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論 文 Journal of the Faculty of Management and Information Systems, Prefectural University of Hiroshima 2015 No.7 pp.179 - 190
オープンソースソフトウェアを活用したソーシャル コミュニティの形成について
―ひろしまクラウドキャンパスの創生―
鎌 田 真1) ・ 市 村 匠1,2) ・ 竹 本 康 彦2)
重 安 哲 也2) ・ 宇 野 健2) ・ 佐々木 宣 介2)
A Proposal of Cooperative Revitalization of Social Community by using Open Source Software ― Hiroshima Cloud Campus System and Its Practical Use ―
Shin KAMADA1), Takumi ICHIMURA1,2), Yasuhiko TAKEMOTO2), Tetsuya SIGEYASU2),
Takeshi UNO2) and Nobusuke SASAKI2)
1 はじめに
県立広島大学では,平成 25 年度から平成 26 年度までの 2 年間,重点研究事業(学長プロジェク
ト)「本学知的資産等の地域提供に向けたクラウドキャンパス運用に係る研究」として,オープソ
ースソフトウェアを活用したクラウドキャンパスシステムに関する研究開発を実施している[1]。
ここでは,県立大学としての地域貢献および知的資産の効果的活用を目指し,クラウド技術を介し
た新たなる地域連携方策を推進している。そのために,オープンソースソフトウェアを用いたクラ
ウドサーバを構築し,産学官連携,生涯学習(公開講座),知的財産等について,自治体,地域企
業,地域住民が参加,情報集約・情報発信が可能な「ユーザ参加型ひろしまクラウドキャンパス」
を構築した。
具体的には,商用 Linux を用いたクラウドサーバを構築し,オープンソースソフトウェアとして,
SNS のようなコミュニティサイトである OpenPNE[5],ファイル共有サービスである ownCloud[6],
ビデオ会議システムである OpenMeetings[7],Youtube のような動画ストリーミングサービスであ
る ViMP[8]等をインストールした。さらに,これらのシステムに対して同じアカウントで利用でき
るように,Google ID を用いたシングルサインオン認証を実現した。
さらに,本論文では,開発したクラウドキャンパスシステムに,Android スマートフォン・タブ
レット端末からユーザ登録できるシステムを開発した[2]。開発したシステムは,ユーザが既に所
持している交通系 IC カードや電子マネー等の NFC カードを登録することができる。登録した NFC
カードは,クラウドキャンパスシステムを利用する際の認証カードとして利用できる。また,従来
1 県立広島大学地域連携センター 2 県立広島大学経営情報学部経営情報学科
180 県立広島大学経営情報学部論集 第 7 号
の出席管理システム[3, 4]と連動することで,県立広島大学における公開講座の受講証,出席カー
ドや,講義における修了証等を発行する際の認証カードとしても利用できる。
本論文では,開発したひろしまクラウドキャンパスシステムおよびその具体的な利用方法につい
てここに報告する。
2 ひろしまクラウドキャンパス登録システム
2.1 登録システムインストール
ひろしまクラウドキャンパス登録システムは GooglePlay のベータ版として公開している。ベー
タ版では,特定のグループに対してのみ公開することができ,テスト(試用)として利用されてい
る。アプリは次の手順でインストールできる。
1 .Google グループへの参加申請
下記の Google グループの URL から,グループへの参加申請を行う。アプリをインストールす
るには,このグループへ参加する必要がある。
グループ名:クラウドキャンパス登録システム
グループ URL:https://groups.google.com/d/forum/puh_nfc_cloud
グループメールアドレス:[email protected]
2 .アプリの「テスター」
グループへの参加が承認された後,以下の URL にアクセスし,アプリの「テスター」になる。
https://play.google.com/apps/testing/jp.itproducts.PUH_NFC_Cloud
3 .アプリのインストール
「テスター」になった後,以下の URL からアプリをインストールする。なお,「テスター」に
なってからアプリをインストールできるまで,しばらく時間がかかる場合があるので,注意する
必要がある。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.itproducts.PUH_NFC_Cloud
2.2 システムの使い方
システムの使い方は,次のとおりである。
1 .アプリ使用許諾の同意
アプリ起動後,図 1(a)の画面が表示される。アプリ使用許諾を読み,「同意します」ボタンを押
す。
2 .項目の入力
アプリ使用許諾に同意した後,図 1(b)のように,次の項目を入力する。
NFC ID および NFC Type(任意)
NFC に対応している端末であれば,NFC カードを端末にかざすと,NFC ID および NFC Type
が入力される。利用できる NFC カードには,交通 IC 系カード(Suica や ICOCA)や電子マ
ネー(nanaco,WAON,Edy)などがある。
氏名(必須)
カナ氏名(必須)
Gmail アドレス(必須)
オープンソースソフトウェアを活用したソーシャルコミュニティの形成について 181
Gmail パスワード(必須)
2 段階認証には対応していないので注意する必要がある。
顔写真(任意)
カメラ撮影もしくはファイルから選択することができる。
3 .データの送信
上記の項目を入力後,「送信」ボタンを押す。Gmail アドレスおよびパスワードに間違いがなけ
れば,クラウドサーバにデータが登録される。
(a)許諾承認 (b)情報の入力
図 1:ひろしまクラウドキャンパス登録システム
クラウドキャンパスシステムでは,ダイジェスト認証によるアクセス制限を行っている。そのた
め,登録した Google ID の他に,別途認証 ID とパスワードが必要になり,管理者は,登録されたユ
ーザに ID を別途発行する必要がある。
なお,セキュリティの観点から,認証 ID は基本的に有効期限を設け,イベントごとに発行する
ようにしている。そのため,過去の ID は使用できない場合があるので,注意する必要がある。
3 コミュニティサイトの利用方法
本節では,コミュニティサイトである OpenPNE[5]の利用方法について述べる。
3.1 コミュニティへのログイン
1 .コミュニティサイトへのアクセス
次の URL から,コミュニティサイトにアクセスする。
https://cloud.pu-hiroshima.ac.jp/openpne
2 .コミュニティサイトの認証
図 2(a)のような認証画面が表示されるので,メールで通知された認証 ID とパスワードを用い
182 県立広島大学経営情報学部論集 第 7 号
て,認証を行う。
3 .コミュニティサイトへのログイン
認証後,図 2(b)のような画面が表示されるので,登録した Google ID を用いてログインする。
ログイン後,図 2(c)のような画面が表示される。顔画像を登録している場合は,登録した画像が
プロフィールの画像になっていることを確認する。
(a)ダイジェスト認証 (b)ログイン
(c)ログイン後の画面
図 2:コミュニティサイトへのログイン
3.2 コミュニティでの動画の閲覧
コミュニティサイトでの動画閲覧方法について述べる。ここでは,特定のコミュニティに投稿さ
れた動画の閲覧方法について述べる。
1 .コミュニティサイトにログイン
次の URL から,コミュニティサイトにログインする。
https://cloud.pu-hiroshima.ac.jp/openpne
2 .コミュニティに参加申請
ログイン後,コミュニティに参加申請する。コミュニティの検索は,ログイン後の画面上の「コ
ミュニティ検索」から行うことができる。コミュニティを選択すると,図 3(a)のような詳細ペー
ジが表示されるので,そこで,画面上の「コミュニティに参加」ボタンをクリックし,参加を申
請する。コミュニティへの参加が承認制の場合は,管理者が承認後,参加できる。
3 .トピックの検索と動画の閲覧
コミュニティへの参加が承認された後,コミュニティに投稿されたトピックを閲覧することが
できる。トピックは,図 3(b)のように,画面上の「トピックリスト」から検索することができる。
オープンソースソフトウェアを活用したソーシャルコミュニティの形成について 183
動画が埋め込まれたトピックを選択すると,図 3(c)のように,コミュニティサイトの中で動画を
閲覧することができる。
(a)コミュニティの画面 (b)トピックの検索
(c)動画の閲覧
図 3:コミュニティサイトでの動画の閲覧
4 ファイル共有サーバの利用方法
本節では,ファイル共有サーバである ownCloud[6]の使い方について説明する。
4.1 ファイル共有サーバの使い方
1 .ログイン
次の URL から,ownCloud にアクセスし,登録した Google ID を用いてログインする(図 4(a))。
https://cloud.pu-hiroshima.ac.jp/owncloud/
2 .ファイルの閲覧
ログイン後,図 4(b)の画面が表示される。デフォルトで,いくつかのファイルやディレクトリ
があり,これらをクリックすると,ファイルの閲覧やダウンロードができる。
184 県立広島大学経営情報学部論集 第 7 号
3 .ファイルのアップロード
ファイルをアップロードする場合,ファイルをドラッグするか,画面左上の上矢印のボタンを
クリックし,ファイルを選択する。
4 .ファイルの共有
ファイルを共有する場合,図 4(c)のように,共有したいファイルにマウスカーソルを当て,
「Shared」ボタンをクリックする。ownCloud のユーザ間で共有する場合は,表示されるダイアロ
グで,ユーザ名を入力する。URL で共有する場合は,「Share link」にチェックを入れ,URL をコ
ピーする。
(a)ログイン画面 (b)ログイン後の画面
(c)ファイル共有
図 4:ファイル共有サーバ
4.2 コミュニティサイトへのファイル埋め込み
アップロードしたファイルを,コミュニティサイトである OpnePNE の日記やトピックに埋め込
むことができる。対応しているファイルには,画像ファイル,PDF ファイル,Word,Excel,PowerPoint
ファイルがある。
1 .ファイルの共有
上記の「ファイルの共有」の手順で,ファイルを URL で共有し,その URL を控えておく。
オープンソースソフトウェアを活用したソーシャルコミュニティの形成について 185
2 .URL の貼り付け
コミュニティサイトで日記もしくはトピックを作成し,図 5(a)のように,コピーした URL を
貼り付ける。
3 .ファイルの閲覧
図 5(b)のように,ファイルを閲覧できる。
(a)URL の貼り付け (b)ファイルの閲覧
図 5:コミュニティサイトへの埋め込み
5 ビデオ会議システムの利用方法
本節では,ビデオ会議システムである OpenMeetings[7]の使い方について説明する。ビデオ会議
で用いる Web カメラやマイクについては,事前に準備しておく。
1 .ログイン
次の URL から,OpenMeetings にアクセスし,登録した Google ID を用いてログインする(図
6(a))。
https://cloud.pu-hiroshima.ac.jp/openmeetings/
ログイン後,図 6(b)の画面が表示される。顔写真を登録している場合は,登録した写真が表示
される。
2 .会議室について
OpenMeetings には,「会議室」という単位でビデオ会議を行うことができ,「会議室」には次の
3 つの種類がある。
パブリック会議室:だれでも参加できる会議室。デフォルトで 7 つの会議室を利用できる。
プライベート会議室:特定の組織(グループ)に所属するユーザのみが参加できる会議室。
この会議室は管理者だけが作成できる。
私の会議室:個人で使用する会議室。特定のユーザとビデオ会議を行いたい場合は,この会
186 県立広島大学経営情報学部論集 第 7 号
議室を使用する。デフォルトで 2 つの会議室を利用できる。
ここでは,「私の会議室」の『私の会議室』という会議室を例に,ビデオ会議の方法について説
明する。
3 .会議室への入室
図 6(b)の画面の「私の会議室」の入室ボタンをクリックするか,「会議室」タブから「私の会議
室」を選択し,表示される画面で「私の会議室」の入室ボタンをクリックする(図 7(a))。
4 .デバイスの選択
会議室への入室後,図 7(b)のように,カメラおよびマイクのデバイス設定画面が表示される。
設定後,「会議を開始する」ボタンをクリックする。
5 .会議の方法
会議を開始後,図 7(c)の画面が表示される。
6 .ユーザの招待
他のユーザを会議室に招待する場合,「アクション」タブから,「招待メールを送信」をクリッ
クしてする。図 7(d)のダイアログが表示されるので,「Generate URL」をクリックし,表示される
URL を招待したいユーザと共有する。
他のユーザが参加後,図 7(e)のように招待したユーザが表示される。
7 .会議の終了
会議を終了する場合,「終了」タブをクリックする。
(a)ログイン画面
(b)ログイン後の画面
図 6:OpenMeetings へのログイン
オープンソースソフトウェアを活用したソーシャルコミュニティの形成について 187
(a)会議室への入室 (b)デバイス選択
(c)ビデオ会議 (d)ユーザの招待
(e)ユーザの参加後
図 7:OpenMeetings でのビデオ会議
188 県立広島大学経営情報学部論集 第 7 号
6 動画共有ストリーミングサーバの使い方
本節では,動画ストリーミングサーバである ViMP[8]の使い方について説明する。
1 .ViMP サーバへのアクセス
次の URL から,ViMP サーバにアクセスし,ログインする。
http://cloudtube.pu-hiroshima.ac.jp/
2 .ログイン
ログイン後,図 8(a)のような画面が表示される。なお,アカウントは,基本的に管理メンバー
にしか発行していない。
3 .動画のアップロード
図 8(a)の画面右上の「アップロード」ボタンをクリックする。動画の投稿画面が表示されるの
で,図 8(b)のように,次の項目を入力し,「送信」ボタンを押し,動画をアップロードする。
メディア
「参照」ボタンから動画ファイルを選択する。利用可能な動画のフォーマットには,avi,wmv,
flv,mpeg,mp4 等がある。動画以外にも,音声,画像,PDF,テキストファイル等にも対応
している。
タイトル
説明文
タグ
カテゴリー
公開属性
原則,非公開にする。
4 .動画の閲覧
アップロードした動画は,ホーム画面の「メディア」→「ビデオ」から閲覧できる(図 8(c))。
ただし,アップロードした後,閲覧できるようになるまで,フォーマット変換等の作業が内部で
行われているため,しばらく時間がかかる。
なお,アップロードした動画をコミュニティサイトに埋め込むには,図 8(c)の画面の URL を
用いる。
7 おわりに
本論文では,ひろしまクラウドキャンパスシステムで利用できるシステムについて,具体的な利
用方法を述べた。従来のコミュニティサイトでは,デジタルファイルや動画ファイルの共有はでき
なかったが,ファイル共有サーバや動画ストリーミングサーバと連携することで,コミュニティサ
イト上でのファイル共有が可能となった。特に,知的財産等,一般に公開したくないファイルでも,
承認制のコミュニティを利用することで,特定のユーザだけに情報を安全に公開することができる
ようになった。
また,本論文では,開発したクラウドキャンパスシステムにユーザ登録できる Android スマート
フォン・タブレット端末のアプリケーションを開発した。開発したアプリケーションは,ユーザが
既に所持している NFC カードを登録できるため,登録された NFC カードをシステムにおける認証
オープンソースソフトウェアを活用したソーシャルコミュニティの形成について 189
(a)ログイン後の画面 (b)投稿画面
(c)動画の閲覧
図 8:ViMP
カードや公開講座における出席カードなどに利用できる。特に,公開講座については,往復はがき
や電話での参加申し込みや,紙媒体の受講証や出席カードが面倒だと感じ,講座に参加しないユー
ザがいるという問題もあるため,開発したシステムの実際の利用が期待されるところである。
平成 27 年度には,自治体職員,地域企業担当者,県民が,産学官連携,生涯学習(公開講座),
知的財産等について,情報集約および情報発信を体験しながら利用できる「ユーザ参加型クラウド
キャンパス」の運用を予定している。そのために,具体的な使用方法や運用方法について検討が必
要であり,本年度は,広島キャンパスと広島市南区,江田島市などの包括協定締結自治体において,
運用を予定している。
190 県立広島大学経営情報学部論集 第 7 号
現在までに,ひろしま IT 融合フォーラムによる研究会や,県立広島大学の研究発表会・交流会,
第1回元宇品クリーンキャンペーン討論会などにおいて,動画を撮影した。今後は,アプリケーシ
ョンを用いたユーザ登録から,コミュニティサイトやファイル共有サーバの利用,講演会の動画の
オンデマンドでの閲覧等,活用方法についての講習会を実施予定である。システムを利用するユー
ザは,情報分野に詳しいユーザだけでなく,一般の職員等も利用するため,今後,生じる問題点を
調査し,改善する必要がある。
参考文献
[1] 市村匠,竹本康彦,重安哲也,宇野健,佐々木宣介,「オープンソースソフトウェアを活用した
クラウドキャンパスシステムについて-ひろしまクラウドキャンパスの創生-」,2014 IEEE
SMC Hiroshima Chapter Young Researchers WorkShop,pp.135-138 (2014).
[2] 鎌田真,市村匠,重安哲也,竹本康彦,「スマートタブレットを用いたクラウドキャパス登録シ
ステム」,2014 IEEE SMC Hiroshima Chapter Young Researchers WorkShop,pp.111-114 (2014).
[3] ITProducts,NFC を用いた県立広島大学授業出席システム,
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.itproducts.PUH_NFC_Attend,2014 年 6 月 23 日閲覧.
[4] ITProducts,NFC を用いた授業出席データベース操作システム,
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.itproducts.PUH_AttendManagement,2014 年 6 月 23
日閲覧.
[5] OpenPNE,http://www.openpne.jp/,2014 年 11 月 4 日閲覧.
[6] ownCloud,http://owncloud.org/,2014 年 11 月 4 日閲覧.
[7] OpenMeetings,http://openmeetings.apache.org/,2014 年 11 月 4 日閲覧.
[8] ViMP,http://www.vimp.com/,2014 年 11 月 4 日閲覧.