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Kobe University Repository : Kernel
タイトルTit le
依頼なき法動員 : 『株主オンブズマン』と株主代表訴訟(LegalMobilizat ion without Clients : The Shareholders' Ombudsman andDerivat ive Suits)
著者Author(s) 大塚, 浩
掲載誌・巻号・ページCitat ion 神戸法學雜誌 / Kobe law journal,47(4):705-762
刊行日Issue date 1998-03
資源タイプResource Type Departmental Bullet in Paper / 紀要論文
版区分Resource Version publisher
権利Rights
DOI
JaLCDOI 10.24546/81004890
URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81004890
PDF issue: 2020-11-12
同戸除障時陣
「閃凶同年三月
第帥尼崎悌四時
「棒主オンプズマン』と緯主代表苦手臥」ー
依頼者なき法動員
||『株主オンプズマン』と株主代表訴訟l|
はじめに
依糧援者なき法動貝
第一章研究の意義と理詰枠組
一「依頼者なき法動員」を研究する意義
二法動員理論の現状と本義の分析枠組
ーマッキヤンの法動員研究
2
法遥画研究への資源動員アプローチの導入
第二番早『株主オンプズマン」運動の展開と法
『株主オンプズマン』運動の経線
日住金株主総会までの活動
1
市
2
日住金訴訟
高島屋訴訟
3
大
塚
浩
市
4
住商訴訟
代表訴臥駄の戦略的位置づけ
『株主オンプズマン」運動の駿衡と法の機能
5 1
『株主オンプズマン』の貌自性
2
活動の戦略性多彩さ
『株主オンプズマン』運動の組織と環境
第三一章
n凋
運動組織の形成
Z志
組織構造
『株主オンプズマン』運動における組織と環境の関係
機学
1
協カ組織との関係
対抗組織どの関係
法
2
戸
メディアとの関係
3
神
弁緩士ネットワークと「依頼者なき虫動旦の意義
四鱒
論
はじめに
弁腰士の活動に測して‘公益的活動の意義を強衡する立場が存在する一方で、それが持つ、弁護士による-般市
民支配の側面を強調して懐疑的に評価する立場が有力となりつつある。本舗は、後者の立場からもっとも否定的に
評価されるであろう一類型の公益的活動である「依頼者なき法動員」に閲して、具体的事例仁凋する経験的研究の結
『株主オンプズマン』と株主代濠訴訟ー
果を提苦し、それに基いて、公益的弁護士活動の建設的意義を主張しようとするものである。
具体的事例として、本犠では、一九九一二年商法改正による株主代表訴訟の提訴容易化しという法変動が係介安教と
なって現れた社会運動極微である『株主オンプズマン』を調套対象止する白『株孟オンプズマン』という社会選動
組織がこの法の動員を通して実質的に依頼者のいない、法律専門職主導の法運動として公害訴訟、憲法評詮等、
他の類型の法運面と一線を画しつつ展開しているユニークな活面と運動組織の構造、運動組織をめぐる環境への
対応を、基本的には社会運動研究における資源動員アプローチの視点から記述する。法の「動員」というのは、す
なわちこの資源動員論の鎗想から、ある法を、それ自体社会運動の資源として動員することを意味する。
そして、これまで囚O年以上ほとんど利用されることのなかった、いわば眠っていた商法の規定の覚困層によって
新たな法動員の湖流が生じ得た原因としてそしてまたその継続を背後から支えている要因として、法のを動に
即座に対応して法動員に結びつけうるような、法専門職の迫害を形成するネットワークを重梶すべきであるし乙いう
ことを明らかにする。そして、弁護土業務のあるべき姿からは湾臨しているかに早一えるこの「依頼者なき法動旦
が、新たな法ザlピスの類型を創出し、これまで表出される経路を持たなかった一般株主の潜在的需要を活性化さ
せる役割を担う可能性をもつことをも示す。
本輸の構成としては、まず、弁拳士論の文一脈から弁護士主導で実質討に依願者不在のこの法運轟を対象として
選択する意義を明らかにしこの分野の最近の研究をレヴユする。そして、理齢的には資源動貝アプロチに依
拠しつつまずは詳細に『株主オンプズマン』の活動を配述する。そして、このような弁護土主導の法運動仁おい
て、運動組織の構造ゃ、他の運動組織マスメディア立孟の動向どの逮聞にいかなる独自の特級が現れているの
かを検討し、この法運動の発生と継続の基盤となる人的資源としての弁護士と、彼らの形成する連帯の重要牲を断明
らかにする。そして最後に、既に述ぺたようにこの弁護士主尋の法運動の潜在的依頼者層にとっての積極的意義に
依積者なき法創員m
咽
ついて考察する。
第
章
研究の意鎗と理酋枠組
「依頼者なき溢動員」を研究する意義
「依頼者なき法動里である『株主オンプズマン』の括動を研究対象として選択した理由を本摘の問題関心との
関連において明らかにしておこう一。
E羽
弁護士のいわゆる「公益的活動」は、人々がその生活領域において直面するであろう一多種多様な問題に応じて、
驚〈ぺき広きにわたって行われている。戦後のいわゆる「現代型訴訟」をそれぞれの訴訟に携わった弁護士たち自
身が回想した文献では社会的に耳目を集めた四十四件の有名な訴訟が扱われている前、ぞれすらもおそらく一部に
すぎないのであり、ぞれら著名な訴訟の背後にはマスメディアに注目されることもなく特われている、目々の無
数の活動があうっ。現代の弁護士の公益的活動は単-の職種が手がける業務としては、まさに百花様乱の様相を
呈していると言っても過吾ではないように恩われる。この公益的活動の一環として提起される訴訟に多く見られる
特徴は、後でも触れるように弁護士会内での孤立をさけるという意闘で意識的に事務所横断的に弁援団が形成さ
れ、数名から数十名の弁護士が緩やかなネ一ッドワークを形成しているという点である。このネットワークはイシュ
ーごとにアドホックに組織されるものであり、そこに参加するメンバーはある程度重複している。こういった綜訟
では、仮に最終的に損害陪償や和解金から弁護士報酬を受け取ることができたとしても、何年にもわたる成果の見
込みも不確かな活動の結果であり、また、参加する弁護士の数も多いので、通常λム益活動からコストペキフイァト
の良い収入を見込めない。
誌雄学法戸神
このよう一な公益活動の組織化のあり方を法サiピス市場の枠内でとらえればそれはまさに一般の依頼者から得
『株主オンプズマン"棟主代表隊窓ヶー
られる超過利潤を原資L
とするものであり、法ザ1ピス市場に市場の原理が貫徹されればこのような活動を可能とす
一三
る経済的基盤"が失われるという説明も確かに可能である。ただしここでは、弁護士の公益的活動を可能にしている
要因として、市場の論理に還元され得ないような要因に注目し、市場的説明では見落とされてしまうよう会説明を
提示することを試みたい。
具体的には、資源動員論の視点から法遁動発生の促進要因としての機能を弁護土の連帯の中に見いだせるか杏か
を検討しようというのが本績のねらいである。そこでまず、資麺動員論がいかなるアプローチなのかを概観して一お
こう。資源動員論は、-九六0年代の公民権運動や女性解放運動をはじめとする社会運動の興隆を受けてこれら
の社会運動に、それまで主流的位置仁あった相対的剥奪諭やマルクス主義運動輪Eは異なった新たな説明をと?える
ためにアメリカ牡会学の中から登場した理論枠組である。資詩碑動員論はアメリカのプラグマテイ
γクな価値観と実
証主義的な方法論を背景とする、記述的で「価値申立」的なアプローチである。その特徴は、
1社会的な不平や不
満等の心理的要闘を運動発生の独立変教とはしない、
2社会運動を日常の政治活動との連続貌上にとらえコスト
左報酬に基づく合理的選択モデルを基本とする、
3分析の基本単位を社会運動組織1運動体とし、集合行動歯のよ
うに個人とはしない
4動貝の際には逮帯関係の事在が効果的で既存集団のネットワク等の既存のインフラの
盆要性を強制する、
5運動の発生よりも展開過程を量視する、
6運動の発展には受益者ではない「良心的支持者」
(ー
が重要な寄与をする、という点である。
このよう一な視点から出発するじ際して依頼者の主張、要求を弁護士が法的言語に銅釈するといっ通常のスタイ
ルの法動員を事例研究の対象として選択するのが-つの方法だが、ここでは、法専門職自身が主導するタイプの法
動員の典型的事例として有限会社『株主オンプズマン』の活動を選択した。それは、一つには、これか'h
一検討して
いくように、この『株主オンプズマン』の活動にはそもそも実質的には依頼者が存在せず、弁醸士自身に参加への
依頼者なき法動員間
叫
強いインセンテイヴがなければ成り立たない逆に曹三えば、この活動に強〈シンパシーを持つ弁護士のみが関与す
るであろう事例で&るからであ旬、より重松仁、いわゆる公益弁護士層にアクセスすることができるであろうと考
えたからである。また、近時の法曹人口増大に関する議論とも絡んで、現在法律専門職の将来像について識語が橋
発になされているが、そこで有力に主張されている依頼者志向的な立取に対し、この弁護士主専の法の動貝は一見
相容れないかに早えるという点があり。エリート主導の法動員といっー主である意味で批判の矢面に立つような位置
にある府も興味深いと恩われる。なぜなら、そのような立場からすれば、依額者のいない活動は弁綾士のみによる
自己満足的な情動として容毘すべからざるものとなるはずだからである。
四誌
の運動がこの法動員の漕在的依頼者層となるザ般株主の観点語らいかなる意義
をもち得るのかの考察が重要な課題となる。このように弁護士摘における重要な酋点に、「依頼者なき法動員」
を行う『株主オンプズマン』が襟く関わ句を持ち得ることが、この法運動を選択する重要な意義である。
そこで、
『株主オンプズマン』
緯学法戸
法動員理備の現状と本稿の分析枠組
本節では、社会運動における法の動員に関して、これまでなされてきた研究がどのようなものであったのかを、
この分野で最も新しく、かっ注目すべき研究としてマyキヤン富
EZ玄巳
E)の研究を中心仁概観する。な
ぜなら、マッキャンの理論的立場の中に、現代のアメリカ法社会学の潮流の中で法逼勤務究が置かれた徹紗な位置
づけが看取されるからであり、本績の資諌動貝アプローチにら、それらの機論が一定の影響を与えているからであ
『株主オンプズマン」の運動を分析する枠組みを提示しよう。
神
る。この問題を検討した上で、
マッキャ
μの法働員研究
".主オJプズマ'Jと抹主代表訴訟ー
社会改革的法動員の経験的研究は、解釈主義的方捨の綾任会学の興隆に伴って最も論争的な分野の一つになりつ
百一
つある。そこでなされる改寧志向的診動員研究への批判は、超越的な研究者の視点を滑走ずるという経験的研究へ
の寵識省的批判であると同時にある法現象にコミットする研究そのものに原理的に内在せぎるを得ない政治的意
向の存在を白目の下に晒していくという側面を持っている。このような批判に最も直裁にさらされる典型成、その
法現象一自体が、哩示的な志向を持った一種の政治運動である改章志向的診動員の鳩合である。なぜなら、集合行動
の意味MV.
そこでは象徴的にかつ明確に行為者によって肯蕗化されることが多く、ぞれゆえ観察者のコミットのあ
り方も、政治的言説として比較的容易に観察できるという事情があろう一。そこでこのような批判を視野に入れつ
つ、この種の能関急へのアプロチを模索しなければならないことになる。
マッキヤンの賃金格差是正
eazgq)運動研究はそのような観点から今後どのような経験的研究があ句得る
のかについて示唆的な方法を示している。そこで、本翁のフィールドワークの前提としてマッキヤンの理磁的立場
依願者なき怯鋤員
を子細に追うこととしたい。
賃金量定是正運動のフィールドワクで得た知見から、
とっての有効性を主張する。これは、法規範が法改革的活動のアリナを提供するということである。つまり、訴
一互
依やその他の法面戦術は、活動家にその主軍を実擾するための重要会資源を提供するというのである。そして実際、
賃金格差是主運動の活動家は、当時の司法から得られるサポートが限定的なものであったにも関わらず、法的戦術
から実質的なカを引き出したという。これを彼は、権利主張といろ行渇が法的慣行
(Zag霊長旦から力を引
き出した例とみており、社会的実践の中で文化的慣存としての複利がいかに作動するかを概念化するための一般
的枠組みを発展させ多様な文娠の法動員に応用可能な分析的アプロチを望示一することをめざしてい目。一mg
マツキヤンの法動員パースペクティヴの特色は社会改革的活動を配述するための法動員アプローチにとどま
マツキヤンはまず「権利によって語る」ことの法動員に
m
出
らず、個人聞の私的紛争に関する法動員をも、分析枠組みの対象に含めて、法動員一般を分析する枠組みを構築し
一E-
ょうという志向にある。そこで、マプキャンはズィ
lマンスの法動員の定義「法は、希望や欲求が権利の言明の形
一き
で需要に翻釈される場合に動員される」を前提として法動員の新たなすイジョンすなわち象徴的実践としての法
の理解を強調するま置のモデルを提示するのであ苧このような法に対するヴイジョンに基づいた研究は最近、
一回一
ディスコースとしての法の分掃として非常に有力になっている。
.珊
この鬼方からすると怯的シンボルあるいは法ディスコースは人々が利益を追求し目的を達成しようとする場
合に臼常的に再構成される、一定の可盟性のある資語を個提供するものとなる。過去の解決のありょうを再示し、新
たな権利付与の手段の望みを表明するための潜在的で可墾胞な媒体が法ディスコースなのである。マツキャンによ
-up
ればこの資源としての権利の使用が、賃金格差是正運動において「権利意離」を増進させるのである。
fA九L、法的実践は何者からも膨移植響を受けない自由なものではなく法的慣行とそれまでの権力関係から発生し
たものなので、革新的とみえる法的実践でさえ一定のバイアスや限界を内在せざるを得ないことにも留意しなけれ
ばならない。つまり、法動員の研究の主な目的は、社会轟団関の関係を再構成するための職略的資誠として、そし
て同時に集合行動へ制限を加える要因としての法的権利の二面的な役割を分析することとなる。
法動員のこのような捉え方は法に対するヴイジョンに関する次のような=一つの前提の上に成り立っている。第一
に能的実践と法ディスコスの発現の場は国家の公式のフォーラムに隈られない。第二に、法秩序は一元的ではな
〈杢冗的なものである。公式の国家法も非壁定的で、しばしば矛盾をはらんだものであるが、自律的な固有法も多
〈の下位文化や社会制度の領減において優劣を錬っているのである。そして鰭合する集団が共通の法的慣存をもっ
ていでさえ、それらの慣行の題解と使用の仕方はしばしば劇的に異なる。第=一に、法的実践と法規範は一般に限定
誌雑学法戸神
的、部分的でロン一アィンジヰントな影響力しか持たない。
『株主オ〆プズマ>Jと橡主代表訴訟ー
の俊樹に関してよ旬広範で、複雑な見方を提供してくれることになる。
この法に対するヴイジョンに従った場合、法秩序は常に支配と抵抗の問の複雑で可愛的なプロセスによヲて維持
されているということを強調することが重要となる。確かに、法はハイアラーキカルな権力関係を支持する傾向が、
異なった法規範と制度的アリナが創造的挑駿のための機会と空間をいかにして線々な形で提供するのかというこ
とにも鋭敏であるべきなのである。
伝統的ヒエラルキーを維持する役割と抵抗の潜在的な戦時を創出するという法の二面的な役割のバランスは、
異なった法動員の異なった環境に応ヒて大きく変動する。そこで、法動員の特定の場、手段、タイミングにおける
戦術的オプションへの関心が主要な分析対象どなるのである。つまり、マッキャンの法動員研究の枠組は、法を社
会運動の単に一資海として、あるいは制限を加える要因としてのみ描写するのではない。むしろこのアプロチは、
法的実践がいついかなる程度に、それぞれの側面を持ちうるのかに焦点を合わせている。
そのコロラリーとして、法動員における法嗣実践は、複雑な効果を持つことになる。そこでマッキヤンが主張
する法動員アプローチは法動員の而接的効回末、つまり、「権利蚕畿」の増進にかなりの注意を払う。そして、この
岡接的効果M運動の形成ゃ、公衆のサポート、法動員以外の他の政治戦術を補ヲ挺平tとして重要なのである。法動
員の間接的効呆は多〈の社会運動にとって決定的な重要性をもつかもしれないのである。
修瀬者なき主主動員
ここまでのマッキャンの論語は法動員が閉鎖的なあるいは自律的な活動ではなく、むしろ他の多くの文化的要
因の作用を受けて非常にコンテインンヱントで不確実なプロセスだということを強調してきた。また接動員は通
常、多くの社会運動の戦略的行動の中の、一つのものでしかない。そこで法動員の有用な理鎗は職術的次元での緒
活動の相互存為や相互依存に充分な関心を弘うべきだというζとになる。そこで、マアキヤンは、実践的な法動員
m
".
号車
t i 富faI 古車好に
i詰る術
ii
zi
四
マッキャンの法動員アプロチは、たとえばロ
lゼンパ
lグからは、それが過度に解釈学的であるゆえに社会的
霊
園争における法の役劃について罰果的言明の構成が妨げられていると批判される一方で、解釈主義的法社会学の側
からは、毘識齢的にはなおリベラルリ1ガリズムにとどまっているとされてい目。マッキ今ンのアプロチが
確かに折衷的といえる側面を強くもっていることは否めない。賃金格差是正運動の分析を子細に検討すれば、ぞれ
が可愛的な「権詞意型という社会心理学的変数を組み込んだ資源動員論そのものであるといっても過言ではない
ζとが容易にわかるであろう図
AY点九L、法ディスコースLC
「権利」意識の椅克、そして権利意識の伸張という視点
を、可塑的な資源としての法の動員の分析に導入したことによって、このアプローチは資扇動員論の観点からなさ
れた法動員研究の中で、これまで明示的に意識されることがほとんどなかった法の多元性に注目する観点をもっと
いう利点を得ている。
誌維学法戸神
議運動研究への資源動員アプロチの導入
筆者自身がこれまで行った法量動面究も、基本的には組織語的戦時論的な、資踊動員論のパースベクテイヴに
依拠したものであるが、それだけでは十会仁理解し得ないような、法運動における行迭の意味を法運動において
当事者による意味づけを重視する「自己変輩」的側面に着目することによって理解しようと努め問。そして、メル
ーの議請を参照しながら、集合的文化と集合的アイデンティティを共有する運動ネットワークに着目し柱。なぜ
なら、このネyトワークを若桑する際に、いわゆる達面組織たけでなく、より広い領域の参加者にまで視点を拡張
(聾
していくことが法運動のトータルな理解にとって有効であろうと考えたからである。
2
『株主オνプズマ,Jと株主代表訴訟-
法運動の潜在的効果として、法動員の積み重ねによって中長期的には支配的法ディスコース仁対抗するような
権利議識が伸渡するというマッキヤンの主謹はまさに法運動により「自己変革」がなされている一つの例と見る
ことができる。そして、その権利意識が新たな核運動の原動力となるという点で、権利差識の伸張は法逗動の展開
過程において新えな還動の発生の基盤となるのである。この意味で法違面の潜在的効果である「自己変革」ほ新
たな会運動の継続的な生起に対してフィードバックという大きな役割を果たすという点で、顕在的効岡本である「制
度褒章」さ同等以上に見落とせない要因だといえる。なぜなら、「自己実箪」は運動の鮪果であると岡持に、この
プロセスを経てフィードバックによって個人の運動参加を規定する要図にもなるからである。
他方運動への参加と、その後の展開過程に影響する要因という点では、「自己変掌」という、ある種心理学的
な変数守はなく、経済的時間的資語と並んでむしろ連帯、つまり個人の保持する人的ネットワークという関係的
資頑や遷動組織の構造、及ぴ組織岡の連関関係の作用をよ旬重視するのがむしろ資扇動員輪の基本的発想である。
最孟の資源動員論で除、例えば、片桐は運動への参加に関して、同程度の不調を持っている人の聞での活動程辰
の違いを説明する際に、資源やネットワークといった要因が者品噂されるミきであるとして、不満蕗などの心理的要
因を第1次的要因、資穏やネットワークを第2次的要閣とした「運動参加の
2段階理詣」を提唱しているがこれ
などは資源動員論における心理的要因の軽視に対する反省から臨戦略的組織的要因と心理的要因の統合をねらった
ものであ目。運動の潜在的効果どしての権利意識の深化というマッキヤンの得た知見は、継続的に生起する諸運動
の発生の第一次的要因としてこの理訟に組み入れることが可能である。
筆者の研究では、法運動における関心の焦点がこれまで‘運動の顕在的効果としての「制度改撃」目標の成杏の
みに偏っていたことを指摘し、「新しい社会運里備の銭輸を参照しながら「自己蜜挙」の機能の重要性を強調し
た結果、法の多元的なあり方と「権利意融」の変容を重視するマッキヤシの議防仁近接することになった。ぞうす
依頼者なき怯動員'"
,,,
ると、法運動を還して弁護士のネットワ}クの規模や紐香の強さに積極的な変化が生じるとすれば、怯遮動の「自
己変革」的側面によって既存のネットワークが強化されたしC見ることも可能かもしれない。本績ではとりあえず『株
主オンプズマン』の「自己変革」的側商は直接探求の対象には含めないが、法運動が人的資認を動員する際には将
来的にこの「自己変寧」により強化された人的、ネットワークが重要な基盤となりうることを露織しておかねばなら
ないしC考える。
n.
一方、そこで呈不した分桁のための枠組自体はやはり基本的には資扇動員論に依御したものであり、参加者の
ネットワークや運動組織の構造、運動組織相互の関連、参加者の社会的属性、知的資源提供者としての弁護土の役
割しといった要素が法運動の展開過程にどのように彫響するかを分析することが主眼であった。そして法専門職た
る弁護士の関与のあり方が法運動がいかなる展凋過程を辿るかにとって重要な規定図となるとの知見が見いださ
れ、法運動の発生と展開のあらゆる局面で弁穫士の果たす役割の重要性が見いだされた。
そこで本稿では、マッキャンのいう法的峨術を規定する文脈的安借主して『株主オンプズマン』の活動に関与
する弁護士の活動左、運動参加を促進し、また運動に人的資源を供給しうる母体足しての弁護士の連需をとらえ、
それらが彼らの法運動にどのような独自性を持たせているのか、という点に問題意睡眠を特化させ爾査を行ったの
であ話。
誌雑学法声神
「緑主オンプズマン』運面の展開と法
本章ではこの法運動の発生と展開のプロセスを詳述し、その上で異なったタイプの法運動と比較した場合、『株
主オンプズマン」がもっている独自性がいかなるものであるのかを検討する。
.. 量
『株主オ/プズマ〆』と捧主代濃訴訟ー
『樵主オμブズマン』運動の経鍵
日住金株主総会までの活動
-九九六年一月から-九九七年六月までの一年半の間に『株主オンプズマン』が行った主な活面のうち、第一段
階の活動として中心的な位置を占めたのは、綾立のきっかけともなった、日本住宅金融の株主としての活動である。
一月に有限会牡としての設立総会が行われ目住金の債務処壇への異援申し立ての活動が始まり、六月の日住金
株主総会には「株主オンプズマとから数名が出席したよ商社が提案した砂量鍛渡会社解散の議案の表決では、
会社解散に出席株数の三分の一近くの反対を集めたが僅差で会社解散の議案が可決された(この聞の「株主オンプ
ズマン』の橘動仁ついては七二六買以下参照)。
依頼者なき法動員
日住金属訟
株主総会後、直ちに日住金及ぴ監筆法人を有価証券報告書虚偽記織で提訴することになった。この訴訟での請求
の趣旨は、次のようなものである。すなわち、株式会社は有価証券報告書によって会社の経済状態等に閲する情報
を堕不しなければならないのだが、日住金は有価証栄華告書に虚偽の内容を妃叙しており、このため、不良債権の
量が外部からはわからなかった。そこで、経営状態の悪化にもかかわらず、日住金の株価は本来あるぺき価格より
も不当に高値がつき、その当時株弐を臨購入したものが本来被るはずのなかった損害を受けた!として、有価証豊報告
書虚偽記帳に基づく損害賠償請求を認めた証券取引怯二四条の四によ旬、日住金代表取締役止、虚偽記載のあった
有価証券報告書の記載丙容が適正であるとした監査法人に絹害賠償を爵求する訴訟を大阪地裁に提起したのであ
る。この証券取引法二四条の固に関する判例はこれまで存在せずこの事実がリlディングケ!スとなると恩われ
2
m
る。
国
3 次に社会的に耳目を集めた活動は、一九九六年八月の高島屋代表訴訟である。この訴訟が『株主オンプズマン』
年の株孟総会を短時間で乗り切るため、暴力団会長に総会対策費用として合計一偉大000万円の利盆供与長なし
たことに織を発する。この訴訟では高島屋株を保有する弁護士が原告少なった。大阪地裁への提訴は第一訴量と第
二訴量に分かれている。
四
第一訴訟では、この一一人の取繍役と暴力団組長を被告として、利益供与が商法一一九四条の二に定める「株主の権
利行使に関する利益供与の禁止」規定に途亘し商法二九凶条一項二号に基づき供与した利益の額を会社に返還す
る義務を負うと主蚕している。第二僻訟では代表取締役社長、及ぴ他の常務取締役は、会社に対して善管注意義援
及ぴ忠実義務を負っており(商法二五四条の一二)、進法な利益供与がなされないよう監視監督の義務を負ってい
るにもかかわらずその義務を怠旬、違法な利益供与がなされたことについて取締役の監視義務違反により生じた
損害を賠償する義務を負う(商法二六六条一項主号)という請求内容である。
この訴訟の最大の特色は弁護団組織化の方法にみられる。高島屋葺訟では、弁護団の母体が二つの一見盆〈別
個の組織であった。すなわち、高島屋株主代表脈訟では、弁護団は大阪弁護士会の民暴毒員会所属の弁護士と『株
主オンプズマン』の弁麓士を中心に組織された。この訴訟で弁護団長を務めた民暴委員会所属の弁護士からのイン
タビューによるとその経橋脚は以下のようなものであった。
時機学法戸神
『株主オ〆プズマンJと樵主代表訴訟ー依額者なき法動員m
お話があったのですか?
回答者(以下A
)
そうではなく、
Sさんは『椋主オンプズマン』をやっていて、私書身は民暴の委員会が
長いので、高島屋の事件がマスコミ報遁されたときに、これは企業として許せないひとつの民暴対策とし
て、暴力団と癒着している企業を放置するζとは民暴対策上よ〈ないということで
Sくんに代表訴訟やら
んかという諮をして、それじゃいっしょにやりましょうということになって弁護団を作った。だから弁護
団のメンバは「株主オンプズマン』から三分の一ぐらい、民暴挙員会の有志で一二分の一ぐらい、後の三
分の一は全会員にレターヶlスに入れたから代表訴訟に興味のある人など、委員会と別個に参加されている
方が三分の}ぐらい、そのような構成。
Q
この弁護団に名前を連ねていても実際に活動しない方も多いと固
A
そうですね。官向島屋の場合だと、大阪の弁護士は六二名いるが常任はだいたい-一O名くらい。
「符主オンプズマン」L
と民暴委員会がやはり中心
Q
。
A
と
一般の会員色。
Q
ぞうするとこの弁護団は公式仁民集委員会弁護士会の支援のもとに設立されたとかそういうわけではな
u、
白
A
弁護士会のスタンスというのは個々の事件には介入しないので、そういう意味では一切、委員会鳴動とか
弁護士会の、本来の会務とは別個です。だからあくまでも有志が集まったということです白
Q
実質的には民暴委貝会の役割が犬きいけれども形式上は。
Af1全部個人資婚です。
閣
他方『株主オンプズマン』の側の弁護士からの制限明は以下のようなものであった。
Q
そうしますと、代表訴訟の場合、高島屋の場合だと、弁護士会が絡んだんで広がったという側面はあるん
でしょうかワ
XIJ阻
A
いやそれは、弁護士会は絡んでいません。民暴曇員会の有志ということでやっていますけれど。ただあれ
は、大阪における民暴委員会の、総会屋対策だとか暴カ団対策に興味を持っている弁護士の慣が一定数存在
するから。そういう一層が入ってくる。だから広がったと思う。だから半分以上が民暴委員会の弁緩士。
株
誌
主オンプズマン』はその一一五%、あと一般の弁護士がこ豆%ぐらいじゃないですかね。まあ中心部分の二O
何人のうちはね。ぞれはまあ、弁護士会の委員会がずっとあったからの菌もあるし、元々そういうことをし
ているからだと思う。総会屋とか。暴力団排除の。
雑学法戸
弁護士会が、公式に事件詰動を支援するというこ左はないが、この訴訟の場合は実質上、弁護士会内の委員会活動
と『株主オンプズマン」の活動が合抗したものであった。
この事件では、総会屋や暴力団との関係をめぐって企業の倫理が関われるという点でマスメディアの関心も高
かった。第三次訴訟では原告側は法令違宣行為に関与していない取締役も、問題となる行為の発生を未然に防ぐシ
ステムを修築することが監視義務の内容でおると主張しており、弁護団の戦略はこの点に関して裁判記聞から積極的
判断を引き出そうとい号ものであったが、高島屋から和解の申し出があり、一九九七年四月に暴カ図組長を除〈高
島屋の被告との闘で、請求額に一千方向を加えた額を役員側九人が金額連帯して支払うことなどを条件として和解
が成立した。和解条項には、高島屋は健全な企業として償額の回復につとめ、事件を反省し株主総会のマスコミへ
神
害車両
ら法施れ令し
苧費時
i i i i t量
産E業
1i 高聖
書2
3i
『株主オンプズマン』と係主代表解陸一
この和解では、請求金績を役員が連帯して支払、うことになったことから、結果的に藍察当事者以外の取締役個人
にも責任を認めさせることになっている。また、和解条項に会社及ぴ株主総会の透明化が盛り込まれていることに
よ旬、弁護団にとってはこの訴訟は事実上全面勝訴であったという感覚を確かなものにさせることになった。直
接当事者以外にも法的責任を飽めきせたことにより、経営のトップが刑事事件そのものには直接に関与しなかった
場合でも、その責恒を関われうることを明かにした(当時の社長は自ら監視義務を怠った法的責任を認めた)ほか、
株主総会の原則公開をさせ、さらに企警自ら体質改善の表明にまで到達したこの訴訟は、「株主オンプズマン』の
活動が、これまでのところ最も可視的具体的成果をあげた例といってよいだろう。
4
依頼者なき法動員
一九九六年中葉から一九九七年にかけて「株主オンプズマン」の会合で常に議論の中心にゐったのが住友商事に
対する株主代表訴訟である。ロンドン金属取引所信量患での鋼取引で、住友商事非鉄金属部長が、一
0年間に
わたって一一六億ドルの損失を出しながらそれを隠蔽していたことが、社内の内部調査によ旬発覚し、この部長は六
月に懲戒解雇された。その直後の抹主総会で発言を妨げられた-般株主が、『市民オンプズマン」の弁護士を介し
て
2体主オンプズマン』に参加し、九月には株主総会の決議取消請求訴訟が『株主オンプズマン」の弁護士によっ
て提訴された。その後、株主代表訴訟の提訴の可能性と法廷でのありうぺき議論が検討きれ九七年の囚丹、大阪
地裁に提罫がなされた。
"'
間
この訴訟は、デリパテイヴ取引のリスタ管理のあり方を問題にしていることから、非常に複維な輸点を多段含み
うるが、原告の主張の骨手は、ロンドン金属取引所から木E取引に測して住友商事に照会のあった一九九一年一一一
月以降、銅取引に関するチェック機構を強化していればその後の損害の拡大を防止し得たのであり、取締役らにこ
の点における普管注意義務違置があるというものである。この訴訟での原告側の主張低必ずしもすべて明らかに
なってはいない事実関係を明確にし、いわゆる「複ぎ」による解決ではな〈、責誕の有無を明確にした「法」によ
る解決を求めることだという。
n. 誌
代表区間際の腕略的位健づけ
現在までのところ法語活動での最もめざましい成果は、高島屋株主代表訴訟での和解成立であろう。前述のよ
うにこの和解は、企業の情報公闘を進めたいという「株主オンプズマン』の本質耐な活動目的からすれば、会社に
株主総会の公聞を約束させたという大きな成果を得ており、勝辞と同等の価値のある和解であった。その他の訴訟
は全て一九九七年八月現在継続中であるが、高島屋の事例のように取締役の進歩骨為によって会社が謀った損害の
賠償を求める綜訟の場合、判例の涜れからいって勝訴の可能性が高いのだが、『株主オンプズマシ」としては、単
なる経営判断のミスによる撮寄に対して株主代表訴訟制度を使用するのではなく取締役の違長吾為に際して、役
職からの辞取などによって詳細な情報が株主に胸コ不きれないままに終わってしまうことに対し株主が異議官申し立て
を
qq手段としてこの制度を使用するといヲのが原別である。この点からすると、住友商事抹主代表訴訟は取締役
が車接連語有為に関与したというわけではなく‘『株孟オンプズマシ』としても原則から一歩を踏み込んだ訴後だ
ということができる。弁護士にとってこれら各議訟が戦略的にいかなる位置ワけを与えられているか見てみよう。
5
縫学法戸神
「株主オンプズマ斗と株主代表訴訟トー依税者なき法創貝団
Q
ということは、話が飛びますが、
「株主オンプズマソ
ιの活動は、能かのためにもしやっているものだと
すれば、ご自身のためにやっているとい、内側面が、ひょっとして強いんでしょう念。ご自身のためという
語、
。
A
そりやもう、成りゆきの話。たまたま私は『市民オンプズマン』をずっとやってきたので、官官接待の事
件などが。どこかリクルート以降企業はどっしょうもないなという意識になってきて、企業を叩く遭はな
いのかというところでたまたま徐主代表訴訟があるということが商法の改
E問題になってきて、ちょろど
たまたまなったから、ゼネコン汚職なんかも。それがたまたまそうなっただけの詣で、あまり意図はない。
今は、喧嘩しようとなったら株主として喧嘩するのがひとつの、やりやすいというか
一市民としてピラを
まいて企業を告発する戸よ"でなく、株主として-言も=冒も言王るというのはひとつの体制の中の発言でき
る場所だから、それは単なる株主の権利の権護というところではなく、市民としての株主とい弓ところに我々
はポイントを置いている。だから住爾の事作は、ある意昧で一歩踏み込んでいる。
Q
ああ、雑陸路のコピl拝見しましたが。
A
本来は、ゼネコンだとか野村だとか高島屋だとか、企業が不械事を起こしている、不法行為を起こしてい
るということを叩いている。そういうのが、本来の『徐主オンプズマン』として出発している。ところが、
その武器がひとつ、代表訴訟であったが故に、住商も入っていったというところであって、あれはいわ広傍
流。本流はこっちの、第一勧銀だとか野村だとか。これから数尋問こんなのが繰り返されるんだと思うが。
だから、離のためだ、大げさなことをいうなら、一定の社会正義というんじゃないか。そういうところに我々
は弁護士の知的知識を組提供するんだと。社会正義のために。住商の事件というのは、本当は私はやりたくな
かった。行きがかり上ゃっただけであって。我々のスタンスからいうと、ちょっと企乗の中の、特に大和銀
四
行の事件があったでしょう1あのときもやろうかというM君からあったんだが、私はあのときはやめよう
と。あれは単なるひとつの企業の中での、株主対会社、または社会的なの中での問題だけじゃないか。祉
会一般市民が被害を受けているわけではない。住爾もそういう意味では一般市民が被害を受けているわけ
ではない。、ところが、高島屋事件でも第一勧銀事件でも、総会屋をはびこらせた、暴力団を助憂きせている、
またゼネコンなんかは企業を世の中を白行政をごまかしていくとか。そういうところが、我々の九O%守
らいが頭の中にある。だから代表訴訟は、住砲はちょっしと踏み外している。ははは。
祝酒諮
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要約すると、
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警手広ン報プメズデマイシア」
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法戸
の役割を果たしている側面,ずえも認められるだろう。
縛
「株主オンブズマン』運動の載衡と誌の栂能
『繰主オンブズマン』の独自性
この法運動隊明らかにこれまで典型的な法運動としてとらえられてき7-公害訴訟などとはかなり異質な点をもっ
ている。つまり、『株主オンプズマン』の活動は、いくらかの点で従来イメージされる法運動と明確に区別され、つ
る独自の性格を持っているのである。もちろん、歴史的には個々の法運動はそれぞれ独自の文脈で展粛するので容
易に一般化することは避けなければならないが第二次大戦後の日本における典型的法運動として熊本水俣病訴訟
を比較事例として検討を加えてみよ品川。
『株主オJプズマνH練主代表欝訟ー
第一に、水俣のケースでは原告の受けた損害がこれ以上ないほどの滋甚なものであったのに対し、株主代表訴法
では深刻な精神的身体的財産的ダメージを被った被害者がいないという点。第二に水俣病に関連して提起され
f露訟は数多いが、基本的にすぺて綱領者賠償を請求するという形式を採用しているのに対し、『抹主オンプズマン』
の提起する株主代表訴訟によって直接的利益を得る者は、この訴訟が会社に対する損害賠償という形式をとるので
存在しないという点。第三に、水俣病説訟では、この地域における被告企業のプレゼンスの大きさを原因とする当
事者の提訴に対する委縮や患者組織の分裂など、弁護団と一部の当事者の聞には対立葛藤が存在した。これに対
し弁護士自身が株主H腺告となりうることから、株主代表訴量では弁護士は依頼者とのありうべき毒藤を回避して
いるという点。第四に、「株主オンプズマシ』の会合はAudR偉事務婦でもたれることが多く、協議はほとんど弁護
士のイニンアテイヴで進められる。『株主オンプズマン』の市民メンバーも多〈は社会経清的地位の高い人々であ
りこの協議では(おそらく水俣病隊訟とは反対に)被害救済のため即座に決断を下してゆかなければならないと
いう切迫感がなく会合での高度な専門前議論を楽しむ雰函気がある。すなわちこの法逮動のプロセス自体に意義
一警
が見いだされているという側商も見逃すことができない。
依骸者なき法動員
2
活動の戦略性・多影さ
『株主オンプズマン」
このような『株主オンプズマン』の独自性に加一えて、の活動の大きな特援に戦略的行動の
多彩きが見られる。この点を考察するために、ます、これまでの「株主オンプズマン』の活動を刀法的活動関連」、
「法存動以外の活動」に分けてまレしめてみるの
由
「その他の法宥動己
市問調誌種司院法
一九九七年
戸神
-)法廷語動関連
九九六年
大月
日住金とその監査雇人を虚偽記較で提訴
主高島屋の商法違亙(総会屋利益供与)で様主代表訴訟の弁護団を結成。
高島屋監主役に同社役員の頒害賠償を求めて、大阪弁鰻士会民録対策暴員会メンバーと株主代表訴訟の
事前週普。
大匝弁媛士会罵暴対策委員会メンバーと共同で商島屋役員に対し株主代表訴訟を提罫。
八月
九月
日住金訴訟第一回弁量。
住友商事抹主総会の決議取消無効確認を求めて大阪地裁に提訴。
住友商事株主代表訴量弁護団結成会能。
十
月
四月
住友商事株主代表訴訟提訴。
高島屋株主代表訴訟の和解。
新たに東粛を中心に野村証券代表訴訟(日興証券弁護団中止
味の索代表訴訟(東京の民易委員会中心)を被討。
味の素株主代表訴訟提訴。
住友商事株主代表訴訟
百古
第一回公判固
(2)その他の法有働
一九九六年住
専2祉の東京地検への舎発。
東尽地裁に団住金取締役会磁事録関璽等の許可申請。
日住金へ株主名簿謄写申筒世習を送付
日住金取締役会議事録関覧等の許可申請第二回審尋(東京地裁〉。目住金本社より九六年一一一月期末の
徐主名簿を入手。
『株主オンプズマン』と株主代表訴訟ー
月月日-九九六年
(3)法行銃自外の活動
依頼者なき法動員間
月
「銀有住専体主一
「株孟オンプズマン」のホlムペ
lジ開設。
「佐保孟オンプズマン」の綱査によって、日住金株主?ある金融機関のインサイダー取引疑惑が新聞各紙
に掲議される。
一O香」。
月
讐一図「銀有住専株主一
日住金監査法人にアンケート送付(無回審〉。
「住専処理
一O番」。
怒りの市民法藍」を周〈。
囚月
「日住金株主の会」発足白
株主総会の位置づけe
持ち方についてのアンケトを五OO社(日経主OC銘柄)に発送。
公認会針士に対する住吉尋問題緊急アンケートの結果報告をまとめ日本公認会封筒会会長に要望書を添
五月
国盟組蕗緯学法声
一九九七年
神
大月
えて送付。
日住金本社で六七名の株主(計二O三万一
000稔をもっ)による定時株主総会の株主提案唾業を提出。
遇刊誌が、「抹主オンプズマン』の動きを中心に「日住金がふるえる株主の反乱」を縄線。
日住金個人株主全員への営業譲渡会社解散反対の葉書呼びかけを決定。
日住金株主集会を開催e
金固から一一一O名余りが参加。
二七日の目住金株主総会に出席。会社解散に出席妹教の三分の一近くの反対を集めたが僅差で営業譲渡
八月
が可決された。
「株主オンプズマン』縄「「株主オンプズマン』は何をめざすか」公刊。
株主総会アンケト結果報告「株主重視の株主総会を求めて」発表白
日住金の松飾決算疑惑に閲する会計監壷研究者へのアンケート結果報告。
『抹主オンプズマン』会員が徐をもっ一八五社に政治献金差し止め申し入れのため文書送付。
九月月
住友商事徐主アンケート(樹通発送回答一
O六通、回収率三一%)。
『株主オンプズマン』のオピエオン雑誌の年2固の発刊を計画ロ
「企業の不正不祥事一一
O香」実施(電腎相畿大O件、ファックス一五件)。
『株主オンプズマン』のオピニオン雑誌として「ンヤワッチ(会社ウォッチの意)」を民事法柄究会
から三平部発語。発刊記念鯵演会を閣催(講師は野前家Sと、弁護士である編集長三
月ハ月
法長活動関連の法行動は、株主代表訴訟を舶に展開されている。個々の訴訟の弁護団が結成されて法廷活動が伺
始されると、
『株主オシプズマン」
の市民会員は、中心的に役割を果たしているメンバーたちでさえ、訴低遂行に
『練主オンプズマンJ,繰主代表訴訟ー
関する一切を一応弁護聞にゆだねてしまっているロ
一方、法存動以外の活動も盛ん仁かつ多移に行われ、むしろ、日常的にはこれらの活動が主軸に据えられている
「銀存住専株主}一
O香」は、『徐主オンプズマン』が設立後最初に行つAY重要な話
L
乙いってもよい。例えば、
動であるし、その後数度のアンケト送付や「市民法益巴の開催などが、設立後半年の聞に次々と行われた。これ
らは六月の定時徐主総会を射程において行われていた活動であり、この阿は法行動よ旬も住専処理への問題提起の
ためのこれら矢継ぎ早の活動が顕著である。この聞に隈っていえば、株主代表訴訟は必ずしも『株主オンプズマン」
にとって活動のための決定的な資頑ではなかった@
一九九六年の後半からは、訴蔭に関連する活動が『株主オンプズマン」の中心的メンバーの弁護士と、弁護団に
のみ参加する弁護士たちによって進められる一方で、出版物の公刊や各種アンク1トの継続的な実施、政治献金差
止の申し入れなどの法行動以外の活動も衰えることな〈続いている。
「株主オンプズマン」
依頼考なき法動員
にとって、法(特に旅主代表訴訟)は明らかにきわめて重要な滑動のための資源となって
いるが、他方、これまで見てきているように「株主オンプズマン』の多彩な活動は株王代表訴訟に完全に依存して
いると皇一回い緩い展開をみせている。すなわち、一九九六年の後半以降は訴訟とそれ以外の活動の三頭立てで活動
が行われているように恩われる。多彩な戦略的オプションを株主代表訴訟等の法行動LC併用することによって、彼
らは法のみに依存しない情動を展開している固この独轄の法運動の多彩な職略的行動を担っているのは、弁護士を
中心にしたプロフよツシヨンである。彼らの法嗣度(たとえば「株主オンプズマン』を有限会社として設立させた
こと)及ぴ社会制度に対する専門的知識の豊富きと、依扇者のニーズや救済を顧慮する必要がないことからくる機
動性が、この活動の多彩さという特色を生み出していると恩われる。
古型9
四
の運動組織としての側面に焦点を当て、その形成過程、組織構造、外部環境との
逮関がいかなるものであるかを検討する。そのねらいは、これらのそれぞれの側面において、『抹主オンプズマン」
が弁護士主導の法運動として有している組織的な特位を明らかにすることである。
次章では『株主オンプズマン』
-EZ章
E酒
「繰主オンブズマぷ』運動の組織と環境
軍働組織の形融
平成主年改正商法の動員を過して、現在の『株主オンプズマン』の組織化への潮流が次第に形成されていったわ
けだが、その経緯を『株主オンプズマン』の中心的弁護士へのインタビューから採録してみよう(イニシャルは特
~ 維
に説明を付していない場合すべて#穫士を指す)。
学法
Q
『市民オンプズマン』は最初から入って、
できるときから。
戸
いやいや私は犬阪から。東京から来たときはできていたから、できてすぐこっち来て入った。あのときの
水道部架空接待事件のときから豆八年かなあれでぽーんと証拠保全テレピだーんと派手に宣面しして、
それから大阪近辺で『市民オンプズマン』というのが広がって、あれで一審勝った。最高裁まで行って勝っ
ていった。それまではむしろ、『市民オンプズマン』は情報公周を中心にやっていた。役人の接待事件を、
大匝府の水道局架空接待事件があるというのは、たまたまあのときうちのま(共産党扉属の弁護土)が大阪
府知事に立候撤した。そのときにそういう情報が入って。選挙が終わった五月にKは負けたが証拠保全に
行って派手に宣匡して、あのときは架空接待と踏んでいたがそれを始めていった。ちょうどこっちへ来て一
A
神
ま
『持主オJプズマン』左練主代表訴訟ー依額者なき法動員n>
Q
それが何年9
A
五七年ですねロ
Q
人一寸士一年ですね。
五六年四月に私大阪に来たから。豆七年にその架空接待事件をやり始めた。それも若干、う
ちの事務所で私しと
IとO君らずっといろいろ弁護士の実戦部隊でやっていた。
Tさんはだいたい旗で号令
を発して。そのうち水道架空媛符場件でずっとやっていく申で、あいつら交際費をごまかしているというの
がよくわかってきて、その次、知事のセ除費の訴訟に入っていく。そのときはもう別の、それはTさんが中
心になって弁穣面を組織して、作ってやっていって、それはずーっと長い間続くんじゃないか、一
O年ぐ
らい。その後「市民オンプズマン』が、むしろこれを広げたのは大阪じゃな〈て名古屋の弁護士と仙台の
A
そうですね、
弁護士が全国に広げていった。
Q
名古屋の
TK先生
1
0
A
T
Kさんとか仙台の
ON。ああいう人らが全国的に:。我々はそのころ、
ハザマの代表訴置にずっと入っ
て行くから。リクルト問題だとか、私なんか官官語待はもう一いいと。こっち、企業をやっつけようと、リ
クル11Fの方から
N(元首相)の告発やと、そっちの方へ動いて行〈わけ。官官終値符はもういいわしんど
いってロで、リクルート以降は企業の告発の方に、基本的に。
リクルート事件がきっかけ?
Q
それは、やは旬、
スーパーコンピューターの導入だとかの問題で告発したりとか、リクルートを
えろうやっつける方法ないのか代表詐訟あるけど株ないのか、言ってた。ま戸再来公附だったからとかい
う僚になっていて、商法の改正がちょうど起こってきたから。こういうことは絶対なんかやってやろうと恩
A
そうですねロ
Nめ問題で
官
'"四量奉雑学法戸神
っていたらちょうどでてきたから、これは面白いと。それで株主いないのかなと探していたら、そんならM
君が持ってたとまあこういう1Tさんと二人で、な。
Q
『ドキュメント現代訴訟」という本を、拝読してたんですが、
M先生が喬カれたとこ現に。
A
そうそうそうそう。
Q
電車の中で、株ないかと。ほら持ってるよとかそういう経緯で。
A
だからもうゼネコン腐敗が起こったときにこれはもう、代表訴訟一回やろうかという1それで商法の改孟
もあるしと。まだ審議中だったが。あったから、こりゃいいわということで。そこから代表訴訟語めてか
ら、企衆の監視といつことが私の慣の中では重要な位になってきた。こういう組織を作らないといけない川、
ハザマのときでも、記者会見して繰主を募集したのだが、
一人だった。鹿島のときも募集したが、
と。というのは、株を探すのがものすご〈大変。
来てくれたのはKさん(『株主オンプズマン』の中心的市民会員)
誰も来てくれなかった。来る人は全然もう、鹿島と喧嘩している人だとか、その事件後に勝ってやっつけた
いとか、そんな人ばかりだった。だからこらあかんわということで、こういう組織を恒常的に作ろうといろ
ことをTさんとか私とか:ちょっと話していて、そしたらハザマの報酬が入ったから、きあ、よしこれで作
ろうという諸になっちゃう固
Q
ということは
A
『株主オンプズマン』も弁護士中
tで、設立も弁護士中心で。
-切ね。あまり弁綬士中心と脅ってしまうとまずいから、市民の人らも、もちろんKさんとかいろいろあ
の当時はいたから。実際はやはり弁穫士中心。中心は=一人です、私とMとTさん白
Q
以前から『宮市民オンプズマン』で…緒に活動されていた9
A
Tさんはね。
M君はまだハザマで初めて。
Q
M先生はたまたまそこで株を持っておられたので入ってこられた、と図
A
そう、代表一訴際でね
ハザマの。まあもともとM、私のとこ曹良ですから、ょう知ってましたしe
親しか
ったですから。
『株主オンプズマン』と榛主代表訴訟「
「市民オンプズマン」
企業に対する代表訴訟の提起という発想は、の活動の一部が行政組織のみではな〈、行
政L
との関係における企業のあり方に対して批判的な目を持つようになるという過程の中で生じてきた。そして、「市
民オンプズマン』をその前身としておもに企業活動の監視、情報公湖、株主の権柑行使の複合の増大とピヲ目的
の弁護士を含む二、三名の弁護士を中心に『株主オンプズマン』の
に特化した組織として、
『市民オンプズマン』
活動が開始されることになった経緯がこのインタヴューから見幽せる。
組織携進
本舗では『株主オンプズマン』
の運動組織の構造分析を行う。この分析を過して、弁陵土中心の運動組織である
ことによって生じている特色を析出することが目的である。
運動組織の構造を犯揮するため、ここでは公式組織の分析枠組が着目しているいくらかの基本的な豪華に対して
検討を加える。
運動組織の分析に公式組織の分析枠組みを利用するのは奇異に恩われるかもしれないが資扇動員論は逗動組織
を特別視せず、日常的政治経演活動の延長線上にあるものとして捉えるので、組織分析の際にはこれまでにも公
-z-
式組織の分析枠組を路湖しようという試みがなされてきている。そのことによって運働組織の独自性が逆に明らか
になるしと期待されているからである。そこで、本節では片桐が皇京する、組織構造把糧のための釜本的客数を取り
依頼者なき法動員閣
四
上げ日明。
... 組織構造の基本変教に検討を加ゆえる前じまず、この運動組織の概要を見ておこう一。
「株主オンプズマン』はこの種の社会運動組織としては特異なことどいえるかもしれないが、有限会社として活
動している@このことに閣しで、『株主オンプズマン』の活動を紹介し、勧誘するための小冊子(『株主オンプズ
マンご案内どによれば「責任玉体をはっきりさせ、活動を継続的なものにするため、また各企業の株を保有
する必要性から有限会社にしている」との説明
Zきれてい苧また、代表者として、大学教授、公認会計士、そ
一一讐
して「市民代表」が一名ずっその佳にあたっている。一九九七年七月の時点で、登録会員は約-五O名、堂録株式
は約一一一OO銘柄である。会員は「株主会里、「市民会員」、「専門家会里の三一種の資格に類別されているが、通
常もたれる会合ではA法律事務所が会場となり協緩はほとんど弁護士(すなわち専門家会員)がイテンアティヴ
をとって進められていく。会識の出席者は通常一豆名前後になることが多いがそのうち一
O名ほどはほぼ同じ顔ぶ
れである。彼らがこの組織の五婆メンバーといえるであろうが、その内訳はほぼ常時弁護士五、会計士一寸学者一
市民会員二、二一人といったところである。事務方の作業や会合の議事録作成等は事務局長として市民会員が一名週
一度A法律事務所でこなしている。荷動資金を供給する財漏は会費出版ンンポジウム講演等の収入と、会員
等からの寄付によって支えられている。また、殴立に先行して提訴され勝訴に終わったハザマ株主代表訴訟で、会
社から得た弁鐘士報酬の一部が、設立時に必要とされる出資金一二OO万円に利用された。
『株主オンプズマンご案内』によればその活動目的は由係主の法的権利を行使し、株式会社の経嘗ドおける
徐主の地位を高める。②情報開示や訴訟を過して株主と市民の立場から企業語動を監視する。母努働条件改盆曹、ボ
ランティア支援、メセナ、哩境保穫、身障者雇用、情報悶哩不などで積極的取り組みをしている企業を良い企業とし
て推奨。④合併などのような経営判断に対して、株主が室戸を挙げたいときの「慾口」になることを展望、の囚点で
誌槍学法戸神
『樵主オンプズマンJt練主代表訴諒トー
ある。これらの目的を達成するために彼らが実際に採っている戦略は、商法二六七条による株主代表訴訟及ぴ株
主総会や有価証券報告書を通じた情報開示が中心となる。特にこれまでみてきたように株主代表訴置は『株主オン
プズマシ』にとって現在のところ最も重要な法的資頑でありその活動に法的な力を瓦4
える大きな源泉となってい
る。
依頼者なき按動員
きて片相慨は組織格通を抱糧する上での最重要嚢数として、規様、専門化、序列化、公式化、集権化柔歌性を
挙げこれらの変数に影場を与えるものとして組織目標と価値を挙げてい説。『株主オンプズマン」について、こ
れらの変数を一つずつ検討していこう。
目標価値運動組織の目標や価値観は明文化されている。「株主オンプズマンご案巴に挙げられている主要
な組織目標は、実質的には株主の法的権弱行使、企業の情報開示、株主の異畿申立の窓口となること、の三点であ
ろう一。株主の法的権利行使といつのは具体的には一般株主がこれらの権利行使をするための環境整肩と、それを
通した企業の情報開示の促進というのが意図するところであろう一@そして、こういった活動を遇して、株主の異議
申し立ての窓口となりうる組織への発展をめざしているということであろう。
規模は霊録会員が一五O名、登録株式約三OO銘柄である。また、直接この運動に参加していない弁護士の中にも、
賛同者が存在する。各蘇訟の弁護問名簿に掲鎗航されている弁護士教は非常に必量に上っているが、彼ちがすべて実
際に隠語に関連する業務に携わっているわけではなく、多くの弁護士は運動への質問をオすため弁療団に各を連ね
ているのである。賛同者の存在はまた、中心メンバーにとっては弁護土会内での孤立をさけるという意味も持って
いるロ
惜
百鉛
士はそれぞれの分担の仕事を受け持ち、弁護団会緩や、「株主オンプズマン」の会合で経過を報告し出席者の聞
で耐餓が行われる。したがって、分業左いう形での専門化は、運動組織としてはかなり進んでいると恩われる。
公式化『株主オンプズマン』が通常の運動組織と比較して最も特織的だと恩われる点は、有限会社として会社組
織化されている点である。このことによって『株主オンプズマン」は設立や社員総会に関して有限会社法の規定に
後ろこととな旬、他の運動組織と比較して、少なくとも形式上は著しく公式化されることになった。また、この運
動に特銭的なのは活動の紹介や、株主総会を前にした集会での宣言文など、明示的に文書化された目標や価値観
四
の提示がみられることである。
序列化集権化法的には有限会社という公式組織の形態をとっているが、実質上は運動組織であり、社員である
会員と、社貝以外の会貝に運轟への多加醤絡に相異はない。社員であるか否かを関わず、運動組織の成員は士一種
の資格に公式に区分されている。すなわち「株主会員円「市民会員」、「専門家会員」である。この「専門家会
員」のうち、設立にイニシアテ一イヴを発揮した三名のベテラン弁護士が指導者約立場にある。株主オンプズマンの
会合では、彼ら会含めて常時茸名ほどの弁隆士が出席し、トタルでは一
O名足らずほどの弁護士が中核として活
動している。ここに代表者である大学教授や会計士二、三名が加わって運動組織の指導的役割を包守中核の部分が
形成されているe
誌緯学法戸神
彼らを指導者層とすると、「休主オンプズマン』の会員ではなくとも、各訴訟の弁護団に所属し、弁暖国会践に
は出席し、訴駁に開速する業務を分担する弁務士たちを一般冠動家とみることができる。これらの活動家は、会合
での観察によると四O代以下のいわゆる若手弁護士が中心で降訟に凋速する業務を管つことによってこの法運動
に参加している固
柔軟性
法的には有限会社という公式組織だが、企業とは異なり組織目標が法運動のそれであるので、実際の組織
『鎌主オ〆プズマ,Jと株主代表訴訟ー
運営はそれほどシステマティックではない。会員であっても会合に出席する義務があるというわけではないe
必要
なときに弁畿士、あるいは他の会員が、時間的、能力的に可能な範闘で、また得意分野に応じて必要な作業を
ft
また事務局も、この組織のメンバー教や、株主会買が登録した株式教などの情報を常時管理するという態勢には
ない。実際には彼らは活動目標を遼成するために人的資認を効率的に治局しているので、環境への遺伝五という観
点からみた場合、組織的な柔軟性を持っていると評磁できる。
橋進評価公式組織では、組織目標を測定可能な形に定式化することは比較的容易であろうが、運動組織の場合、
組織目標が明確に提言されていたとしても、その達成度に関して公弐組織の場合におけるほど明確に判定を下すこ
とは一般に困難だと恩われる。『棒主オンプズマン』の場合、株主の法的権利行使、企業の情報開示、株主の臭援
申立の窓口となることが、組織目標とされてはいるがどれもある一時点でその建成を判断で主る性質のものでは
ない。これらの目標は、それぞれ様々な手段によって追求されており、例えば高島屋葺量を遁して企業の憎報開
示という点では社会的なインパクトを与えている。商法改正そのもののインパクトについては、取締役会や常務会
等での議論の活性化、法務担当部門の法的チ芯ツク体制の詳細化などがすでに企業へのアンケト調査により指摘
一一望
されている。また、高島屋訴訟は実際原告にとって勝訴に近い和解で幕を閉じている。短期間ですでに企業社会に
与えているインパクトに鑑みれば、組織目僚はある種展達成されていると評価され得ょう。
公式組織の場合、成員欲求の充足度は目標の達成度とは別個のものしこして叡われるが、運動忽織の場合でも、組
織目標が公共財獲揮に閣わる場合、いわゆる「フリlライグ
1問題」が発生しうるので、運動組機の成員、あるい
は支持者にのみ干えられる選択的誘因を成員欲求の充足度と関連づけて考えることができる。『抹主オンプズマ
J
」の場合、明文化されている組織固需は公共財である固そして弁護士にとっては株主代表訴訟での弁護士費用が
遍動参加への選択的誘因しとなりうる。しかし「株主オンプズマン」に関係する各訴訟に参加する弁護士の申で参加
依願者なきまき動員m
明
の動機を弁麓士費用鍵得と関連づけて説明する者はなく、また弁護団の規模の大ききゃハザマ訴量の時のように次
の運動への備えどすることがあることを考えれば、弁護士費用は弁護土にとってあま句期待できないものになって
いる。他方畑中心的弁麓土の-人は.報測を得ることを参加の動機に含めて考える弁護士が存在する可能性は否定
一舗き
できないこと、またむしろ社会運動であっても弁護士として業務に見合った収入を得ることができる体制を修築
すべきだと考えている。また例えば一還の訴訟に参加することによって特に若手弁護士の場合弁護図の組織化
の方法、準備書面作成、法廷での弁愉等を他の弁穫土とのコラポレlyヨンを通して学ぶことができるしという面が
ある。さらにこれらの訴訟に名を連ねたことが、商法に詳しい弁護士として将来の顧客獲専にプラスに倒〈可能性
もあり、これらが選択的誘因となる可能性はある。但しこれらが仮に選択的誘因となったとしても公式組織におけ
紅.. 誌雄
るほど明白な誘周となるとは考えにくい。
以上の蛮教のを柔から、
学
『株主オンプズマン』は、
法
一般にイメージされる運動組織よりは、ぞや公式組織に近い
綴織形態にあるしと判断できる。これらの変数に影響を与えている要因は、運動組織の中心的担い手が法の専門家た
る弁飯士であるという一要因と考えられる図なぜなら、均等な能力ど熱意を持った弁護士が複数存在するからこそあ
る程度の専門化が可能なのであるし、『妹主オンプズマン」が有望在として組織されていることは、弁護士や会
計士の存在なしにはあり得なかっただろう一。弁策士が活動主体であることによって、これらの要因は「株主オンプ
戸神
ズマン』を公式組織に近いものにしている。
逆に、数名の特定の弁護士が指導的立場にあるしという点では集権化されているが、彼らの活動を支えているの
は、『株主オンプズマン』の会員ではなく左も、弁護団に腐して各訴訟での膨大な作業を分担している弁護士たち
であり、弁鏡閉会議等での協議では彼らの発言の影響力には中心的弁霞土との遣いはないよ今に見受けられた。っ
「株主オンプズマン』の中核を特定することは容易だが、権カの集中という意味での集権化はほとんど見ら
ま旬、
"象主オンプズマン』と株主代表訴訟ー
れない。柔軟性の大ききに闘しては、弁護士という職業が、たと、へ働務弁護士であっても、義務とされる業務さ
えこなせば残りの痔闘を比較的自由に利用できる、つまり自己の関心LC他の衆務とのバランスの中でフレキンプル
に運動に参加できるという点が大き〈作用しているように恩われる。弁護士という専門股のこのような性質が、こ
れらの変数に作用して『線主オンプズマン』に公式組織と肱遣った分権化L
と柔軟性という「新しい社会運型組織
的な側面を生み出しているロ
『株主オンプズマン』のこの組織構造を積極的に評価すれば、
E標途成のための業務の効率的配分と、活動継続
のための運営費径の明確化という点では公式組織的な伺首を持つことで運動組織にあ"がち本拝効率性や散漫さと
いう欠点を圃避し、分権化による民主的運営と組織の柔軟性という点では公式組織では持ち得ない運動組織ならで
はの利取を保持している。これまでの考察から、この、巧妙なバランスの上に成り立っている組織構造は法運動
を円滑に進めるために独自にアレンジされたものであり、弁護士主事の運動であることの帰結と老えられる。
『練主オンプズマン』運動における組織と環境の閣係
運動組織はそれをめぐる環境との相互作用の中で活動している。ここでは「株主オンプズマン』と密接な関係を
持つ運動組織、この還動に大きな影響を与えると思われる政府経務界の対応、マスメディアとの関係毛検討する@
そしてこの運動が弁穫士の遷動であることによって外部環境との関屈にいかなる位置が見いだされるようになって
依頼者なき法動員
いるのかを明らかにする。
四
協力組織との関係
「綜主オンプズマン」
の発足の背景として
-允人O年以来長期にわたって活動を継続している大阪の『市民オ
明
の
活
動
に
注
意
を
払
っ
て
お
く
必
要
が
あ
る
。
い
わ
ば
そ
の
分
家
と
い
え
る
存
在
な
の
『市民オンプズマン」は現在金園亙る所で設立され、それぞれの自治体の情報公閣を求めて活発な活動を
展開しているが‘多くの場合、弁護士等の専門家がその祷動を主導している。「市民オンプズマン」は創設以来大
阪府車部の聖書に対する住民瞬時例えば大阪府知事の交際費
22情報の公開をま幸子ど、行政
一ぎ
の情報公開語求訴訟等の活動を中心に、一定の成功を収めできた組織である。全国の自治体で問題となったいわゆ
る「宮宮接待じについてもその問題提起の先棋を付けたのは『市民オンプズマン』であった。そして、最近になっ
て「市民オンプズマン』の中から「株主オンプズマン』に直接連なっていく活動が現れた。一九九一一一年一
O月-日
の改
E商法施存と同時に提訴されたハザマ株主代表訴訟と、翌年の大枠組、鹿島に対する代表訴量がそれである。
さらに、この年には大阪府前知事のヤミ政治献金問題と関湿して、商法の株主差止請求権に基づき、大林組、関西
電力、大阪ガスの代表取締役らに対して府知事選候補者への政治献金差止訴訟が提訴され封。
現在、通常の活動において『株主オンプズマン』と『市民オンプズマン」はそれほど密接な協力関係を持って
いるというわけではないが、『株主オンプズマン』の申
Lメンバーは『市民オンプズマン』のメンバーでもあり、
2掴十
対象陪異なるにせよ情報公開をめざすという目標の点でこの-一組織の活動は非常に近接したもの仁なっている。
また、高島屋訴訟では、『株孟オンプズマン』と大阪弁緩士会尽暴曇員会との協力関係の下弁護団が組織され
ている。このほか日住金訴訟、住商訴訟でも『株主オンプズマン』の弁護士が弁陵聞の指場的立場にはいるが、
これらの訴訟に開通して多くの業務をこなす、若手を中心にした弁護士の多くは『株主オンプズマン』のメンバー
つまり各訴訟の弁護団はそれぞれ『株主オンプズマン』と密接会関係を持つ協働関係にありながらも
ンプズマン」
『株主オンプズマシ』は、
である。
IDt 誌続学お長戸神
ではない。
測備の組織として活動している。
方
i 何
の
i で
わ
株
主喜訟
純粋
書士
て
グ
ネスのチャンスだととらえて、次々に訴量を起こしている弁護士も存在す苧そういった弁護士の活動は、
の橋動と目的を異にしており競争関係にあ
マスコ
ミを通したパプリシティ纏得の見地からみて
『株主オンプズマン」
ると位置づけることができる。
-,株主オンプズマン』と権主代表訴事トー
の活動と直接寄療な協力
「情報公開」という共通したE的を持ち、数名の弁護士の重複したメンバーン
ツプを過して緩やかにつながっている。特に『布民オンプズマン」は『株主オンプズマン』と阿様に脊護土主尋の
運動であ旬、『株孟オンプズマン」は『市民オンプズマン」の活動から直接車生してきたものであるこ左はすでに
述べたロこのような組織のネットワークを観察する止、この法違動の発生にはこれら既存の運動組織の活動がその
ネットワークの存在が密接な関係をもつように恩われる。また、各訴訟の弁護団で活動する弁護士、活動に参加す
るわけではないが弁護団名簿に名を連ねる弁護士が、「株主オンプズマン』の活動を支えており、非会員話動家お
よぴ「良心的支持者」である彼らの支援なしには『縁主オンプズマン」の各訴訟は成り立たない。他の弁穫士の支
援が『株主オンプズマン』にとって非常に重要な資源であることがここに看取される。また弁護士会を含む他の
組織はそもそも運動発生色、人的資源リクルートの母体の役割を果たしている。
これら「橡主オンプズマン』
の周辺で活動する籍組織の活動は「株主オンプズマン』
関係を持っているわけではないが、
依頼者なき法動員
対抗組織との関係
次に、政府及ぴ経済界との閥訴を検討する。政府、経済界の対応は、株主代表訴訟制度の改変を対象とするもの
で、直接運動組織としての『株主オンプズマン』をそのターゲットにしている訳ではない。しかし、株主代表訴訟
はすでに見てきたように『株主オンプズマン』の活動にとって戦略的仁有効な遭具となっていた。またこの制度の
2
'" 活用により株主オンプズマンは大きなパプリシティを錘得することになった。したがって株主代表訴訟制度の再
7必
改正に関連する政府経済界の動向は『抹主オンプズマン』仁とってはその活動に対するカウンタームlヴメント
(対抗還面)としての意味を持つ。そこで、このカウンタームIヴメントへの司株主オンプズマン」の対応がいか
なるものであるのか、それが弁護士の運動でるることによってどのような特僚を持つのかを検討する。
総主代表訴訟では、会社に対してなされる給付は直接原告に経済的利益を及ぼすもの?はない。そこで、制度上
唯一直接に経済的利潤を得る可能性をもつのが弁護士とい、つことになる。それに加えてアメリカで株主代表訴訟
が弁護士の大きな収入源になっているといわれていることが相まって、この制度が弁護士にとって効率のいいぜジ
一讐
ネスのマーケットを提供するという見方が存在しており、実際-九九一二年商法改正をピツグピジ永スの複合左とら
さ
える弁護士も実在している。そのようなことから、代表訴蔭が盤訴によって弁鐘士を利するだけの制度であるとい
ID'I 誌雑
う批判は、はやくからかなり後強〈存在している。
『株主オンプズマン』、及び各株主代表訴訟の弁畿圏の主要なメンバーにとってこの制度で直接経務的利潤を受
けうるのが弁稜土のみであることは、社会的評価しといヲ観点からみた場合、この劇度が両刃の剣としての側面を持
学法戸
。ていることを示すものであるといえるだろう。彼らが公益的活動とみなしている旅主代表跡訟が、原替ではな〈
神
代理人にのみ経議的利潤をもたらすことに対するこのような強い批判的空気があったればこそ、
ン』は代表訴訟の提訴の際には必ず大阪弁護士会のレターヶlスに参加の呼びかけを入れるという繁維な作業を
いとわず会内での孤立を避けて法動員に公的な性格を持たせることに熱必につとめることになったのである。ま
そハザマ訴訟の場合には勝訴によって得た費用を#護団の弁護士に広く分配することによっ官、型車得巨的の
活動とみられる可能性のある側面がわずかばかりでも顔を覗かせないよう配慮し、莫大な経済的利潤獲得そのもの
重
が目的ではないことを強調するのである。
しかし他方で法改正後四年近
tを経た一九九七年になると、旅主代表訴訟の隆盛に対してカウンタームlヴメ
『株主オンプズマ
『株主オンプズマン』左様主代表訴訟ー
シトの活動にも勢いが生じてきた。このカウンタームlヴメントは、経団連、経済同友会をはじめとする経済界の
後押しで、自民党が制度鬼直し作実に着手する段階に至ったJぞの原案の主要な点は第一に哩告適格について、
哩行規定では一単位(子保)以上の株式を六今月以上保有する株主(商法二六七条一項)としているのに対し、「訴
訟の原因となった行為があったときで、発行滑み株式の一%または三吉単位(三O万株)を所有」に変更L、提訴
要件を格屈に般格化している自第二に被告となった取締役に対する会社の援助として⑦援告情への補助参加がで
きる、②勝訴取締役の応訴費隔の会社負担を認める、③輔決が磁定するまで被告側の応訴費用を会社が立て替王ら
れるようにする、とい主主ユ点を上げている。第三に取緒役が免責される注意義務の範囲が明文化きれていないこ
とが経営への萎結効梁を招くという経済界の意見を顧慮し、忠実義務違置や犯罪待為、重過失による善管注意義務
遥匡によりもたらきれる責任以外については現行規定での「総橡孟の同意」がなくても、定款ま
pd株主総会の
特別決畿で、会社は「相当な範囲内」で責佳減免が可能であわ、これによち賠償負担額を軽減することもできると
一色
している。この再改正案除、いう一までもな
tすべて取締役の負担を軽減する企図の下に作成されたものであるが、
最も重大な帰結をもたらすと恩われるのは提訴要再の厳格化にかかる改主であり、この案がそのまま実現すれば結
一一一
果的に株主代表訴訟制度からいわゆる「市民運動型訴竪が事実主排除されうるほどの強力なものである。
このカウンターム
1ヴメントに対応し、『株主オンプズマン」の弁護士の一人が対実を提古木し、その発表を計画
している。この案の骨子は、原告連絡につき骨歯車位株以上の保有者で保有期間を三ヶ月間とする。損害の発生の公
表以前から株主であることが必要。ただし、取締役の行為が造語五行為の場合、並びに補助参加資格は制限しない。
昏管絡について、支一底畳記のある地方裁判所も可能とする。③損害復については取締役在任中の報酬、退職金の
範図内に裁判所による減額を可能左する。ただし取締役の行為が刑都を持って禁止されている行為に違直した場合
はこの限りではない。@証拠開示に関して、会社が原告株主の求めに応じて必要な文書の提出義務を負担する。⑤
"観者なさ陰動員7必
7“ 挙証責任に隠して、被告の行場に注意義務違買のなかったことの挙証責任を負担させる。量商法二七}粂の改正と
して、不作為についても、これを怠った事実の確認請求訴訟の新設。市情報開示につき取締役の進法、不主不
当吾為に閲する情報開示請求権の新殺、の
7項目である。
この対案が、自忌民党案ほどではないにしろ、
担溜
やはり原告適格を般格化させる内容を示していることは注目に値す
る。この点については、株主代表訴訟は銀穂積的利潤を求める弁護士の「事件あさり」の対象なのではない請という一
批判的空気に対する反応として題解できる。取締役の責佳の減額を認めたことも、取締役個人の茸払い能力を趨え
た損害賠償を求めることが社会的に蚕け入れられにくいであろう一との判断からであり、企業のアカウンタピリティ
を求める立場からはむしろ莫大な金額の賠償を求めることによる企業との過度の対立、さらにはそのことによる社
S志維
会的批判を避けようという志向が伺われる。もう一つ注目すベ主点は、
ており、その多彩な活動に通寓する目的しともいえる企業の情報開口示、
「株主オンプズマン」が一貫して求めてき
学
つまりアカウンタピリテ一イに関する新たな梅
法
利の創設をもここで求めている点であろう。この控案の提示によって、カウンターム
Iヴメントへの対抗上の措置
戸
という意味づけを越えて、さらにそれを逆に利用して新たな立法的活動の領域に活動の範囲を拡張していこうとい
う方向があるように恩われる。そして、この再改正案は、損害賠償請求という法形式をとらざるを得ない株主代表
訴訟制度自体に対して、金銭
E的という批判を圃避し情報開示という目的をより明確化させるため、またパプル
期の「後始末」が繕ち着きを見せるであろう数年後まで活動を継続するためにも、株主代表訴訟を中心とした現在
の法動員のあり方の戦略的見直しの必要を考慮し始めるきっかけとなっているように思われる。
法曹専門職たる弁護士は言マつまでもなく法制度を知悉しており、カウンタームlヴメントに対してこのよう一な対象
を呈吉不すること一自体はおそらく容易なことであったろう。『採主オンプズマン』の対応がこの法改正の動向に関し
て力を持ちうるか否かは測として、政治動向に常に配慮し、素早い立法援業を可能にしているのは、この法運動の
神
中心的担い手としての弁護士の法専門聴としての能力だと患われる。
3
メディアとの関係
『機主オンプズマンjと株主代表訴訟ー
マスメディアによるパプリシティの獲需は、社会運動にとって決定的に重要な意味を持つ。なぜなら、彼らの運
動に無関心な人々にその運動の存在を認扇きせ、運動の持ついわゆる「構造的緊曹を広〈包めさせる経扇肱新
「株主オンプズマン』の精勤においても、その最大
聞、テレピ等のマスメディア一をおいて他にはないからである。
マスメディアへの広報的活動を遇して「株主オンプズマン」の活動がパプリンテイを得ていたことであ
『株主オンプズマン』のマスメヂィアとの関係を検討することで、彼らが巧みにマスメ
の成功は
るかもしれないa
そこで
デイアとの関係をコントロールしている様子を明らかにする。
『株主オンプズマン」の情動のマスメヂイアへの登場によって、企業活動への契機申し立てという行為自体が「総
会屋」の暗いイメージを払拭していわば「市民権」を得つつある。このマスメディアに対する広報的活動は、「株
マスメディアの仰の企業不祥事への関心の相乗効果によって抵大した。
主オンプズマン』による意図的な部分と
依頼者なき法動員
マスメディアとの関係が、弁護士によワてどのように語られているか見てみよう。
A
代表訴訟が企業監視の機能を持っているんだと。そして事実それでやっていますしね。それで金儲けはや
っていないというところがあるから
S新聞なんカが代表訴訟は正義の味方かと@正義の味方のふりをし
て本当はあいつらは銭儲けしているんだと、本当時陥S新聞は書きたかったんでしょうけれども、まあそろじ
ゃないグループがいるから、厳然と、だから叩きに〈いという面があるんだと恩三
1そういう面ではマスコ
市
ミの職略は成功していると成功しているし、我々の戦略は、大きく一報道されるという。だから、東京の一
禍XlJ担第緯学法戸神
株主が代表訴訟してもなかなか報道しないというのは、意図が分からないから。われわれがやったらパン
左大きくマスコミなんかも報逼してくれる、なんの意図もないから。第一勧銀のあれも、
NS(報逼番組名)
『市民オンプズマン』のメンバーだし、
ON君。まあそれは、
20年問
とか大きく報道した。あの原告は、
の蓄積があるから、市量遍の。
Q
マスコミもだいたいわかっていると。
A
わかってたんですね。だからN局〈テレビ局名)のMさんなんかしょっち?一つ言うてる、あんたとこがや
ってくれって。あんたとこだったらなんぼでも書けるけれども、他のめの野村のなんかやりおワたんどんな
人やって。書きに〈いんですね。そりゃあそうだと恩
51そういう意味で、マスコミへの作戦が、結果とし
て、我々陪意図的にやっているわけではなく、結果として成功した。そわやあ我々事実を言っているだけ
の話だから、別に意図してそういう小手先の職術でそう脅かせるということはない。
例えば、
γヤワッチの件なんか何日か前にA訴聞でかなめ犬きく出ていたが、ああいうのも特にこちら治
Q ら宣疋ゆするのではなくて。
A
E奇い
菖そのあ市れ民は
責h)行きつんたがで行す
てあ
13 ラ会プ見でに
責Eし生て F 、
?宮モオす長A ズ
買己盟主誌の同大
王主包授
載自て事
ました。あれはもう、室長に行っているんですロそれまでに、
K通信とかにでているのは、あれは勝手に取
材に来ていた。
Q
あと、例えば、この記念シンポジウム今度ありますよね、あれで有名人を呼ぶといったようなことは
注目を集めようということが若干あるんですか,
いや、私はあれは金然知らなかったけど、我々事務局は金然関掃しなくて、あれはM先生が壁ずにやって
A
いた。
M先生とSさんが親しい友へたから。それでやっただけの請で。
M先生の頭の中であったのかも知れ
ないね、
Sさんって-番v
な人だし有名Eし、でちょうど時期と。我々も後で閣員ましたけども。
M先生の
頭の中にはあったのかも知れませんね。
『徐主オンプズマ'Jと株主代表訴訟ー
Q
でもその
Sさんを呼ぶことによって社会的仁この達面はまっとろなものであるとい、つことをアピルして
いるという側面も結呆的にはあると恩苦うんですが
A
いや、もうそんなんせんでも結構報道して〈れているから、社会的に認知されてしまった。あれ、目住金
の問題をやって社会的に認知されたんですね、我々としては。
Q
最初からマスコミは大えく関心を持ってとりあげて。
A
ぞう、股立総会三月の
-O日からもう全郵ですね。
A新聞なんかこんな大きく書いてくれた。これがす
』い。
一九九七年の定時株主総会直前の時期には複数のテレピ局が会合
一般紙のみではなく経務関係の雑誌にも頻繁に「株主オシプズマン』に宵及する記事が掲
載されている。さっして従前からの括動で築いてきた人的関係も触曜となってマスメディアに認知されることによ
り・『橡主オンプズマン」は犬きなパプリンテイを得、栓会的アピールのための回路を確保できたのである。
経務界をめぐる現在の社会経済情勢を背最とした、へのマスコミの大きな関心!と、
』のインタヴユで言及されている以外にも、
依願者なき法動員
の攻材を行った。また、
『株主オンプズマン』
株
'"
の側のパプリシティ獲得を目指しみfよ積極的なマスコミ利用が相まってマスメディアへの盆場の額
度は非常に高い。記者との個人的な関係の樗築ゃ、記者クラブヘ出向いての宣長話勧が可能なのは、運動の担い手
がマスメディアに通用するリヌベクタピリティをもっ地位にあるということの度挟だと考えられる。運動の申心的
主オンプズマン』
,~
担い手が弁護士、大学教授等であることがここに大きく作用しているであろう。
盟組
弁績士ネットワークと「依頼者なき塗動員」のま議
運動への参加、あるいは支持を表明する弁護士層がこの法運動の重要な基盤となっていることがこれまでの考察
から明らかになった。この知見を一般化すれば、弁護士の通常の業務活動と阿等の報酬を期待できない、いわゆる
公益訴訟への参加と、その活動の維持にはこの弁護士のネットワークの存在が関与しているのではないかという仮
説が成り立つ。すなわち継続的に発生する法運動のマトリックスどして弁護士の連帯関幅を把握できるという見
方であるロそしてこの見方は既存の違帯が組様化のコストを抑え、運面の発生を促進するという資面動員循の基
四
誌雑
本的主張とも合致している。
資源動員諭的観点から、片桐は運動過程悶式を垂水しているが弁護士の連帯関係はこの中で、運動の初期段階
の構造的緊張、不構の共有化、警意図の成立のマトリックスとして機能し得よいザまた弁警の聞で運動発生へ
のこのようなプロセスが進存する中でこの連帯は運動の回標達成の可能性や自己と他の弁護士との比較に際して
参照される準拠集団、としても機能するだろぅ。また、運動の維持、展開に際しでも、中PL的な活動家として、知的
資諌を供給する支後者左しであるいは弁護団に名を違ねる支持者として、法運動のすべての周扇で重要な人的
学法戸神
資源のマトリックスL
としての弁穣土のネフトワークが活用されるであろう。
にみられるような政治的な法の動員は、ごく一部の弁護士による突出した行
動とい?わけではなく、実は弁箆士層の一郎分を構成する公益弁護士層の、一ネットワークによる具体的支援、良心的
支持1
あるいは暗黙の支持に支えられた活動でありその公益弁護士層は既に述ぺたように戦後日本で盛んに試み
られてきた政治的法動員を狙ってきた弁護士たちの歴史的系諸に建なっているのこういった法運動の歴史の中でそ
このように、
『係主オンプズマン」
の法動員の道極的正当化に用いられた言艇は、法の自律性に頼ることの困離な日本社会では権力による人権の抑匝
置
という「善悪二元論の解釈図式」であったと言われている。そこでは弁護士は、法によって武裳し、虐げられた被
害者を救済するエージェントとして存在していた。
『持主オ〆プズマンJt抹主代表訴訟ー
しかし、弁護士主導の法動員である『株主オンプズマン』め活動はこういった図式からはかなり逸脱していた。
つまり企業とその株主の関係は権力者と彼抑雇者の関係仁疲せられる節分もあるとはいえ株主は基本的じは企
業にとっては出資者である・その上、弁護士は株主たる依廟者のためではな〈「政治的市民」として運動の主体と
なり、自己の政治的信条の表出のためにこの法運動を展開している。つまり、この法運動は、ある政治的意向を持
った人々が自己の符殊な専門前能力をその志向の追求に最大限利朗しつつ展開している社会運動方L
と捉えるのが適
切であると恩われる。そこでは職業的理念の追求よりもむしろ自己の価値観を牡会に強力に主張することに主眼が
重かれ、その手段として弁護士としての職能が利用されている。
それでは、依頼者が不在であるこの運動に、潜在的依頼者層からみていかなる積極的意義を見いだしうるのであ
ろうか。「株主オンプズマン」の活動の特色を振り返りつつこの点を後討しよう。
「株主オンプズマン』の市民会員のうち、数名は確かに活発に活動に参加しているが、活動方針、活動内容とも
中心になってリグンツプをとっているのは当初から弁護士であった。その意味でこの法運動はまさに「弁護
士の運動」左呼ぶべきものである。さらに厳密にいえば、これは法律家としての谷轄と能力を持つ個人の進脅によ
依麟者なさ法動員
る運動だと理解できる。
このような弁護士中心の活動どなった理由として、この組織の背景には、前述の、これもやはめ弁護士が中心的
に活動をしている『市良オンプズマン』があり、また一九九三一主商法改E後初の株主代表訴訟となったハザマ株
主代表訴訟は行政活動の監視を目的とする『市民オンプズマン』が行政との関係において企業活動に監視の目を向
,~
由
けた結果の訴訟であったことに注意する必婆がある。つまりこの数年でそれまで『市民オンプズマン』に参加し
ていた弁護士の中に行政活動の監視だけではなく、パプル後相次〈企業不樽事によって企業活動に同様な監視の目
争向ける必要が感じられ始めていたという環境が前提にあり、そこに住専問題が触媒となって彼らを中心に『埜豆
オンプズマン』が設立されたと考えられる。このような事情が、弁護士中心で依頼者の査在しない法嗣買の前提に
あったのである。
ただ
れらの
革
主士た
在
中
古
語
して
る
S E に押
幽す
にやや
沼凋
海雌周一を感じているように恩われる。その葛藤の理由は、弁護主の経務的利潤獲得のみの活動とみられることへの警
戒感である一。市民会貝を幅広く募って運動の外延を広げていこうという活動は、社会的支援やパプリンティを後縛
して、この活動が少数の法エリートによる自己満足的な活動ではないことをアピールしていこうという志向の反映
と恩われる@また、このように社会的に犬きなインパクトを持っと思われる訴僚で弁能回を組織する場合、『株主
オンプズマン』の弁護士は大阪地裁内の弁霞士控室にある大阪弁護士会所属の金弁護士のレタiケースに弁護団
への参加を呼びかける案内状を配布している。作業の繁雑きに比して‘実際にこの案内状をみて参加する弁護士は
わずかだというが、この作業によって弁護士会内に広〈門戸を開放し、孤立を防ぐ左いうねらいがある。
このように弁護土自身が社会的意義を見いだしているイシユ
lに関する依頼者なき法動貝つまり弁護士自身
一般の株主への法的彼務提供どは無関係かというと、そう。とはいえない点も散見される。
一O毒事仁は、それまでゐ荘に対するクレームを表明する回路を持たなかった
誌維学法戸神
の法逼動は、それでは、
たとえば、この運動が告す各種一
一般株主の掌晶が多数寄せられている。
A
うーん、それは本当は、そういう一面も、ある意味で株主の方で非上舗で代表訴訟やってくれというのある。
査当はそういうのをしてあげたい。ただ今もうちょっと我々弁護団もできるのならそういう徐本権、少数者
の権桶を代弁してあげるというか、少数者を助けるしというのは本当は、今海然-体になっているからそっ
ちへのぴていく要素もあるかもしれない。だから住商もある意味ではそろいう函だという。だから私は、両
『株主オンプズマ>Jと株主代表訴訟ー
方踏み外したといったらその状態になっているからどっちへ行〈かわからない、と。私たち
-つの市民運動的な発想でものをみているけども、もろ少し市民株主が書いたいことがい
えないと一事ワよ三つなところをも、帽を持っていかないといけないという意識もある。今我々は状態で、
どっちへ転がっていくか。おそらく我々としては、両方やってい〈こ左になるのかなあと。ま、
は主たるものは、
-年だから
わからないが。だからそういろ活動もしないと、もっと我々の運動は広がらないとおもう・だから株主代表
訴訟で非上場の企業でやってもらいたい、聞いてみると一定のがあるというときに我々は本当にそれ
を応援してあげたい。ぞれは単なる企業の中の喧嘩だが。それが一定の社会性を持つのであれば、少数者の
株主が持っている権利を法的仁援助するどいろ側面にものびていきたいなと。ただ我々のマンパワーは今は
ない。ただ、それも、しないと増えない。還動の必然で。
依頼者なき法働A
『株主オンプズマン』の活動には、一面ではこのように新たな法サlピスを提供する機関への萌芽もみられる。
もちろん人的資源をいカに確保するかという問題ゃ、
ζの種の活動でいかに適Eな収入を受けうる体制一を構築する
かという問題は残るが、#笛土の側からの法運動の組織化"がそれまでサービスの受け手側にとっても錘苦闘覚であ
ったような潜在的fS紙約需要が見いだされるトリガー左なる可能性もあり得ょう。この点につき、たとえば烏飼は
『株孟オンプズマン』を「弘製販の大阪地検特綾部」に模し、充分な社会的信頼を虜ち得れば株式会社内部の腐
敗に閲する情報を集約しうる組織となりうるとしてい話。この観点からみれば、有限会社『株主オンプズマン』の
"'
市
I E
結
諭
氾祖
この法運動の滋自性は、救済すべき深刻な損害を被っている依頼者が事実よ存在せず、また、弁護士自身が株主
となりうることから、法運動にしばしばみられる弁護士と依頼者との葛藤があり得ない点にあった。そのため‘運
動組織に関わった弁鰻士たちがほぼ完全に主導する法運動となったのである。そして前章の考察参遇して、第一
に、この法運面の中心的担い手としての弁陵土の存在が『旅主オンプズマシ」の組織構造の特徴に大きく影響して
いることが明らかになった。つまり、運動組織と公式組織のそれぞれの特徴を備えた組織構造は、弁慶土主導の運
動であることによって彼らが自分たちの活動を円滑に進められるようアレンジしつつ形成してきたものだと考え
誌
" ~ 法
られるのである。
戸
第二に、他組織との関係においては、先戸付する運動組織として
=o年近〈活動を継続している、これもやはり弁
護士主導の『市民オンプズマン』が、『株主オンプズマン』運動発生の基盤となっていた。加えて、『保主オンプ
ズマン』の会員でなくとも、各訴訟の弁護閉会議に参加したり、弁護団に名を連ねたりする多くの弁護士も『株主
オンプズマン』の活発な活動を支える基盤となっていた。また、政府、経済界マスメディアへの対応のあり方に
も弁護士のもつ専門知機リスペクタピリテイ人脈が大きく影響していたことが明かになっ
fz
ここまでの観察を総合するk、この法運動は中心的担い手が弁事エだったからこそ生起し、現在の活動が成り立
ち得ていると率一えられよう。それ故、この法運動では人的資源の動員の主要なターゲットは、登録銘柄を増加させ
るための株主会員の他は活動に参加、あるいはそれを支持する弁護土であったということができる。
神
つまり、
株
である。
『徐主オJプズマ/Jと株主代表訴訟
の活動は、依頼者の利益を代弁するという通常の業務活動からいったん雄れた独自に組織
された運動を通してはじめて生まれたものである。『株孟オンプズマン』は未だ社会情勢の変化に応じた新たな法
サービスを社会仁提供するという能力を得るまでには至っていないが、こうして現れた法的役務の新しい類型の萌
芽が書在的需要を渇性牝させ現状ではこれまで事実上権利行使を試み待なかった潜在的依頼者層である-般株主
を引きつけてゆくことになるかもしれない。そして、この点に、依頼者H株主にとってのこの抄運動の積語的意義
一つの社会運動のもたらす効果として潜在的依頼者層がとりうる行動の
「株主オンプズマン』
を見いだせると恩われる。この法運動は
オプシヨシとしての-種の公共財を生み出そうとしているように思われるのである。
2
高橋利明塚原英治編『ドキュメント現代訴訟』日本評論社二九九六)参照。
これら多融会公益面動を包領する「コズロヤリング
(ag何回調
36自由)」という新たな概念が、近時提示されて
「コ
1ズロlヤリ長」とはシヤインゴールド
(ω
奇話偏差-m
依観者なさ法動員
u、る。
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とらを中心とする弁穫士
の国際調査プロジェクトにおいて、弁限ム工の公益豹扇動を再定義した掃である。ステユアド
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シ守インゴール
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(oa薄節生監訳、大塚清訳〕「アメリカにおける公益的弁護士語動」判例時報一五四四号九頁はζの商を以下のよ
うに税闘している。
四
ローズロ1ヤリングとは、弁謹士が自己の政治的社会的恒福観を法実務へ組み入れていこうとする努力を指し
ている。対照的に、通常の弁譲士活動は、#龍平ムに対して、依頼者の初盆左目標から中立であること
lつまり依
額者の味方であると同時に依頼者仁対して中立的であること
lを要爽している・コズロヤリングは、アメリ
市E酒誌維学法戸神
カの通常の弁護土活動に内在する遺徳的真空を満たし、アメリカの弁護土がその専門職kしての生活により操
い意味を与えるごとを可能にするのである。コlズロIヤリングは、それゆえ、弁護士に対して、
「伺ずるべき
もの」〈
ge昌一agE局混図面)を提供してくれるのである。
「公益的弁護士活動」の重要な柱の一つは無償で管われるいわゆる「プロボノ活動」であることから「公益的弁
護土活動」という踏には、無償の奉仕活動というイメージが闘い。しかし、コIズロ
1ヤリングで位、力点が弁議士
自身の政治的社会的価値観からの活動であるという点におかれているので、その橋脚が、収益を生み出すか否かと
いもう点はここでは削題とならない。すなわ色、仮にある積動が莫大な経済的利潤を弁護士にもたらしでも、右配の条
件を満たしていれば、それを21ズロlヤリングと呼ぶことが可能なのである。
3
棚瀬孝雄「弁陵士倫理の言説分析市場の支配L
と脱プロフエツン司ン化(2)」訟律時報六八巻二号(一ー九九六)五
。頁一参照・
4
高困昭彦「環境問題への諸アプローチと社会還動防l環境社会学と社会運動論の倭屋社会学評給四五巻四号(一
九九孟)四二七頁一多照。
5 6
欄曹孝遜「話可としての法緩周(一)(一一室)」民商法雄箆一
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T雪=230)宮聖節生「梅利l法文
化賓客のリベラルピジョンLζ
権利批判酋」宮樽鋪生神長盲合子編集代表『法社会学コロキウム』目本評面社(一
九九六)一=九五賞、和国仁孝冨主宰の解体ど再生』弘文盆(一九九六)を参照。ここでの「解釈」という魁聞は
「VRE白旨Eum」を意味し、実定法学で一般に用いられる「解釈学」の意味を必ずしも指し示しているわけではないこ
とに留意する必要がある。また、解釈昌子的法社会学は、ぞれまでアメリカで最も有力に、
一巻回目五号大号(一九九千主)参照。
一種の政策科学的色彩を帯
びながら遂有きれてきた凶
hZB色野豆言、パラダイムに話事寵明党方法へのポストモダニズム的批判から生まれてき
た方法である・
7 )
依親者なきさを動員 『樵主オ yプズマヰと棒主代表訴訟ヶー
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(ぬ)社会改革釣な法動貝に焦瓦を合わせた研宛として、アメリカでは、
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SEE-a濠誉Enstzh応、青zeEM(耳目)といった研究伊ある。日本では宮薄飾生「梅刺形成、
展開運動の社会運動モデルをめ
gして」法社会学園O号(一-九八八)一三ニ買長谷川公一「「現代型訴訟」の社会運
動諭的表
aT↓貸出国動員過程としての裁剥過逗」法律時報六一巻一二号(一九人九)六五買、樫柄引秀木「桂信運動におけ
る『事豊島向』と『プロセス志向』
l産業樹脂薬物処理錨設建設反対週動を素材として(1)(2
童」鹿児島大学法学
諭集主O巻一号一二九頁、三O巻二号一室七頁(一九九宣て犬塚務「法速動としての憲法訴訟と弁護士の機能
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暗E四
" 雑学法戸神
MV代」鯨訟と衆院定数訴訟を素材として(1)(2隼
α」六甲台省集法学政治坐縄問二巻一号(一九九五)五二頁回
二巻二号(一九九六〉六三頁といった碕究が法動貝アプロチからなされた荷究と静価できるが社会改革的法動員
を対象とするより本格的な研究は、日系アメリカ人の再審議求運動において法の爾来たした象徴的機能に着目した神長
育合子『法の象徴的機能と社会変掌lH呆アメリカ人の再審繍求運動』勤草書房二九九六)が初めてのものであるa
II
59EL
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例えば前述の神授の研究も法に対するこのよ?なヴイジョンを前提にしている。
12 13 14
そのような研究の例として開言tFMJ邑EgqemrdE普旨ヲ。自宵優陣
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aF{軍事)などを多照。
マッキヤンのいう「権調意強」とは、法的慣訂及ぴ楼ディスコ1スの使用を通して社会的世界を理解し、ぞれLC
の
15
関係を構成するダイナミックなプロセスから生み幽されるものだとされている
(ZRBPF邑T30すなわち、この意
味での格制意識は、法規範や狼判官町等の使用を通して得られる楼制度のあるぺき姿に闘するきお表象ということにな
る。多義的に周いられる藷である「法意蔵」の意味内容を銅製化した六本によると、この意味での法意織は日本でこ
れまで織論されてきた値観念像としての法に対する法議織とは異なり、
「U
法意旦と言い換えることが可能なものであ
り、法意織に関寸るこのよう一会周籍法は、主L
として欧米で周いられてきた左いう。六本笹平『法社会晶子』有嬰闇(一
九八六)
16
一九三
l一九六貰参照。
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(50a)ゐ合
f練主オンプズマン』と株主代表訴訟依碩者なき能動員
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前掲注
(6)利回、一一二}頁。ただし、和闘の批判は拘ぽ客員司ミ持に対してではなく、法社会学の方法論に関す
る到の詣者差対魯宣している芝吉宮
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18
前掲注(崎)大塚参照。
空軍
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喝を雪民居留宮、
uNbRtp長国
JntS2畠凶)
メルツチはさらに、社会運動を一種のメディア(媒体)と見なす立場から、行為者として小グループめネットワi
文化的闘争を遂行しているのが‘彼によれ
19 型21
クに注目しているがそれは、社会運動というメディアを通して象徴的
ばいくつかのグループを合苔ネットワークであり、特定のイリューをめぐってネットワークに何らかのアクセスを持
つグルプがその都度現れでて〈るという現象が見られるからである。運動グループのネァトワクがイシユごと
に形を愛、えて現出するという理解は、筆者が憲法訴訟の事例研究で得た知見とも整合している・
片柄新闘『杜会還動の中範闘理苧斗食賞源動貝論からの展悶旦』束
本鯛蚕では、一九九大年九月以降、
n
一通の活動仁参加している弁護
士へのインタヴューを併用したフィールドワークを行9
た。フィルドワクの方法については佐蕗都哉「フイ1ル
『縁主オンプズマン』の会合への参与観察と、
ドワク容を持ヨて街ヘ出ょう一」新曜社(一九九二)事照。
23 )
日本経済新聞一九九七年問R-二日朝刊参照。
馬奈木昭雄『熊本水俣病訴訟水俣翁二六年のたたかい」「ドキュメント現代訴訟』目本野論社(一九九六)二一一一
M 25 }
頁参照・
法違動における「プロセス志向」の存在に着目した層究L
乙して、産業廃棄物処理施能燈設反対運動のケーススタデ
ィである前慣例溢
(m)の樫択の研究がある。これは日本の法運動研究の中で「新しい社会運型晶画を明白に意簡した
団直恵~ 維学法戸神
嘆一の研究といえる@
26 )
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「ハザマ佐保主代表彰僻畿市民の酋還による企業の論理の断罪」「ドキュメント環代訴松』目本評鎗祉(一
九九大)ニ豆大頁一参照。
N是「Z
2
8仏〉
P戸
-6E巳室。諸白目。者昆国
EEPZ会句宮
ESEEN-zoo-)参照j
片桐新自『社会運動の中範囲豆諸l資源動員諭からの展開』東京大学出版会〔一丸九五)八三買参照。
有限会社では資本の低額は一一百万円以よEされ社員ゐ買が忠実本に対する均等の出資義務を負う(有限会社法九
低
空
沼29
冬
主
30
一人または数人の取崩役を置かなければならないことになっている(有限会社法二五条)が、
主オンプズマン」でほ、この三名が鴨川ι締役となっていると恩われる。
『
株
31 )
前掲話(お)人=一ll八六買語照。
通商産業省産業政策局産業資金拠緬『株主代暴露僚の現状と課題』別冊商事法務一七一一一号(商事法務研究会、
九
32 )
主一人頁参照。
お
そのような弁護士に測して、後指栓(心)参照。
朝日新聞一九九四平二月一丸目朝刊、岡田月一一一白夕刊参照。
朝日薪同-九丸四年一月二七回夕刊参照。
辻八ム雄「大阪祷文書(懇談会費知事交際空公開訴訟情報は民主主袋社会の通産「ドキュメント現代訴訟」〈一
九九六〉二重O頁倉属@
34 35 36 37 )
朝日新聞一九九五年七月一二日夕刊参回目。
「市役所見按hp
番片
「グル:プ市民の目」等の
38 )
『市民オンプズマシ』はさらに
「知る権利ネットワーク関西」、
『抹主オ/プズマン』と株主代表訴訟ー依厳者なき怯動員由
行政の情報公闘を求める祉会連動組織と「園に情報公開法を求める関西市民連絡会」を鱒成して緩やかな遠棋を構築
している(朝日新聞一九九三年九月一一七日朝刊)。
39
後傾向注(型参照@
中村草人「株主代表訴訟における弁護士の役割」小椋秀之近藤光男編「株主代表訴訟大系』弘文堂(一九九六)
二一二一ニ質量豊龍一九九七年五月一二日朝刊程働問。
40 41
日程産業新聞一九九六年二月大目が、日本でと世玄でなかったビジネスチ々ンスを旅主代表訴訟に求めていこうと
する弁護土を紹介しているa
昭事による在、この弁護士は「おそらく日本で最も多くの代表訴訟にかかわっている#
陸士」であるがそこで述べられているように、これまでに得た報蘭M、ハザマ事件の六万円のみであるという。現
状では、担保担供制度の運用や、判例の安定性によって株主代表訴訟制度が安定的に経漬的利潤を得ることので
きるマーケットとして多くの弁欝士の参入を受け入れるにはかなりの図鑑が伴ラだろうということが明らかになり
つつあ@ように恩われる。また、
ハイリタIJを得ることができるし乙してもハイリスクでまたハイコストを要する
株主代表訴訟が、
「それぞれの実務に忙しく、ある意味では充足」している日本の平均的弁策土にとって十分館力あ
るマケットを提供して〈れるのかという問題もゐる。岩原紳作他「《座説会V
旅主代表訴訟制度の改善を今後の閑
42
事点」商事法務=一三九号(一九九三一)一七頁参鯛a
ハザマ株主代表訴訟での弁護士報酬の分配方法
総
嶺
二
、
zu八、-八O甲骨
税金プール分豆大士一一人O円l晶
⑦γー
@E-q六一五三O二円を大阪弁護団と車京弁護団で分配e
四、六七人、八O二円
叩E溜誌緯学核戸神
東京弁護団
大阪弁護団で上記園、六七人人O二同を下記の通り分配。
五九三六、支OO円
常任弁護団辺名への報酬
一豆O、000×-一一
l-、λ00、000阿
東京地識での弁論奪のための交通安
-O回一名、九回一名、六回一名、一一一圏一名、二回二名。
針己ニ二回
一回一エハ九六O円豆一一一一H
八犬二、七二O円
大阪ハザマ株主代表訴陰弁陵図への謝礼
金貝(人}名)に一人一万円の商品券
一0000円X八一目八一
o、000円
原血雇主へ(東京地殻への交通費二回分含む〕
二00、000円
寄付
株主オンプズマンへて
Goo-000円。このゆから高島屋棒主代表訴訟弁護図事務局へ二五0
0
0
O円、日住金損迄賠償訴隊弁護聞事務局へ二亙0、000円を支出回
事
費拷
君
ぺO八二月
高聞、六七人八O二円
43 )
大阪での弁護団会議参加のための交通費、通信憂コピ費は支出されていない。
弁務闘の組織花に関して、
HIV訴訟弁譲図と「市民謡動型」の株主代表訴際には対照的な点があったこL
とが
主オンプズマン」中心弁纏主へのインタピュ!の中で宮及されている。
「
株
A
利益まででる必要はないが、める程度ここへ入ってくる差い弁穣土は社会的な活動ができて勉強になって視は
しないという、この三つの要件がそろったらもう少し広がる喝なと。ただ今は鍋しているばかりa
社会的な活動
『株主オJプズマン』と持主代表訴配ト依頼者なき法助員加
になるし勉強にもなる。だけどそれでペイできない@もろちょっとそういう活動してどうに治できたら。消費者委
員会なんかそうでしょ。消費者活動というのは、あれはあれで当初は投資。
PJけどやってい〈過程の中で、一定の
そこで自分が経験を積んで、次の事件がやってきて。それが、消費者の事件の弁護団があの頃増えるa
薬害の弁鰻
一一定の成果を取ってい〈と今度はある事件
園もそう一。薬害も
一園ゃっちゃヴ色最初はもう会〈ボランティア。
なんか、例えば今のミトリ十字なんかものすごい弁護士に払っている。桁MY違τうのではないか。スモンなんカもそ
ぅ。当初以十年同ぐらいスモンもそうでしょ。ところがあれは最後の和解金僻していくから、あのときの弁護士報
酬は何千万単位ではいっているでしょうーだから弁綾聞もいろんな@EIV弁護団なんてま内輸の諾で、要恩
のHIV弁護団なんて全国に事百を組織していくから、例えば仙台にHIV弁護団があるでしょ。あれは自分
ら錨繭にならない。東京の弁被団の方へ。大阪の弁護団は、仙台なんかの患者でも大阪で訴訟を起こす。その結果、
彼ちは拡大しないka一O
名か一二、三有だから何千方LC報酬が入ってくる。当初、金はものすごいかかる。十
年間ば投資している。今はもう報酬で図っているん違う9スモン弁護固なんか問題になっていた。提訴してくれと
いうのに提訴しない・なぜかというと、大阪の弁議土報酬が今年もういらんという。後払いにするとかな。問題
仁なったことがある@
Q
そんな理由で。そうですか。
A
だから薬害事件でやっている弁護士も、当初はもう金〈ボランティア。ところがいざ線到に実ってきたら、故大
しない。
Q
これ以上すると、時間や手聞が犬きすぎるという・
(中略)弁護土の配分が減っていっちゃ』ーだから自分らの成果をそっちへあげないかんとい
うa
ぞれが東泉HIV#護団左大阪HZV弁護団の矛盾なんですよa
A
いやいや迎、逆・
明... 誌雑学法戸神
44
法律益諸問一二七丸号参照・
株主代表訴訟における「市民運動型審録」として位、
一般に会社への領蓄の回復ゃ、取鵠締役の違法行為の抑止を直
45 )
織的な目的とぜず、社会的な不
Eの是正や企業の社会的責怪追及のために株孟代表訴際を手段として刺周する場合が
念頭に置かれているようである。その中でも原平カ発電訴建設反対運動専の社会的主穣の実現のために線主代表訴訟
を手段として利用する場合色、贈収賄や畝似合等の社会的不正の是正のために手段として利用する場合左に分類が可能
とされてお旬、その後者の類型で念頭に置かれているのが『株主オンプズマン』の前身である『市民オンプズマン」
が関係して提起されたゼネコン汚職関連の訴僚である前掲注(辺)
一O頁参照。
46
前掲栓(勾〉七七貿嘗照ι
初瀬孝雄「鹿プロフエヅンョン化と弁護士像の変容」日本弁隆士連合曇編集委貝会緬『新しい世紀への芥昔懐士像」
荷襲岡(一九九七}一九一買語隔
B
鳥飼重和「株主代表訴訟の健全利周への会社役員の対蕗」自由と正義二九九六)人三頁多照。
宮樽は、百本の法ザ}ピス市場ではすで仁甫崎原理が事実よ支配的作用を及ぼしている一方、市場で商品や購入す
るための資源の分布が必ずしも均等なものではないといろ現状では、大量の満たされない法酎ニズが発生するとす
る@そして、このよ
3な法サ!ピスへのアクセスの不均等を是Eする活動としてコlズロ
lヤリングを惣定しその
発展の基盤を模索することを焦肩の課題としているが李議で紹介し子操主オンプズマンの活動ゃ、犬阪の弁護士が
中心になって寄付金によって璽立した公益情動のための「ひまわ旦基金」は、この文脈でL
とらえれば、弁護士たち自
身の将来のコlズロlヤリングの一あり方に対する積極的な布石と考えることができよろa
前掲詮〔2)
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4時〉
二ハ頁参照。
一九九七年八月脱積
本粛は、文部省科学研究費槍助金広よる研完成果である。