121
サイモグロブリン点滴静注用 25mg に関する資料 本資料に記載された情報に係る権利及び内容の責任は、サノフィ株式会社に帰 属するものであり、当該情報を適正使用以外の営利目的に利用することはでき ません。 サノフィ株式会社

サイモグロブリン点滴静注用 25mg...サイモグロブリン点滴静注用25mg に関する資料 本資料に記載された情報に係る権利及び内容の責任は、サノフィ株式会社に帰

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • サイモグロブリン点滴静注用 25mg

    に関する資料

    本資料に記載された情報に係る権利及び内容の責任は、サノフィ株式会社に帰

    属するものであり、当該情報を適正使用以外の営利目的に利用することはでき

    ません。

    サノフィ株式会社

  • Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 1

    サノフィ株式会社

    サイモグロブリン

    1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

    Total number of pages: 11

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 2

    目 次

    1 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 ............................................................................................... 3

    2 疾患の概要及び治療法..................................................................................................................... 5

    2.1 急性拒絶反応の概要 ........................................................................................................................ 5

    2.2 急性拒絶反応に対する治療.............................................................................................................. 6

    2.2.1 心移植 .............................................................................................................................................. 6

    2.2.2 肺移植 .............................................................................................................................................. 7

    2.2.3 肝移植 .............................................................................................................................................. 7

    2.2.4 膵移植 .............................................................................................................................................. 7

    2.2.5 小腸移植........................................................................................................................................... 8

    3 開発の経緯 ....................................................................................................................................... 9

    4 開発の経緯図 ................................................................................................................................. 11

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 3

    1 起原又は発見の経緯及び開発の経緯

    抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンは、ヒトの胸腺細胞を抗原とし、ウサギに免疫して得ら

    れた免疫グロブリン G であり、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)製剤の一つである。

    ATG 及び ALG の免疫抑制剤としての開発の歴史は、1937 年に抗リンパ球血清が血液中のリン

    パ球数を減少させることを Chew が報告したことに始まる。1960 年代に入り、Woodruff らは、抗

    ヒトリンパ球血清がリンパ球を破壊する作用を利用して移植した皮膚の生着を延長できることを

    報告した。1967 年には Starzl らにより抗リンパ球血清が腎移植における免疫抑制剤として用いら

    れ、動物及びヒトで実験的又は臨床的な臓器移植に広く応用されるようになった。

    Pasteur Mérieux 社は本剤の開発に先行して、ウマ ALG(後にウマ ATG に変更された)製剤で

    あるリンフォグロブリンを移植片拒絶反応の予防と治療の効能・効果で、1969 年にフランスで上

    市した。以降、各国において承認を取得し、50 以上の国で承認された。

    一方、急性拒絶反応の再発等により薬剤を繰り返し使用する場合や、他のウマ血清製剤(破傷

    風ウマ抗毒素や乾燥まむしウマ抗毒素)投与歴がある患者又はウマ血清蛋白にアレルギーのある

    患者に、ウマ由来の異種血清蛋白を投与することはアナフィラキシーや血清病の発現も危惧され

    るため、これら安全性の観点からウマ以外の動物由来の ATG が強く望まれた。そこで、Pasteur

    Mérieux 社は、リンフォグロブリンと動物種を異にするウサギ ATG 製剤であるサイモグロブリン

    について、1982~1983 年にフランスで腎移植、心移植並びに血液学領域における少数例の臨床試

    験を実施した。この臨床試験成績及びレトロスペクティブな臨床データに基づきフランスで承認

    申請を行い、1984 年 4 月 6 日に、本剤は「腎移植、心移植時の拒絶反応の予防又は治療、移植片

    対宿主病の治療及び再生不良性貧血の治療」を適応として承認され、1985 年に発売された。

    腎移植後の急性拒絶反応に関しては、米国では当時の SangStat 社(現サノフィ社)が、抗ヒト

    胸腺細胞ウマ免疫グロブリンであるATGamを対照とした無作為化二重盲検比較試験を実施した。

    その結果、有効性主要評価項目である血清クレアチニン値が投与前以下に回復した症例数は、サ

    イモグロブリン群 87.8%、ATGam 群 76.3%であり、サイモグロブリン群では回復した症例数が有

    意に多かった(P = 0.027)。安全性では、サイモグロブリンの薬理作用を示す白血球減少が高頻

    度に発現した。本試験によりサイモグロブリンの腎移植後の急性拒絶反応に対する有効性が検証

    され、1998 年 12 月に米国にて同効能・効果に対する承認を取得した。

    英国では 2008 年に腎移植後の急性拒絶反応の治療に対する承認を取得した。すでに年間約 350

    ~400 例に本剤が使用されていたことから(売上高に基づく推定)、英国医薬品庁(MHRA)と

    の協議の結果、公表文献に基づく申請に関する欧州議会及び欧州連合理事会指令 Directive

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 4

    2001/83/EC 第 10 条(1)(a)(ii)(改訂版)に準拠しての申請が適切であると判断され、2008 年 3 月に

    「腎移植時の拒絶反応の予防、腎移植時のステロイド抵抗性拒絶反応の治療及び心移植時の拒絶

    反応の予防」を効能・効果とする承認を取得した。

    欧米では、サイモグロブリンは、腎移植後の急性拒絶反応に対する治療薬、特にステロイド抵

    抗性の急性拒絶反応の治療に対する使用方法は確立された標準療法となっている。

    また、欧米及び日本のいずれにおいてもステロイド抵抗性の急性拒絶反応に対する標準治療薬

    である OKT3 との比較については、欧米においては承認以降も検討されている。Webster らは、

    腎移植患者の急性拒絶反応の治療に使用するポリクローナル抗体(ATG 及び ALG 製剤)とモノ

    クローナル抗体(OKT3)を評価する目的で、コクラン比較試験中央レジスタ(Cochrane Central

    Register of Controlled Trials-CENTRAL-[2005 年発行 Cochrane Library第 2 版])、MEDLINE(1996

    ~2005 年 6 月)、EMBASE(1980 年~2005 年 6 月)及びコクラン腎臓グループ(Cochrane Renal

    Group)の専門レジスタ(2005 年 6 月)の検索を行い、無作為化比較試験を抽出してデータ解析

    を実施した。抽出された 21 試験(49 報、総症例数 1,387 例)の結果、拒絶反応からの回復(RR:

    1.32、95%CI:0.33-5.28)、その後の拒絶反応の予防(RR:0.99、95%CI:0.61-1.59)、移植片喪

    失の予防(死亡による打ち切り;RR:1.80、95%CI:0.29-11.12、機能した移植片を有する死亡を

    含む;RR:1.08、95%CI:0.38-3.10)と、いずれの項目においても OKT3 は ATG 製剤(サイモグ

    ロブリン及び ATGam)又は ALG 製剤を凌ぐ有益性は認められなかった。同様に死亡、CMV 感

    染症、悪性腫瘍及び 1 年後の血清クレアチニン値についても有意な差は認められなかった。安全

    性では OKT3 群では投与後の発熱、悪寒及び倦怠感などの症候群がサイモグロブリン又は ALG

    群に比べて 3 倍の頻度で発生した(RR:3.21、95%CI:1.34-7.70)。

    さらに、Kainz らにより腎移植後に生検により急性拒絶反応が確認され OKT3 又は ATG で治療

    された 399 症例の移植腎の生着及び患者の生死についての成績が得られた。その結果、OKT3 群

    では 50%の症例で 6.3 年移植腎の機能が保たれ、ATG 群では同時点で 74%の症例で移植腎は生着

    していた(P = 0.006)。また、生着期間の中央値は OKT3 群では 4.6 年、ATG 群では 9.5 年(P = 0.004)

    であった。患者の生死については、両群で有意な差はみられなかったものの ATG は OKT3 に比

    し、より移植腎の長期間の生着を示すものであった。

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 5

    2 疾患の概要及び治療法

    2.1 急性拒絶反応の概要

    心、肺、肝、膵及び小腸移植は末期臓器不全患者に対する唯一の根治的治療手段であり、患者

    の延命及び QOLを改善することが期待される。本邦において 2012 年に実施された臓器移植の年

    間例数は臓器移植ネットワークホームページによると心移植は 28 名、肺移植は 33 名、肝移植は

    41 名(肝腎同時移植 1 名を含む)、膵移植 27 名(膵腎同時移植 18 名を含む)であり、小腸移植

    は報告がなかった。また、臓器移植ファクトブック 2011 ホームページによると、2010 年実施例

    数は心移植 23 名、肺移植 36 名、肝移植 473 名(うち生体肝移植 443 名、脳死肝移植 30 名)、膵

    移植 27 名であり、小腸移植は報告がなかった。多くのレシピエントでは移植後に拒絶反応が起こ

    り、拒絶反応を治療できない場合は移植臓器の廃絶が起こり、再移植を余儀なくされる。しかし、

    本邦ではドナー数の問題から再移植の機会は非常に限られているのが現状である。したがって、

    心、肺、肝移植の場合、患者の生命にかかわる重大な局面を迎える。また、膵、小腸の場合もイ

    ンスリン、経管栄養の再導入を余儀なくされ、QOLの著しい低下と長期予後の悪化を招くことと

    なる。

    ドナーより提供された移植臓器に対するレシピエントの拒絶反応そのものは正常な免疫応答で

    あり、原則として移植臓器の種類を問わないと考えられる。つまり、腎移植での拒絶反応の考え

    方は今回申請の5臓器についてもほぼ同じであり、アロ抗原の直接あるいは間接的な提示により、

    レシピエント側のリンパ球を刺激して免疫応答である拒絶反応が引き起こされる。移植臓器を生

    着させ、機能させるために、種々の免疫抑制剤による免疫応答の抑制が必須であるが、急性拒絶

    反応はこれらの薬剤によっても抑制が十分でない場合に発生し、追加の抑制を必要とする反応で

    ある。

    免疫応答による拒絶反応は、その好発時期と機序により、既存抗体の関与で移植後直ちに発生

    し、24 時間以内に拒絶される超急性拒絶反応、細胞性免疫とおそらくは既存抗体の双方の関与で

    移植後 1 週間以内に発生する促進急性拒絶反応、細胞性免疫により通常、移植後 1 週間から 3 ヵ

    月の間に好発する急性細胞性拒絶反応、さらに移植後産生される液性抗体の関与で移植後 3 ヵ月

    以降、徐々に発生する慢性拒絶反応に分類される。いわゆる「急性拒絶反応」は、細胞性反応が

    主たる役割を果たしており、CD4 陽性ヘルパーT 細胞がクラス II 抗原を認識することから免疫反

    応が生じるが、拒絶反応に関与する免疫担当細胞は多種であり、ヘルパーT 細胞(Th0)がサイト

    カインにより Th1 と Th2 に分化誘導され、Th1 は細胞性免疫、Th2 は液性免疫を調節している。

    臨床的には移植後 5 日以降から 1 ヵ月以内に好発する。急性拒絶反応では毛細血管から細静脈を

    介する浸出性反応によりリンパ球を主体とする細胞浸潤及び浮腫、高度になるとリンパ球浸潤だ

    けでなく中膜の類線維素変性を伴う移植動脈炎が生じる。これらの基本所見に加え、各移植臓器

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 6

    に固有の多彩な変化が生じる。心移植では心筋細胞の変性や壊死、肝移植では胆管上皮の変化が

    診断には重要である。

    2.2 急性拒絶反応に対する治療

    急性拒絶反応は基本的には移植臓器の種類に関係なく、同じ反応機序によって起こる。したが

    って、急性拒絶反応に対する治療は、移植臓器の種類にかかわりなくほぼ同じと考えられる。ま

    ず、移植後の免疫抑制療法(Induction)はカルシニューリン阻害剤(CNI)(シクロスポリンと

    タクロリムス)を基本に核酸合成阻害薬(ミコフェノール酸モフェチルやアザチオプリン)及び

    ステロイド製剤を加えた三剤併用療法に、症例に応じてバシリキシマブや抗ヒト胸腺細胞免疫グ

    ロブリン等の導入療法を併用するのが一般的である。しかし、これらの免疫抑制療法を行っても、

    しばしば急性拒絶反応は発生し、その治療の第一選択薬はステロイドパルス療法である。通常、

    メチルプレドニゾロン 500~1,000 mg/日の静脈内投与を 2~3 日間行う。これに無効の場合にはス

    テロイド抵抗性拒絶反応と考えられる。

    ステロイド抵抗性拒絶反応の場合には、抗体製剤を使用する以外の治療法はない。これまでは

    ステロイド抵抗性急性拒絶反応が発現した場合には、OKT3 あるいはリンフォグロブリンが適応

    外使用されてきた。しかし、現在、両薬剤とも製造・販売が中止されており、本剤の臓器移植の

    急性拒絶反応の治療への適応が望まれている。

    2.2.1 心移植

    国によって使用に制限のある薬剤があるなど、若干医療環境に差はあるものの、本邦と欧米で

    治療法に差はなく、ISHLT による心移植後の急性拒絶反応に対する治療指針は、本邦においても

    心移植の中心的存在である日本心臓移植研究会が採用していることから妥当なものであると考え

    られる。

    心移植時の急性(細胞性)拒絶反応の第一選択薬はステロイドであり、心筋生検で軽度の拒絶

    反応の場合(ISHLT 新分類 1R/旧分類 1A~2)は、ステロイドの漸減ペースを落とすか漸減をい

    ったん中止あるいはパルス療法、補助免疫療法の変更による治療法を推奨している。中等度の場

    合(2R/3A)は、主にステロイドパルス療法を中心とした治療法を推奨している。さらに中等度

    ~重度の場合(3R/3B)は、ステロイドパルス療法あるいはそれに抗胸腺細胞グロブリンを併用

    し、1 週以内に心筋生検を実施することを推奨している。重度の場合(3R/4)は、血行動態の安

    定化を図り、血漿交換、ステロイドパルス療法と抗胸腺細胞グロブリンの併用、ヘパリン化を行

    い、1 週以内に心筋生検を実施することを推奨している(松田 [Module 2.7.6.2.5])。

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 7

    臓器機能不全を伴う液性拒絶反応に対しては、厳重な血行動態の管理とともに血液中の抗ドナ

    ー抗体の除去及び B 細胞の抑制が必要である。血漿交換や免疫吸着療法による抗体除去だけでは

    抗体の産生を抑えることができないため、液性拒絶反応の再発が懸念される。そのため、さらな

    る抗体産生を抑制する治療として、B 細胞の活性化を抑える代謝拮抗剤、ステロイドパルス療法、

    抗リンパ球抗体治療、免疫グロブリン大量静注療法などを行う。抗胸腺細胞免疫グロブリンやOKT3

    などを用いた治療は、特にカテコラミンや機械的循環補助を必要とするような重篤な血行動態の

    悪化をきたす症例には推奨される。抗胸腺細胞免疫グロブリンや OKT3 は速やかにかつ十分にレ

    シピエントの T 細胞を除去する。B 細胞の活性化には T 細胞による刺激が不可欠であるため、B

    細胞の活性化が間接的に抑制されることになる。また、抗胸腺細胞免疫グロブリンは直接的にも

    B 細胞の活性化を抑制することも知られている。

    2.2.2 肺移植

    肺移植後の急性拒絶反応の標準的な治療はステロイドパルス療法であり、通常 10~15 mg/kg/

    日のメチルプレドニゾロンの静脈内投与を 3 日間連続で行う。すでにプレドニンの維持量が減量

    されている場合には、パルス療法終了翌日から再増量を行い、2~3 週間で元の量まで漸減する。

    90%以上が反応するが、ステロイドパルス療法に反応しない難治性の急性拒絶反応(ステロイド

    抵抗性拒絶反応)に対しては、細胞溶解療法(抗リンパ球グロブリン、OKT3)、全身リンパ節

    照射法などが行われる場合がある。また、再発を繰り返す患者に対しては、シクロスポリンから

    タクロリムスへの変更に代表されるような維持免疫抑制療法の変更が行われる。

    2.2.3 肝移植

    肝移植後の急性拒絶反応の治療は、通常ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン20 mg/kg/

    日を 3 日間)を行う。パルス療法に対する反応が不良であり、肝胆系酵素の改善が思わしくない

    場合、メチルプレドニゾロンの投与量を 10 mg/kg/日、5 mg/kg/日、2.5 mg/kg/日と 1~2 日ごとに

    漸減するか、ミコフェノール酸モフェチルの追加投与を行う。ステロイド抵抗性急性拒絶反応の

    場合は、OKT3 を投与する。

    2.2.4 膵移植

    一般に移植膵の拒絶反応は移植腎と比較してコルチコステロイドに反応しにくいとされ、拒絶

    反応には T 細胞除去抗体が使用されることが多い。急性拒絶反応に対する治療はステロイドパル

    ス療法(メチルプレドニゾロン 500 mg/日を 3 日間)行い、経口維持量に戻すか 500 mg、250 mg

    ×2、125 mg×2、60 mg×2、40 mg×2、20 mg×2、16 mg 経口と漸減していく。ステロイド抵抗

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 8

    性の場合は、グスペリムス塩酸塩 5 mg/kg/日を 7~10 日間投与するか OKT3 5 mg/日を 10 日間投

    与する。

    2.2.5 小腸移植

    小腸移植後の急性拒絶反応の治療も他の臓器と同様にステロイドのパルス療法を行い、ステロ

    イド抵抗性の場合は OKT3 を投与する。

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 9

    3 開発の経緯

    サイモグロブリンは、フランスの Pasteur Mérieux 社(現 Genzyme Polyclonals 社)により創製さ

    れた、ヒト胸腺細胞を抗原とし、ウサギに免疫して得られた免疫グロブリン G(IgG)を有効成

    分とする免疫抑制剤である。

    フランスでは、1984 年 4 月に「腎移植、心移植後の拒絶反応の予防及び治療、移植片対宿主病

    (GVHD)の治療及び再生不良性貧血の治療」の効能・効果で承認され、2003 年 2 月に「造血幹

    細胞移植後の急性及び慢性 GVHD の予防」の効能・効果が追加された。現在、サイモグロブリン

    は欧米など世界 70 ヵ国以上で承認されている(2013 年 11 月現在)。

    本邦では、ローヌ・プーラン ジャパン株式会社(現サノフィ株式会社)が、1993 年 11 月 15

    日に「再生不良性貧血」、1994 年 7 月 1 日に「骨髄移植における GVHD の治療」を予定効能・効

    果として希少疾病用医薬品の指定を受けた。これらの効能・効果に「骨髄移植における拒絶反応

    及び急性 GVHD の抑制」を加えた 3 つの効能・効果について、アベンティス ファーマ株式会社

    (現サノフィ株式会社)が開発を行い、2008 年 7 月 16 日にサノフィ・アベンティス株式会社(現

    サノフィ株式会社)が「中等症以上の再生不良性貧血」、「造血幹細胞移植の前治療」、「造血

    幹細胞移植後の急性移植片対宿主病」の効能・効果で承認を取得した。

    その後、2008 年 8 月 25 日にサイモグロブリンの製造販売承認をジェンザイム・ジャパン株式

    会社が承継し、2008 年 11 月 28 日より販売を開始した。

    さらに、「腎移植後の急性拒絶反応の治療」の効能・効果について海外臨床試験及び国内臨床

    研究からサイモグロブリンの有用性が認められ、2011 年 4 月 22 日に一部変更承認を取得した。

    その後、2012 年 10 月にサノフィ株式会社がサイモグロブリンの製造販売承認を承継した。

    急性拒絶反応は基本的には移植臓器の種類に関係なく、同じ反応機序により急性拒絶反応が起

    こる。したがって、急性拒絶反応に対する治療は、移植臓器の種類にかかわりなくほぼ同じと考

    えられる。ステロイド抵抗性拒絶反応の場合には、抗体製剤を使用する以外の治療法はない。こ

    れまではステロイド抵抗性急性拒絶反応が発現した場合には、OKT3 あるいはリンフォグロブリ

    ンが適応外使用されてきた。

    サイモグロブリンは本邦においても腎移植後の急性拒絶反応の治療として、特にステロイド抵

    抗性の急性拒絶反応に対する治療薬としてOKT3と同等の有効性を有し、安全性においてもOKT3

    と比較して許容可能と判断された。こうしたことから、心、肺、肝、膵及び小腸移植後の急性拒

    絶反応の治療にも有用であると考え、効能追加申請することとした。

    なお、OKT3 は、既に世界的に供給を中止されており、国内では特にステロイド抵抗性の急性

    拒絶反応の治療薬がなくなると危惧されている。そのため日本移植学会より、平成 23 年 5 月 27

    日付厚生労働省医政局開発振興課発出の「医療上の必要性が高い未承認の医薬品又は適応の開発

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 10

    の要望に関する意見募集について」に対して、サイモグロブリンのこれらの臓器移植後の急性拒

    絶反応の治療の適応について要望書が提出された。本要望は「医療上の必要性が高い未承認薬・

    適応外薬検討会議」で検討された結果、医療上の必要性が高いと評価され、2012 年 4 月 6 日、ジ

    ェンザイム・ジャパン株式会社に対し、医療現場で早期使用ができるよう国内での承認取得を求

    める開発要請 [Module1.13.4.2.1]が厚生労働省からなされた。サイモグロブリンは、ジェンザイム・

    ジャパン株式会社よりサノフィ株式会社に承認が承継されたことから、今回要請を受けた適応症

    についての承認申請は、サノフィ株式会社が申請会社となる。

    国内で、腎移植、造血細胞移植以外の臓器移植で急性拒絶反応の治療におけるサイモグロブリ

    ンの有効性・安全性を検討した臨床試験は実施されていない。そこで本申請にあたり要望団体で

    ある日本移植学会よりサイモグロブリンの本邦における使用実態についての情報の提供を受け、

    本申請資料に参考として添付した。

  • 1.5 起原又は発見の経緯及び開発の経緯 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 11

    4 開発の経緯図

    今回の効能・効果の申請については、開発の経緯(1.5.3)に示したように緊急性の高いもので

    あることから、公知の情報を主な資料として提出していることから開発の経緯図は省略する。

  • Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 1

    サノフィ株式会社

    サイモグロブリン

    1.6 外国における使用状況等に関する資料

    Total number of pages: 7

    1

  • 1.6 外国における使用状況等に関する資料 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 2

    目 次

    1 外国での承認(許可)及び使用状況 .................................................................................................... 4

    2 代表的な添付文書の原文と和訳の概要 ........................................................................................... 7

    2

  • 1.6 外国における使用状況等に関する資料 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 3

    表 目 次

    表 1 -承認年月日及び承認効能・効果 ............................................................................................................. 4

    3

  • 1.6 外国における使用状況等に関する資料 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 4

    1 外国での承認(許可)及び使用状況

    本剤は、1984 年 4 月にフランスで「腎移植、心臓移植時の拒絶反応の予防又は治療、移植片対宿主

    病の治療及び再生不良性貧血の治療」の効能・効果で承認されて以来、わが国を含めて 70 ヵ国以上で

    承認されている(2013 年 11 月現在)。

    米国での承認は 1998 年 12 月で、承認効能は「腎臓移植後の急性拒絶反応の治療」に限定されてい

    る。カナダにおいては 2002 年 11 月に、「腎臓移植後の急性拒絶反応の治療及び成人腎臓移植患者に

    おける前処置」に関して承認を取得している。一方、欧州諸国では、腎臓、心臓、膵臓あるいは肝臓

    移植後の拒絶反応の予防又は治療及び移植片対宿主病の治療、再生不良性貧血の治療等の効能・効果

    で承認を取得している。さらに、フランスにおいて、2003 年 2 月に「造血幹細胞移植後の急性及び慢

    性移植片対宿主病の予防」の適応が追加され、その後オーストリア、デンマーク、ルクセンブルク、

    イタリア等においても同様の効能追加がされている。また、英国において、2008 年 3 月 19 日に「腎

    臓移植時の拒絶反応の予防、腎臓移植時のステロイド抵抗性拒絶反応の治療及び心臓移植時の拒絶反

    応の予防」の効能・効果で承認を取得した。

    2013 年 11 月現在の、本剤の各国における承認年月日と承認効能・効果を表 1 表に示した。

    表 1 -承認年月日及び承認効能・効果

    適応症

    臓器移植領域 国又は地域

    治療 予防

    フランス 1984 年 4月 16 日 ○ ○

    ウルグアイ 1987 年 1月 14 日 ○ ○

    ベルギー 1987 年 3月 25 日 ○ ○

    ポーランド 1988 年 11 月 5日 ○ ○

    マレーシア 1988年 12月 15日 ○ ○

    南アフリカ 1989 年 2月 15 日 ○ ○

    アルゼンチン 1989 年 4月 12 日 ○ ○

    韓国 1989 年 9月 11 日 ○ 腎、心 ○ 腎、心

    チェコ 1989 年 11 月 1日 ○ ○

    スロバキア 1989 年 11 月 1日 ○ 腎、心、肝、膵 ○ 腎、心、肝、膵

    ブラジル 1990 年 1月 30 日 ○ ○

    香港 1990 年 2月 20 日 ○ ○

    シンガポール 1990 年 3月 7日 ○ ○

    タイ 1990 年 4月 12 日 ○ ○

    イスラエル 1990 年 5月 1日 ○ ○

    台湾 1990 年 5月 15 日 ○ ○

    中国 1991 年 2月 12 日 ○ ○

    チリ 1991 年 6月 19 日 ○ ○

    4

  • 1.6 外国における使用状況等に関する資料 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 5

    適応症

    臓器移植領域 国又は地域

    治療 予防

    フィリピン 1991 年 9月 2日 ○ ○

    ペルー 1992 年 3月 31 日 ○ ○

    インド 1992 年 4月 30 日 ○ ○

    ハンガリー 1992 年 5月 22 日 ○ ○

    ルーマニア 1993 年 1月 11 日 ○ ○

    ドイツ 1994 年 8月 4日 ○ 腎、心、肝 ○ 腎、心、肝、膵

    メキシコ 1994年 10月 18日 ○ ○

    ルクセンブルグ 1994 年 12 月 2日 ○ ○

    リトアニア 1995 年 2月 15 日 ○ ○

    コロンビア 1995 年 6月 4日 ○ ○

    ギリシャ 1995年 10月 11日 ○ ○

    オーストリア 1995年 12月 18日 ○ 腎、心、肝、膵 ○ 腎、心、肝、膵

    ラトビア 1996 年 3月 21 日 ○ ○

    スイス 1996 年 6月 25 日 ○ ○

    ベラルーシ 1997 年 3月 23 日 ○ ○

    ポルトガル 1997 年 4月 30 日 ○ 腎、心、肝、膵 ○ 腎、心、肝、膵

    デンマーク 1997 年 8月 15 日 ○ 腎、心、肝、膵 ○ 腎、心、肝、膵

    オランダ 1997 年 11 月 6日 ○ 腎 -

    フィンランド 1998 年 1月 12 日 ○ 腎 ○ 腎

    エストニア 1998年 10月 30日 ○ ○

    アメリカ合衆国 1998年 12月 30日 ○ 腎 -

    スペイン 1999 年 6月 7日 ○ 腎 ○ 腎

    イタリア 2000 年 7月 8日 ○ 腎、心、肝、膵 ○ 腎、心、肝、膵

    チュニジア 2000年 12月 19日 ○ ○

    ウクライナ 2001 年 3月 13 日 ○ ○

    スエーデン 2002 年 5月 17 日 ○ 腎 -

    カナダ 2002年 11月 20日 ○ 腎 -

    ノルウェー 2003 年 10 月 8日 ○ 腎 -

    マケドニア 2007 年 4月 24 日 ○ ○

    イギリス 2008 年 3月 19 日 ○ 腎 ○ 腎、心

    コスタリカ 2008 年 7月 9日 ○ ○

    オーストラリア 2008 年 7月 11 日 ○ 腎 ○ 腎

    日本 2008 年 7月 16 日 ○ 腎 -

    クロアチア 2008 年 9月 26 日 ○ 腎 ○ 腎、心

    トリニダードトバゴ 2009 年 7月 20 日 ○ ○

    アイルランド 2009 年 10 月 9日 ○ 腎 ○ 腎、心

    マルタ 2009年 12月 11日 ○ 腎 ○ 腎、心

    スロベニア 2010 年 1月 20 日 ○ 腎 ○ 腎、心

    クウェート 2010 年 1月 26 日 ○ ○

    イラン 2010 年 8月 17 日 ○ ○

    パナマ 2010 年 8月 23 日 ○ ○

    セルビア 2011 年 1月 17 日 ○ 腎 ○ 腎、心

    5

  • 1.6 外国における使用状況等に関する資料 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 6

    適応症

    臓器移植領域 国又は地域

    治療 予防

    パキスタン 2011 年 1月 27 日 ○ ○

    ニュージーランド 2011 年 4月 28 日 ○ 腎 ○ 腎、心

    カザフスタン 2011 年 8月 10 日 ○ ○

    ベネズエラ 2011年 10月 11日 ○ ○

    モロッコ 2011年 12月 14日 ○ ○

    バーレーン 2012 年 2月 28 日 ○ ○

    クウェート 2012 年 2月 28 日 ○ ○

    オマーン 2012 年 2月 28 日 ○ ○

    カタール 2012 年 2月 28 日 ○ ○

    サウジアラビア 2012 年 2月 28 日 ○ ○

    アラブ首長国連邦 2012 年 2月 28 日 ○ ○

    ロシア 2012 年 5月 18 日 ○ ○

    アルジェリア 2013 年 7月 21 日 ○ ○

    ○:適応あり。-:適応なし

    1) 適応症について特に明記しない場合は臓器の特定なし。腎:腎臓、心:心臓、肝:肝臓、膵:膵臓

    6

  • 1.6 外国における使用状況等に関する資料 GZ427051 - サイモグロブリン

    Property of the Sanofi group - strictly confidential Page 7

    2 代表的な添付文書の原文と和訳の概要

    EU 及び米国で承認されている添付文書(効能・効果、用法・用量、使用上の注意等)の和訳を表-1.6.2

    に示した。また、日本の添付文書(案)を比較表に併記した。

    欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版)及び米国添付文書(2008 年 9 月改訂版)、並びに Company Core

    Safety Information (CCSI)を添付した。

    7

  • 1

    表-1.6-2 外国における主要な添付文書の概要 日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版)

    販売名 サイモグロブリン点滴静注用 25mg サイモグロブリン® 25 mg 点滴溶液用粉末 サイモグロブリン 会社名 サノフィ株式会社 Genzyme Europe B.V. Genzyme Corporation

    組成

    【組成・性状】

    成 分 1バイアル

    中の分量

    備考 有

    抗ヒト胸腺細胞ウサ

    ギ免疫グロブリン 25mg ウサギ血液由

    成 分

    1バイアル

    中の分量

    備考

    グリシン 50mg ― D-マンニトール 50mg ― ポリソルベート 80 2.5mg ― 塩化ナトリウム 10mg ― 水酸化ナトリウム 適量 ― 塩酸 適量 ―

    性状

    白色ないし乳白色の乾燥製剤である。本剤

    を日局注射用水で溶解したとき、無色ない

    し淡黄色の澄明又はわずかに混濁した液と

    なる。 pH注) 6.6~7.4 浸 透

    圧 比注)

    約 0.9(生理食塩液に対する比)

    注)日局注射用水 5mL で溶解後 本剤は製造工程でヒトの胸腺細胞及び赤血球を使用してい

    る。

    定性的及び定量的組成

    ウサギ抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン、1 バイアルあたり 25 mg。1 mL の再溶解済み溶液には、5 mg のウサギ抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリンが含まれる。 賦形剤のリストについては、6.1 項参照。 添加物 ・グリシン ・塩化ナトリウム ・マンニトール

    性状

    性状 サイモグロブリン® [抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ)]は、ウサギをヒト胸腺細胞で免

    疫処置することにより得られた、殺菌済みの

    8

  • 2

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 精製γ-免疫グロブリンである。この免疫抑制剤は、ヒト T リンパ球上で発現する抗原に対する細胞障害抗体を含有する。 サイモグロブリンは滅菌済みの凍結乾燥製剤

    で、米国薬局方・注射用蒸留水(SWFI)により再溶解した後に静脈投与する。 各々の 10 mL バイアルには 25 mg の抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ)と、50 mg のグリシン、50 mg のマンニトール及び 10 mg の塩化ナトリウムが含まれている。 5 mL の SWFI により再溶解した場合には、再溶解済み製剤の各々のバイアルには約 5 mg/mL のサイモグロブリンが含有され、その>90%は、ウサギγ-免疫グロブリン(IgG)である。再溶解済みの溶液の pH は 6.5~7.2である。非 T 細胞性抗原に対して交差反応をする抗体を枯渇させるために、製造工程では

    ヒト赤血球が使用されている。潜在的外因性

    ウイルスを取り除く、あるいは不活性化する

    製造工程は、認証済みである。ヒト赤血球は

    いずれも、米国の登録血液バンク又は FDA承認血液バンクから入手したものである。

    各々のロットに対して、ウイルス不活化手順

    (低温殺菌、すなわち、60°C/10 hr での有効成分の加熱処理)を行っている。サイモグ

    ロブリンの各ロットは、効力検定(リンパ球

    障害性試験及び E-ロゼット阻害試験)及び交差反応抗体検査(5 ロットごとの赤血球凝集試験、血小板凝集試験、抗ヒト血清蛋白質抗

    体試験、抗糸球体基底膜抗体試験及び線維芽

    細胞障害試験)の後に、出荷されている。

    効能・ 効果

    【効能又は効果】 ○ 中等症以上の再生不良性貧血 ○ 造血幹細胞移植の前治療

    適応症

    臓器移植の免疫抑制 -腎移植における移植片拒絶反応の予防

    適応症及び利用法

    サイモグロブリンは、他の免疫抑制剤との併

    用により、腎移植後の急性拒絶反応の治療を

    9

  • 3

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) ○ 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病 ○ 下記の臓器移植後の急性拒絶反応の治療 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植 <効能又は効果に関連する使用上の注意> ○中等症以上の再生不良性貧血の場合 本剤は下記の重症度基準による中等症以上の再生不良

    性貧血患者に使用すること。 再生不良性貧血の重症度基準 (厚生労働省特定疾患特発性造血障害調査研究班基準 (平成 16 年度修正))1)

    最重症

    好中球 200/μL 未満に加えて、以下の 1項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μL 未満 血小板 20,000/μL 未満

    重 症

    以下の 2 項目以上を満たす 網赤血球 20,000/μL 未満 好中球 500/μL 未満 血小板 20,000/μL 未満

    やや重症

    以下の 2 項目以上を満たし、定期的な赤血球輸血を必要とする 網赤血球 60,000/μL 未満 好中球 1,000/μL 未満 血小板 50,000/μL 未満

    中等症

    以下の 2 項目以上を満たす 網赤血球 60,000/μL 未満 好中球 1,000/μL 未満 血小板 50,000/μL 未満

    軽症 それ以外のもの 注)定期的な赤血球輸血とは毎月 2 単位以上の輸血が必要なときを指す。 ○造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の場合

    -腎移植におけるステロイド抵抗性移植片拒

    絶反応の治療 -心移植における移植片拒絶反応の予防 通常、本剤は他の免疫抑制剤と併用して用い

    られる

    目的として適用される。

    10

  • 4

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) ステロイド療法によっても十分な効果が得られない場

    合にのみ適用を考慮すること。 ○臓器移植後の急性拒絶反応の治療の場合 本剤は、原則としてステロイド療法で十分な治療効果

    が得られない場合に使用すること。

    用法・

    用量

    【用法及び用量】 ○ 中等症以上の再生不良性貧血 通常、1 日 1 回体重 1kg あたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 2.5~3.75mg を、生理食塩液又は 5%ブドウ糖注射液 500mL で希釈して、6 時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は 5 日間とする。 ○ 造血幹細胞移植の前治療 通常、1 日 1 回体重 1kg あたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 2.5mg を、生理食塩液又は 5%ブドウ糖注射液 500mL で希釈して、6 時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は造血幹細胞移植 5 日前より 4 日間とする。 ○ 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病 通常、1 日 1 回体重 1kg あたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 2.5~3.75mg を、生理食塩液又は 5%ブドウ糖注射液 500mL で希釈して、6 時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は 5 日間とする。 ○ 臓器移植後の急性拒絶反応の治療 腎移植の場合 通常、1 日 1 回、体重 1kg あたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 1.5mg を、1 バイアル(25mg)あたり、生理食塩液又は 5%ブドウ糖注射液50mL で希釈して、6 時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は 7~14 日間とする。 肝移植、肺移植、膵移植及び小腸移植の場合 通常、1 日 1 回、体重 1kg あたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 1.5mg を、1 バイアル(25mg)あたり、生理食塩液又は 5%ブドウ糖注射液50mL で希釈して、6 時間以上かけ緩徐に点滴静注す

    用量及び用法

    サイモグロブリンは常に、厳密な医学的監視

    の下で使用し、免疫抑制剤の利用経験のある

    医師により処方するようにしなければならな

    い。 用量

    用量は、適応症、投与処方及び併用する他の

    免疫抑制剤の種類により変動する。 参考として、以下の用量を利用することがで

    きる。投与は、用量漸減を行うことなく、中

    断することができる。 臓器移植での免疫抑制

    移植片拒絶反応の予防

    腎移植後は、3~9 日間にわたり 1~1.5 mg/kg/day、累積用量は 3~13.5 mg/kg に相当。 心移植後は、3~5 日間にわたり 1~2.5 mg/kg/day、累積用量は 3~12.5 mg/kg に相当。 ステロイド抵抗性移植片拒絶反応の治療: 腎移植後は、7~14 日間にわたり 1.5 mg/kg/day、累積用量は 10.5~21 mg/kg に相当。 用量変更

    肥満患者では、投薬量は、実際の体重ではな

    用量及び用法

    急性腎移植片拒絶反応の治療を目的としたサ

    イモグロブリンの推奨用量は、7~14 日間にわたる 1.5 mg/kg 体重の連日投与である。推奨投与経路は、high-flow 静脈を用いる静脈内点滴である。サイモグロブリンは、最初の点

    滴では最低 6 時間をかけて輸注し、翌日以降の治療では最低 4 時間をかけて輸注するようにする。 サイモグロブリンは、in-line の 0.22 μm のフィルターを通じて投与するようにする。 サイモグロブリンは、凍結乾燥(固形)サイ

    モグロブリン(25 mg)を含有する 10 mL バイアルとして今日供される。 輸液に関する推奨法でのバイアルの再溶解法

    及び希釈法については、投与時の調製法の項

    を参照されたい。サイモグロブリンは、推奨

    されている流速で投与した場合には、副作用

    を生ずる可能性が低いことが、研究により示

    されている。予防的な抗ウイルス療法を行う

    ことが望ましい。点滴の 1 時間前にコルチコステロイド、アセトアミノフェン、及び/又は、抗ヒスタミン薬の前投与を行うことが望

    ましく、これによって、点滴中の副作用の発

    生頻度及び重症度が低下すると思われる(警

    告:一般及び副作用:市販後使用経験の項参

    11

  • 5

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) る。投与期間は最大 14 日間とする。 心移植の場合 通常、1 日 1 回、体重 1kg あたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 1.5~2.5mg を、1 バイアル(25mg)あたり、生理食塩液又は 5%ブドウ糖注射液50mL で希釈して、6 時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大 14 日間とする。 <用法及び用量に関連する使用上の注意> 1.アナフィラキシー等の過敏症状を起こすことがあるので、使用に際しては、十分な問診を行うとともに、

    あらかじめ本剤の試験投与を行うこと。 試験投与は通常、本剤1バイアルを日局注射用水5m

    L にて溶解後、その 0.5mL(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして 2.5mg)を 100mL の生理食塩液で希釈して、1 時間以上かけて点滴静注する。試験投与中は医師が患者の状態を十分に観察し、安全性を確

    認すること。 2.本剤又は他のウサギ血清製剤の投与歴のある患者に本剤をやむを得ず再投与する際には、投与に先立っ

    て、本剤に対する抗体の有無を確認する等、必要な処

    置を講じた上で、医師の十分な観察のもと投与するこ

    と。 3.臓器移植後の急性拒絶反応の治療に本剤を投与するにあたっては、血小板を含む全血算値に十分注意しな

    がら、以下に示す減量基準等を参考にし、適切な処置

    を行うこと。 (1)血小板数が 50,000~75,000/mm3 又は白血球数が2,000~3,000/mm3 の場合、本剤の減量を考慮すること。 (2)持続的で重度の血小板減少症(<50,000/mm3)又は白血球減少症(<2,000/mm3)があらわれた場合、本剤の投与中止を考慮すること。

    く、理想体重に基づくものとするようにす

    る。 小児患者及び高齢患者

    小児科対象集団(乳児、小児及び思春期)及

    び高齢患者での推奨用量は、成人と同一であ

    る。腎移植での移植片拒絶反応の治療に関す

    る小児のデータは存在しない。 腎機能不全及び肝機能不全

    PK 及び代謝の点からは、肝機能不全及び/又は腎機能不全を生じた患者での用量調節は不

    要である。 用法

    サイモグロブリンは通常、複数の免疫抑制剤

    を併用する治療処方の一部として投与され

    る。 ウサギ抗ヒト胸腺細胞グロブリンの点滴前

    に、静脈内コルチコステロイド及び抗ヒスタ

    ミン薬による前投与を行うことが望ましい。

    解熱薬(アセトアミノフェンなど)も、初回

    点滴の忍容性を増大させると思われる。 ウサギ抗ヒト胸腺細胞グロブリンは、等張性

    の 0.9%塩化ナトリウム溶液又は 5%グルコース溶液により希釈した後に点滴する。再溶解

    後は、粒子性物質がないことを確認するこ

    と。再溶解による粒子性物質の不注意による

    投与を回避するために、サイモグロブリン

    は、0.22 μm の in-line フィルター通じて投与することが望ましい。

    照)。医療担当者は、点滴中及び点滴後には

    有害事象に関して患者をモニタリングするよ

    うにしなければならない。T 細胞数のモニタリング(絶対数及び/又はサブセット)を行い、T 細胞枯渇の水準を評価することが望ましい。総白血球数及び血小板数もモニタリン

    グするようにする。

    12

  • 6

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 4.心移植後の急性拒絶反応の治療において、1.5mg/kgよりも。高用量を投与する期間は、過度の免疫抑制状

    態の持続を避けるため、5 日間までを目安にすること。

    High-flow 静脈にゆっくりと点滴する。点滴速度を調整し、点滴の総時間が 6 時間以上となるようにする。点滴に伴う有害事象の管理に

    関する注意事項については、「使用時の特別

    な警告及び注意」ならびに 4.8 項の「有害事象」の項を参照のこと。

    警告

    【警告】 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設におい

    て、再生不良性貧血及び造血幹細胞移植又は臓器移植

    に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤

    が適切と判断される症例についてのみ投与すること。

    また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性

    及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与するこ

    と。

    使用時の特別な警告及び注意

    サイモグロブリンは、院内で、厳密な医学的

    な監視の下で使用すること。サイモグロブリ

    ンは、移植現場で免疫抑制療法の経験のある

    医師の指示に従って投与するようにしなけれ

    ばならない。点滴中は、患者を慎重に監視す

    ること。アナフィラキシー性ショックの徴候

    について、患者には特に注意を払ってモニタ

    リングを行うようにしなければならない。点

    滴中及び点滴終了後患者が安定化するまでの

    あいだは、注意深く患者のモニタリングを継

    続するようにしなければならない。 サイモグロブリンの投与前には、患者がウサ

    ギ蛋白質に対してアレルギーを示すか否かを

    検討することが望ましい。治療初日のあいだ

    は、必要に応じて緊急治療が行えるように、

    医療担当者が待機し、装置などの準備がなさ

    れてなければならない。 免疫を介する反応

    まれに、サイモグロブリンの使用に伴う重篤

    な免疫媒介反応が報告されており、アナフィ

    ラキシー又は重度のサイトカイン放出症候群

    (CRS)が示される。

    警告

    サイモグロブリン®は、腎移植患者の管理を目的とする免疫抑制療法の経験のある医師以

    外は使用してはならない。 サイモグロブリンは、腎移植患者の治療を目

    的とする免疫抑制療法の経験のある医師以外

    は使用してはならない。サイモグロブリン点

    滴中は、医学的監視が必要である。 免疫を介する反応

    サイモグロブリンの使用に伴う重篤な免疫媒

    介反応が報告されており、アナフィラキシー

    又は重度のサイトカイン放出症候群(CRS)が示される。致死的アナフィラキシーが報告

    されている。アナフィラキシー反応が発現し

    た場合、直ちに注入を終了する。 医療担当者は、アナフィラキシーを生じた患

    者の治療ができるようにしていなければなら

    ない。0.3 mL~0.5 mL の皮下投与用エピネフリン水溶液(1:1000 希釈液)などの緊急治療、ならびに、酸素、静脈内輸液、抗ヒスタ

    ミン薬、コルチコステロイド、昇圧アミン及

    び気道管理手段などのその他の蘇生手順が、

    臨床的必要性に応じて、提供されるようにし

    ておかなければならない。サイモグロブリン

    13

  • 7

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 極めてまれに、致死的アナフィラキシーが報

    告されている(市販後臨床経験からの有害事

    象を参照)。アナフィラキシー反応が発現し

    た場合、直ちに注入を終了し、適切な救急処

    置を開始する。サイモグロブリンに対してア

    ナフィラキシーを発現したことのある患者へ

    のサイモグロブリン投与は、慎重に熟慮した

    後にのみ行われること。 重度の急性輸注関連反応(IAR)は、活性化された単球及びリンパ球によるサイトカイン

    放出に起因する CRS に一致する 。まれに、これらの報告された反応が重篤な心肺イベント

    や死亡と関連する(使用上の注意及び市販後

    臨床経験からの有害事象を参照)。 感染症

    サイモグロブリンは、他の免疫抑制剤と併用

    されることが多い。感染症(細菌、真菌、ウ

    イルス及び原虫)、感染症の再活性化(特に

    サイトメガロウイルス[CMV])及び敗血症が、サイモグロブリンと多数の免疫抑制剤と

    の併用投与後に報告されている。まれに、こ

    れら感染症は致命的となる。

    に対してアナフィラキシー生じた経歴のある

    患者に対して、さらにサイモグロブリンを投

    与することは、望ましくない。重度の急性輸

    注関連反応(IAR)は、活性化された単球及びリンパ球によるサイトカイン放出に起因す

    る CRS に一致する 。まれに、これらの報告された反応が重篤な心肺イベントや死亡と関

    連する(使用上の注意及び市販後臨床経験か

    らの有害事象を参照)。 感染症

    サイモグロブリンは、他の免疫抑制剤と併用

    されることが多い。感染症(細菌、真菌、ウ

    イルス及び原虫)、感染症の再活性化(特に

    サイトメガロウイルス[CMV])及び敗血症が、サイモグロブリンと多数の免疫抑制剤と

    の併用投与後に報告されている。まれに、こ

    れら感染症は致命的となる。

    禁忌

    【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 1.本剤の試験投与でショック状態等の過敏症が認められた患者[<用法及び用量に関連する使用上の注意>

    の項参照] 2.重症感染症(肺炎、敗血症等)を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある。] 3.妊婦[「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]

    サイモグロブリンは、以下の患者に対して禁

    忌である。 ・ウサギ蛋白質又は賦形剤に対する過敏症 ・免疫抑制の追加が禁忌であると考えられる

    活動性の急性又は慢性感染症

    禁忌

    サイモグロブリンは、ウサギ蛋白質又は賦形

    剤に対する過敏症及び免疫抑制の追加が禁忌

    であると考えられる活動性の急性又は慢性感

    染症の患者に対して禁忌である。

    14

  • 8

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 4.弱毒生ワクチンを投与中の患者[「3.相互作用」の項(1)参照] 【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とす

    るが、特に必要とする場合には慎重に投与するこ

    と)】 1.本剤又は他のウサギ血清製剤の投与歴のある患者[ショックを起こすおそれがある。] 2.ウイルス感染症の患者 3.細菌感染症の患者 4.真菌感染症の患者 [2.~4.本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。]

    使用上の注意

    【使用上の注意】 1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1) 薬物過敏症の既往歴のある患者 (2) アレルギー素因のある患者 (3) 肝障害のある患者[肝機能を悪化させるおそれがある]。 (4) 腎障害のある患者[腎機能を悪化させるおそれがある]。 (5) 心疾患のある患者[心機能を悪化させるおそれがある]。

    使用上の注意

    一般 サイモグロブリンは、使用される抗胸腺細胞

    グロブリン(ATG)供給源に依存して蛋白質の組成及び濃度が変化するため、その適正投

    与は、他の ATG 製剤と異なる。そのため、医師は、投与する ATG 製剤にとって、その処方用量が適正であることを保証するため、注意

    を払う必要がある。 サイモグロブリンは、患者を入院させて、厳

    重な医学的監視の下に使用し、点滴中は患者

    を注意深くモニターするべきである 。推奨用量及び注入時間を遵守することによって、

    IAR の発現頻度及び重症度が緩和されると思われる , 。加えて、点滴速度を緩徐にすることによって、これら IAR の多くは最小限に抑制されると思われる。解熱剤、コルチコステ

    ロイドや抗ヒスタミン剤の前投与によって、

    これら有害反応の発現頻度及び重症度が共に

    使用上の注意

    一般 サイモグロブリンは、使用される抗胸腺細胞

    グロブリン(ATG)供給源に依存して蛋白質の組成及び濃度が変化するため、その適正投

    与は、他の ATG 製剤と異なる。そのため、医師は、投与する ATG 製剤にとって、その処方用量が適正であることを保証するため、

    注意を払う必要がある。 サイモグロブリンは、患者を入院させて、厳

    重な医学的監視の下に使用し、点滴中は患者

    を注意深くモニターするべきである 。推奨用量及び注入時間を遵守することによって、

    IAR の発現頻度及び重症度が緩和されると思われる , 。加えて、点滴速度を緩徐にすることによって、これら IAR の多くは最小限に抑制されると思われる。解熱剤、コルチコステ

    ロイドや抗ヒスタミン剤の前投与によって、

    これら有害反応の発現頻度及び重症度が共に

    15

  • 9

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 軽減されると思われる。 点滴速度が速いことによって、CRS を示す症例が報告されている。まれに、重度の CRS は致死的となる。 血液作用

    血小板減少症や白血球減少症(リンパ球減少

    症及び好中球減少症を含む)が確認されてお

    り、用量調節によって回復可能である 3, 。血小板減少症や白血球減少症が、基礎疾患の一

    部でない、又はサイモグロブリン投与の原因

    疾患に関連しない場合、次の減量が提案され

    る。 ・血小板数が 50,000~75,000/mm3の場合、又は白血球数が 2,000~3,000/mm3の場合、減量を考えなければならない。 ・持続的で重度の血小板減少症(<

    50,000/mm3の)又は白血球減少症(<2,000/mm3)が生じた場合、サイモグロブリン投与中止を考えるべきである。 白血球及び血小板数は、サイモグロブリン投

    与中及び投与後にモニターするようにする。

    重度の好中球減少性の再生不良性貧血を生じ

    た患者では、特に慎重なモニタリング、適切

    な予防措置ならびに、発熱と感染症の管理が

    必要であり、適切な血小板輸血による支持療

    法も必要とされる。 感染症

    感染症、感染症の再活性化及び敗血症が、サ

    イモグロブリンと多数の免疫抑制剤との併用

    投与後に報告されている。患者を注意深くモ

    ニターし、適切な感染予防策が推奨される 。

    軽減されると思われる(用法及び用量を参

    照)。 点滴速度が速いことによって、CRS を示す症例が報告されている。まれに、重度の CRSは致死的となる。 血液作用

    血小板減少症や白血球減少症(リンパ球減少

    症及び好中球減少症を含む)が確認されてお

    り、用量調節によって回復可能である(用法

    及び用量を参照)。 感染症

    感染症、感染症の再活性化及び敗血症が、サ

    イモグロブリンと多数の免疫抑制剤との併用

    投与後に報告されている。患者を注意深くモ

    ニターし、適切な感染予防策が推奨され

    る 。 悪性疾患

    サイモグロブリンを含む免疫抑制剤の使用に

    よって、リンパ腫又は移植後リンパ増殖性疾

    患(PTLD)などの悪性疾患発生頻度が増大すると考えられる(市販後臨床経験からの有

    害事象を参照)。いずれを輸注する場合も同

    じであるが、投与部位に反応が生じる可能性

    があり、例えば、疼痛、腫脹及び紅斑などが

    考えられる。推奨されるサイモグロブリン投

    与経路は、流速の速い静脈(high flow vein)を用いた静脈内投与である(用法及び用量を

    参照)。 免疫予防注射

    16

  • 10

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 悪性疾患

    サイモグロブリンを含む免疫抑制剤の使用に

    よって、リンパ腫又は(ウイルス性の可能性

    のある)リンパ増殖性疾患などの悪性疾患発

    生頻度が増大すると考えられる。これらの事

    象は致命的な結果となることがある。(「有

    害事象」を参照)。 感染性物質の伝播のリスク

    サイモグロブリンの製造工程では、ヒト血液

    成分(ホルムアルデヒド処理した赤血球)及

    び胸腺細胞が使用されている。ヒト成分を用

    いて調製された製剤の利用によって引き起こ

    される感染症を予防するための標準的な手段

    には、ドナーの選別、特定の感染マーカーに

    ついての個々の供給品のスクリーニング、ウ

    イルスの不活化/除去のために効果的な製造手順の採用などがある。 それにもかかわらず、ヒト成分を用いて調製

    された製剤を投与する場合には、感染性物質

    の伝播の可能性を完全に排除することができ

    ない。これは、未知又は顕現性のウイルス及

    びその他の病原体にもあてはまる。 サイモグロブリンで採用されている手段は、

    HIV、HBV 及び HCV などのエンベロープを有するウイルス、ならびに、HAV 及びパルボウイルス B19 などエンベロープを持たないウイルスに対して有効であると考えられてい

    る。 サイモグロブリンを患者に投与する際には常

    に、製品の名称及びバッチ番号を記録し、患

    者と製品のバッチとの関連性が明らかにでき

    るようにしておくことが、強く望まれる。

    サイモグロブリン投与後の弱毒化生ワクチン

    接種の安全性は検討されていない。ゆえに、

    直前にサイモグロブリン投与を受けている患

    者には、弱毒化生ワクチンを用いた予防接種

    が推奨されない。 臨床検査

    サイモグロブリン療法中は、リンパ球数のモ

    ニタリング(すなわち、総リンパ球数及び/又は T 細胞サブセット)が、T 細胞枯渇の度合いを評価するのに有用と思われる(薬物動

    態及び免疫原性の項を参照)。安全のため

    に、WBC 数及び血小板数もモニタリングすべきである(用量及び用法の項を参照)。

    17

  • 11

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) サイモグロブリン投与に際して特に考慮すべ

    き点 いずれを輸注する場合も同じであるが、投与

    部位に反応が生じる可能性があり、例えば、

    疼痛、腫脹及び紅斑などが考えられる。 推奨されるサイモグロブリン投与経路は、流

    速の速い静脈(high flow vein)を用いた静脈内投与であるが、末梢静脈から投与しても差

    し支えない。サイモグロブリンを末梢静脈か

    ら投与する場合、ヘパリン及びハイドロコル

    チゾンを併用した 0.9%塩化ナトリウム輸液を用いることによって、表在性血栓静脈炎及び

    深部静脈血栓症が生じる可能性が最小限に抑

    制されると考えられる 。サイモグロブリン、ヘパリン及びハイドロコルチゾンを併用した

    デキストロース輸液では沈殿が認められてお

    り、推奨されない (薬剤学的配合禁忌を参照)。 免疫予防注射

    サイモグロブリン投与後の弱毒化生ワクチン

    接種の安全性は検討されていない。ゆえに、

    直前にサイモグロブリン投与を受けている患

    者には、弱毒化生ワクチンを用いた予防接種

    が推奨されない。 2. 重要な基本的注意 (1) ショック等重篤な副作用を起こすことがあるの

    で、投与前にショック症状発現時の救急処置対策

    を考慮しておくこと。投与中は注意して使用し、

    医師が経過を十分に観察すること。ショック症状

    があらわれた場合には、速やかに投与を中止し、

    適切な救急処置を行うこと。 (2) 本剤の投与前に感染症が認められた場合、感染症

    の治療を優先し、患者の状態が安定した後、本剤

    18

  • 12

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) を投与すること。また、投与中並びに投与後に重

    篤な感染症(ウイルス感染症、細菌感染症、真菌

    感染症等)が発症する場合があるので、適切な治

    療を行うこと。 (3) 間質性肺炎を起こすことがあるので、咳嗽、呼吸

    困難、低酸素症等の呼吸器症状に注意すること。 (4) 本剤投与の初期に Infusion associated reaction(症

    状:発熱、悪寒、頭痛等のインフルエンザ様症

    状)があらわれることがあるので、その旨を患者

    にあらかじめ説明しておくこと。また、これらの

    症状は通常、軽度かつ一時的なものであるが投与

    中は患者を注意深く観察すること。これらの症状

    を予防するため、緩徐に投与すること。また、解

    熱剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤等の

    予防投与が、本剤の投与初期に頻発するこれらの

    症状を軽減することが知られている。 (5) 本剤投与時に交差反応性抗体に起因する血小板減

    少があらわれ、出血傾向が増悪するおそれがある

    ので、定期的に血小板数を測定し、患者の状態を

    十分に観察すること。 (6) 本剤投与に先立って、本剤又は他のウサギ血清製

    剤の治療歴の有無を必ず確認すること。また、本

    剤の投与後には、患者にウサギ血清製剤を投与し

    た旨を十分に認識させるために、本剤の医薬品名

    を記載した用紙に、使用量、使用期間、病院名、

    担当医師名を記入し、治療終了後に治療歴として

    保管するとともに同様の記録を患者に渡すこと。 (7) 免疫抑制剤を投与された B 型肝炎ウイルスキャリ

    アの患者において、B 型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs 抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後

    に B 型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C 型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開

    19

  • 13

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) 始後に C 型肝炎の悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合

    は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニ

    タリングを行うなど、B 型肝炎ウイルスの再活性化や C 型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。[「(1)重大な副作用 3)」の項参照]

    (8) 臓器移植後の急性拒絶反応の治療の場合、原則として、急性拒絶反応の確定診断後に本剤を投与す

    ること。

    使用上 の注意(つづき)

    3. 相互作用 (1) 併用禁忌(併用しないこと) 薬剤名等 臨床症状・ 措

    置方法 機序・危険因

    子 弱毒生ワクチ

    ン おたふくか

    ぜ、麻疹、

    風疹及びこ

    れらの混合

    ワクチン等

    本剤投与

    後、弱毒生

    ワクチンを

    接種する場

    合には、発

    病するおそ

    れがある。

    本剤の免疫抑

    制作用によ

    る。

    (2) 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等 臨床症状・ 措置方法

    機序・危険因子

    他の免疫抑制

    剤 シクロスポリ

    ン等

    過度の免疫抑

    制による感染

    症あるいはリ

    ンパ増殖性疾

    患を惹起する

    危険性がある

    ので、併用す

    る場合には慎

    重に投与する

    こと。

    相加的に免疫

    抑制作用が増

    強される可能

    性がある。

    薬物相互作用

    薬物相互作用試験は行われていない。 食物及び飲み物との相互作用は考えにくい。 1 つの適合性試験に基づくと、サイモグロブリン、ヘパリン及びハイドロコルチゾンを併

    用したデキストロース輸液で沈澱が認められ

    ており、推奨されない。これ以外の薬剤学的

    配合禁忌データは得られていないため、同一

    輸液中でサイモグロブリンと他の医薬品を混

    合してはならない。

    薬物相互作用

    • 薬物相互作用試験は行われていない。 • サイモグロブリンは、標準的な免疫抑制療法を受けている患者に対して投与されるた

    め、患者は免疫系の過剰抑制を生じやすくな

    ると思われる。多くの移植センターでは、抗

    体療法中は、免疫抑制剤による維持療法が減

    少している。 • サイモグロブリンは、ウサギ免疫グロブリンと交差反応をする抗体の産生を促進させる

    可能性がある(薬物動態及び免疫原性の項参

    照)。

    20

  • 14

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版)

    使用上の注意(つづき)

    4. 副作用 国内における臨床試験での安全性評価対象症例 160例中 159 例(99.4%)に 3,443 件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発熱 145例(90.6%)、熱感 120 例(75.0%)、白血球減少120 例(75.0%)、CRP 増加 113 例(70.6%)、好中球減少 87 例(54.4%)等であった。(承認時)

    外国における腎移植後の急性拒絶反応の治療を目

    的とした二重盲検比較試験において、安全性評価対

    象症例のうち本剤が投与された 82 例中 82 例(100%)に 940 件の副作用(関連性が unlikely のものを含む)が認められた。主な副作用は、悪寒 40 例(48.8%)、疼痛 38 例(46.3%)、白血球減少 32 例(39.0%)、腹痛 31 例(37.8%)、高血圧 30 例(36.6%)、末梢性浮腫 28 例(34.1%)、無力症、血小板減少症、高カリウム血症各 22 例(26.8 %)、発熱 20 例(24.4 %)、貧血 19 例(23.2%)等であった。(腎移植適応追加申請時)

    肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植後の

    急性拒絶反応の治療における副作用発現頻度が明確

    となる臨床試験は実施していない。 (1) 重大な副作用 1)ショック(頻度不明注))、アナフィラキシー (0.4%) …ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので観察を十分に行い、呼吸困難、血圧低

    下、頻脈等の異常が認められた場合には投与を中止

    し、適切な処置を行うこと。 2) 重度の infusion associated reaction(サイトカイン放出症候群を含む)(頻度不明注))…重度の infusion associated reaction(サイトカイン放出症候群を含む)があらわれ、重篤な心障害や肺障害(心筋梗塞、急

    性呼吸窮迫症候群、肺水腫)に至ることがあるの

    で、発熱、悪寒、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、頻

    脈、低血圧、高血圧、倦怠感、発疹、頭痛等の異常

    有害事象

    フランスでの多施設共同市販後サーベイラン

    ス試験で認められた有害事象 1997 年 6 月から 1998 年 3 月までに、18 箇所の フ ラ ン ス の 移 植 セ ン タ ー が French Multicentre Post-marketing Surveillance Study(フランス多施設共同市販後サーベイランス

    試験)-00PTF0 に参加した。 この前向き、単独群、観察的コホート試験に

    は、総数 240 例の患者が参加した。患者はいずれも、腎移植の急性拒絶反応に対する予防

    措置として、サイモグロブリンの投与を受け

    た。 下表の安全性データは、サイモグロブリンと

    の因果関係にかかわらず、この試験で報告さ

    れたすべての有害事象を示している。 血液及びリンパ系障害 10%以上:リンパ球減少症、好中球減少症、血小板減少症 胃腸障害

    1%以上10%未満:下痢、嚥下障害、悪心、嘔

    全身障害及び投与局所様態

    10%以上:発熱

    1%以上10%未満:戦慄

    免疫系障害

    1%以上10%未満:血清病

    感染症及び寄生虫症

    有害事象

    臨床試験 米国第Ⅲ相試験 サイモグロブリンの有害事象は概ね管理可能

    又は回復可能であった。サイモグロブリンと

    アトガムの腎移植後急性拒絶反応治療におけ

    る有効性と安全性を比較する米国第 3 相比較対照試験(n=163)において、臨床的著明な有害事象に 2 治療群間の有意差は認められなかった(表 2)。サイモグロブリンの有害事象は概ね管理可能又は回復可能であった。サ

    イモグロブリン投与群の 3 例及びアトガム投与群の 3 例から 1 年間の追跡期間中に悪性疾患が報告された。この中にサイモグロブリン

    群における 2 例の PTLD 及びアトガム群における 2 例の PTLD が含まれた。 表 1. 報告頻度が高い有害事象及び著明な有害事象* 基本語 サイモグロブ

    リン n=82

    アトガム

    n=81

    p 値†

    患者数(%) 患者数(%)

    報告頻度の高い事象

    発熱 52 (63.4) 51 (63.0) 1.0

    悪寒 47 (57.3) 35 (43.2) 0.086

    白血球減少症 47 (57.3) 24 (29.6)

  • 15

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を

    行うこと。 3) 感染症(肺炎、敗血症等)(11.2%)…ウイルス(アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペ

    ス等)、細菌、真菌(アスペルギルス等)等による

    重篤な感染症があらわれることがある。また、免疫

    抑制剤を投与された B 型又は C 型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B 型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎や C 型肝炎の悪化があらわれることがある。本剤を投与する場合は観察を十分に行い、異常

    が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を

    行うこと。 4) 発熱性好中球減少症(頻度不明注))…発熱性好中球減少症があらわれることがあるので、観察を十分

    に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、

    適切な処置を行うこと。 5) 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明注))…進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者

    の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺

    症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があ

    らわれた場合は、MRI による画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を

    行うこと。 6) BK ウイルス腎症(頻度不明注))…BK ウイルス腎症があらわれることがあるので、このような場合に

    は減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。 7) 間質性肺炎(2.1%)…間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼

    吸困難、胸部 X 線検査異常等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。 8) 血小板減少(31.0%)、白血球減少(頻度不明注))…血小板減少、白血球減少があらわれることが

    あるので、定期的に血液検査等を行い、異常が認め

    10%以上:感染

    筋骨格系及び結合組織障害

    1%以上10%未満:筋肉痛

    良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及び

    ポリープを含む)

    1%以上10%未満: 悪性新生物

    呼吸器、胸郭及び縦隔障害

    1%以上10%未満:呼吸困難

    皮膚及び皮下組織障害

    1%以上10%未満:そう痒症、発疹

    血管障害

    1%以上10%未満:低血圧

    輸注関連反応及び免疫系障害

    IAR はサイモグロブリン投与後に発現すると考えられ、単回投与コースにおける 1 又は 2回目の輸注をするとすぐに発現する可能性が

    ある。IAR の臨床症状は、次の徴候及び症状のいくつかを含む-発熱、悪寒/寒気、呼吸

    困難、悪心/嘔吐、下痢、低血圧又は高血

    圧、倦怠感、発疹、蕁麻疹、及び/又は頭

    痛。サイモグロブリンに伴う IAR は軽度で一過性の場合が多く、点滴速度の減速及び/又

    は、薬物投与により緩和される。サイモグリ

    ン投与中、なんらかの臨床兆候又は症状がな

    いトランスアミナーゼの一過性の可逆的上昇

    も報告されている。重篤で、極めて稀に致死

    的アナフィラキシー反応が報告されている

    末梢性浮腫 28 (34.1) 28 (34.6) 1.0

    呼吸困難 23 (28.0) 16 (19.8) 0.271

    無力症 22 (26.8) 26 (32.1) 0.495

    高カリウム血

    22 (26.8) 15 (18.5) 0.262

    頻脈 22 (26.8) 19 (23.5) 0.719

    著名な事象

    白血球減少症 47 (57.3) 24 (29.6)

  • 16

    日本添付文書(案) [下線部は変更箇所] 欧州製品概要(2012 年 4 月改訂版) 米国添付文書(2008 年 9 月改訂版) られた場合には投与を中止する等、適切な処置を行

    うこと。 9) 出血傾向…脳出血(1.7%)、下血、胃腸出血(いずれも 1.2%)、くも膜下出血、肺出血、肺胞出血(いずれも 0.4%)等の出血があらわれることがあるので、臨床症状を十分に観察し、異常が認められた

    場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 10) 重篤な肝障害(6.2%)…AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行う等、観察を

    十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止

    し、適切な処置を行うこと。 11) リンパ増殖性疾患(1.2%)…リンパ増殖性疾患があらわれることがあるので、発熱、リンパ節腫大等

    が認められた場合には、適切な処置を行うこと。 注) 国内における承認時までの臨床試験及び外国における腎移植後の急性拒絶反応の治療を目的とした二重盲検比較

    試験で認められなかった副作用は頻度不明とした。 (2) 重大な副作用(類薬) 急性腎不全…静注用人免疫グロブリンの投与によ

    り、急性腎不全があらわれることが報告されている

    ので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを

    確認するとともに、観察を十分に行い、腎機能検査

    値(BUN、血清クレアチニン等)の悪化、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を

    行うこと。なお、急性腎不全の危険性の高い患者に

    おいては、投与量及び投与速度を出来るだけ低くす

    ることが望ましい。 (3) その他の副作用 40%以上 10~40%未

    満 10%未満

    (警告を参照)。事象発現中にエピネフリン

    が投与されなかった患者にこれらの死亡例が

    報告されている。 サイトカイン放出症候群(CRS)に一致するIAR が報告されている。重度で、生命の危険を伴う可能性のある CRS がまれに報告されている。重度 CRS の市販後報告は、心臓循環機能不全(低血圧、急性呼吸不全症候群

    [ARDS]、肺水腫、心筋梗塞、頻脈及び/又は死亡)に関連している。 血清病 市販後調査中、発熱、発疹、蕁麻疹、関節痛

    及び/又は筋肉痛など血清病の可能性を示す

    反応が報告されている 。血清病はサイモグロブリンによる治療開始 5~15 日後に発現する傾向がある 。症状は、通常、自然治癒あるいはコルチコステロイドによる治療で速やかに

    消失する。 免疫抑制に起因する有害事象

    感染症、感染症の再活性化、発熱性好中球減

    少症及び敗血症が、サイモグロブリンと多数

    の免疫抑制剤との併用投与後に報告されてい

    る。まれに、これらの感染による致死が認め

    られた。固形腫瘍やリンパ増殖性疾患

    (LPD)及び(ウイルス性の可能性のある)他のリンパ腫を含む(ただしこの限りではな

    い)悪性腫瘍が報告されている。これらの事

    象は、致死的な結果となることがある(使用

    上の注意を参照)。これらの有害事象は、常

    数 数

    全身 30 (36.6) 36 22 (27.2) 29 0.240

    感染症 25 (30.5) 26 19 (23.5) 21 0.378

    その他 14 (40.2) 33 28 (34.6) 28 28

    CMV 11 (13.4) 11 9 (11.1) 9 0.812

    敗血症 10 (12.2) 10 7 (9.6) 7 0.610

    モリニア症 0 (0.0) 0 1 (1.2) 1 0.497

    消化器 5 (6.1) 5 3 (3.7) 3 0.720

    胃腸口腔モ

    リニア症

    3 (3.7) 0 2 (2.5) 1 0.497

    胃炎 1 (1.2) 1 0 (0.0) 0 1.000

    呼吸器 0 (0.0) 0 1 (1.2) 1 0.497

    肺炎 0 (0.0) 0 1 (1.2) 1 0.497

    皮膚 4 (4.9) 4 0 (0.0) 0 0.120

    単純ヘルペ

    4 (4