2の有効利用

CO2の有効利用に向けた検討 電源開発(株)と中国電力(株)は,大崎クールジェン株式会社を設立し,酸素吹石炭ガス

化燃料電池複合発電(IGFC)技術の確立を目指して,大崎クールジェン(OCG)プロジェクトを実施しています。

OCGプロジェクトにおいて回収されるCO2を液化・輸送し、有効利用するカーボンリサイクルの実証に向けた検討を進めていきます。

カーボンリサイクル実証のイメージ

酸素

ガス化炉

石炭

空気分離設備

CO2

一酸化炭素,水素

蒸気

水素リッチガス

空気圧縮機

ガスタービン

蒸気タービン

発電機

燃料電池

CO2分離・回収

工 程 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度

第2段階(CO2分離回収型IGCC)

第3段階(CO2分離回収型IGFC)

実証試験据付

実証試験設計・製作・据付

(参考)OCGプロジェクト実証スケジュール

CO2液化/貯蔵

有効利用(カーボンリサイクル)

OCGプロジェクト全体像 カーボンリサイクル実証検討概要

輸送

23

■ 資料の無断転載・転用・複製および弊社の許可なしに、研修等の資料やテキストとして使用することはご遠慮ください。