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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法 AUTODESK® INVENTOR® 1 デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法 概要: Inventor のデザインビューの機能を使って、アセンブリモデルから、部品図面をdwg形式で作成する方法を 紹介します。設計したモデル(3D)から図面(2D)を作成するとき、その図面をdwg形式で作成・運用をするとき に有効な方法です。 課題: 図面をdwg形式で作成・運用をする場合は、通常、パーツモデル(ipt 形式ファイル)から図面ドキュメント(idw 形式)に必要な投影図を作成し、更にそれをdwg形式にエクスポートします。dwg形式なので、AutoCAD Mechanical などを使って作業をすることができます。 この運用方法での課題は、投影図作成の効率向上です。dwg形式の図面にエクスポートするためには、ま ず、Inventorの図面ドキュメント( 1 idw形式あるいはdwg形式)で投影図(3面図)を作成する図面化の作業をしま すが、この作業にかかる工数は、 図面化工数 部品図面枚数 × 1枚あたりの投影図の数 × 投影図1つの作成工数 標題欄作成や図面保存などその他の工数 で、計算できます。 図面1枚に平均して3つの投影図があり、投影図を一つ作成するのに0.5分、その他の工数を1分とすると、部品 点数が20点の場合で、50分かかる計算となります。 図面枚数 ×投影図の数 の掛け算で工数がかかるので、形状が複雑だったり図面の枚数が増えたりすると、 かなりの工数増となります。 投影図の作成を自動化する: 本資料で紹介する方法は、デザインビューの機能を使って、投影図作成からdwg形式へのエクスポートまで をカスタマイズされたプログラムを使って自動的に行う、というものです。 1. アセンブリモデルから、まずアセンブリモデルの図面化を行います。 2. デザインビューを切り替えることで単品のパーツモデルだけが表示されるように、アセンブリモデル側でコ ンポーネント毎のデザインビューを作成します。 3. 図面ドキュメントの側で、各投影図をデザインビューで表示する設定すると、見掛け上、部品図として表 示されます。 4. その状態で、dwg形式でエクスポートをします。 デザインビューの作成、デザインビューの切り替え、dwg形式へのエクスポートは、カスタマイズプログラムが 行いますので、自動的にdwg図面を作成することができます。 1 Inventor 2008 のバージョンから、Inventor の図面ドキュメントとしてdwg形式を使うことが出来ます。ただ し、Inventorの図面ドキュメントとして作成されたdwg形式ファイルは、AutoCADで開いた時は投影図を編集す ることはできません。

デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法images.autodesk.com/apac_japan_main/files/080522_gene...デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

AUTODESK® INVENTOR®

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

概要:

Inventor のデザインビューの機能を使って、アセンブリモデルから、部品図面をdwg形式で作成する方法を

紹介します。設計したモデル(3D)から図面(2D)を作成するとき、その図面をdwg形式で作成・運用をするとき

に有効な方法です。

課題:

図面をdwg形式で作成・運用をする場合は、通常、パーツモデル(ipt 形式ファイル)から図面ドキュメント(idw

形式)に必要な投影図を作成し、更にそれをdwg形式にエクスポートします。dwg形式なので、AutoCAD

Mechanical などを使って作業をすることができます。

この運用方法での課題は、投影図作成の効率向上です。dwg形式の図面にエクスポートするためには、ま

ず、Inventorの図面ドキュメント(1idw形式あるいはdwg形式)で投影図(3面図)を作成する図面化の作業をしま

すが、この作業にかかる工数は、

図面化工数 = 部品図面枚数 ×

( 1枚あたりの投影図の数 × 投影図1つの作成工数 + 標題欄作成や図面保存などその他の工数 )

で、計算できます。

図面1枚に平均して3つの投影図があり、投影図を一つ作成するのに0.5分、その他の工数を1分とすると、部品

点数が20点の場合で、50分かかる計算となります。

図面枚数 ×投影図の数 の掛け算で工数がかかるので、形状が複雑だったり図面の枚数が増えたりすると、

かなりの工数増となります。

投影図の作成を自動化する:

本資料で紹介する方法は、デザインビューの機能を使って、投影図作成からdwg形式へのエクスポートまで

をカスタマイズされたプログラムを使って自動的に行う、というものです。

1. アセンブリモデルから、まずアセンブリモデルの図面化を行います。

2. デザインビューを切り替えることで単品のパーツモデルだけが表示されるように、アセンブリモデル側でコ

ンポーネント毎のデザインビューを作成します。

3. 図面ドキュメントの側で、各投影図をデザインビューで表示する設定すると、見掛け上、部品図として表

示されます。

4. その状態で、dwg形式でエクスポートをします。

デザインビューの作成、デザインビューの切り替え、dwg形式へのエクスポートは、カスタマイズプログラムが

行いますので、自動的にdwg図面を作成することができます。

1 Inventor 2008 のバージョンから、Inventor の図面ドキュメントとしてdwg形式を使うことが出来ます。ただ

し、Inventorの図面ドキュメントとして作成されたdwg形式ファイルは、AutoCADで開いた時は投影図を編集す

ることはできません。

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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サンプルデータ:

サンプルデータ(GenerateDwgByDesignView_080522.zip) をダウンロードし、適当なフォルダに解凍しま

す。

VBAフォルダに以下のファイルが入っています。

VBAプロジェクトファイル DwgTool.ivb

メニューアイコン用ビットマップファイル

SampleDataフォルダにサンプルモデルデータセットが入っています。

GenerateDwgSamp.ipj がこのサンプルデータについてのプロジェクトファイルです。

インストール:

既定値のVBAプロジェクトに、DwgTool.ivb の内容を追加します。既存のVBAプロジェクトへのインストール手

順については、「Inventorマクロ登録手順の紹介」という資料を参考にしてください。

この資料は、オートデスク日本のホームページにあります。Autodesk Inventor のドキュメントライブラリ

(http://www.autodesk.co.jp/ais_document )内の、APIのページ内に掲載しています。

対応バージョン:

Inventor 2008、2009

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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基本作業手順

概要:

SampleモデルのTunerSample を例に、dwg図面作成の基本的な作業手順を説明します。

準備:

1. Inventor を起動して、サンプルデータセットの中にあるプロジェクトファイル GenerateDwgSamp.ipj を

アクティブにしておきます。

2. TunerSampleを開きます。

サンプルモデルでは、Button (チューニング用のつまみ)の向きと、String Post の弦が通り穴の

向きを、基準座標軸の向きに合わせてあります。(部品図にしたときに実長で投影されるようにする

ためです)

アセンブリモデルの図面化:

新規図面ドキュメントを開いて、アセンブリモデルの図面化を行います。

3. 図面ビューのオプション設定は、図のようにしておきます。

ビューの配置は、固定 にします。

接線エッジの個所には、チェックを入れます。

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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隠線を表示する のアイコンにチェックを入れます。

4. すべての部品の形状が、実長で表示されるように、図面ビューを配置します。

断面図や補助投影などの機能を使って、すべての部品の形状が実長で表わされるようにします。

5. 部品のプロパティ情報が分かるように、風船とパーツリストを配置します。

6. 上図のように、図面ドキュメントが完成したら、保存しておきます。

TunerSample.idw が作成例ですので参考にしてください。

デザインビューの作成:

ここからは、プログラムを使って作業をします。

7. マクロ、「DwgTool.GenerateDwgStart」を実行します。

図のようなダイアログボックスが表示されます。

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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8. ボタンを押して、デザインビューを作成します。

アセンブリモデルにコンポーネント毎のデザインビューが作成され、ダイアログボックス内のリストボ

ックスに作成されたデザインビューがリスト表示されます。

アセンブリモデルのブラウザに、デザインビューが自動的に作成されている

アセンブリモデルに、既にデザインビューができている場合に を実行すると、

図のような警告メッセージが出ます。

デザインビューの作成を再度行うときは、「はい」、キャンセルするときは「いいえ」をクリックします。

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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デザインビューで表示

部品ごとのデザインビューで投影図を表示して、図面として必要な形状が出ているか確認します。

9. リストボックスから、デザインビューを選択します。(例は「MyView_button:1」)

10. ボタンをクリックすると、リストボックスで指定したデザインビューで表示されます。

Button の場合

Casting の場合

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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dwg形式でエクスポート

デザインビューで表示された状態でdwg形式にエクスポートします。

11. AutoCAD Mechanical を起動しておきます。

起動しておかなくても、エクスポートはできますが、あらかじめ起動しておいたほうが、エクスポートに

かかる時間を短くできます。

12. ボタンをクリックすると、デザインビュー毎にdwg形式にエクスポートされます。

アセンブリモデルのファイルがあるフォルダに、[アセンブリファイル名+年月日]フォルダを作り、その中

に、[コンポーネント名.dwg ] の名前でエクスポートされます。

既定の設定でエクスポートされますが、設定が未設定のときは,DWGエクスポートオプションのダイ

アログが出るので、その場で設定をします。

Button の場合

Casting の場合

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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13. ボタンをクリックすると、リストボックスで指定したデザインビューだけがdwg形式に

エクスポートされます。

アセンブリモデルのファイルがあるフォルダに、[アセンブリファイル名+年月日]フォルダを作り、その中

に、[コンポーネント名.dwg ] の名前でエクスポートされます。

プログラム終了

dwg形式にエクスポートしたらプログラムを終了します。

14. ダイアログボックスを閉じて、プログラムを終了します。

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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AutoCAD で図面を完成する

dwg形式にエクスポートされたファイルはAutoCADを使って図面として完成させます。ダイアログボックス

を閉じて、プログラムを終了します。以下の説明は、AutoCADでの操作説明です。

15. XREF[外部参照]コマンドを使って、各部品ファイルをまとめます。

すべてのdwg図面を原点に配置すると、下図のように、部品同士の位置関係が再現されます。

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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16. それぞれの部品図面で、レイアウト空間上に投影図を配置し、図面としての体裁を整えます。

モデル空間での表示

レイアウト空間での表示

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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応用

概要:

応用した使い方をしたいときの参考内容を紹介します。

キーワード:

コンポーネント毎に表示できる様、アセンブリモデルにデザインビューを作成しますが、他の目的で作成され

ているデザインビューと区別するために、デザインビューの名称には、頭にキーワードを付けています。(デフォ

ルトでは、MyDview_)

dwg形式へのエクスポートは、キーワードが付いているデザインビューだけに行われます。使用箇所が複数あ

って、dwg形式へのエクスポートは1箇所だけでよいという場合は、不要のデザインビューを消しておきます。デ

ザインビュー消去の作業は、アセンブリモデルのブラウザで行えます。

キーワード名をデフォルトから変更したい場合は、F_GenerateDwg フォームの以下のコードを修正します。

'---------------------------------------------------------------------------------------------------- Private Const KEYWORD = "MyDview_" 'キーワードを変更する場合はここを修正 '----------------------------------------------------------------------------------------------------

オプションファイルを使ったdwgエクスポート:

オプションファイルを使って dwgエクスポートするときは、F_GenerateDwg フォームの ExportThis サブ

プログラムを修正して、PublishDWG サブプログラムを実行するようコードを修正します。

' DWGにエクスポート '-------------------------------------------------------------------------------------------- 'デフォルト設定でDWG出力するときはこちら '-------------------------------------------------------------------------------------------- oDrawDoc.SaveAs DocDir + "\" + DWGNAME, True '-------------------------------------------------------------------------------------------- 'オプションファイルを使って出力をコントロールしたいときはこちらのサブプログラムを使って出力 '-------------------------------------------------------------------------------------------- ' PublishDWG DocDir + "\" + DWGNAME '--------------------------------------------------------------------------------------------

※ オプションファイルは、 サブプログラムの中で指定します。

'ユーザの環境に合わせて設定ファイルの位置をセット Dim strIniFile As String '------------------------------------------------------------------- strIniFile = "・・・・・\SampleData\acm2009_jis.ini" ' 環境設定ファイルの位置を指定 '-------------------------------------------------------------------

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デザインビューを使ってDWG図面を作成する方法

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プロパティのエクスポート:

dwg形式にエクスポートをする際に、デザインビューの名前とエクスポートした年月日を、部品番号とタイトルの

プロパティに転記する処理をしています。部品番号とタイトルのプロパティは図面の標題欄に表示されます。標

題欄に表示する内容をカスタマイズしたいときは、F_GenerateDwg フォームの ExportThis サブプログラ

ムの以下の部分を修正します。

'-------------------------------------------------------------------------------------------- '表題欄を更新 '標題欄のプロパティがほかにもあるときは、同様に追加する Set oProp = oPROPEDIT.SetProperty(PN, Mid(DesignViewName, Len(KEYWORD) + 1)) Set oProp = oPROPEDIT.SetProperty(TI, "EXPORTED AT " + Format(Now, "YY/MM/DD")) '--------------------------------------------------------------------------------------------

※ ここで、PN, TI は、F_GenerateDwg フォームの以下の部分で定義しています。 '------------------------------------------------------------------------- Private Const PN = "Part Number" '部品番号プロパティ Private Const TI = "Title" 'タイトルプロパティ '-------------------------------------------------------------------------

※ プロパティ編集については、クラス clsPropertyEdit を参照ください。

この資料の利用上のご注意

この資料の作成に当たっては、不具合の無いように十分に注意を払っておりますが、プログラム等の使用において、何らかの問

題が生じましても、オートデスクとして責任を持つことは出来ません。利用者の自己責任でご利用いただくようお願いします。

この資料の内容は、無償にて自由に使っていただけます。

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