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「スウッシュノミクス」(スウッシュ型景気回復) インベストメント・マンスリー 2020年10月 PUBLIC

インベストメント・マンスリー 2020年10月 「スウッシュノ …...1 要旨 出所:「Global Investment Strategy, October 2020」HSBCグローバル・アセット・マネジメント(UK)リミテッド

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Page 1: インベストメント・マンスリー 2020年10月 「スウッシュノ …...1 要旨 出所:「Global Investment Strategy, October 2020」HSBCグローバル・アセット・マネジメント(UK)リミテッド

「スウッシュノミクス」(スウッシュ型景気回復)

インベストメント・マンスリー 2020年10月

PUBLIC

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要旨

出所:「Global Investment Strategy, October 2020」HSBCグローバル・アセット・マネジメント(UK)リミテッド

投資戦略の主なポイント

多くの市場の動きは、当社の基本シナリオである「スウッシュ型」の景気回復と整合的である。この景気回復シナリオは妥当なものであり、当社は現在の市場の水準に大きな異論はない。

当社では、10-12月期の市場はレンジ内で推移すると予想している。市場の上振れリスクと下振れリスクは概ね均衡していると見られる。

「ポジティブ・サプライズ」のハードルはこれまでより高くなっている。しかしながら、アジアのハイ・イールド社債、中国債券、一部株式など、比較的高い期待リターンを提供している資産クラスもある。

他方、先進国国債の利回りは非常に低く、分散投資効果に疑問が生じている。先進国国債からオルタナティブ資産へと分散投資先を大きくシフトすべき時が来ているかもしれない。

主なリスク

マクロの見通し

世界経済は「スウッシュ(Swoosh、米国の大手スポーツ・メーカーNIKEのロゴ)型 」の回復を続けている。先進国の経済活動は、2021年終わりから2022年初めにかけて、コロナ危機前の水準に戻る可能性が高いと見られる。

しかしながら、景気は当初の急速な回復局面を終え、「より緩やかなペース」の新たな回復局面に入りつつある。

当初の危機を経て、世界各国は、勝ち組(中国、工業化が進んだアジア各国など)と負け組(アジアを除く新興国、比較的規模の小さい石油輸出国、フロンティア諸国、英国など)に分かれている。

世界経済は引き続き各国の景気支援策を必要としている。一方、短期的にはインフレのリスクは極めて限られている。

複数均衡

財政政策の誤り財政の負担に耐えられず、景気刺激策が早期に終了するリスク

新型コロナウイルスの抑制感染第二波と経済活動規制が景気回復ペースを減速させるリスク

政治情勢の不透明感 米国大統領選挙、Brexit、貿易摩擦が市場に衝撃を与える可能性

中央銀行の政策 多くの主要中央銀行は、3月以降、バランスシートを急速に拡大しており、流

動性の供給を維持するとともに、政府による財政の緩和を支えている。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ率目標を一定期間は2%を上回ることを容認する「平均インフレ目標」を導入した。これは低金利のさらなる長期化を示唆している。

欧州中央銀行(ECB)は、緊急購入プログラムの枠を全て使って、債券を購入する方針を示している。

中国人民銀行は、中国本土の景気が全般的に回復する一方、金融市場の安定性への懸念が残る中で、ターゲットを絞ったミクロの調整に政策の焦点を絞ることが見込まれる。

新型コロナウイルスは政府債務の対GDP比を著しく押し上げている。財政刺激策の早すぎる解除が大きなリスクとなっている。

不透明感の広がりが、経済環境を特徴づけている。

様々な場面で、市場の変動性が高まっている。

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株式 国債 社債 / オルタナティブ

資産クラス 見通し 変更 資産クラス 見通し 変更 資産クラス 見通し 変更

グローバル株式 p – 先進国国債 q – グローバル投資適格社債 1 –

米国 p – 米国 q – 米ドル建投資適格社債 1 –

英国 1 英国 q – ユーロ・英ポンド建投資適格社債

1 –

ユーロ圏 p – ユーロ圏 q – アジア投資適格社債 p –

日本 1 – 日本 q – 世界ハイ・イールド社債 p –

新興国 p – 現地通貨建新興国国債

p – 米国ハイ・イールド社債 p –

中東欧・ 中南米 q –米ドル建新興国債券(総合)

1 – 欧州ハイ・イールド社債 1

アジア・ハイ・イールド社債 p –

金 p

その他商品 p

不動産 1 –

当社の見方

出所:HSBCグローバル・アセット・マネジメント(UK)リミテッド

見通し:

▲ オーバーウェイト1 中立▼ アンダーウェイト

前月からの変更: – 変更なし 上方修正 下方修正

投資家が世界経済の急速な回復シナリオを一部

織り込む兆候が見られる。これは「ポジティ

ブ・サプライズ」のハードルが一段と高まって

いることを意味する。しかしながら、当社は引

き続き選別された先進国の株式、アジアのハ

イ・イールド社債は高い期待リターンを提供す

ると見ている。

世界株式:市場の動きは当社の「スウッシュ型」の景気回復シナリオとほぼ整

合しており、バリュエーションは依然として相対的に妙味がある。新型コロナ

ウイルスの感染、米国大統領選挙、主要国の政策を巡る不確実性が逆風となる

が、全般的にリスクは均衡していると思われる。

国債:先進国国債(中核国)の低い期待リターンおよび利回りは、分散投資先

を幅広くオルタナティブ資産に切り替えることが得策であることを示唆してい

る。

社債:この数ヶ月はスプレッドが大きく縮小したが、中央銀行による社債買い

入れプログラムが引き続き強いサポート要因となっている。アジアの社債が特

に妙味があると思われる。

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資産クラス別パフォーマンス

*過去の実績は将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。

注: 資産クラス別パフォーマンスの各インデックスは以下の通り。

グローバル株式: MSCI ACWI Net Total Return USD Index 新興国株式: MSCI Emerging Market Net Total Return USD Index グローバル・ハイ・イールド社債: Bloomberg Barclays Global HY Total Return Index value unhedged グローバル投資適格社債:Bloomberg Barclays Global IG Total Retrun Index unhedged グローバル国債: Bloomberg Barclays Global Aggregate Treasuries Total Return Index 米ドル建新興国国債: JP Morgan EMBI Global Total Return USD 金: Gold Spot $/OZ(スポット価格) その他コモディティ: S&P GSCI Total Return CME 不動産:FTSE EPRA/NAREIT Global Index TR USD

出所: ブルームバーグ、 米ドルベース、トータル・リターン 2020年9月30日現在

株式 社債 国債 コモディティ・不動産

新興国株式グローバル株式 グローバル・ハイ・イールド社債

グローバル投資適格社債

グローバル国債 米ドル建新興国国債

金 その他コモディティ 不動産

■2019年 ■2020年年初来(1-9月) ■2020年9月

2020年9月の株式市場は下落した。ハイテ

ク株の下落、新型コロナウイルスの感染再

拡大への懸念、米国の追加経済対策の実施

時期を巡る不確実性が逆風となった。

国債:9月の先進国国債市場は、米国国債は前月末比でほぼ変わ

らず、欧州国債は追加金融緩和への期待、予想を下回るインフレ

指標が追い風となり上昇(利回りは低下)した。

コモディティ:原油価格は、石油需要見通し悪化への懸念、

OPEC加盟国の大幅な増産を示す統計などを背景に下落した。金

は米ドル高、インフレ期待の後退を背景に値を下げた。

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マクロ経済の基本シナリオとその影響

基本シナリオとその影響マクロ経済動向

出所:HSBCグローバル・アセット・マネジメント(UK)リミテッド

米国経済は財の消費(特に食料品と自動車)を含む多部門で急速な回復が見られる。住宅市場も活況を呈している。

しかしながら、ソーシャル・ディスタンシング措置が取られる中で、サービス消費は出遅れている。また、労働市場の回復は一時的となる可能性がある。

米国の大統領選挙の結果は、財政刺激策の実施時期および対象範囲に影響を与えよう。

米国株式は、ハイテクセクターおよび高クオリティ銘柄の高い構成比率から、引き続き魅力がある。ただし投資家が米国経済の急速な回復を織り込む兆候は「ポジティブ・サプライズ」のハードルが高まっていることを示唆。

米国国債の期待リターンは低いが他の先進国国債と比べれば妙味あり。「低金利の長期化」は利回り上昇リスクを制限。

ユーロ圏:経済指標は景気回復ペースの減速を示唆。新型コロナウイルスの感染者数は増加しており、不確実性が高まっている。

英国:7-9月期の景気は力強く回復した模様だが、失業者の増加、景況感の低迷、「合意なきEU離脱」に追い込まれる可能性が大きな逆風となっている。

ユーロ圏では政策面からのサポートが強力であり、ユーロ圏株式を「オーバーウェイト」としている。投資家はスウッシュ型の景気回復が進行する中で、米国以外の地域でのリターン獲得を求めている。

欧州国債のバリュエーションには妙味がなく、分散投資効果も限定的と見られる。

中国 : 中国経済は、新型コロナウイルスの感染が収束し、当局が大規模な景気刺激策を打ち出したことから、急速に回復している。ただし輸出、住宅、インフラ投資は回復が遅れている。

インド : 新型コロナウイルスの急激な拡大と移動規制を受けて、景気回復は緩慢なペースにとどまっている。銀行セクターは引き続き脆弱な状態にある。

日本:力強い政策サポート、比較的低水準の新型コロナウイルスの感染状況から景気は回復を続けている。ただし外需は引き続き低調であり、資本財への需要を圧迫している。

中国:経済活動の急速な回復が当社のオーバーウェイトのスタンスをサポートしている。新興国の中で特にアジア株式を引き続き選好している。

インド:マクロ環境面では厳しい状態が続くものの、中央銀行の金融緩和スタンス、個人投資家のインド株投資の増大などから、オーバーウエイトを維持している。

日本:バリュエーションに妙味はあるが、なお政策課題が多く、「中立」スタンスを維持。

ブラジル:新型コロナウイルスの感染はなお拡大しているものの感染ペースは安定化しつつあり、経済活動規制の緩和が多くのセクターで景気回復をもたらしている。ただし財政上の制約から一段の支援策の実施は困難な状況にある。

ロシア:弱い内需、原油価格の低迷、財政面からの経済支援の限界が、景気回復を遅らせている。サービス部門の比率が比較的低いことはプラスに働いている。

MENA(中東・北アフリカ):これら諸国の景気回復見通しは、原油安と観光収入の減少から低く抑えられている。地政学的リスクもマイナス要因。

新興国への投資は市場の選別が一段と重要となっている。

新興国の多く(特にアジアを除く地域)は、新型コロナウイルスの感染拡大への対応能力に限界があり、また資源価格の下落や投資資金流出のリスクにさらされている。

先進国と比較したバリュエーションの優位性は後退。

中国経済の回復から恩恵を受ける北アジア地域を有望視。

米国

欧州

アジア

その他新興国

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