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モルディブ共和国 住宅・交通・環境省 モルディブエネルギー庁 モルディブ電力公社(STELCO) モルディブ共和国 マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査 ファイナルレポート 平成 21 年 11 月 2009 年) 独立行政法人国際協力機構 (JICA) 委託先 八千代エンジニヤリング株式会社 四国電力株式会社

モルディブ共和国 マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査 ... · 2010. 1. 28. · 島 No. 1356789 サイト名 STELCO Building Dharubaaruge (Public Works

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Page 1: モルディブ共和国 マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査 ... · 2010. 1. 28. · 島 No. 1356789 サイト名 STELCO Building Dharubaaruge (Public Works

モルディブ共和国

住宅・交通・環境省

モルディブエネルギー庁

モルディブ電力公社(STELCO)

モルディブ共和国

マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査

ファイナルレポート

平成 21 年 11 月

(2009 年)

独立行政法人国際協力機構

(JICA)

委託先

八千代エンジニヤリング株式会社

四国電力株式会社

Page 2: モルディブ共和国 マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査 ... · 2010. 1. 28. · 島 No. 1356789 サイト名 STELCO Building Dharubaaruge (Public Works

序 文

日本国政府は、モルディブ国政府の要請に基づき、マレ首都圏に

おける太陽光発電導入計画調査を実施することを決定し、独立行政

法人国際協力機構がこの調査を実施いたしました。

当機構は、平成 21 年 2 月から平成 21 年 11 月までの間、4 回にわ

たり八千代エンジニヤリング株式会社国際事業本部の小川忠之氏を

団長とし、同社と四国電力株式会社から構成される調査団を現地に

派遣いたしました。

調査団は、モルディブ国政府関係者と協議を行うとともに、計画

対象地域における現地調査を実施し、帰国後の国内作業を経て、こ

こに本報告書完成の運びとなりました。

この報告書が、本計画の推進に寄与するとともに、両国の友好・

親善の一層の発展に役立つことを願うものです。

終わりに、調査にご協力とご支援を戴いた関係各位に対し、心よ

り感謝申し上げます。

平成 21 年 11 月

独立行政法人国際協力機構

理事 黒田 篤郎

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独立行政法人

国際協力機構

理事 黒田 篤郎 殿

伝達文

ここに、モルディブ共和国マレ首都圏における太陽光発電導入計

画調査報告書を提出できることを光栄に存じます。

八千代エンジニヤリング株式会社および四国電力株式会社による

調査団は、独立行政法人国際協力機構との業務実施契約に基づき、

平成 21 年 2 月から平成 21 年 11 月にかけて、モルディブ国において

4 回の現地調査と、日本における国内調査を実施いたしました。

調査団は、モルディブ国政府及び関係機関の職員との十分な協議

のもと、系統連系 PV システム導入のための技術的並びに経済・財務

的フィージビリティー・スタディ調査、パイロット・プロジェクト

の詳細設計、付加価値的施策の検討、連系 PV システム導入のための

長期計画及び行動計画策定等を本報告書に取りまとめましたのでご

報告いたします。また、本調査では報告書作成と併せて、モルディ

ブ国カウンターパートへの技術移転、人材育成を重視し、技術者と

の共同作業により計画・設計能力の向上を図ると共に、日本国内の

関連機関において、カウンターパート研修を実施致しました。

モルディブ国政府関係者ならびにその他関係機関に対し、調査団

がモルディブ国滞在中に受けたご好意と惜しみないご協力について、

調査団を代表して心から謝意を表明いたします。

また、独立行政法人国際協力機構、外務省、経済産業省及び在ス

リランカ日本国大使館に対しても、現地調査の実施及び報告書の作

成にあたって、貴重なご助言とご協力をいただきました。ここに、

深く感謝申し上げます。

平成 21 年 11 月 モルディブ共和国

マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査団

総括 小川 忠之

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MALDIVES

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Page 6: モルディブ共和国 マレ首都圏における太陽光発電導入計画調査 ... · 2010. 1. 28. · 島 No. 1356789 サイト名 STELCO Building Dharubaaruge (Public Works

Pos

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マレ島、フルマレ島ポテンシャルサイト評価表

島 No.

13

56

78

9

サイト名

ST

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OB

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Dha

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設置

場所

屋上

屋根

屋根

, 屋

上屋

根屋根

屋根

屋根

設置

可能

面積

[m2]

620

2,42

052

095

01,

180

1,46

01,

440

PV容

量 [k

Wp]

4585

4085

100

130

100

年間

発電

電力

[kW

h]45

,739

100,

382

48,3

7811

7,06

912

0,94

515

7,22

890

,778

日陰

の影

響無

し無

し無

し無

し無し

無し

無し

既存

建物

の補

強不

要検

討要

不要

不要

不要

不要

不要

パワーコンディショナー

の設

置場

所十

分既

設以

外の

電気

室確

保必

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の設

置が

必要

十分

十分

(No.9と共

用の

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)十分

(No.8と共

用の

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ケーブル

ルート

問題

なし

(既

設倉

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ダクト)

問題

なし

問題

なし

問題

なし

(屋

外配

線)

問題

なし

(既

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&ダクト)

問題

なし

(屋

外配

線)

問題

なし

(屋

外配

線)

接続フィーダ

FD

9F

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FD

6F

D3

FD

6F

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6トランス

No.

20B

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2323

トランス容

量 [k

VA

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015

010

020

010

0010

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サイト所

有者

ST

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tion

所有者からの承諾

運用

保守

容易

普通

普通

普通

普通

普通

普通

保安

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

PR効

果中

中中

中高

中中

費用

サイト写

総評

/パネル支持架台が必要

/基礎と防水処理が必要

/多くの

職員

がおり、運

用保

守が

容易

/既設

建物

は恒久

設備

でな

い /屋根

面積

が広い

/竣工

図が見

つか

らない

/屋根

材の

交換

が必

/電気室のスペースが十分

/屋根

材の

交換

が必

要/屋

根材

の交

換が

必要

  /電気

室の

上部

に十

分なス

ペースあり

/屋根

面積

が広

/屋根のコーティング改良が

必要

/屋根

面積

が広

ランク

67

94

31

2全

サイト合

計=

1605

kW上位

6サイト合

計 =

480

kW

Mal

e'

P-1/2

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マレ島、フルマレ島ポテンシャルサイト評価表

島 No.

サイト名

設置

場所

設置

可能

面積

[m2]

PV容

量 [k

Wp]

年間

発電

電力

[kW

h]

日陰

の影

既存

建物

の補

強パ

ワーコンディショナー

の設

置場

ケーブル

ルート

接続フィーダ

トランス

No.

トランス容

量 [k

VA

]

サイト所

有者

所有者からの承諾

運用

保守

保安

PR効

費用

サイト写

総評

ランク

1112

1720

2122

2

Fac

ulty

of

Eng

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ring

Nat

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l Sta

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Fac

ulty

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dent

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ffice

Hos

pita

l

屋根

, 屋

上屋

根屋

上屋

根地上

屋根

屋根

1,13

02,

970

982,

000

2,86

01,

158

1,13

0

8040

010

3060

~16

0(パ

ネル配列方法による

)20

60

96,7

5648

3,78

012

,094

36,2

8319

6,98

624

,189

72,5

67

無し

周辺建物とスタンドライトか

らの

影響

の考慮

が必

要新

校舎

の建

設計

画の

確認

が必

要塔

とモスク上

部か

らの

日陰

の影

響あり

無し

東西屋根に周辺建物か

らの日陰の

影響

あり

無し

検討

要必

要検

討要

検討

要不要

検討要

十分

十分

十分

十分

設置

場所確保が必要

設置場所確保が必要

十分

問題

なし

問題

なし

(屋

外配

線)

問題

なし

問題

なし

(屋

外配

線)

問題

なし

(屋

外配

線)

問題

なし

(既

設天

井裏

&ダクト)

問題

なし

(既

設天

井裏&ダクト)

FD

4F

D9

FD

7F

D2

FD

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FD

225

41B

3014

1473

1180

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063

063

012

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5

Min

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Hea

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利害

関係

者ならびに一

般市

民の

了解

が必

容易

普通

普通

普通

普通

普通

普通

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

問題

なし

中高

中高

高(一

般市

民との

協議

の必

要性

あり)

高M

iddl

e

スタンド補強費用が高額

/屋根

の形

状が

複雑

なた

め、特

殊な架

台が

必要

/最もポテンシャル

が大

きい

が構

造物

の補

強費

用が

高額

/RC屋

上の

み利

用可

能/面

積は広いもののほとんど

の場

所は

周辺

構造

物か

らの

影の

影響

あり

/PR効

果が

非常

に高

/すべての利害関係者から

の承認とりつけが困難

/PR効

果が

高い

/建設

詳細

工程

検討

が必

/屋根のコーティング改良が

必要

/現状

マレ島

に比

較して電

力供

給に余

裕が

あるため優

先度

が低

812

1110

513

Hul

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P-2/2

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3

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1040m

Cu

185

sqm

m

42

14

25

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0kV

A

42

3

42

180m

Cu

185

sqm

m

34

13

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kV

A

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3

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154m

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240

sqm

m173m

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70

sqm

m

14

71

41

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5

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54B

5.1

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21

52

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A

21

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145m

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sqm

m

17

51

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10

00

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17

3

17B

138m

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185

sqm

m

68

56

81

30

0kV

A

68

3

68

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Cu

70

sqm

m

11

5111

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A

11

3

11

290m

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70

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m

73

17

35

12

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A

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3

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70

sqm

m

490m

Cu

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sqm

m

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15

47

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54

5

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3

FD

2

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16

05

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3

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Cu

185

sqm

m144m

Cu

185

sqm

m

13

11

35

10

00

kV

A

13

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275m

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185

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57

15

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401

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m

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10m

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3

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FD

35.1

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m

13

11

35

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VA

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7

13A

13

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25

sqm

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33

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33

3

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52

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3

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31

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36

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35

3

35

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64

3

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m

230m

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31

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5

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31

3

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4

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12

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kV

A

27

3

27A

364m

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180

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m

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10

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kV

A

63

3

63

402m

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180

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273m

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m

39

53

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A

39

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59

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0kV

A

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3

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375m

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m

47

54

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VA

47

3

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Cu

70

sqm

m

FD

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180

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20

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185

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3

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63

0k

VA

22

3

22

321

mC

u185

sqm

m

10

11

05

10

00

kV

A

10

3

10

310

mC

u70

sqm

m130

mC

u185

sqm

m

74

17

45

63

0k

VA

74

7

74

74

3

5.1

mC

u185

sqm

m58

75

81

63

0kV

A

58

5

58A

58

3

67

16

75

63

0kV

A

67

3

67

160m

Cu

185

sqm

m

FD

8682m

Cu

185

sqm

m

48

14

85

63

0kV

A

48

3

48

53

15

35

10

00

kV

A

53

3

53

110m

Cu

70

sqm

m195m

Cu

185

sqm

m

52

75

25

10

00

kV

A

52

1

52

52

3

240m

Cu

185

sqm

m

85

12

35

25

0kV

A

85

3

85

85

3

25

0kV

A

315m

Cu

185

sqm

m38

73

85

10

00

kV

A

38

1

38

38

3

304

mC

u185

sqm

m

15

11

55

63

0k

VA

15

7

15

15

3

20

12

05

50

0kV

A

20

3

20B

192m

Cu

185

sqm

m

FD

91

21

12

5

63

0kV

A

12

3

12A

220m

Cu

185

sqm

m

65

16

55

50

0kV

A

65

3

65

205m

Cu

70

sqm

m

711

71

5

25

0kV

A

71

3

71

65m

Cu

70

sqm

m

78

17

85

63

0k

VA

78

3

78

437m

Cu

185

sqm

m

19

11

95

63

0kV

A

19

3

19

341m

Cu

70

sqm

m

37

13

75

10

00

kV

A

37

3

37

188m

Cu

185

sqm

m

12

11

25

63

0k

VA

12

3

12B

290m

Cu

185

sqm

m

69

16

95

35

0kV

A

69

3

69

43m

Cu

185

sqm

m

82

18

25

63

0kV

A

82

3

82A

180m

Cu

185

sqm

m334m

Cu

185

sqm

m41

74

15

10

00

kV

A

411

41B

41

3

736m

Cu

70

sqm

m

49

54

91

80

0kV

A

49

3

49

158m

Cu

185

sqm

m

58

55

81

10

00

kV

A

58

3

58B

108

mC

u70

sqm

m

127m

Cu

185

sqm

m

1136m

Cu

185

sqm

m

56

15

65

63

0k

VA

56

7

56B

56

3

151m

Cu

70

sqm

m

225m

Cu

185

sqm

m

10

mC

u70

sqm

m

Update

d:

24th

May

2009

17

51

71

10

00

kV

A

17

3

17A

10m

Cu

185

sqm

m

10

0kV

A

61

24

12

45

24

324

24

12

45

10

00

kV

A

24

3

24B

24

5

24

3

24A

10

00

kV

A

24

18

75

63

0kV

A

87

3

87

87

1

259m

Cu

185

sqm

m

88

5

63

0kV

A

44

3

88

88

1

86

18

65

10

00

kV

A

86

3

86

137m

Cu

185

sqm

m

43

54

31

63

0k

VA

43

3

43

120m

Cu

185

sqm

m

264m

Cu

25

sqm

m

50

0kV

A

18

5m

Cu

185

sqm

m

83

18

35

10

00

kV

A

83

3

83

424

mC

u185

sqm

m

478m

Cu

70

sqm

m

89

18

95

63

0k

VA

89

3

89

96

mC

u185

sqm

m

205m

Cu

70

sqm

m

10.1

mC

u70

sqm

m

6.1

mC

u70

sqm

m

209m

Cu

70

sqm

m

45

14

55

63

0k

VA

45

7

45

45

3

55

15

55

63

0k

VA

55

3

55B

5m

Cu

185

sqm

m

55

75

51

10

00

kV

A

55

5

55A 55

95

53

46

54

61

10

00

kV

A

46

3

46

215m

Cu

70

sqm

m

44

54

41

10

00

kV

A

44

3

44B

529m

Cu

70

sqm

m

44

54

41

63

0k

VA

44

3

44A

6m

Cu

185

sqm

m409m

Cu

70

sqm

m23

52

37

10

00

kV

A

23

1

23

23

3

154m

Cu

70

sqm

m

20

0kV

A

62

55

15

55

10

00

kV

A

55

3

55C

10m

Cu

185

sqm

m

188m

Cu

70

sqm

m

911

91

5

10

00

kV

A

91

3

91

127

mC

u185

sqm

m

32

13

25

10

00

kV

A

32

3

32

27

12

75

10

00

kV

A

27

3

27B

378m

Cu

180

sqm

m

811

81

5

10

00

kV

A

81

3

81

422m

Cu

185

sqm

m

75

17

55

10

00

kV

A

75

3

75

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Ltd

230

mC

u185

sqm

m

184m

Cu

185

sqm

m

マレ島中圧(11kV)配電系統図

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フル

マレ

島 中

圧(

11

kV

)配

電系

統図

1200

KW

10

00K

W

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目 次

「モ」国全図及び調査対象地域

連系 PV システム導入サイト位置図

マレ島、フルマレ島ポテンシャルサイト評価表

中圧(11kV)配電線ルート図(マレ島)

配電系統図(マレ島)

配電系統図(フルマレ島)

第 1 章 調査の背景と基本方針··············································································································· 1-1

1.1 調査の背景と目的····························································································································· 1-1

1.2 調査の基本方針································································································································· 1-2

第 2 章 社会経済状況及び開発計画······································································································· 2-1

2.1 社会経済状況····································································································································· 2-1

2.2 開発計画············································································································································· 2-3

2.2.1 国家開発計画 ······························································································································· 2-3

2.2.2 フルマレ島開発計画··················································································································· 2-5

2.3 他ドナーによる支援動向················································································································· 2-7

第 3 章 エネルギー・電力需給の現状··································································································· 3-1

3.1 エネルギー・電力政策、法制度 ···································································································· 3-1

3.1.1 エネルギー・電力セクターの関連政策················································································ 3-1

3.1.2 法制度 ········································································································································ 3-3

3.2 エネルギー・電力事業に係る組織 ································································································ 3-5

3.2.1 住宅・交通・環境省(MHTE) ···························································································· 3-5

3.2.2 モルディブエネルギー庁(MEA)······················································································· 3-6

3.2.3 モルディブ電力公社(STELCO) ························································································ 3-7

3.2.4 モルディブ電力公社(STELCO)の経営状況 ···································································· 3-8

3.2.5 電力セクターの再編について································································································ 3-10

3.3 エネルギー・電力需給状況 ············································································································ 3-11

3.3.1 エネルギー需給状況················································································································ 3-11

3.3.2 電力需給状況 ···························································································································· 3-13

3.3.3 電気料金と燃料価格················································································································ 3-17

3.3.4 マレ首都圏(マレ島、フルマレ島)における発電設備の現況と増強計画··················· 3-20

3.3.5 マレ首都圏(マレ島、フルマレ島)における配電設備の現況と増強計画··················· 3-22

3.4 太陽光発電設備の普及状況 ············································································································ 3-23

3.4.1 「モ」国政府並びに他ドナーによる導入 ··········································································· 3-23

3.4.2 我が国の支援による導入········································································································ 3-25

i

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第 4 章 技術的フィージビリティー・スタディ調査 ·········································································· 4-1

4.1 電力需要想定····································································································································· 4-1

4.1.1 マレ島 ········································································································································ 4-1

4.1.2 フルマレ島 ································································································································ 4-2

4.2 日射量データ等の収集・分析 ········································································································ 4-3

4.3 日射障害に関する検討・測定 ········································································································ 4-6

4.4 連系 PV システム導入のためのポテンシャルサイトの選定 ···················································· 4-11

4.5 ディーゼル発電機の負荷即応性の評価 ························································································ 4-12

4.6 既存配電用変圧器の容量、配電系統に関する影響検討・測定················································ 4-13

4.7 連系 PV システムの安定性評価手法 ····························································································· 4-20

4.8 連系 PV システムの導入容量決定手法························································································· 4-24

4.9 連系 PV システムの標準設計・仕様 ····························································································· 4-28

4.10 連系 PV システム設置ポテンシャルサイト並びに PV 設置容量 ············································· 4-29

4.11 連系 PV システム導入による裨益効果························································································· 4-33

4.11.1 想定される発電電力量············································································································ 4-33

4.11.2 ディーゼル燃料消費量の節減································································································ 4-39

4.11.3 CO2排出削減量························································································································· 4-40

4.12 太陽電池の検討及び出力の評価 ···································································································· 4-40

4.13 想定される連系 PV システムの導入形態····················································································· 4-43

4.14 既存建築物に関する法制度(建築法など) ················································································ 4-47

4.15 建造物構造解析、建造物補強の概念設計 ···················································································· 4-48

4.16 連系 PV システム導入のための概算事業費················································································· 4-49

4.16.1 積算条件 ···································································································································· 4-49

4.16.2 概算事業費 ································································································································ 4-49

4.17 環境社会配慮の検討························································································································· 4-51

4.17.1 「モ」国における環境社会配慮制度···················································································· 4-51

4.17.2 環境社会配慮に関係する機関································································································ 4-52

4.17.3 パイロットプロジェクト実施のための環境社会配慮 ······················································· 4-53

第 5 章 経済・財務的フィージビリティ調査 ······················································································ 5-1

5.1 連系 PV システム導入のための経済・財務分析手法································································· 5-1

5.2 前提条件の設定································································································································· 5-1

5.2.1 システム、運営および維持管理に関する条件 ··································································· 5-1

5.2.2 連系 PV システムの価格予測································································································· 5-6

5.3 財務分析············································································································································· 5-9

5.3.1 前提条件 ···································································································································· 5-9

5.3.2 分析結果 ···································································································································· 5-10

ii

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5.3.3 感度分析 ···································································································································· 5-18

5.4 経済分析············································································································································· 5-20

5.4.1 前提条件 ···································································································································· 5-20

5.4.2 分析結果 ···································································································································· 5-22

5.4.3 感度分析 ···································································································································· 5-23

5.4.4 民間による PV システム投資の収益性の検討 ···································································· 5-25

5.5 CDM 事業化による投資収益性への影響評価·············································································· 5-26

5.5.1 CER 取引価格の動向 ··············································································································· 5-27

5.5.2 事業化のコスト ························································································································ 5-29

5.5.3 CDM 事業化による収益·········································································································· 5-31

5.6 投資資金計画の策定························································································································· 5-33

5.7 各施策実施のための必要額 ············································································································ 5-34

第 6 章 パイロット・プロジェクトの詳細設計 ·················································································· 6-1

6.1 パイロット・プロジェクトサイトの検討及び選定手法···························································· 6-1

6.2 パイロット・プロジェクトサイトの詳細設計手順···································································· 6-2

6.3 構造物補強のための詳細設計 ········································································································ 6-3

6.4 詳細設計手法の技術移転················································································································· 6-5

6.4.1 詳細設計技術移転のコンセプト···························································································· 6-5

6.4.2 詳細設計技術移転の内容········································································································ 6-5

6.4.3 詳細設計技術移転報告············································································································ 6-5

6.5 連系 PV システム導入による裨益効果························································································· 6-6

6.5.1 想定される発電電力量············································································································ 6-6

6.5.2 ディーゼル燃料消費量の節減································································································ 6-10

6.5.3 CO2排出削減量························································································································· 6-10

第 7 章 付加価値的施策の検討··············································································································· 7-1

7.1 DSM(最大電力抑制及び省エネ等)の啓蒙、推進方策の検討及び提言 ······························ 7-1

7.1.1 「モ」国おける DSM の現状について················································································· 7-1

7.1.2 「モ」国現状に適した DSM 手法························································································· 7-3

7.1.3 法制度 ········································································································································ 7-13

7.1.4 セミナーの開催 ························································································································ 7-14

7.1.5 DSM 施策の提言 ······················································································································ 7-15

7.2 CDM 事業実施の検討及び提言 ······································································································ 7-16

7.2.1 「モ」国における CDM 事業への取組み状況 ···································································· 7-16

7.2.2 CDM 事業を実施するための組織体制・制度準備····························································· 7-19

7.2.3 プログラム CDM の適用について ························································································ 7-23

7.3 リゾート島への太陽光発電導入の可能性について···································································· 7-24

iii

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iv

第 8 章 連系 PV システムの普及促進に向けた提言 ··········································································· 8-1

8.1 「モ」国の新エネルギー普及に係る法制度 ················································································ 8-1

8.2 普及促進政策・制度(インセンティブ措置)············································································ 8-2

8.2.1 普及促進政策の概要················································································································ 8-2

8.2.2 先進各国における政策導入事例···························································································· 8-4

8.2.3 「モ」国における普及促進政策···························································································· 8-7

8.2.4 連系 PV システムの普及促進政策・制度の今後の検討課題············································ 8-14

8.3 連系 PV システム導入のための技術基準、ガイドライン等 ···················································· 8-14

8.4 連系 PV システム導入のための中長期計画················································································· 8-17

8.5 連系 PV システム導入のための行動計画····················································································· 8-20

8.6 人材育成計画····································································································································· 8-22

8.6.1 カウンターパート機関等のキャパシティ・アセスメント··············································· 8-22

8.6.2 人材育成の方向性 ···················································································································· 8-24

8.6.3 人材育成計画 ···························································································································· 8-25

8.6.4 教育機関との連携 ···················································································································· 8-27

添付資料

添付資料 1 調査団員氏名、所属

添付資料 2 相手国関係者リスト

添付資料 3 調査実施の作業フロー

添付資料 4 第 1 回セミナーのアジェンダ、議事録

添付資料 5 第 2 回セミナーのアジェンダ、議事録

添付資料 6 連系 PV システム設計マニュアル

添付資料 7 日陰検討図

添付資料 8 気象庁(フルフレ島)による気象観測データ

添付資料 9 地方環礁島(Mandhoo Island)での太陽光発電システム運用状況調査結果

添付資料 10 地方環礁島(Fanadhoo and Gan Islands)での太陽光発電システム運用状況調査結果

添付資料 11 構造検討書

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図表リスト

第 2 章

図 2.2.2- 1 フルマレ島の開発計画と現況............................................................................................. 2-6

図 2.3- 1 ADB による太陽光発電普及のための支援枠組み .......................................................... 2-7

表 2.1- 1 GDP の推移 ............................................................................................................................ 2-1

表 2.1- 2 「モ」国政府の財政収支..................................................................................................... 2-2

表 2.1- 3 調査対象地域の人口............................................................................................................. 2-2

表 2.1- 4 「モ」国および都市部の人口予測 .................................................................................... 2-3

表 2.3- 1 Outer Islands Electrification Project の進捗状況(2009 年 6 月時点) ............................ 2-7

第 3 章

図 3.1.1- 1 国家エネルギー政策(改訂版ドラフト)の骨子............................................................ 3-1

図 3.1.1- 2 「モ」国一次エネルギー供給の割合(実績と予測).................................................... 3-2

図 3.1.1- 3 2015 年までのエネルギー資源別投資計画 ....................................................................... 3-2

図 3.1.2- 1 エネルギー関連法制度......................................................................................................... 3-3

図 3.1.2- 2 各法制度の手続きおよびその期間 .................................................................................... 3-4

図 3.2.1- 1 住宅・交通・環境省(MHTE)の組織図......................................................................... 3-6

図 3.2.1- 2 住宅・交通・環境省(MHTE)エネルギー・持続可能開発課の組織図 ................... 3-6

図 3.2.2- 1 モルディブエネルギー庁の組織図 .................................................................................... 3-7

図 3.2.3- 1 モルディブ電力公社(STELCO)の組織図..................................................................... 3-8

図 3.2.4- 1 単位当たり費用と平均電気料金 ........................................................................................ 3-10

図 3.3.1- 1 「モ」国一次エネルギー供給の内訳(2002 年)........................................................... 3-11

図 3.3.1- 2 「モ」国最終エネルギー消費の内訳(2002 年)........................................................... 3-12

図 3.3.1- 3 「モ」国最終エネルギー消費(産業・商業セクター)の内訳(2002 年).............. 3-12

図 3.3.1- 4 「モ」国最終エネルギー消費(住宅セクター)の内訳(2002 年).......................... 3-13

図 3.3.2- 1 発電電力量の内訳 ................................................................................................................. 3-13

図 3.3.2- 2 STELCO 供給地域の発電電力量 ........................................................................................ 3-14

図 3.3.2- 3 STELCO 供給地域の最大電力 ............................................................................................ 3-14

図 3.3.2- 4 マレ島における日負荷曲線................................................................................................. 3-15

図 3.3.2- 5 マレ島における発電電力量................................................................................................. 3-15

図 3.3.2- 6 マレ島における最大電力..................................................................................................... 3-16

図 3.3.2- 7 マレ島における部門別電力消費の構成(2008 年)....................................................... 3-16

図 3.3.2- 8 フル島における発電電力..................................................................................................... 3-17

図 3.3.2- 9 フルマレ島における最大電力量 ........................................................................................ 3-17

図 3.3.2-10 フルマレ島における部門別電力消費の構成.................................................................... 3-17

図 3.3.3- 1 ディーゼル価格の推移......................................................................................................... 3-19

図 3.3.3- 2 ディーゼル燃料価格の見通し(2009 年~2030 年)...................................................... 3-20

図 3.3.4- 1 STELCO 発電所横の公道に設置されているディーゼル発電設備............................... 3-21

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図 3.3.4- 2 緊急配備非常用発電設備増設用地 .................................................................................... 3-21

図 3.4.1- 1 マンドー島に導入された太陽光発電システム................................................................ 3-24

図 3.4.2- 1 ノンプロ無償により導入された連系 PV システムの構成 ............................................ 3-26

図 3.4.2- 2 ノンプロ無償により導入された連系 PV システムの動作状況 .................................... 3-27

表 3.1.2- 1 「マレ及びその他環礁地域における公共の電力供給に関する規則」の概要........... 3-3

表 3.2.4- 1 STELCO の損益計算書......................................................................................................... 3-8

表 3.2.4- 2 政府からの補助金の内訳..................................................................................................... 3-9

表 3.2.4- 3 STELCO の財務業績指標..................................................................................................... 3-9

表 3.2.4- 4 売電収入・費用と平均電気料金 ........................................................................................ 3-10

表 3.3.3- 1 STELCO の電気料金表(2005 年 7 月から 2009 年 10 月まで).................................. 3-17

表 3.3.3- 2 マレ首都圏の電気料金表(2009 年 11 月から)............................................................. 3-18

表 3.3.3- 3 カテゴリー別需要家数......................................................................................................... 3-18

表 3.3.3- 4 マレ島およびフルマレ島における電力消費と平均料金 ............................................... 3-18

表 3.3.4- 1 マレ発電所の発電設備(2009 年 6 月) ........................................................................... 3-21

表 3.3.4- 2 フルマレ発電所の発電設備(2009 年 6 月現在)........................................................... 3-22

表 3.3.5- 1 配電設備増強計画 ................................................................................................................. 3-22

表 3.4.1- 1 「モ」国政府並びに他ドナーにより導入されたハイブリッド・システム............... 3-23

第 4 章

図 4.1.1- 1 マレ島の電力需要想定(STELCO) ................................................................................. 4-1

図 4.1.1- 2 マレ島の電力需要想定(調査団想定との比較)............................................................ 4-2

図 4.1.2- 1 フルマレ島の電力需要想定(STELCO)......................................................................... 4-3

図 4.1.2- 2 フルマレ島の電力需要想定(調査団想定).................................................................... 4-3

図 4.2- 1 Hulhule 島における日射量データの分析結果 .................................................................. 4-4

図 4.2- 2 日射計精度確認結果(5 月 19 日、晴天時)................................................................... 4-5

図 4.2- 3 日射計精度確認結果(5 月 24 日、雨天時)................................................................... 4-5

図 4.2- 4 本調査にて適用する水平面日射量データ ........................................................................ 4-6

図 4.3- 1 日射障害に関する測定方法の OJT 状況 ........................................................................... 4-9

図 4.3- 2 日射強度の時間変化............................................................................................................. 4-9

図 4.6 -1 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 2)....... 4-15

図 4.6- 2 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 3)....... 4-15

図 4.6- 3 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 4)....... 4-16

図 4.6- 4 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 6)....... 4-16

図 4.6- 5 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 7)....... 4-17

図 4.6- 6 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 8)....... 4-17

図 4.6- 7 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(マレ島、Feeder 9)....... 4-18

図 4.6- 8 PV 連系時の配電線電圧潮流シミュレーション計算結果(フルマレ島、Feeder2)4-18

図 4.7- 1 IEC フリッカ測定結果(Pst, Plt)

[測定個所:ナショナルスタジアム配電用 Tr 低圧側] ...................................................... 4-21

図 4.7- 2 高調波電圧歪率測定結果(3 次~11 次)

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[測定個所:ナショナルスタジアム配電用 Tr 低圧側] ...................................................... 4-22

図 4.7- 3 周波数変動測定結果[測定個所:ナショナルスタジアム配電用 Tr 低圧側] ................. 4-22

図 4.7- 4 電圧変動測定結果[測定個所:ナショナルスタジアム配電用 Tr 低圧側]...................... 4-23

図 4.8- 1 マレ島連系 PV 導入可能量の推移 ..................................................................................... 4-25

図 4.8- 2 フルマレ島連系 PV 導入可能量の推移 ............................................................................. 4-25

図 4.8- 3 許容周波数変動率と PV 導入可能量の関係(マレ島) ................................................ 4-26

図 4.8- 4 許容周波数変動率と PV 導入可能量の関係(フルマレ島) ........................................ 4-26

図 4.11.1- 1 月別推定発電量(STELCO Building) .............................................................................. 4-34

図 4.11.1- 2 月別推定発電量(Dharubaaruge)...................................................................................... 4-35

図 4.11.1- 3 月別推定発電量(Giyaasudheen School) ......................................................................... 4-35

図 4.11.1- 4 月別推定発電量(Kalaafaanu School) .............................................................................. 4-35

図 4.11.1- 5 月別推定発電量(Maldives Center for Social Education)................................................ 4-36

図 4.11.1- 6 月別推定発電量(Thaajuddeen School)............................................................................ 4-36

図 4.11.1- 7 月別推定発電量(New Secondary School for Girls)........................................................ 4-36

図 4.11.1- 8 月別推定発電量(Faculty of Engineering) ....................................................................... 4-37

図 4.11.1- 9 月別推定発電量(National Stadium) ................................................................................ 4-37

図 4.11.1-10 月別推定発電量(Faculty of Education)........................................................................... 4-37

図 4.11.1-11 月別推定発電量(Grand Friday Mosque)......................................................................... 4-38

図 4.11.1-12 月別推定発電量(Jumhooree Maidhaan).......................................................................... 4-38

図 4.11.1-13 月別推定発電量(President’s Office)................................................................................ 4-38

図 4.11.1-14 月別推定発電量(Hulhumale’ Hospital)........................................................................... 4-39

図 4.11.1-15 年別発電量推移 ..................................................................................................................... 4-39

図 4.12- 1 太陽電池の材料による分類................................................................................................. 4-41

図 4.12- 2 世界の地域別、種類別太陽光の導入量 ............................................................................ 4-43

図 4.13- 1 連系 PV システムの計算方法イメージ図(STELCO 導入時) ......................................... 4-45

図 4.13- 2 連系 PV システムの計算方法イメージ図(STELCO 以外導入時) ................................. 4-46

図 4.17.1- 1 環境影響評価(もしくは初期環境影響評価)の審査プロセス ................................... 4-52

図 4.17.3- 1 想定される蓄電池のリサイクルシステム ........................................................................ 4-54

表 4.2- 1 比較用日射計、データロガー仕様 .................................................................................... 4-4

表 4.3- 1 日射障害に関する測定結果................................................................................................. 4-7

表 4.3- 2 マレ島における 1 月の日射量............................................................................................. 4-10

表 4.3- 3 ポテンシャルサイト別 想定日射量 ................................................................................ 4-10

表 4.4- 1 ポテンシャルサイト選定個所一覧 .................................................................................... 4-12

表 4.6- 1 連系点配電用変圧器容量調査結果 .................................................................................... 4-13

表 4.6- 2 シミュレーション計算条件................................................................................................. 4-14

表 4.6- 3 系統連系 PV による既存配電線への影響......................................................................... 4-19

表 4.7- 1 測定機器仕様明細 ................................................................................................................. 4-20

表 4.8- 1 各配電線への PV 連系可能量検討結果(マレ島)......................................................... 4-27

表 4.8- 2 各配電線への PV 連系可能量検討結果(フルマレ島) ................................................ 4-27

表 4.8- 3 マレ島、フルマレ島における連系 PV 導入目標量......................................................... 4-28

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表 4.9- 1 連系 PV システムの標準設計・仕様 ................................................................................. 4-28

表 4.10- 1 マレ島ポテンシャルサイト PV 配列検討結果................................................................. 4-30

表 4.10- 2 フルマレ島ポテンシャルサイト PV 配列検討結果......................................................... 4-33

表 4.11.1- 1 ポテンシャルサイト別推定年間発電量 ............................................................................ 4-34

表 4.11.2- 1 マレ島、フルマレ島ディーゼル発電所燃料消費量........................................................ 4-40

表 4.11.2- 2 年別ディーゼル燃料節減量................................................................................................. 4-40

表 4.11.3- 1 年別CO2削減量...................................................................................................................... 4-40

表 4.12- 1 太陽電池の種類と特徴......................................................................................................... 4-42

表 4.13- 1 「パイロットプロジェクトと 2014 年まで」

において想定される連系 PV システムの導入形態......................................................... 4-44

表 4.13- 2 「2015 年から 2020 年まで」における想定される連系 PV システムの導入形態 .... 4-44

表 4.13- 3 連系 PV システムの計算方法 ............................................................................................. 4-45

表 4.14- 1 太陽光発電パネルを設置する場合に仮定する荷重........................................................ 4-47

表 4.15- 1 太陽光発電パネル支持形式および検討内容・検討結果 ............................................... 4-48

表 4.16.1- 1 概算事業費の積算条件......................................................................................................... 4-49

表 4.16.2- 1 概算事業費の内訳(日本調達) ........................................................................................ 4-49

表 4.16.2- 2 連系 PV システム導入量と事業費 ..................................................................................... 4-50

表 4.17.3- 1 パイロットプロジェクトのスクリーニング.................................................................... 4-53

第 5 章

図 5.1- 1 経済財務分析のフロー............................................................................................................ 5-1

図 5.2.2- 1 連系 PV システムの総費用の推移 ........................................................................................ 5-6

図 5.2.2- 2 連系 PV システムのサブシステム費用の推移.................................................................... 5-7

図 5.2.2- 3 ロードマップでの PV システムの経済性改善のシナリオ ............................................... 5-7

図 5.5.5- 1 ECX での CER 先物取引量および価格(2008 年 3 月~2009 年 5 月)......................... 5-27

表 5.2.1- 1 発電量・電力消費量・燃料油消費量(2009-2020) ......................................................... 5-3

表 5.2.1- 2 実施主体別導入量・発電量(2009-2020).......................................................................... 5-5

表 5.2.2- 1 PV システム単価の見直し ..................................................................................................... 5-8

表 5.2.2- 2 導入量と事業費........................................................................................................................ 5-8

表 5.3.2- 1 連系 PV システム導入のキャッシュフロー........................................................................ 5-10

表 5.3.2- 2 中央政府の財務収支................................................................................................................ 5-13

表 5.3.2- 3 初期投資額に対して必要な金融支援および STELCO 負担額......................................... 5-14

表 5.3.2- 4 設置容量 3MW での連系 PV システム導入のキャッシュフロー ................................... 5-16

表 5.3.2- 5 グリーン税からの拠出比率別の支援額 ............................................................................... 5-17

表 5.3.2- 6 需要家に均等配分した場合の 1kWh 当たりの金額........................................................... 5-18

表 5.3.3- 1 PV システムの価格低減率上昇のケースの結果................................................................. 5-18

表 5.3.3- 2 PV システムの初期単価低下のケースの結果..................................................................... 5-19

表 5.3.3- 3 O&M 費増加のケースの結果................................................................................................. 5-19

表 5.3.3- 4 電気料金上昇のケースの結果 ............................................................................................... 5-19

表 5.3.3- 5 燃料価格上昇/低下のケースの結果 ................................................................................... 5-20

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表 5.3.3- 6 余剰電力量・買取価格別の結果 ........................................................................................... 5-20

表 5.4.1- 1 自家発電および STELCO からの受電のコスト比較 ......................................................... 5-21

表 5.4.2- 1 設置容量 3MW での経済分析結果........................................................................................ 5-22

表 5.4.3 -1 PV システムの価格低減率上昇のケースの結果................................................................. 5-23

表 5.4.3 -2 PV システムの初期単価低下のケースの結果..................................................................... 5-24

表 5.4.3- 3 O&M 費増加のケースの結果................................................................................................. 5-24

表 5.4.3- 4 電気料金上昇のケースの結果 ............................................................................................... 5-24

表 5.4.3- 5 燃料価格上昇/低下のケースの結果 ................................................................................... 5-25

表 5.4.3- 6 余剰電力量・買取価格別の結果 ........................................................................................... 5-25

表 5.4.4- 1 民間による PV システムへの投資の収益性の結果 ........................................................... 5-26

表 5.5.1- 1 排出権価格に影響を与える主な要因 ................................................................................... 5-27

表 5.5.1- 2 CO2削減量とCER売却額......................................................................................................... 5-28

表 5.5.2- 1 CDM 事業化に要する取引費用 ............................................................................................. 5-29

表 5.5.2- 2 小規模 CDM での事業化に要する取引費用........................................................................ 5-29

表 5.5.2- 3 実施段階(2020 年まで)での費用............................................................................................ 5-30

表 5.5.3- 1 CDM 事業化による収益 ......................................................................................................... 5-31

表 5.6- 1 3MW の連系 PV システム設置の投資資金計画 ................................................................. 5-33

表 5.6- 2 2020 年までの STELCO の財務予測..................................................................................... 5-34

表 5.7- 1 グリーン税からの拠出比率と不足額 ................................................................................... 5-35

第 6 章

図 6.1- 1 パイロット・プロジェクトサイト位置図........................................................................... 6-2

図 6.2- 1 パイロット・プロジェクト詳細設計の手順....................................................................... 6-2

図 6.3- 1 構造物に係る詳細設計の手順 ............................................................................................... 6-3

図 6.5.1- 1 月別推定発電量(STELCO Building)................................................................................. 6-8

図 6.5.1- 2 月別推定発電量(Kalaafaanu School)................................................................................. 6-8

図 6.5.1- 3 月別推定発電量(Maldives Center for Social Education) .................................................. 6-8

図 6.5.1- 4 月別推定発電量(Thaajuddeen School) .............................................................................. 6-9

図 6.5.1- 5 月別推定発電量(New Secondary School for Girls)........................................................... 6-9

図 6.5.1- 6 月別推定発電量(President’s Office)................................................................................... 6-9

表 6.1- 1 パイロット・プロジェクトサイト選定クライテリア ...................................................... 6-1

表 6.1- 2 パイロット・プロジェクトサイト ....................................................................................... 6-1

表 6.3- 1 パイロット・プロジェクトサイトにおける建築詳細検討結果一覧.............................. 6-4

表 6.5.1- 1 パイロット・プロジェクトサイト年間発電電力量........................................................... 6-7

第 7 章

図 7.1.1- 1 SMILE における 27 家屋の一般需要家と商業・公共施設の電力消費状況調査結果 .. 7-2

図 7.1.1- 2 DSM の啓蒙普及用ポスター.................................................................................................. 7-2

図 7.1.2- 1 HP 掲載までのステップ ......................................................................................................... 7-5

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図 7.1.2- 2 四国電力の例 ............................................................................................................................ 7-7

図 7.1.2- 3 日本における蓄熱式空調システムによるピークシフト実績 .......................................... 7-9

図 7.1.2- 4 Bank of Maldives の日負荷曲線.............................................................................................. 7-10

図 7.1.5- 1 中長期視点からの DSM 手法イメージ図 ............................................................................ 7-16

図 7.2.1- 1 エネルギー分野でのCO2排出量内訳.................................................................................... 7-17

図 7.2.2- 1 CDM プロジェクトの申請・承認プロセス(案) ............................................................ 7-22

図 7.2.3- 1 プログラム CDM のイメージ ................................................................................................ 7-23

表 7.1.2- 1 DSM 目的 .................................................................................................................................. 7-3

表 7.1.2- 2 「モ」国に適用した DSM 手法............................................................................................. 7-4

表 7.1.2- 3 「時間帯別電気料金の導入」に関する課題....................................................................... 7-7

表 7.1.3- 1 日本の「省エネ法」における指定工場への適用主要項目 .............................................. 7-13

表 7.1.3- 2 日本の「省エネ法」における建築物への適用主要項目 .................................................. 7-14

表 7.2.1- 1 CDM 事業のポテンシャル・プロジェクト......................................................................... 7-17

表 7.2.1- 2 CDM 推進における政策・制度、その他周辺状況 ............................................................ 7-18

表 7.2.2- 1 持続可能な開発クライテリア(SD クライテリア)(案) .............................................. 7-20

表 7.2.2- 2 CDM プロジェクトの申請書式(案)................................................................................. 7-21

第 8 章

図 8.2.1- 1 再生可能エネルギー普及のための政策手段の組み合わせ .............................................. 8-3

図 8.2.1- 2 我が国の余剰電力買取制度の概要 ....................................................................................... 8-4

図 8.2.2- 1 米国における RPS 制度の導入状況 ...................................................................................... 8-7

図 8.2.3- 1 連系 PV システム導入のための支援方策検討経緯 ........................................................... 8-9

図 8.2.3- 2 施策 D における普及施策・制度の導入イメージ.............................................................. 8-12

図 8.2.3- 3 連系 PV システム導入量 ........................................................................................................ 8-13

図 8.4- 1 連系 PV システム普及に向けたロードマップ(案) ....................................................... 8-17

図 8.6.4- 1 工業技術専門学校(FET)の実習機材................................................................................ 8-27

表 8.1- 1 日本における新エネルギーに係る法律 ............................................................................... 8-1

表 8.1- 2 日本の「新エネ法」における「モ」国適用時の必要項目 .............................................. 8-1

表 8.2.3- 1 施策 D における輸入関税免除後のグリーン税・開発支出・炭素税の適用額............. 8-11

表 8.2.3- 2 施策 D における連系 PV システムの想定導入形態と普及施策・制度.......................... 8-13

表 8.2.4- 1 普及政策・制度における今後の検討課題........................................................................... 8-14

表 8.3- 1 系統連系ガイドラインの技術要件と「モ」国への適用検討結果 ...................................... 8-16

表 8.5- 1 連系 PV システム普及のための行動計画............................................................................ 8-21

表 8.6.1- 1 STELCO による職場外研修(2008 年度).......................................................................... 8-23

表 8.6.2- 1 人材育成の方向性(案)........................................................................................................ 8-25

表 8.6.3- 1 本調査期間中に実施した技術移転の内容(カウンターパート研修を含む) ............. 8-26

表 8.6.3- 2 今後必要とされる技術移転の内容 ....................................................................................... 8-27

表 8.6.4- 1 「再生可能エネルギーシステムと維持管理」講座の概要(案).................................. 8-28

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略語集

ADB Asian Development Bank(アジア開発銀行)

CER Certified Emission Reduction(認証排出削減量)

CDM Clean Development Mechanism(クリーン開発メカニズム)

DANIDA Danish International Development Cooperation Agency(デンマーク国際開発庁)

DNA Designated National Authority(指定国家機関)

DRP Dhivehi Rayyithunge Party(モルディブ人民党)

DSM Demand Side Management(最大電力抑制)

ECX European Climate Exchange(ヨーロッパ天候取引所)

米国 EIA Energy Information Administration(米国エネルギー情報局)

EIA Environmental Impact Assessment(環境影響評価)

EIRR Economic Internal Rate of Return(経済的内部収益率)

EPA Environmental Protection Agency(環境保護局)

EUA EU-Allowance(EU 域内での割当量)

FIRR Financial Internal Rate of Return(財務的内部収益率)

FIP Feed-in Premium(電力料金に一定期間固定する方式)

FIT Feed-in Tariff(電力料金を固定する方式)

GDP Gross Domestic Product(国内総生産)

GEF Global Environment Facility(地球環境ファシリティ)

GHG Green House Gas(温室効果ガス)

HDC Hulhumale’ Development Corporation LTD(フルマレ開発公社)

IEC International Electrotechnical Commission(国際電気標準会議)

IEA International Energy Agency(国際エネルギー機関)

IEE Initial Environmental Examination(初期環境調査)

JICA Japan International Cooperation Agency(国際協力機構)

JIS Japanese Industrial Standards(日本工業規格)

MATI Maldives Association of Tourism Industry(モルディブ観光業協会)

MCPI Ministry of Construction and Public Infrastructure(建設・公共インフラ省)

MCST Ministry of Communications, Science and Technology(旧通信科学技術省)

MDP Maldivian Democratic Party(モルディブ民主党)

MEA Maldives Energy Authority(モルディブエネルギー庁)

MEB Maldives Electricity Bureau(旧モルディブ電力庁)

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MEEW Ministry of Environment, Energy and Water(旧環境・エネルギー・水省)

MHTE Ministry of Housing, Transport and Environment(住宅・交通・環境省)

MMA Maldivian Monetary Authority(モルディブ金融管理局)

MTAC Ministry of Tourism, Arts and Culture(観光・芸術・文化省)

NEDO New Energy and Industrial Technology Development Organization

(新エネルギー・産業技術総合開発機構)

NPC National Planning Council(国家計画委員会)

Off-JT Off the Job Training(職場外教育)

O&M Operation and Maintenance(運転・維持管理)

OJT On the Job Training(実習教育)

PLC Programmable Logic Controller(プログラムロジックコントローラー)

PPP Public Private Partnership(官民パートナーシップ)

PV Photovoltaic(太陽光発電)

RETDAP Renewable Energy Technology Development and Application Project

(再生可能エネルギー技術開発応用プロジェクト)

RPS Renewables Portfolio Standard(再生可能エネルギーの利用割合の基準)

SCADA Supervisory Control and Data Acquisition System(監視制御システム)

SHS Solar Home System(ソーラーホームシステム)

SSM Supply Side Management(供給者側管理)

STELCO State Electric Company Limited(モルディブ電力公社)

STO State Trading Organization(モルディブ貿易公社)

UNDP United Nations Development Programme(国連開発計画)

UNFCCC United Nations Framework Convention on Climate Change

(気候変動に関する国際連合枠組条約)

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第 1 章 調査の背景と基本方針

1.1 調査の背景と目的

モルディブ共和国(以下、「モ」国と称す)は、インド及びスリランカ南西に位置する島嶼国で、

約 1,190 の珊瑚礁の島々で構成されており、199 島に約 299 千人(2006 年国勢調査)の住民が居

住している。その内、全人口の約 35%にあたる約 104 千人が首都機能を有し就業機会が多いマレ

島に居住しているが、同島では人口集中による治安の悪化や、生活環境の低下が社会問題化して

いる。「モ」国は、米国同時多発テロ発生の 2001 年に観光業が深刻な影響を受けたが、その後経

済は順調に回復していた。しかしながら、2004 年 12 月に発生したインド洋大津波により、死者

82 名、行方不明者 26 名、全壊家屋約 2,000 戸等、特に護岸等のインフラが未整備の地方島におい

て甚大な被害を受けた。津波による被害額は GDP の約 62%で、2005 年の GDP 成長率は-4.6%と

落ち込んだが、その後 GDP の約 4 割を占める観光・漁業産業が回復し、GDP 成長率は 2006 年に

19.1%、2007 年は 6.6%を記録した。このため、マレ島では建設ラッシュとなり、また被害を受け

た地方島の住民が、雇用機会や安全な生活を求めてマレ島へ流入するなど、人口集中が一層進む

ことになった。

「モ」国では、首都マレ島を含めた計 10 島で 100%政府出資の STELCO(モルディブ電力公社)

が電力を供給しており、マレ島での発電電力量は居住島(185,553MWh)の約 72%に達する(2006

年)。同島での電力需要は、年率 11%以上の高い伸び率が想定されており、今後 5~7 年で最大電

力は発電設備容量の 2 倍以上に達すると予想されている。このため、STELCO ではディーゼル発

電機の新規調達を計画しているが、発電所用地の限られるマレ島でこれ以上の拡張は困難な状況

である。また、「モ」国では一次エネルギー需要の 80%以上、発電電力のほぼ全てをディーゼル燃

料に依存しており、昨今のディーゼル価格の高騰(2007 年で 22%)により STELCO の財務状況は

悪化し、国家としてのエネルギー・セキュリティ確保が危ぶまれている。

これら課題に対応するため、「モ」国政府はマレ島近海の浅瀬を浚渫して造成地(フルマレ島:

総面積 7.85 km2)を建設し、マレ島住民の移住計画を含めた総合開発計画を実施している。同開

発計画によると、住民の移転や商業地区、文教地区の建設、外国資本を投入しての観光地区等の

建設が予定されており、今後はフルマレ島の電力需要が急速に増大すると予測される。

更に「モ」国は海抜平均 1m 程度の島嶼国であるため、気候変動による海面上昇の影響を最も

受けやすい国の一つである。このため、同国政府は、2008~2013 年のマニュフェストおよび戦略

的な行動計画にて、今後 10 年以内でカーボンニュートラル国家を成し遂げるとしている。ディー

ゼル発電による温室効果ガス削減、並びにエネルギー・セキュリティ確保を図る計画である。

かかる状況下、「モ」国政府はマレ島及びフルマレ島における、中長期的な電力の安定供給を目

的に、系統連系太陽光発電システム(以下「連系 PV システム」と称す)の導入、更にはエネル

ギー利用の効率化と気候変動対策を促進するため、我が国に開発調査を要請した。

本調査の目的は、マレ島並びにフルマレ島において、連系 PV システムを導入するために、技

術的・経済財務的調査と分析を行い、導入に必要な諸条件を明らかにして実現可能性調査を行う

と共に、連系 PV システム導入と適切な運用のために必要な法令・制度・規則、及び人材育成計

画などについて検討し、中長期行動計画を策定することである。あわせて、5~6 箇所のポテンシ

ャルサイトを対象に、連系 PV システム導入のための詳細設計調査を行い、調査を通して連系 PV

システム導入に関して主要な役割を担う組織の能力強化を行う。

1-1

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1-2

1.2 調査の基本方針

(1) 本調査では、短期間で連系 PV システムのポテンシャルサイトを選定し、優先度の高いサ

イトについては詳細設計まで完了する必要がある。このため、調査団では入手可能なデー

タにより、巻頭図に示すとおり事前の太陽光発電設備計画・設計を進めており、カウンタ

ーパートとの共同作業によりポテンシャルサイトを確定次第、迅速に詳細設計を開始する。

(2) 2008 年 10 月に実施された大統領選挙決選投票の結果、過去 30 年に亘り政権を維持したマ

ウムーン・アブドル・ガユーム大統領が敗北し、野党モルディブ民主党のモハメド・ナシ

ード氏が当選し、新大統領となった。このため、従来カウンターパート機関として想定さ

れていた、環境・エネルギー・水省(Ministry of Environment, Energy and Water:MEEW)は

再編され、建設・公共インフラ省(Ministry of Construction and Public Infrastructure:MCPI)、

環境・エネルギー・水省(Ministry of Environment, Energy and Water:MEEW)、運輸・通信

省(Ministry of Transport and Communication:MTC)および住宅・都市開発省(Ministry of

Housing and Urban Development:MHUD)と統合し、新たに住宅・交通・環境省(Ministry of

Housing, Transport and Environment:MHTE)となった。このため、第一次現地調査におい

ては、本開発調査の実施に至った背景を含め、調査方針、方法、スケジュール等を「モ」

国側関係機関へ十分に説明し、円滑な調査の導入を図る。

(3) 人口過密のマレ島では既に建築物が密集し、既存のビルや公共施設、スタジアム以外にも、

周回遊歩道やバス停の屋根など、既存 11kV 配電系統に与える影響を考慮しつつ、可能な限

り広い範囲から、連系 PV システムのポテンシャルサイトを選定する。他方、フルマレ島

では現在計画されている公共/商業施設屋根の空きスペースなどを有効活用することで、

経済性や設置後の運用面に配慮したサイト選定を行う。

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2-1

第 2 章 社会経済状況及び開発計画

2.1 社会経済状況

「モ」国経済は 2004 年 12 月に発生したインド洋大津波の影響により、2005 年には主要産業で

ある観光業が落ち込み、マイナス成長を記録した。しかし、2006 年以降は観光業が立ち直るとと

もに第 2 次産業及び観光業以外の第 3 次産業も伸びたことにより再びプラス成長を記録している

(表 2.1-1 参照)。2004 年以前は地方リゾート島の観光業および水産業が「モ」国経済の基盤とな

っており、実質 GDP の約 4 割を占めていたが、2005 年以降はその比率は 3 割にまで低下してい

る。観光業を含む第 3 次産業は GDP 全体に占める割合は約 80%とほぼ一定であるが、1995 年時

点では GDP に占める比率がほぼ第 2 次産業と同程度であった第 1 次産業は 12.2%から 2008 年に

は 7%にまで低下している。一方、第 2 次産業 1995 年では 12.8%だったが、2008 年には 17.6%に

まで上昇しており、産業構造の転換が進んでいることがわかる。また産業項目別に見ると、観光

業が主要産業であることに変わりはないが、特に第 2 次産業の電力・上水道、建設、第 3 次産業

の運輸・通信、政府サービスの伸びが著しい。

表 2.1- 1 GDP の推移

単位:百万 MRf

出所:Statistical Yearbook of Maldives 2008

注:数値は 1995 年基準価格、2008 年の数値は推計値

国際収支については、大幅な輸入超過による経常収支の赤字を観光による外貨収入などで補填

する構造となっており、経常収支赤字は 2005 年以降増加の一途をたどっている。為替レートは米

ドルとのペッグ制であり 2002 年から平均為替レートは1米ドル当たり 12.80MRf に固定されてい

る。

表 2.1-2 は「モ」国政府の財政収支を示している。税収の伸びは、2004 年 12 月のインド洋大津

波の影響により観光業が低迷したため、2005 年には伸び率が鈍化したものの、2006 年以降再び大

1995年 2000年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

第1次産業 521 595 760 850 846 719 761

農業 155 175 205 204 204 205 207水産業 335 381 507 596 590 460 499砂利採掘 31 39 48 50 52 54 55

第2次産業 659 1,047 1,539 1,621 1,891 2,071 2,215製造業 336 505 660 594 680 706 730水産加工 112 132 204 247 299 300 300電気、水道 78 204 313 363 409 447 486建設 133 206 362 417 503 618 699

第3次産業 3,205 4,836 6,217 5,703 6,917 7,574 8,226卸売・小売 234 288 326 336 357 386 412観光(リゾート等) 1,474 2,094 2,689 1,798 2,560 2,800 2,991運輸・通信 478 919 1,263 1,456 1,729 1,893 1,993金融サービス 151 215 269 262 287 300 310不動産 390 497 571 575 595 611 628商業サービス 129 184 223 222 233 239 245政府サービス 400 751 1,062 1,213 1,380 1,592 1,917教育・保健・社会サービス 124 137 146 149 152 155 157

金融仲介サービス(FISIM) -175 -249 -332 -308 -376 -402 -427合計 4,385 6,478 8,516 8,174 9,654 10,364 11,202

一人当たりGDP(US$) 1,482 1,986 2,439 2,293 2,649 2,804 2,992GDP成長率(%) - 4.8 9.5 -4.6 18.0 7.6 8.3

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2-2

きな伸びを記録している。歳入に関しては、税外収入が税収以上の伸びを示しており、政府資産

のリース料収入(政府系リゾートのリース料を含む)がその大部分を占めている。歳出も歳入と

同様に年々増加傾向にあり、特に 2005 年以降の経常支出の増加が顕著であり、財政赤字の規模も

年々増加してきている。支出分野に関しては、2007 年には社会保障やコミュニティプログラムな

どの社会サービスへの支出に比重が置かれていたが、2008 年には農業・水産業、運輸、電力など

の経済サービスへの支出が約 2 倍となった。

公的部門は政府および国営企業からなり、歴史的に同国経済において重要な役割を担ってきた。

国有企業は、銀行、航空、海運、国際貨物、通信、電力、漁港、観光、輸入などの多岐にわたる

分野で活動を行ってきたが、近年では民営化および国有企業によるサービス供給の縮小化が進め

られている。

表 2.1- 2 「モ」国政府の財政収支

単位:百万 MRf

出所:Statistical Yearbook of Maldives 2007 and 2008

注:2007 年の数値は暫定値、2008 年の数値は予算推計値

表 2.1-3 はマレ島およびフルマレ島の 2006 年センサス時点の人口である。2000 年センサス時か

らマレ島の人口は、全国平均の 1.7%を大きく上回る年率 5.8%で増加しており、マレ島への人口

集中が進んでいることがわかる。また、外国人労働者やマレ島外での住民登録者もいることから、

マレ島の人口は住民登録者数の約 2 倍となっている。

表 2.1- 3 調査対象地域の人口

2000 年 2006 年 増加率 2005 年

住民登録者数

マレ島 72,230 102,377 5.8 46,647

フルマレ島 - 2,866 NA 189

全国 270,101 298,968 1.7 302,726出所:Statistical Yearbook of Maldives 2007 and 2008

国連事務局経済社会局人口課によると、表 2.1-4 に示すとおり 2020 年までに「モ」国全体の人

口は 383 千人、都市部の人口は 200 千人にまで増加すると予測されている。

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

歳入・贈与

税収 1,091.7 1,268.7 1,647.2 1,722.8 2,370.3 2,855.5 3,291.5税外収入 1,490.7 1,695.6 1,704.6 2,065.5 2,916.3 3,813.9 5,653.0贈与 132.5 123.6 72.9 824.6 867.4 1,183.2 812.5歳入合計 2,714.9 3,087.9 3,424.7 4,612.9 6,154.0 7,852.6 9,757.0

歳出・純貸付

経常支出 2,109.4 2,345.7 2,788.1 4,643.3 5,607.8 7,083.7 8,755.7資本支出 1,026.1 1,206.2 991.0 1,132.1 1,458.4 1,952.6 2,760.7純貸付 -18.2 -163.7 -196.5 -117.8 -118.1 -122.0 -194.8歳出合計 3,117.3 3,388.2 3,582.6 5,657.6 6,948.1 8,914.3 11,321.6

収支 -402.4 -300.3 -157.9 -1,044.7 -794.1 -1,061.7 -1,564.6

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2-3

表 2.1- 4 「モ」国および都市部の人口予測

1995 2000 2005 2010 2015 2020

全国人口(千人) 248 273 295 323 353 383

全国増加率(%) 1.93 1.57 1.76 1.80 1.65 1.37

都市部人口(千人) 64 76 100 131 165 200

都市部増加率(%) 3.49 5.62 5.29 4.63 3.88 3.11

都市部の比率(%) 25.6 27.7 33.9 40.5 46.6 52.1出所:World Urbanization Prospects: The 2007 Revision Population Database, Population Division of the Department of

Economic and Social Affairs of the United Nations Secretariat

「モ」国の政治状況に関しては、1978 年以降ガユーム大統領による独裁政治が続いてきたが、

2008 年 8 月 7 日に基本的人権や言論の自由、複数政党制などを初めてうたった新憲法が制定され

た。同年 10 月 8 日には、新憲法下での初めての大統領選挙が行われ、決選投票の結果、モルディ

ブ民主党(MDP)会長のモハメド・ナシードが勝利した。2009 年 5 月 11 日には議会選挙が実施

され、モルディブ人民党(DRP)が 大議席数を獲得している。

2.2 開発計画

2.2.1 国家開発計画

「モ」国には国家開発の上位計画として『ビジョン 2020』および『ミレニアムディベロップメ

ントゴール』がある。ビジョン 2020 では 2020 年までに中所得国グループの上位国になり、生産

活動の多様化、公平な社会の形成、すべての国民に対する良質な保健医療や 10 年間の公的教育、

環境にやさしい生活スタイルの適用などの実現が示されている。一方、ミレニアムディベロップ

メントゴールでは極度の貧困への対策として、環境の持続可能性、男女平等、乳幼児死亡率の低

下などが挙げられている。第 7 次国家開発計画は上述の上位計画を実現するための政策および戦

略を示したものであり、以下のとおり 4 つの分野に対して合計 12 の目標を掲げている。

(1) 経済開発

目標1:成長に貢献する環境と雇用機会の創出

目標2:貿易および支援事業の促進と競争的産業の開発

(2) 空間開発

目標3:容易な移動およびサービスへのアクセスを改善し、競争的な優位性を確立するため

の戦略的および 先端のインフラへ投資と雇用機会の創出

目標4:文化遺産の保存を可能とし、娯楽その他のインフラへの平等なアクセスを提供する

環境に優しい施設の建設

目標5:自然環境の保護と国民および資産の安全化

(3) 社会開発

目標6:教育、生涯学習、技術訓練および能力開発への公平は機会の提供を通じた人々への

投資

目標7:住宅および保健医療へのアクセス改善と福祉の向上

目標8:女性のエンパワーメントおよび子供、高齢者、障害者、貧困および脆弱なグループ

の保護

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2-4

(4) ガバナンス

目標9 :すべての国民が尊厳ある生活を送るための価値観、権利、自由の保護

目標 10:司法へのアクセスの改善と公安の 大化

目標 11:地方自治と行政の強化

目標 12:主権保護、治安改善および国際関係の強化

エネルギー分野は空間開発の目標 3 に含まれており、これまでの化石燃料の輸入に依存した発

電は国際市場における価格上昇に対して非常に脆弱であり、将来の成長に対する深刻な制約とな

る恐れがあることから、輸入燃料による発電電力の削減と代替源の利用促進、特に再生可能エネ

ルギーに関しては、持続可能な太陽光エネルギーの導入、再生可能エネルギーによる家電・産業

機器の使用が戦略として示されている。具体的な達成目標の数値として 10%の再生可能エネルギ

ー使用を掲げている。

また、需要管理に関しても、政府機関などの主要なユーザーによる需要管理の促進、エネルギ

ー効率の良い製品の使用や習慣づけのための啓発キャンペーンの実施などが戦略として挙げられ

ている。

しかしながら、2008 年 10 月の大統領選によって、モルディブ民主党(MDP)会長のモハメド・

ナシードが新大統領に就任し、国家開発政策の意思決定機関として国家計画委員会(National

Planning Council)が 2009 年 2 月に設置された。同委員会はビジョン 2020 の代わりに MDP のマニ

フェストが新たな開発アジェンダとなることを承認している。このマニフェストは 2008 年から

2013 年までの政策を示したものであり、主要な公約として、全国的な交通システムの構築、支払

い可能な生活費の実現、入手可能な住居の供給、すべての人に利用可能な保健医療、薬物の乱用

と取引の防止を挙げており、これらに加え、グッドガバナンス、社会的正義、経済開発に関する

政策が示されている。エネルギー分野は経済開発政策に含まれており、以下のような項目が挙げ

られている。

競争に向けた燃料市場の開放

発電キャパシティの増加

差別のないすべての市民への電力供給

競争市場を通じた民間企業家への島レベルでの電力事業の開放

再生可能エネルギー製品への輸入関税の撤廃

エネルギー効率と電力浪費 小化に対する認識の向上

再生可能エネルギー源の利用を通じたエネルギー安全保障の向上

バイオガスなどの代替燃料の使用促進と天然ガスの利用削減

炭化水素探査法の策定

石油発見の可能性を確定するために必要なすべての調査の実施

特に 3 年間の短期目標としては、国内の石油市場の開放と石油および燃油製品供給に関する入

札の実施、信頼できるエネルギー供給の促進、再生可能エネルギー利用に関する広報、石油およ

び燃油製品に対する輸入関税の撤廃が挙げられている。

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2-5

また、ナシード大統領は、2009 年 3 月 15 日の Wiki ニュースによると、再生可能エネルギーへ

の転換によって今後 10 年以内に世界初のカーボンニュートラル国家になるという計画を発表し

た。この計画では、0.5km2 の太陽光パネルおよび 155 の風力タービンの設置により、それぞれ

1.5MW の発電が見込まれている。また、同計画には椰子殻燃焼のバイオマスプラント、電気自動

車や電気船舶への転換や送電のための海底ケーブル敷設も含まれており、同プランの実現には 11

億 US ドル(10 年間で毎年 1.1 億 US ドル)が必要であるとされている。

2.2.2 フルマレ島開発計画

現在フェーズ1の実施が進んでいるフルマレ島開発は、病院や学校などの公共施設のオペレー

ションも開始されており、2009 年 2 月時点での居住者は 5,000 人である。フェーズ1の目標年で

ある 2020 年には移住者数が 60,000 人になる計画となっていることから、計画通りに移住が進ん

だ場合、今後年平均 4,600 人程度の移住が見込まれることになる。

2009 年 2 月時点での開発済みエリアは図 2.2.2-1 に示すとおりである。島の東側では住宅開発が

進められており、東側中央部分に当たる Residential Neighbourhood 2 においても集合住宅の建設が

着工されており、産業エリアにおいても 2009 年 3 月初旬には区画の入札も実施されている。住宅

開発に関しては高さ制限が設定されているため、集合住宅建設には 4 階建てまでしか認められて

いない。また、2010 年にはホテル建設の完了も予定されている。

モルディブ政府の地方分権化および民営化政策により、2010 年を目標にフルマレ開発公社

(Hulhumale’ Development Corporation LTD: HDC)は住宅開発会社(Housing Corporation)に移行し、

これまで HDC が提供してきた公共サービスは Male’Municipality に移管されることになっている。

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2-6

出所:Hulhumale’ Development Corporation

図 2.2.2- 1 フルマレ島の開発計画と現況

a. 土地利用計画

b. 現況(2009 年 2 月時点)

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2-7

2.3 他ドナーによる支援動向

「モ」国では、アジア開発銀行(ADB)や国連開発計画(UNDP)等の国際開発機関がエネル

ギー・セクターに対して積極的に支援しており、本調査に類似の技術協力、F/S 等も過去に実施さ

れていることから、現地調査期間中には他ドナーとの緊密な情報交換・共有を行った。

(1) アジア開発銀行(ADB)

ADB は 1985 年からマレ島や地方環礁島の電化計画を継続的に実施し、「モ」国の電力セクタ

ー開発に深く携わってきた経緯があり、2004 年にはマレ島の発電・配電設備の増強プロジェク

トである「Third Power System Development Project」を完工している。現在は、2002 年から開始

されている「Outer Islands Electrification Project」(総事業費:10.6 百万 US$)の対象となってい

る 19 の地方環礁島にて、ディーゼル発電設備並びに配電設備の調達・据付工事を進めている。

同計画は、表 2.3-1 に示すとおり、2005 年、2007 年、2008 年にそれぞれロット 1、ロット 2、

ロット 3 の入札を完了し、2009 年 12 月には借款期限完了となる予定である。

表 2.3- 1 Outer Islands Electrification Project の進捗状況(2009 年 6月時点)

No. ロット 1 対象島 運開 No. ロット 2 対象島 運開 No. ロット 3 対象島 運開

1 Ha. Kelaa 2007/3 1 Ha. Baarah 2008/6 1 R. Ungoofaaru 60%完了

2 Ha. Ihavandhoo 2007/4 2 H. Dh. Neykurendhoo 2008/6 2 N. Manadhoo 80%完了

3 H.Dh.Makuudhoo 2008/5 3 Sh. Kanditheem 2008/8

4 N.Kendhikulhudhoo 50%完了 4 B. Kendhoo 2008/10

5 M.Muli 2009/6 5 M. Mulah 2009/9

6 F. Nilandhoo 2007/11 6 Th. Guraidhoo 60%完了

7 Th. Thimarafushi 2008/9 7 Ga. Kolamaafushi 2009/11

8 Th. Veymandhoo 45%完了 8 Ga. Maamendhoo 2009/10

9 L. Fonadhoo 2007/11 出所:MHTE

更に ADB 本部では、世界銀行等と創設する

「気候投資基金」を活用し、アジア地域で太

陽光発電を普及させるための新しい支援の枠

組み(図 2.3-1 参照)を計画しているが、「モ」

国では 2009 年 9 月現在のところ、同スキーム

を活用する具体的な計画はない。同スキーム

では、ADB と途上国が事業会社を設立すると

ともに、発電所の立地や発電した電力の売却

先などを確定し、国際入札により事業会社を

商社や電力会社などの民間企業に売却し、建

設や運営を委託する予定である。

出所:日本経済新聞(平成 20 年 10 月 22 日夕刊)報道による

図 2.3- 1 ADB による太陽光発電普及のため

の支援枠組み

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2-8

(2) 国連開発計画(UNDP)

UNDP では、2005 年から地球環境ファシリティ(Global Environment Facility: GEF)の資金支

援により、「再生可能エネルギー技術開発及び応用プロジェクト(Renewable Energy Technology

Development and Application Project)」を実施している。同プロジェクトでは、太陽光発電を含む

再生可能エネルギーの基礎データ収集調査を実施し、更にパイロット・プロジェクトとして、

PV とディーゼル発電設備のハイブリッド・システムを南アリ環礁のマンドー島に導入している。

同プロジェクトでは、サイトエンジニアの維持管理技術向上等の能力強化に重点を置き、また

支援の一環として旧 MEEW、STELCO 技術者や現地の維持管理担当者、民間セクターから 7 名

を対象として、2007 年 11 月から約 3 週間の研修を実施している。

同プロジェクトのコンポーネントには Fund for RE System Applications(FRESA)の設立が含

まれており、現在その運用が進められている。FRESA によるローンスキームは基金総額

US$ 250,000 であり、モルディブ銀行により運営されている。このスキームによって、再生可能

エネルギー導入のため個人には MRf 50,000(約 US$ 3,900)、事業者には MRf 80,000(約

US$ 6,250)を上限として貸し出しすることができる。このスキームでの貸し出しには、 初の

2 年間はもっとも低い市場金利から 20%下げた金利が適用され、3 年目以降はこの優遇金利は

見直されることになっている。2009 年 5 月時点での同スキームへの応募は 6 件だが、まだ承認

された事例はない。事業案の否認の理由としては、技術的および財務的実効性がないことや、

応募者の財務状況が資金返済に耐えうるものでないことなどが挙げられている。

2008 年 1 月からは、持続可能な技術の移転、気候変動対策等を目的に、環境セクターに対し

て新たなカントリープログラムを実施中である。

(3) デンマーク国際開発庁(DANIDA: Danish International Development Cooperation Agency)

電力セクターでは、デンマーク DANIDA の支援により「Fourth Power System Development

Project」が 2009 年から開始されている。事業費総額は 24 百万 Euro であり、コンサルタントは

ドイツの OLP 社、施工業者はデンマークの電力会社 SEMCO とドイツの MAN 社による共同企

業体である。同プロジェクトでは、急増するマレ島の電力需要に対応するため、ディーゼル発

電設備(8MW)2 台の調達・据付(発電設備基礎については 3 台分)工事を計画している。

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3-1

第 3 章 エネルギー・電力需給の現状

3.1 エネルギー・電力政策、法制度

3.1.1 エネルギー・電力セクターの関連政策

「モ」国では、旧通信科学技術省(MCST:Ministry of Communications, Science and Technology)

が中心となって、2002 年に実施された全国レベルのエネルギー需給データをベースに、「国家

エネルギー政策(National Energy Policy-Maldives 2005)」が 2005 年に策定された。同政策は 2009

年現在改定作業中であるが、新政策のドラフト文書によるとビジョン、目標、目的は以下の通

りである。

持続可能なエネルギー需給構造により、「モ」国の社会経済開発を達成する。

持続可能かつ環境にも優しい方法で、エネルギーの利用可能性、信頼度、入手可能性を高め、国内

の社会経済開発を促進する。

①社会経済開発を支えるための、安定かつ経済的にも持続可能である多様なエネルギー供給を確保

する。

②妥当な価格で信頼度の高いエネルギー供給を全国民に保証する。

③国内の再生可能エネルギー導入のための障害を除去し、インセンティブを提供し導入促進を図

り、国家のエネルギー安全保障を高めるとともに、新しい職業を創出し、経済を強固なものとす

る。

④環境に優しいエネルギー需給構造を確保することで、環境保護と国民の健康を守る。

⑤省エネルギーとエネルギー利用効率化プログラム、政策的措置の実施により、再生可能エネルギ

ーと非再生可能エネルギーの最適経済利用を達成し、サービス水準の質を下げることなく、エネ

ルギー消費の節減を図る。

⑥エネルギーセクターの計画・運用の透明性を高め、国内・海外からの投資を誘引する。

出所:”The Need and Urgency for a National Energy Policy”

図 3.1.1- 1 国家エネルギー政策(改訂版ドラフト)の骨子

2002 年のエネルギー需給調査結果によると、再生可能エネルギー利用については、一次エネ

ルギー供給の約 2%を占めるのみであり、太陽光発電については、船舶の夜間航行のためのナビ

ゲーション・ライトや離島での通信設備への電力供給に限られており、中でも太陽光発電の割

合は、0.1%以下と極めて小さい。その他、太陽熱利用分野ではマレ島並びにリゾート島におけ

る太陽熱温水器が利用されている。同政策においても、PV 利用は初期投資コストの高さが課題

とされているが、将来的に PV モジュールの価格が低減され、以下の適用方法により普及拡大

が想定されている。

ビジョン(The Vision)

目標(Main Energy Policy Goal)

目的(Energy Policy Objectives)

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3-2

独立型のソーラーホームシステム(SHS)

系統連系型太陽光発電システム(連系 PV システム)

PV 街路灯

リゾート島での PV 導入

改定前の「国家エネルギー政策(National Energy Policy-Maldives 2005)」では、今後 PV の積

極的な普及促進政策を進めるため、図 3.1.1-2 に示すとおり、2015 年までに同割合を 2.5%まで

向上させる計画であった。現在では、MHTE のエネルギー課にて同政策を改定作業中であり、

そのドラフトの中には、2020 年までに一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合

を 12%以上とする目標が記載されている。ただし、National Energy policy – Maldives 2005 に明記

されていた資源別の目標値は未決定であり、目標値を決定するために必要なベースライン調査

も実施されていない。なお、改訂作業中のドラフトによると、上記目標(12%)を達成するた

めには、再生可能エネルギーの導入支援政策として、後述する RPS 制度や補助金導入の可能性

が示唆されている。

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2002年 2015年

ジェット燃料

ケロシン

ディーゼル

ガソリン

LPG

バイオガス

風力・太陽光

バイオマス

出所:National Energy Policy – Maldives 2005

図 3.1.1- 2 「モ」国一次エネルギー供給の割合(実績と予測)

0% 13%1%

1%

11%

15%

5%

54%

風力・ディーゼル等

バイオガス

バイオマス(ボイラー)

コジェネ(地中ガス回収)

コジェネ(バイオマス)

風力ハイブリッド

太陽熱

太陽光発電

出所:National Energy Policy – Maldives 2005

図 3.1.1- 3 2015 年までのエネルギー資源別投資計画

風力・太陽光

0.071%

風力・太陽光

2.5%

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3-3

3.1.2 法制度

一般的に、「モ」国の法制度としては 上位の憲法(Constitution)、法律(Law or Act)、施行規

則(Regulation)の階層毎に各種政策・制度が規定されている。エネルギー・電力セクターについ

ては、「公共サービス法(96 年法律 4 号)“Law governing public services”」の第 2 条において、公

共サービスの対象を、電力、電話、上水道、衛生処理(下水道)と規定し、これら公共サービス

を実施する者(政府機関、国営企業、民間事業者)は同法第 3 条に基づき、政府の規制機関に登

録するとともに、規制機関が定める規制に従わなければならない。

出所:調査団

図 3.1.2- 1 エネルギー関連法制度

電気事業に関する具体的な規制内容は、公共サービス法第 3 条に基づき、電気事業の規制機関

であるモルディブエネルギー庁(MEA: Maldives Energy Authority)が制定した「マレ及びその他環

礁地域における公共の電力供給に関する規則“Regulations on public supply of electricity in Male’ and

outer Atolls”」に定められている。同規則では、以下に示すとおり電力供給に関する許認可申請、

電気事業者の発電設備、配電設備について遵守すべき基本的な技術的事項を規定している。

表 3.1.2- 1 「マレ及びその他環礁地域における公共の電力供給に関する規則」の概要

条 項 概 要

第 1条

電力サービスの提供

一般需要家へ電力供給サービスを提供する事業者は、MEA に登録し必要な許

可を取得することが必要となる。

第 2条

合意書

電力供給事業者は、同規則に定められた技術規制に従いサービスが提供さ

れていることについて、需要家と書面で合意を得る必要がある。

第 3条

第 3者によるサービス提供

MEA に登録された電力供給事業者が、電力供給サービスの全体もしくは一部

を他者に移管する場合には、MEA から別途必要な許可を取得する必要があ

る。

第 4条

契約違反

需要家が合意書に示された責任事項に従わず、契約違反となることが確認

された場合には、MEA に通知し供給停止することができる。

第 5条

仮供給停止

供給停止が必要となる場合には、その理由を書面で MEA に通知し、MEA から

許可が得られた段階で停止することができる。

第 6条

電気料金

電気料金の新規・変更申請には、10年以上の需要想定に基づく供給計画と、

電気料金構成を MEA に提出し、許可を得る必要がある。

第 7条

契約条項

電力事業者と需要家の間の規制に、第 3者が含まれる場合には、MEA による

許可を経て有効な契約条項となる。

第 8条

発電所に関する仕様

発電所の建設場所、基礎の高さ、材料など概略仕様。

第 9条

制御所、配電盤、フィーダ

ーに関する仕様

制御所、配電盤、フィーダーを建設する場合には、必要な図面を MEA に提

出し、許可を得る必要がある。

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3-4

第 10 条

配電線に関する仕様

架空配電線を建設する場合には、MEA に必要な図面を提出し、許可を得る必

要がある。その他、電圧降下、建柱位置、ケーブル埋設深さなどに関する

規程。

第 11 条

需要家への引込

需要家は主開閉器と過負荷保護(カットアウトヒューズ、MCB、MCCB)、地

絡保護(ELCB、ELR)を設置する必要がある。

第 12 条

屋内配線

屋内配線工事には、MEA に必要な図面を提出し、許可を得る必要がある。そ

の他、配線の各相色別、相間バランス、保護装置の設置などに関する規程。

第 13 条

電力供給事業者の職員

発電所に勤務する職員は、必要な研修・トレーニングを受講する必要があ

る。また、各発電所の責任者は、MEA により承認された資格を取得する必要

がある。

第 14 条

配電線に関する規制

配電線工事を行う全ての事業者は、MEA による規制に従う必要がある。

第 15 条

規制への遵守

2007 年 1月 1日より前に電力供給が開始された需要家については、本規則

に従って不足する工事を実施する必要があるか否か、監督省(MHTE)にて

決定する。

第 16 条

規制に対する違反

本規制に対する違反が確認された場合には、100~5,000 Rf の罰金支払いを

命ずる。

出所:“Regulations on public supply of electricity in Male’ and outer Atolls”から調査団により作成

同規則の第 8 条では、発電所の建設に関する要求事項、概略仕様が規程されているが、ディー

ゼル発電所を想定した規制となっており、連系 PV システムを含む太陽光発電設備を導入する場

合に必要となる規制内容については今後検討が必要である。

なお、建築物の屋内配線等電気設備の安全基準や、省エネルギーについては、旧建設・公共事

業省が 2008 年 8 月に制定した「ビルディングコード“Maldives National Building Code”」に規定さ

れている。しかしながら、ビルディングコードは性能基準であり、法的拘束力はなく、性能の達

成手段はビルの所有者等に委ねられる仕組みとなっている。今後、ビルディングコードの内容を

強制力のある規制とするため、新たに「建築法(Building Act)」を制定する予定である。

一般的に、法案の完成から施行までの手続きおよび想定期間は図 3.1.2-2 に示すとおりであ

る。法案の作成段階を考慮すれば、施行まで更に長い期間が必要となる。

出所:調査団

図 3.1.2- 2 各法制度の手続きおよびその期間

再生可能エネルギーを含む分散型電源の系統連系に関しては、需要家は STELCO からの電

案の完成

議会への提出

議会の承認

施行

約1年

案の完成

法務省への提出

司法長官の承認

施行

1年以内

Law and Act Regulation

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3-5

力供給か、自家用発電設備のみの供給の二者択一を迫られる。これは、小型の自家用発電設

備の普及が環境汚染に繋がるとの懸念から導入された制度であるが、連系 PV システムが将

来的に普及し、STELCO のみならず一般需要家にも導入を開放する際には、同規制を変更し

なければならない。

3.2 エネルギー・電力事業に係る組織

3.2.1 住宅・交通・環境省(MHTE)

再生可能エネルギーを含むエネルギー政策は、環境・エネルギー・水省(MEEW)を継承する

住宅・交通・環境省(Ministry of Housing, Transport and Environment:MHTE)が担当している。

MHTE は、2009 年 6 月時点で 1,351 名の職員を擁し、旧 MEEW のみならず、旧建設・公共インフ

ラ省、旧交通省、旧住宅・都市開発省が合併した組織であり、住宅土地開発、建設・インフラ、

環境など 9 つの部(Department)に分かれている。本調査のカウンターパートである、気候変動・

エネルギー部(Climate Change and Energy Department)のエネルギー・持続可能開発課(Energy &

Sustainable Development Division)では、エネルギー・電力分野の政策決定とセクター開発計画策

定を担当しており、同課では「政策・計画・戦略係(Policy, Planning & Strategies Section)」、「クリ

ーン開発メカニズム係(Clean Development Mechanism Section)」の 2 つの係から構成されている。

前者は「政策・計画」、「モニタリング・報告」を、後者は「再生可能エネルギー」、「プロジェク

ト開発」、「省エネ・啓蒙普及」を担当業務としているが、実際の組織運営では、2 つの係の担当

者は組織横断的に作業を分担しており、Assistant Director の Mr. Ahmed Ali が同課の業務を統括し

ている。MHTE(全省)と気候変動・エネルギー部の組織図を、図 3.2.1-1 と図 3.2.1-2 にそれぞれ

示す。

上記の通り、MHTE では従来型のエネルギー供給のみならず、再生可能エネルギー利用や再生

可能エネルギーの普及促進についても取り組んでいるが、MHTE のエネルギー・持続可能開発課

は 10 名の職員で運営されており、連系 PV システムの運営維持管理を実施するためには、技術的

な保守管理業務は STELCO 等の電気事業者に業務委託し、MHTE は政策立案・計画業務に特化す

ることが現実的な対応と考えられる。

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3-6

出所:MHTE

図 3.2.1- 1 住宅・交通・環境省(MHTE)の組織図

出所:MHTE

図 3.2.1- 2 住宅・交通・環境省(MHTE)エネルギー・持続可能開発課の組織図

3.2.2 モルディブエネルギー庁(MEA)

モルディブエネルギー庁(MEA:Maldives Energy Authority)は、国営電気事業者である旧モル

ディブ電力庁(MEB:Maldives Electricity Bureau)の規制監督機能を再編し、電力を含むエネルギ

ーセクター全体の規制監督機関として、2006 年 4 月に設立された。MEA は MHTE から独立した

規制機関として、技術基準や関連規制・規定の策定並びに監督行政を所管している。2009 年 10

カウンターパート

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3-7

月現在、MEA のエネルギー担当部局は 4 名の職員で運営されているが、そのうち 3 名は事務系職

員であり、図 3.2.2-1 に示すとおり組織として要求されている役割を達成するには、合計 9 名の職

員が必要とされている。このため、太陽光発電を含む再生可能エネルギー分野での規制策定・運

用には、更に職員を増強し、能力強化を図る必要がある。

出所:MEA

図 3.2.2- 1 モルディブエネルギー庁の組織図

3.2.3 モルディブ電力公社(STELCO)

「モ」国では、1949 年に電力部(Electricity Department)が電気事業を開始し、その後旧モルデ

ィブ電力庁(MEB:Maldives Electricity Board)により実施されていたが、公共事業体の公社化政

策により、電気事業の独立採算制を目的として、1997 年 6 月に 100%政府出資のモルディブ電力

公社(STELCO:State Electric Company Limited)が設立された。STELCO による電力供給は、首

都マレ島を含めて計 10 の島で発電・配電事業を運営している。STELCO の組織は総務・人事部、

お客様サービス部、戦略・開発部、地域部、発電部、配電部、経理部、調達部、運輸・メンテナ

ンス部の 9 つの部門から構成されている。職員数は、2009 年 10 月現在、全社で 449 名であり、

うちマレ島で 330 名の職員を有している。本調査のカウンターパートとしては、本部の戦略・開

発部(Strategy and Development Department)が担当しているが、同部には Director を含めて合計 6

名しか職員は配置されておらず、再生可能エネルギーや省エネルギーの担当者は不在であり、他

のプロジェクトと兼務している状況である。

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3-8

図 3.2.3-1 に STELCO の組織図を示す。

出所:STELCO

図 3.2.3- 1 モルディブ電力公社(STELCO)の組織図

3.2.4 モルディブ電力公社(STELCO)の経営状況

表 3.2.4-1 は 2002 年から 2008 年までの STELCO の損益計算書を示したものである。売上の増加

は主に売電収入の増加によるものであるが、売上の増加とともに売上原価も年々増加しており、

その結果売上総利益は 2002 年以降減少傾向にあり、2008 年には暫定値ではあるが売上総損失が

発生している。2004 年移行の利益減少は電気料金の値下げおよびディーゼル燃料価格の上昇が影

響しており、2006 年からは経常損失が計上され、その赤字幅は年々増加してきている。特に 2008

年のディーゼル価格の高騰が著しかったことが、同年の損失幅の増大の原因となっている。

表 3.2.4- 1 STELCO の損益計算書

単位:千 MRf 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

売上 346,433 391,428 411,535 480,907 566,643 665,190 753,905売上原価 169,068 216,014 278,288 374,227 555,280 660,865 1,110,552売上総利益 177,365 175,414 133,247 106,680 11,364 4,324 -356,647営業外収益 2,631 2,241 1,603 60,623 30,138 10,551 202,997一般管理費 73,945 80,328 115,803 84,412 112,598 98,952営業外費用 77,630 7,915 57,816 26,633経常利益(損失) 102,366 103,710 46,607 51,500 -100,727 -124,355 -252,602金融利益 751 82 413 45 4金融費用 30,894 33,150 24,754 23,557 21,879 22,020 24,416純利益(損失) 71,472 70,560 22,605 28,026 -122,193 -146,330 -277,014 出所:STELCO 注:2008 年の数値は暫定値。

STELCO は 2005 年からは政府からの補助金を受け取っているが、これは営業外収益に計上され

ており、その内訳は表 3.2.4-2 に示されているとおりローンの支払いや STO からのディーゼル燃

料購入代等に使用されている。また、補助金とは別に政府から資本贈与も受けている。

カウンターパート

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3-9

表 3.2.4- 2 政府からの補助金の内訳

単位:千 MRf

2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 1. 補助金 ローン 42,725 - - STO への支払い 11,957 16,462 - 赤字補填 - - 3,569 200,000

小計 54,682 16,462 3,569 200,000 2. 資本贈与 発電設備費 - 16,552 7,471 1,264

合計 54,682 33,013 11,040 201,264 出所:STELCO

注:2008 年の暫定損益計算書では資本贈与も政府からの補助金として営業外収益に計上されている。

表 3.2.4-3 は STELCO の 2004 年から 2007 年までの財務業績指標を示したものである。2004 年

以降操業比率が上昇してきており、2006 年から営業費用が営業収益を超過していることがわかる。

流動比率は年々低下してきており、2007 年には流動負債額が流動資産額を超過している。2005 年

から流動負債額は毎年倍増しており、2007 年には短期の借入金が前年の 2 倍、買掛金およびその

他未払い金は 1.5 倍、当座借越は 11 倍にまで増加している。自己資本比率は 2005 年には一旦上

昇するものの、その後は低下傾向にある。特に 2007 年の利益剰余金の減少が著しく、同年の自己

資本比率の大幅な低下の要因となっている。2008 年の業績はさらに悪化していることから、これ

らの指標はさらに悪化していることが予想される。元利支払能力を示す金利カバー比率も 2006 年

からの赤字経営を反映し、マイナスになっている。このような財務状況が改善されなければ、今

後の再生可能エネルギーへの設備投資や既存施設の更新にも影響を及ぼすことが予想される。

表 3.2.4- 3 STELCO の財務業績指標

2004 2005 2006 2007

操業比率 0.89 0.90 1.17 1.18

流動比率 1.73 1.59 1.10 0.59

自己資本比率 55% 59% 52% 35%

金利カバー比率 1.91 2.19 -4.58 -5.65

出所:STELCO 財務諸表より調査団が作成。

表 3.2.4-4 および図 3.2.4-1 は 2004年から 2008年までの単位当たり費用と平均電気料金を示した

ものである。単位生産費用は 1kWh 発電するのに要する費用、単位売電費用は 1kWh 売電するの

に要する費用、平均電気料金は需要家が支払った消費電力 1kWh 当たりの金額を意味している。

2004 年および 2005 年では、平均電気料金が単位生産費用および単位売電費用を上回っており、

表 3.2.4-4 にも示されているとおり経常利益を生み出していた。しかし、2006 年以降はこの関係が

逆転し、単位生産費用および単位売電費用ともに平均電気料金を上回り、単位売電費用と平均電

気料金との差は 2006 年で MRf 0.03/kWh、2007 年で MRf 0.10/kWh、2008 年で MRf 1.58/kWh であ

った。これは、2006 年以降は 1kWh 売電するたびにこの差額分の損失を生み出していることを意

味している。売上額自体は年々増加しているが、その増加率以上に営業費用が増加している。こ

のような財務状況の悪化は、貧困対策のため電気料金が政策的に低めに抑えられていることに加

え、電力消費量が急激に増加していることによるものである。したがって、STELCO のこのよう

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3-10

な財務体質を改善するためには、電気料金の本格改訂をはじめ、需要抑制、営業費用の削減、流

動負債の固定化などの対策が求められる。

表 3.2.4- 4 売電収入・費用と平均電気料金

2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年

売電収入(MRf) 396,398,430 464,334,992 550,245,288 639,808,246 727,600,647

総費用(MRf) 391,284,504 513,586,557 719,387,073 822,115,850 1,233,919,808

売上原価(MRf) 278,287,641 374,227,036 555,279,719 660,865,342 1,110,551,775

燃料費(MRf) 201,970,191 293,477,424 436,283,213 544,377,881 942,211,554

単位生産費用(MRf/kWh) 2.44 2.77 3.39 3.36 4.47

単位売電費用(MRf/kWh) 1.98 2.28 2.91 3.03 4.58

平均電気料金(MRf/kWh) 2.82 2.82 2.88 2.93 3.00出所:STELCO の財務諸表および発電量データをもとに調査団が作成。

注:単位生産費用=総費用÷総発電量、単位売電費用=売上原価÷総売電量、平均電気料金=売電収入÷総売電量

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

2004年 2005年 2006年 2007年 2008年

MRf

単位生産費用

単位売電費用

平均電気料金

出所:STELCO の財務諸表および発電量データをもとに調査団が作成。

図 3.2.4- 1 単位当たり費用と平均電気料金

3.2.5 電力セクターの再編について

ナシード新政権では、経済成長を加速させ、住民の生活水準を改善するため、これまで中央政

府が統括していた公共サービスの地方分権化政策、国有企業の民営化、並びに政府出資企業に対

する民間資本導入を積極的に進めており、電力セクターについても現在再編が進められていると

ころである。具体的には、現在準備中の地方分権法(Decentralization Law)に基づき、新しく設立

される行政区分の州(Province)毎に Utility Company を設立し、電力、ガス、上水道、下水道サ

ービスを州政府が Utility Company に委託する形で実施する計画である。Utility Company は、当初

100%政府出資で運営されるが、PPP(Public Private Partnership)モデルにより民間資本を導入すべ

く、2009 年 2 月に関心表明依頼が公示された。「モ」国では、従来からリゾート島の開発には民

間投資を積極的に促進しており、同じ手法を地方の公共サービスに適用する意向であるが、地方

の公共サービスは需要家が少なく、資材や燃料費の輸送コストが大きいため投資回収が困難であ

り、民間資本を呼び込むことは容易ではない。

電力供給事業については、全国 7 州のうち、Upper North、North、Upper South の 3 州 9 環礁に

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3-11

おいて、2009 年 4 月から運営を開始しており、これら地域では発電・配電設備の維持管理主体が

STELCO から Utility Company に移譲される。STELCO については、今後供給地域をマレ島周辺の

North Central Province に集中し、外資を含む民間資本を導入することで財務状況を改善することが

予定されている。このため STELCO では、North Central Province(マレ島を含め合計 34 の有人島

が存在)において、新しく供給地域に含まれる島を対象に、電力設備の運営維持管理状況を調査

している。

経済開発省(Ministry of Economic Development)のモルディブ投資局では、STELCO と共同企業

体を形成して、電気事業に参加するパートナー企業を 2009 年 3 月 25 日に公募しており、5 月 25

日の締め切り日において確認したところでは、約 9 社から関心表明が提出された模様である。

3.3 エネルギー・電力需給状況

3.3.1 エネルギー需給状況

「国家エネルギー政策(National Energy Policy-Maldives 2005)」によると、 新の統計データで

ある 2002 年の実績として、全国の一次エネルギー供給(223,970 toe)の内訳としては、ディーゼ

ル燃料(82%)を代表とする輸入化石燃料が全体の約 98%を占め、国産エネルギー資源であるバ

イオマス、太陽エネルギーは残り約 2%に過ぎない。このため、政府は太陽エネルギーを中心とし

た、再生可能エネルギーの普及促進や、DSM、エネルギー利用効率化により、輸入化石燃料に過

度に依存した、脆弱なエネルギー供給体制からの脱却を図ろうとしている。

6.3%

82.1%

1.9% 5.3%

2.1%0.1%

2.3%

バイオマス

太陽エネルギー

LPG

ガソリン

ディーゼル

灯油

ジェット燃料

出所:国家エネルギー政策

図 3.3.1- 1 「モ」国一次エネルギー供給の内訳(2002 年)

国家エネルギー政策によると、「モ」国の 終エネルギー消費の内訳としては、図 3.3.1-2 に示

すとおり製造業、サービス業が 56.2%と も多く、中でも地方環礁島とリゾート島における消費

が多いことがわかる。地方環礁島での消費内訳を見ると、灯油、LPG、バイオマスなど従来型エ

ネルギーが大部分を占めており、後述する通り電力需要全体に占める割合は小さい。運輸セクタ

ーの中では、リゾート島や地方環礁島への海上輸送(スピードボート、ドーニー(ディーゼルエ

ンジン搭載の木造船))での消費が全体の 58%を占めている。

近年、エネルギー消費の総量は年率 10%以上の高い伸び率を示しているが、中でも電力セクタ

ーと運輸セクターの増加が大きな要因となっており、その他には漁業、観光セクターでの消費量

が増加している。2002 年のセクター別 終エネルギー消費内訳によると、図 3.3.1-3 に示す通り、

漁業用船舶のディーゼル燃料、リゾート島での電力消費が群を抜いて大きくなっていることがわ

かる。住宅セクターのみ抽出すると、図 3.3.1-4 に示す通り、マレ島、ビリンギリ島では電力消費

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3-12

がエネルギー消費全体の約 7 割を占めているが、その他の地方環礁島では、バイオマス(34%)、

LPG(26%)の割合が多くなり、首都圏と地方環礁島でのエネルギー消費構造に大きな差が見ら

れる。

56%31%

13%

製造業・サービス業

運輸セクター

住宅セクター

14%

60%

26%

マレ首都圏(マレ島、ビリンギリ島)

地方環礁島

リゾート島

出所:国家エネルギー政策

図 3.3.1- 2 「モ」国最終エネルギー消費の内訳(2002 年)

学校

、公

共施

製造

業、

商業

施設

漁業

(ボ

ート

給水

、淡

水化

装置

廃棄

物処

政府

庁舎

リゾ

ート

電力

蒸気

太陽熱

LPG

ディーゼル灯油

80 155 325

50761

382 21

140 4 36

160

14171623 4315

4621393

21732

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

最終エネルギー

消費 

(toe

電力

蒸気

太陽熱

LPG

ディーゼル

灯油

出所:国家エネルギー政策

図 3.3.1- 3 「モ」国最終エネルギー消費(産業・商業セクター)の内訳(2002 年)

合計:147,721 toe

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3-13

電力バイオマス

LPG灯油

マレ島、ビリンギリ島

地方環礁島

2423

4626

3557

2817

3734

931882

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

最終エネルギー

消費

(toe

出所:国家エネルギー政策

図 3.3.1- 4 「モ」国最終エネルギー消費(住宅セクター)の内訳(2002 年)

3.3.2 電力需給状況

(1) 概況

1990 年時点では、全国民の約 1/3 が電力供給にアクセスできなかったが、現在ではその割合

は約 3%以下まで改善されており、電力供給インフラは地方環礁島まで広く整備が進められてい

る。しかしながら、発電電力量に占める割合を分析すると、全体の 56%をリゾート島が占め、

またマレ首都圏を含む STELCO による電力供給が確保されている主要環礁島(32 島)が 29%

となっており、需要密度の低い地方環礁島の割合は 9%に過ぎない。

更に、一人当りの電力消費量で

比較すると、地方環礁島の 170~

350kWh/年に対し、マレ首都圏

では約 1,300kWh/年に達し、地

方環礁島とマレ首都圏の格差が

大きくなっている。

STELCO 供給エリア全体では、

2003 年から 2008 年の過去 5 年間

で、発電電力量並びに 大電力ベースで年平均 14%の高い伸び率で増加しており、近年の電力

需要はマレ首都圏のみならず、STELCO が電力供給する主要島においてより大きく増加してい

る。

出所:National Energy Policy-Maldives 2005

図 3.3.2- 1 発電電力量の内訳

合計:37,013 toe

56%20%

3%

6% 9%6%

リゾート島

STELCO(マレ島、ビリンギリ島)

STELCO(フルマレ空港島)

STELCO(主要環礁島)

地方環礁島(コミュニティ運営)

製造業、製氷等

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3-14

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008

発電

電力

量(M

Wh)

合計

マレ島

その他

出所:STELCO

図 3.3.2- 2 STELCO 供給地域の発電電力量

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008

最大

電力

(kW

合計

マレ島

その他

出所:STELCO

図 3.3.2- 3 STELCO 供給地域の最大電力

マレ島、フルマレ島における電力消費の構成として、両島とも住宅用需要家が も大きく、

その内訳としては冷蔵庫(18%)、照明機器(17%)、扇風機(12%)等による電力消費が大きい。

しかしながら、昼間ピーク時間帯には、図 3.3.2-4 に示すとおり住宅用以外の商業・公共施設で

の電力消費割合が約 80%と大きくなるため、デマンドサイドマネジメント(DSM)推進に当っ

ては、住宅用以外のセクターでのエアコン等のエネルギー効率改善によるピーク負荷削減が効

果的である。

なお、マレ島では PV による発電電力量が 大となる昼間時間帯に電力需要のピークが発生

するため、連系 PV システムの導入により、ピーク負荷を削減し、ディーゼル発電設備の発電

電力量を削減することができるが、連系 PV システムの発電電力量は天候条件に左右されるた

め、ディーゼル発電設備により賄われる 大電力を代替することはできない。このような連系

PV システムの限界を補い、経済的な電力系統運用を実現するため、連系 PV システムの普及促

年平均伸び率 = 14%

年平均伸び率 = 13%

年平均伸び率 = 19%

年平均伸び率 = 13%

年平均伸び率 = 12%

年平均伸び率 = 16%

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3-15

進と並行して、昼間時間帯の 大電力抑制や、省電力等の DSM 対策を推進することが重要であ

る。

出所:STELCO

図 3.3.2- 4 マレ島における日負荷曲線

(2) マレ島における需給状況

図 3.3.2-5 に示すとおり、既に開発計画が飽和しているマレ島においては、地方島からの人口

流入に加え、空調機等の普及による電力需要の増加により、発電電力量が顕著に伸びており、

その伸び率は年平均 11~15%を示している。また、 大電力で分析した場合、2008 年の 大電

力が 32MW に達しており、マレ発電所に導入されているディーゼル発電設備の利用可能容量(約

33MW)の約 96%を占めることになり、近い将来に電力需給が逼迫する状況である。

14,755

195,106

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

発電電力量(MWh)

出所:STELCO

図 3.3.2- 5 マレ島における発電電力量

年平均伸び率=13%

住宅用

商業・公共施設

(住宅用以外)

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3-16

3,771

32,618

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

大電力(kW)

出所:STELCO

図 3.3.2- 6 マレ島における最大電力

また、マレ島における電力消費の構成は、住宅用需要家が も大きく、2008 年実績では全体の

46%を占めている。

出所:STELCO

図 3.3.2- 7 マレ島における部門別電力消費の構成(2008 年)

(3) フルマレ島における需給状況

現在開発が進められているフルマレ島では、2004 年の電力供給開始以後、年平均 73%の割合

で発電電力量が増加している。また、 大電力で分析した場合、2008 年の 大電力が約 1.2MW

に達しており、フルマレ発電所に導入されているディーゼル発電設備の利用可能容量(約

1.9MW:老朽化のため 1 号、2 号発電設備は運転中止)の約 58%を占めている。同比率から判

断すると、比較的供給余力があると想定されるが、 大電力の年平均伸び率は 50%程度に達し

ており、マレ島と同様に、電力需給逼迫が目前の状況と言える。2009 年度予算にて 2.5MW の

ディーゼル発電機 1 台を導入する予定であり、当面の逼迫状況は回避できる見込みである。

7%

46%

27%

17%

1% 0% 1%

Domestic

Business

Business Special

Government

Government-Schools

Private-Schools

Others

年平均伸び率=11%

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3-17

824

2,681

4,106

5,810

7,324

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

2004 2005 2006 2007 2008

発電

電力

量(

MWh)

230

500

680

960

1,190

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

2004 2005 2006 2007 2008

大電

力(

kW)

出所:STELCO 出所:STELCO

図 3.3.2- 8 フルマレ島における発電電力 図 3.3.2- 9 フルマレ島における最大電力量

また、フルマレ島における電力消費の構成は、商業用が も大きいが、マレ島からの移住計画の

進行により、住宅用需要家の電力消費が増加していることが分かる。

出所:STELCO

図 3.3.2- 10 フルマレ島における部門別電力消費の構成

3.3.3 電気料金と燃料価格

STELCO の電気料金は、表 3.3.3-1 に示されているとおり需要家別およびマレ首都圏とその他地

域の別によって 4 段階逓増制による従量料金で構成されていた。しかし、近年の原油価格上昇に

よる業績悪化を受け、2009 年 11 月よりマレ首都圏に対しては表 3.3.3-2 に示す新たな料金制度が

適用されるようになった。

表 3.3.3- 1 STELCO の電気料金表(2005 年 7月から 2009 年 10 月まで)

単位:MRf

出所:STELCO

15%

40%

6%3% 1% 2%

33%

Domestic

Business

Business Special

Government

Government-Schools

Private-Schools

Others

2007年 2008年

1%

0%

14%

2%

7%

38%

37%

Domestic

Business

Business Special

Government

Government-Schools

Private-Schools

Others

特別料金

0-100 101-200 201-300 301 0-100 101-200 201-300 301 0-100 101-200 201-300 301 0-∞

マレ 1.60 1.70 2.15 2.20 2.15 2.25 2.65 3.75 3.15 3.25 3.65 3.75 2.35

フルマレ 1.60 1.70 2.15 2.20 2.15 2.25 2.65 3.75 3.15 3.25 3.65 3.75地方島 2.20 2.75 3.50 3.50 2.25 3.50 3.75 3.75

家庭用 政府/公立学校/私立学校 商業用/特別商業用

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3-18

表 3.3.3- 2 マレ首都圏の電気料金表(2009 年 11 月から)

区分 家庭用 家庭用以外

(商業、政府など)

区分 A (0 – 100 kW) 2.25 3.30 区分 B (101 – 300 kW) 2.50 3.35 区分 C (301 – 500 kW) 2.95 3.65 区分 D (501 – 600 kW) 3.55 4.00 区分 E (601 kW 以上) 3.85 4.35

出所:STELCO

注:マレ首都圏に含まれるのはマレ、フルマレ、ビリンギリ、ティラフシの 4 島

2008 年度のカテゴリー別の需要家数は表 3.3.3-3 に示すとおりであり、マレ島だけで全需要家数

の約 55%を占めている。

表 3.3.3- 3 カテゴリー別需要家数

出所:STELCO

表 3.3.3-4 は過去 3 年間のマレ島およびフルマレ島におけるカテゴリー別の電力消費量と平均料

金を示したものである。マレ島およびフルマレ島では、政策的に低く抑えられている料金で電気

を使用している一般家庭による消費が電力消費全体の約 45%を占めている。平均電気料金に関し

ては、2008 年の数値でマレ島およびフルマレ島合計が MRf 2.86/kWh であるのに対して、一般家

庭は MRf 1.93/kWh である。これに対して、商業および政府・学校は MRf 3.65/kWh とマレ島およ

びフルマレ島合計よりも高いことから、一般家庭の料金を低く抑えている分を商業および政府・

学校の料金で補う料金構造になっていることがわかる。また、生産コストの増加に伴い対売電費

用比も年々低下しており、2007 年までは商業および政府・学校の平均料金は単位売電費用を上回

っていたが、燃料費が特に高騰した 2008 年には大幅な低下がみられ、一般家庭だけでなく政府・

学校の平均料金も単位売電費用を下回る結果となった。

表 3.3.3- 4 マレ島およびフルマレ島における電力消費と平均料金

2006 年

消費電力

(kWh) 消費電力シェア

平均料金 (MRf/kWh)

対マレ・フルマレ合計 平均料金比

対売電 費用比

一般家庭 63,192,534 45% 1.91 0.67 0.66 商業 48,372,804 34% 3.64 1.27 1.25 政府・学校 29,934,856 21% 3.65 1.27 1.26 マレ・フルマレ合計 141,500,194 100% 2.87 - 0.99

2007 年

消費電力

(kWh) 消費電力シェア

平均料金 (MRf/kWh)

対マレ・フルマレ合計 平均料金比

対売電 費用比

一般家庭 72,178,416 45% 1.92 0.67 0.64

商業 56,187,496 35% 3.65 1.27 1.21

政府・学校 33,384,524 21% 3.65 1.27 1.21

マレ・フルマレ合計 161,750,436 100% 2.88 - 0.95

家庭用 商業用 政府 学校 公共施設 合計

マレ 17,920 5,663 723 82 82 24,474

フルマレ 762 173 65 3 8 1,011全国合計 34,297 7,892 1,703 195 217 44,304

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3-19

2008 年

消費電力

(kWh) 消費電力シェア

平均料金 (MRf/kWh)

対マレ・フルマレ合計 平均料金比

対売電 費用比

一般家庭 81,287,660 46% 1.93 0.68 0.48

商業 63,299,124 36% 3.65 1.27 0.91

政府・学校 32,970,307 19% 3.65 1.27 0.90

マレ・フルマレ合計 177,557,091 100% 2.86 - 0.71 出所:STELCO の発電量データより調査団が作成。

図 3.3.3-1 は STELCO が STO(State Trading Organization Plc)から調達するディーゼル価格(マ

レ首都圏を対象としたもの)およびシンガポール市場でのディーゼル燃料価格の推移を示したも

のである。2004 年から 2006 年中ごろまでは上昇傾向にあり、2006 年 7 月時点でのディーゼル価

格は 2004 年 1 月時点の価格に対して約 2 倍となった。その後、価格は漸減傾向を見せるものの、

2007 年に再び上昇傾向を示し、2008 年 6 月には 2004 年 1 月時点の価格に対して約 4 倍にまで上

昇した。2008 年 6 月以降、価格は急激に低下したが、このディーゼル価格の上昇が STELCO の財

務状況を大きく悪化させてきている。ディーゼル価格は 2009 年に入ってからは STO 価格で 1 あ

たり約 MRf 7(約 US$ 0.55)前後で推移している。MDP のマニフェストに示されているとおり、

今後石油および燃油製品市場の民間への開放が実現し、運営費の大部分を占めるディーゼル調達

に関して複数の供給者からの購入を検討できるようになれば、燃油コスト自体の縮減につながる

ことが予想される。

出所:STELCO

注:STO 価格はマレ首都圏(マレ、ビリンギリ、フルマレ)のものである。

図 3.3.3- 1 ディーゼル価格の推移

今後の石油価格に関しては、米国 EIA の見通し(U. S. Data Projections、yearly projections to 2030)

によると、2030 年までの発電用燃料の年間平均価格上昇率は 2%となっている。この予測増加率

にもとづくと、2009 年の 1 月から 4 月までの平均価格を基準とした場合、STO 価格およびシンガ

ポール市場価格の 2030 年までの価格変動は図 3.3.3-2 のようになる。

ディーゼル価格の変動

-

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

燃料

価格

(US$/ )

STO価格 シンガポール市場価格

2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年

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3-20

-

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

2025

2026

2027

2028

2029

2030 年

燃料

価格

(U

S$/ )

STO価格

シンガポール市場価格

出所:米国 EIA エネルギー統計データおよび予測値(U.S. Data Projections、yearly projections to 2030)をもと

に調査団作成。

図 3.3.3- 2 ディーゼル燃料価格の見通し(2009 年~2030 年)

3.3.4 マレ首都圏(マレ島、フルマレ島)における発電設備の現況と増強計画

(1) マレ島における発電設備の現況と増強計画

マレ島では、上記の電力需給逼迫に対応するために、STELCO 敷地内の発電所建屋に隣接し

た公道を封鎖して、非常用電源として調達されたディーゼル発電設備(1MW×6 台、米国

Cuimmins 社製)が設置されている。これら発電設備は高速回転(1,500rpm)の非常時及び短時

間過負荷用として運転すべき電源であり、現状のベース電源としての運転を継続するとエンジ

ン、発電機の損傷や効率低下に繋がる可能性がある。非常用電源配備後も電力需要はさらに伸

び続け、可能出力 32,946kW に対し、過去 大電力は 32,618kW(2008 年 9 月 11 日更新)を記

録し、供給予備力が 300kW しかないのが現状である。

かかる状況下 2009 年 2月にはディーゼル発電機燃料系統不具合による 1 台トリップを発端に、

過去 10 年で初めてと言われているマレ島全停電(数時間)が発生するなど、電力需給の逼迫状

況はさらに深刻化している。これに対応するため STELCO では緊急対策として現在の発電所敷

地の西側の政府所有地に政府予算で新たな非常用発電設備(1.6MW×7 台、米国 Cuimmins 社製)

を設置する計画としている。そのうち 2 台についてはコンテナタイプで 2009 年 10 月に、残る

5 台については発電所建屋を建設し、2009 年末までに設置予定である。

さらに非常用電源以外の電源増強計画として、STELCO ではデンマーク DANIDA の支援によ

り、2009 年から「Fourth Power System Development Project」を開始し、ディーゼル発電設備(8MW)

2 台の調達・据付(発電設備基礎については 3 台分)工事を計画してり、2010 年に完了させる

予定である。併せて 3 台目の調達・据付についても 2011 年に予定されている。Forth Power System

Development Project のディーゼル発電設備据付完了後に、公道を封鎖している 6 台の非常用発

電機は撤去される予定である。

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3-21

表 3.3.4- 1 マレ発電所の発電設備(2009 年 6月)

No. エンジンモデル 製造会社

定格出力

(kW) 運転開始

1 12V32D 4,320 1998 年 10 月2 6R32 2,160 1991 年 6 月3 6R32 2,160 1991 年 6 月4 6R32E 2,160 1994 年 3 月5 16V32E 5,760 1996 年 7 月6 18V32LN 6,500 2002 年 9 月7 18V32LN

Wartsila Diesel

6,500 2002 年 9 月8 KTA 50 G3 1,000 2006 年 6 月9 KTA 50 G3 1,000 2006 年 6 月

10 KTA 50 G3 1,000 2006 年 6 月11 KTA 50 G3 1,000 2006 年 6 月12 KTA 50 G3 1,000 2007 年 1 月13 KTA 50 G3 1,000 2007 年 1 月14 QSK60 G6 1,600 2008 年 5 月15 QSK60 G6

Cuimmins

1,600 2008 年 5 月

合 計 38,760 出所:STELCO

図 3.3.4- 1 STELCO 発電所横の公道に設置されているディーゼル発電設備

図 3.3.4- 2 緊急配備非常用発電設備増設用地

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3-22

(2) フルマレ島における発電設備の現況と増強計画

フルマレ島では、2004 年に設置された 2,240kW のディーゼル発電設備(800kW×2 台、640kW

×1 台)により島内の発電所が運転開始した。現在の発電所は、合計 1MW×4 台まで増設でき

るよう発電所建屋、基礎が設計されているが、その後の開発に伴う急速な需要増加に対応する

ため順次増強を行ってきており、2009 年 6 月にも 2 号発電機を 640kW から 1,000kW へ更新し

た。2009 年 6 月時点の合計定格出力は表 3.3.4-2 の通り 4,000kW となっている。その後の将来

計画については、前述のようにフルマレ開発計画が流動的であるために、現状未定であるもの

の既に建屋設計容量限度に達しており、次回の増強には新たな発電所敷地への建設が必要とな

る。

表 3.3.4- 2 フルマレ発電所の発電設備(2009 年 6 月現在)

No. エンジンモデル 製造会社 定格出力

(kW) 運転開始

1 KTA 50 G2 800 2004 年 12 月

2 KTA 50 G2 1,000 2009 年 6 月 3 KTA 50 G2 1,000 2007 年 7 月 4 KTA 50 GS8

Cuimmins

1,200 2008 年 11 月

合 計 4,000

出所:STELCO

3.3.5 マレ首都圏(マレ島、フルマレ島)における配電設備の現況と増強計画

(1) マレ島における配電設備の現況と増強計画

発電所からのフィーダー幹線(Up Stream)については、全て太線化(185sqmm、許容電流 350A)

を完了しており、将来的な増強計画は現在のところ存在しない。幹線以外の分岐配電線につい

ては、新規需要家(新設ビル等)への供給工事に伴い、変圧器の新設・取替が発生するものに

関しては、変圧器新設・取替と共に、付近の必要な配電線を新設または順次太線化している。

しかし、この新設・太線化も偶発的に発生した新規需要家に伴い実施している状況であり、年

間計画書も存在せず、計画的な増強計画とは言えないのが現状である。

STELCO によると、至近に予定されている配電設備増強計画は以下のとおりである。

表 3.3.5- 1 配電設備増強計画

フィーダー No. 区間 ケーブルサイズ [mm2]FD2 58B – 58A 70 → 185

33 – 31A 70 → 185 31A – 47 70 → 185 47 – 39 70 → 185

39 – 90 70 → 185 31A– 25 70 → 185

25 – 31B 70 → 185

FD4

31B – 35 70 → 185

FD6 70 – 40 70 → 185 FD9 41B – 19 70 → 185

出所:STELCO

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3-23

(2) フルマレ島における配電設備の現況と増強計画

フルマレ島においては、需要に対する配電線容量も十分に余力があることから、マレ島と同

様に、新規需要に伴い変圧器の新設・取替および配電線の新設・太線化が必要な個所について

のみ増強工事を実施しており、将来的な増強計画は存在しない。その反面、対象地域の開発計

画に従い、配電系統増強計画は立案されるべきであるが、政治的な判断によりフルマレ島開発

計画は頻繁に内容が変更されるため、配電系統増強計画を作成できないのが現状である。

3.4 太陽光発電設備の普及状況

3.4.1 「モ」国政府並びに他ドナーによる導入

「モ」国では従来、船舶の夜間航行のためのナビゲーション・ライトや離島での通信設備への

電力供給のため、小規模な PV システムが導入されてきたものの、住宅や公共・商業施設への電

力供給には普及が進んでいない。2002 年のエネルギー需給調査結果によると、再生可能エネルギ

ー利用については、一次エネルギー供給の約 2%を占めるのみであり、中でも太陽光発電の割合は、

0.1%以下と極めて小さい。国家エネルギー政策においても、PV 導入のための障壁を緩和するため、

初期投資への補助金制度の創出、関係機関に対するキャパシティ・ディベロップメントの必要性

が指摘されている。

近年は、PV システムとディーゼル発電設備、更に風力発電設備を組み合わせた、ハイブリッド・

システムの導入が進められているが、据付後の維持管理体制が確立されておらず、システムに故

障が発生した場合にはマレもしくは海外からコンサルタントを派遣し、対応する必要がある。

MHTE によると、2009 年 6 月現在で以下のハイブリッド・システムが運用されているとのことで

あるが、稼動状況については現地にて確認する必要がある。

表 3.4.1- 1 「モ」国政府並びに他ドナーにより導入されたハイブリッド・システム

番号 設置場所 資金源 システム構成・容量

1 Alifu Dhaalu環礁Mandhoo島 UNDP (GEF) PV(12.8kWp)+ディーゼル

2 Raa 環礁 Faninu 島 UNIDO PV(5kWp)+風力(3.5kW)+ディーゼル

3 Baa 環礁 Goidhoo 島 UNIDO PV(5kWp)+風力(3.5kW)+ディーゼル

4 Haa Alifu 環礁 Uligamu 島 Maldives Gas PV(2.5kWp)+風力(43.2kW)+ディーゼル

5 Meemu 環礁 Raimandhoo 島 Maldives Gas PV(2.5kWp)+風力(32.4kW)+ディーゼル

6 Gaafu Alifu 環礁 Kondey 島 Maldives Gas PV(5kWp)+風力(10.8kW)+ディーゼル

出所:MHTE

調査団では、同表 1 番の設備について、MHTE、STELCO の技術者とともに現地の運用状況を

調査する機会を得た。本システムは、環境・エネルギー・水省の前身である旧通信科学技術省

(Ministry of Communication, Science and Technology:MCST)にて、ドナーの協力の下、以下の両

プロジェクトの合同実証試験として導入された。

① UNDP と GEF の技術協力による「再生可能エネルギー技術開発応用プロジェクト

(RETDAP:Renewable Energy Technology Development and Application Project)」

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3-24

② フランス環境エネルギー機関(French Agency for the Environment and Energy Management)、

オランダのユトレヒト・エネルギー研究センターの支援による「SMILES プロジェクト

(Strengthening Maldivian Initiatives for a Long-term Energy Supply)」

島内道路屋根上に設置された PV パネル 現在使用されている系統連系用インバータ

JunctionBox

PV Array 12.8 kWp

―  ~

Inverter15 kW

Fe eder A

Power House

Fe eder B

Spare

Diesel Ge nerator 143 kVA

Diesel Gene rator 248 kVA

Diese l Generator 362.5 kVA

Diesel Ge nerator 460 kVA

ManualChangeover

ManualChangeove r

ManualChangeove r

出所:調査団

図 3.4.1- 1 マンドー島に導入された太陽光発電システム

同システムは、2005 年 12 月竣工の時点では、10.5kWp の PV アレイ(75W×140 枚、BP ソーラ

ー社製)と、28kVA と 43kVA の 2 セットの既存ディーゼル発電設備、バッテリー(鉛蓄電池)か

ら構成され、手動のチェンジオーバー・スイッチを切り替え、時間帯や負荷利用状況に応じて、

PV とディーゼル発電設備を切替えて使用していた。しかしながら、PV の導入により電気料金が

値下げされることを島民が期待したため、運用開始後に電力需要が急増し、当初の昼間想定負荷

(20kW)を超過する事態となった。当初の設計では、PV システムの保護機能により、負荷が 20kW

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3-25

を超過すると PV システムは自動解列されるため、昼間は大部分の時間帯でディーゼル発電設備

によりバッテリーを充電するシステムとなった。このため、同設備を所管する MHTE では、2008

年にシステムを改造、現在はバッテリーをシステムから解列し、PV とディーゼル発電設備による

連系 PV システムとして運用されている。

発電所建屋に隣接したバッテリー室には、現在使用停止となっている鉛蓄電池が放置されてい

るが、外観上は使用可能であると考えられるため、別サイトの PV システムもしくはディーゼル

発電所にて流用することが可能である。また、2008 年にシステムが改造された後に導入された系

統連系用インバータについては、表示装置や計量装置が盤外から確認できず、PV パネルが動作し

ているかどうかも不明となっているため、必要な改善策を MHTE に提案、説明した。

同システムが設置されているマンドー島は、人口 373 人、世帯数 68 の散村であり、PV システ

ムを含む電力供給設備は、STELCO ではなく島委員会(Island Community)により運営維持管理さ

れている。発電所、配電線、連系 PV システムの全てが実際には 1 名のオペレータ(技術者では

ない)により管理されており、技術的な問題が発生した場合には、隣接するリゾート島の技術者

に好意で支援してもらい、更に必要に応じてマレ島から電気技術者を派遣してもらう体制となっ

ている。なお、PV システムについて事故時の対応、トラブルシューティングに必要なマニュアル

類は整備されておらず、ハイブリッド・システムとして必要な運転切替え方法のみ、制御室内の

壁に貼られている状況である。

3.4.2 我が国の支援による導入

「モ」国では、2005 年 3 月より貴機構によるスマトラ沖地震対応の緊急開発調査として、「地

方島津波災害緊急復旧・復興支援プロジェクト」が実施された。同調査では、公共インフラの緊

急的な復旧を支援するため、マレ島から約 250km 離れたラーム環礁のガン島およびフォナドー島

にて、我が国のノンプロ無償スキームを利用して、行政施設再整備計画(連系 PV システムを含

む)を計画・立案した。同行政施設(合同行政庁舎、島事務所)の PV システムは、既存の 400/230V

低圧配電線と系統連系されており、配電線事故時においても非常時用の緊急負荷へ電力供給が可

能なシステムであり、津波など災害時における避難場所として、2006 年から運用が開始されてい

る。

本調査期間中に、現地の運用状況を確認したところ、両施設ともに連系 PV システムは順調に

動作していることが確認できた。ただし、将来の蓄電池更新を見据えた、必要な予算割当てが行

われていなかったことと、連系 PV システムによる余剰電力量の計量・料金徴収方法が運転員に

十分周知されていなかったため、調査団からアトール・カウンセラーに対して改善点を説明し、

今後改善していくことが確認された。同システムのブロック図、及び代表的な機器の仕様を図

3.4.2-1 に、システムの動作状況を図 3.4.2-2 に示す。

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No. 機器名称 合同行政庁舎 島事務所 1 太陽光アレイ(175W) 11.2 kW 5.6 kW 2 パワー・コンディショナー 10 kW 10 kW 3 グリッド・バックアップボード 1 set 1 set 4 蓄電池 288V 220Ah 288V 100Ah 5 変圧器 15kVA 及び 5kVA 15kVA 及び 5kVA

出所:調査団による

図 3.4.2- 1 ノンプロ無償により導入された連系 PV システムの構成

太陽光発電出力表示装置

(島事務所)

太陽光発電アレイ

(島事務所)

計量装置(上段:余剰電力量計量用、下段:

消費電力量計量用)(島事務所)

グリッド・バックアップボード(島事務所)

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3-27

パワー・コンディショナーと連系用変圧器

(合同行政庁舎)

MHTE 職員、発電所運転員への技術指導

(合同行政庁舎)

出所:調査団による

図 3.4.2- 2 ノンプロ無償により導入された連系 PV システムの動作状況