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ITOCHU Techno‐Solutions Corporation
Soil Plus 耐震解析セミナー 2015
伊藤忠テクノソリューションズ(株)科学システム事業部科学・⼯学技術部
松浦 敦
GHE-おわんモデルを⽤いた有効応⼒解析の適⽤例について
2
1. 背景および⽬的
2. 履歴モデルとおわんモデルのカップリング⽅法
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
4. まとめ
事例紹介GHE-おわんモデルを⽤いた有効応⼒解析の適⽤例について
低加速度・⻑継続時間地震動による地盤の液状化に関する解析的検討
(公財)鉄道総合技術研究所 鉄道地震⼯学研究センター 井澤淳様、上⽥恭平様、室野剛隆
1. 背景および⽬的
3
●全応⼒解析の傾向全応⼒解析分野では、地盤の動的変形特性(G-γ-h)に対して、修正R-Oモデル、修正H-Dモデルよりも汎⽤的なフィッティングであることからGHEモデル、GHE-Sモデルを適⽤した解析が増加しています。特に鉄道系の分野ではGHE-Sモデルの適⽤が拡⼤しています。
●有効応⼒解析に対するCTCの提案全応⼒解析とほぼ同⼀の件で有効応⼒解析を実施できるという観点から「GHEモデル+おわんモデル」の機能をご紹介。
※GHEモデルとGHE-Sモデルは同⼀の⾻格曲線を持ち、履歴ループの描き⽅は異なるが1ループの⾯積(履歴減衰)は同⼀ですので、細かい時刻歴挙動には差異はでますが、最⼤値等では同程度の結果となります。
1. 背景および⽬的
4
●GHEモデル+おわんモデルのメリット、デメリット【メリット】動的変形特性の合わせこみの⾃由度が⾼い。SHAKEや全応⼒解析との⽐較が容易。→ 妥当性確認するには順を追って⽐較することは重要⾮液状化層をGHE-Sモデル、液状化応⼒層をGHE+おわんモデルというモデル化が可能。【デメリット】⼆相系構成則ではないため間隙⽔圧の消散までは精度よく表現できない。(ポスト液状化は弱い。)
SHAKE
簡易液状化判定など
全応⼒解析(GHE、GHE-Sモデル)
全応⼒解析(RO、HDモデル)
ある程度までのフィッティングが可能
うまくフィッティングできない場合がある剛性低下、減衰両⽅の合わせこみが難しい
有効解析(GHE+おわんモデル)
有効解析(RO+おわんモデル)
液状化層以外の条件は⼀緒結果を⽐較しやすい
液状化層以外の条件は⼀緒結果を⽐較しやすい
液状化層GHE+おわん
⾮液状化層GHE-S
⾮液状化層GHE-S
⾮液状化層GHE-S
1. 背景および⽬的
5
●GHEモデルモデルのフィッティング例
①⼟研式:沖積砂質⼟(1kgf/cm2 hmax=0.2)
0.00.10.20.30.40.50.60.70.80.91.0
1.0E‐6 1.0E‐5 1.0E‐4 1.0E‐3 1.0E‐2 1.0E‐1
剛性
低下
率G/
G0 (‐)
せん断ひずみ γ (‐)
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
1.0E‐6 1.0E‐5 1.0E‐4 1.0E‐3 1.0E‐2 1.0E‐1
減衰
h (‐)
せん断ひずみ γ (‐)
②⼟研式:沖積砂質⼟(1kgf/cm2 hmax=0.3)
0.00.10.20.30.40.50.60.70.80.91.0
1.0E‐6 1.0E‐5 1.0E‐4 1.0E‐3 1.0E‐2 1.0E‐1
剛性
低下
率G/G
0 (‐)
せん断ひずみ γ (‐)
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
1.0E‐6 1.0E‐5 1.0E‐4 1.0E‐3 1.0E‐2 1.0E‐1
減衰
h (‐)
せん断ひずみ γ (‐)
⼟研式GHEモデル(GHE-Sモデルも同⼀)ROモデル
2. 履歴モデルとおわんモデルのカップリング⽅法
6
ひずみ成分
過剰間隙⽔圧
拘束圧依存性により応⼒ひずみ関係を低減
・応⼒ひずみ関係は修正R-Oモデル(修正GHEモデルを追加)を適⽤する。(※拘束圧依存を考慮)・ダイレイタンシー特性におわんモデルを適⽤、せん断ひずみと体積ひずみ、過剰間隙⽔圧を関連付け。※定式化中に⾮排⽔条件を仮定
・過剰間隙⽔圧に応じて、拘束圧(平均有効応⼒)を⾒直し、応⼒ひずみ関係を更新する。
⾮排⽔状態を仮定できる地震時の応答には有効な解析⽅法ですが、側⽅流動、残留変形などポスト液状化挙動は直接的な適⽤は難しいです。
●SoilPlusにおける有効応⼒解析
2. 履歴モデルとおわんモデルのカップリング⽅法
7
●ROモデルとGHEモデルとの相違応⼒ひずみ関係に破壊の概念が⼊り、有効応⼒経路上で破壊線を表現できます。有効応⼒の復帰の仕⽅が変わるためサイクリックモビリティのパラメータはモデルごとに調整が必要(GHEモデルを適⽤する場合はパラメータAはマニュアル記載の標準値から調整してください。)
破壊線を表現
おわんモデルでは、サイクリックモビリティにより、ハードニングが⽣じて、S字状の応⼒ひずみ関係が⽣じます。
GHE-Sモデルでは、履歴モデルでS字ループを表現。
ハードニング現象を2重評価することを避けるためGHEモデルと組合せ
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
8
●参考にさせて頂いた論⽂
低加速度・⻑継続時間地震動による地盤の液状化に関する解析的検討(公財)鉄道総合技術研究所 鉄道地震⼯学研究センター
井澤淳様、上⽥恭平様、室野剛隆様
⼤加速度による液状化と低加速度・⻑継続時間地震動による地盤の応答を⽐較し、低加速度・⻑継続時間地震動で地盤が液状化に⾄るプロセスを評価された研究。解析コードにはFLIPを使⽤。
(ポイント)
・GHE+おわんモデルで設定した場合にも同様の傾向を再現することができるか
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
9
●解析モデルおよび⼊⼒地震動
最⼤加速度を正規化した繰り返し回数の異なる3つの地震動に対して液状化挙動を⽐較
-1000
0
1000 スペクトルII スペクトルII調整波
加速
度 (g
al)
-1000
0
1000
2003年十勝沖地震K-NET苫小牧EW方向基盤波を調整加
速度
(gal
)
苫小牧調整波
0 100 200 300 400 500 600-1000
0
1000
時間(sec.)
加速
度 (g
al)
2011年東北地方太平洋沖地震K-NET浦安EW方向基盤波
浦安波
0.1 0.5 1 5 100
100
200
300
フー
リエ
振幅
スペ
クト
ル(g
al*s
ec)
周期(sec.)
L2スペクトルII 浦安波 苫小牧調整波
図-1 検討対象地盤の柱状図 図-2 液状化層の液状化強度曲線
表-1 液状化層の諸元
下端深度 N 値 γ Vs hmax c 液状化パラメータ (m) 代表値 (kN/m3) (m/s) (kPa) (°) p(°) S1 w1 p1 p1 c1 沖積砂層 6.00~10.35 7 18.6 140 0.495 0.24 0.00 34.6 28.0 0.005 11.0 1.0 1.0 1.6
表-2 検討に用いた地震動の特性 ()内は浦安基盤波と比
最大加速度(gal) 加速度パワー(cm2/s3) 10gal 以上の波数 スペクトル II 943.9(8.47) 525130(11.5) 95 スペクトル II 調整波 111.5(1.00) 7407(0.11) 59 浦安波 111.5(1.00) 45726(1.00) 304 苫小牧調整波 111.5(1.00) 68995(1.51) 263
0 10 20 30 40 500
10
20
30
40
50
60
70
80
90
深度
(m)
N値0 200 400 600
Vs(m/s)14 16 18 20 22
(kN/m3)
表土
洪積礰・砂質
互層
洪積粘性・砂質
互層
沖積砂質土層 液状化層
1 5 10 50 100 50010000
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
繰返し回数 Nc動
的せ
ん断
強度
比
' c 耐震標準算定式 有効応力解析
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
10
●解析モデル化の⽅針【基本⽅針】・N値、せん断波速度Vs、単位体積重量γの分布を元に⼀次元地盤モデルを構築する。・液状化層はGL-6.0m〜10.35mとする。
【動的変形特性】・表⼟および沖積砂質⼟層に対して動的変形特性を考慮する。(洪積層は弾性)・動的変形特性は層中⼼位置の有効上載圧を元に安⽥⼭⼝式より設定する。基準ひずみは安⽥⼭⼝式で求めたγ0.5、GHEパラメータは鉄道標準の標準値
・全応⼒層はGHE-Sモデル、液状化層はGHE+おわんモデルにより評価する。
【液状化パラメータ】・液状化強度曲線に対してのみフィッティングを⾏う。(データがあれば有効応⼒経路とも⽐較する⽅が望ましい。)
・耐震標準算定式のため原位置での強度曲線として現地盤の拘束圧88(kPa)でフィッティングする。
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
11
●液状化層のフィッティング
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
1.0E-3 1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2
G/G0
γ/γr
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
1.0E-3 1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2
h
γ/γr
層中心 せん断剛性 せん断剛性拘束圧
σm Go Goi A B C D Cs/(1+e0) Cc/(1+e0) Xl(kN/m2) (kN/m2) (kN/m2)
88.320 3.720E+4 3.958E+3 -0.3 1.4 22.0 40.0 0.007 0.009 0.18
基準ひずみ 基準ひずみγri γr C1(0) C1(∞) C2(0) C2(∞) α β hmax β1(-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-) (-)
8.836E-5 8.304E-4 1.000 0.170 0.700 2.500 1.435 1.469 0.220 1.000
GHEモデルの入力パラメータ
おわんモデルのパラメータ
繰返し回数10回〜50回程度をターゲットにフィッティング
繰返し回数の多い領域は合わせこみが難しい。
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
12
●解析結果の⽐較(スペクトルⅡ地震動)
-0.5
0.0
0.5
0.00.20.40.60.81.0
0 10 20 30 40
0.00.20.40.60.81.0
0 10 20 30 40
0.00.20.40.60.81.0
0 10 20 30 40
過剰
間隙
水圧
比⊿u/σ'c
上部
中部
下部
Time (sec)
地表
面変
位(m
)
-1,000
-500
0
500
1,000
0 10 20 30 40
(1)論⽂結果 (2)再現解析結果
スペクトルII スぺクトルII調整波
00.20.40.60.81.0
上部
00.20.40.60.81.0
過剰間隙水圧
比
u/'
c
中部
00.20.40.60.81.0
下部
0 10 20 30 40-1000
0
1000
Time (sec)
入力加速度
(gal
)
スペクトルII スペクトルII調整波
-0.5
0
0.5
地表面変位
(m)
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
13
●解析結果の⽐較(苫⼩牧調整波、浦安波)
(1)論⽂結果 (2)再現解析結果
-0.5
0.0
0.5
0.00.20.40.60.81.0
0 100 200 300 400 500 600
0.00.20.40.60.81.0
0 100 200 300 400 500 600
0.00.20.40.60.81.0
0 100 200 300 400 500 600
上部
中部
下部
過剰
間隙
水圧
比⊿u/σ'c
Time (sec)
地表
面変
位(m
)
-1,000
-500
0
500
1,000
0 100 200 300 400 500 600
苫小牧調整波 浦安波
00.20.40.60.81.0
上部
苫小牧調整波 浦安波 浦安調整波
00.20.40.60.81.0
過剰間隙水圧比
u/'
c
中部
0.20.40.60.81.0
0
下部
0 100 200 300 400 500 600-1000
0
1000
Time (sec)
入力加速度
(gal
)
-0.5
0
0.5
地表面変位
(m)
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
14
●多繰り返しに対する感度解析
浦安波に対して多繰り返し領域の液状化強度を変えて応答差を⽐較する。
A B C D Cs/(1+e0) Cc/(1+e0) Xl
パラメータ1 -0.3 1.4 22.0 40.0 0.007 0.009 0.18
パラメータ2 -0.3 1.4 22.0 40.0 0.007 0.009 0.15
パラメータ3 -0.3 1.4 22.0 40.0 0.007 0.009 0.12
おわんモデルのパラメータ
(1)論⽂の設定条件 (2)再現解析の設定条件
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
1 10 100 1000
パラメータ1(Xl=0.18)
パラメータ2(Xl=0.15)
パラメータ3(Xl=0.12)
表-3多繰り返し領域の特性が異なる
液状化強度曲線で設定した液状化パラメータ
液状化パラメータ
p(°) S1 w1 p1 p1 c1 Case1 28.0 0.005 10.0 0.4 0.8 1.8 Case2 28.0 0.005 10.0 0.4 0.8 2.2 Case3 28.0 0.005 10.0 0.4 0.8 2.5
1 5 10 50 100 50010000
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
繰返し回数 Nc
動的
せん
断強
度比
' c Case1 Case2 Case3
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
15
●解析結果の⽐較(液状化強度曲線設定の感度)
(1)論⽂結果 (2)再現解析結果
-0.6
-0.3
0.0
0.3
0.6
0.00.20.40.60.81.0
0 100 200 300 400 500 600
上部
過剰
間隙
水圧
比⊿u/σ'c
Time (sec)
地表
面変
位(m
)
0.00.20.40.60.81.0
0 100 200 300 400 500 600
中部
0.00.20.40.60.81.0
0 100 200 300 400 500 600
下部
-1000
-500
0
500
1000
0 100 200 300 400 500 600
XL=0.12 XL=0.15 XL=0.18
00.20.40.60.81.0
上部
00.20.40.60.81.0
過剰間隙水圧比
u/'
c
中部
0.20.40.60.81.0
0
下部
0 100 200 300 400 500 600-1000
0
1000
Time (sec)
入力加速度
(gal
)
-0.5
0
0.5
地表面変位
(m) Case1 Case2 Case3
3. 公開論⽂の再現解析による適⽤性の確認
16
●再現解析結果まとめ
・低加速度でも繰り返しにより過剰間隙⽔圧が上昇する挙動を再現できている。→ ⽔圧⽐も同程度の値となっている。
・サイクリックモビリティの挙動は再現解析の⽅が⼩さめとなっている。→ 液状化強度しかフィッティングしていない。→ パラメータAでサイクリックモビリティの程度も調整可能。
・20回よりも少ない繰り返し領域での液状化強度特性が同等であっても、多繰り返し領域の液状化強度の⼩さな差により過剰間隙⽔圧は⼤きく異なる。→ 公開論⽂と同様の傾向を得ることができた。
4. まとめ
17
●公開論⽂と⽐較し、GHE+おわんモデルにより液状化挙動の妥当性を確認した。
● GHE+おわんモデルの強みは全応⼒解析との対応性の良さ。→ 全応⼒解析と⽐べることで応答結果の妥当性を確認しやすい。→ SHAKE等での簡易液状化判定と⽐較する際も対応が分かりやすい。
①動的変形特性の合わせこみがしやすい→ 剛性低下率、減衰を独⽴でフィッティングできるため⾃由度が⾼い→ SHAKEと全応⼒とを近い条件で⽐較できる。
②GHE-Sモデルでの全応⼒解析とは相性がよい→ ⾮液状化層は同じで液状化層にのみGHE+おわんモデルを適⽤可能
●⼆相系を考慮できないため⽔圧の消散などの検討には適⽤しづらい