8
25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。 出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。 例えば、定電圧源を使用している場合、入力抵抗が温度により変化するこ とで、素子を流れる電流が変化してしまうので、結果的に感度に影響を及 ぼします。 最大制御電流(mA) 最大制御電流は室温(= 25℃)におけるホール素子の最大消費電力から 求められる値です。制御電流が大きいほど出力が大きくなるため、ホール 素子はこの最大制御電流が可能な限り大きくなるよう設計されています。 入出力抵抗(Ω) 基本的に小さいほど良いとされます。入力抵抗が小さいほど電圧降下や熱 損失が下がり、出力抵抗が小さいほど終端抵抗は小さくてすみ、その結果 全体のノイズは軽減できます。 磁気感度(mV/mAkG) 制御電流を流しているときのホール素子に与えられた磁場に対して発生す る出力電圧値を示します。例えば感度 0.10mV/mAkG のホールセンサに 150mA の制御電流を流し、3kG の磁場を素子に対して 30°の角度で与え ると 出力電圧は次の式のようになります。 V H = K HOC I C B sinθ = (0.10mV/mAkG) (150mA) (3kG) (sin60°) = 38.97mV もし磁場をホール素子に対して垂直に与えれば、上の式の sin θは 1 にな ります。 ホール素子の出力はV H V H の電位差であり、この値はグランドから みたコモンモード電圧で与えられるので実際には制御電流値と入力抵抗値 の半分の積になります。例えば、150mA の制御電流で入力抵抗を 1.5 Ωと すれば V H とV H の電位差を等しく分けることができます。 +V H = -V H = (0.5) I C R in = (0.5) (150mA) (1.5Ω) ホール電圧はグランドから見た値として計算するため、これを正にする場 合は電位差の半分を加えたものはV H 、引いたものをV H とすることで 求めることができます。 逆にグランドから見て負のホール電圧を設定する場合にはグランドから見 た電位差の半分を引いたものをV H 、加えたものをV H とすることで求 めることができます。 磁場の方向に合わせてこれを決めてください。 +V H -V H = 112.5mV + 19.48mV = 131.98mV = 112.5mV + 19.48mV = 93.02mV 不正列電圧 V M (mv) 不正列電圧の例としてはオフセット電圧がよく知られていると思います。 零磁場のときにホール素子は理想的には零の電位差を出力します。しかし、 ホールプレートを正確に対称に接続することができないことでオフセット が発生します。そこで V M を測定するときは地磁気(〜 0.5G)の影響を避 けるためにホール素子をゼロガウスチェンバーに入れて行ってください。 使用の際は、ポテンショメータやソフトウェアを用いて、この電圧をキャ ンセルしてください。 線形終端抵抗 R LIN (Ω) ホール素子の線形性を最大限引き出すためには、線形終端抵抗が必要です。 しかしながら、線形終端抵抗によって負荷がかかるため、線形性が改善す る分、感度は低下します。 ホール素子の選択にあたってはお客様の使用環境に応じたいくつかの項目やパラメータを選択してください (ホール素子材料、動作温度範囲、磁気感度、温度係数、パッケージ、周波数応答、入出力抵抗など) ホール素子は回転速度計、方位磁石、磁化機、非接触スイッチなどで、位置、傾き、圧力、薄さ、電流、電圧、電力、 周波数、そして磁場測定に使用されています。その他、ブラシレスモータの整流器や、航空機業界における金属の ひび割れの非破壊検査にも使用されています。 線形性(%) このパラメータは直線からの逸脱を、測定値のパーセンテージで表したも のです。理想的な応答は正負双方の磁場に対して直線になります。 反転誤差(%) 反転誤差もわずかではありますが存在します。例えばホール素子が正の 2kG の磁場中で 30mV を出力していたのに負の 2kG の磁場中では 30.3mV を出力するといったものです。この誤差はホール素子の不均一性や接続部 に依存しています。 V M の温度によるドリフト(μV/℃) この値は正か負の傾きをもち補償が困難です。ホール素子に一定電圧を与 えることでドリフト量を減らす方法があります。 K HOC の温度によるドリフト(% /℃) このパラメータは温度による感度の変化を示します。常に負の値を持ち、 プレートの材質で決まります。 InAs と GaAs の場合レンジの0.08%/C か 0.01%/C、InSb は約2%/C になります。このドリフトは正の温度係数 を持つ定電流源を使用することで補償できます。 抵抗値の温度によるドリフト(% /℃) 入力、出力双方の抵抗値は温度によって変化します。入力抵抗のドリフト は定電流源を使用することで最小にできます。 InAs と GaAs の抵抗値ド リフトは0.3%/℃で、 InSb は約2%/℃になります。 温度によって抵抗値が正にドリフトすると、V HOC は負にドリフトします。 なぜなら抵抗値が増加することによって電流が減少し、その結果、出力電 圧が減少してしまうからです。 またデータシートでは定義できませんが、磁気抵抗効果も場合によっては 無視できません。磁気抵抗効果とは、ホール素子が磁場にさらすとその入 出力抵抗が変わってしまう現象です。抵抗値は正負両方向の磁場に対して 増加するため、その関係は放物線で近似できます。 あくまで参考値ですが、抵抗の変化は InAs と GaAs で - 0.5%/kG、InSb で 25%/kG です。他の場合と同様に、磁気抵抗はホール素子の材質と素子の 形状に依存します。 低磁場(< 1G)は、ホール素子の近くにフェライト製コンセントレータ を置き、装置全体をパッキングすることによって測ることができます。特 別なパッキングで低温(269℃)から 175℃までの測定が可能となります。 放射線に曝されると素子の特定は劣化してしまいますが、軽い脱ガスを行 うだけで、宇宙空間で使用することも可能です。ある機種では、23T(1T = 10kG)まで線形性が確認されています。また二軸三軸デバイスなら磁 場のベクトル成分を図ることができます。 Hall Generator See data, if specified IC RL VH Current Source Output Indication 4 3 2 1

ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

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Page 1: ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

25

ホール素子チュートリアル

定格制御電流(mA)定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力抵抗が温度により変化することで、素子を流れる電流が変化してしまうので、結果的に感度に影響を及ぼします。

最大制御電流(mA)最大制御電流は室温(= 25℃)におけるホール素子の最大消費電力から求められる値です。制御電流が大きいほど出力が大きくなるため、ホール素子はこの最大制御電流が可能な限り大きくなるよう設計されています。

入出力抵抗(Ω)基本的に小さいほど良いとされます。入力抵抗が小さいほど電圧降下や熱損失が下がり、出力抵抗が小さいほど終端抵抗は小さくてすみ、その結果全体のノイズは軽減できます。

磁気感度(mV/mAkG)制御電流を流しているときのホール素子に与えられた磁場に対して発生する出力電圧値を示します。例えば感度 0.10mV/mAkG のホールセンサに150mA の制御電流を流し、3kG の磁場を素子に対して 30°の角度で与えると 出力電圧は次の式のようになります。

VH = KHOC IC B sinθ = (0.10mV/mAkG)(150mA) (3kG) (sin60°) = 38.97mV

もし磁場をホール素子に対して垂直に与えれば、上の式の sin θは 1 になります。ホール素子の出力は+ VH と− VH の電位差であり、この値はグランドからみたコモンモード電圧で与えられるので実際には制御電流値と入力抵抗値の半分の積になります。例えば、150mA の制御電流で入力抵抗を 1.5 Ωとすれば VH +と VH −の電位差を等しく分けることができます。

+VH = -VH = (0.5) IC Rin = (0.5) (150mA) (1.5Ω)

ホール電圧はグランドから見た値として計算するため、これを正にする場合は電位差の半分を加えたものは+ VH 、引いたものを− VH とすることで求めることができます。逆にグランドから見て負のホール電圧を設定する場合にはグランドから見た電位差の半分を引いたものを+ VH 、加えたものを− VH とすることで求めることができます。磁場の方向に合わせてこれを決めてください。

+VH

-VH

= 112.5mV + 19.48mV= 131.98mV= 112.5mV + 19.48mV= 93.02mV

不正列電圧 VM (mv)不正列電圧の例としてはオフセット電圧がよく知られていると思います。零磁場のときにホール素子は理想的には零の電位差を出力します。しかし、ホールプレートを正確に対称に接続することができないことでオフセットが発生します。そこで VM を測定するときは地磁気(〜 0.5G)の影響を避けるためにホール素子をゼロガウスチェンバーに入れて行ってください。使用の際は、ポテンショメータやソフトウェアを用いて、この電圧をキャンセルしてください。

線形終端抵抗 RLIN (Ω)ホール素子の線形性を最大限引き出すためには、線形終端抵抗が必要です。しかしながら、線形終端抵抗によって負荷がかかるため、線形性が改善する分、感度は低下します。

ホール素子の選択にあたってはお客様の使用環境に応じたいくつかの項目やパラメータを選択してください

(ホール素子材料、動作温度範囲、磁気感度、温度係数、パッケージ、周波数応答、入出力抵抗など)

ホール素子は回転速度計、方位磁石、磁化機、非接触スイッチなどで、位置、傾き、圧力、薄さ、電流、電圧、電力、

周波数、そして磁場測定に使用されています。その他、ブラシレスモータの整流器や、航空機業界における金属の

ひび割れの非破壊検査にも使用されています。

線形性(%)このパラメータは直線からの逸脱を、測定値のパーセンテージで表したものです。理想的な応答は正負双方の磁場に対して直線になります。

反転誤差(%)反転誤差もわずかではありますが存在します。例えばホール素子が正の2kG の磁場中で 30mV を出力していたのに負の 2kG の磁場中では 30.3mVを出力するといったものです。この誤差はホール素子の不均一性や接続部に依存しています。

VM の温度によるドリフト(μV/℃)この値は正か負の傾きをもち補償が困難です。ホール素子に一定電圧を与えることでドリフト量を減らす方法があります。

KHOC の温度によるドリフト(% /℃)このパラメータは温度による感度の変化を示します。常に負の値を持ち、プレートの材質で決まります。 InAs と GaAs の場合レンジの− 0.08%/C から− 0.01%/C、 InSb は約− 2%/C になります。このドリフトは正の温度係数を持つ定電流源を使用することで補償できます。

抵抗値の温度によるドリフト(% /℃)入力、出力双方の抵抗値は温度によって変化します。入力抵抗のドリフトは定電流源を使用することで最小にできます。 InAs と GaAs の抵抗値ドリフトは+ 0.3%/℃で、 InSb は約− 2%/℃になります。温度によって抵抗値が正にドリフトすると、VHOC は負にドリフトします。なぜなら抵抗値が増加することによって電流が減少し、その結果、出力電圧が減少してしまうからです。

またデータシートでは定義できませんが、磁気抵抗効果も場合によっては無視できません。磁気抵抗効果とは、ホール素子が磁場にさらすとその入出力抵抗が変わってしまう現象です。抵抗値は正負両方向の磁場に対して増加するため、その関係は放物線で近似できます。あくまで参考値ですが、抵抗の変化は InAs と GaAs で - 0.5%/kG、InSb で25%/kG です。他の場合と同様に、磁気抵抗はホール素子の材質と素子の形状に依存します。

低磁場(< 1G)は、ホール素子の近くにフェライト製コンセントレータを置き、装置全体をパッキングすることによって測ることができます。特別なパッキングで低温(− 269℃)から 175℃までの測定が可能となります。放射線に曝されると素子の特定は劣化してしまいますが、軽い脱ガスを行うだけで、宇宙空間で使用することも可能です。ある機種では、23T(1T= 10kG)まで線形性が確認されています。また二軸三軸デバイスなら磁場のベクトル成分を図ることができます。

ホール素子

Hall Generator See data,if specifiedIC

RLVH

CurrentSource Output

Indication

4 3

2

1

Page 2: ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

26※ホールセンサは、非常に壊れやすく、構造上修理することが困難です。取扱いにはご注意下さい。

温度の影響 直線性

ホールプレートの温度(℃) 磁場の強さ(kG)

定格制御電流によるマウントされていないホールプレートの温度上昇は20℃です。

VHOC の変化(%)

直線性誤差

■ 特長● アキシャル、トランスバース、タンジェンシャルの 10 種類● 6 〜 75mV/kG の感度● 数Ωの入出力抵抗

■ 仕様

BH-200 シリーズ

BH-200 BH-201 BH-202 BH-203 BH-204 BH-205 BH-206 BH-209

タイプ汎用、

トランスバース極薄、

トランスバースアキシャル

汎用、アキシャル

極小、アキシャル

極小、トランスバース

高感度、低価格、トランスバース

超極小、トランスバース

アクティブエリアの大きさ(mm) 1.78 x 5.33 0.76 x 1.52 1.02 x 2.29 1.52 x 3.81 0.76 x 1.52 1.02 x 2.29 1.52 x 3.81 0.51 x 1.02

入力抵抗 (最大) 2.5 Ω 3 Ω 7 Ω 2.5 Ω

出力抵抗 (最大) 2 Ω 3 Ω 5 Ω 3 Ω

定格制御電流 Icn 150mA 100mA 125mA 200mA 75mA

最大制御電流 (25℃) 250mA 150mA 250mA 150mA 200mA 250mA 150mA

磁気感度 (無負荷、*)15mV/kG ± 25%

12mV/kG ± 25%

10mV/kG± 25%

11mV/kG ± 25%

10mV/kG± 25%

60mV/kG± 25%

6.75mV/kG ± 25%

最大直線性誤差(読み取りの%) 0 〜1T ±1.0% ±1.5% ±1.0% ±1.5% ±1.0% ± 2.0% ±1.5%

残留電圧 (最大) (B = 0) * ±100 μ V ± 250 μ V ±100 μ V ± 200 μ V ±100 μ V ± 500 μ V ±100 μ V

ホール出力電圧の温度系数(-20 〜 +80℃)  (最大) **

-0.08%/℃ -0.25%/℃ -0.08%/℃

抵抗の温度系数(-20 〜 +80℃)  (最大) **

0.15%/℃ 0.2%/℃ 0.15%/℃

抵抗残留電圧の温度系数(-20 〜 +80℃)  (最大) **

±1μ V/℃ ± 6 μ V/℃ ± 0.5 μ V/℃

動作温度範囲-40℃~+100℃

0℃~+100℃

-40℃~+100℃

保管温度範囲-40℃~+105℃

0℃~+105℃

-40℃~+105℃

リード線

AWG34 AWG36 AWG36 AWG34 AWG36 AWG36 AWG34 AWG36

AWG34 赤(+Ic)、黒(-Ic)、青(+Vh)、黄(-Vh)AWG36 灰(+Ic)、緑(-Ic)、赤(+Vh)、灰(-Vh)

最適負荷抵抗 15 Ω 25 Ω 15 Ω

* 定格制御電流Icn** Ic = 100mA

ホール素子

Page 3: ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

27※ホールセンサは、非常に壊れやすく、構造上修理することが困難です。取扱いにはご注意下さい。

Hall Plate

3.30mmMAX.

Over Leads

MAX.

HALL PLATE

BH-200 汎用 トランスバース

BH-201 極薄 トランスバース

BH-202 小型 アキシャル

BH-203 汎用 アキシャル

BH-204 超小型 アキシャル

BH-205 超小型 トランスバース

BH-206 高感度、低コスト

BH-209 超小型 トランスバース

3.30mm

1.78×5.33mm

12.7mm

9.53mm

6.35mm Max0.48mm MAX.

LEADS: AWG 34, 254mm long

LEADS: AWG 36, 254mm long

1.14mm 0.76×1.52mm

3.43mm

25.4mm MAX.0.25mm MAX.

12.7mm11.11mm

LEADS: AWG 36, 254mm long

LEADS: AWG 34, 254mm long

2.78mm3.30mmMAX.

2.59±0.08mm DIA.

1.27mm2.362mm

1.02×2.29mmHALL PLATE

HALL PLATE

HALL PLATE

HALL PLATE

HALL PLATE

HALL PLATE

LEADS: AWG 34, 254mm long

LEADS: AWG 36, 254mm long

LEADS: AWG 36, 254mm long

LEADS: AWG 36, 254mm long

2.54mm DIA. MAX.

1.80±0.08mm DIA.

1.27mm

0.76×1.52mm 2.36mm

2.78mm

1.40mm

2.03mm MAX.

1.02×2.29mm

0.406mm MAX. 0.56mm MAX. OVER LEADS

9.53mm7.94mm

19.05mm

0.76mmMAX.

1.52×3.81mm1.57mm

5.33mm

0.406mmMAX.

0.51×1.02mm

1.14mmMAX.

0.56mm MAX. OVER LEADS

4.76mm

0.76mm

4.95mm DIA.MAX.

1.524×3.81mm

3.18mm

1.27mm

2.362mm

4.14±0.10mm DIA.

■ 特長● BH-702・エアギャップ :63.5μm(公称値):76.2μm(最大値)・感度 :0.15V/A-kG(最小)  開回路ホール電圧 8.0mV(最小、100 Oe の空間中、Ic = 200mA)  Vh = 3.2mV/A・turn (最小、閉磁気回路中、Ic = 200mA)

● BH-701 型、BH-704 型・直線性 :読み値の± 0.25%(最大) (Vh-B、± 1T) :読み値の± 1.0 %(最大) (Vh-B、± 3T) :読み値の± 0.1 %(最大) (Vh-Ic、± 0 〜 100mA) :読み値の± 1.0 %(最大) (Vh-Ic、± 0 〜 300mA)

※仕様に明記されている以外の許容誤差は± 0.254mm(0.01インチ)です。

BH-700 シリーズ

ホール素子

Page 4: ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

28※仕様に明記されている以外の許容誤差は± 0.254mm(0.01インチ)です。

※ホールセンサは、非常に壊れやすく、構造上修理することが困難です。取扱いにはご注意下さい。

+1% +1%

-1% -1%

±30 kG

磁場の強さ(kG)

出力誤差(%)

注)±30kG レンジでの最適負荷は90-200Ωです。

最適負荷

直線性BH-701 BH-704

±10 kG BH-701 BH-704

-10 -8 -6 -4 -2 0.0 2 4 6 8 10

14 %

+1 4 %

+

14 %

-1 4 %-

磁場の強さ(kG)

出力誤差(%)

注)±10kG レンジでの最適負荷は20-50Ωです。

最適負荷

直線性

Hall plate4.57mm x 2.03mm

190.5mm

5.08mm

6.35mm0.64mm

BH-700 低コスト トランスバース

0.89mm

3.96mm

ceramicsubstrate

0.58mm

0.71mm

+B

4.57mm

5.08

mm

+B

2.54mm

1.91mm

1.27mm

5.08mm

ferriteconcentrator

190.5mm

2.08mm ± 0.08mm

BH-702 フェライト組み込み トランスバース

5.08mm

3.18mm0.5mm0.81mm

6.73mm

254mmHall plate1.52mm x 3.05mm

0.51mm

substrateside

+B

BH-705 汎用 トランスバース

+

1.09mm

5.97mm

4.57mm

15.88mm254mm

active areaapprox. 1.02mm dia.

BH-701 高直線性 トランスバース

6.35mm

Active Area(Approx.) 0.79mm dia.

5.08mm

2.69mm

5.08mm dia.

254mm

+B

BH-704 高直線性 アキシャル

BH-700 BH-701 BH-702 BH-704 BH-705

特長 低コスト、トランスバース、汎用タイプ 優れた直線性、トランスバース 低磁界、トランスバース 優れた直線性、アキシャル トランスバース、汎用タイプ

アクティブエリアの大きさ(mm) 4.57 x 2.03 1.78 dia 1.91 x 1.27 0.79 dia 1.52 x 3.05

入力抵抗  (最大) 5.5 Ω 2 Ω 3.5 Ω 2.5 Ω 2.2 Ω

出力抵抗  (最大) 5.5 Ω 2 Ω 3.5 Ω 2.5 Ω 2 Ω

定格制御電流 Icn 200mA 100mA 200mA 100mA

最大制御電流 (25℃) 250mA 300mA 250mA

磁気感度 (無負荷、*) 50mV/kG(最小) 7.5mV/kG ± 20% ─ 7.5mV/kG ± 20% 10mV/kG ± 25%

最大直線性誤差(読み取りの%) 0 〜1T * ± 3% ─ ─ ─ ±1%

残留電圧 (最大)  (B = 0) ±1500 μ V ± 75 μ V ± 250 μ V ± 75 μ V ± 300 μ V

ホール出力電圧の温度系数(-20 〜 +80℃)  (最大) **

-0.2%/℃ -0.04%/℃ 0.18%/℃ -0.04%/℃ -0.08%/℃

抵抗の温度系数(-20 〜 +80℃)  (最大) **

0.2%/℃ 0.18%/℃ 0.2%/℃

抵抗残留電圧の温度系数(-20 〜 +80℃)  (最大) **

± 6 μ V/℃ (typ) ± 0.3 μ V/℃ (typ) ± 2.5 μ V/℃ (typ) ± 0.5 μ V/℃ (MAX) ±1μ V/℃ (MAX)

動作温度範囲 -40℃~+100℃ -55℃~+100℃ -40℃~+100℃ -65℃~ +100℃

保管温度範囲 -40℃~+105℃ -55℃~+105℃ -40℃~+105℃ -65℃~ +105℃

最適負荷抵抗 10 ~100 Ω 20 ~ 50 Ω(1T), 90 ~ 200 Ω(3T) 20 ~ 50 Ω20 ~ 50 Ω(1T),90 ~ 200 Ω(3T)

リード線 赤(+Ic)、黒(-Ic)、青(+Vh)、黄(-Vh)

* Ic = Icn** Ic = 100mA

■ 仕様

ホール素子

※dia =直径

Page 5: ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

29

228.6mm

11.68mm

6.35mm

187.3mm

Field direction for positive (+B)■ 形状と寸法

※仕様に明記されている以外の許容誤差は± 0.254mm(0.01インチ)です。※ホールセンサは、非常に壊れやすく、構造上修理することが困難です。取扱いにはご注意下さい。

ホールプレート "Z"

ホールプレート "X" ホールプレート "Y"7.24mm dia

4.57mmdia

1.52×3.05mm 1.52×3.05mm

1.52×3.05mm

3.81mm flat

19.05mm

12.7mm

6.62mm

● BH-703 型  3 軸(X・Y・Z)ホール素子

■ BH-703 型の特長BH-703 型は直径約 6.6mm の小さなエポキシカプセルに 3 つのホールプレートが埋め込まれた 3 軸同時計測用ホールセンサです。

BH-703

特長 3 軸(X・Y・Z)

直交精度 <± 2℃

入力抵抗 (最大) 3.5 Ω

出力抵抗 (最大) 3.5 Ω

定格制御電流 Icn 100mA

最大制御電流 (25℃) 300mA

磁気感度 (無負荷、*) 7 ~10mV/kG

最大直線性誤差 (読み取りの%) ±1.0%(±1T)

残留電圧 (最大) (B = 0) ±100 μ V

ホール出力電圧の温度系数 (-20 〜 +80℃) (最大)

-0.04%/℃

抵抗の温度系数 (-20 〜 +80℃) (最大)

+0.15%/℃

抵抗残留電圧の温度系数 (-20 〜 +80℃) (最大)

0.5 μ V/℃

動作温度範囲 -40℃~+100℃

保管温度範囲 -40℃~+120℃

最適負荷 10 ~100 Ω

周波数 DC ~ 400Hz

リード線本数(長さ) 12 本(508mm)

種類 AWG34

■ 仕様

BH-703 型(3 軸タイプ)

40

20

0

-20

-40

-60

321

-1-2

I = 200mA

〔Vmv〕

〔G〕

■ 特長BH-850 型 ホール素子は地磁気に代表される低磁場測定用磁場センサです。

■ ホール出力電圧特性

■ 仕様

BH-850

入力抵抗 (最大) 3.5 Ω

出力抵抗 (最大) 3.5 Ω

磁気感度 (無負荷) 18mV/G

残留電圧 (最大) (B = 0) ±190 μ V

最大制御電流 (25℃) 300mA

定格制御電流 Icn 200mA

ホール出力電圧の温度系数(-20 〜 +80℃) (最大)

-0.18%/℃

抵抗残留電圧の温度系数(-20 〜 +80℃) (最大)

± 2.5 μ V/℃

動作温度範囲 -55℃ ~ +85℃

保管温度範囲 -55℃ ~ +85℃

リード線 赤(+Ic)、黒(-Ic)、青(+Vh)、黄(-Vh)

BH-850 型ホール素子

Page 6: ホール素子チュートリアル...25 ホール素子チュートリアル 定格制御電流(mA) 定格制御電流は通常ホール素子を動作させるときに推奨される値です。出力は制御電流や、入力抵抗の温度依存性によって影響を受けます。例えば、定電圧源を使用している場合、入力

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特長■ 超広帯域測定範囲:0 〜± 15T(± 150kG)■ 使用温度範囲:4K 〜 373K(− 269℃〜 + 100℃)■ InAs ホール素子■ 入力磁界と出力電圧特性の直線性に優れている■ 優れた温度特性■ 信頼性が高く、素子間のバラつきが少ない■ 校正直線図付(0 〜± 3T)

概要ホール効果は 1879 年に E.H.Hall が発見しました。半導体中でキャリアが磁界の作用している場で移動すると、磁界のためにキャリアの運動に影響が出ます。 の電荷を持つキャリアが電界 で加速され、速度 となり、更に に直角方向に磁界 が作用している時、キャリアに働く力 は

  ………(1)

と表せる。静電力のほかに、速度と磁界に直角で、それぞれに比例するローレンツ力が働きます。n 型半導体の場合、電子は電界と反対方向に加速されます。速度を得ると共に、電界と直角方向にかかっている磁界によって、運動と直角方向の力を受けます。このため電子は回転します。ある衝突緩和時間 τ の後に、結晶格子や不純物と衝突して停止します。再び同じ運動を繰り返します。個々の電子の運動は円 の連続だが、その軌跡として電流 は電界に対してある確度 θ の方向に流れます。この現象をホール効果と言い、θ をホール角と言う。一方、磁界のかかっていない時の電子の速度 は、

……(2)と表せます。 は電界で、比例係数μは移動

度です。そして、ホール効果による θ は、 ……(3)と近似的に表せます。また、電界 を電流と平行な成分 と直角な成分 とに分けると、 ……(4)の関係がある。 は磁界の結果生じたもので、磁束密度 に比例し、電流密度 にも比例し、 ……(5)と表せます。比例係数 をホール係数と言う。n 型半導体の RH は近似的に、  ……(6)となります。n は電子の密度、e は電子の電荷。

左図のような素子を考えてみます。素 子の面に垂直な磁束密度 、全電流を I とすると、電流に対して直角方向の端子に表れるホール電圧 は、

……(7)

となります。素子内の電子は磁界によるローレンツ力で片方に寄る。一方が電子過剰、もう一方が電子不足になります。これがホール電界です。

ホール素子(ホール電圧)

制御電流

磁気密度

付属している校正直線図例

BHA-921&BHT-921極低温用磁場センサ

電子移動度(cm2.V − 1.S − 1)

ホール定数(cm3.C − 1) (cm .V- .S- )

μRH12

12

22

比抵抗 ρ(Ω・cm)

InAs 23,000 115 1,600 0.005

InSb 75,000 380 5,300 0.005

Ge 3,500 4,250 3,900 1.2

GaAs 8,000 6,250 7,100 0.78

ホール素子

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極低温下においても、常温下においても、測定中の温度が一定であるならば、その性能は変わりません。

直線性の誤差4.2K において、磁場の強さに対するホール電圧の直線性を検査すると、上図に例示されているように、誤差が生じます。これらの誤差は 2 種に分類されます。

 (1)量子振動 (2)高磁場における直線性の変化

上図に見られるように、誤差曲線は、高磁場で、ゼロ線を中心に振動しています。曲線は、振動が非対称で不規則なために、素子(プローブ)ごとに違っていました。8T、14T と 18T 以下の磁場における最大振動が、ホール電圧出力の百分率で算出されました。最大振動は誤差曲線を使えば簡単に計算できます。その磁界での 1%線の高さと振動の高さを比較すればよいからです。この分析は、量子振動が明らかになる 5T 以上の磁場で行なわれました。表Ⅱは、ホール素子(プローブ)7 個を分析し、最小振動、最大振動と平均値を要約したものです。

(2)の高磁場における直線性の変化は、ETV 社のプローブにのみ観察される現象です。F.W.Bell 社のプローブでは、この非直線性は見られません。

表Ⅱ . 4.2K における量子振動

Maximumpercentquantumoscillation     correctiontolinearfit,aforBlessthan:

 Probe 8T 14T 18TFWBleast (No.883) 0.3 0.5 0.9

FWBgreatest (No.43) 0.5 0.8 1.4

FWBaverage (sevenprobes) 0.34 0.6 1.2b

実験的性能マサチューセッツ工科大学 L.G.Rubin と D.R.Nelson は、論文

“磁界及び極低温のために商用化された 2 種類のホール効果型センサの特性”の中で、F.W.Bell 社の極低温用磁場センサを検証しました。実験装置は下図の通りです。

ホール電圧は、それぞれ 300K、77K と 4.2K で 18 テスラ(180Kガウス)まで磁場の関数として測定され、測定データをコンピュータによって解析した結果、次のような結論を得ている。

1. 直線性は 8 テスラ(80K ガウス)まで± 0.5%以内で、18テスラ(180K ガウス)まで± 1.4%以内でした。

2. 上記 1.の結論は、いかなる温度(300K、77K、4.2K)においても適用されます。ホール素子の出力は、周囲の温度が一定であれば、変化しません。

3. 試験回数を 25 回に限れば、常に 14 テスラ(140K ガウス)まで、± 0.2%の測定精度を維持できます。

B

ソレノイドの中心線

フェノール製 マウントシリンダ

ホール素子

フェノール製 マウントブロック

リード線

液体窒素もしくは液体ヘリウム

1cm

ホール素子

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※仕様に明記されている以外の許容誤差は± 0.254mm(0.01インチ)です。※ホールセンサは、非常に壊れやすく、構造上修理することが困難です。取扱いにはご注意下さい。

15.88mm

(+)

254mm MIN.

5.97mm

4.57mm

セラミックケース

アクティブエリア約1.02mm dia.

1.09mmMAX.

注) (+) は磁場の方向を示す

アクティブエリア

フェノールケース

+B

6.35mmdia.

5.1mmMAX.

約 0.51mm dia.

2.70mm

5.08mm dia.

254mm

■ アキシャルホール素子 BHA-900, 910 & 921 ■ トランスバースホール素子 BHT-900, 910 & 921

BHT-900 BHT-910 BHT-921 BHA-900 BHA-910 BHA921

特長 ワイドレンジ 高直線性 低温用 ワイドレンジ 高直線性 低温用

アクティブエリアの大きさ(mm) 1.02 dia 0.51 dia

入力抵抗 (最大) 1.2 Ω 1.5 Ω

出力抵抗 (最大) 1.2 Ω 1.5 Ω

定格制御電流 Icn 100mA

最大制御電流(25℃) 300mA

磁気感度(無負荷、*) 0.55 ~1.1mV/kG

最大直線性誤差(読み取りの%)-3 〜 3T *

±1.0%± 0.1% (0-3T)± 0.3%(-3T-0)

±1.0% ±1.0% ± 0.25% ±1.0%

最大直線性誤差(読み取りの%)-15 〜15T *

±1.5% ─ ± 2.0% ±1.5% ─ ± 2.0%

残留電圧 (最大) (B = 0)* 75 μ V

ホール出力電圧の温度系数(-20 〜 +80℃) (最大)*

-0.05%/℃ + 0.1%/℃ -0.05%/℃ + 0.1%/℃

抵抗の温度系数(-20 〜 +80℃) (最大)*

0.15%/℃ 0.6%/℃ 0.15%/℃ 0.6%/℃

抵抗残留電圧の温度系数(-20 〜 +80℃) (最大)*

0.1μ V/℃

動作温度範囲 -40℃~+100℃ -269℃~ +100℃ -40℃~+100℃ -269℃~ +100℃

リード線 赤(+Ic)、黒(-Ic)、青(+Vh)、黄(-Vh)

最適負荷抵抗 500 Ω 50 ~ 500 Ω 500 Ω 500 Ω 50 ~ 500 Ω 500 Ω

* Ic = Icn

■ 仕様

BH-900 シリーズ

ホール素子