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新たな国家プロジェクト(未来開拓研究) に係る評価のあり方について 平成243経済産業省 産業技術環境局 技術評価室 第43回評価小委員会 資料12

新たな国家プロジェクト(未来開拓研究) に係る評 …...新たな国家プロジェクト(未来開拓研究) に係る評価のあり方について 平成24年3月

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Page 1: 新たな国家プロジェクト(未来開拓研究) に係る評 …...新たな国家プロジェクト(未来開拓研究) に係る評価のあり方について 平成24年3月

新たな国家プロジェクト(未来開拓研究) に係る評価のあり方について

平成24年3月

経済産業省 産業技術環境局

技術評価室

第43回評価小委員会

資料12

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目次

1.当省の研究開発の動向・・・2 (1)企業の研究開発の状況(縮小・短期化・重複) (2)国の研究開発の状況 (3)未来開拓研究開発制度の創設 2.未来開拓研究に係る共通基盤的な評価等・・・6 3.過去の国家プロジェクトの事例紹介(第5世代コンピュータープロジェクトの追跡評価研究) ・・・7 4.未来開拓研究に係る共通基盤的な評価等とFGCSプロジェクトの追跡評価を踏まえ

た課題と対応案・・・9 5.海外での取組・・・11 6.未来開拓研究に係る評価のあり方(案)・・・17 (1)評価小委員会による事前評価の充実 (2)産技ユニット及び事業所管課による進捗状況等調査の実施 (3)事業所管課による体制構築及び評価小委員会による確認

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○我が国企業の研究開発費は、リーマンショック以降、2年連続で縮小。2009年度は対前年比▲12%。

○企業の研究開発の大部分は、既存技術の改良。将来の成長の糧となる中長期的研究開発への投資は薄く、かつ減少傾向。このままでは、画期的な新製品等の開発に向けたイノベーションが枯渇する懸念。企業間の重複投資も大きい。

1.当省の研究開発の動向(未来開拓研究開発制度の創設) (1)企業の研究開発の状況 (縮小・短期化・重複)

【平成22年度産業技術調査(オープンイノ

ベーションに関する企業アンケート) (回答数:824社)】

重複している 62%

重複していない 38%

問:自身の研究開発のうち、他社と重複していると認識している割合

市場開拓型研究

非連続型研究

9割程度 1割程度

1~2%

例)自動車のモデルチェンジ、 携帯電話の「春・夏モデル」

既存技術の改良 (事業化まで3年以内)

既存技術

改良型研究

※研究開発投資の多い企業約50社の技術担当役員から上図のように3分類した場合の構成比を聞きとった結果から推定したおおよそのイメージ

2 出所:2011年科学技術研究調査 (年度)

(兆円)

企業の研究開発費

15

15.5

16

16.5

17

17.5

18

18.5

19

19.5

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

震災・ 円高の 影響?

急減

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○近年は、国の研究開発も短期化傾向。他方、石油ショック後のサンシャイン計画やムーンライト計画等の長期的な取組みは、太陽電池や燃料電池で我が国が世界をリードした重要な要因。

○国の研究開発は、基礎研究等を担う文部科学省と経済産業省を含む各省庁の連携が極めて重要。

1.(2)国の研究開発の状況

学術

事業

大学36%

経産省

16%

文科省67%

厚労省4% 農水省

3%

その他

8%

国防総省54%

国立衛生研究所20%

国立科学財団3%

航空宇宙局 8%

エネルギー省7%

その他7%

米国 13兆9,500億円

(2010年)

日本 3兆6485億円

(2011年度)

防衛省3%

【経済産業省調べ】

科学技術関係予算の配分構造(日米比較)

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グローバルな知の戦略的な活用

1.(3)未来開拓研究開発制度の創設

官民の総力を挙げた取組を実現

<文部科学省・経済産業省合同検討会の設置>

中長期的に取り組むべき革新的技術の選定やプロジェクトの推進体制について、方針を共有。

<ガバニングボードの設置>

プロジェクト間の連携実現のため、「ガバニング・ボード」を設置。研究課題の調整、特許等の成果管理、人材交流、設備共用等を促進。

厳格な中間評価等を前提に、必要な予算を中長期的に確保。

技術と事業の両面で世界で勝てる、厳選された産学官メンバーでチームを構成。

各省プロジェクトの連携推進

官民の強力なコミット

成果重視の「ドリームチーム」

技 術 の 選 定 ( 3 要 素 )

再生可能エネルギーの普及に向けた太陽電池や蓄電池の飛躍的性能向上を図る「電池革命」

世界に先駆けて成長と環境調和の完全両立した社会を構築する「エネルギー損失ゼロ革命」

限りある石油資源に依存する社会構造からの脱却に挑戦する「脱石油革命」 ・社会へのインパクト大 ・研究開発のリスク大 ・我が国に強み

○日本再生に貢献する、夢のある技術開発を国主導で推進するため、「未来開拓研究開発制度」を創設。

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平成24年度から実施する未来開拓研究 - エネルギー損失ゼロ革命、脱石油革命 -

高効率モーター モーターの高効率化によりエネルギー損失を25%削減

高効率モーター 次世代自動車、家電

必要性

海外の動向・日本の強み

○現在の磁力の2倍の磁力を持つレアアースフリー磁石等を開発。 ○モーターのエネルギー損失の約25%を削減。

○日本は磁石の基礎研究で先行(東北大等)。現時点で圧倒的な強み。 ○米は政府投資で猛追、中国も技術・資源の囲込み。

○電力消費の過半を占めるモーターの省エネは最重要課題。 ○モーターの材料を中国からのレアアース(ジスプロスシウム等)に依存。

中国依存からの脱却が急務。

事業内容・目標

革新的触媒 人工光合成により、石油に依存せずプラスチックを供給

○米国は政府プロジェクトで5年で約100億円を投資。 ○触媒技術は、ノーベル化学賞の野依良治、鈴木章、根岸英一教授らを

擁する我が国が他国を圧倒。

○CO2と水を原料に太陽エネルギー(人工光合成)でプラスチック原料等基幹化学品を製造。人工光合成の効率を抜本的に(30倍)向上。

○基幹化学品の20%を本プロセスで製造(2030年)。

海外の動向・日本の強み

必要性

○石油の価格上昇や枯渇リスクに直面する中、石油に依存しない化学品製造に高い期待。資源問題、環境問題を同時に解決。

CO2水石油

イメージ図

事業内容・目標

光エレクトロニクス サーバー内部まで配線を光化し、3割省エネ化

○サーバー電力の約3割削減が期待されるLSI間等への光技術の開発。 ○レーザーダイオードや受光素子等の要素技術を集結し、光電子ハイブリッド回路を確立。

必要性

○日本は青色ダイオードを開発する等、「光」半導体の分野で世界をリード。半導体分野で、日本の復権を目指す。

海外の動向・日本の強み

○IT機器の電力消費は、今後15年で4倍の2500億kWh(現在の総電力量の1/4)に急増。 ○電子回路の微細化等による省エネは限界。更なる省エネ化には、光の導入等の抜本的な

技術革新が必要。 事業内容・目標

DRAMCPU GPUFPGA

光配線

サーバー 基板

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平成24年度予算額 28億円

平成24年度予算額 20億円 平成24年度予算額 16.5億円

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2.未来開拓研究に係る共通基盤的な評価等

○ (「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」に関し)当面する技術的な進捗度の評価や、その実用化に伴う新しい課題の探索・解決などの学習型の仕組み作りを試みる等、プログラム設計とその運用に配慮しながら進めていただきたい。(平成23年7月22日 産業構造審議会 評価小委員会 指摘事項)

○ ( 「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」に関し)研究開発を進

める上では、開発する材料のスペックだけでなくコストも含めた多面的な評価を行い、分散型開発体制から始め、競争しながら段階的な絞り込みを行って、より大きな資金を有望な案件に投入できる仕組みを作るなど、目的に合わせてプログラム設計や工夫をしてほしい。(平成23年7月22日 産業構造審議会 評価小委員会 指摘事項)

○外部評価を厳格に実施し、状況の変化に応じてプロジェクトの内容を柔軟に見直す仕組みを導入すること。(平成23年8月15日 産業構造審議会 研究開発小委員会 提言)

○ (「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」に関し)長期に及ぶプ

ロジェクトであることから、国際競争の視点に立って、プロジェクト全体としての目標を明確にしつつ、柔軟に計画の見直しを行っていくことが必要である。(平成23年12月15日 総合科学技術会議 「国家的に重要な研究開発の評価について」)

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3.過去の国家プロジェクトの事例紹介(第5世代コンピュータープロジェクトの追跡評価研究)

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• 研究の概要 – 内閣府経済社会総合研究所委託事業『イノベーション政策及び政策分析

手法に関する国際共同研究』の一環として、(財)政策科学研究所が実施 (2006年度~2007年度)。

– 第5世代コンピュータ(FGCS)プロジェクトを分析対象とする

• 我が国発の新たなコンピュータ技術開発を目指した野心的プロジェクト

• 我が国における産学官連携プロジェクトのさきがけの1つ

• 研究者の思想とイニシャテイブが貫徹したプロジェクト

• 実績に関する賛否両論。実施後15年以上が経過、社会的・経済的な 価値を産み出すまでに長い年月を要する研究開発の検証材料に

• 研究の体制

• (財)政策科学研究所による調査・分析と研究会の運営

• 研究会の体制(所属は当時)

木村 英紀 (独)理化学研究所BSI/トヨタ連携センター長(座長)

狼 嘉彰 慶応義塾大学理工学部システムデザイン工学科 教授

本間 弘一 (株)日立製作所システム開発研究所 主管研究員

杉江 衛 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授

宮田 秀明 東京大学大学院工学系研究科 教授

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• プロジェクトの目的・目標 – 目的:知識情報処理を指向し、並列処理と知識ベースを用いる推論処理を

基本メカニズムとする技術体系の確立 • 「90年代に実用化されるべきコンピュータ・システムとは何か」という観点から構想

– 研究開発目標:論理型プログラミング言語をベースと した高速な並列推論マシンの開発

• 1000台規模のプロセッサを並列に稼動。100 MLIPS(推論を毎秒1億回行う)以上の性能を目標。基本応用システムとして、機械翻訳システム、質問応答システム、音声応用システム他を開発の目標

• プロジェクトの予算、期間

– 予算:総額約541億円(前:83億, 中:216億, 後:242億)+基盤化PJ約28億円 – 期間:10年計画(結果的に11年) (前:3年, 中:4年, 後:4年) +基盤化PJ2年

• プロジェクトの体制 – 検討段階(79~81):調査研究委員会等 – 研究実施段階(82~92):(財)新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT) – フォローアップ(基盤化)段階(93~94):ICOT • プロジェクトに対する評価-これまでの視点 – 達成度(できたかできないか)の観点からの評価がほとんど

• 学術的・技術的価値や、AI分野の研究における国際交流、研究者育成という社会的な貢献はあったが、産業技術の分野に寄与する成果が著しく少なかった、というおおよそ共通する評価

– 成功か失敗かについて、プロジェクトの性格を基礎研究とみるか応用研究とみるかで評価が分かれる

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(課題1)大規模プロジェクトの場合、複数の目的・目標が並立し、それらの間でトレードオフや矛盾が起こる場合がある。目的・目標に多様な解釈の余地やあいまいさを残しておくと、たとえ事後的にきちんとした評価を行っても信頼されない。また、問題領域は、プロジェクトの所掌範囲を常に超える一方、常に成果を問われる。

(対応案1)国民から信頼されるよう説明責任を果たし事後的に改善

課題を見いだしていくには、事前の段階で、目的・目標の関係を整理(構造化)し、検証可能な形で表現しておくことが必要ではないか。

研究開発プロジェクトの成果(直接的には科学技術)を本来の目的である社会経済的付加価値の創出まで確実に行き着ける手段を想定、プロジェクトを展開、補完する制度を付加していく=プログラム化が必要ではないか。

4.未来開拓研究に係る共通基盤的な評価等とFGCSプロジェクトの追跡評価を踏まえた課題と対応案

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(課題2)研究開発への投資は、挑戦的な課題であればあるほど成果が社会的・経済的な価値に転換するまでに時間がかかるという長期性にまつわる問題があることに加え、そもそも研究開発の成果が生まれるかどうかは事前には確定できず、本質的に不確実性を持つ。プロジェクトを取り巻く環境も一定ではなく、変化する。

(対応案2)時々刻々と変化する環境を把握し、その情報をプロジェクトマネージメント等に活かすためのシステム(進捗状況等調査)が必要ではないか。

(課題3)研究開発やその成果の普及・展開の担い手である企業等の

関心が持続しなければ、プロジェクト終了後に事業化等へつながりにくい。

(対応案3)価値の実現までを考えると、早期の段階で研究開発やその成果の普及・展開の潜在的な担い手である主体(関連企業等)を巻き込んでいくことが必要ではないか。また、成果の受け手である国民等の懸念を解消するよう工夫することが必要ではないか。

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(対応案1)国民から信頼されるよう説明責任を果たし事後的に改善課題を見いだしていくには、事前の段階で、目的・目標の関係を整理(構造化)し、検証可能な形で表現しておくことが必要ではないか。

研究開発プロジェクトの成果(直接的には科学技術)を本来の目的である社会経済的付加価値の創出まで確実に行き着ける手段を想定、プロジェクトを展開、補完する制度を付加していく=プログラム化が必要ではないか。

(海外事例1)英国におけるROAMEFシステム プログラムの立案段階で、次の項目が詳細に記述されていることを求める(Alvey Programmeの追跡評価から得られた教訓)。

- プログラム設定の理由・位置づけ(Rationale) - 検証可能な目的(Objectives) - プロジェクトの事前評価(Appraisal) - 途上評価(Monitoring) - 事後評価(Evaluation) - 評価結果のフィードバック(Feedback)

5.海外での取組

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(対応案2)時々刻々と変化する環境を把握し、その情報をプロジェクトマネージメント等に活かすためのシステム(進捗状況等調査)が必要ではないか。

(海外事例2ー1)英国Alvey Programmeにおけるリアルタイム評価制度 1)プログラム開始直後から、研究開発推進側とは別の外部評価者が定期的に主題毎の報告書を管理者にフィードバック

知財に係る問題等、多くはプログラムに付随する複雑な問題 プログラムの抱える問題点を専門性を持った外部の第三者が常時把握、プログラム・マネジメントの改善に活用。

2)プログラム終了の2年後に最終評価報告書を提出 アウトカムを含めた実績や、プログラム実施期間中には顕在化しない 長期的視点からの問題点を把握するとともに、次の取り組みのための 教訓を導出。(単なるアカウンタビリティのための評価ではない) プログラムを管理する担当課の所掌範囲を超える問題の存在。プログラ

ム・マネジメントの改善だけでは追いつかない問題を把握。

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(海外事例2ー2)英国・国立科学・技術・芸術基金(NESTA)における ラーニング・パートナー制度 外部にいながらプロジェクトと協働・連携するラーニングパートナー(LP)を常に 確保し、機能させる仕組み( Neighbourhood Challenge プログラム等 )

LPは、信頼できるデータをもとに語る経済専門家や、社会的イノベーションをよく理解している社会科学者などで構成、LPとの継続的な連携により、プロジェクト内

に不足する専門性を効果的に補完することを通じて、プロジェクト・マネジメントの改善を効果的に行う。

(海外事例2ー3)英国・NESTAにおける政策提言活動 プロジェクトの取り組みのプロセスを観察、比較することを通じて、どういったやり方

がより根本的で、大きな問題解決(CO2の大幅削減)につながるのかといった政策研究を、プロジェクトと並行して実施。

プロセスを分析することで問題解決に役立ちそうな知見と普及のモデルを見出し、それを国や他の関連主体への提言につなげていく。

プログラムとしての中心的な活動の1つとして、提言を行うためのエビデンスづくり

が含まれていること、また、提言内容の実現に向けて、問題解決の直接の手段を持たないNESTAがその手段を持つ他の主体に対して積極的に働きかけるなど具体的な行動を起こしていくことまでを担っていることに特徴。

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(対応案3)価値の実現までを考えると、早期の段階で研究開発やその成果の普及・展開の潜在的な担い手である主体(関連企業等)を巻き込んでいくことが必要ではないか。また、成果の受け手である国民等の懸念を解消するよう工夫することが必要ではないか。

(海外事例3ー1)オランダ技術財団(STW)のオープン・テクノロジー・プログラム

「イノベーションは計画できないが、イノベーションのために何が必要かを常に意識し、教訓を引きだす」という考えに基づき、プロジェクトの提案段階で実用化計画を仮説的に提出させ、それを参照しながら、モニタリングを実施。

プロジェクトの実施期間中、研究開発成果の潜在的ユーザーから構成される委員会をプログラム運営側が組織し、助言を行うというシステムを採用。追跡評価において、これらのユーザーに対しての調査を実施、効率的・効果的に知見を得ることに成功。

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(海外事例3-2)米国ナノテク・イニシアチブ(NNI)における評価

(省庁横断的な取組)

省庁横断的な調整組織であるナノ科学・工学・技術小委員会(NSET)の中に、1)国際的課題、2)健康・環境に関する影響、3)イノベーションや産業界との連携、4)公衆参加やコミュニケーションといった4つの

分科会を設置、それらの課題に対する取り組み状況や現状を表す多様な指標を設定し、モニタリングを実施。それらの結果を、各省等における政策立案・見直し等に反映するよう各省に勧奨。

(ナノテク関連の取組)

ナノテク関連の研究開発プロジェクトについて、企画立案段階からプロジェクト終了後に至るまで、次のような観点で継続してモニタリングを実施(リアルタイム・テクノロジーアセスメント):1)プロジェクトが直接

/間接に及ぼしうる社会的・経済的影響(現状把握と将来における見積);2)市民の価値観(研究開発、政策的措置、社会的理解の進展に伴う変化);3)研究者の意識(プロジェクトに関与するモチベーションの変化)。

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6.未来開拓研究に係る評価のあり方(案)

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(対応案1)国民から信頼されるよう説明責任を果たし事後的に改善課題を見いだしていくには、事前の段階で、目的・目標の関係を整理(構造化)し、検証可能な形で表現しておくことが必要ではないか。

研究開発プロジェクトの成果(直接的には科学技術)を本来の目的である社会経済的付加価値の創出まで確実に行き着ける手段を想定、プロジェクトを展開、補完する制度を付加していく=プログラム化が必要ではないか。

(対応案2)時々刻々と変化する環境を把握し、その情報を

プロジェクトマネージメント等に活かすためのシステム(進捗状況等調査)が必要ではないか。

(対応案3)価値の実現までを考えると、早期の段階で研究

開発やその成果の普及・展開の潜在的な担い手である主体(関連企業等)を巻き込んでいくことが必要ではないか。また、成果の受け手である国民等の懸念を解消するよう工夫することが必要ではないか。

(1)評価小委員会による事前評価の充実

(2)産技ユニット及び事業所管課による進捗状況等調査の実施

(3)事業所管課による体制構築及び評価小委員会による確認

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6.未来開拓研究に係る評価のあり方(案) (1)評価小委員会による事前評価の充実

17

○事前評価項目「事業の目的・政策的位置づけ(新規研究開発事業の創設)の妥当性」を未来開拓研究の主旨に照らして詳細化し、充実させる。 (中間評価・事後評価の項目も同様に改める)(黒字が既存の項目、赤字が追加項目)

1.技術に関する施策の概要

2.新規研究開発事業の創設における妥当性等について ①事業の目的及び実施によるアウトプット、アウトカムについて(研究開発の定量的目標、社会的課題への解決や国際

競争力強化への対応等) • 実現した場合の経済や競争力、問題解決に与える効果の程度及びそこに至るまでの経路 (10年間に及ぶ長期の研究において、何年後に何をクリアーする予定か) • 成果のユーザーの段階的イメージ・仮説 (技術開発成果の直接的受け手や社会的インパクトの実現までのカギとなるプレイヤーは誰か)

②事業の必要性について(出口を見据え成果を社会へ普及させる戦略(研究開発のみならず、実証や性能評価・標準化等を含む実用化に向けた取組等))

• 実現を阻害する要因(関連法令や知財等の問題)についての仮説とそれらを克服するための手段についての想定(複数の仮説を検討したかどうか、また、複数の仮説のうち何故その仮説が妥当と考えたのかという点を含む)

③次年度に予算要求する緊急性について ④国が実施する必要性について(未来開拓研究、民間とのデマケの整理等)

• 科学技術的価値の観点からみた卓越性、先導性 (我が国が強みを持ち、世界に勝てる技術分野か、また、他の研究分野等への高い波及効果を含む)

⑤省内又は他省庁の事業との重複について

3.新規研究開発事業を位置付けた技術施策体系図等

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6.(2)進捗状況等調査の実施

18

○産技ユニット及び事業所管課が以下のような進捗状況等調査を実施する。

研究開発実施者

事業所管課 進捗状況等調査実施者

市場等

①研究開発の委託等

②進捗状況等調査実施者に依頼する事項の相談・調整

③進捗状況等調査の依頼

④世界的な市場動向や技術動向等の調査

⑤研究開発の進捗状況等調査

⑥研究開発の進捗状況等報告

⑦進捗状況等調査結果の報告

⑧研究開発の今後の方向性等について協議

⑨(必要に応じ)研究開発の今後の方向性等について指示

⑩(適宜)進捗状況等調査の結果及びそれを踏まえた対応等を報告

①、⑨ ④

・進捗状況等調査の内容及び報告頻度等

進捗状況等調査はプロジェクトマネジメントに活かすことが主目的であることを念頭に置きつつ、進捗状況等調査の内容、委託先等については以下の内容をベースにして、詳細は産技ユニットと事業所管課が相談・調整して決定することとする。

(内容) 次ページ参照

(実施者) 経産省の責任で実施することを前提としつつ、必要に応じて民間調査機関等に委託(産技ユニットで予算措置)

(報告頻度) 1年に3回程度

⑦ ⑧

産技ユニット

評価小委員会

経産省

民間調査機関等を活用する場合のスキーム ②

⑤(必要に応じて調査に参加)

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進捗状況等調査の内容

1.プロジェクトを完遂させるための内的環境について ①進捗状況等調査の実施方法

進捗状況等調査実施者(以下、「調査実施者」と言う。)が、研究開発を実施する組合等(以下、「組合等」と言う。)からヒアリングを行う。

②ヒアリング対象者

組合等のプロジェクトマネージャー等の責任者及び組合等に加入している各企業の担当者等

③産技ユニット及び事業所管課への報告内容 ヒアリング対象者から研究開発の進捗状況等について聴取した内容 2.プロジェクトの方向性等を左右する外的環境について ①進捗状況等調査の実施方法

調査実施者が、市場動向や技術動向に係る文献等を調査する。 ②産技ユニット及び事業所管課への報告内容

組合等が実施している研究開発の内容等と、世界の市場動向や技術動向との関連性を整理したもの

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6.(3)事業所管課による体制構築及び評価小委員会による確認

20

○事業所管課においては、早期の段階で研究開発やその成果の普及・展開の潜在的な担い手である関連企業等(以下、「ユーザー」という。)を巻き込むとともに、ユーザーの意見が研究開発の方向性等に反映することができるような体制を構築する。

→産業構造審議会 研究開発小委員会 提言(平成23年8月15日) において「この戦略共有の枠組みには、想定されるユーザー企 業(必要に応じて外国企業も検討)が参加すること。」と記載さ れており、指摘済み。 ○評価小委員会は、事前評価のタイミングで、上述の体制が構築されて

いるかどうか、また、中間評価のタイミングで、上述の体制が機能しているかどうか、を確認する。