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元気な地域コミュニティのあり方 北星学園大学 経済学部 経営情報学科 鈴木 克典 2018.10.12 18:00~20:30 札幌市 町内会に関する条例を考えるシンポジウム

元気な地域コミュニティのあり方 · 元気な地域コミュニティのあり方 北星学園大学 経済学部経営情報学科 鈴木克典 2018.10.12 18:00~20:30

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元気な地域コミュニティのあり方

北星学園大学経済学部経営情報学科

鈴木克典

2018.10.1218:00~20:30

札幌市

町内会に関する条例を考えるシンポジウム

今回の地震による教訓

市内も一部の地域において、家屋・日常生活に大きな被害をもたらす : 謹んでお見舞い申し上げます

【全体的】 想定外の大規模停電(ブラックアウト)• 地域によって停電していた時間に差はあるものの、長時間に亘る電気のない状況により、日常生活に大きな影響

• あらゆる時間帯、時期での発生リスクにも備える必要。• 特に冬季厳寒期、夜間に発生するリスクも想定する必要

• 町内会など地域コミュニティにおいて、多くの共助事例いずれどこかの場において、防災の課題や各家庭での対処方法などと併せて、共助事例の情報収集・情報共有等が必要(要望)

大まかな内容と流れ

【ご説明】 これまでの(地域コミュニティ)検討の流れ

地域コミュニティの必要性とその役割

町内会活性化のためには

条例に期待すること

これまでの検討の流れ

さっぽろ地域コミュニティ検討委員会• 平成27年11月5日~平成28年11月4日任期• 平成28年8月29日報告書手交式• 「コミュニティの活性化」を目的として

「地域におけるコミュニティの目指すべき姿」

「地域コミュニティ活動の活性化」

町内会に関する条例検討委員会• 平成30年1月17日~平成31年1月16日任期• 平成30年5月7日(月) 提言書手交式• 「町内会に関する条例」について

「町内会に関する条例のあり方」

「町内会の活性化に資する方策」

詳細は、報告書・提言書を

ご参照ください(市HP掲載)

地域コミュニティの必要性とその役割(1)必要性

• 私たちの生活には様々なつながりが存在• 「つながり」例:家族・親戚

友人・知り合い– 同窓、サークル活動、クラスメイト・・・– 同僚などの職場関係、上司・部下・・・– PTA、おやじの会など学校・子ども関係、近所づきあい・・・

• 「つながり」の距離感(物理的、心理的、頻度等)も様々+多様な(生活・考え方等)方々の存在

地域的なつながりにより効果が発揮できるものもある

出典:コミュニティ検討委員会報告書

地域生活上の

自分だけが良いということであれば不利益が生じる

地域コミュニティの必要性とその役割(2)様々なつながりは重要ですが・・・

• 地縁=地域(近隣)におけるつながりも必要地理的な(距離感)のつながり(緩やか~濃い)

• 地域のつながりの必要性→ それぞれの役割に?安心・安全:防犯(治安、街路灯)、防災(共助)、交通安全等

– (何となくでも)見かけない人が歩いている(認知)

環境美化(花壇の整備)– 各世帯・敷地における清掃等← 参考)割れ窓の理論

ごみ(ステーション)、雪(除排雪)– 各世帯のみで完結しない→ 地域での協力・理解

交流(地域福祉、子育て、レクリエーション、スポーツ、文化活動)– 行事参加、普段見かける(認知)、挨拶

「緩やかさ」も混在(→許容・受入)する地理的コミュニケーション

お互いに関連・融合

地域コミュニティの必要性とその役割(3)地域コミュニティとは?

• 「コミュニティ」:地縁、血縁、文化的背景、価値観などに基づく共同体

• 「地域コミュニティ」:「コミュニティ」のうち、地縁的な要素の大きいもの

地域コミュニティの中で• 公的な共助を目的・目標として、任意に組織されている「町内会」が最も重要という認識

→ 地域・地区でどう活かしていくかがカギ(重要)!

地域コミュニティと町内会

地域コミュニティにおける町内会• (個人的な)「近所づきあい」で十分?向こう三軒両隣など、狭い範囲になる可能性

PTA・サークル活動等の他のコミュニティによるものなど限定的になる可能性

同世代に偏る可能性

⇒限定的・近視眼的になりやすい

⇒弊害が生じる可能性

• 「町内会」 : 地域で網羅的・公平的組織が必要→ 地域で上手く活用する・機能させる

地域における住みやすさなど価値も向上

町内会の原点→ 視点のご提案町内会に関する考え方・視点の持ち方

• 住み良い地域にしていくために、地域住民がそれぞれの関わり方で協力(様々な形が存在)する

→ それらを集めたものが町内会

• 企業組織ではなく、地位としての上下関係もない(お互いの敬いの心は重要)

• あまり肩を張らず、できることをできる範囲で楽しんで(広義)・・・

町内会活性化のためには(1)しっかりとした現状把握

• 地域によって、状況が多様(参考:戦略的地域カルテマップ)新しい参加者の取り込みが重要

• 若い世代等自分の地域には(足り)ない発想を!• マーケティングの発想:CS(カスタマーサービス:顧客満足)

まちのユニバーサルコミュニケーション• まちのユニバーサルデザイン• 心のユニバーサルデザイン・バリアフリー

【参考】 ユニバーサルデザインの定義

ユニバーサルデザイン(Universal Design)• 一般的に「文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することのできる施設・製品・情報の設計(デザイン)」をいう。

• 厚生労働省「あらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方」

• 実際には「製品や環境をできるだけすべての人に使えるようにデザインしようとするアプローチである」という意味合いで使用されている。

参考:http://ja.wikipedia.org/

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【ユニバーサルデザイン】 多様な人の視線に立って

地域には、多様な考えの人(住民)がいることを前提に

• その(ような)人に合った仕掛け(アプローチ)を増やしていく無理に行事を増やすということではありません

→ 既存の活動の中での工夫からひょっとして仕掛けによっては参画していただけるかも?

その人に合った適度な距離感も重要

• (他地域の成功事例がそのまま当てはまらないが)GP(グッドプラクティス)を情報交換する場・媒体が重要

• 注)多様な→世代、性別、世帯構成、ライフスタイル、子育て、リタイア・・・+ 腰が痛い、病気がち等々

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【例】 ユニバーサルデザイン適用の実際

【前提】 町内会活動を担って来ていただいたの新旧の役員の方々に深く敬意を表します

(例)シニア世代「最近の若い者は・・・」

若者世代「最近の大人(高齢者)は・・・」

• お互いにそのように思っている(フシがある?)• 学生に対して、そのように思うこともありますが、興味があることにハマると能力を発揮することがあります。→ 町内会も同じ?

• 例)ある「おやじの会」のケース子供のために/自分たちも楽しむ(学校関係)→ 地域のために

町内会活性化のためには(2)新しい参加者の取り込みが重要

• 若い世代等自分の地域には(足り)ない発想を!• マーケティングの発想:CS(カスタマーサービス:顧客満足) → ユニバーサルデザインの考え方が重要

• 札幌市の町内会・自治会への活動活性化支援町内会未来塾、大人のピクニック~良事例見学会~、町内会アドバイザー派遣

町内会活動のヒント等の冊子– 「改訂版 町内会活動のヒント」(H26)– 「あたらしい町内会へ-若い人を巻き込む町内会づくり読本-」– 「町内会への加入声かけ参考書~町内会活動のヒント別冊~」

その他の応援(支援)策もあり

町内会活性化のためには(3)

町内会の意義や役割を知って(感じて)いただき、まずは関心・認知度を高めることから始める

• 住民自ら参加したいと思えるように、世代や感覚の違いを踏まえたアプローチ

地域によっては住民だけでなく地域の各種団体との連携(仕掛けにより飛び地も可能)も活性化のポイント

• 団体:【若者の宝庫】 学校(幼/保・小中高・大專)、施設、企業、NPO等

• 例)学校:まちなか教室、インターンシップ、企業:社会貢献、NPO:ミッション

町内会活性化と条例

町内会活性化を実現していくために、条例をどう捉えるか

• 押し付けるもの制限するものではない• 解決するための方策ではありません• 札幌市(役所&市長)の応援宣言でもある(私見)

• 位置づけ理念条例→ まち育ち(まちの維持?)の精神どう活かしていくか、育てていくかの視点が重要

活動の後押しになるようしていく(声をあげる)

町内会に関する条例のポイント(私見)

「町内会」を明確に位置づけた条例• 現場目線での活性化に焦点• 既に「札幌市自治基本条例」「札幌市市民まちづくり活動促進条例」ある中での制定

「町内会の役割」の他「市の責務」も位置づけ• 札幌市(行政)からの支援(応援)も期待できる?現在も多くの支援制度→ PDCA&スパイラルアップ

「事業者の役割」も位置づけ

※PDCA:Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価) →Action(改善)

条例に期待すること

• 条例により、地域コミュニティ・町内会の課題が全て解決できるわけではありません。

町内会でご活躍・ご苦労されている方々が期待するのは理解できます。

課題解決の手段としては・・・

過度の期待はしておりません

「条例を契機にして、町内会活動にどのように活かし、育てていくか」が鍵

敢えて?乱暴な言い方で申し訳ございません・・・

私の条例への期待

「町内会」に焦点を当てた条例制定に敬意

条例制定により• 市民による町内会活動を現場目線でのサポート、支援・応援していただくための具体的な施策の検討(PDCAによるスパイラルアップ)を民学官(産)ご一緒に!

• 町内会活動に関する情報共有・情報発信の活性化• 住民:「知る」→「興味(分野)の発見」→「参加」→「参画(緩やか<手伝い>~濃い)」→「アイデア」→「企画(係~役員)」黄緑色部分は(広義)の担い手と考えられる?

• PTA・おやじの会~企業・NPO等の各種グループ・団体の地元(住民としての)意識の醸成と貢献

• 町内会交流→ 町内会連携(姉妹)協定へ※企業、施設、他市町村等とも

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【参考】 おどろき!ヒント事例の紹介

京都「醍醐バス」• 住民自らバス会社の設立にかかわり運営

フランス・フライブルグ・ヴォーバン• エコタウン、組合方式、マルシェ、遊びの道路

→ 店舗の選定も実施→ 姉妹地域・地区連携も面白い?

ボラベーション研究会による雪はね隊• 交流の他、学習、観光等興味ある要素を組み入れ

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ヒント事例1 醍醐コミュニティバス(京都)

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みんなで支える醍醐コミュニティバス• 身近なバスを• 通院や買物手段を• 観光にも便利なバスを【役割と意義】

• 真に「コミュニティ」のためのバスシステムに• これまでの公共交通とは異なるニーズに対応• 地域全体をカバーしたネットワークに• 気軽に乗れる運賃体系に• コミュニティを活かした市民本位・市民参加の仕組みづくりにつながることが重要

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ヒント事例2 フライブルグ・ヴォーバン地区

社会環境住宅地ヴォーバン(Vauban)• フライブルグの中心から3km南、38haの敷地• フランス軍の兵営地跡地をドイツ政府が購入• 居住者が集まって、建築家と一緒に設計を進めた。• 住民が住みやすいように自分たちで計画を進め、豊かな緑が溢れている。

• 環境に配慮するだけでなく、あちこちに子どもの遊び場がそれぞれ個性を持って作られている。

• 遊びの道路、マルシェ、店舗

参考:都市の間研究所 http://www.urban-ma.de/?p=536

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ヒント事例2 フライブルグ・ヴォーバン地区

出典:都市の間研究所http://www.urban-ma.de/?p=536

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【イメージ】 自転車道&遊歩道

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ヒント事例3 ボラベーション研究会/雪はね隊

• 近年北海道の地方部では、地域コミュニティの維持が困難

• 都市部の大学生や企業人等によるボランティア活動を通じた広域的な人材交流を通して、地域活性化に向けて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化(イノベーション)を起こすことを目的。

• 積雪寒冷期に雪はね隊などの活動を実施。

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【追加】 ちょっと大人のカルチャーナイト

厚別区では、• 区内の施設(青少年科学館・プラネタリウム<夜>、水族館<夜>、開拓の村<with昔の食べ物>)の見学会等に併せて、

• 演奏会や飲酒交流会、地元レストランでの交流会など• 「ちょっと大人のカルチャーナイト」として、区民協議会、区役所を中心に実施。

ここ数年は施設のリニューアル等により未実施であるが、多くの大人が興味をもって参加する等、人気のプロジェクトであった。

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【追加】 あつべつ歴史パネル展

毎年、新さっぽろサンピアザ光の広場にて、歴史パネル展を実施。

• 昔の懐かしい写真等を展示していることもあり、人気を博している。

• 当時を知る住民から、多くの情報・指摘・要望も寄せられる。

買物のついでの見学客も多いものの、非常に多くのお客さんで賑わっている。

あつべつ歴史の会を中心に区民協議会と一緒に開催。

男性スタッフが多く、来場者も他のイベントに比較して男性が多い。

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おわりに

「町内会活動=まちづくり」の課題解決には、これといった共通の解決策はないものの、

• 町内会・地域(風土・文化・住民層<年齢層等>)の置かれている状況・課題を把握する(知る)

• どのようなまち・町内会にしていきたいのかを地域のみんなで考える(希望)

• 住民一人一人が自分(たち)で何ができるのかを考える(場合によっては)どのような人・力があれば(必要?)、より住みよくなるのかを考える→ どのような形で、どのように興味を持って協力いただけるのかを考え、コミュニケーションをとってみる

• まずは試しに(楽しいことを)何かやってみる(小さく始める)or(どこかと協同でやってみる)

まずは、札幌市に相談してみましょう!

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ご清聴

ありがとうございました