8
日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について 尚範 寛子 鳥越利加子 荒田 次郎 山田 赤木 36種の抗生物質にっきラットにおける皮膚内移行に ついて検討した.皮膚内移行率(血清濃度ピーク時の 血清内濃度に対する皮膚濃度ピーク時の皮膚内濃度の 比)について見ると, 0.4から0.7の群に分類されるの はペニシリン系では経口剤3剤中2剤(ABPC,CVA/ AMPC)であり,注射剤CVA/TIPCである.セフェ ム系では経口剤9剤中5剤(CEX, CED, CXD, CTM・ HE, CXM・AX)が,注射剤8剤中2剤(CPZ,CBPZ) がこの群に含まれる.残りは0.4以下の群である.キノ ロソ系では6剤中5剤(OFLX,CPFX,LFLX, FLRX, SPFX)が0.7以上の群に分類される.アミノ グリコシド系の注射剤では3剤中1剤(AMK)が0.7 以上の群である.カルバペネム系注射剤IPM/CSは 0,4以下の群に分類される.マクロライド系の経口剤は 3剤(EM, RXM, CAM)とも0.7以上の群に含まれ る.リソコマイシソ系の注射剤CLDMは0.7以上の群 に,テトラサイクリン系経口剤MINOは0,4から0.7の 群に分類される.以上をまとめると皮膚内移行率が0.7 以上に分類されるのはキノロソ系(OFLX,CPFX, LFLX, FLRX, SPFX),マクロライド系(EM, RXM, CAM),リソコマイシソ系(CLDM),アミノグリコシ ド系(AMK)である. 抗生物質療法が有効なためには,抗生物質が起炎菌 に対し強い抗菌力を示すことはもちろんのこと投与後 の体内分布すなわち炎症巣への移行が最も重要であ る.抗生物質の種類により臓器親和性は異なり,抗生 物質の蛋白結合率の差によっても体内動態は異なって くる1)ものと思われる.皮膚感染症においても抗生物 岡山大学医学部皮膚科学教室(主任 荒田次郎教 授) *広島市民病院皮膚科 ゛*高知医科大学皮膚科学教室(主任 小玉 肇教授) 平成3年2月21日受付,平成3年4月5日掲載決定 別刷請求先:(〒700)岡山市鹿田町2-5-1 岡山 大学医学部皮膚科学教室 理* 阿部 山本 能子 康生‘’ 下江 池田 敬生 政身** 質投与後皮膚感染病巣に移行し,起炎菌に対して抗菌 力をあらわすのに十分な濃度を示す必要がある. ラットのような小動物はヒトと比較して薬物の消失 は急速である2)が,ラット皮膚内濃度の経時的推移は ある程度,ヒトにおける吸収,代謝,排泄を予測しう ると考えられるため,我々はラットを用い皮膚内濃度 を測定し血清内濃度との比を計算し,皮膚内移行率2) としヒトの皮膚内移行を推定している.このことより 各種抗生物質のラットにおける皮膚内移行率をまとめ て検討することとした. 材料および方法 1.使用動物 ウィスター系雄ラット(体重約200g)を用いた. 2.ラットにおける血清内,皮膚内濃度の測定法 ラットに抗生物質を投与後,経時的にエー,テル麻酔 下に頚動脈を切断採血し屠殺した.採取した血液は遠 心分離し血清を測定まで-70℃で凍結保存する.経口 投与は金属カテーテルを用いて直接胃内に,静脈内投 与は陰茎背静脈より,筋肉内投与は大腿筋に行なう. 屠殺後ただちに背部をまずバリカンで毛を除き,つい でカミソリで完全に剃毛後採皮する.採皮した皮膚は ハサミで皮下脂肪織を除去し,1g秤量後ハサミででき るだけ細切し,4倍量のphosphate buffer を加え,水 冷下にポリト9ソホモジェナイザーでホモジェナイズ する.1時間室温に静置した後,4℃, 10,000rpm, 10 分間遠心分離し,その上清を検体とし,-70℃で凍結保 存する.測定はバイオアッセイ法3)またはHPLC法3) を用いる.皮膚内濃度は材料とした皮膚の単位gあた りに換算する. 3.使用抗生物質とラット数および測定方法 使用抗生物質名(略号)と使用ラット数(T=総使用 匹数,N=各測定時間での使用匹数)を示す. 1)バイオアッセイ法 Amoxicillin4)(AMPC),(T=16匹, N=4匹) Ampicillin4)(ABPC),(T=16匹, N=4匹) Clavulanic acid/amoxiciUin5)(CVA/AMPC), (T=20匹,N=4匹) Clavulanic acid/ticarcmin6)(CVA/TIPC),(T=

ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3)

秋山

神崎

ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

尚範

寛子

鳥越利加子

荒田 次郎

山田

赤木

           要  旨

 36種の抗生物質にっきラットにおける皮膚内移行に

ついて検討した.皮膚内移行率(血清濃度ピーク時の

血清内濃度に対する皮膚濃度ピーク時の皮膚内濃度の

比)について見ると, 0.4から0.7の群に分類されるの

はペニシリン系では経口剤3剤中2剤(ABPC,CVA/

AMPC)であり,注射剤CVA/TIPCである.セフェ

ム系では経口剤9剤中5剤(CEX, CED, CXD, CTM・

HE, CXM・AX)が,注射剤8剤中2剤(CPZ,CBPZ)

がこの群に含まれる.残りは0.4以下の群である.キノ

ロソ系では6剤中5剤(OFLX,CPFX,LFLX,

FLRX, SPFX)が0.7以上の群に分類される.アミノ

グリコシド系の注射剤では3剤中1剤(AMK)が0.7

以上の群である.カルバペネム系注射剤IPM/CSは

0,4以下の群に分類される.マクロライド系の経口剤は

3剤(EM, RXM, CAM)とも0.7以上の群に含まれ

る.リソコマイシソ系の注射剤CLDMは0.7以上の群

に,テトラサイクリン系経口剤MINOは0,4から0.7の

群に分類される.以上をまとめると皮膚内移行率が0.7

以上に分類されるのはキノロソ系(OFLX,CPFX,

LFLX, FLRX, SPFX),マクロライド系(EM, RXM,

CAM),リソコマイシソ系(CLDM),アミノグリコシ

ド系(AMK)である.

           緒  言

 抗生物質療法が有効なためには,抗生物質が起炎菌

に対し強い抗菌力を示すことはもちろんのこと投与後

の体内分布すなわち炎症巣への移行が最も重要であ

る.抗生物質の種類により臓器親和性は異なり,抗生

物質の蛋白結合率の差によっても体内動態は異なって

くる1)ものと思われる.皮膚感染症においても抗生物

  岡山大学医学部皮膚科学教室(主任 荒田次郎教

 授)

 *広島市民病院皮膚科

゛*高知医科大学皮膚科学教室(主任 小玉 肇教授)

平成3年2月21日受付,平成3年4月5日掲載決定

別刷請求先:(〒700)岡山市鹿田町2-5-1 岡山

 大学医学部皮膚科学教室      ‘

理*

阿部

山本

能子

康生‘’

下江

池田

敬生

政身**

質投与後皮膚感染病巣に移行し,起炎菌に対して抗菌

力をあらわすのに十分な濃度を示す必要がある.

 ラットのような小動物はヒトと比較して薬物の消失

は急速である2)が,ラット皮膚内濃度の経時的推移は

ある程度,ヒトにおける吸収,代謝,排泄を予測しう

ると考えられるため,我々はラットを用い皮膚内濃度

を測定し血清内濃度との比を計算し,皮膚内移行率2)

としヒトの皮膚内移行を推定している.このことより

各種抗生物質のラットにおける皮膚内移行率をまとめ

て検討することとした.

         材料および方法

 1.使用動物

 ウィスター系雄ラット(体重約200g)を用いた.

 2.ラットにおける血清内,皮膚内濃度の測定法

 ラットに抗生物質を投与後,経時的にエー,テル麻酔

下に頚動脈を切断採血し屠殺した.採取した血液は遠

心分離し血清を測定まで-70℃で凍結保存する.経口

投与は金属カテーテルを用いて直接胃内に,静脈内投

与は陰茎背静脈より,筋肉内投与は大腿筋に行なう.

屠殺後ただちに背部をまずバリカンで毛を除き,つい

でカミソリで完全に剃毛後採皮する.採皮した皮膚は

ハサミで皮下脂肪織を除去し,1g秤量後ハサミででき

るだけ細切し,4倍量のphosphate buffer を加え,水

冷下にポリト9ソホモジェナイザーでホモジェナイズ

する.1時間室温に静置した後,4℃, 10,000rpm, 10

分間遠心分離し,その上清を検体とし,-70℃で凍結保

存する.測定はバイオアッセイ法3)またはHPLC法3)

を用いる.皮膚内濃度は材料とした皮膚の単位gあた

りに換算する.

 3.使用抗生物質とラット数および測定方法

 使用抗生物質名(略号)と使用ラット数(T=総使用

匹数,N=各測定時間での使用匹数)を示す.

1)バイオアッセイ法

 Amoxicillin4)(AMPC),(T=16匹, N=4匹)

 Ampicillin4)(ABPC),(T=16匹, N=4匹)

 Clavulanic acid/amoxiciUin5)(CVA/AMPC),

(T=20匹,N=4匹)

 Clavulanic acid/ticarcmin6)(CVA/TIPC),(T=

Page 2: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

944 秋山 尚範ほか

16匹, N=4匹)

 Cephalexin7)(CEX),(T=6匹,N= 2匹)

 Cefaclor"' (CCL), (T = 16匹,N=4匹)

 Cefaradine7)(CED),(T=6匹,N=2匹)

 CefadroxiF> (CDX), (T = 16匹, N=4匹)

 Cefroxadinelo)(CχD),(T=12匹,N=4匹)

 Cefotiam hexetil"'(CTM-HE), (T = 12匹, N=4

匹)

 Cefuroxime axetil"'(CXM-AX), (T = 16匹,N=

4匹)

 Cefpodoxime proxeti113)(CPDχ・PR),(T=20匹,

N=5匹)

 Cefteram pivoxiP4)(CFTM・PD,(T=16匹,N=

4匹)

 Ceftezolel5)(CTX),(T=12匹, N= 3匹)

 Cephacetrile16)(CEC),(T=12匹,N=3匹)

 Cefazolin'" (CEZ), (T = 15匹, N= 3匹)

 Cefotiam'" (CTM), (T=15匹, N= 3匹)

 Cefmetazole18)(CMZ),(T=20匹,N=4匹)

 Cefoperazone19)(CPZ),(T=12匹,N=4匹)

 Cefbuperazone2o)(CBPZ),(T=20匹,N=4匹)

 Cefuzonam21)(CZON),(T=15匹,N=3匹)

 Onoxacin22)(OFLX),(T=20匹, N=5匹)

 Ciprofloxacin"' (CPFX), (T = 20匹, N=5匹)

 Lomenoxacin24)(LFLX),(T=20匹,N=5匹)

 Tosunoxacin25)(TFLX),(T=20匹, N=4匹)

 Sparnoxacin26)(SPFX),(T=28匹, N=4匹)

 Amikacin27)(AMK),(T=15匹,N=3匹)

 Astromicin28)(ASTM),(T=24匹,N=4匹)

 Micronomicin"' (MCR), (T = 16匹, N= 4匹)

 ペニシリン系

経口剤

 Imipenem/cilastatiii^'"(IPM/CS), (T=20匹,N=

4匹)

 Erythromycin (EM)……Micrococcus luteus

ATCC9341株を検定菌とする薄層ディスク法, (T = 20

匹, N=4匹)

 Roxithromycin"' (RXM), (T = 20匹, N=5匹)

 Clarithromycin32)(CAM),(T=20匹, N=5匹)

 Clindamycin33)(CLDM),(T=20匹,N= 4匹)

 Minocycline (MINO)……Bacillus subtilis

ATCC6633株を検定菌とする薄層ディスク法,(T=20

匹, N=4匹)

 2)HPLC法

 Fleroxacin34)(FLRX),(T=25匹,N=5匹)

 4.皮膚内移行率

  l由白タ=4皮膚内移付率‾血清内濃度(μg/ml)

          結  果

 1.使用抗生物質の投与量,血清・皮膚濃度ピーク,

皮膚内移行率

 使用抗生物質の投与量(mg/kg),血清濃度ピーク時

の血清内濃度(μg/ml)とその時間(分),皮膚濃度ピー

ク時の皮膚内濃度(μg/g)とその時間(分),皮膚内移

行率を表1~6に示す.表中の血清内濃度,皮膚内濃

度は各時間ごとに測定したラットの血清内濃度,皮膚

内濃度値の平均値を用いた.皮慮内移行率は血清濃度

ピーク時の血清内濃度に対する皮膚濃度ピーク時の皮

膚内濃度の比および皮膚濃度ピーク時の血清内濃度に

対する皮膚濃度ピーク時の皮膚内濃度の比に分けて示

す.表1にペニシリン系の経口剤・注射剤,表2にセ

フェム系の経口剤,表3にセフェム系の注射剤,表4

表 1

    。- _ 皮膚内濃度(μg/g)皮膚内移汀率‾血清内濃度(μg/ml)

 薬剤名(測定薬剤)投与量

(mg/kg)

血清濃度ピーク 皮膚濃度ピーク 皮膚内移行.率

 濃度

(μg/ml)

時間

(分)

 濃度

(μg/g)

時間

(分)

皮膚濃度ピーク時 皮膚濃度ピーク時

血清濃度ピーク時 同時の血清

AMPC 50 3.1 60 1.1 60 0.35 0.35

ABPC 50 1.2 60 0.5 60 0.42 0.42

CVA/AMPC (AMPC) 45 6.28 60 3.16 60 0.50 0.50

注射剤

Page 3: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

 セフェム系

経口剤

抗生物質の皮膚内移行

    表 2

    。 _ 皮膚内濃度(μg/g)皮膚内移付率‾血清内濃度(μg/ml)

 薬剤名(測定薬剤)投与量

(mg/kg)

血清濃度ピーク 皮膚濃度ピーク 皮膚内移行率

 濃度

(μg/ml)

時間

(分)

 濃度

(μg/g)

時間

(分)

皮膚濃度ピーク時 皮膚濃度ピーク時

血清濃度ピーク時 同時の血清

CEX 50 10.8 60 5.1 60 0.47 0.47

CCL 50 27.6 30 8.38 60 0.30 0.42

CED 50 11.2 60 6.15 60 0.55 0.55

CDX 50 17.6 120 5.73 120 0.33 0.33

CXD 50 21.0 120 9.26 60 0.44 0.45

CTM-HE (CTM) 20 1.84 30 1.09 30 0.59 0.59

CXM-AX (CXM) 20 5.3 30 2.88 30 0.54 ・ 0.54

CPDX-PR (CPDX) 20 4.26 60 0.83 60 0.19 0.19

CFTM・PI(CFTM)50 7.53 120 0.99 60 0.13 0.18

 セフェム系

注射剤

表 3

    。- _ 皮膚内濃度(μg/g)皮膚内移打率‾血清内濃度(μg/ml)

薬剤名  投与量(mg/kg)

血清濃度ピーク 皮膚濃度ピーク 皮膚内移行率

 濃度

(μg/ml)

時間

(分)

 濃度

(μg/g)

時間

(分)

皮膚濃度ピーク時 皮膚濃度ピーク時

血清濃度ピーク時 同時の血清

CTZ 20 61.0 30 9.6 30・ 0.16 0.16

CEC 20 15.6 30 5.0 30 0.32 0.32

CEZ 20 21.0 15 7.4 15 0.35 0.35

CTM 20 21.7 15 7.6 15 0.35 0.35

CMZ 20 40.3 15 12.5 15 0.31 0.31

CPZ 20 9.8 15 4.6 15 0.47 0.47

CBPZ 20 20.6 30 11.4 30 0.55 0.55

CZON 20 43.7 15 10.0 15 0.23 0.23

にキノロソ系の経口剤,表5にアミノグリコシド系の

注射剤,カルバペネム系の注射剤,表6にマクロライ

ド系の経口剤,リソコマイシソ系の注射剤,テトラサ

イクリン系の経口剤について示す.以後の皮膚内移行

率は,血清濃度ピーク時の血清内濃度に対する皮膚濃

度ピーク時の皮膚内濃度の比を用いる.皮膚内移行率

を0.4以下の群, 0.4から0.7の群, 0.7以上の群に分類

すると0.4から0.7の群に分類されるのはペニシリン系

では経口剤3剤中2剤であり,注射剤CVA/TIPCで

ある.セフェム系では経口剤9剤中5剤が,注射剤で

945

は8剤中2剤が0.4から0.7の群に含まれる.キノロソ

系では6剤中5剤が0.7以上の群に分類される.アミノ

グリコシド系の注射剤は3剤中1剤が0.7以上の群に,

1剤が0.4から0.7の群に,残り1剤が0.4以下の群であ

る.カルバペネム系の注射剤IPM/CSは0.4以下の群

に含まれる.マクロライド系の経口剤は3剤とも0.7以

上に,リンコマイシソ系の注射剤CLDMは0.7以上

に,テトラサイクリン系経口剤MINOは0.4から0.7の

群に分類される.

Page 4: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

946

 キノロソ系

経口剤

秋山 尚範ほか

  表 4

    。、。_ 皮膚内濃度(μk/r)皮膚内移汀率‾血清内濃度(μg/ml)

薬剤名投与量

(mg/kg)

血清濃度ピーク 皮膚濃度ピーク 皮膚内移行率

 濃度

(μg/ml)

時間

(分)

 濃度

(μg/g)

時間

(分)

皮膚濃度ピーク時 皮膚濃度ピーク時

血清濃度ピーク時 同時の血清

OFLX 20 3.39 30 2.61 30 0.77 0.77

CPFX 30 0.84 30 0.82 30 0.98 0.98

LFLX 20 8.84 60 6.82 60 0.77 0.77

TFLX 100 3.15 120 1.43 120 0.45 0.45

FLRX 20 4.52 120 4.20 120 0.93 0.93

SPFX 20 2.32 60 2.85 360 1.23 2.19

 アミノグリコシド系

注射剤

表 5

    。- _ 皮膚内濃度(μg/g)皮膚内移汀率‾血清内濃度(μg/ml)

 薬剤名(測定薬剤)  投与量(mg/kg)

血清濃度ピーク 皮膚濃度ピーク 皮膚内移行率

 濃度

(μg/ml)

時間

(分)

 濃度

(μg/g)

時間

(分)

皮膚濃度ピーク時 皮膚濃度ピーク時

血清濃度ピーク時 同時の血清

AMK 6.6 3.68 60 3.0 30 0.82 0.94

ASTM 20 4.19 15 2.27 30 0.46 0.67

MCR 10 22.6 30 6.6 30 0.29 0.29

 カルバペネム系

注射剤

 マクロライド系

経口剤

表 6

    ,一 _ 皮膚内濃度(μg/g)皮膚内移fT率‾血清内濃度(μg/ml)

薬剤名  投与量(mg/kg)

血清濃度ピーク 皮膚濃度ピーク 皮膚内移行率

 濃度

(μg/ml)

時間

(分)

 濃度

(μg/s)

.時間

 (分)

皮膚濃度ピーク時 皮膚濃度ピーク時

血清濃度ピーク時 同時の血清

EM 20 0.20 60 0.51 60 2.6 2,6

RXM 20 1.36 30 2.05 60 1.5 2.3

CAM 50 1.6 120 7.2 120 4,5 4.5

 リソコマイシソ系

注射剤

 テトラサイクリン系

経口剤

Page 5: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

一子

0 0.1

抗生物質の皮膚内移行

表7 皮膚濃度ピーク時間と皮や回列皿離ド贈〕

0.2 0.3 0、4 0.5 0.6 0.7 0.8 0、9 1、02.0 3.0 4.0

経口剤22剤注射剤14剤

5.0

 2.皮膚濃度ピーク時間と皮膚内移行率

 各使用抗生物質の皮膚濃度ピーク時間(分)を縦軸

に,皮膚内移行率(血清濃度ピーク時の血清内濃度に

対する皮膚濃度ピーク時の皮膚濃度の比)を横軸にし

た表(表7)を経口剤22剤と注射剤14剤について示す.

皮膚内移行率が0.7以上の群には,キノロソ系(OFLX,

CPFX, LFLX, FLRX, SPFX),マクロライド系(EM,

RXM, CAM),リソコマイシソ系(CLDM),アミノ

グリコシド系(AMK)が見られる.

          考  按

 最少発育阻止濃度(Minimal inhibitory concentra・

tion・MIC)が優れた抗菌剤であっても‥巴者に投与さ

れた後の体内動態が劣るならば臨床的には十分な効果

は期待できない.抗菌剤は投与後感染組織に速やかに

移行し,病原菌に対して殺菌的あるいは静菌的に作用

するだけの濃度に達しかつこの濃度が一定期間持続す

ることが必要である.

 皮膚感染症に対して抗生物質療法を行う際には皮膚

に十分量の抗生物質が移行する必要がある.薬物の組

織分布を決定している要因は,血液と組織の境となっ

ている膜の薬物透過性と血液および組織の構成成分

(血球,タソパク質,脂質など)と薬物の結合あるいは

分布である35)薬物は生体膜を受動的に拡散して透過

していると考えられている36)すなわち生体膜の両側

に濃度勾配があるとき,濃度の高い方から低い方へ自

皮膚内移行串

(皿顛

947

然に拡散して透過していると考えられている.した

がって薬物の脂溶性が膜通過に大きく影響することに

なる.薬物の脂溶性が高いほど生体膜を通過しやすく

吸収は速い36)とされている.ニューキノロy剤のうち

TFLXのみ皮膚内移行率は0.45と低い.我々もラット

にTFLX lOOmg/kg を内服させ2時間後に血清・皮膚

内濃度を再検したが皮膚内移行率は0.35 (皮膚内濃度

2.3μg/g)と低かった.さらにTFLX内服後のラット

皮膚をphosphate bufferで抽出した残りの皮膚残澄

にアセトソ,メタノール,蒸留水を加えポモジェナイ

スし,4℃, lO.OOOrpm, 10分間遠心分離し,その上清

を採取し,p-タリーエバポレーターでアセトソ,メ

タノール,蒸留水を蒸発させた後, phosphate buffer を

加えその濃度をE. coli kp 株を用いたバイオアッセイ

法(disc法)にて測定した. Phosphate buffer 抽出皮

膚濃度(N=4)2.3μg/gに対しアセトソ抽出物を加え

た皮膚濃度(N=4)2.64μg/g.メタノール抽出物を加

えた皮膚濃度2.57μg/g.蒸留水抽出物を加えた皮膚濃

度(N = 4)2.43μg/gでありアセトソ,メタノールを加

えての再抽出を行うも皮膚濃度の有意の上昇は認めら

れなかった(データは示さず).松本37)は薬剤の脂溶性

についてニューキノロンの体内動態の内で薬剤の脂溶

性・水溶性をあらわす分配係数が大きくなるすなわち

脂溶性が高くなるとニューキノロソ剤の代謝率が高く

なり代謝的に不安定になる傾向があると述べている.

Page 6: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

948 秋山 尚範ほか

ニューキノロソ剤の分配係数はTFLX,0FLXは0.1

から0.5に入り, CPFXは0.01から0.05に入りTFLX

の脂溶性はOFLX,CPFXに比し低くない37)我々の

今回の実験結果とあわせて脂溶性のみではTFLXの

皮膚内移行率の低さについての説明はできない.

 抗菌剤の血清蛋白との結合については,薬剤の病巣

への移行,体内分布などに多くの影響をおよぼすこと

が推察されている38)一般的に蛋白結合率の高いもの

ほど組織分布しにくく,排泄がおくれるとされてい

る38)山本ら39)によるとラットを用いた抗生物質の皮

膚薬動力学の検討の中で,抗生物質の皮膚内移行と蛋

白結合率の関連は,皮膚内移行率0.7以上の良好な群で

も血清および皮膚蛋白結合率に著明な差が見られ,皮

膚内動態の解明には蛋白結合率という一因子のみでは

十分でなく化学構造式,溶解性などの薬剤の性状,投

与経路,代謝・排泄などの宿主側の因子を含め総合的

に考える必要があるとしている.

 ヒトと動物の間あるいは異なった動物間において薬

物の代謝速度や代謝経路がしばしば異なることが報告

されている36)種差は,薬物の生体内代謝の差が大きな

要因とされている36)われわれはラットを用い皮膚を

ホモジェナイズする方法で皮膚内濃度を測定してい

る.前述したごとくラットのような小動物はヒトと比

較して薬物の消失は急速である2)が,われわれはラッ

トの成績よりヒトの皮膚内移行を推定している.しか

し,薬物によってはラットで高率に不活化されること

が知られている.マクロライド系のJosamycin''"'は

ラット肝により, Rokitamycin'"'はラット血中ester-

aSeにより高率に不活化されると報告されている.以

上のラットの検討は正常ラットの結果であるが,実際

の臨床では病巣皮膚は炎症を起こしている.山本ら2)

は,ゴールデンハムスターを用いた黄色ブドウ球菌の

実験的膿痴疹においてOFLX投与後の皮膚内濃度の

検討で炎症部皮膚への移行が正常皮膚への移行より優

れていると報告している.

 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行率(R)は

例外を除き最高の移行率は1.0前後にあるため,その間

を便宜上3つに分けて論じた.すなわちR≦0.4,0.4<

R<0.7, 0.7≦Rに分類して示した.皮膚内移行率が

0.4から0.7の群に分類されるのはペニシリン系では経

口剤3剤中2剤(ABPC,CVA/AMPC)であり,注射

剤CVA/TIPCである.セフェム系では経口剤9剤中

5剤(CEX,CED,CXD,CTM・HE, CXM・AX)が,

注射剤8剤中2剤(CPZ,CBPZ)がこの群に含まれる.

残'りが0.4以下の群である.すなわちペニシリン系,セ

フェム系21剤中10剤が0.4から0.7の群に,残りn剤が

0.4以下の群に分類される.キノロソ系では6剤中5剤

(OFLX,CPFX,LFLX,FLRX,SPFX)が0.7以上

の群に,残り1剤(TFLX)が0.4から0.7の群に含ま

れる.特にSPFXは1.23と良好である.アミノダリコ

シド系の注射剤では3剤中1剤(AMK)が0.7以上の

群に,1剤(ASTM)が0.4から0.7の群に,残り1剤

(MCR)が0.4以下の群である.カルバペネム系の注射

剤IPM/CSは0.4以下の群に分類される.マクロライ

ド系の経口剤では3剤(EM, RXM, CAM)とも0.7

以上の群に含まれEM 2.6, RXM 1.5, CAM 4.5と

非常に良好な皮膚内移行率を示している.リソコマイ

シソ系注射剤CLDMは0.79と0.7以上の群に,テトラ

サイクリン系経口剤MINOは0.56と0.4から0.7の群

に分類される.以上をまとめると皮膚内移行率が0.7以

上の群に分類されるのはキノロソ系(OFLX,CPFX,

LFLX, FLRX, SPFX),マクロライド系(EM, RXM,

CAM),リンコマイシソ系(CLDM),アミノグリコシ

ド系(AMK)である.このうち1.0以上を示すものに

は, SPFX, RXM, EM, CAMが見られる.

 注射剤は経口剤より皮膚濃度でピークに達する時間

が早いのがわかる(表7).しかしその後の消失も注射

剤が早い.皮膚濃度でピークに達する時間が120分以上

と遅い薬剤としてセフェム系経口剤CDX,キノロン系

TFLX, FLRX, SPFX,マクロライド系経口剤CAM,

テトラサイクリン系経口剤MINOが見られる.このう

ちSPFXは360分, MINOは240分と特に長いのが目

立つ.

 抗生物質の皮膚内濃度を測定する場合,ヒトを対象

とする際には,検体採取時に経時的採取は困難であり,

その結果にもバラツキが多いのが現状である.ラット

での検討は,経時的検討が比較的容易であり,ラット

での皮膚内移行率よりヒトの皮膚内移行率を推定する

ことが可能であり,しかも系統的に検討できる点に利

点があると考える.

 抗生剤の皮膚内動態の解明には,脂溶性など溶解性,

蛋白結合率などの薬剤の特性,薬剤の代謝,排泄など

多くの因子の解明が必要であり今後の検討課題と考え

る.

 本論文の要旨は第38回日本化学療法学会西部支部総会

(平成2年12月n日,岐阜市)にて発表した.

Page 7: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

抗生物質の皮膚内移行

                         文

1)清水喜八郎:化学療法剤の吸収・排泄,体内分布,

  代謝,上田 泰,清水喜八郎編:化学療法ハンド

  ブック,永井書店,大阪市, 1986, 57-63.

2)山本康生,荒田次郎:組織内濃度測定の実際(6).

  皮膚,化学療法の領域,4 : 306-310, 1988.

3)喜多八洲男,棚山薫晴:動物における化学療法剤

  の体液および組織内濃度測定法,化学療法の領域,

  3 : 1708-1713, 1987.

4)荒田次郎,谷奥喜平:皮膚科領域のAmoxycillin,

  Chemotherapy,21:1808-1811, 1973.

5)洲崎正雄,池田政身,柏 尚裕,野原 望:皮膚科

  領域におけるRBL 25000 (Clavulanic acid・

  Amoxicillin)の基礎と臨床,  Chemotherapy,

  30(S-2):587-593, 1982.

6)池田政身,山本康生,玉木宏幸,荒田次郎:皮膚科

  領域におけるBRL 28500 (Clavulanic acid・

  Ticarcillin)の基礎的検討,  Chemotherapy,

  34(S-4):1101-1103, 1986.

7)荒田次郎,谷奥喜平:皮膚科領域におけるCe-

  pharadine, Chemotherapy,23 : 472-475, 1975.

8)山本康生,秋山尚範,柏 尚裕,洲脇正雄,荒田次

  郎,野原 望:皮膚科領域におけるCefaclor,

  Chemotherapy,27(S-7):727-731, 1979レ

9)山本康生,秋山尚範,柏 尚裕,洲脇正雄,荒田次

  郎,野原 望:皮膚科領域におけるCefadroxil,

  Chemotherapy,28(S・2):454-457, 1980.

10)山本康生,秋山尚範,柏 尚裕,他:皮膚科領域に

  おけるCefroxadine, Chemotheapy,28(S-3):

  521-525, 1980.

11)池田政身,山本康生,玉木宏幸,荒田次郎:皮膚科

  領域におけるCefotiam hexetil, Ckemotkerat/y,

  35(S・6):764-768, 1988.

12)池田政身,荒田次郎:皮膚科領域におけるCefur-

  oxime axetil (CχM-Aχ)の基礎的,臨床的検討,

  Chemotherapy,34(S-2):1327-1030, 1986.

13)赤木 理,小原淳伸,神崎寛子,原本美千恵,金本

  昭紀子,野原 望:皮膚科領域におけるCS-807の

  基礎的・臨床的検討, Chemotherapy,36(S・1):

  1098-1100, 1988.

14)山本康生,玉木宏幸,池田政身,他:皮膚科領域に

  おけるCefteram pivoxil の検討, Chemotheraty,

  36 : 814-819, 1988.

15)荒田次郎,谷奥喜平:皮膚科領域に対するCeft・

  ezoleの検討,Chemotherapy,24 : 1183-1185,

  1976.

16)荒田次郎,谷奥喜平:皮膚科領域におけるCe・

  phacetrileの基礎的検討,  Chemoiherahy,24:

  370-371, 1976.

17)荒田次郎,山本康生,洲脇正雄,野原 望:ラット

  におけるCefotiam (SCE・963)の血清内濃度,皮

949

   膚内濃度の検討,  Chemotheratoy,27(S-3):

   118-120, 1979.

 18)洲脇正雄,柏 尚裕,野原 望:皮膚科領域におけ

   るCefmetazoleの基礎的検討,Jpn J Antibiotics,

   35-8 : 1957-1960, 1982.

 19)山本原生,秋山尚範,柏 尚裕,洲脇正雄,荒田次

   郎,野原 望:皮膚科領域におけるCefoperazone

   (T-1551), Chemotherapy,28(S-6):849-852,

   1980.

 20)洲脇正雄,柏 尚裕,野原 望:皮膚科領域におけ

   るT・1982の基礎と臨床,  Chemotherapy,30(S・

   3):956-960, 1982.

 21)池田政身,山本康生,荒田次郎:皮膚科領域におけ

   るL・105の基礎的,臨床的検討, Chemotherapy,

   34 (S・3):704-706, 1986.

 22)山本康生,池田政身,荒田次郎:皮膚科領域におけ

   るDL-8280の基礎的,臨床的検討, Ckemoiherahy,

   32(S-1):997-1000, 1984.

 23)梅村茂夫,野原 望:皮膚科領域におけるBAY。

   9867 (Ciprofloxacin)の基礎的・臨床的検討,

   C&m耐加raftv, 33(S-7):960-965, 1985.

 24)山本康生,玉木宏幸,池田政身,荒田次郎:皮膚科

   領域におけるNY・198の基礎的・臨床的検討,

   Chemotheraby,(S-2):1266-1269, 1988.

 25)池田政身,荒田次郎:皮膚科領域におけるT・3262

   の基礎的,臨床的検討, Chemotherapy, %(S・9):

   1335-1340, 1988.

 26)秋山尚範,鳥越利加子,山田 琢,他:皮膚科領域

   におけるSparfloxacinの基礎的検討。第38回日

   本化学療法学会西部支部総会,岐阜市, 1990.

 27)荒田次郎,谷奥喜平:Amikacin (BB・K8)の皮膚

   科学的検討(短報),}pn] AボtbtoKcs:,28(3):

   401-402, 1974.

 28)洲脇正雄,池田政身,柏 尚裕,野原 望:皮膚科

   領域におけるFortimicinの基礎と臨床, Jpn J

   y1がibiotics, 36 : 1374-1378, 1982.

 29)荒田次郎,山本康生,洲脇正雄,野原 望:皮膚科

   領域におけるkw・1062の基礎的検討, Chemother-

   apy, 25 : 2277-2278, 1977.

 30)山本康生,池田政身,荒田次郎:皮膚科領域におけ

   るImipenem/Cilastatin sodium (MK・0787/MK-

   0791)の基礎的・臨床的検討,  Chemotheraby,

   33(S-4):1103-1105, 1985.

 31)小原淳伸,赤木 理,神崎寛子,金本昭紀子,野原

   望,梅村茂夫:皮膚科領域におけるRU28965の基

   礎的,臨床的検討,C加。otherapy, 36(S-4):

   560-567, 1988.

 32)小原淳伸,赤木 理,神崎寛子,金本昭紀子,野原

   望,梅村茂夫:皮膚科領域におけるTE-031の基

   礎的・臨床的検討, Chemotherapy, 36(S・3):

Page 8: ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行についてdrmtl.org/data/101090943.pdf日皮会誌:101 (9), 943-950, 1991 (平3) 秋山 神崎 ラットにおける各種抗生物質の皮膚内移行について

950 秋山 尚範ほか

  971-977, 1988.

33)荒田次郎,山本康生,洲脇正雄,野原 望:皮膚科

  領域におけるClindamycin-2-phosphate, Jpn J

  Antibiotics, 30(1):114-116, 1977.

34)秋山尚範,山田 琢,下江敬生,神崎寛子,荒田次

  郎:皮膚科領域におけるFleroxacinの基礎的・臨

  床的検討,  Chemotheratiy, 38CS-2):622-627,

  1990.

35)花田 学,藤田 浩,粟津荘司:ファーマキネクス

  とは,花田 学,藤田 浩,粟津荘司編:薬の体

  内動態,講談社サイェソティフィク,東京, 1984,

  1-9.

36)有吉敏彦:薬物代謝のあらす肌有吉敏彦編:薬

  物代謝,廣川書店,東京, 1987, 3-31.

37)松本文夫:ニューキノロソ剤の体内動態, Kolhen

  Medika, 11 : 16-23, 1990.

38)清水喜八郎:抗菌剤の血清蛋白結合,医学のあゆ

  み, 111 : 1079-1083, 1979.

39)山本康生,玉木宏幸,荒田次郎:抗生物質の皮膚薬

  動力学,日皮会誌,96 : 1456-1458, 1986.

40)真下啓明,加藤康道,斉藤 玲,他:Josamycinの

  基礎的臨床的研究,C加。10 therapy, 17 : 604-609,

  1969.

41)酒井敦史,鈴本忠清,遠藤里子,渡辺真由美,森下

  真彦:動物におけるTMS-19-Qの吸収・分布・代

  謝および排泄に関する研究, Chemotheraby,32 ;

  93-98, 1984.

     Skin Penetration of Antimicrobial Agents in Rats

Hisanori Akiyama, Rikako Torigoe, Taku Yamada, Yoshiko Abe, Keisei Simoe,

         Hiroko Kanzaki, Tiro Arata, Osamu Akagi*,

         Yasuo Yamamoto**andMasami lkeda**

     Department of Dermatology, Okayama University Medical School

       *Department of Dermatology, Hiroshima City Hospital

       **Department of Dermatology, K6chi Medical School

     (Received February 21,1991; accepted forpublication April 5,1991)

  Skin penetration of various antimicrobial agents was studied in rats. Skin concentration/serum concentration

ratios were classified into three groups, i.e.group l with ratio ≧0.7, group II with the ratio 0.7―0.4 and group Ill

with the ratio ≦0.4. The drugs of group l were OFLX, CPFX, LFLX, FLRX, SPFX, AMK, EM, RχM, CAM, CLDM.

The drugs of group II were ABPC, CVA/AMPC, CVA/TIPC, CEX, CED, CXD, CTM-HE, CXM・AX, CPZ, CBPZ,

TFLX, ASTM, MINO. The drugs of group ⅢwereAMPCCCL.CDχ,CPDχ・PR, CFTM・PI, CTZ, CEC, CEZ, CTM,

CMZ, CZON, MCR, IPM/CS. Factors which may influence the skin penetration were discussed, but no definite

conclusion has not been obtained。

  apnj Dermatol 101: 943~950,1991)

Key words: skin penetration in rats, antimcrobial agents