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初めてのデルタループアンテナ製作記 Vol 1.01 2014/6/29 7L4NDL CQ Zone:25 ITU Zone:45 IOTA:AS-007 JCC#1344 Saitama JAPAN A1CLB メンバー

初めてのデルタループアンテナ製作記 - So-net...7L4NDL - 1 - 0.はじめに デルタループアンテナを单ろうと卩ったのは、それまで、7-21-28MHzの3バン

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初めてのデルタループアンテナ製作記

Vol 1.01

2014/6/29 7L4NDL

CQ Zone:25 ITU Zone:45 IOTA:AS-007 JCC#1344 Saitama JAPAN

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目 次

0.はじめに ......................................................................................................................................... - 1 -

1. アンテナの概要設計とシミュレーション ................................................................................ - 2 -

(1)アンテナの概要設計 ................................................................................................................ - 2 -

(2)MMANAによるアンテナのシミュレーション ..................................................................... - 3 -

■ MMANA のダウンロードとインストール ................................................................................ - 3 -

■ Name、Freq などの設定 ...................................................................................................... - 3 -

■ SWR 計算基準 Z の設定変更 .................................................................................................. - 5 -

■ 設計データの⼊⼒ ................................................................................................................... - 7 -

■ 設計データのシミュレーション ............................................................................................ - 13 -

■ 最適化の実施 ........................................................................................................................ - 23 -

2.アンテナの製作 ............................................................................................................................ - 32 -

(1)アンテナの物理構造と部材など ............................................................................................ - 32 -

(2)アンテナの製作 ..................................................................................................................... - 36 -

■ 50Ω:200Ω(1:4)バランの作成 ................................................................................ - 36 -

■ アンテナの仮組(部材変更を含む) ..................................................................................... - 41 -

■ 2Fベランダへの本設置 ....................................................................................................... - 44 -

3.アンテナの運用状況 ..................................................................................................................... - 45 -

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0.はじめに

デルタループアンテナを作ろうと思ったのは、それまで、7-21-28MHzの3バン

ドV型ダイポールを15メートルの高さに設置し、主にJT-65を楽しんでいたのですが、

「呼んでも取ってもらえないことがある。」、「呼び負けしてるな。」と感じ始め、「何かい

いアンテナはないかなー?」と、アチコチ Web サーチをしていたら、「デルタループはい

い」、「⼋⽊アンテナに⽐べSが2〜3上がる」、「作成が簡単で安価」、etc が目に飛び込

んできました。よし、「これだ!」という事で、デルタループアンテナの製作にチェレンジす

る事になりました。

狙うバンドは28MHz。製作は試⾏錯誤の繰り返しと予想されるので、上げたり降ろし

たりができる2Fベランダを設置場所と想定すると、サイズが⼩さい28MHzが良いだろ

うと考えました。タワーの上にはV型ダイポールがるので、デルタループが完成した暁には

聞き⽐べもできます。

それでは、製作に取りかかりましょう。

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1. アンテナの概要設計とシミュレーション

(1) アンテナの概要設計

デルタと言ったら三角形ですよね。今回作成するデルタループアンテナは、どのような三角形が

いいでしょう? 天辺の尖った三角形、逆三角形、はたまた、ペナントのような横向き三角形。

⾊々悩んだ挙げ句、逆三角形にすることにしました。それも頂点の角度が90°の⼆等辺逆三角形

にしました。

バンド、それからアンテナの形が決まりましたので、アンテナの概要設計として、希望周波数か

ら波⻑(λ)を求め、各辺の⻑さを求めます。そして、それを図案化します。

希望周波数 :28.076MHz

波 ⻑ :10.685メートル (300÷28.076 で求めます)

各辺の⻑さ :下図参照(上辺:左辺:右辺=√2:1:1 の⽐率)

※逆三角形の頂点角度が90°の場合、給電点ンピーダンスは200Ωになるそうです。

(ここ重要です。)

上辺=4.426メートル

左辺=右辺=3.130メートル

90°

給電点

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(2) MMANAによるアンテナのシミュレーション

前のページでデルタループアンテナ(逆三角形タイプ)の概要設計ができました。このまま、ア

ンテナの製作に取りかかっても良いような気がしますが、チョイとお待ちください。世の中にはと

ても便利なものがあるのです。

設計したアンテナのシミュレーションを⾏ってくれるソフトウェアが存在します。MMANA

というソフトウェア(作者 JE3HHT 森さん)です。このソフトは、作成したいアンテナの

設計情報を⼊⼒すると、アンテナの形状、ビームパターン、周波数特性、他、⾊々な事がわかりま

す。また、最適化を使うと、設計情報の書き換え(まさに適正化)ができます。とても便利です。

では、MMANAを使って、シミュレーションをしてみましょう。

■ MMANA のダウンロードとインストール

JE3HHT森さんのページ(http://www33.ocn.ne.jp/~je3hht/mmana/)、または、お好き

なページから MMANA をダウンロードしてください。ダウンロードした mmana177.exe をダ

ブルクリックして、指示に従いインストールをしてください。

■ Name、Freq などの設定

mmana.exe を起動すると、次のような画⾯が⽴ち上がります。これが、初期画⾯です。まず、

設計データの名前(Name)と希望周波数(Freq)を⼊⼒します。この希望周波数(Freq)は、運用

バンドではなく、中心周波数(一番SWRを下げたいところ)です。

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これが起動後の初期画⾯です。Name と Freq を⼊⼒してみます。

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Name:28Mhz Delta-Loop Test Version1.0 Freq:28.076 です。

■ SWR 計算基準 Z の設定変更

概要設計の所に書きましたが、このアンテナの給電点インピーダンスは、200Ωです。MMANA

が持っている基準 SWR 値は、50Ωなっています。このままシミュレーションすると SWR がとん

でもない値を指してしまうので、値を変更しておきましょう。

MMNA の「表示」→「オプション」→「環境設定」タブを開いて、左下にある「SWR 計算基準

Z 」のRの値を200にしてください。「OK」ボタンをクリックして、完了です。

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■ 設計データの⼊⼒

いよいよ、シミュレーション実⾏の一歩⼿前まできました。概要設計したデータを⼊⼒して、

「計算」タブの「計算」ボタンをクリックすると、自動的にシミュレーションが⾏われ、その結果

が出⼒されます。

しかし、その前にやっておくことがひとつ。

MMANA へ設計データを⼊⼒する場合は、座標⼊⼒となります。扱う座標は、X、Y、Zの3つ。

それぞれに開始と終了の点を持ちます。

開始:X1、Y1、Z1 終了:X2、Y2、Z2 です。

X、Y、Zの関係を図にするとこんな感じです。

軸 : 方向 X、Y、Zの交点をゼロ(X=0、Y=0、Z=0)

X(赤): ⼿前、奥 ⼿前がプラス。奥がマイナス。

Y(⻘): 左、右 右左がプラス。右がマイナス。

Z(⿊): 上、下 上がプラス。下がマイナス。

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それでは、概要設計したものを座標に変換してみます。

上図では給電点の位置が、X、Y、Zの交点をゼロ(X=0、Y=0、Z=0)としました。

これで座標の定義ができました。上図の各座標値を順番に MMANA に⼊⼒する訳ですが、上図

の「ワイヤー1」、「ワイヤー2」、「ワイヤー3」の順に、MMANA の NO.1 から NO.3へ⼊⼒して

ください。

90°

上辺(ワイヤー2) 開始 0,2.213,2.213 終了 0,-2.213,2.213 左から右に引きました。

左辺(ワイヤー1) 開始 0,0,0 終了 0,2.213,2.213 下から左上に引きました。

右辺(ワイヤー3) 開始 0,-2.213,2.213 終了 0,0,0 右上から下に引きました。 給電点

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それでは、各座標を MMANA へ⼊⼒します。

⼊⼒時の注意事項を1つ。⼊⼒フィールドの出し方です。

MMANA を起動して、Name と Freq を⼊⼒したあとは、上記になっていると思います。

前のページで説明したNO.1、NO.2や NO.3がありませんよね?これ、最初でてこないんで

すよ。で、どうやって出すかというと、「新規」と書いてある右側のセル(四角)にカーソルを置

いて、Enter(Return)キーを一回押してください。

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とやると、出てきます。NO.2 と NO.3も同じ方法でやってみてください。

この位置にカーソルを置いて、Enter(Return)キーを一回押してください。

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ここまできたら、あとは⼊⼒です。給電点の情報まで一気に⼊⼒してみましょう。

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� ①は、設計データですね。ワイヤー1〜ワイヤー3の設計データをNO.1〜NO.3へ順番に

⼊⼒しました。

� ②は、エレメント素材の半径です。被覆導線、裸導線、アルミパイプ、ステンレスワイヤー、

etc。使用するエレメント素材の半径を⼊⼒してください。(直径ではありません。注意!)

� ③は、給電点の位置を示します。wはワイヤーの事です。2桁目の数字は、ワイヤーの何番目

かを示します。3桁目のアルファベットは、ワイヤーのどの位置を給電点にするかを表しま

す。C(または⼩文字の c)はワイヤーの中央、B(または⼩文字の b)はワイヤーの開始位

置、E(または⼩文字の e)はワイヤーの終了位置となります。w1bは、ワイヤー1(NO.

1)の開始位置に給電点を設けたことになります。

① ②

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これで⼊⼒は終わりです。次は、シミュレーションと

なります。

■ 設計データのシミュレーション

まずは、設計したアンテナの形状を確認してみましょう。「アンテナ形状」タブを開いてくださ

い。

なんか、ちょっと変な感じがしますが、これは、アンテナの⼿前上部から⾒た図になっているよ

うです。画⾯下の3つのスライドバーを操作することで、⾒え方が変化すると思います。赤い○が

給電点の位置のようです。

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次は、計算です。ここが本当のシミュレーションだと思います。計算を実⾏させるために、計算

条件、地上高、ワイヤを⼊⼒します。

� ①は、計算条件の選択ですね。「リアルグランド」でいいと思います。「自由空間」や「完全

導体グランド」は、理想値を計算するのではないかと思います。

� ②は、アンテナ設置時の高さを指定します。当然ですが、地上高が変わるとシミレーション

結果も変わります。地上高を変えながらシミレーションを⾏い、最適値を求める事もできる

と思います。

� ③は、エレメントの材質を指定します。いくつか選択値がありますので、使用する材質を⾒

て指定してください。

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では、計算を始めます。「計算」ボタンを押してください。

計算結果が出ました。

SWRが2.4を指しています。これは、どうみてもおかしいですね。「周波数特性」ボタンを押

して詳細をみてみましょう。

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「周波数特性」ボタンを押すと上の画⾯になります。画⾯右上に「幅」が4.00KHzとなって

いるので、ここでは希望周波数(Freq)の前後±2.00KHzを分析するようですね。

では、画⾯中央の各タブ(グラフが出てきます)の内容を表示させるために、「詳細」ボタンを

押してみます。そして、各タブのグラフを順番に⾒ていきます。

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「Z」タブです。中央左上のfoが29.453MHzを指しており、希望周波数(Freq)よ

り随分上にあることがわかります。

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「SWR」タブです。SWRが右肩下がりになっています。たぶん、SWRが一番低いのは、さ

きほどの29.453MHz付近かもしれません。

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「Gain/FB」タブです。勉強不⾜なので、説明は省略します。

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「プロパティ」タブは飛ばして、「パターン」タブです。ビームパターンですね。

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ここまでの結果から、概要設計で考えた各値を元にシミュレーションすると、中心周波数(fo)

が希望周波数(Freq)より高くなってしまうようですね。

因みに、概要設計データをシミレーションした場合、シミュレーションから求められる中心周波

数(fo)付近がどうなっているか、⾒てみます。

画⾯の「共振」ボタンを押して、「Z」タブ、「SWR」タブを⾒てみます。

「Z」タブです。

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「SWR」タブです。SWRが一番低いところが、29.453453MHzですね。±2.00

KHzを⾒てもSWRが1.2以下なので、いい感じだと思います。希望周波数(Freq)付近が

こうなるようにしたいですね。

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■ 最適化の実施

概要設計したデータ(希望周波数:28.076MHz、波⻑:10.685メートル)をMMA

NAでシュミレーションした結果、中心周波数(fo)が希望周波数(Freq)より上になるこ

とがわかりました。これは、概要設計したときの波⻑が短いということになります(=ループ系の

アンテナは設計値よりも⻑くなるということだと思います)。希望周波数で運用するためには、概

要設計の⾒直しが必要になります。

紙と鉛筆(時には電卓)を持って、各ワイヤーの⻑さをチマチマ直していくには、相当な労⼒と

時間が必要になりますよね。普通ならここで、「やめた!」となってしまいます。

そんな時にも便利なのが「MMANA」! MMANAは、自動で希望周波数(Freq)へ最

適化を⾏ってくれます。とてつもなく便利す。

「計算」タブの「最適化」ボタンを押して、「全エレメント」→「実⾏」の順にボタンを押して

いくだけで、最適化されてしまいます。

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「最適化」ボタンを押します。

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「全エレメント」ボタンを押します。

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「実⾏」ボタンを押します。

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はい、終わりました。

SWRが1.14を指しています。最適化されたようです。さきほどやった、周波数特性をみて

みます。

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「Z」タブです。中央左上のfoが28.079MHzを指しており、希望周波数(Freq)と

ほぼ同じです。

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「SWR」タブです。SWRが一番低いところが、28.076MHzの少し上、まあこれで問題

ないと思います。

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「パターン」タブです。

最後にアンテナ定義を⾒てみましょう。

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最適化されたアンテナ定義のデータです。当初の値と⽐べると各ワイヤー(エレメント)とも1

1センチ位大きくなっています。

これでアンテナの設計とシミュレーションが終わりま

した。次は、部材を集めての製作にとりかかります。

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2.アンテナの製作

(1)アンテナの物理構造と部材など

アンテナの概要設計、それからシミュレーションの実施を通りして、ワイヤー(エレメント)の

⻑さが決まりました。ここでは、アンテナの物理構造を考えていきたいと思います。

安価に製作できることが目的になっていますので、部材などは⼿持ちのものか、ホームセンター

などで安く⼿にいれられるものを使う事にします。

まずは、構造を考えてみます。

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28MHz デルタルタループアンテナ 構造図

中央ブーム

← →

幅 1,000mm

→ ←

繋ぎ合わせ

幅 150mm

→ ←

繋ぎ合わせ

幅 150mm

左ブーム

← →

幅 約 2,000mm

右ブーム

← →

幅 約 2,000mm

← →

バラン&ワイヤー取付ブーム

幅 500mm

ワイヤー(エレメント)

⻑さ 約 11.3 メートル

ワイヤー固定具

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伸縮ポール

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部材は次の通りです。

28MHz デルタルタループアンテナ 部材一覧

№ 部材名 材質 形状 数量など 備考

1 中央ブーム 塩ビパイプ 外径 24 ミリ 1メートル 1 本

塩ビパイプ 外径 30 ミリ 1メートル 1 本

注 2

2 左ブーム 塩ビパイプ 外径 16 ミリ 2メートル 1 本

グラスファイバー釣り竿 3.6 メートル 1 本

注 1

3 右ブーム 塩ビパイプ 外径 16 ミリ 2メートル 1 本

グラスファイバー釣り竿 3.6 メートル 1 本

注 1

4 ブームつなぎ合わせネジ 直径3ミリ ⻑さ 30 ミリ 4 本

直径3ミリ ⻑さ 40 ミリ 4 本

図中省略

注2

5 ワイヤー固定具 結束バンド 適量

6 バラン&ワイヤー取付ブーム 塩ビパイプ 外径 24 ミリ 0.6メートル 1 本

塩ビパイプ 外径 30 ミリ 0.5 メートル 1 本

№1 に径を合わ

せた

7 ワイヤー取付ネジ 直径3ミリ ⻑さ 30 ミリ 2 本

直径3ミリ ⻑さ 40 ミリ 2 本

図中省略

№6 に径を合わ

せた

8 上部マストクランプ 任意のサイズ 一式

9 下部マストクランプ 任意のサイズ 一式

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№ 部材名 材質 形状 数量など 備考

10 ワイヤー(エレメント) 被覆銅線 外径1ミリ 約11.3メートル

11 ワイヤー止め用圧着端子 任意のサイズ 2コ 図中省略

12 200:50Ωバラン 耐⼊⼒を考慮 一式 自作を使用

13 バラン ワイヤー接続腺 任意のサイズ 2本 図中省略

14 伸縮ポール 任意の外径 段数 一式

15 RIG 接続同軸ケーブル 5D2V など 任意⻑ 図中省略

注1 塩ビパイプは先端が垂れ下がるので、釣り竿に変更

注2 左右ブームを釣り竿に変更したことにより、径の大きなパイプへ変更

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(2)アンテナの製作

前のページにある部材が揃ったら製作を開始です。

■ 50Ω:200Ω(1:4)バランの作成

アンテナの概要設計で書きましたが、逆三角形の頂点角度が90°の場合、給電点ンピーダンス

は200Ωになるそうです。なので、このままでは、5D2V 等の同軸ケーブルで接続することはで

きません。そこで、200Ωを50Ωにするバランが必要となってきます。製作方法などは、下記 URL

を参考にしてください。

� DDD 3D無線クラブ NO.46 50Ω:110Ω と 50Ω:200Ω 不平衡 ステップ UP トラン

スの作り方(http://www.ddd.eek.jp/ddd/46-un-un/index.htm)

� 全体組み⽴て図(http://www.na.rim.or.jp/~ja3haw/NO58B.PDF)

私がバランを作成したときの部材は下記の通りです。

№ 部材名 材質 形状 数量など 備考

1 コア FT-114#43 1コ

2 巻き線 PEW 腺 0.8Φ 0.6 メートル 2 本 UEW 腺でも可

3 巻き線留め具 結束バンド 2 コ

4 同軸コネクター M 型角座 1 コ

5 エレメント接続端子 陸軍端子 2 コ

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№ 部材名 材質 形状 数量など 備考

6 コネクター 端子間接続腺 被覆銅線など 適量

7 ケース 適当な大きさのタッパー 1 コ

- 皮膜剥がし液 デペント KX 適量 注 1

注1 PEW 線の皮膜を剥がすための液体です。(UEW 線の場合は不要)

FT-114#43 に PEW 線を巻いたところです。

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そして、ケース(タッパー)などを加工し、配線して納めたところです。

※ケース(タッパー)が少し大きかったようですね(笑

これで組み⽴てが完了しました。次は SWR の確認(測定)です。

組み⽴て完了時点では、アンテナアナライザーのような測定機器がなかったので(後で購⼊しま

したが。)、リグ内蔵の SWR 計で仮測定をしてみたところ、14MHz から 28MHz まで、概ね1を

指しましたので、とりあえず OK だと思います。

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※SWR を測る時は、アンテナの代わりに 200Ω のダミロードか 200Ω の抵抗(⾦属被膜

抵抗で、耐圧を十分に確保)をつないでください。因みに私は、100Ω 耐圧 3W の⾦属

皮膜抵抗を 2 コ直列につないで、200Ω 耐圧 6W にしました。

上記の仮測定後しばらくたってから、アンテナアナライザーを購⼊することができたので、改め

て 本 格 測 定 を し ま し た 。 購 ⼊ し た ア ナ ラ イ ザ ー は 、 AA-54 と い う 優 れ も の で す 。

(http://www.ja1scw.jp/shop/aa-54.html)

AA-54 の「マルチ SWR」という機能を使って、14MHz から 28MHz までの 5 バンドの SWR

をまとめて測りました。

また、AA-54 には PC で動作するソフトウェアが添付されており、このソフトウェアは、周波

数の範囲指定をすることにより、その範囲の SWR をグラフ化してくれます。因みに、14.000MHz

から 29.000MHz の範囲を指定して測定したのが、次のグラフです。

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14.000MHz から 29.000MHz までがグラフ化されており、SWR の測定結果がその範囲ポイン

トされています。

ここまでで、作成したバランの SWR 測定が完了しました。14MHz が一番低く、周波数が上が

るにつれて SWR が高くなっていますが、28MHz で SWR が 1.5 以下なので、初めてとしては、

まあまあの出来だと思います。

次は、アンテナの仮組み⽴てと、全体での SWR 確認(測定)となります。

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■ アンテナの仮組(部材変更を含む)

最終設置予定場所は、自宅 2F のベランダですが、ベランダで組み⽴て作業するには狭いので、

自宅前で仮設することにしました。仮設結果はこんな感じです。

これは! あららです。左右の塩ビパイプの両先端が思いっきり垂れ下がってしまいました。こ

れはまずいですね。ワイヤーを這わせると、もっと垂れ下がると思われます。塩ビパイプの両端を

紐でひっぱってみたのですが、塩ビパイプが柔らかく、クネクネして、水平にできません。これは

設計ミスです。左右のブームを塩ビパイプにしたのが間違いですね。

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ハム仲間に相談したところ、やはり塩ビパンプでは無理があるとのこと。塩ビパイプの代わりに

グラスファイバー製の釣り竿の採用を勧められました。

グラスファイバー製釣り竿ということで、近所の釣り具屋さんを回って、これを⼿に⼊れてきま

した。

グラスファイバー100%の釣り竿です。2 本で 2,000 円弱(8%消費税込み)。これを左右のブー

ムとして使ってみます。

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釣り竿の根元の径が大きいので、中央ブームとバラン&ワイヤー取付ブームを外径30ミリのものに交

換しました。(28MHz デルタルタループアンテナ 部材一覧 を最新化してあります。)

これで、再組み⽴てです。左右の垂れ下がりの改善を期待します。

まだちょっと下がっていますが、大幅に改善できたのではないかと思います。これで、十分。仮

設はOKなので、この状態で SWR を測ってみます。AA-54 を取り出してきて、5バンドを一気

に測定したところ、28MHz が1.7。 24MHzが2.1。 他は∞です。目的の28MHzが

高めではありますが、これでよしとします。いよいよ、2Fベランダへの設置となります。

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■ 2Fベランダへの本設置

仮設状態の分解し、ベランダ 2F へ設置しました。想像したよりもアンテナが大きいので、ベラ

ンダがいっぱい、いっぱいです。設置したものを下から撮った状態がこれです。

伸縮ポールの⻑さが⾜りなくて、給電点が屋根の下になってしまいました。改善の余地有りです

ね。この状態で SWR を測定すると2.1。やはり屋根の影響かと思われます。不満がありますが、

これで、⾏ってみます。同軸をリグに繋いで、リグのチューナーで SWR を下げました。14MH

zから28MHzまでのうち、18MHzを除く4バンドでSWRが1.3程度。使えそうです。

次章で運用状況の報告をさせていただきます。

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3.アンテナの運用状況

ここからは、原稿執筆計画中です。

※ターゲットの28MHzを含め、⾊々なバ

ンドの運用テストを⾏ってみますので、暫

くお時間をください。

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