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新型コロナウイルス感染症の臨床像

新型コロナウイルス感染症の臨床像・感染したヒトの飛沫の吸入、汚染環境などから病原体に曝露 無症状 発熱、咽頭痛 高熱、全身倦怠感

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新型コロナウイルス感染症の臨床像

・感染したヒトの飛沫の吸入、汚染環境などから病原体に曝露

無症状

発熱、 咽頭痛

高熱、全身倦怠感

死亡

消化器症状(まれ)

咳、痰、頭痛、悪寒

血痰

呼吸困難

日本での発生状況からわかること

ウイルス性肺炎(胸部XPで両側性浸潤影)

ウイルス性肺炎(胸部CTで陰影)

• 濃厚接触者の健康監視→ 発症後の経過、治療の効果

1月23日 発熱37.5℃、咽頭痛

1月27日 咳嗽、喀痰、頭痛、悪寒

1月30日 胸部レントゲンで浸潤影

33才女性湖南省在住中国人

1回目受診

2回目受診

3回目受診

Lopinavir/Ritonavir開始

室内気でSp2:92%経鼻酸素投与開始

1回目受診

2回目受診

3回目受診

33才女性湖南省在住中国人

1月27日

33才女性湖南省在住中国人

24例目40代男性 25例目50代男性 26例目(検疫官)

1月29日 第1チャーター機

1月30日 第2チャーター機 PCR(-)

1月31日

2月1日

2月2日

2月3日 船内検疫

2月4日 船内検疫

2月5日

2月6日

2月7日 38.3℃

2月8日 39.5℃ 発症

2月9日

日本での発生状況からわかること

• いつ曝露されたかわかる人→ 潜伏期

• 希薄な曝露では潜伏期が伸びて、濃厚であれば短くなる!

潜伏期9日

潜伏期9日

65例目40代男性(厚労職員)

66例目30代男性(内閣府職員)

2月11日 船内・外事務

2月12日 船内事務

2月13日

2月14日

2月15日

2月16日

2月17日

2月18日 発熱 咳、熱、PCR検査

2月19日 鼻水、PCR検査

2月20日 36℃台、PCR(+) PCR(+)

潜伏期4-5日

潜伏期~6日

潜伏期~7日

87才男性 気管支喘息、狭心症治療歴 84才女性 基礎疾患なし

2月5日 発熱

2月6日 下痢

2月7日

2月8日

2月9日

2月10日 発熱

2月11日 呼吸困難 PCR検査→ 入院

2月12日 PCR陽性 発熱 PCR検査→入院、呼吸困難、食欲不振

2月13日 PCR陽性

2月14日 呼吸状態悪化、マスクで酸素投与

2月15日 呼吸状態悪化 人工呼吸管理

2月16日

2月17日

2月18日 肺炎悪化

2月19日 血圧低下、呼吸状態悪化

2月20日 死亡 死亡

日本での発生状況からわかること

発症10日目 発症15日目

武漢市での高い症例致死率はなぜ?

考えられる理由

• 医療制度の問題で、早期に適切な治療をうけることができない

• 感染源となっている軽症者が検知できず、ヒト―ヒト感染が持続

• 患者が医療機関に集中しすぎ、医療崩壊が起きた

• 院内感染が起きて、医療スタッフに感染がおこり、人材不足に陥った

• 入院中の基礎疾患を有するヒトが感染した

• 診察にあたった医師が死亡した、ますます医療スタッフが後ろ向きになった

• ヒト―ヒト感染の他に、持続的な動物(?)―ヒト感染が起こっている

これをわが国へ教訓として生かすべき?

→患者のトリアージ(災害時医療の適用)

→感染制御策の徹底

→ 労務環境の改善

→疫学・環境調査の実施

→検査法の開発

→かかりつけ医による継続した診療で重症化徴候を把握

日本での発生状況からわかること

• 濃厚接触者の健康監視→ 発症後の経過、治療の効果

沖縄県立中部病院 高山義浩先生

PCR検査の活用法• 現行の検査の流れ

– 病状の特徴から新型コロナウイルス感染症の可能性が高い人を選定し、その人にPCR検査を行う。

帰国者・接触者外来を受診する人を選定

帰国者・接触者外来でPCR検査を実施

検査で陽性が判明

帰国者・接触者相談センターに連絡

発生早期

有病率低い

まん延期へ移行期

有病率高い

PCR検査の活用法

感度:90%、特異度:95%のPCR検査を使用した場合

• PCR検査の特徴– 感度(患者での陽性率)、特異度(患者でない人での陰性率)が高い

PCR検査対象者

新型コロナウイルス感染症

感冒など他の疾患 計

検査陽性 9 50 59

検査陰性 1 940 941

計 10 990 1,000

有病率が1%(発生早期)

PCR検査対象者

新型コロナウイルス感染症

感冒など他の疾患 計

検査陽性 270 35 305

検査陰性 30 665 695

計 300 700 1,000

有病率が30%(まん延期への移行期)

陽性的中率= =88.5%270305

陽性的中率= =15.3%959

陰性的中率= =95.7%665695

陰性的中率= =99.9%940941

有病率が低い時期には、検査陽性者での新型コロナウイルス感染症の割合は低い!

医療機関受診の流れ(R2.2.20現在)1.今の段階で心がけていただきたいこと○発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える○発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく

2. (帰国者・接触者)相談センターに電話で相談して、受診するか判断する〇風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く人・解熱剤を飲み続けなければならない方も同様〇強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある人〇重症化しやすい以下の方は、2日程度続く場合は相談・高齢者・糖尿病、心不全、呼吸器疾患の基礎疾患を有する人・透析治療を受けている人・免疫抑制剤、抗がん剤等を用いている人〇妊婦は、重症化しやすい方と同様に早めに相談

3. 相談センターから指示された医療機関を受診する〇診察の結果、必要であればコロナウイルスの検査(行政検査)を実施する

4. 陽性であるとわかったら、感染症指定医療機関へ入院

新型コロナ感染症対策の基本方針(R2.2.25現在)1.目的○患者の増加のスピードを可能な限り抑制し、流行の規模を抑える○重症者の発生を最小限に食い止める〇社会・経済へのインパクトを最小限にとどめる

2. 基本方針の重要事項〇国民・企業・地域などに対する情報提供〇国内での感染症状況の把握(サーベイランス)現行:感染症法による積極的疫学調査、濃厚接触者把握のためPCR検査今後:・入院を要する肺炎の治療に必要な確定診断のためPCR検査

〇感染拡大防止策現行:感染症法による積極的疫学調査、健康観察、外出自粛など今後:・積極的疫学調査などは縮小し、広く外出自粛を求める対応・地域によっては、患者クラスタ―への対応を継続、強化

新型コロナ感染症対策の基本方針(R2.2.25現在)2. 基本方針の重要事項〇医療体制現行:帰国者・接触者相談センターを経て、帰国者・接触者外来でPCR

検査、陽性の場合感染症法に基く入院措置今後:・一般医療機関で診療時間や動線を区分するなどを講じたうえで、新型コロナウイルス患者を受け入れる。・重症患者を受け入れる感染症指定医療機関では、帰国者・接触者外来を段階的に縮小する。・風邪症状が軽度である場合は、自宅での安静・療養を原則とする症状が変化した場合は、相談センター又はかかりつけ医に相談のうえ受診する・風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する人などには電話などによる診療などで処方箋を発行する・医療の役割分担・院内感染対策のさらなる徹底・高齢者施設での拡大防止策と重症化の恐れのある者への円滑な医療提供

新型コロナ感染症対策の基本方針(R2.2.25現在)2. 基本方針の重要事項〇水際対策・入国制限、渡航中止勧告は継続・検疫は国内対応にシフト

〇その他・マスクや消毒薬の供給・消費者や事業者への冷静な対応の呼びかけ・国際的な連携と情報収集・中国からの帰国者に対するいじめ防止などの取り組み・患者や対策に関わった方々への人権に配慮した取り組み・空港、港湾、医療機関などでのトラブル防止のための警戒警備・混乱に乗じたい各種犯罪の抑止、取り締まりの徹底