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2018/5/14 電話リレーサービス「⼿話フォン」を通じて考える、通信のバリアフリー化|政治・選挙プラットフォーム【政治⼭】 https://seijiyama.jp/article/news/nws20180302-1.html 1/5 電話リレーサービス「⼿話フォン」 記事 調査分析 選挙・政治家検索 テーマ 特集 連載・コラム 教えて政治⼭ ピックアップ広報紙 動画 トップ > 記事 > 電話リレーサービス「⼿話フォン」を通じて考える、通信のバリアフリー化 (2018/3/2 政治⼭ 市ノ澤 充) 電話リレーサービス「⼿話フォン」を通じて考える、通信 のバリアフリー化 国政・地⽅選の候補者向けPRならお気軽にご相談ください! 関連ワード : インタビュー ソーシャルイノベーション 北区 地⽅議会 ⻫藤りえ 東京 障がい ⼿話フォン、⽻⽥空港など3カ所に設置 聴覚障害者が⼿話で通話できる公衆電話が広がり始めています。2017年12⽉3⽇、国際障害 者デーに、⽇本初となる「⼿話フォン」が⽻⽥空港内に設置されたのを⽪切りに、その翌⽇に は筑波技術⼤学内に、2018年2⽉5⽇には明⽯市の複合施設「パピオスあかし」に設置されまし た。 それぞれ⽻⽥空港ビルデング株式会社、国⽴⼤学法⼈筑波技術⼤学、明⽯市(⾃治体)が協 ⼒しており、⽂字通り産学官、マルチセクターでの取り組みが進んでいます。 ※⽇本財団の電話リレーサービスは、聴覚障害者と聴者をセンターにいる通訳オペレータが“⼿話や⽂ 字”と“⾳声”を通訳することにより、電話で即時双⽅向につなぐサービスです。 (⽇本財団電話リレーサービス・モデルプロジェクトHPより) 情報のバリアフリーは⼼のバリアフリー とはいえ、聴覚障害者に対する情報保障は⼗分ではなく、制度⾯でも多くの課題が⼭積して います。例えば地⽅議会。2015年の統⼀地⽅選挙で東京都北区の議会議員選挙に⽴候補し当選 した⻫藤りえさんは、選挙運動や議会活動を通じて多くの不便に直⾯してきたと⾔います。 そこで今回は、情報/コミュニケーションのバリアフリー化を⽬指す⽇本財団ソーシャルイ ノベーション本部公益事業部の⽯井靖乃部⻑と、⼼のバリアフリーを提唱する⻫藤りえ北区議 会議員にお話をうかがいました。

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電話リレーサービス「⼿話フォン」

記事 調査分析 選挙・政治家検索 テーマ

特集 連載・コラム 教えて政治⼭ ピックアップ広報紙 動画

トップ > 記事 > 電話リレーサービス「⼿話フォン」を通じて考える、通信のバリアフリー化

(2018/3/2 政治⼭ 市ノ澤 充)

電話リレーサービス「⼿話フォン」を通じて考える、通信のバリアフリー化

国政・地⽅選の候補者向けPRならお気軽にご相談ください!

関連ワード : インタビュー ソーシャルイノベーション 北区 地⽅議会 ⻫藤りえ 東京 障がい者 

⼿話フォン、⽻⽥空港など3カ所に設置

 聴覚障害者が⼿話で通話できる公衆電話が広がり始めています。2017年12⽉3⽇、国際障害者デーに、⽇本初となる「⼿話フォン」が⽻⽥空港内に設置されたのを⽪切りに、その翌⽇には筑波技術⼤学内に、2018年2⽉5⽇には明⽯市の複合施設「パピオスあかし」に設置されました。

 それぞれ⽻⽥空港ビルデング株式会社、国⽴⼤学法⼈筑波技術⼤学、明⽯市(⾃治体)が協⼒しており、⽂字通り産学官、マルチセクターでの取り組みが進んでいます。

※⽇本財団の電話リレーサービスは、聴覚障害者と聴者をセンターにいる通訳オペレータが“⼿話や⽂字”と“⾳声”を通訳することにより、電話で即時双⽅向につなぐサービスです。

(⽇本財団電話リレーサービス・モデルプロジェクトHPより)

情報のバリアフリーは⼼のバリアフリー

 とはいえ、聴覚障害者に対する情報保障は⼗分ではなく、制度⾯でも多くの課題が⼭積しています。例えば地⽅議会。2015年の統⼀地⽅選挙で東京都北区の議会議員選挙に⽴候補し当選した⻫藤りえさんは、選挙運動や議会活動を通じて多くの不便に直⾯してきたと⾔います。

 そこで今回は、情報/コミュニケーションのバリアフリー化を⽬指す⽇本財団ソーシャルイノベーション本部公益事業部の⽯井靖乃部⻑と、⼼のバリアフリーを提唱する⻫藤りえ北区議会議員にお話をうかがいました。

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⽯井⽒ ⽇本財団は⾊々な⽀援事業を⾏っていますが、ここ数年、聴覚障害者の⽀援には特に⼒を⼊れてきました。その重要性を痛感したのは東⽇本⼤震災で、聴覚障害者に対するケアがなかなか間に合いませんでした。

⾼齢の聴覚障害者の中には、学校などには⾏けず、家族に⽀えられ、⼩さなコミュニティで暮らしてきた⼈も少なくないという現実には驚きましたし、その⼈たちはそれまで福祉的な⽀援を受けておらず、震災によってそのコミュニティを失った障害者には、どのような⽀援が必要なのかさえ分からなかったのです。

そういった体験を通じて、⼿話を使える環境の整備をはじめとした、情報とコミュニケーションのバリアフリー化が必要だとの思いを強くしました。

⽯井⽒ はい。⼿話⾔語法の制定を⽬指して、全⽇本ろうあ連盟と連携して各⾃治体における⼿話⾔語条例の制定を推進しており、2⽉8⽇現在で、15県、100市、12町で成⽴しています。

⽯井⽒ そうですね。政府はもちろん、企業も取り組むべきと考えています。例えば交通インフラ⾯のバリアフリー化は、国⼟交通省や鉄道会社、バス会社などが協⼒して進めてきました。⼿話フォンも総務省とNTTなどの通信事業者が通信などソフト⾯のバリアフリー化として、もっと積極的に取り組むべきです。「公衆電話」といいながら、誰もが使える仕様になっていません。ユニバーサ

⽯井部⻑と⻫藤区議

被災した障害者に対するケアは不⼗分

⼿話⾔語条例と⼿話フォン、政府が後押しを

――ここ数年で、⼿話⾔語条例の制定も進んでいますね。

⼿話⾔語条例マップ

――⼿話の推進や電話リレーサービスの普及は、政府が⽀援すべきとお考えですか?

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「公衆電話」といいながら、誰もが使える仕様になっていません。ユニバ サルデザインに変わっていくべきだと思います。

⻫藤⽒ まず、⼿話フォンの取り組みはぜひ多くの⽅に知っていただきたいと思います。明⽯市の事例も素晴らしいですし、北区でも同様のことができないか、積極的に働きかけていきたいです。聴覚障害者への情報保障は、まだまだ整備が必要です。

私が議員になったばかりの頃は、議場で誰がどのような発⾔をしているのか、まったく分かりませんでした。何に困っているのか、何が「分からない」のか分からない、といった具合で、議会の制度や運営において、聴覚障害者の議員活動が想定されていなかったためです。今では⾳声をテキスト表⽰するタブレットが設置されていて、委員会などの発⾔内容をリアルタイムで⾒ることができます。⾳声認識の精度は70〜80%程度で、微妙な⾔い回しやニュアンスは分からないことが多いので、議論に追いつくのに難しい側⾯もありますが、そんな時は同僚議員がサポートしてくれます。

課題は⼭積みですが、私が議員として活動を続けることで、変わってきた⾯もあります。例えば、私が使⽤しているタブレットは傍聴⼈にも貸し出しができるのですが、議会のたびに聴覚障害の⼈が傍聴に来てくれます。それまでは議会に来ても配布資料以外の情報を得ることができなかった⼈たちが、タブレットを⽤いることで不完全とはいえリアルタイムに議論の内容を知ることができます。

⻫藤⽒ 私と同じ時期に当選した明⽯市議の家根⾕敦⼦市議、ちょうど1年前に埼⽟県⼾⽥市に誕⽣した佐藤太信市議と私とで、3⼈です。

⽯井⽒ 聴覚障害で障害者⼿帳をお持ちの⽅が約36万⼈、うち⼿話の利⽤者は6万⼈ほどと⾔われています。

「分からない」が分からない、を減らしていく

――ソフト⾯のバリアフリーというお話がありましたが、議員として⼼のバリアフリーを提唱してこられた⻫藤さんは、どのようにお考えですか?

聴覚障害者の地⽅議員は、全国で3⼈

――⾝近に当事者がいることで変わっていく、というのは⼤きいですね。聴覚障害をもつ地⽅議員は、何名ほどいらっしゃるのでしょうか?

――全国には3万3千⼈ほどの地⽅議員がいますから、まだ0.01%にも満たないわけですね。ところで聴覚障害者で⼿話を利⽤する⼈はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

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⽯井⽒ 筆談や⼝話など、複数のコミュニケーションを交える⼈が多いです。

明⽯市ではタブレットを試験的に聴覚障害者に貸与していて、福祉サービス等にアクセスしてオンラインで⼿話のサポートを受けることができます。これは⼿話⾔語条例を初めて制定した⿃取県でも実施していて、県が9割補助、利⽤者が1割⾃⼰負担でタブレットを購⼊し、⼿話通訳を派遣する団体に県が業務委託しています。これまでは利⽤者がFAXで依頼して、⾃宅などに来て⼿話通訳をしてもらっていたところが、遠隔でのサポートが可能となり双⽅の負担を⼤きく軽減することができています。

⽯井⽒ ⽻⽥空港には12⽉3⽇に設置して、1⽉20まででいったん集計しました。利⽤者数は50件で、1⽇1件ほどとなっています。筑波技術⼤学は障害者のための⼤学ということもあって聴覚障害の学⽣も多く、⽻⽥空港の倍ほどの利⽤状況となっています。

実際にはスマートフォンなどで電話リレーサービスのアプリをダウンロードすれば、場所を問わずに利⽤することができるため、サービスを知るきっかけとしての役割が⼤きいと感じています。

⻫藤⽒ 私が議員活動を続けることで、周囲の理解が深まり、制度を変えていくことに繋がると思います。例えば、いまの選挙制度は障害者に対するケアが不⼗分です。選挙運動は街頭演説や宣伝カー、電話による投票依頼など情報伝達⼿段が限られていますし、障害者の投票環境も整ってはいません。

誰でも、どこでも情報に触れることができ、投票できるようにしていきたいと考えています。

――⼿話以外ではどのようなコミュニケーション⼿段を⽤いているのでしょうか?

⼿話フォンから認知拡がる電話リレーサービス

――⿃取県も明⽯市も、素晴らしい取り組みですね。設置からふた⽉ほどですが、⽻⽥空港や筑波技術⼤学の⼿話フォンはどれくらい利⽤されているのでしょうか?

(この取材をサポートしてくださった⼿話通訳⼠の⽅によると、電話リレーサービスは多い⽇だと1⽇に500件以上の利⽤があるそうです)

――最後にお⼆⼈から、⼀⾔ずつお願いします。情報/コミュニケーションのバリアフリー化を進めていく上で、重要なことは何だと思いますか?

当事者だからこそ、選挙も議会も変えていきたい

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⽯井⽒ 情報/コミュニケーションのバリアフリー化は障害者だけの問題ではありません。⾃分のことではないと考えるのは誤りで、当事者の⽅とコミュニケーションを取りたいと思う⽅、双⽅の問題なのです。

だからこそ、電話リレーサービスは障害者のための福祉事業として厚⽣労働省が進めるのではなく、すべての⼈が利⽤する通信事業を監督する総務省が取り組むべきなのです。これから、⾳声認識ソフトの制度も上がり、技術⾰新が進んでいくと思います。それでも、テクノロジーは完全ではありません。本当の意味でのバリアフリー化は、⼈の温かみを伝えるものであってほしいと願っています。

⼈の温かみの伝わるコミュニケーションを

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