Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
アクティブインダクタを用いた コモンモードノイズ低減フィルタ
北海道大学 大学院情報科学研究科 准教授 池辺将之
Intelligent LSI systems Lab. 研究背景
プリント基板用コイル
チップインダクタ
高インダクタンスコイルを LSI上に高集積化
スパイラルインダクタ
インダクタンス値の チューナブル化
f
H(f)
ミックスド・シグナルLSI 特性のチューナブル化
・高インダクタ部品は、外付けでサイズが大きい
アナログ回路におけるインダクタ
・オンチップ用途では、インダクタンスとQ値が低い。
⇒アクティブインダクタを用いた、小面積・チューナブルな有用回路の実現 (本提案)増幅機能も有するコモンモードノイズ低減フィルタ
開発目標
・・・トランスコンダクタンスアンプとキャパシタによりインダクタ動作を模擬する回路 アクティブインダクタ回路
Intelligent LSI systems Lab. 新技術の基となる研究成果・技術①
・複数の通信規格・周波数帯に対応する無線
マルチバンド無線
・単一のIC/LSI上で実現する技術(SoC)
マルチバンド無線イメージ
⇒成果例: アクティブインダクタを用いた、広帯域LNAの開発
マルチバンドレシーバー用CMOSフロントエンドの構成例
MIX
VCO
MIX
LPF
PLL
LPF
0°
90°
ADC
ADC
RF-BPF
LNA DSP
本提案・・・
成果例・・・
Intelligent LSI systems Lab.
200 um
400 um
提案回路構成 試作チップ
測定系
PDC=21.4[mW] @VDD=2.5[V]
IIP3=-6.2[dBm] @2.4[GHz]
Chip Area(Core):0.2mm×0.4mm
TSMC 0.18um CMOSプロセスにより試作
新技術の基となる研究成果・技術②
Intelligent LSI systems Lab.
回路シミュレーション
ポストレイアウトシミュレーション
(PAD+電磁界解析)
測定結果
入力反射損失:S11< -10[dB]⇒600[MHz]~4.5[GHz]
利得:S21=10-12[dB] (600[MHz]~4.5[GHz])
3dB帯域幅=5.7[GHz]
Forward Transmission
Measurement
5
Schematic simulation
Post layout simulation(PAD + Electromagnetic analysis)
Measurement
Schematic simulation
Post layout simulation(PAD + Electromagnetic analysis)
Measurement
新技術の基となる研究成果・技術③
Intelligent LSI systems Lab.
Noise Figure Output Reflection Coefficient
出力反射損失:S22< -10[dB] (600[MHz]~4.5[GHz])
雑音指数:NF=2.9-5.39[dB] (600[MHz]~4.5[GHz])
Measurement
6
Schematic simulation
Post layout simulation(PAD + Electromagnetic analysis)
Measurement
Schematic simulation with noise cancelling
Schematic simulation w/o noise cancelling
Measurement
Post layout simulation
(PAD + Electromagnetic analysis)
測定結果
回路シミュレーション(雑音除去有り)
ポストレイアウトシミュレーション
(PAD+電磁界解析)
回路シミュレーション(雑音除去無し)
新技術の基となる研究成果・技術③
Intelligent LSI systems Lab. 技術内容
・・・トランスコンダクタンスアンプとキャパシタによりインダクタ動作を模擬する回路 ジャイレータ回路
21 mmin
in
GG
Cs
I
VZ
21 mm GG
CL
sLZ
等価的にLを実現できる
Or L L
-Gm1
Gm2
C
Vin
Gm2V1
2 1
-Gm1V2
(アクティブインダクタ)
Intelligent LSI systems Lab. コモンモードフィルタ①
回路
差動信号処理
環境(外来)ノイズ=コモンモードノイズ
Vin+
Vin-
コモンモードノイズ除去方法
トランス(絶縁)
コモンモードチョーク
(コモンモードフィルタ)
従来は、受動素子であるコイルを用いて構成。
サイズが大きく外付けとなってしまう。
オンチップインダクタでは、低い周波数に対応不可
Intelligent LSI systems Lab. コモンモードフィルタ②
コモンモードノイズ除去方法
トランス(絶縁)
コモンモードチョーク
(コモンモードフィルタ)
差動伝送を保持したまま同相ノイズを除去できる
アクティブトランスによるコモンモードフィルタを提案
アクティブインダクタ回路によるアクティブトランス
C
-Gm
1
Gm
2
Gm3 Gm3
C
-Gm
1
Gm
2
Intelligent LSI systems Lab. フローティングアクティブインダクタ
フローティングアクティブインダクタ
CGG
CV
V
V
V
mm
NIN
NOUT
PIN
POUT
21
2_
_
_
_
1
1
(Gmアンプに損失が無い場合)
Gm1
Gm2
C
C
VIN_P
Gm1
Gm2
C
C
VOUT_P
21 mm GG
CL
VIN_N VOUT_N
C
C
L
L
VIN_P
VIN_N
VOUT_P
VOUT_N
•等価的にはLCによる2次LPF
•DCレベルに注意し、多段接続することで、
高次フィルタの設計が可能(ラダーフィルタ)
•利得はGm1とGm2のバランスで決まる
Intelligent LSI systems Lab. アクティブトランス
VOUT_P
VOUT_N
C
C
L
L
VIN_P
VIN_N
VOUT_P
VOUT_N
Mn-p
211
3
mmm
mpn
GG
C
G
GM
212
3
mmm
mnp
GG
C
G
GM
Mp-n M
21
2
31mm
m
GG
G
21 mm GG
CL
•差動信号に対して周波数フィルタ
•同相信号に対して位相フィルタ
•コモンモードチョークコイルと等価の働き
Gm1
Gm2
C
C
VIN_P
Gm1
Gm2
C
C
VIN_N
-Gm3
-Gm3 -Gm3
-Gm3
フローティングアクティブトランス
Intelligent LSI systems Lab.
-Gm2
C
C
C1
C1
XP
XN
アクティブトランス動作
-Gm3
-Gm3
-Gm3
-Gm3 Gm1
-Gm2
Gm1
-Gm2
Gm1
-Gm2
Gm1
VIN_P
VIN_N
VOUT_P
VOUT_N
フローティングアクティブトランス
差動信号 同相信号
•位相の違いを利用して同相信号のみを除去
Intelligent LSI systems Lab. 提案する回路
ジャイレータによるラダーフィルタ
VIN_P
VOUT_P
VIN_N VOUT_N
•負荷容量:CL=5pF
•消費電力:14.8mW@VDD=2.5V ⇒DCMFB&DCMFF=0.6mW, CMFB用オペアンプ=3mW, ジャイレータ=11.2mW
CL
CL
CMOSアナログインバータ
6次LCラダーフィルタ
Intelligent LSI systems Lab. 提案フィルタの静特性と動特性
105
106
107
108
109
-250
-200
-150
-100
-50
0
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 [110-6
]-0.03
-0.02
-0.01
0
0.01
0.02
0.03
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 [110-6
]1.21
1.2
1.19
AC解析結果(ゲイン)
同相信号
差動信号
Frequency [Hz]
Gain
[dB
]
Time [s]
INP
UT
Voltage [V
] O
UT
PU
T V
oltage [V
]
過渡解析結果
同相信号のみ除去できることを確認
CMRR=80dB
(差動信号を保持した状態)
Intelligent LSI systems Lab. 提案フィルタの線形性とノイズ
105
106
107
108
109
0
1
[110-6
]
-50 -40 -30 -20 -10 0
-150
-100
-50
0
IIP3=8.8 [dBm]
@Differential Gain=0.3 dB
IFto
ne/IM
D P
ow
er
[dB
m]
Input Power [dBm]
Vnois
e [V
]
Frequency [Hz]
15
Output Vnoise=103 nV/Hz1/2
@100kHz
HBシミュレーション結果 ACノイズ解析結果
Intelligent LSI systems Lab. チップ写真
6次LCラダーフィルタ
700 um
400
um
Intelligent LSI systems Lab.
• 従来技術では、サイズが大きい。
オンチップ化しても、低い信号周波数・電磁放射による信号損失が大きい問題点があった。
– 差動信号増幅器を用いる場合、出力端子は単相となってしまうため、最終段の出力としてのみの適用範囲となる。
• 本技術の適用により、
コモンモードノイズを除去し、ノーマルモードに対しては高周波ノイズ除去を行い、さらには利得と周波数帯域の可変特性機能を持たせることができる。
新技術の特徴・従来技術との比較
Intelligent LSI systems Lab. 想定される用途
• 本技術を無線受信機のフィルタ部に適用することで、受信機全体の雑音耐性を大きく高め、
後段のAD変換器に対する要求性能を緩和できる。
– 同様にセンサ信号のフィルタ部への適用も可能である
• CMOSプロセスにより設計されているため、外付けフィルタを必要とせず、アナログ・ディジタル混載集積に適している。
Intelligent LSI systems Lab. 想定される業界
• アナログ・デジタル集積回路
– 無線通信分野(携帯電話・無線LAN等)
– センサ用途
Intelligent LSI systems Lab. 実用化に向けた課題
• 現在、性能指標については、シミュレーションで
確認している。回路は試作済みである。
今後、試作チップの詳細な動作・検証を行う。
• 実用化に向けて、
実検証・シミュレーション結果を考慮しながら、
製造バラツキ等に強固な設計手法を確立する。
Intelligent LSI systems Lab. 企業への期待
• コモンモードチョークコイルは非常に大きい。
オンチップインダクタでは、
低周波で面積が大きく、かつ信号損失が大きい。
本発明はそれらを解決する。
• 無線通信関連企業、センサ分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
よって、本発明を商用利用して下さる技術移転先を
希望する。
Intelligent LSI systems Lab. 本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :アクティブコモンモードフィルタ
• 出願番号 :特願2011-155167
• 出願人 :北海道大学
• 発明者 :池辺将之、近藤亮
Intelligent LSI systems Lab. 産学連携の経歴
• 2006年-2008年 NEDO若手研究グラントに採択
• 2007年-2008年 JSTシーズ発掘試験に採択
• 2005年-2012年 A社と共同研究実施
Intelligent LSI systems Lab.
北海道大学
国際戦略スタッフ 田中紗奈
国立大学法人 北海道大学 産学連携本部
〒001-0021 札幌市北区北21条西10丁目
TEL : 011-706-9554, 9551(代表) FAX : 011-706-9550
MAIL : [email protected]
URL : http://www.mcip.hokudai.ac.jp
お問い合わせ先