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©日本証券アナリスト協会 2015� 69
1. はじめに
ボラティリティの取引が今世紀に入り増加して
いる(図表1)。伝統的に、ボラティリティはオ
プションやバリアンス・スワップを通じて取引さ
れてきた。近年では、ボラティリティ指数の先物
やオプションも上場されている。さらに、ボラテ
ィリティに連動するETFも登場し、容易に投資す
ることが可能になってきた。投資家は、これらに
直接投資するだけでなく、オプション条項が付与
された売出債やバイライト(カバードコール)型
のファンドなどを通じて、間接的に投資すること
もある。
市場全体のボラティリティの上昇は投資機会の
悪化をもたらすため、「ボラティリティは極めて
重要なリスクファクターである」(Ang[2014]、
日米の株式市場を対象に、3種類のボラティリティ投資の超過リターンを用いて、市場ボラティリティのリス
クプレミアム(VRP)を分析する。この結果、両市場ともに負のVRPが存在し、ボラティリティのリスクを負
担することに対する報酬が経済的に大きいことを示す。また、超過リターンが予測可能であることも示す。さら
に、VRPの高い水準が曖昧性回避や確率加重といった選好バイアスに起因している可能性についても論じる。
1.はじめに2.ボラティリティ投資戦略3.実証分析
4.リターンの予測可能性5.結論と議論
目 次
論 文
論 文
ボラティリティ・プレミアム―ファクターリターンの大きさと予測可能性―
内 山 朋 規 CMA山 中 智 CMA・CIIA
山中 智(やまなか さとし)
野村證券 金融工学研究センター クオンツ・リサーチ部インデックス・プロダクツ・グル
ープ。2005年野村證券入社より現職。京都大学卒、大阪大学修士(工学)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP®。
内山 朋規(うちやま とものり)
野村證券 金融工学研究センター クオンツ・リサーチ部インデックス・プロダクツ・グル
ープ・リーダー。三井信託銀行を経て、2000年野村證券入社の後、米国UCLAアンダーソンスクール客員研究員を経て、現在に至る。早稲田大学卒、青山学院大学修士、京都大学
博士(経済学)。