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Copyright @ ICHIRO SAKATA The University of Tokyo Copyright © Ichiro Sakata, The University of Tokyo 2012(平成24)年5月8日・15日 東京大学政策ビジョン研究センター 工学系研究科技術経営戦略学専攻 教授 坂田 一郎 [email protected] 1 イノベーション・システムと政策 工学2号館212

イノベーション・システムと政策ipr-ctr.t.u-tokyo.ac.jp/sklab/pdf/2012/TMI1/tmi04.pdf価値を創造することをいう。 「オープン・イノベーション」は、アイデアを商品化するのに、既存の企業以外の

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2012(平成24)年5月8日・15日

東京大学政策ビジョン研究センター

工学系研究科技術経営戦略学専攻

教授 坂田 一郎

[email protected]

1

イノベーション・システムと政策

工学2号館212

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講義の骨子

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1.「イノベーション」とは? 2.「イノベーションモデル」の変化 ―オープン化 ―サイエンスリンケージ -グリーンイノベーション 3.「イノベーション・システム」に関する改革課題 -モデルの変化に合わせた制度整備 -新技術と社会との溝を埋める 4.ケース(自然エネルギー政策)

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○狭義には、「技術革新」、 広義には、「新たな考え方、仕組みを導入し、新たな価値を生み出すこと」 ○その中には、社会に大きな変化をもたらすものもある (「イノベーション25(2007年)」より抜粋) イノベーションとは、技術の革新にとどまらず、これまでとは全く違った新たな 考え方、仕組みを取り入れて新たな価値を生みだし、社会的に大きな変化を 起こすことである。これには、従来の発想、仕組みの延長線上の取り組みでは 不十分であるとともに、基盤となる人の能力が最大限に発揮できる環境づくり が最も大切といっても過言ではない。 (「社会の変革」を招いたイノベーションの例) 「蒸気機関」 → 「産業革命」 「インターネット」、「パソコンの高機能化」 → 「IT革命」、「バイオinfo」 「テレワーク」 → ライフスタイルの変化、再び家庭と職場が接近 「携帯電話」 → 個人の間の情報流通が非常に密で迅速な社会 「専門職大学院」 → プロフェッショナル重視、学び直しの社会へ

イノベーションとは(1)

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労働生産性上昇率の寄与度分解

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

日本(80-95)

日本(95-04)

米国(80-95)

米国(95-04)

英国(80-95)

英国(95-04)

ドイツ(80-95)

ドイツ(95-04)

フランス(80-95)

フランス(95-04)

TFP

資本装備率(非IT資本)

資本装備率(IT資本)

労働生産性

(イノベーション指標)

イノベーションが持つマクロ的なインパクト

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○ラディカル vs. 漸進的なイノベーション (ラディカル・イノベーションの例) ・検索エンジン(「知識・情報」の価値自体を変える) ・半導体の「ポストシリコン」(vs.シリコン利用の範囲での集積度のup) ・燃料電池 (vs.ガソリンエンジンの改良) ・再生医療 (vs.通常の外科的な治療) ・ICカード(例えば、移動の機械的な把握と情報処理) ・デジタルカメラ(vs.フィルムのカメラ) ・ITS高度道路交通システム (vs.自動車のハンドリング性能の向上) ・ICタグ利用の物流システム (vs.人力に依存した配送・検品管理) ・再生ファンド(vs. 通常の銀行融資) ・デリバティブ商品(vs.株式投資) ・シネコン(vs.単館の映画館)

イノベーションとは(2)

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イノベーションとは(3)

6

Marketの変化

●インターネット・マーケチィング (ロング・テール) ●再生医療 (外科的には治癒が困難な難病) ●i-Pod, i-Pad ●オンライン証券取引

●ITS自動交通システム ●自動車の燃料電池

大 小

●パソコンのモデルチェンジ

●Times24(駐車場) ●ブックオフ ●駅ナカ・ショップ

(注)インターネットマーケチィングやオンライン証券は、典型的な「破壊的技術」に該当。

低付加価値市場の創出 高付加価値市場の開拓

技術的変化

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-イノベーション・プロセス・モデル-

Technologyの進歩

マーケットの変化

・販路開拓 ・大規模投資 など補完的な経営資源の投入

・技術開発 ・新しいアイデアの移入 ・既存技術の組合せ など

成長

イノベーションとは(4)

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“ .. the network of institutions in the public and private sectors whose activities and interactions initiate, import, modify and diffuse new technologies.” (Freeman, 1987)

“... a set of institutions whose interactions determine the innovative performance ... of national firms.” (Nelson, 1993)

“ .. the national institutions, their incentive structures and their competencies, that determine the rate and direction of technological learning (or the volume and composition of change generating activities) in a country.” (Patel and Pavitt, 1994)

“.. that set of distinct institutions which jointly and individually contribute to the development and diffusion of new technologies and which provides the framework within which governments form and implement policies to influence the innovation process. As such it is a system of interconnected institutions to create, store and transfer the knowledge, skills and artefacts which define new technologies.” (Metcalfe, 1995)

イノベーションシステム(National Innovation System)

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<システムを支えるルール> ○知的財産権制度(保護、活用、譲渡) ○安全規制、環境規制、FITのようなルール ○会社法制、M&A法制 ○学校教育法、○大学技術移転制度(典型的には、Bye-dole法) ○競争的資金の助成制度 ○R&D投資減税 ○産業活力再生法、産業技術競争力強化法などの政策支援法制 ○株式市場、新興市場(資金調達源) など <プレイヤー達> ○技術開発型企業・ベンチャー、民間研究所 ○大学、公的研究機関 ○商品化に必要な部品、材料、研究機器などの提供会社 ○販路を有する企業(ブランド・ポータル) ○銀行、VC ○特許庁、公的研究助成機関、インキュベータ、ネットワーク機関 など

イノベーション・システムの要素とは

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システムの背景:Culture, Business Practice

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1.スピードの加速 (開発期間、新製品が収益を生む期間ともに、大幅に短くなっている)

2.イノベーションを生み出す仕組みの変化 ・「オープン・イノベーション」(チェスブロー)、基礎研究所の終焉 ・「ネットワーク・イノベーション」(モジュール化、摺り合わせの2類型) ・「ユーザー・イノベーション」(フォン・ヒッペル、典型はリナックス、無印良品) ・「地域クラスター」(マイケル・ポーター、地域的協働)

3.「壁」を超えるイノベーション ・「サイエンス・リンケージ」の上昇(例えば、材料についてはナノレベルの物性理解) ・異分野融合 ・俯瞰工学、学術俯瞰

4.サービス化 ・「サービス・サイエンス」、「サービス・イノベーション」(科学的・工学的手法の導入) 「オープン・サービス・イノベーション」 5.地球的課題とイノベーション活動の共鳴(グリーンイノベーション)別途講義

イノベーションモデルの顕著な変化

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企業が技術革新を続けるためには、企業内部のアイデアと外部(他者)のアイデア を用い、企業内部又は外部において発展させ商品化を行う必要がある。 「オープン・イノベーション」は、企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、 価値を創造することをいう。 「オープン・イノベーション」は、アイデアを商品化するのに、既存の企業以外の チャネルをも通じてマーケットにアクセスし、付加価値を創造する。 「オープン・イノベーション」は、研究部門の役割も変化させる。研究部門は単に 知識創造をするのみならず、知識結合も担当しなければならない。 Henry Chesbrough「Open Innovation」(産業能率大学出版部)より抜粋

Henry Chesbroughによる「オープンイノベーション」の定義

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クローズドなイノベーションシステムからオープンなイノベーションシステムへクローズドなイノベーションシステムからオープンなイノベーションシステムへ(出典)「オープンイノベーション」(ヘンリー・チェスブロー)

<技術革新を巡る環境変化>

①企業の競争環境の変化

・国際競争環境の激化

・企業における選択と集中

・商品開発スピードの加速化

・技術の複雑化・高度化

・NIH(Not Invented Here)シンドローム、自前主義の反省

・コア技術への集中

・ベンチャーがイノベーションのエンジン

・M&A、ライセンシング等、技術獲得の多様化

・企業の知財戦略の進化

・企業間アライアンス、産学連携による研究開発の効率化追求

②科学と技術の関係変化

・ノンリニアな技術革新

・産業技術の高度化(学問(科学)に裏打された技術)

・技術革新のスピードアップ

・異分野技術融合による技術革新

③知識社会・ネットワーク社会の到来

・知識ベースの付加価値創造

・IT進展によるネットワーク化

・大学等の知識のプラットフォーム化

出典:産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会報告書 「技術革新を目指す科学技術政策 -新産業創造に向けた産業技術戦略-」(平成17年2月)

オープン・イノベーションとその背景

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拡大するオープン化(グループ外ライセンス)

(出典)OECDサーベイ

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今日の産学連携の構図(信州大学の例)

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Medical

(Matsumoto)

Engineering

(Nagano)

Fiber (Ueda)

Education

Agriculture

(Source: Patent Data)

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学術世界のオープン化(国際共著の分析 -solar Cell)

H. Sasaki, Y. Kajikawa, I. Sakata “Detecting the valley of international academic collaboration” Proc. of IEEE IEEM2010

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ユーザーイノベーション―「無印良品」

くらしの良品研究所

「わたしたちは、よりいっそうの良いものづくりをめざして、社内に研究の場を設けることにしました。

みなさんとコラボレーションしながら、良品である理由を常に点検し、新しい素材開発やライフスタイルなどにも目を向けていきます。

モノづくりコミュニティ

「皆さまから寄せられた声をもとに、無印良品のモノづくりが動き始めます。」

http://www.muji.net/lab/

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サイエンスリンケージ上昇の予測

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Science (Papers)

Technology (Patents)

#2(S4), dye-sensitized, 3604 papers, 2005.1

#1, compounds, 3853 papers, 1999.6

#3(S5), polymer, 2876 papers, 2005.0

#0, “silicon”, 6937 papers, 1996.9

#0, silicon (multi-junction cell), 126 patents, 1989.6

#1, silicon (cell array), 120 patents, 1986.4

#2, silicon (module), 104 patents, 1996.2

Source: ”Extracting the commercialization gap between science and technology Case of solar Cell” N.Shibata, Y.Kajikawa, I.Sakata, Technological Forecasting and Social Change 77(7)pp.1147-1155, 2010

Solar Cell

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H. Maeno, N. Shibata, Y. Kajikawa and I. Sakata, “Origin of bimodal distribution in historical data” Proc. of Promac 2010.

※二次電池:secondary cell/battery OR rechargeable cell/battery OR storage cell/battery 太陽電池:solar cell/battery OR photovoltaic 燃料電池:fuel cell

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

二次電池

太陽電池

燃料電池

地球的課題とイノベーションの共鳴

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なぜ政府が介入する必要があるのか?(リーズニング) ①イノベーションの外部経済性(純民間の投資判断では過少投資に、下図) ②イノベーションのスタイルの変化、それに伴う社会システムの修正 (特に、オープン・イノベーション、分野融合、国際化、課題解決型) ③想定外の用途・製品を生み出す製品の社会的受容を促すシステム整備 ④イノベーションの立地や加速を目指した国際的な政策競争 民間ベースの市場行動だけでは、勝てない(例えば、医療バイオ、航空機)

(便益・コスト)

(投資規模)

開発コスト

企業便益 社会便益

スピルオーバー

政策介入の必要性、システム改革

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Market Technology

Technology

transfer

Supplier

Competition

Collaboration

Demand R&D Value Chain

Business supporting infrastructure

Talents

Capitals

Transportation

Information

Business environment

Marketing

システム改革の諸要素(M.ポ-ターモデルから)

Institution

Regulation

Tax system

IP Strategy

Univ.

Natl. Res. Inst.

Corp.

Governance

Geography

Intl. Relation

Income

Life style

Culture

Education system

Economic state

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1950’s

Foundation of Organization

・Agency of Industrial Science

and Technology

・Science and Technology Agency

Early 2000’s

・government reorganization

・incorporation of national universities,

public research institute, and funding

agencies

2006~

Strategic Innovation System

・New Economic Growth Strategy

・Innovation 25

1980’s

Basic research shift

・ JAPAN as NO.1

→criticism against free

rider on basic science

・Shift of national research

institutes to basic science

・Boom of central research

institute

Late 1990’s

Reconstruction of Innovation

System

・Science and Technology Basic Plans

・Bayh-Dole Act

・TLO 1960’s:

Establishment of Institution

・Act of Research Association

・National Project System

1970’s

Mega National Project

・Super LSI

・Sunshine

・Moonlight

I: 1950’s~60’s

Organization

The focus of Japanese National Innovation System shifted from

organization, technology, to innovation fundamentals.

Technology

II: 70’s~80’s III: 00’s~

90’s~ The Lost Decade

Fundamentals

日本のおけるNIS政策の過程

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I: 1950’s~60’s

Organization

II: 80’s~ III: 00’s~

Fundamentals

Investment on Defense

・Cold war

Strategic Innovation System

・US Competitiveness 2001

・Innovate America

・National Academies;

Rising Above the Gathering Storm

・America COMPETES

Enlargement of Industrial

Capabilities and Competitiveness

・Stevenson-Wydler Act

・Bayh-Dole Act

・SBIR Act

・National Cooperative Research Act

・SEMATECH

・Federal Technology Transfer Act

Technology

アメリカにおけるNIS政策の過程

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1980 1985 1990

1995 2000 2005

I: 1950’s~60’s

Organizatio

n

Technology

II: 70’s~ III: 00’s~

Fundamental

s

#3 Innovative Organization

#1 Innovation Fundamentals

2 Technological Management

80’s~90’s 90’s~ 90’s~ Academic research

NIS Japan delayed

NIS US I: 1950’s~60’s II: 80’s III: 80’s~ advanced

イノベーションに関する学術研究の流れと政策

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イノベーションモデルの変化に伴う制度整備の例

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・組織の再編を容易にする会社法制、M&Aルールの整備 ・協同に適した組織形態の法制化 (技術研究組合:法人格あり、知財集約や株式会社への移 行が可能) ・特許制度・運用の見直し (仮出願制度の導入、国際共同研究の知財ルール、 PPHの急速な普及など) ・産学連携のインターフェースの強化 (スーパーTLO、産学人材パートナーシップ) ・大学と民間企業との人材移動の円滑化 (役員兼業のルール化、特任制度の普及) ・オープンな地域クラスターの形成

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1995年:科学技術基本法制定(96年第一期基本計画制定) 1997年:大学の教員等の任期に関する法律等制定 1998年:大学等技術移転促進法(TLO法)制定・研究交流促進法改正 産学共同研究にかかる国有地の廉価使用 1999年:産業活力再生特別措置法制定 国の委託研究成果の民間移転(日本版バイドール)、特許料の軽減措置 2000年:産業技術力強化法制定 TLOの国立大学施設の無償使用・国立大学教員等の民間役員兼業 2001年:省庁再編、第二期科学技術基本計画制定 2002年:学校教育法改正 専門職大学院制度、学部学科設置基準の緩和 知的財産基本法 2003年:研究開発推進法人の独立行政法人化・研究開発促進税制の恒久化 2004年:国立大学の法人化 2006年:新経済成長戦略・第三期科学技術基本計画制定 2007年:イノベーション25報告

大学に関連した1990年以降の制度改革

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(例1)ビルの掃除ロボット ロボットは、技術的には、自らエレベータを操作し、階を移動することは可能。 ところが、建築基準法上のエレベータの規格では、ロボットによる操作は想定せず。 現状では、ロボットは、人がついて移動させるか、無人であれば階段を上るかしかない。 (例2)再生医療 細胞の加工は、エンジニアリング。しかし、医療法上の医療行為として、医師の (本来、専門家ではないにもかかわらず)指揮下でなければ、加工は実施できない。 医療において、エンジニアリング的な仕事は、想定外。

遅い車と早い車(「アルビン・トフラー著 冨の未来」より) 時速百キロで走っているのは企業である。企業内では、いうまでもなく技術が さらに猛烈な勢いで変化をしている。 時速二十五キロ、官僚機構は、時速百キロで疾走する企業が市場環境の急速 な変化に対応するのを遅らせている。(例として、新薬の認可、空港の建設) 時速一キロ、著作権、特許権、個人情報など、経済の先端部分に直接に影響を 与える法律の分野も、絶望的なほど時代遅れになっている。制度改革の遅れが 「第2の死の谷」を作り出しているのはないか。

今後の政策課題:「第2の死の谷」

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ケース(自然エネルギーのイノベーション)

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論点1:目標設定は合理的か? 論点2:システム改革は 包括的か?十分か?適合しているか?迅速か? 論点3:政策介入の合理性は担保されているのか? 論点4:技術進歩と目標、システム改革は連動しているのか?

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菅元総理のOECD演説(2011年5月)

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○総電力に占める自然エネルギーの比率を2020年代に少なくとも 20%以上に拡大する方針 (従来の国の方針と比べ、約10年前倒し) ○太陽光の発電コストを2020年までに現在の3分の1、2030年 までに6分の1に引き下げる ○2030年までに1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置する ○演説に関連して、 「再生可能エネルギー導入促進法案」を国会に提出 「自然エネルギー推進庁構想」を語る

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目標実現のポテンシャルがあるのか?

日本は技術的なポテンシャルとして再生可能エネルギーを19%まで導入できるが、これを達成するには、送電網の強化や市場設計の見直しが必要。

30

(IEA)

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太陽光への特化が可能か?

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Renewables比率

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

総エネルギー供給に占める

再生可能エネルギーの比率(各国比較)

Renewables比率

(%)

(出典)IEA STATISTICS “Renewables Information2010” Contribution of renewable energy source to Total Primary Energy Supply in 2008

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太陽光への特化が可能か?

32

Renewables比率

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

総エネルギー供給に占める

再生可能エネルギーの比率

Renewables比率

(%)

(出典)IEA STATISTICS “Renewables Information2010” Contribution of renewable energy source to Total Primary Energy Supply in 2008

Hydro 65.5%

Combustibles/ Waste 80.3%

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太陽光が主力となりうるか

33

TPES(総1次エネルギー供給 2008)

Biomass etc.

Hydoro

Geothermal

Wind/solar/tide

76.7%

(出典)IEA STATISTICS “Renewables Information2010”

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#1 シリコン系

10,520 論文,

11.0年

#2 有機系

5,712 論文, 4.0年

#3 化合物系

4,649 論文, 8.2年

#4 色素増感型

4,647論文,

3.4年

#5 システム

2,527論文,

5.6年

ラディカルな革新の途上にある太陽光 世界の太陽電池学術俯瞰マップ (1959-2009)

#クラスター番号 クラスター名称

論文数,

平均年齢

34

Sakata & Kajikawa Lab.

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国別比較で我が国の選択を考える

35

0

5000

10000

15000

20000

25000

USA

USA

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

Japan

Japan

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

Germany

Germany

0 100 200 300 400 500 600 700 800

UK

UK

(出典)IEA STATISTICS “Renewables Information2010” Estimated primary energy supply in 2009 (ktoe)

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政策介入の手法と評価

36

(市場) ビジョン、国際約束 Feed-in-tariff 導入(固定価格買い取り制度) Renewable portfolio standard (RPS)廃止 電力の取引システムの整備(新サービスの創出) Smart Gridの導入 規制・制度の集中改革(設置規制の緩和など) (生産) 生産に対するインセンティブ(補助金、融資) 生産設備への投資に対する税制優遇、補助金 Wind park, solar park (研究開発) 開発プロジェクトへの重点投資、ナショナルプロジェクト

Length of commitment

Stability of policy

Public acceptance

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手法が適切か?十分か?

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0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

Solar power

Solar power

(Ktoe)

(ktoe)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

Wind Power

Wind Power

(出典)IEA STATISTICS “Renewables Information2010” Contribution of renewable energy source to Total Primary Energy Supply in 2008

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日本の自然エネルギー導入方針、効果的?

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「太陽光」に偏った極めて野心的な計画 (一方、なぜ、コストの安い風力、地熱の導入は進まないのか) システム改革は従来よりも包括的なものであるが(科学、 産業技術、市場にまたがる)、それだけでは、実現困難 (急速な技術進歩とより多様な改革、強力な措置が必要) 相当にラディカルな太陽電池のイノベーションを前提 未達の場合、電力価格の大幅アップが避けられない 電力に限定せず、バイオマスなどへの分散も必要ではないか

なにより、コミットメントの安定性に信頼感が不足

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(参考)米国National Academiesによる提言

2. 長期的な視野に立った基礎研究を維持・強化する。

① 今後7年間、連邦政府による長期的基礎研究への投資を年間10%増やす。

② 毎年50万ドルの研究助成金を、200人の有望な若手研究者に5年間に亘り支給する。

③ National Coordination Office for Research

Infrastructureを設置し、今後5年間、研究インフラ用資金5

億ドルの管理を行う。

④ 連邦研究機関における予算の8%以上を、技術プログラムマネージャーの裁量で管理させ、研究範囲拡大を目指す。

⑤ DOE内に高等研究局を設置、長期的にエネルギーに関する課題に取り組む。

⑥ 大統領イノベーション賞をつくり、国家的利益につながる科学と工学の進歩を奨励する。

*ここでいう輸出規制とはDeemed Exports(みなし輸出)を指す。輸出管理の対象となる情報を米国内に移住する外国人に教えることは「輸出」とみなされることがある。Monthly Report 2005年12月号12~14ページ参照。

3. 米国を研究開発を行なうために魅力的な国とすることで優秀な人材を集める。

① 物理学、生物学などの学士号を取得する米国人増加にむけ、米教育機関で学ぶ米国民向け4年間の奨学金、年間2万5,000件を新たに設置する。

② 米国人理系大学院生を増やすため、年間5,000件のフェローシップ予算を組む。

③ 連邦税制優遇策により、現役科学者やエンジニアのスキルアップを目的とした教育提供を可能にする。

④ 外国人留学生や学者に対するビザ手続きを改善する。

⑤ 理系博士号等の学位を米国の認可教育機関で取得した外国人学生を対象としたビザ手続きを改善する。

⑥ 技能レベルに基づいた移民優遇策を新規に設置する。

⑦ 現行の輸出規制を見直す。*

1. K-12(幼稚園~高等学校)における理系教育を大幅に改善し、才能ある人材を増やす。

① 奨学金授与により理系教師の志望者を年間1万人募集、生徒約1千万人の教育にあたらせる。

② 夏期講習や修士課程などを教師25万人向けに実施、教師の能力を高め、生徒に学習意欲を高める。

③ 生徒が高度な理数系を学ぶ機会を拡大する。

4. 米国をイノベーションに最適な国として維持するため、特許制度の見直し、優遇税制の再調整、ブロードバンド・アクセスの整備を進める。

① 知的財産権保護を強化する。

② 民間のイノベーション投資を奨励するため、研究開発に対する税制優遇を強化する。

③ 米国で行なわれるイノベーションを促進するような税制施策を行なう。

④ どこでもブロードバンド・インターネットにアクセスできるようにする。

■ National Academies 「Rising Above the Gathering Storm」の主な提言項目

出展: 「Rising Above the Gathering Storm」を基に作成

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お薦め論文リスト

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J. Fagerberg and M. Srholec " National innovation system, capabilities and economic development “ Research Policy, vol.37, pp.1417-1435, 2008. D. C. Mowery " The changing structure of the U.S. national innovation system: implications for international conflict and cooperation in R&D policy " Research Policy, Vol.27, pp.639-654, 1998. H. Chesbrough “The era of open innovation " MIT Sloan Management Review, Vol.44(3), pp.35-41, 2003. M. Pettersson et al. “Wind power planning and permitting: Comparative perspectives from the Nordic countries " Renewable and Sustainable Energy Reviews, Vol.14, pp.3116-3123, 2010.