Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
悪性リンパ腫の分類
悪性リンパ腫
Hodgkinリンパ腫非Hodgkinリンパ腫
細胞系統 増殖スピード 発生部位
低悪性度リンパ腫Indolent lymphoma
節性リンパ腫Nodal lymphoma
中悪性度リンパ腫Aggressive lymphoma
節外性リンパ腫Extranodal lymphoma
高悪性度リンパ腫Highly aggressive lymphoma
T/NK細胞性リンパ腫T/NK cell lymphoma
B細胞性リンパ腫B cell lymphoma
胃リンパ腫脳リンパ腫肺リンパ腫 など
前駆細胞由来
成熟細胞由来
本日の話題
ホジキンリンパ腫
非ホジキンリンパ腫
:B細胞性リンパ腫
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
ろ胞性リンパ腫
:NK細胞・T細胞性リンパ腫
成人T細胞性白血病/リンパ腫
ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫
ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫
頻度 5-10% 90-95%
好発年齢二峰性
(若年層と中高年層)50-60歳代
好発部位 頚部や縦隔リンパ節 好発部位はなく、全身できる
リンパ節以外の病変
まれ しばしば
治療 化学療法、放射線療法 化学療法、放射線療法
ホジキンリンパ腫について
大型のリンパ腫細胞が特徴 (単核:Hodgkin細胞、多核:Reed-Sternberg細胞)
古典的ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優勢型に大きくわけられる。
欧米に比べて、日本での発生率は低く、悪性リンパ腫全体の10%以下。
限局期ホジキンリンパ腫
(治療方針)
病期分類(Ann Arbor分類)
限局期 : StageⅠ または StageⅡ
StageⅠ : リンパ節 または リンパ節以外の病変の1か所。
StageⅡ : 横隔膜の片側にとどまる2つ以上のリンパ節
1つのリンパ節以外の病変と同側のリンパ節の病変
横隔膜
ABVD療法
薬剤名 種類 投与方法 1 … 15
アドリアマイシン 抗がん剤 点滴 ○ ○
ブレオマイシン 抗がん剤 点滴 ○ ○
ビンブラスチン 抗がん剤 点滴 ○ ○
ダカルバジン 抗がん剤 点滴 ○ ○
ホジキンリンパ腫で行われている、最も代表的な治療方法。
2週間毎、計2回投与して、1回の治療とする。
特徴的な副作用は、悪心、嘔吐、ダカルバジンによる点滴投与時の血管痛
頻度は少ないものの、ブレオマイシンは肺障害、アレルギー反応を認める。
化学療法(抗がん剤治療)
出典「イラストでわかる 分子標的治療薬のしくみ」
抗がん剤治療の主な副作用と対策
治療直後に認めるもの
悪心、嘔吐 ⇒ 制吐剤、ステロイド
頻度は少ないが重篤な障害
抗がん剤投与時の点滴漏れ
⇒ アドリアマイシンなどによる血管への炎症
腫瘍崩壊症候群
⇒ 腫瘍の急速な崩壊による腎臓や心臓への障害
抗がん剤治療の主な副作用と対策
治療開始 1~数週間後に認めるもの
便秘、下痢 ⇒ 便秘薬、止痢剤
口内炎 ⇒ 含嗽、外用剤
白血球減少 ⇒ 白血球の増加を促す薬 (G-CSF)
感染症 ⇒ 抗菌薬の投与
手足のしびれ
脱毛
腎臓、肝臓などへの障害
抗がん剤治療の主な副作用と対策
数年後に認めるもの
他の悪性腫瘍にかかりやすくなる
不妊症
心不全
限局期ホジキンリンパ腫の治療方針
治療方法 : ABVD療法 4コース + 局所放射線治療
90%以上の患者さんが長期間にわたり生存が可能
長期間経過してから出現する副作用が問題。
(心不全、2次発癌)
(J Clin Oncol 2004;22;2835-41)
治療に伴う副作用を軽減するための限局期ホジキンリンパ腫に対する新たな試み
予後不良因子(大きな腫瘍がない、リンパ節が1~2か所のみ など)が
一つもない患者さん ⇒ (限局期予後良好群)
ABVD療法 2 コース + 局所放射線照射 (20Gy)
予後不良因子(大きな腫瘍を認めない、リンパ節が1~2か所のみ など)が
一つでもある患者さん ⇒ (限局期予後不良群)
ABVD療法 4コース + 局所放射線照射 (30Gy)
進行期ホジキンリンパ腫
(治療方針)
病期分類(Ann Arbor分類)
進行期 : StageⅢ または StageⅣ
StageⅢ : 横隔膜の両側にわたる複数のリンパ節
リンパ節以外の病変。
StageⅣ : 複数のリンパ節以外への病変(リンパ節の個数は問わない)。
横隔膜
進行期ホジキンリンパ腫の治療方針
これまで、様々な治療方法が検討されてきましたが、治療効果は同程度
ABVD療法が最も副作用が少ないため、標準的な治療方法と考えられています。
( NEJM: 361: 2390-2391. 2009. )
ホジキンリンパ腫に対する治療方針
限局期(Ⅰ、Ⅱ期)
予後良好群
ABVD療法 2 コース + 放射線照射 (20Gy)
予後不良群
ABVD療法 4 コース + 放射線照射 (30Gy)
進行期(Ⅲ、Ⅳ期)、Ⅱ期の一部(巨大腫瘍をもつもの)
ABVD療法 6~8 コース
再発した場合
ABVD療法のような決まった化学療法はない。
65歳以下、再発後の治療経過が良好な場合は、
自家移植を行われている。
( Lancet :359 : 2065-2071. 2002 )
自家移植と同種移植
自家移植の考え方
( 国立がん研究センターがん対策情報センターHPより )
65歳以下、化学療法に対する反応が良好である場合、自家移植を行う。
自家移植のやり方
ホジキンリンパ腫に対する新たな治療薬
(分子標的薬)
新たな化学療法(分子標的薬)
がん細胞分子標的薬
分子標的薬 正常細胞
分子標的薬は、がん細胞の特定の目印に結合することでがん細胞を
直接攻撃したり、免疫細胞から攻撃されやすいようにする。
がん細胞と同じ目印のない正常細胞には、結合できない。
分子標的薬の主な副作用
治療直後より認めるもの
アレルギー反応
発熱、皮膚のかゆみ、のどの異和感、からだのほてり
重症した場合、血圧の低下、呼吸が苦しくなる
分子標的薬のターゲットとなる目印は、一部の正常
細胞にも存在するため、それに伴う思わぬ副作用を
認めることがあります。 (薬剤により様々)
ブレンツキシマブ・ベドチン(アドセトリス®)
ホジキンリンパ腫や未分化大細胞リンパ腫の細胞表面にある、CD30という
たんぱく質に結合する蛋白(抗体薬)と抗がん剤を結合させた分子標的薬。
ブレンツキシマブ・ベドチンの治療効果
海外では、再発、難治性ホジキンリンパ腫の半数の患者さんで、約2年の生存が得られました
(J Clin Oncol : 30 (18): 2183-2189. 2012)
日本でも今年から、保険承認されて使用できる予定です
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の特徴
月単位の進行を認める悪性リンパ腫。
悪性リンパ腫の中で最も頻度の高い病型で約30~40%を占める。
治療効果の予測には、国際予後指標(IPI)が広く用いられている。
リツキシマブ併用CHOP療法が標準的治療として行われている。
国際予後因子分類について
(Blood: 109(5): 1857-1861. 2007)
予後因子 生存率
最良群 0 項目 94 %良好群 1~2 項目 79 %不良群 3~5 項目 55 %
予後因子
1 年齢 60歳以上
2 全身状態不良 (PS ≥ 2)
3 進行期 (Stage Ⅲ、Ⅳ期)
4 リンパ節以外の病変 2個以上
5 血液検査の異常 (LDH高値)
R-CHOP療法
薬剤名 種類 投与方法 1 2 3 4 5 15
アドリアマイシン 抗がん剤 点滴 ○
オンコビン 抗がん剤 点滴 ○
エンドキサン 抗がん剤 点滴 ○
プレドニゾロン ホルモン剤 内服 ○ ○ ○ ○ ○
リツキシマブ 分子標的薬 点滴 ○
現在、B細胞性悪性リンパ腫で行われている最も代表的な治療方法。
原則として、3週間毎に行う。
リツキシマブの投与日は、様々な方法があるが効果には差は認めない。
B細胞性リンパ腫に対する分子標的薬(リツキシマブ)
リツキシマブは、主に成熟Bリンパ球の表面に認められる
CD20に対するマウス、ヒトのタンパク質から合成された分子標的薬
CD20
出典「リツキサンの治療をうける患者さんへより」
リツキシマブの主な副作用
治療直後より認めるもの
アレルギー反応
発熱、皮膚のかゆみ、のどの異和感、からだのほてり
重症した場合、血圧の低下、呼吸が苦しくなる
治療開始数ヶ月後より認めるもの
ウイルス感染
限局期びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
(治療方針)
未治療、限局期DLBCLに対するリツキシマブ併用CHOP療法+放射線治療の効果
(J Clin Oncol: 26: 2258-2263. 2008)
CHOP療法 3 コース + 放射線照射
R-CHOP療法 3 コース + 放射線照射
R-CHOP療法が良好な治療成績
限局期(Ⅰ、Ⅱ期)びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の治療
限局期
R-CHOP療法 3 コース+放射線照射
あるいは
R-CHOP療法 6 コース
治療効果は同程度です。
どちらの治療を選択するかは患者さんの全身状態や
予想される副作用を検討した上で、決定します。
進行期びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫
(治療方針)
進行期びまん性大細胞B細胞性リンパ腫の治療
(N Engl J Med: 346: 235-242. 2002)
リツキシマブ投与群が良好な治療成績であった
進行期(Ⅲ、Ⅳ期)びまん性大細胞B細胞型性リンパ腫の治療
R-CHOP療法 6~8 コース
R-CHOP療法を4、6 コース施行後に、CT検査で行う。
4コース後に消失 (寛解) ⇒ 6回で終了
6コース後に消失 (寛解) ⇒ 8回で終了
縮小しているが、残存 ⇒ 治療継続 (最大8回)
増大、新たな病変 ⇒ 治療の変更
再発した場合
R-CHOP療法のような決まった治療方法ない。
R-CHOP療法とは異なる薬剤を用いた様々な
化学療法が行われているが、治療効果は同程度。
65歳以下、再発後の治療経過が良好な場合は、
自家移植を行われる。
( NEJM :333 :1540-1545. 1995 )
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の課題
(若年、高リスクに対する治療方針)
高リスクびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の予後
高リスク例に対する、R-CHOP療法の効果は不十分
(Blood: 109(5): 1857-1861. 2007)
予後因子 生存率
最良群 0 項目 94 %良好群 1~2 項目 79 %不良群 3~5 項目 55 %
65歳以下の高リスクDLBCLに対する初期治療の自家移植治療の試み
( NEJM: 369: 1681-1690. 2013 )
⇒ 自家移植の有用性は明らかになっていない。
自家移植を施行有無による治療効果は同程度であった
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の課題
脳や脊髄(中枢神経)に再発した場合、
それ以外の再発に比べて治りにくい
CHOP療法 7%、R-CHOP療法 5%の患者で中枢神経再発を認める。
中枢神経再発を起こしやすい原因には様々な報告がなされている。
中枢神経再発を認めやすいDLBCL(CD5陽性DLBCL)
CD5陽性DLBCL:リンパ腫細胞の表面にCD5という蛋白が顔をだしているDLBCLR-CHOPで治療後、約30%近くに中枢神経再発を認める。
治療方法の改善が望まれる、特殊なDLBCLとして、注目されている
CD5陽性DLBCLに対する試験的治療(DA-EPOCH-R 、HD-MTX療法)
薬剤名 投与方法 1 2 3 4 5 6
DA-EPOCH-R療法
アドリアマイシン 点滴 ○ ○ ○ ○
オンコビン 点滴 ○ ○ ○ ○
ベプシド 点滴 ○ ○ ○ ○
エンドキサン 点滴 ○
プレドニゾロン 内服 ○ ○ ○ ○ ○
リツキシマブ 点滴 ○
HD-MTX療法 (中枢神経再発予防を目的としている)
メソトレキセート 点滴 ○
治療の副作用に合わせて、抗がん剤の投与量を調節することが特徴的。
中枢神経再発予防を治療開始早期に行う。
ろ胞性リンパ腫について
年単位での進行を認める低悪性度リンパ腫の中で最も多い病型。
化学療法の効果はあるものの再発が多い。
生存期間中央値は7~10年と長い。
経過中に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫への変化することがある。
診断時に80%以上が進行期。病期、腫瘍量により治療方法が選択される。
ろ胞性リンパ腫の予後因子
( Blood: 104: 1258-1265. 2004 )
予後因子 生存率
良好群 0~1 項目 91 %中間群 2 項目 78 %不良群 3~5 項目 53 %
予後因子
1 年齢 60歳以上
2 貧血 (Hg 12.0 g/dl以下)
3 進行期 (Stage Ⅲ、Ⅳ期)
4 リンパ節病変が 4 個以上
5 血液検査の異常 (LDH高値)
限局期ろ胞性リンパ腫
(治療方針)
限局期ろ胞性リンパ腫に対する放射線治療
High dose (N=181)
Low dose (N=180)
HR=1.13 (95% CI=0.73-1.75)
Years from randomisation
% o
f pa
tient
s w
ithou
t pr
ogre
ssio
n 1.00.90.80.70.60.50.40.30.20.10.0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
(Hoskin P et al. ICML 2011 #25 )
未治療、限局期(StageⅠ)、ろ胞性リンパ腫に対する照射量の検討
低照射量(24Gy) vs 高照射量(40-45Gy)
⇒ いずれの治療も良好な成績のため、少ない照射量での治療が行われている。
限局期ろ胞性リンパ腫に対する経過観察
(J Clin Oncol: 22: 1454-1459. 2004)
対象 : StageⅠまたはⅡ
結果 : 生存期間中央値 10.1 年、形質転換までの中央値 7.8年
⇒ 放射線治療に匹敵する治療効果
限局期(Ⅰ、Ⅱ期の一部)ろ胞性リンパ腫に対する治療方針
局所放射線照射 (24-30Gyが標準)
経過観察
現在は、放射線治療が可能な例では行うことが一般的。
高齢者、放射線治療に伴う重篤な副作用が、予想される
場合では経過観察が選択される。
進行期ろ胞性リンパ腫
(治療方針)
進行期ろ胞性リンパ腫に対する治療
進行が年単位であること
高齢者に発症が多いこと
化学療法後の再発が多いこと
高齢者である場合には、経過観察も治療の選択の一つ。
また、どの時点で治療を開始するべきか、検討されてきた。
進行期ろ胞性リンパ腫の腫瘍量の指標
① 腫瘍の大きさが 7cm以下
② 3cm以上のリンパ節が3ヶ所未満
③ 発熱、体重減少、寝汗を認めない
④ 脾臓が大きくない
⑤ 胸水、腹水を認めない
⑥ 尿管、消化管などの閉塞症状を認めない
⑦ 血液中に悪性リンパ腫細胞を認めない
⑧ 血球減少を認めない
⇒ すべてを満たす場合、低腫瘍量。1つ以上で高腫瘍量。
進行期ろ胞性リンパ腫に対する治療方針
進行期(Ⅱ期の一部~Ⅳ期)
低腫瘍量
経過観察
高腫瘍量
化学療法を行うほうが良い
進行期高腫瘍量ろ胞性リンパ腫に対する治療
未治療、進行期ろ胞性リンパ腫に対するCHOP療法、R-CHOP療法の比較
(Blood: 106: 3725-3732. 2005)
リツキシマブ投与群が良好な治療成績であった
未治療、進行期高腫瘍量ろ胞性リンパ腫に対する治療方法の検討
現時点では、R-CHOP療法の治療効果が高く、副作用も一番少ないと
考えられているものの、最適な化学療法は未確定。
進行期高腫瘍量ろ胞性リンパ腫に対するrituximab併用の最適な治療は?
R-CVP R-CHOP vs R-CVP 5.22 P=0.022 R-CHOP R-FM vs R-CVP 7.03 P=0.008R-FM R-CHOP vs R-FM 0.10 P=0.758
0 6 12 18 24 30 36 ヶ月
(Federico M. et al. ICML 2011 #135)
進行期ろ胞性リンパ腫に対する治療方針
進行期(Ⅱ期の一部~Ⅳ期)
低腫瘍量
経過観察
※ リツキシマブを早期に使用することの有用性は?
高腫瘍量
リツキシマブ併用化学療法 (CHOP、FCM、CVP etc…)
再発した場合
病型の変化(形質転換)が生じていないか、確認する。
⇒ 治療を再開する場合、可能な限り、再び生検を行う。
進行がゆっくりしているので、年齢や全身状態を考慮して、
治療を再開するべきかや、その治療方法を検討する。
主な治療方法
① 化学療法
② 同種移植
③ 放射線免疫療法
再発ろ胞性リンパ腫に対する新たな化学療法(ベンダムスチン)
アルキル化薬、プリン拮抗薬の両方の特徴をあわせもつ抗がん剤。
低悪性度リンパ腫に対して、有効性が確認されている。
R-CHOP療法を上回る治療効果を認め、欧米では初回治療にも使用。
( Lancet: 381: 1203-1210. 2013)
0 12 24 36 48 60 72
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
リツキシマブ、ベンダムスチン併用療法55 months
R-CHOP療法35 months
ベンダムスチンの主な副作用
白血球減少
貧血
悪心、嘔吐
皮膚障害(発疹、皮膚のかゆみ、まれに重症化する)
点滴投与時の血管痛
⇒ R-CHOP療法に認められるような、しびれ、脱毛は
ほとんど認めない。
再発ろ胞性リンパ腫に対する同種移植
同種移植は副作用が強く、自家移植と比べての有効性は示されていない。
同種移植は自家移植と比較して、再発リスクが低く、完治する可能性が
示唆される
同種移植
自家移植
(Blood.2003; 102. 3521-3529)
放射線免疫療法(Radioimmunotherapy)
体外照射 放射線免疫療法
リンパ腫細胞に取り込まれた後に
放射線同位元素90Yからベータ線
が放出され、リンパ腫を攻撃する。
イブリツモマブ
イブリツモマブは、Bリンパ球に認められるCD20に対する抗体薬と
放射線同位元素 90Yを結合させたRI標識分子標的薬
再発した低悪性度リンパ腫、マントル細胞リンパ腫で用いられている。
出典「添付文書より」
治療スケジュール
リンパ腫細胞に薬剤が集まること
重要臓器への取り込みが低いこと
を確認する
出典「添付文書より」
イブリツモマブの治療効果
前治療歴のある低悪性度リンパ腫に対して、再発を抑える効果を認めた。
リツキシマブによる治療歴の有無に関わらず、同等の治療効果が得られた。
出典「添付文書より」
T細胞性リンパ腫について
B細胞性リンパ腫と比べて、
化学療法の効果が不良である事が多い
リツキシマブ併用CHOP療法のような、
有効な治療方法がにない
欧米と比べて、アジア地域に多い。
成人T細胞性白血病/リンパ腫について
(J Clin Oncol : 25: 5458-5464. 2007)
病気の発症には、HTLV-1と呼ばれるウイルスが関与している。
病状の進行が異なる4つのタイプに分類される。
(急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型)
進行が早い、急性型、リンパ腫型で治療が行われるが、
化学療法抵抗性であり、若年例では同種移植が行われている。
CCR4受容体
CCR4は、成人T細胞性白血病/リンパ腫細胞の90%以上の患者で
がん細胞の表面に認めており、予後不良因子と考えられている。
(Clin Cancer Res :9 : 3625-3634. 2003)
CCR4
成人T細胞白血病/リンパ腫に対する分子標的薬(モガムリズマブ)
モガムリズマブは、CCR4受容体
に対する分子標的薬
がん細胞の表面のCCR4受容体
に結合したモガムリズマブに免疫
細胞が結合することでがん細胞を
攻撃。
成人T細胞性白血病/リンパ腫に対する効果
対象患者
CCR4陽性、再発難治性成人T細胞性白血病/リンパ腫
治療方法
モガムリズマブ 1.0mg/kg 1週間毎に最大で治療回数は8回
(J Clin Oncol : 30 (8): 837-842. 2012)
再発した患者さんの50%が約1年間
治療効果が得られた。
モガムリズマブの主な副作用
アレルギー反応
(発熱、悪寒、頻脈、血圧上昇、低酸素血症など)
白血球減少
貧血
肝機能障害
皮膚障害(発疹、皮膚のかゆみ、まれに重症化する)
当科で行っている試験的な治療
疾患名 試験名
びまん性大細胞型
B細胞性リンパ腫
CD5陽性DLBCLに対する化学療法
血管内B細胞性リンパ腫に対する化学療法
ろ胞性リンパ腫 再発ろ胞性リンパ腫に対する同種移植
バーキットリンパ腫 未治療バーキットリンパ腫に対する化学療法
T細胞性リンパ腫再発T細胞性リンパ腫に対する化学療法
再発T細胞性リンパ腫に対する同種移植