Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17 1
オプトジェネティクスを切り開く高分解能多波長光照射装置
豊橋技術科学大学 大学院工学研究科環境・生命工学専攻助教 広瀬 侑
2
新技術の概要
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
・多検体の試料に対し、異なる波長の単色光を、同時に、ほぼ
同じエネルギーで照射することができる装置
・主にオプトジェネティクス分野での利用が想定される
3
想定される用途
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
3
●オプトジェネティクス(光遺伝学)※分野や光生物学分野
※光によって活性化されるタンパク分子を遺伝学的手法を用いて特定の細胞に発現させ、その機能を光で操作する技術。光(opto)と遺伝学(genetics)を組み合わせたことから光遺伝学と呼ばれる。
細胞の応答
生体物質の量
特定の遺伝子発現
・・・
○ ◎ ○
○ ◎ ○
○ ◎ ○
照射単色光
定量項目
細胞の活動を光照射によって制御するために、様々な光受容タンパク質や光感受性分子などを導入した細胞が開発されている。これらのオプトジェネティクス技術の有効性を評価するためには、幅広い波長の単色光を細胞に照射し、光応答反応や生体物質量の増減などを定量する必要がある。この手法は、細胞の光応答の解析といった光生物学分野の基礎研究にも用いられる。
短波長 ← → 長波長
Williams et al PNAS 2013 110 (41) 16287
4
想定される用途
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
4
①オプトジェネティクス研究用機器:導入したオプトジェネティクス技術の有効性を詳細に評価できる。光受容タンパク質の探索とそれを利用したオプトジェネティクス技術の開発に貢献。
②光生物学研究用機器:光波長に依存した細胞の生理メカニズムを解明することで新たな有用技術を開発。昆虫の光誘引性の解明による効果的な防虫剤の開発。植物の甘みや香
り成分の光依存性の解明による高付加価値な農作物の開発、など
③光源の安全性評価装置:哺乳類等の培養細胞に対して光照射を行い、細胞の遺伝子発現や生存率を調べることで、照明製品の安全性を評価。
①オプトジェネティクス
オプトジェネティクス技術を導入した神経
細胞
優れた光応答を示す技術を評価・選抜
②光生物学 ③光源の安全性
昆虫の光誘導
植物の甘みや香り
の制御 光の生体影響の評価
5
従来技術とその問題点
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
350 400 450 500 550 600 650 700 750 800 850
光
強
度
波長 (nm )
5
○操作が簡便○価格が安い✖波長分解能が低い(約50nm)
●LED (発光ダイオード)光源
波長50nm間隔 試料10点 波長10nm間隔 試料50点
大型スペクトログラフ(基礎生物学研究所・愛知県岡崎市)
全長約10m 四方
○高い分解能が得られる✖大量の試料が必要で、温度制御も不能✖試料の回収に時間がかかり、試料間の照射光量子量に差が生じる✖基礎生物学研究所に試料を運搬する必要
●大型スペクトログラフ光源
トレードオフ
6
新技術の特徴・従来技術との比較
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
6
【試作装置の外観】
光源および分光部
光ファイバー96本
温度およびガス調節チャンバー
◎研究室単位で設置可能なサイズへの装置小型化に成功◎温度およびガス濃度調節機能を持ち、幅広い種類の細胞に対応
(横幅200cm 奥行80cm 高さ 70cm)
260 265 270 nm・・・
・・・ 755 760 nm
【光照射部】
7
新技術の特徴・従来技術との比較
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
05
101520253035404550
250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 750
光強
度μE
波長 (nm)
フィルタ補正前
フィルタ補正後
◎高い波長分解能(5nm)と、均一な光照射強度(10μEm-2s-1)を両立
【照射光スペクトルの分布】
【光照射強度の分布】
8
新技術の特徴・従来技術との比較
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
8
次世代シークエンサーによる解析
各ウェル0.1ml試料
シアノバクテリア細胞
96ウェルプレート
◎多波長照射装置によって高精度な遺伝子発現パターンの取得を実証◎96ウェルプレートの使用によって試料量の大幅な削減(大型スペクトログラフの約1/1000)と、回収手順の効率化による試料の光照射時間の統一を実現
照射光波長
全遺伝子(
約八千個)の発現レベル
高
低
光照射
波長5nm間隔 試料96点
9
新技術の特徴・従来技術との比較
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
装置波長分解
能同時照射光色数
装置価格
作業性光強度温度制
御
LED光源 50 nm 5-10数十万
円○ ◎
単色分光照射装置
10 nm 1 200万円 ○ ◎
大型スペクトログラフ 5 nm 最大50程度 数億円 × △
本発明 5 nm 96 800万円 ◎ ◎
本発明は、既存の装置の優れた部分を併せ持つ
10
実用化に向けた課題
• 装置は既に完成し、販売できるレベル。
• 温度とガス濃度の調節ユニットの仕様を検討
• 未公開の実験データを論文として発表し、装置
の有用性を示していく。
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
11
企業への期待
• オプトジェネティクスは、これからの発展が大きく期待される分野であり、先を取ることがとても重要
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17
出典:シード・プランニング社「2017年版 遺伝子治療薬の将来展望」(2017年2月28日発刊)
日本・米国・欧州3地域の遺伝子治療薬市場規模予測(単位:億円) 2017 年以降にCAR-T 療法製品をはじめとした新薬の活発な上市が予想され、2020 年の市場規模は738 億円に急拡大すると見込まれる。その後2025 年にかけては、癌や単一遺伝子疾患、眼疾患、神経疾患、虚血肢およびうっ血性心不全等の慢性疾患、HIV 感染症に対する遺伝子治療薬が普及して、市場規模は2025 年に1 兆円の大台を超える見通し。
2030 年の市場規模は5.6 兆円に達すると予想される。
本発明は上記市場を支える基盤技術
12
お問合せ先:研究推進アドミニストレーションセンターPhone: 0532 - 44 - 6975 FAX: 0532 - 44 - 6980E-mail: [email protected]
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :多波長光照射装置
• 出願番号 :PCT/JP2018/014454(出願日:2018年4月4日)
• 出願人 :豊橋技術科学大学
• 発明者 :広瀬 侑
豊橋技術科学大学 新技術説明会 2019.1.17