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1 コヒーレントEUV光を利用した半導 体マスクパタン幅評価装置 兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所 EUVリソグラフィー研究開発センター, CREST/JST 助教 原田 哲男 准教授 渡邊 健夫 教授 木下 博雄

コヒーレントEUV光を利用した半導 体マスクパタン幅評価装 …• 2012年より適用されるhp 22 nm世代用EUVLマスク全面を評価 • 移動も含めた測定再現性で

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コヒーレントEUV光を利用した半導体マスクパタン幅評価装置

兵庫県立大学 高度産業科学技術研究所

EUVリソグラフィー研究開発センター,

CREST/JST

助教 原田 哲男

准教授 渡邊 健夫

教授 木下 博雄

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研究背景:EUVリソグラフィー

• 2012年より波長13.5 nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーが量産開始

•今年6台の量産評価機が出荷(オランダ ASML社)

コスト

hp 32 nm

hp 22 nm

2009年国際半導体ロードマップにおける各種リソグラフィ技術のコスト見積

EUVDouble Patterning

2013年

2016年•従来リソグラフィー液浸193 nmは45 nmで限界.

•延命技術の2回露光(DP)より13.5 nmのEUVリソグラフィーの方がコストが安い.

• EUVLはhp 10 nm以下まで延長可能な究極の光リソグラフィー技術

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レーザー光 集光ミラー

照明光学系

ウエハ・高感度・高解像・低LER

EUVEUV光源光源・高強度化・デブリ

EUVEUV光源光源・高強度化・デブリ

マスクマスク

・反射率・ゼロ欠陥・マスク搬送

マスク

露光装置露光装置

・光学調整・コンタミ

レジストレジスト

EUVリソグラフィー装置の構成図

EUVL開発課題(2010/10 EUVLシンポジウム)

1.無欠陥マスク 1.光源強度 3.レジスト

EUVL特徴

•反射光学系

•多層膜コート

•反射率 70%

•真空中

•プラズマ光源

100 W以上

本報告原版

研究背景:EUVリソグラフィー

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Glass

振幅欠陥 位相欠陥

反射強度に影響 反射位相に影響多層膜中欠陥,基板Pitなど

GlassCD大 CD中 CD小

パタンの寸法(CD)変化

マスク上の欠陥種類

Actinic CD

TaN Absorber

Mo/Si Multilayer

d

θ

Shadowing Effect

半導体パタンの原版であるマスクには欠陥があってはならない実露光波長での欠陥検査が必須

1 nm深さの凹凸も欠陥として転写されうる

6°照明での実効的なパタンサイズ

研究背景:EUVマスク検査

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新技術の基となる研究成果・技術コヒーレントスキャトロメトリー顕微鏡

欠陥評価+寸法検査

Coherent EUV Scatterometry Microscope (CSM)

•サンプルをコヒーレントEUV光で照射

•パタンのフーリエ変換強度である回折強度をCCDカメラで記録

•計算により,像再生

複雑な調整無しに,照射するだけで情報が得られる

目標欠陥検出サイズ 20 nm, 寸法測定精度 0.01 nm

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EUV mask

ピンホール

シャッター

平面鏡Mo/Si ML

凹面鏡Mo/Si ML

EUV CCDカメラ

EUV光

XYZステージ

レーザースケールエンコーダーXY

現在,放射光施設ニュースバル(BL-3)にて開発中のCSM実験機内部写真

視野φ5 μm

分解能 50 nm

実験機の性能

コヒーレントスキャトロメトリー顕微鏡

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32 nm世代用hp 128 nm, L/Sパタン

28 nm世代用hp 112 nm, Holeパタン

強度対数表示ビットラインパタン

Line and Space Pattern Hole Pattern Bit-line Pattern

0次光

+1次光-1次光

+2次光-2次光

CD-SEM画像 CD-SEM画像 CD-SEM画像

CCDカメラ画像 CCDカメラ画像 CCDカメラ画像

測定例

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1 μm

周期的パタンホールパタン

hp 400 nm

2 μm

非周期パタン十字マーク

2 μm

非周期+周期パタンL/Sパタン端点

hp 128 nm

パタン像観察

CCDカメラ画像

強度情報 位相情報

拘束条件を課した計算で回復

周波数空間逆フーリエ変換

実空間

EUVマスクパタン像

位相回復アルゴリズムで計算したパタン像

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CD-SEM画像

300 nm

欠陥位置

88 nm L/Sパタン,線幅アンダー欠陥

明部TaN

L/Sパタン内にプログラム欠陥を配置CCD画像

線幅 30 nmアンダー

欠陥信号

0次光 +1次光-1次光

露光時間 100 s

欠陥サイズ 2 ~ 40 nm

周波数フィルタによりL/Sパタン成分を除去

1 μm

欠陥

CSM再生像 (200回反復計算後)

1 μm

欠陥

CSMでの欠陥像観察

欠陥をパタン像として評価できた

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各回折強度はCD値により敏感に変化する

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Diffraction intensity (a.u.)

CD ratio0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Diffraction intensity (a.u.)

CD ratio0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Diffraction intensity (a.u.)

CD ratio

0次光 1次光 2次光

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

Diffraction intensity (a.u.)

CD ratio

3次光

Mo/Si ML

TaN Absorber

CD

Pitch

CD大 CD中 CD小

各回折光強度より露光機での実効的なCD値を評価する

どのようにしてCDを評価するか?

EUVマスクのパタン幅(CD)評価

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Mask

Wafer

OBJECTIVE

+1st-1st ZERO

¼倍縮小露光

•微細パタンの結像では0次光と1次光のみが結像する

CD評価原理

0 200 400 600 800

0

4000

8000

12000

16000

20000

24000

Intensity

Position (pixel)

Measured Data Peak Position Fraunhofer Fit

+1st +2nd0th-1st-2nd

L/S Pattern

CSMの測定データと強度プロファイル

CCD画像

CD評価原理

CSM測定データより各次数強度導出

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u0u+1

u-1

( ) 2110 cosθ+− ++= uuuI 0 88 176 264 352 440 528

Aerial Image Intensity

Position (nm)

CD value 64 nm 88 nm 112 nm

88 nmIth

0th -1st +1st

Aerial Image I

1. 結像に寄与する0次と1次光強度を評価2. 1次光の位相はCDには影響しない3. 0次と1次光強度よりパタン強度像に変換4. レジスト感度/ドーズ量に相当するIthを決定し,CDを評価

パタン像とスレッショルドIth

CD評価手順

±1次光は同位相と仮定

各次数の振幅

CD評価手順

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-60 -40 -20 0 20 40

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

Y (mm)

X (mm)

80.081.583.084.586.087.589.090.590.5

-60 -40 -20 0 20 40

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

Y (mm)

X (mm)

79.081.083.085.087.089.091.093.093.0

22 nm世代用 L/Sパタンをマスク全面で測定従来技術であるCD-SEMでの測定結果と比較

CD-SEMCSM

78 80 82 84 86 88 90 92 9480

82

84

86

88

90

92

CSM

Imag

e C

D (n

m)

SEM Space Width (nm)

• CD-SEM測定結果と一致し,良い相関がある.

SEMとの相関

測定中光学系の微調整無し

高速かつ高精度全面スキャン

CD評価結果

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同一点を連続測定したときの測定再現性22 nm世代用 L/Sパタン

光源の安定性(照射量変化)により,測定値が変化する.パタン形状を仮定して計算し補正した.強度比よりCD導出できた

パタン形状を矩形と仮定して強度比より照射量補正

0 5 10 15 200.96

0.98

1.00

1.02

回折次数 0次 ±1次

Normalized diffraction intensity

測定回数 (回)

0次光と1次光の強度変化生データ

繰り返し測定再現性 0.24 nm (3σ)

0 5 10 15 2084.0

84.5

85.0

85.5

86.0

Image CD (nm)

測定回数 (回)

3σ = 1.05 nm

0 5 10 15 2084.0

84.5

85.0

85.5

86.0

Image CD (nm)

測定回数 (回)

3σ = 0.24 nm

CD測定再現性向上技術

1.05 nm(3σ)

0.24 nm(3σ)

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国際半導体ロードマップにおける hp 22 nm世代 line系CD測定精度要求値 0.65 nm (3σ)

1 10 1000.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

3σ repeatability (nm)

SR exposure time (s)

CCD Binning 2 x 2 4 x 4

20 s0.3 nm (3σ)

22-nm nodeL/S pattern

1 2 3 4 5 6 7 8 9 1083.0

83.5

84.0

84.5

10 measurements w/o move w/ 18 mm move

Image CD (nm)

Measurment #

20s 同一点10回測定でのCD変動

0.3 nm(3σ)

測定時間とCD測定再現性

• 2012年より適用されるhp 22 nm世代用EUVLマスク全面を評価

•移動も含めた測定再現性で0.3 nm (3σ)を達成

CSMでのCD測定再現

各10回測定

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発振波長: 800 nmパルス幅: 40 fs以下エネルギー: 6 mJ繰り返し周波数: 1 kHz

fs レーザー本体

ガスセル 検証用分光器集光チャンバ

59th高調波 (13.5 nm)の発生を確認

サブテラワットパルスレーザーの非線形波長変換

高次高調波EUV光源システムの構成図

理研との共同研究

高次高調波コヒーレントEUV光源

利用光量が1,000倍へ

発光中のガスセル

今後はCSMへ適用

Spectra Physics社製Spitfire Pro 6W

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従来技術とその問題点

既に実用化されているCD測長機は、走査電子顕微鏡(SEM)による評価があるが、

高加速電子による汚れ(コンタミ)が発生

調整が複雑で測定時間が長い

等の問題があり、EUVマスクでは実効的なサイズ評価や全面評価が難しかった.(Shadowingの影響等)

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新技術の特徴・従来技術との比較

• 従来技術では電子線による測定であったが,新技術ではEUVでの実効的なCD評価が可能.

• 露光機と同等なマスクへの入射角での評価が可能であり,露光せずにマスクのCDが評価できる

• CD評価手法を開発し,6025基板全面での測定再現性を0.3 nm(3σ)まで向上できた.

• 複雑な調整無しに簡便かつ高速に欠陥やCD評価ができる.

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想定される用途

• 極端紫外線(EUV)リソグラフィ用マスクのCD評価ならびに欠陥検査

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想定される業界

• マッチングを想定する業界半導体検査装置開発メーカー,

半導体装置製造メーカー,

X線非破壊検査装置メーカー,

X線分析計測メーカー

•利用者・対象主な用途はEUVリソグラフィー用マスク検査装置

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実用化に向けた課題

• 現在、CD評価について再現性良く測定が可能なところまで開発済み.

• 高次高調波EUV光源の適用により,測定時間を大幅に短縮する

• 実用化に向けて、測定時間をミリ秒オーダーまで短縮できるよう開発する.

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企業への期待

• EUVマスク製造技術を持つ企業との共同研究を希望.

• 実際のプロセス中での評価など,製造過程への導入を試したい.

• また、EUVリソグラフィー関連技術を開発中の企業、EUV分野への展開を考えている企業には、本技術により実効的なEUV像への影響を評価することが有用と思われる.

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称 :パタン幅測定装置• 出願番号 :特願2010-192518• 出願人 :兵庫県

• 発明者 :原田哲男、木下博雄,

渡邊健夫

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お問い合わせ先

兵庫県立大学 知的財産本部

知的財産コーディネーター 林谷 正雄

TEL 078-367 - 8645

FAX 078-362 - 0654

e-mail [email protected]