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Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資 料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであ り、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果 については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い 申し上げます。 -1- 更新日:2007/9/3 中東事務所:石田 聖 3 月より始まったバハレーン政府による、同国海域の探鉱および陸上 Awali 油田のリハ ビリ・プロジェクト鉱区公開 2 は順調に進んでいる。 バハレーン政府は、唯一の国内油田である Awali 油田の生産維持、外貨獲得手段として の新たな石油リザーブの発見、さらに国内消費エネルギー源の確保のため、今回の鉱区公 開に大きな期待をよせている。 1.鉱区公開その後 9 月 19 日に締切り予定の本海上鉱区公開では 25 社の国際石油企業が鉱区獲得を目指してい るという。開札の後、10 月 31 日までには契約が締結される予定である。 一方、陸上の Awali 油田の再開発にも多くの企業が興味を示しており、海域の探鉱鉱区より むしろ人気が高いとの声もある。この再開発では 2015 年までに 700 坑を掘削し、12,000b/d の増産を目指すという。同様に締切りは 10 月 17 日が予定されている。 Awali 油田の集油・ガス構造は、隣接するガワール背斜やカタールアーチとは違い、単独のソ ルトドームであり、周辺にカルミネーションは期待できない。このため海域の炭化水素ポテン シャルは低いとする考え方もある。一方、バハレーン国営 Bapco は、これまでのデータを再評 価し、層位トラップを含めて新たなプロスペクトやリードを確認したとしており、今回の公開 に当たってもそれらが探鉱対象になるとしている(図 1) バハレーン *1 :鉱区公開(続報)  ―湾岸の小国の新たな動き― *1 同国名の日本語表記には「バーレーン」、「バーレン」などあるが、国名の由来となった2つの「海(バハル)」 のアラビア語の発音に近い「バハレーン」を用いた。 * 2 「バーレーン海域で鉱区公開」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1637/0704_out_f_bh_bid.pdf

バハレーン :鉱区公開(続報) ―湾岸の小国の新たな動き― · 出所:バハレーン中央銀行、NOGA資料 より作成 写真 湾岸1号井と記念碑

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Page 1: バハレーン :鉱区公開(続報) ―湾岸の小国の新たな動き― · 出所:バハレーン中央銀行、NOGA資料 より作成 写真 湾岸1号井と記念碑

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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

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更新日:2007/9/3 中東事務所:石田 聖

 3 月より始まったバハレーン政府による、同国海域の探鉱および陸上 Awali 油田のリハ

ビリ・プロジェクト鉱区公開* 2 は順調に進んでいる。

 バハレーン政府は、唯一の国内油田である Awali 油田の生産維持、外貨獲得手段として

の新たな石油リザーブの発見、さらに国内消費エネルギー源の確保のため、今回の鉱区公

開に大きな期待をよせている。

1.鉱区公開その後

 9 月 19 日に締切り予定の本海上鉱区公開では 25 社の国際石油企業が鉱区獲得を目指してい

るという。開札の後、10 月 31 日までには契約が締結される予定である。

 一方、陸上の Awali 油田の再開発にも多くの企業が興味を示しており、海域の探鉱鉱区より

むしろ人気が高いとの声もある。この再開発では 2015 年までに 700 坑を掘削し、12,000b/d

の増産を目指すという。同様に締切りは 10 月 17 日が予定されている。

 Awali 油田の集油・ガス構造は、隣接するガワール背斜やカタールアーチとは違い、単独のソ

ルトドームであり、周辺にカルミネーションは期待できない。このため海域の炭化水素ポテン

シャルは低いとする考え方もある。一方、バハレーン国営 Bapco は、これまでのデータを再評

価し、層位トラップを含めて新たなプロスペクトやリードを確認したとしており、今回の公開

に当たってもそれらが探鉱対象になるとしている(図 1)。

バハレーン* 1:鉱区公開(続報)  ―湾岸の小国の新たな動き―

* 1 同国名の日本語表記には「バーレーン」、「バーレン」などあるが、国名の由来となった 2 つの「海(バハル)」のアラビア語の発音に近い「バハレーン」を用いた。

* 2 「バーレーン海域で鉱区公開」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1637/0704_out_f_bh_bid.pdf

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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)中東事務所が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

 現在 Awali 油田(「バハレーン油田」と

同義)からは、約 35,000 バレル / 日(2006

年)の原油が生産されている。同油田の

埋蔵量は、15 億バレルと言われ、2007

年の 1 月までにそのおよそ 70%が生産

されている。図 2 に同国のサウジアラビ

アとの共同開発油田であるアブサファ油

田分(バハレーン取分)とあわせて生産

量の推移を示す。湾岸の油田は小規模で

あっても非常にポテンシャルが高く、継

続的な生産と不断のメンテナンスによっ

ては、その寿命は非常に長く* 3

なり、生

産量、回収率も大きくなり、「埋蔵量の

成長」が期待されることが分かる。

 Awali 油田は、図 1 に示したとおり炭

酸塩岩および砂岩の多層貯留岩よりな

図 1 Awali 油田の地質断面図

出所:Bapco ウェブサイトより作成凡例の具体的説明はない。

「バハレーン」油田 EASTWEST

る。石油は上部のジュラ系および上部白亜系の 17 層、ガスは下部のカタール・ノースフィール

ドガス田の主要産ガス層ともなっているペルム系のクフ層の 4 層から産出している。

 

2.バハレーンの探鉱史

 バハレーンはアラビア湾に浮かぶ小国で、陸域面積は日本の淡路島とほとんど同じ約 660km2

である。Awali 油田は石油(油田)の「銀座通り」とも言える中東湾岸地域で、最初に発見され

た油田である。これが端緒となり、その後のアラビア半島本体への探鉱の進展へとつながった。

 島内の最高地点である Jabal al Dukkan(「スモーキーマウンテン」の意、海抜 134m)の南東

には、湾岸で最初に石油が発見された坑井が残されており(写真)、現在も油層圧維持のための

* 3 後述のとおり、Awali 油田は発見以来既に 75 年が経過しているが、ここ 20 年以上 4 万バレル / 日前後の一定の生産量を維持している。

Page 3: バハレーン :鉱区公開(続報) ―湾岸の小国の新たな動き― · 出所:バハレーン中央銀行、NOGA資料 より作成 写真 湾岸1号井と記念碑

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ガス圧入井として利用されている。

この坑井は、1931 年 10 月より掘

削が着手され、翌 1932 年 6 月に

約 400 バレル / 日の石油を噴出し

た。

 バハレーンに石油が埋蔵されて

いることは、1920 年代より確実視

されていた。ニュージーランドの

鉱山技師であった Frank Holmes は

0

2

4

6

8

10

12

14

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18

20

出所: バハレーン中央銀行、NOGEなどの資料から作成

1999 20062000 200520042003200220011990 19981997199619951994199319921991

平均

生産

量(万

バレ

ル/日

)アブサファ油田分

アワリ油田分

図 2 バハレーンの石油生産の推移

出所:バハレーン中央銀行、NOGA 資料より作成

写真 湾岸 1号井と記念碑

砂漠地帯にビチュメンが滲み出しているのを発見し、関係所に石油の探鉱を進言した。

 1929 年にはスタンダード・オイルの子会社として、Bapco(Bahrain Petroleum Company)

が設立され、Holmes は初代首席駐在員となった。Bapco は、1930 年から英国人地質専門家

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図 3 バハレーンのケスタ地形 出所 :各種資料をもとに筆者作成

'

50°30 ' バハ

レーン国

際空

キングファハド・コーズウェー

12

53

67

134

10

30

30

10

30

10

30

1

10

WE

ケスタによる崖

背斜軸

数字は海抜高度(m)

バハレーン島の東西断面概念図

湾岸第1井

W E

50°30'

26°15'

26°00'

26°15'

26°00'

'

50°30 '

50°30'

26°15'

26°00'

26°15'

26°00'

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Fred Davis に依頼して探鉱を実施し、翌 1931 年前述の地点を試掘位置として決定し、試掘を

実施した。発見の後、付近一帯は、Awali 油田として開発された* 4

 この Awali 油田は、「教科書的な」地質構造をなしており、バハレーン島全体がソルトの浮き

上がりを営力とした一つの大きな背斜構造を呈している。図 3 に示すように、背斜翼部の傾斜

した地層の侵食抵抗力の差によるケスタ地形が見られる。図 3 の左側は衛星画像をエッジ強調

したものと地図とを合成したもので、右側の概略の地形図と比較されたい。この図から明らか

なように、侵食に対して抵抗力のある炭酸塩岩層が島の周囲をドーナツ状に取り囲んでいる。

一方、島中央部(背斜軸部周辺)は、侵食され低地となっている。同油田発見第 1 号井は、ま

さにこの背斜の軸部に掘削された。

3.ガスが足りない! ―最近のバハレーン・エネルギー事情―

(1)電力・水需要

 古くから石油産業が発展し、時宜に即した開発によって、そのエネルギー源や外貨獲得手段

としての原油生産が順調に推移してきたバハレーンではあるが、近年、その経済発展や人口増

による電力や水の不足、それらをつくるためのエネルギー源としての天然ガスの不足が顕在化

してきている。

* 4 開発は、スタンダード・オイルを中心に進められた。今でも Awali 石油コンプレックスのいくつかの建物に残るCaltex のロゴが象徴的である。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

2006200520001995199019851980

水消

費量

(百

万イ

ンペ

リア

ルガ

ロン

) 図 4 バハレーンの水使用量の推移

出所:バハレーン水電力省

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 バハレーン本島の南部は未利用の砂漠地帯となっているが、北半部はアラビア湾岸では珍し

く地下水が豊富で、ナツメヤシ栽培や野菜畑に利用され、さらに自然の植生もみられる。

 バハレーンは淡水の供給を地下水と海水淡水化水に依存している。人口増や生活水準の向上、

工業開発などにより、水の消費量が急増している(図 4)。また図 5 に示すように、現在でも用

水供給量の 4 分の 1 以上を地下水に依存している。こうしたことから、地下水の塩分濃度が高

くなっているという問題もある。比較的豊富であった地下水によって、1980 年には供給量の

93%を地下水が占めていたが、2006 年にはわずかに 18%を占めるほどになった。バハレーンは、

人口一人当たりの水消費量が世界でも最も多い国のひとつになっているため、政府は国民に対

し節水を呼びかけている(図 6)。

1980 1985 1990 1995 2000 20062005

地下水蒸発法

半透膜法

93%7%

46%

19%

34%47%

14%

37% 51%

17%

32%36%46%

18%

31%

57%

12%

28%54%

18%

図 5 バハレーンの水供給源

出所:バハレーン水電力省

図 6 節水を呼びかけるパンフレット

出所:バハレーン水電力省 コミカルなイラストとともに、アラビア語、英語、ペルシャ語など 7言語で、節水の方法を具体的に示している。

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 一方、電力についても、需要は年 5%を超える率で伸びてきている(図 7)。図 8 に示すように、

2020 年には現在の 2 倍以上の約 420 万 kW の設備容量が必要とされている。バハレーン政府

は老朽化している既存発電所の改良工事や新規発電プラントの建設を推し進めている。

 現在、需要の急拡大を支えているのが、IWPP 施設などの発電・海水淡水化施設である。な

かでも、ヒッド工業地区の開発計画に付随した発電・造水プラント(Hidd IWPP)の建設プロ

ジェクトはバハレーンにとって最も重要なプロジェクトのひとつとなっている。発電所建設の

第 1 期工事と第 2 期工事はそれぞれ 1999 年と 2004 年に完成し、現在、造水プラントの第 2

期工事が進捗している。すべてが完成すれば、合計 96 万 2,000 kW の能力を有する発電プラン

トと造水能力 9,000 万ガロン / 日(MiGD)のプラントとなる。プラントは、IPR(International

Power plc):30%、Suez Energy International:30%、住友商事:30%によって共同設立された

Hidd Power Company により、BOO 契約によって運営されている。

 これらの施設は、Awali 油田深部のクフ層の天然ガスを燃料として使用している。

発電

能力

(万

kW)

+ ピ

ーク

発電

量(万

kW)

260

240

220

200

180

160

140

120

100

80

60

40

20

01994 2003 2004 2005 200620022001200019991998199719961995

発電

量(億

kWh)

140

130

120

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

発電能力

ピーク発電量

総発電量

(左目盛)

(左目盛)

(右目盛)

図 7 バハレーンの発電能力

出所:バハレーン水電力省、PowerGen 資料、EIA 資料より作成

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(2)イランからのガス輸入へ

 もともとバハレーンは、天然ガスが比較的豊富であった。図 9 に示すように国内の生産天然

ガス量は平均約 13 億 cf/d(2005 年)、年約 3,450 億 cf(2004 年:図 10)である。全量が、

国内消費されている。また、国内一次エネルギー消費のほとんどはガスによって占められる(図

11)。

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100

200

300

400

500

202020192018201720162015201420132012201120102009200820072006200520042003

発電能力

(万

kW)

図 8 バハレーンの電力需要予測

出所:PowerGen 資料より作成 情報源が異なるため図 7 と若干の齟齬が生じている。

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2

4

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1999 2000 200520042003200220011990 19981997199619951994199319921991

平均

生産

量(億

立方

フィート/日

構造性ガス

随伴ガス

図 9 バハレーンの天然ガス生産

出所:バハレーン中央銀行、NOGA 資料より作成

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 バハレーン政府高官は 8 月、今後 3 年間はガス需要のすべてを国内(Awali)産ガスで充足

できると述べている。まだ埋蔵量的には十分だと言われる同国のクフ層のガス資源ではあるが、

同発言の裏を返せば、今後国内産ガスだけでは不足することを示したものである。今後、その

図 10 バハレーンの天然ガス生産と消費

出所:EIA 資料より作成

0

5

10

15

20

25

20062005200420032002200120001999

石油

換算

 万

バレ

ル/日

図 10 バハレーンの一次エネルギー消費

出所:OAPEC 資料より作成

1994 2003 200420022001200019991998199719961995

ガス量

(億

立方

フィート)

4,000

3,500

3,000

2,500

2,000

1,500

1,000

500

0

国内生産量

国内消費量

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用途のほとんどを占めている電力・水需要がさらに急増していくことが予想され、ガス源確保

は同国にとっても喫急の課題となっている。

 2007 年 7 月 9 日、イランの強硬保守派を代表する新聞「ケイハーン」は社説で、イランと

UAE の間で領有権問題が存在する 3 つの島(大・小トンブ島、アブームーサ島)に対する UAE

の主権を強調した最近の GCC 外相会合の声明に反論する中で、「バハレーン国民は、『バハレー

ン州』* 5

のイランへの返還を望んでいる」旨が記述され、GCC 諸国の反発を招いた。

 これに呼応して、7 月 14 日、モッタキ外相はチニジア訪問後にバハレーンを訪問し、「イラ

ンとバハレーンは、国家主権、一体性および領土保全について、一部のマスコミ報道、または、

一個人の発言はこの明白な両国の政策に反するものであり、受け入れられない。」と発言した。

 今回のモッタキ外相のバハレーン訪問は、事前に計画されていたもので、バハレーン政府の

招待により実施されたものであるとのことではあるが、「謝罪外交」ととらえる見方も強い。

 こうした、両国ではあるが、モッタキ外相の訪問に際して、2007 年 10 月のラマダン月明け

より、天然ガスのイランからバハレーンへの輸出交渉が開始される予定が言及された。

 すでに、GCC 域内のガス融通については述べている* 6

が、イラン産ガスの同国外への輸出プ

ロジェクトについては、既報の Dana Gas による UAE シャルジャ首長国へのガス供給プロジェ

クト、クウェートへの供給、IPI(イラン・パキスタン・インド)パイプラインによるパキスタン、

インドへの供給などとともに注目される。既報のとおり、カタールを除く GCC 各国のガス不足、

供給国としてのイランの思惑が一致すれば、湾岸諸国の天然ガスの流れが一挙に変わる可能性

も秘めている。

 (以 上) 

* 5 独立前に多くの住民がイランより移り住んできたと言われ、現在国民の 7 割近くがシーア派と言われている。王家はスンニ派で経済人もスンニ派が多く、両派の経済格差が際立っている。こうしたことから、「バハレーン州」の記述となったもの。

* 6 「Dana Gas の挑戦 注目される湾岸地域初の民間ガス会社」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1746/0707_out_f_ae_danagas_kurd_iran_02

「カタール・UAE:ドルフィン・ガスパイプラインが完成―GCC のガス利用は新たな段階へ―」http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1774/0707_out_f_qa_ae_dolphin_pipeline

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この記事は pdf ファイルで提供しております。図面は拡大印

刷しても解像度がおちませんので、必要図面は拡大プリント

アウトしてお使いください。

2007 年 4 月より、JOGMEC 中東事務所の管轄エリアに東ア

フリカが加わりました。

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参考文献等(順不同)

 BAPCO ホームページ http://www.bapco.com.bh/

 Kingdom of Bahrain, Ministry of Electricity and Water ホームページ

   http://www.mew.gov.bh/en/default.asp?action=category&ID=1

 MEES 2007/3/19、2007/5/14、2007/7/23、2007/8/6

 Arab Oil and Gas 2007/8/16

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 中東調査会かわら版 イラン:バハレーンとの関係 2007/18 No.164

 バハレーン島 ガイド 石油公団中東事務所(1988)