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1. はじめに
カデナックス(CADENAX)はライオン・スペシャリティ・ケミカルズの脂肪族第 3 級アミンから誘導された一
連のアミンオキシドです。
アミンオキシドは低濃度で、独特の界面活性を示し、その特性は各工業において活用されており、広い分野
で生産工程や製品の改良にアミンオキシドの利用が検討されています。
カデナックス(CADENAX)は遊離アミンや過酸化物の残留が少ない、生分解性が優れている、皮膚刺激
性が少ない、界面活性が優れている等の特性を生かし、洗剤やシャンプー、その他工業用等、多くの用途に
適しております。
カデナックス(CADENAX)には、2 つの構造があります。
アミンオキシドの N→O 半極性結合の双極子モーメントは 4.38mD であり、高いイオン化傾向を示します。こ
の塩類に似た特性によりアミンオキシドは水やアルコールに容易に溶けますが、ケロシンやミネラルオイルなどの非極
性溶剤にはわずかの溶解性しかありません。N→O結合の酸素電子は弱い負電荷をもっているので水素と結合す
る傾向があります。
この水素結合の傾向はアミンオキシドの吸湿性にあらわれています。この性質はたとえば化粧品ののびを良くするた
めに活用されています。
また、アミンオキシドの極性は溶液の pH によって種々の特性を示す点に見る事ができます。アルカリ性溶液中で、
アミンオキシドはイオン化されない水和物として存在し、溶液は非イオン性を示します。また酸性溶液中では陽イオ
ン性を示します。弱酸性の整髪剤にアミンオキシドを配合するとアミンオキシドのカチオン性によって髪がしっとりとし、
また帯電防止剤効果も示します。
アルキルアミンオキサイド
(カデナックスシリーズ)
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アミンオキシドの平衡反応は次のように示されます。
2. 基本物性
(1)性状
カデナックス(CADENAX)の一般性状を表-1 に示します。またカデナックス(CADENAX)シリーズには外
原規に適合した、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド液、ラウリルジメチルアミンオキシド液もございます。
表-1.一般性状
カデナックス DM10D-W DM12D-W(C) DM14D-N DMC-W APA-12W
有効成分(%) 39.0~41.0 32.0~34.0 24.0~26.0 29.0以上 29.0~31.0
遊離アミン(%) 0.30 以下 0.30以下 0.20以下 1.50以下 1.10以下
残存過酸化水素(%) 0.10 以下 0.10以下 0.10以下 0.34以下 0.25以下
塩素イオン(%) ― ― 0.05以下 ― ―
pH(原液) 7.0~9.0 7.0~8.0 7.0~9.0 7.0~8.0 6.0~7.2
色調(G/H) ― 1以下 ― 1以下 ―
色調(APAH) 200以下 ― 200以下 ― 100以下
外観(25℃) 透明液体 透明液体 透明液体 透明液体 無色~淡黄色
透明液体
*外原規 2006対応品:MD12D-W、DMC-W
(2)表面張力、界面張力
カデナックス(CADENAX)は優れた表面張力低可能を持ちます。水の表面張力は 71.97mN/m ですか
ら、0.1%アミンオキシド相当の濃度で、表面張力はおよそ半分に下がる事となります。またカデナックス
(CADENAX)希釈液と流動パラフィンの界面張力も表-2 に示す通り低い値を示します。
表-2.カデナックス DMC-Wの表面張力、界面張力(0.1%、25℃)
測定項目 測定結果(mN/m)
表面張力 32.5
界面張力 5.7
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(3)浸透力
カデナックス(CADENAX)は優れた布への浸透力を持ちます。水の場合はキャンバス・ディスクへの浸透力は
900秒ですので、カデナックス(CADENAX)の希釈液は高い浸透力を持つことがわかります。
表-3.浸透力(25℃)
有効成分濃度(ppm) 浸透時間(秒)
1.5 315
300 195
1000 45
2700 7
カデナックス(CADENAX)は pH や温度により粘度が変化致します。このことはカデナックス(CADENAX)を
配合した製品にもこの性質が現れる場合がありますので、ご留意願います。図-1には有効成分 30%のカデナック
ス DM12D-W(C)の変化を示しました。
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3. 成分表
製品名 外原規 2006成分名称 化粧品表示名称 INCI コード 基本組成(%)
カデナックス DM12D-W(C) ラウリルジメチルアミン
オキシド液
ラウラミンオキシド LAURAMINE OXIDE 33
水 WATER 67
カデナックス DMC-W ヤシ油アルキルジメチル
アミンオキシド液
ココアミンオキシド COCOAMINE OXIDE 30
水 WATER 70
4. アニオン界面活性剤との相互作用
(1)基本物性
アミンオキシドは中性から酸性側ではややカチオン性を示すため、アニオン活性剤と複合体が形成されます。例
えば、SDS とカデナックス(CADENAX)との混合モル比を変えると粘度、表面張力および pH等の物性が変化
を示し、明らかに著しい相互作用が起こることが判ります。図-2 には SDS とカデナックス(DDMAO)の例を示し
ます。
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(2)泡性能の改良
カデナックス(CADENAX)とアニオン活性剤と複合体が形成されることを利用しますと、泡性能の
改良が図れます。図-3 には各種アニオン活性剤にカデナックス DM12D-W(C)(DDMAO)を添
加していくときの泡高の変化を示します。
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(3)油除去率の改良
同様にカデナックス(CADENAX)とアニオン活性剤と複合体が形成されることを利用し、油除去
率の改良を図れる場合があります。図-4 には各種アニオン活性剤とカデナックス DM12D-W(C)
(DDMAO)の比率を変えたときの油除去率の変化を示します。
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(4)タンパク変性
界面活性剤のタンパク変性作用に関する研究からその立体構造を円偏向二色性により評価する方
法があります。その方法により AOS と各種界面活性剤を組み合わせた時のタンパク変性率を測定した
結果を図-5 に示しました。これによりカデナックスを添付することによりタンパク変性を native の状態まで
下げることができます。
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5. 使用例
(1)台所用洗剤
表-4.汎用タイプ台所洗剤の配合例
成分 配合量(%) 配合目的
AES(サンノール LMT-1430) 13.0 起泡・洗浄剤
脂肪酸アルキロールアミド 3.7 油可溶化剤
アミンオキシド(カデナックス DM12D-W(C)) 0.3 肌荒れ防止剤
PEG(#200又は#400) 1.0 安定剤
PTS-Na 1.0
色素、香料、キレート剤、安息香酸 Na 適量
水 バランス
表-5.濃縮タイプ台所洗剤配合例
成分 配合量(%) 配合目的
POE ラウリルエーテル硫酸 Na(サンノール LMT-1430) 7.0
起泡洗浄剤 テトラデセンスルホン酸 Na(リポラン LJ-441) 4.0
POE アルキルエーテル(レオックス CC-90) 4.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液(エナジコール L-30B) 3.0 低刺激性活性剤
ラウリルジメチルアミンオキシド(カデナックス DM12D-W(C)) 3.0 肌荒れ防止
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0 増泡増粘剤
抗菌剤、pH調整剤、色素、香料 適量
水 バランス
(2)シャンプー
表-6.シャンプー配合例
成分 配合量(%) 配合目的
POE ラウリルエーテル硫酸 Na(サンノール LMT-1430) 15.0 起泡増泡剤
ラウリルジメチルアミンオキシド(カデナックス DM12D-W(C)) 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液(エナジコール L-30B) 4.0 低刺激性活性剤
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
塩化ジメチルジアリルアンモニウムアクリルアミド共重合体液(5.5%)
(リポフローMN) 0.3
抗菌剤、pH調整剤、色素、香料 適量
精製水 バランス
配合量はいずれも有効成分換算量を示します。
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6. 生分解性
カデナックス(CADENAX)の生分解性は優れております。
作成日:2018年 7月
改定日:--------------
カタログに記載した内容は、予告なしに改定することがあります。
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ご使用に際しては、SDS をご参照下さるようお願い申し上げます。