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バスキュラーアクセス管理~透析室にできること~
臨床工学技士 川原田貴士
福岡市透析看護研究会中央ブロック研修会
平成28年7月12日(火)18:00~20:00
福岡赤十字病院アネックス棟2階 椎木記念ホール
「シャント管理困ってませんか、各施設どうしていますか」
VAIVTからVAIVTまでの管理は、患者と多く関わる透析室がカギを握る
バスキュラーアクセス(以下、VA)の寿命は、透析室の取り組みで決まる
VAIVT VAIVT VAIVT
VAエコー
VAエコー
透析室 透析室
VAエコー
VAエコー
VAエコー
【背景】
透析室で何ができるのか?
•理学的所見「診・聴・触」
•穿刺部位の選択(穿刺部位を増やす)
•除水制限(リフィリングの観察)
•患者指導(水分管理)
•適正体重管理(正しいDW)
•加圧式VAマッサージ(PVM)
透析室で何ができるのか?
•理学的所見「診・聴・触」
•穿刺部位の選択(穿刺部位を増やす)
•除水制限(リフィリングの観察)
•患者指導(水分管理)
•適正体重管理(正しいDW)
•加圧式VAマッサージ(PVM)
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
~ポイント~
当院の加圧式VAマッサージは、両手で狭窄部位を挟むようにして行う。
①片方の手は狭窄の中枢でシャントの流れを一時的に遮断。
②もう片方の手で末梢から血管を加圧する。
※これにより狭窄部位の血管を伸展させる方法である。
ここに狭窄がある場合
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
①駆血する(慣れれば不要)
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
②中枢側のシャント血管を圧迫しシャントの流れを遮断する
①駆血する(慣れれば不要)
③4指、3指、2指の順に圧迫し血液を狭窄部に向けて送りこむ(加圧)血管が怒張し狭窄部位が伸展していく
2指
3指
4指
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
②中枢側のシャント血管を圧迫しシャントの流れを遮断する
①駆血する(慣れれば不要)
※穿刺前に30~60秒間施行
③4指、3指、2指の順に圧迫し血液を狭窄部に向けて送りこむ(加圧)血管が怒張し狭窄部位が伸展していく
2指
3指
4指
②中枢側のシャント血管を圧迫しシャントの流れを遮断する
①駆血する(慣れれば不要)
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
週3回、穿刺前に狭窄部位へのPVMを30~60秒施行
狭窄部位(加圧ポイント)
上流から狭窄病変へ血液を送り込む
【加圧式VAマッサージ(PVM)】
【症例報告】 2015年1月から12月における、同一病変の狭窄により頻回PTAとなっている当院維持透析患者2名
症例① 67歳男性 左前腕AVF 透析歴9年
症例② 37歳女性 右前腕AVF 透析歴19年
【症例報告】 2015年1月から12月における、同一病変の狭窄により頻回PTAとなっている当院維持透析患者2名
【結果】 超音波検査データ
1.46
0.63
1.16
1.89
0.570.94
0
1
2
3
4
5
6
7
狭窄径(mm) FV(mL/min) RI PI
加圧式VAマッサージ直前
加圧式VAマッサージ直後
1.57
0.420.57
2.04
0.33 0.41
0
1
2
3
4
5
6
狭窄径(mm) FV(mL/min) RI PI
加圧式VAマッサージ直前
加圧式VAマッサージ直後490
610
420
480
(+29.5%)
(+24.5%)
(+9.5%)(+19.5%)
※(改善率%) ※(改善率%)
(+29.9%)
(+14.3%)
(+21.4%) (+28.1%)
急性効果において改善の傾向がみられた。
症例① 症例②
【結果】 開存期間(Day)
3ヵ月ルールに寄与する結果が得られた。
58.6
111
0
20
40
60
80
100
120
VAマッサージ開始前 VAマッサージ開始後
70
124
0
20
40
60
80
100
120
140
VAマッサージ開始前 VAマッサージ開始後
n=6 n=4
症例① 症例②
【まとめ】加圧式VAマッサージ
#1 血流の改善傾向がみられた。
#2 3ヵ月以上の開存期間を得ることができた。
#3 忙しい時間帯ではあるが約60秒という施行時間のため
業務に支障をきたすことはなかった。
透析室で何ができるのか?
•理学的所見「診・聴・触」
•穿刺部位の選択(穿刺部位を増やす)
•除水制限(リフィリングの観察)
•患者指導(水分管理)
•適正体重管理(正しいDW)
•VAマッサージ(ミルキング)
2015年月別閉塞症例数(当院VA外来)
76 6
2
910 10
13
9
5
89
0
2
4
6
8
10
12
14
・他施設:82例・維持患者:12例
年間閉塞数:94例
2015年福岡県月別平均気温(参考データ:気象庁HP)
7.9 7.611.1
16.2
20.722.6
26 27.4
23.2
18.916
10.3
0
5
10
15
20
25
30
7 6 6
2
9 10 1013
9
58 97.9 7.6
11.1
16.2
20.722.6
26 27.4
23.2
18.916
10.3
0
5
10
15
20
25
30
閉塞症例数 平均気温
2015年月別平均気温と閉塞数
7 6 6
2
9 10 10
13
9
5
8 97.9 7.6
11.1
16.2
20.722.6
2627.4
23.2
18.916
10.3
0
5
10
15
20
25
30
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
閉塞症例数 平均気温
2015年月別平均気温と閉塞数
•平均気温の上昇とともに閉塞数も上昇。
•気温の最も高い8月に閉塞数が最も多い。
•冬場に閉塞数が再上昇。
27.4
13
7 6 6
2
9 10 10
13
9
5
8 97.9 7.6
11.1
16.2
20.722.6
2627.4
23.2
18.916
10.3
0
5
10
15
20
25
30
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
閉塞症例数 平均気温
2015年月別平均気温と閉塞数
•平均気温の上昇とともに閉塞数も上昇。
•気温の最も高い8月に閉塞数が最も多い。
•冬場に閉塞数が再上昇。
VA外来でのヒヤリング
最近、血圧はどれぐらいですか?
汗は結構かきますか?
昨日は外出してましたか?
最近の心胸比は覚えてますか?
普段どれくらい除水してますか?
透析中は問題なく経過してますか?
VA外来での閉塞患者の返答(水分に関して)• 「畑仕事で水分補給はほとんどしませんでした。」
• 「外出して大量に汗をかきました。」
• 「私は、水分をとらないように気を付けています。」
・「サウナで体重落そうと思って・・・。」
• 「飲み会で飲み過ぎて・・・嘔吐しました。」 などなど
夏場の閉塞は血管内脱水による突然閉塞や水分管理に厳格な方に多い。
【まとめ】患者指導(水分管理)※夏場の食欲低下や夏バテにより、DWを下げるのは当然ですが
・季節(気温)に応じた、柔軟な水分補給の指導が必要。
・脱水による体のしくみ、VAとの関わりを理解してもらう。
・自身の発汗量を把握し、適切な水分補給を促す。
VA外来や透析室での適切な指導が閉塞軽減へのカギ
7 6 6
2
9 10 10
13
9
5
8 97.9 7.6
11.1
16.2
20.722.6
2627.4
23.2
18.916
10.3
0
5
10
15
20
25
30
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
閉塞症例数 平均気温
2015年月別平均気温と閉塞数
これからの時期は閉塞に注意!
透析室で何ができるのか?
•理学的所見「診・聴・触」
•穿刺部位の選択(穿刺部位を増やす)
•除水制限(リフィリングの観察)
•患者指導(水分管理)
•適正体重管理(正しいDW)
•加圧式VAマッサージ(PVM)
DWの見極め
•心胸比(胸部レントゲン)•血圧(自宅・透析中)•血液データ(h-ANP、BNPなど)•浮腫(手指・下肢)•吊り(手指・下肢)•血液濃縮(透析後半)•透析後シャント音
DWの見極め
•心胸比(胸部レントゲン)•血圧(自宅・透析中)•血液データ(h-ANP、BNPなど)•浮腫(手指・下肢)•吊り(手指・下肢)•血液濃縮(透析後半)•透析後シャント音
多くの施設が見極め項目
DWの見極め
•心胸比(胸部レントゲン)•血圧(自宅・透析中)•血液データ(h-ANP、BNPなど)•浮腫(手指・下肢)•吊り(手指・下肢)•血液濃縮(透析後半)•透析後シャント音•BCM測定
BCM
ody
omposition
onitor
BCMとは?
<基礎情報の入力>①身長②体重③年齢④性別
BCM(BodyCompostionMonitor:体組成計)
3分の検査
BCM(BodyCompostionMonitor:体組成計)
BCM結果
過剰水分量[L]
理想乾燥体重[kg]
DWと理想の差[kg]
肥満係数[kg/m2]
BCM(BodyCompostionMonitor:体組成計)
70 60 54
13.418
30
0%
20%
40%
60%
80%
100%
新生児(3.5kg) 成人(70kg) 高齢者(65kg)
年齢による体水分の変化
水分 たんぱく 脂肪 無機塩類
脂肪
細胞の中
細胞の外
脂肪以外
筋肉
細胞の中
細胞の外
皮膚・臓器・必須脂質骨・ミネラル
過剰水分
BCM
血圧
心胸比 脂肪
細胞の中
細胞の外
脂肪以外
筋肉
細胞の中
細胞の外
皮膚・臓器・必須脂質骨・ミネラル
過剰水分
ドライウエイト
すべての結果を考慮し、DWを評価していく。
例えば・・・
血圧が高いですね!心胸比は問題ないし、ドライウエイトを下げましょう!
シャント閉塞!!!
BCMの結果、過剰水分はなかった血圧や心胸比だけで判断することは危険かもしれない。
7 6 6
2
9 10 10
13
9
5
8 97.9 7.6
11.1
16.2
20.722.6
2627.4
23.2
18.916
10.3
0
5
10
15
20
25
30
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
閉塞症例数 平均気温
2015年月別平均気温と閉塞数
•冬場に閉塞数が再上昇。
DWが夏(痩せていた時期)のまま。
食欲の秋~正月は美味しいものが増えます!
食欲が増して太ったら、DWは上げましょう。
22例中13例が体液不足
【当院維持透析患者における頻回PTA症例に対するBCM結果】(n=21)
DWとの誤差平均-0.72㎏(T検定)体液不足最大値:4.0㎏不足
体液過剰最大値:0.8㎏過剰
頻回PTA患者には、1.0㎏以上の体液過剰はいなかった
【当院維持患者における頻回PTA症例の開存率比較】 3ヶ月開存率
2015年;74.2%
2014年;39.6%
P=NS
BCMの積極的な活用で開存期間延長の傾向がみられた
#1 BCMによって、体液不足が開存期間短縮の原因と
なることが示唆された。
#2 DWを適正に管理することで、一次開存率の延長
の傾向がみられた。
#3 DWが厳しめに設定されている患者に頻回PTAの
傾向がみられた。
【まとめ】体重管理
透析室でのVA管理は重要な役割を担っている
【総括】