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建築認証事業本部 積雪荷重の規制の強化について 1.背景 平成262月の大雪により、積雪後に降雨がある場合、大スパン・緩勾配の屋根にはこれまで想定していた以 上の荷重がかかることが判明しました。このような屋根を持つ建築物について、積雪後の降雨を見込んで割増 係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行うように告示が改正され、去る平成31115日に施行されました2.対象屋根面 割増係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行う必要がある屋根面は、以下の5条件のすべてに該当するもの が対象です。(告示では、④及び⑤の条件を満たす屋根を特定緩勾配屋根と定義しています。) 多雪区域以外の区域にある建築物 垂直積雪量が15cm以上の区域にある建築物 屋根重量が軽い(屋根版がRC造又はSRC造でない) 緩勾配屋根(15度(約2.6810)以下) 棟から軒までの水平投影長さが10m以上 3.割増係数の算出方法(平成 19 年国土交通省告示第 594 号第 2 第三号ホ) 対象屋根面の積雪荷重は、従前の積雪荷重に次の表 1 の割増係数 α を乗じて算出することが告示で定められ ています。 1 割増係数 α 0.7 α 割増係数(当該数値が1.0未満の場合には、1.0dr 特定緩勾配屋根部分の最上端から最下端までの水平投影の長さ及び屋根勾配に応じて、表2に掲げる 数値(単位:mμb 令第86条第4項に規定する屋根形状係数 d 令第86条第1項に規定する垂直積雪量(単位:m屋根勾配:15 度以下 棟から軒までの長さ 10m 以上

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■ 建築認証事業本部

積雪荷重の規制の強化について

1.背景

平成26年2月の大雪により、積雪後に降雨がある場合、大スパン・緩勾配の屋根にはこれまで想定していた以

上の荷重がかかることが判明しました。このような屋根を持つ建築物について、積雪後の降雨を見込んで割増

係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行うように告示が改正され、去る平成31年1月15日に施行されました。

2.対象屋根面

割増係数を乗じた積雪荷重により構造計算を行う必要がある屋根面は、以下の5条件のすべてに該当するもの

が対象です。(告示では、④及び⑤の条件を満たす屋根を特定緩勾配屋根と定義しています。)

① 多雪区域以外の区域にある建築物

② 垂直積雪量が15cm以上の区域にある建築物

③ 屋根重量が軽い(屋根版がRC造又はSRC造でない)

④ 緩勾配屋根(15度(約2.68/10)以下)

⑤ 棟から軒までの水平投影長さが10m以上

3.割増係数の算出方法(平成 19 年国土交通省告示第 594 号第 2 第三号ホ)

対象屋根面の積雪荷重は、従前の積雪荷重に次の表 1 の割増係数 α を乗じて算出することが告示で定められ

ています。

表 1 割増係数 α

𝛼𝛼 = 0.7 + � 𝑑𝑑𝑑𝑑𝜇𝜇𝜇𝜇𝑑𝑑

α 割増係数(当該数値が1.0未満の場合には、1.0)

dr 特定緩勾配屋根部分の最上端から最下端までの水平投影の長さ及び屋根勾配に応じて、表2に掲げる

数値(単位:m)

μb 令第86条第4項に規定する屋根形状係数

d 令第86条第1項に規定する垂直積雪量(単位:m)

屋根勾配:15 度以下

棟から軒までの長さ 10m 以上

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表2 dr の数値

最上端から最下端までの

水平投影の長さ(単位:m) 屋根勾配(単位:度) 𝑑𝑑𝑑𝑑の数値

10 2以下 0.05

15 0.01

50以上 2以下 0.14

15 0.03

※この表に掲げる最上端から最下端までの水平投影の長さ及び屋根勾配の数値以外の当該数値に応じたdr

は、表に掲げる数値をそれぞれ直線的に補間した数値とする。

4.dr の数値を求めるときの直線補間

告示に基づいて表2によりdr の数値を求める場合で、最上端から最下端までの水平投影の長さ(単位:m)及び

屋根勾配(単位:度)が表の数値以外の場合は、直線補間によって求めることになっています。

直線補間したdr の数値を簡単に算出する方法が下式となります。ただし、L が50を超える場合はL を50、θ が

2未満の場合はθ を2とします。

【計算例】

L=30m、θ=3度、垂直積雪量d=0.3mの場合は、下記の計算より、割増係数α=1.246となります。

𝑑𝑑𝑑𝑑 = 1610 + 131𝐿𝐿 − 90𝜃𝜃 − 7𝐿𝐿𝜃𝜃

52000

= 1610 + 131 × 30 − 90 × 3 − 7 × 30 × 3

52000

= 0.0892

𝜇𝜇𝜇𝜇 = �cos(1.5𝜃𝜃)

= �cos(1.5 × 3°)

= √0.997

= 0.998

屋根勾配 Θ [度]

棟から軒までの長さ L [m]

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𝛼𝛼 = 0.7 + �𝑑𝑑𝑑𝑑𝜇𝜇𝜇𝜇𝑑𝑑

= 0.7 + � 0.08920.998 × 0.3

= 1.246

積雪荷重 = 20(N/m2 ∙ cm) × 30(cm) × 𝜇𝜇𝜇𝜇 × 𝛼𝛼

= 20(N/m2 ∙ cm) × 30(cm) × 0.998 × 1.246

= 746(N/m2)

5.表計算ソフトによる自動計算

下記のように表計算ソフトで黄色のセルに数式を入力しておくと、水色のセルに数値を入力するだけで自動的に

積雪荷重を計算することができます。

6.既存建築物に増築を行う場合の遡及適用

既存建築物に増築して一の建築物とする場合、EXP.Jによる応力を伝えない増築方法であっても、既存部分は

割増係数を乗じた積雪荷重を用いた許容応力度計算基準に適合する必要がありますので注意が必要です(既

存建築物が構造計算の必要がない場合や、増築部分の床面積が基準時の延べ面積の1/20以下かつ50m2以

下の場合などを除きます)。

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7.国土交通省資料

告示改正についての報道発表資料

http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000699.html

告示改正案に寄せられたパブリックコメントに対する国土交通省の考え方

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155160709&Mode=3

特殊な屋根形状の場合の考え方(技術的助言)

http://www.mlit.go.jp/common/001226215.pdf

建築認証事業本部 丹波 利一

【お問い合わせ】

ビューローベリタスジャパン(株) 建築認証事業本部 最寄りの事務所まで

お問い合わせフォーム

ビューローベリタスのサービス:建築確認検査業務

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■ イノベーション/インサービス検査事業本部

定期報告における「既存不適格建築物」の概説

定期報告では調査結果について、特に問題がない際の「指摘なし」、問題があり是正が必要な場合の「要是正」、

「既存不適格」の判定が行われます。

その中の「既存不適格」について概説を行いますので、報告書をご確認の際や日常の施設管理にお役立てくだ

さい。

■ 既存不適格とは

建築基準法は、原則として着工時の法令や基準に適合することを要求しています。

着工・完成後の法改正に適合していない建築物であっても、旧法・旧規定の基準で合法的に建てられた建築物

ですので、ただちに違法状態とはなりません。

このように、現行法と照らして不適格な部分が生じている建築物を「既存不適格建築物」といいます。

似た言葉として「違反建築物」というものがありますが、これは法令違反の建築物であり、特定行政庁が使用禁

止の是正措置を命じることができます。

※一定規模を超える増改築等を行う場合には既存不適格の状態を解消し、現行法令に適合した建築物にする

必要がありますのでご注意ください。

■ 既存不適格の一例

定期報告で「既存不適格」と判定される項目について、【特定建築物定期調査】、【建築設備定期検査】、【防火

設備定期検査】に分けて例示します。

(1) 特定建築物定期調査の事例

・ 延焼のおそれのある窓が線入りガラスとなっている(昭和58年改正)

・ エレベーター扉に遮煙性能がない(平成14年改正)

・ 特定天井の天井脱落防止措置が図られていない(平成26年改正)

・ 階段に手摺が設置されていない(平成12年改正)

(2) 建築設備定期検査(昇降機を除く)の事例

・ 非常用の照明装置がない(昭和46年改正)

・ 排煙設備がない(昭和46年改正)

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(3) 防火設備定期検査の事例

・ たて穴区画の防火扉の閉鎖機構が温度ヒューズ式となっている(昭和49年改正)

・ 防火設備(防火シャッター等)に危害防止機構が装着されていない(平成17年改正)

※各報告書中の記載例

【特定建築物定期調査】

【防火設備定期検査】

■ ビューローベリタスの提案

今回は、定期報告において「既存不適格」と判定される項目について概説を行いました。

既存不適格≠違反建築物ですので、定期報告において既存不適格と記載された項目については早急な改善が

求められるものではありません。

しかしながら、一定規模を超える増改築等を行う場合には既存不適格の状態を解消し、現行法令に適合した建

築物にする必要がありますのでご注意ください。

定期報告書をご覧の際には、要是正項目のみならず既存不適格項目についてもご確認いただき、中長期的な

施設の維持管理にお役立てください。

イノベーション/インサービス検査事業本部 林 健太

別記(A4)

要是正

既 存

不適格

4

(1) ○

(2)

(3)

5

(11)

(12)

(13) ○

調査結果表

令第112条第12項又は第13項に規定する区画の状況

避難施設等

指摘

なし

担当

調査者

番号

調査結果

階段

番号 調 査 項 目

幅員の確保の状況

直通階段の設置の状況

建築物の内部

令第112条第1項から第3項まで又は同条第5項から第8項までの各項に規定する区画の状況

令第112条第9項に規定する区画の状況

手すりの設置の状況

別記第二号(A4)

要是正

既 存

不適格

(10) 危害防止用連動中継器の配線の状況 ○

(11) 危害防止装置用予備電源の劣化及び損傷の状

況○

(12) 危害防止装置用予備電源の容量の状況 ○

(13) 座板感知部の劣化及び損傷並びに作動の状況 ○

(14) 作動の状況 ○

防火シャッ

ター危害防止装置

番号 検 査 項 目 検査事項

検査結果担当

検査者

番号指摘

なし

検査結果表

(防火シャッター)

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【お問い合わせ】

ビューローベリタスジャパン(株) イノベーション/インサービス検査事業本部

東京新橋事務所 TEL:0120-719-904

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ビューローベリタスのサービス:

建物・設備の定期調査ならおまかせ!専用ウェブサイト ビルレポ.com をご覧ください

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システム認証事業本部

航空機用鋼材の取引倍増を目指して、

従業員 31 人の小企業が EN9120*を取得

* EN9120:航空宇宙産業品質マネジメントシステム認証

(卸売業者/小売業者及び倉庫業者/輸送業者に適用)

■ 2年前に変わった風向き

タカギスチールは、名古屋を拠点に加工用の各種鉄鋼材料を卸販売する専門商社。従業員31名、年商約11億

円のいわゆる小企業が、航空宇宙分野の商社・運輸・倉庫業に対するマネジメントシステムEN9120 を取得し

たのは2017年12月のことだ。

同社は、60年前に現社長の祖父に当たる創業者が、日本屈指の大手金属メーカ

ーから独立して起業した。以来、その大手金属メーカーから商品の原材料となる

鉄鋼材を仕入れていたこともあり、仕入れ先(製造元)のブランド力によって特に

品質面のエビデンスを求められることもなく、安定的かつ友好的な取引関係を売

り先と継続してきた。

その風向きが変わったのは2年前のことだ。客先である航空部品メーカーに、米

国の規格SAEが、「今後、材料の仕入れ先はEN9120を取得している企業に限る

こと」という通達を出したのだ。

「今までビジネスのベースだった『信頼関係』といったものでは品質保証にはなら

ないというわけです。継続してお客様と取引をさせていただくためにはEN9120を

取得しなくてはならないという状況になりました」と髙木智英社長は言う。

同社の航空機用金属の取引高は、会社全体の売り上げの10%程度。この10%の商売をどう見るかは微妙なと

ころだが、髙木社長は、当時すでに「今後、航空機用の高合金の売り上げを20%にまで伸ばして、ビジネスの柱

の一本に育てたい」という希望を持っていたので、「何が何でもEN9120を、通達による期限の12月までに取得す

ると決断しました」と言う。

■ グローバル展開も視野に

同社がEN9120の取得を目指した大きな理由がもう一つある。それは仕入れと販売の両面で世界市場を目指そ

うとしているからだ。

今まではその両方の取引がほぼすべて国内で行われており、そのことが同社のビジネスを安定させる源泉とな

ってきた。「しかしこれからはそれでは逆に不安定になるのではないかと思うのです」と髙木社長は言う。

髙木社長は母の跡を継いで 4 年

前に社長に就任した

株式会社タカギスチール

(愛知県名古屋市) http://takagi-steel.co.jp/

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特に、仕入れ先を国内の鉄鋼メーカーに限っていると、今後、入手困難な材料が出てくるのではないかという懸

念を抱いているそうだ。

そこで、これからは海外からの輸入も視野に入れているが、その場合、

今までのように相手先の品質管理力に頼ってばかりいるわけにはい

かない。逆に相手に物申せるぐらいの品質管理力をこちらが持たなく

ては、従来のクオリティの商品を客先に届けることができなくなるかも

しれないというリスクが生まれるのだ。

「ですから自社できちんとした品質管理ができること、そしてそれを証

明できるエビデンスがあること、つまりEN9120認証が取得できている

ことが必要だと感じました」(高木社長)。

そしてグローバルな取引を視野に入れたことが、グローバルな認証機関であるビューローベリタスを選ぶことに

繋がったのだという。

■ いきなりEN9120を取得

こうして意欲的に始まったEN9120取得だったが、取り組みを始めると同時に大きな壁に突き当たった。その理

由は、同社はそれまで他のシステム認証を取得したことがなく、まさにシステム認証の右も左も分からない状態

だったからだ。

認証取得をする場合は、まずISO9001など大局的で汎用性のある認証を取得し、その後、それぞれの分野のよ

り専門的な認証を取得するという流れが一般的だ。そうすると、前回の認証取得時の経験から、より細かくなる

専門的な認証の取得がスムーズになるからだ。そうでないと、システム認証の考え方やこなし方も分からないま

ま、専門的な分野の品質管理システムを構築しないといけないことになり、担当者だけでなく現場の戸惑いや負

担が大きくなってしまう。

ところが同社においては、このいきなりEN9120取得パターンを、それもキックオフ

からわずか半年でやり遂げなくてはならないという状況になった。

5人で構成された取得チームのリーダーに抜擢された山下和孝氏は、「いったいど

こから手を付けたらいいものやら、途方に暮れました」と当時を振り返る。

何より分からなかったのは、書いてある要求事項に対してどんな内容のルールや

マニュアルを設定したらよいのかということだった。

この八方塞がりの状況に風穴を開けてくれたのはコンサルタントだった。「とても丁

寧にアドバイスをしてくださる先生に巡りあえて、本当に助かりました。要求事項に

対して具体的にどんな内容のルールを設定すればいいのかも分かりやすく解説し

ていただいて、それからは事態はグンと進捗しました」(山下氏)という。

このような助け舟もあり、半年後、同社は無事にEN9120の取得を果たした。

物流の要となっている名古屋営業所。

山下氏は元金融マンで入社 7 年

目。専門的な仕様書も読みこむ

熱心な営業マンだ。

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■ EN9120が生む多彩な影響

取得後、同社でまず変化が起こったのは社内だった。

ルール化したダブルチェックによって間違いが減ると同時に、現場からの逆提案が増えたのだ。

「今までは感覚的に仕事をすることが多かったので、ベテランの意見や考えが前面に出ていましたが、マニュア

ルを基準にすることになってからは、誰でも提言や提案ができる雰囲気が生まれたのだと思われます。また、マ

ニュアルによって自分たちがどんな重要な仕事に携わっているのかを、現場の社員全員が認識するようになっ

たことも良かったですね」と山下氏は言う。

一方、EN9120の社外的な活用、たとえば航空機部門の売り上げを倍増させることや、航空機部門の材料問屋

として同社の名前をブランド化することについては、これからが勝負だ。

「EN9120はあくまでビジネスのツールだと思っていますので、ビジネスに貢献させなくては本来の意味はない。

つまり、EN9120を取得したがゆえに新たに獲得したという案件を1件でも増やすことが当面の目標です」と髙木

社長は言い、山下氏をはじめとする営業マンたちは、その号令のもと、新規案件や新規客の開拓に勤しんでい

る。

つまり、EN9120は、「長年の信頼関係」をビジネスの柱にしてきた同社に、今までにはないアプローチで新しい

柱を建てて、企業の屋台骨を強化することの重要性を気付かせた。

航空機部品用の鉄鋼材料。マニュアル通

りに他の材料と明確に区別して在庫され

ている。

在庫の鉄鋼材と注文に応じて鉄鋼材を切

り分ける機械が置かれた倉庫。

在庫の鉄鋼材はきちんと仕訳されて格納

されている。

(2018年12月26日取材)

ビューローベリタスのサービス:AS/EN/JISQ9100

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■ 産業事業本部

品質データの信頼性を第三者の目でチェック - 製造・検査プロセスの第三者立会い

日本の製造業による不祥事や不正が相次いで報じられるなか、品質データ管理の検証ニーズが高まっていま

す。

ビューローベリタスでも、自社の製造プロセスが社内基準どおりに運用されているかを第三者の立場で検証して

ほしい、あるいは社内検査が正しく実施されているか立会いをしてほしいというご要望をいただく機会が増えまし

た。

■ 製造・検査プロセスの第三者立会いはどんな流れで実施されるの?

1. キックオフミーティング お客様のご要望・スケジュール・立会い範囲などを確認させていただき

ます。

2. 手順書・記録書式の確認 実際に現場で使用されている手順書や関連図書、記録書式を事前に

確認させていただきます。

3. ショップツアー 実際に立会いを行うプロセスを事前に確認させていただきます。

4. 製造・検査プロセスの立会い 現場でプロセスの立会いを行います。立会い時の記録をレビューいたし

ます。

5. 立会い結果報告書の提出 立会い結果をまとめて最終報告書を作成し、提出いたします。

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■ システム監査とは違うの?

システム監査でも、プロセスの確認は行なっていますが、その目的が異なります。

製造・検査プロセスの第三者立会いでは、特定の製品(ある製品のある製造番号の製品)のプロセスを確認しま

す。特定のお客様からの品質要求に応える目的などでプロセスの第三者立会いをご利用いただくことができま

す。

■ 製品検査とは違うの?

通常の検査では、製品が仕様を満たしているかどうかを確認しています。

製造・検査プロセスの第三者立会いでは、製品の合否を確認するのではなく、決められた手順に従って製造・検

査が行われているかどうかを確認します。プロセス立会いは、製品の合格を裏づけする補強データとしてご利用

いただくことができます。

■ 製品検査でも検査プロセスは確認しているのでは?

製品検査でも検査プロセスは確認しています。ただし、ITP(Inspection and Test Procedure)で決められた限ら

れた範囲の検査のみに立ち会うため、確認できるプロセスは限られています。

製造・検査プロセスの第三者立会いでは、検査だけでなく製造プロセスも含め、メーカー様が品質上重要と思わ

れるプロセスに立ち会うことができます。これにより、プロセスの健全性を1つ上のランクで裏付けることができま

す。

産業事業本部 産業事業部 染谷 美枝

【お問い合わせ】

ビューローベリタスジャパン(株) 産業事業本部 産業事業部

TEL:045-641-4219 (営業:高橋) TEL:078-322-0232 (営業:小野)

お問い合わせフォーム

ビューローベリタスのサービス:産業事業本部 取り扱い業務

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■ 消費財検査部門

メルコスール(南米共同市場)の繊維製品のラベル表示に関する新しい技術的規制

メルコスールはメルコスール技術規則の繊維製品のラベル表示についての決議を承認し、これまでのラベル表

示法(GMC No. 33/07)を廃止すると発表しました。

この決議は2019年6月15日までにメルコスールの国々(*)の法令に組み込まれます。

(*)メルコスール(Mercosur、南米共同市場)は、アルゼンチン・ブラジル・パラグアイ・ウルグアイの4カ国を含み

ます。

合わせて約2億6千万人の人口と2兆4千億ドルのGDPを持つ、南米有数のマーケットです。日本との貿易も近

年活発化しており、2018年5月に日亜経済合同安全委員会(日本商工会議所・アルゼンチン商工会議所)、7月

に日本ブラジル経済合同委員会(日本経済団体連合会・ブラジル全国工業連盟)がそれぞれ会合を持ち、日本

メルコスールEPA交渉の早期開始を求める報告書を採択しました。

(一般社団法人 日本経済団体連合会 報告書より)

今回の決議の要約は、以下のとおりです。

■ メルコスールの参加国で販売する繊維製品に対して、表示が必須となるラベル内情報

A. 消費国で登録された名称、商号、商標のうちいずれかと、国内メーカーもしくは輸入者(もしくは独占的に商

標や社名を使用する者や商標を使用するライセンスを保持している者すべて)の納税者番号

B. 原産国名の前に、以下のいずれかの文言がなければならない

- "Hecho en" (Made in:~で作られた)

- "Fabricado en"(Manufactured in:~で製造された)

- “Industria”(industry:工業)

経済的ブロックの指定や国旗の表示は受け入れられません。

C. 繊維や糸の材質名、全体の組成割合を示した内容も表示する。(繊維・糸の材質の一般名称は、技術規制

の附属書 A に記載があります。)

• 「純粋な製品」や「繊維が単一の材質(100%)」と表示されている場合、許容範囲として最大 2%までの

差異は避けられない混合として許容されます。混合繊維(1 種類以上が混合されている繊維)の場合は、

許容範囲は各繊維それぞれに対して 3%です。許容範囲は、ラベルに記載されている割合と組成分析

による結果の差分で表されます。

• 繊維の混合率が 5%を下回る場合は、その繊維は“OTHER FIBER(その他繊維)”もしくは“OTHER

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FIBERS(その他繊維)”とパーセンテージ情報のすぐ前に表示してもよいとされています。

• 2 箇所以上に異なる素材が含まれている繊維製品には、部位ごとの組成もラベル表示しなくてはなりま

せん。

• サポート・補強材・芯地・綴じおよび結合糸・みみ・ラベル・アップリケ・縁・刺繍がある端・ボタン・ポケッ

ト・肩パッド・詰め物・ゴム・飾り・非伸縮性テープは、組成ラベルに表示する必要はありません。

• 2つもしくはそれ以上の繊維製品が1つのセットとして販売されている場合で、かつすべてが同じ組成の

製品である場合は、必須表示はセットのうち 1 つだけに記載があればいいとされます。

D. 洗濯表示

• 洗濯表示は NM ISO 3758: 2013 に従ったものでなければなりません。シンボルもしくは文字、もしくは

その両方で表示する必要があります。必ず含まれなくてはならない情報は、①洗い方、②漂白剤、③乾

燥方法、④アイロン方法、⑤クリーニングにおける取り扱い方法です。これらは上記の順序で記載しな

ければなりません。

• 洗濯表示は 16 平方ミリメートル以上の正方形に収まるサイズで、ばらつきがないように同じ大きさと色

で、読みやすく明瞭に記載されなくてはなりません。洗濯表示シンボルに“×”(バツ印)がついた追加表

示は、表示される繊維製品に対して実施が禁止されるものに使用されます(例:②漂白剤のシンボルの

上に×がある場合は、漂白剤使用禁止という意味)。×のついた洗濯表示シンボルには大きさの指定

はありませんが、洗濯表示のサイズの目安となる正方形に干渉しないようにしなければなりません。

※2016 年 12 月 1 日から施行された日本の JIS L 0001 も同じ国際規格(ISO3758)に準じているため、現

在日本で表示されている洗濯表示と同じシンボルを今後はメルコスールも使用することとなります。

E. サイズもしくは寸法、製品に合った適切なものを選択

【追記】

• 記載が義務とされる表示情報は、ラベル・印刷・シールなどに記載されますが、恒久的に印刷内容が固定さ

れていて消えないような仕様でなければなりません。

• 製品自体とそのパッケージの両方に表示する必須情報の字体(レタリング)は、色や大きさが均一で読みや

すく、見やすく、消えないようなものでなければなりません。文字の大きさは、高さが 2 ミリメートルかそれ以

上でなければなりません。

• ラベル表示は、記載されている他言語を害さないよう配慮しつつ、消費される国で使用されている現地言語

でも記載しなければなりません。

• 規制の附属書 Aに、“製品の繊維と糸の指定名称と解説”のリストがあります。(全 57 種類の繊維と糸に関

する記述)

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• 規制の附属書Bに、“規制範囲に含まれない製品”がリストされています。(例:おむつ・髪留め・ピンクッショ

ン・家具・履物・おもちゃなど 60 種類の繊維製品)

規制詳細 全文:MERCOSUR/GMC/RES. Nº 62/18 (スペイン語)

ビューローベリタスは、消費財の輸出入に関するお客様のニーズに応じた支援をします。ご意見やご質問は、下

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消費財検査部門 坂倉 晴子

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■ 消費財検査部門 EAW 事業部

IoT時代の幕開けとサイバーセキュリティ

あらゆるものがインターネットに接続し、接続したもの同士がつながるIoT: Internet of things。高速・大容量かつ

多接続、低遅延を実現する5Gの実用化と低消費電力で長距離通信が可能なLPWAの普及でいよいよ本格的

なIoT時代に突入するといわれている現在、メーカーの多くが自社製品のIoT化にしのぎを削っています。これま

で本ニュースレターで取り上げたコネクテッドカーも、その実用例であるeCallもいうなれば自動車のIoT化です。

いまやインターネットに接続しているのはルーターなどのネットワーク機器やサーバー、PC、モバイル端末など

のコンピュータ機器にとどまらず、デジタル家電や自動車はもちろん、センサーさえ取り付けることができればそ

の対象は無限に広がります。このように私たちの身近で急速に進行するIoT化が利便性の向上や業務の効率化、

新しいビジネスの創出といった恩恵をもたらす一方、直面する最大の課題がサイバーセキュリティです。

■ 激化するサイバー攻撃と狙われやすいIoT

連日のように報道され日常茶飯事となりつつあるサイバー攻撃ですが、初期の自己顕示を目的とした愉快犯に

よるものから次第にビジネス・政治色の強い組織犯罪へと変貌するに伴い、手口も巧妙化する傾向にあります。

特に2010年以降主流となったいわゆる目立たない攻撃は、それまでのすぐに攻撃に気づき対策を講じることが

可能だった目立つ攻撃とは違い、攻撃発覚の遅れが被害の拡大・長期化を招き、事態をより深刻にしています。

こうした高度かつ悪質なサイバー攻撃が標的として狙うのがほかならぬIoTです。2017年の1年間に観測された

サイバー攻撃の総パケット数は約1504億個と2013年の約128億の11倍超、そしてサイバー攻撃の実に半数以

上がIoT機器を対象としていたことが、情報通信研究機構(NICT)の調査で明らかになっています。なぜIoTがサ

イバー攻撃として狙われやすいのか。総務省はその理由として以下のIoT機器特有の性質を挙げています。

• 脅威の影響範囲・影響度合いが大きい

• IoT機器のライフサイクルが長い

• IoT機器に対する監視が行き届きにくい

• IoT機器側とネットワーク側の環境や特性の相互理解が不十分である

• IoT機器の機能・性能が限られている

• 開発者が想定していなかった接続が行われる可能性がある

さらに厄介なことにIoT自体がサイバー攻撃の標的になるだけでなく、その脆弱性を突いて第三者に侵入され他

のデバイスやシステムへの不正アクセスや迷惑メール送信などの中継に悪用される踏み台になるケースもあり

ます。

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■ CIAからCIA+S(安全性)への転換

従来のITシステムを対象とした情報セキュリティにはCIAと呼ばれる、OECDが定義した3つの要素があります。

• C(Confidentiality:機密性)

アクセスを許可された者だけが情報にアクセスできることを確実にすること。

• I(Integrity:完全性)

情報および処理方法が完全かつ確実であることを保護すること。

• A(Availability:可用性)

許可された者が必要な際に情報および関連資産にアクセスできることを確実にすること。

しかしながら、この情報セキュリティ3要素をそのままIoTのセキュリティへのアプローチに適用できるわけではあ

りません。攻撃されたIoT機器が誤作動・停止すれば物理的に大きな影響を与え、場合によっては人命が危険に

さらされる可能性が考慮されておらず、IoTを取り巻く事情に十分に対応しているとはいい難いからです。今後

IoT化の進展が見込まれる3つの分野「自動車・輸送機器」・「医療」・「産業用途(工場、インフラ、物流)」のように

とりわけ人命に直結する領域では、安全性(Safety)が何よりも優先されます。この安全性こそCIAと並んでIoT

のセキュリティを支える柱であり、もっとも重要な要素といえます。そして安全かつ継続して稼働することが求めら

れるIoTのセキュリティではCIAの中でA(Availability:可用性)の重要度が高くなる点も、資産である情報を守る

特性ゆえ機密性をとくに重視する情報セキュリティと大きく異なります。

■ IoTのサイバーセキュリティ対策

日々激化するサイバー攻撃からIoTを防御する有効な手立てにはどんなものがあるのでしょうか。効果的な取り

組みとして推奨されているものにセキュリティ・バイ・デザインの導入とPSIRT(Product Security Incident Team)

の設置が挙げられます。

(1) セキュリティ・バイ・デザイン

ややもすると後回しにされやすいセキュリティ対策を製品の企画・設計段階から組み込むことでIoTの安全性を

確保するというのがセキュリティ・バイ・デザインのコンセプトになります。内閣サイバーセキュリティセンターは

「安全なIoTシステムのためのセキュリティに関する一般的枠組」の中でIoTはセキュリティ・バイ・デザインで設

計・構築・運用することが不可欠とし、セキュリティ・バイ・デザインの積極的な導入を提唱しています。

長らくITシステムの現場では、直接利益につながりづらいセキュリティはコストを理由にその対策の実施が後手

に回る傾向がありました。しかし実際には実施のタイミングが工程の後半になるほど対策コストが高くなることが

明らかになっています。情報処理推進機構(IPA)の試算によると、設計時のセキュリティ対策コストを1とした場

合、運用時にはその100倍にも上ります。(図1参照)セキュリティ・バイ・デザインを導入すれば手戻りが減り納

期を短縮できるため結果としてコスト面でも効果を得られます。

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図1

出典:情報処理推進機構「セキュリティ・バイ・デザイン入門」(ET/IoT2016 プレゼン資料)

(2) PSIRT(Product Security Incident Team)

社内システムがサイバー攻撃を受けた際インシデントに対応する経営層も含めた社内横断的組織CSIRT

(Computer Security Incident Team)は、すでに多くの企業で設置されています。その製品版がPSIRT

(Product Security Incident Team)で、出荷後の製品のインシデントの原因究明や再発防止策の策定を行いま

す。製品の出荷前にどんなに万全を期しても完成品に不具合すなわち脆弱性はつきものです。IoT製品同士の

接続で新たな脆弱性が生まれる懸念もあります。またユーザが限定される社内システムとは違い、年齢層やIT

リテラシー、セキュリティへの意識のレベルがさまざまなユーザが利用するIoTでは想定しない場所で想定しない

場面で想定しない接続が行われる可能性を十分に考慮した対応が求められるため、PSIRTが期待される役割

は大きいといえます。

■ 規制強化と個人情報保護への取り組み

IoTを日本国外で展開する上で視野に入れなくてはならないのが各国における規制強化の動向です。IoTの隆盛

に伴うサイバーリスク増大を背景に、各国はセキュリティ強化を国家戦略上の重要な課題として位置づけ規制強

化と法整備に乗り出しています。氏名や生年月日、住所のほかウェアラブル端末には欠かせない位置情報や利

用履歴など個人情報を収集・活用することの多いIoTには、各国での個人情報保護への取り組みも大いに関係

してきます。

折しもつい先日1月22日に日本とEUの間で個人情報を移転する枠組みが1月23日に発効すると発表があった

ばかりですが、これにより日本企業は法的契約を個別に結ぶことなくEUから個人情報を移転することが可能と

なり、また懸念されていた巨額の制裁金を科されるリスクも軽減できるとみられています。ただし引き続きGDPR

(General Data Protection Regulation: EU一般データ保護規則)の個人データの「処理」に関する義務の履行

が求められ、EUの十分性認定を受けていない、つまり個人データ保護の水準が十分とEUに認められていない

国で展開する日系企業がEU域内の個人データを扱う場合もGDPRに準じた厳格な対応をする必要があります。

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■ 今後の課題

IoT 製品は一般的に設計・開発から市場投入までの期間が短いため、セキュリティ対策の重要性を十分認識し

ていても社内から理解を得られず、セキュリティを施す時間をなかなか確保できないジレンマを抱える現場も数

多くあるかと思われます。セキュリティの確保なくして IoT のビジネスを継続できないことへの理解を全社的に共

有し、まずは社内全体のセキュリティへの意識向上を高めるのがサイバーセキュリティ実現への一歩になるのか

もしれません。いずれにしても実効性のあるセキュリティ対策を策定し確実に実現できるよう体制やルールの整

備が急がれます。

■ ビューローベリタスの取り組み

IoT 機器に対して様々なセキュリティー診断を行う ONWARD SECURITY CORPORATION(本社:台湾)と、パ

ートナーシップを結びました。

これによりサイバーセキュリティに関する分野でさまざまなサービスのご提供が可能です。

• IoT Security Assessment Service

マニュアル試験により、御社製品のセキュリティ試験サービスを提供いたします。

• セキュリティ製品

ONWARD SECURITY CORPORATIONが開発したセキュリティ製品(SecFlow/SecDevice)により、セキ

ュリティ情報管理およびセキュリティ試験が可能となります。

消費財検査部門 EAW事業部 小倉 富規子

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ビューローベリタスのサービス:自動車サービス(Automotive)

ISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム認証)

GDPR(EU 一般データ保護規則)に対応したデータ保護認証

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■食品検査事業部

輸入食品検査について

日本には年間多くの食品が輸入されていますが、食の安全を守るために行われているもののひとつが輸入食品

検査です。食品や食品添加物は輸入する際に食品衛生法に基づく規格・基準等に適合するものであるかどうか

の検査が必要になります。

これらの輸入食品検査には、検疫所が行うモニタリング検査のほか、政府の代行機関として厚生労働省により

業務規程の認可を受けた登録検査機関が輸入者から請け負い、検査を行う命令検査や自主検査があります。

• 命令検査…法違反の可能性が高いと見込まれる特定の食品等について、食品衛生法第 26 条第 3 項に基

づき輸入の都度行う検査

• 自主検査…品目や工程または原材料などによって検査が必要であるという検疫所の指導により行う検査

これらの検査は検査結果が判明するまで国内流通は認められず保税地区に留め置かれることとなります。

ビューローベリタスグループ 株式会社エフイーエーシーもまた登録検査機関として、輸入食品検査業務を提供

しております。現在検査を行っている検査項目等を以下にまとめます。

■ 検査項目一覧

命令検査

対象国/地域  製品検査の対象食品等 検査項目

全輸出国 落花生及びその加工品 総アフラトキシン

インド 養殖えび及びその加工品 フラゾリドン(AOZ として)

韓国 生食用アカガイ 腸炎ビブリオ

生食用タイラギガイ 腸炎ビブリオ

タイ 生食用えび 腸炎ビブリオ

ゆでがに 腸炎ビブリオ

台湾 食品 サイクラミン酸

中国 生食用ウニ) 腸炎ビブリオ

たまねぎ及びその加工品 チアメトキサム

ほうれんそう及びその加工品 ディルドリン(アルドリンを含む), エンドリン, クロルピリホス

ほうれんそう及びその加工品 ディルドリン(アルドリンを含む), エンドリン

食品 サイクラミン酸

フィリピン 生食用ウニ 腸炎ビブリオ

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ベトナム イカ及びその加工品 クロラムフェニコール

えび及びその加工品 フラゾリドン(AOZ として), エンロフロキサシン, スルファジ

アジン

食品 サイクラミン酸

※2019 年 1 月現在

自主検査

検査区分 検査項目

微生物 細菌数(生菌数)

大腸菌群

E.coli

腸炎ビブリオ(定性)

腸炎ビブリオ(定量)

黄色ブドウ球菌

サルモネラ属菌

クロストリジウム属菌

食品添加物 サイクラミン酸

亜硝酸根

安息香酸

ソルビン酸

二酸化硫黄

合成着色料(酸性タール色素)

TBHQ

有害物質 総アフラトキシン(落花生・加工食品)

※最新の検査対象食品及び検査項目の詳細は厚生労働省の検査対象項目をご参照ください。

上記の表に含まれない項目についても検査可能なものがございますので、お気軽にご相談ください。

参考:厚生労働省 輸入食品監視業務 FAQ

食品検査事業部(株式会社エフイーエーシー 微生物検査課) 松本 梨沙

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ビューローベリタスジャパン(株) 食品検査事業部 横浜分析センター TEL:045-949-4664

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ビューローベリタス/エフイーエーシーのサービス:輸入食品検査

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■コモディティ事業部

ビューローベリタスのコモディティ事業

1. ビューローベリタス コモディティ ビジネスネットワークについて

ビューローベリタスは世界的な試験・検査機関です。コモディティビジネスネットワーク各国試験所のほとんどが

ISO 17025認定を受けており、機器・検査手法・品質管理体制は業界の最高水準を満たしています。

2. ISO 17020 認定取得について

正しい的確な検査を行う検査機関には、検査手法の技術的妥当性の確認・

検査に係わる要員の専門的能力の維持のほか、第三者として公正に検査

を行うことができる仕組みが要求されます。

(1) 検査能力の客観的な証明による信頼性の向上

(2) 検査機関としての技術力(品質)向上

(3) ブランドの保護

(4) トレーサビリティによる検査結果の正当性の確保

Bureau Veritas, commodities business line is represented on the global testing and inspection governing bodies and the majority of our global laboratory network is accredited to ISO 17025 ensuring our equipment, methods and quality control meet the highest standards set by the industry.

2010年、インスペクトレート社(本社UK、1875年創立)をAcquisitionによってビューローベリタスの一事業部

門(サービスライン)に組み入れ、以降、グローバルでコモディティ事業の強化を行なってまいりました。 日本で

は 2010 年より 8 年間運営していたインスペクトレート(シンガポール)日本支社から 2018年 1 月 1 日付で事業

譲渡を受け、ビューローベリタスジャパン株式会社として新たに事業を展開しております。

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国際規格(ISO/IEC 17020)の認定を受けることにより上記4点が期待されます。

ビューローベリタスジャパン(株) コモディティ事業部では、公益社団法人日本適合性認定協会(JAB)より、審

査・認定を受ける予定です(2019年3月末取得予定)。

JABは検査機関認定においてILAC MRA(国際相互承認協定)にも署名しているため、認定機関の検査報告書

は国内のみならず海外の規制当局や顧客からも信頼をもって受け入れられます。

3. ビューローベリタスジャパンの今後のビジネスと優位性

コモディティは種類が多く、現在は鉱物中心に展開しておりますが、国内・海外のお客様からの多種多様なご要

望により、オイルや農業、化学関連の検査分析に、その実績領域はますます広がっています。加えてビューロー

ベリタスグループのグローバルネットワークや国内諸機関との提携など、ネットワークをさらに拡充し、より効果

的で満足いただけるサービスの提供を目指します。

コモディティ事業部 浅野聖一

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TEL:045-226-3558 FAX:045-663-3777

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