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Glencore 資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 89 - 3 5 Glencore

Glencore - JOGMEC金属資源情報mric.jogmec.go.jp/.../report/2016-02/major2015-02_03-5.pdf3.5 Glencore 3.5.1 企業概要 設立: 1974 年 本社: Baar(スイス) 上場先:

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3.4.5 主なトピックス(14 年会計年度:2014 年 1 月 1 日~2014 年 12 月末)

ブラジル:Vale、Corumbá 鉄鉱石鉱山拡張事業の環境ライセンス承認を取得 メディア報道によると、Vale は、Mato Grosso do Sur 州に位置する Corumbá 鉄鉱石鉱山拡張事業の予

備的環境ライセンスについて、ブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)からの承認を取得した。

ライセンスは、現在 4 百万 t/年の Corumbá 鉄鉱石鉱山における鉄鉱石生産量を、2018 年までに 10.5 百

万 t/年まで拡張することを許可するものである。Corumbá 鉱山から生産される鉄鉱石の品質は、Pará 州

のカラジャス地域からのものと同様に高いとされる。Vale は、同鉱山事業を 2009 年に Rio Tinto から 750百万 US$で取得した。拡張事業に要する投資額は、20 億 US$と見積もられている。

ブラジル:Vale、N4WS 鉄鉱石露天採掘拡張プロジェクトの操業ライセンスを取得 Vale は Carajás 地域(Pará 州)の N4WS 鉄鉱石露天採掘拡張プロジェクトの操業ライセンスを、

IBAMA(Instituto Brasileiro do Meio Ambiente e dos Recursos Naturais Renováveis:ブラジル環境・再生可能

天然資源院)から取得した。今後、植生抑圧および鉱山開発に関する承認を得る必要があるが、今回の操

業ライセンス取得は、Carajás 地域における 2015-2016 年の生産活動を後押しする材料となる。

新たな湿式製錬法を採用したニッケル製錬所の開所式を開催 2014 年 11 月 19 日、Vale は NL 州ニューファンドランド島に建設した Long Harbour ニッケル製錬所の

開所式を行った。同製錬所は硫化鉱に使用される初めての湿式製錬法を採用している。

同製錬所は 50,000 t/y のニッケル生産能力を有し、ニッケルのほか、銅、コバルトも生産する。

Vale と Glencore、サドベリー地域におけるニッケル事業のアライアンスが破談 報道によれば、Vale と Glencore がそれぞれ操業資産を有する ON 州サドベリー地域でのニッケル事業

において、両社はアライアンスに関する協議を進めていたが、破談となった模様。両社は、Vale が 2006年に Inco を、同じく 2006 年に Xstrata (2013 年に Glencore と合併) が Falconbridge 買収した事で、サド

ベリー地域の互いに近接するエリアでニッケル事業を行っている。

研究開発と新規事業への投資削減を継続 メディア報道によると、Vale は研究開発と新規事業への投資削減を継続する。同社は 2014 年に 148億 US$の投資予算を組んでいるが、Fernando Greco 部長によれば、今後、2015 年:138 億 US$、2016 年:

104 億 US$と予算を削減する計画である。

Glencore

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015- 89 -

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5Gle

ncore

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3.5 Glencore

3.5.1 企業概要

設立: 1974 年 本社: Baar(スイス) 上場先: LSE / HKEx

決算期: 12 月末 CEO: Ivan Glasenberg (02 年 2 月~) 連結従業員数: 190,000 名

生産鉱種:

経営数値

図 3-5-3

Fe Cu Pb

Mn

Zn

Ni

Al

Co Ti

K P 石

炭 石

油 Pt Pd Ag ガ

ス DIA

Mo U

Au

Cr

図 3-5-4

B Nb

図 3-5-1 図 3-5-2

Glencore 利益

-10,000-8,000-6,000-4,000-2,000

02,0004,0006,0008,000

10,00012,000

2010

年度

2011

年度

2012

年度

2013

年度

2014

年度

U$

mill

ion

EBIT Net Income 営業CF

図 3-5-2Glencore 収益

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

2010

年度

2011

年度

2012

年度

2013

年度

2014

年度

U$

mill

ion

-10-50510152025303540

%

売上高 前年度比成長率

図 3-5-1

Glencore 資産

020,00040,00060,00080,000

100,000120,000140,000160,000180,000

2010

年度

2011

年度

2012

年度

2013

年度

2014

年度

0

5

10

15

20

25

30

35

40

総資産 自己資本 自己資本比率

%

U$

mill

ion

図 3-5-3

Glencore 負債

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

2010

年度

2011

年度

2012

年度

2013

年度

2014

年度

U$

mill

ion

0

5

10

15

20

25

30

35

40

%

有利子負債 自己資本 DER

図 3-5-4

■経営数値■

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 90 -

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ncore

出所:SPEEDA(以下、注記がない場合は同様)

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3.5 Glencore

3.5.1 企業概要

設立: 1974 年 本社: Baar(スイス) 上場先: LSE / HKEx

決算期: 12 月末 CEO: Ivan Glasenberg (02 年 2 月~) 連結従業員数: 190,000 名

生産鉱種:

経営数値

図 3-5-3

Fe Cu Pb

Mn

Zn

Ni

Al

Co Ti

K P 石

炭 石

油 Pt Pd Ag ガ

ス DIA

Mo U

Au

Cr

図 3-5-4

B Nb

図 3-5-1 図 3-5-2

Glencore 収益性

-25.0-20.0-15.0-10.0-5.00.05.0

10.015.020.0

2010

年度

2011

年度

2012

年度

2013

年度

2014

年度

-4.0

-3.0

-2.0

-1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

ROE ROA 売上高税引前利益率

%%

図 3-5-5

Glencore 配当

-1.0-0.8-0.6-0.4-0.20.00.20.40.60.8

2010

年度

2011

年度

2012

年度

2013

年度

2014

年度

020406080100120140160180200

%

潜在株式調整後EPS 一株当たり年間配当金

配当性向

U$

図 3-5-6

U$)

図 3-5-7

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015- 91 -

3

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ncore

Glencore キャッシュフロー

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3.5.2 財務状況

Glencore は日本の総合商社と類似した活動をしている。すなわち、トレード活動をベー

ス と す る が 、 必 要 に 応 じ 、 事 業 投 資 に よ っ て 生 産 者 と し て 活 動 す る 顔 も 持 っ て い る 。

Glencore はベースメタルとレアメタルの一部および石油・ガスといった資源部門と穀物等

の食糧部門の 2 分野にターゲットを絞っているが、どちらの分野でも世界の大手にカウン

トされる規模を有している。企業の概要は以下の通り。 2014 年で 2,239 億 $、その売上の

80%がトレードからのもので、その 54%が原油と石油製品、 16%が非鉄金属資源で構成さ

れている。また、収益面では 77%が生産者活動から得られたもので、非鉄金属資源がその

53%を占める。すなわち、トレードは薄利多売だが事業投資は利益率が高いという日本の

商社と同様の構造を有する。

2014 年の生産量は銅やニッケル、コバルトが微増、鉛・亜鉛はほとんど前年度と同水準

であった。非鉄生産部門の売上は前年度並み、EBIT は▲ 10%。会社全体では、2,239 億 $(前

年比▲ 5%)、 EBIT は 60 億 $。 2013 年に EBIT や純利益が負になったが、これは Xstrata の

アセットの減損による。Xstrata との合併後も、B/S や P/L に厚みが増したが、ROE や ROA

が商社として見ればやや低くなってしまった。しかし、営業 CF は一応黒字を確保してお

り、自己資本比率が比較的高いことから、「現時点では」財務状況は健全であると言えるか

もしれない。なお、 2014 年では他社が資産取得を控える中、同社は Caracal(石油)や

Zhairemsky(鉛・亜鉛)への投資を進める等積極的であった。

(参考)図 3-5-8 Glencore の株価推移

0

20,000,000

40,000,000

60,000,000

80,000,000

100,000,000

120,000,000

140,000,000

160,000,000

180,000,000

200,000,000

220

240

260

280

300

320

340

360

380

2013年

9月

2013年

10月

2013年

11月

2013年

12月

2014年

1月

2014年

2月

2014年

3月

2014年

4月

2014年

5月

2014年

6月

2014年

7月

2014年

8月

2014年

9月

2014年

10月

2014年

11月

2014年

12月

2015年

1月

2015年

2月

2015年

3月

(株)

(英ペ

ンス

)

出来高 (Glencore plc Glencore plc (LSE)

0

20,000,000

40,000,000

60,000,000

80,000,000

100,000,000

120,000,000

140,000,000

160,000,000

180,000,000

200,000,000

220

240

260

280

300

320

340

360

380

2013年

9月

2013年

10月

2013年

11月

2013年

12月

2014年

1月

2014年

2月

2014年

3月

2014年

4月

2014年

5月

2014年

6月

2014年

7月

2014年

8月

2014年

9月

2014年

10月

2014年

11月

2014年

12月

2015年

1月

2015年

2月

2015年

3月

(英ペンス

)

出来高 (Glencore plc) Glencore plc (LSE) 株価

(株)

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 92 -

3

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資源メジャー・金属部門の動向調査 2015- 93 -

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Penang Recycling(Cu,Au,Ag,PGM)

Penang Recycling(Cu,Au,Ag,PGM)

GLENCOREGLENCORE銅銅 石炭石炭 ニッケルニッケルアルミナアルミナ

合金鉄合金鉄 リサイクルリサイクル亜鉛亜鉛鉛鉛

Kazzinc(Zn,Pb,Ag)Kazzinc(Zn,Pb,Ag)

Ferromanganese PlantsFerromanganese Plants

Nikkelverk SmelterNikkelverk Smelter

Nordenham SmelterNordenham Smelter

HinojedoZinc PlantHinojedoZinc PlantArnaoArnao

PerkoaPerkoa

Portvesme Smelter(Zn,Pb)Portvesme Smelter

(Zn,Pb)

Katanga(Cu,Co)Katanga(Cu,Co)Mutanda(Cu,Co)Mutanda(Cu,Co)

SableSable

Rosh PinahRosh Pinah

MopaniMopaniSouth AfricaFerrochrome PlantsSouth AfricaFerrochrome Plants

ShandukaShanduka

GoedgevondenGoedgevonden

ImpunziImpunzi TweefonteinTweefontein

Pasar SmelterPasar Smelter

Murrin Murrin(Ni,Co)Murrin Murrin(Ni,Co)

KoniamboKoniambo

Townsville RefineryTownsville Refinery

CobarCobar

Mount Isa(Cu,Ag,Zn,Pb)

Mount Isa(Cu,Ag,Zn,Pb)

Ernest Henry(Cu,Au)

Ernest Henry(Cu,Au)

George Fisher(Zn,Pb)George Fisher

(Zn,Pb)

Lady Loretta(Zn,Pb)Lady Loretta

(Zn,Pb)

McArthur River(Zn,Pb)McArthur River

(Zn,Pb)

Australian coal assetsAustralian coal assets

Australian coal assetsAustralian coal assets

図 3-5-9 Glencore の鉱種別アセット所在地

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 94 -

3

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ncore

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Britannia SmelterBritannia Smelter

Brunswick SmeltingBrunswick Smelting

San Jose Recycling(Cu,Au,Ag,PGM)

San Jose Recycling(Cu,Au,Ag,PGM)

La JaguaCalenturitas

La JaguaCalenturitas

East Providing Recycling(Cu,Au,Ag,PGM)East Providing Recycling

(Cu,Au,Ag,PGM)

Bracemac-Mcload(Zn,Pb)Bracemac-Mcload

(Zn,Pb)

Sherwin Alumina PlantSherwin Alumina Plant

CerrejonCerrejon

TintayaTintayaAntapaccayAntapaccay

CoroccohuaycoCoroccohuayco

CollahuasiCollahuasi

Sinchi WayraSinchi Wayra

AR Zinc SmelterAR Zinc Smelter

PuntiaquiPuntiaqui

AguilarAguilar

Palpala SmelterPalpala Smelter

Raglan(Ni,Cu)Raglan(Ni,Cu)

Kidd(Zn,Cu)Kidd(Zn,Cu)

Sudbury(Ni,Co,Cu,PGM)Sudbury(Ni,Co,Cu,PGM)

Antamina(Cu,Zn)Antamina(Cu,Zn)

Lomas BayasLomas Bayas

AltonorteAltonorte

AlumbreraAlumbrera

El PachónEl Pachón

Iscaycruz(Zn,Pb)Iscaycruz(Zn,Pb)

Horne Smelter(Cu,Recycling)Horne Smelter(Cu,Recycling)

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015- 95 -

3

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ncore

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3.5.4 オペレーション別の生産量

216 199

405 437

203 224

174 99

203.8 247.4

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

Y13 Y14

kt Zinc Kazzinc (Kazakh) Mt. IsaMcArthur River Canada

29.8 25.4

167.8 170.2

45.8 46.2

71.6 65.7

0

50

100

150

200

250

300

350

Y13 Y14

kt Lead Kazzinc (Kazakh) Mt. IsaMcArthur River Others

35.9 36.4

47.6 51.9

9.412.6

0

20

40

60

80

100

120

Y13 Y14

ton Nickel Murrin Murrin (Aus.-WA)INO

700 800 2,300 2,800

13,700 14,400

2,700 2,700

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

Y13 Y14

ton Cobalt Murrin Murrin (Aus.-WA)Katanga (DR Congo)

136.2 158.0150.6 197.1111.8 109.9195.6 207149.5 116.4109.6139.0 167.1234.2 223.7

0

500

1,000

1,500

2,000

Y13 Y14

Copper (mine production)Kazzinc (Kazakh) Katanga (DR Congo) Mutanda (DR Congo) Mopani (Zambia) Collahuasi (Chile)

Antamina (Peru) Alumbrera (Argentina) Lomas Bayas (Chile) Antapaccay (Peru) Others*

図 3-5-10

図 3-5-11 図 3-5-12

図 3-5-13 図 3-5-14

3.5.5 主なトピックス( 14 年会計年度: 2014 年 1 月 1 日~ 2014 年 12 月末)

ブラジル:加 Largo Resources 社、 Maracás バナジウムプロジェクトでの生産を開始

メディア報道によると、加 Largo Resources 社は、間もなく Maracás バナジウムプロジ

ェクト(Bahia 州)の生産を開始する。投資額 5.5 億レアル(約 2.48 億 US$)の同事業

での V 2O5 年間生産能力は 11,400 t であり、Glencore との間で締結した 6 年間のテイク・

オア・ペイ契約にもとづき全量が同社へ販売される。 Largo 社は、同事業からの年間の

収入として 3 億レアルを見込んでいる。

Maracás バナジウムプロジェクト(可採鉱量:13.1 百万 t、V 2O5 平均品位: 1.34%)は

世界で最も高品位のバナジウム鉱床であり、日本、米国、EU、韓国を主な消費国と想定

し、年間取引額が 23 億 US$のバナジウム市場における強い競争力を有するプロジェクト

とされている。

ペルー: Las Bambas 銅プロジェクト、中国 MMG に売却決定

2014 年 4 月 14 日付け地元各紙によると、Glencore は、 Las Bambas 銅プロジェクト

(Apurimac 州)を、中国の Minmetals(中国五鉱集団公司 )、CITIC グループ(中国中信集

団有限公司)、Guoxing Invstment(中国国信集団)の3 社が設立したコンソーシアム MMG

Ltd に対して、 58 億 5,000 万 US$で売却することを発表した。

Las Bambas プロジェクトは、最大規模のプロジェクトの 1 つであり、 2015 年から年

間 315,000 t の銅を生産することが見込まれている。

現在、中国によるペルーへの鉱業投資額は 138 億 US$で全体の 24%となっているが、

Las Bambas 銅プロジェクトの買収により、投資額は 190 億 US$となり、その割合は 33%

に達することになる。また銅に関しては、Toromocho 銅プロジェクト権益を Chinalco が、

Las Bambas 銅プロジェクト権益を MMG が所有することで、ペルー全体の年間銅生産量

( 150 万t)のうち、約 3 分の 1 ( 615,000 t)が中国企業の所有となる見通しである。

豪: Glencore 、 QLD 州 Ernest Henry 銅金鉱山の坑内採掘の開始を発表

2014 年 6 月 25 日、Glencore は QLD 州北西部に位置する Ernest Henry 銅金鉱山の坑

内採掘を開始したことを発表した。同社の発表によれば当該鉱山はこれまで露天採掘に

より 300 万 t /年の鉱石を採掘していたが、坑内採掘への移行により鉱石採掘量は 2015 年

までに 600 万 t /年に増加し、銅生産量は 5 万 t /年、金生産量は 2.18 t /年 (7 万 oz)になる予

定。また、当該鉱山のマインライフは 14 年延長され、 2026 年までとなる。地元紙は

QLD 州 Cripps 鉱山資源大臣が同鉱山のマインライフの延長は QLD 州の経済の活性化に

とって歓迎すべきことであるとコメントしたことを伝えている。

35.9 36.4

47.6 51.9

9.41.4

12.6

0

20

40

60

80

100

120

Y13 Y14

ton Nickel Murrin Murrin (Aus.-WA) INOFalcondo Koniambo

700 800 2,300 2,800

13,700 14,400

2,700 2,700

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

Y13 Y14

ton Cobalt Murrin Murrin (Aus.-WA) Katanga (DR Congo)Mutanda (DR Congo) Murrin Murrin (Aus.-WA)

図 3-5-14

136.2 158.0150.6 197.1111.8 109.9195.6 207149.5 116.4

102.6109.6139.0 74.2 66.6

167.1234.2 223.7

0

500

1,000

1,500

2,000

41Y31Y

Copper (mine production)Kazzinc (Kazakh) Katanga (DR Congo) Mutanda (DR Congo) Mopani (Zambia) Collahuasi (Chile)

Antamina (Peru) Alumbrera (Argentina) Lomas Bayas (Chile) Antapaccay (Peru) Others*

図 3-5-10

216 199

405 437

203 224

174 99

203.8 247.4

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

Y13 Y14

kt ZincKazzinc (Kazakh) Mt. IsaMcArthur River CanadaOthers

図 3-5-11

29.8 25.4

167.8 170.2

45.8 46.2

71.6 65.7

0

50

100

150

200

250

300

350

Y13 Y14

kt Lead Kazzinc (Kazakh) Mt. IsaMcArthur River Others

図 3-5-12

図 3-5-13

3

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 96 -

3

5Gle

ncore

出所:アニュアルレポート(以下、注記がない場合は同様)

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3.5.4 オペレーション別の生産量

216 199

405 437

203 224

174 99

203.8 247.4

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

Y13 Y14

kt Zinc Kazzinc (Kazakh) Mt. IsaMcArthur River Canada

29.8 25.4

167.8 170.2

45.8 46.2

71.6 65.7

0

50

100

150

200

250

300

350

Y13 Y14

kt Lead Kazzinc (Kazakh) Mt. IsaMcArthur River Others

35.9 36.4

47.6 51.9

9.412.6

0

20

40

60

80

100

120

Y13 Y14

ton Nickel Murrin Murrin (Aus.-WA)INO

700 800 2,300 2,800

13,700 14,400

2,700 2,700

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

Y13 Y14

ton Cobalt Murrin Murrin (Aus.-WA)Katanga (DR Congo)

136.2 158.0150.6 197.1111.8 109.9195.6 207149.5 116.4109.6139.0 167.1234.2 223.7

0

500

1,000

1,500

2,000

Y13 Y14

Copper (mine production)Kazzinc (Kazakh) Katanga (DR Congo) Mutanda (DR Congo) Mopani (Zambia) Collahuasi (Chile)

Antamina (Peru) Alumbrera (Argentina) Lomas Bayas (Chile) Antapaccay (Peru) Others*

図 3-5-10

図 3-5-11 図 3-5-12

図 3-5-13 図 3-5-14

3.5.5 主なトピックス( 14 年会計年度: 2014 年 1 月 1 日~ 2014 年 12 月末)

ブラジル:加 Largo Resources 社、 Maracás バナジウムプロジェクトでの生産を開始

メディア報道によると、加 Largo Resources 社は、間もなく Maracás バナジウムプロジ

ェクト(Bahia 州)の生産を開始する。投資額 5.5 億レアル(約 2.48 億 US$)の同事業

での V 2O5 年間生産能力は 11,400 t であり、Glencore との間で締結した 6 年間のテイク・

オア・ペイ契約にもとづき全量が同社へ販売される。 Largo 社は、同事業からの年間の

収入として 3 億レアルを見込んでいる。

Maracás バナジウムプロジェクト(可採鉱量:13.1 百万 t、V 2O5 平均品位: 1.34%)は

世界で最も高品位のバナジウム鉱床であり、日本、米国、EU、韓国を主な消費国と想定

し、年間取引額が 23 億 US$のバナジウム市場における強い競争力を有するプロジェクト

とされている。

ペルー: Las Bambas 銅プロジェクト、中国 MMG に売却決定

2014 年 4 月 14 日付け地元各紙によると、Glencore は、 Las Bambas 銅プロジェクト

(Apurimac 州)を、中国の Minmetals(中国五鉱集団公司 )、CITIC グループ(中国中信集

団有限公司)、Guoxing Invstment(中国国信集団)の3 社が設立したコンソーシアム MMG

Ltd に対して、 58 億 5,000 万 US$で売却することを発表した。

Las Bambas プロジェクトは、最大規模のプロジェクトの 1 つであり、 2015 年から年

間 315,000 t の銅を生産することが見込まれている。

現在、中国によるペルーへの鉱業投資額は 138 億 US$で全体の 24%となっているが、

Las Bambas 銅プロジェクトの買収により、投資額は 190 億 US$となり、その割合は 33%

に達することになる。また銅に関しては、Toromocho 銅プロジェクト権益を Chinalco が、

Las Bambas 銅プロジェクト権益を MMG が所有することで、ペルー全体の年間銅生産量

( 150 万t)のうち、約 3 分の 1 ( 615,000 t)が中国企業の所有となる見通しである。

豪: Glencore 、 QLD 州 Ernest Henry 銅金鉱山の坑内採掘の開始を発表

2014 年 6 月 25 日、Glencore は QLD 州北西部に位置する Ernest Henry 銅金鉱山の坑

内採掘を開始したことを発表した。同社の発表によれば当該鉱山はこれまで露天採掘に

より 300 万 t /年の鉱石を採掘していたが、坑内採掘への移行により鉱石採掘量は 2015 年

までに 600 万 t /年に増加し、銅生産量は 5 万 t /年、金生産量は 2.18 t /年 (7 万 oz)になる予

定。また、当該鉱山のマインライフは 14 年延長され、 2026 年までとなる。地元紙は

QLD 州 Cripps 鉱山資源大臣が同鉱山のマインライフの延長は QLD 州の経済の活性化に

とって歓迎すべきことであるとコメントしたことを伝えている。

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資源メジャー・金属部門の動向調査 2015- 97 -

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Page 10: Glencore - JOGMEC金属資源情報mric.jogmec.go.jp/.../report/2016-02/major2015-02_03-5.pdf3.5 Glencore 3.5.1 企業概要 設立: 1974 年 本社: Baar(スイス) 上場先:

以下、2014 年度 Annual Report より

CEO(Ivan Glasenberg)からのご挨拶

当社を取り巻く状況

Glencore にとって 2014 年は、試練と好機の年となりました。金融危機後の正常化に向けた動き

は徐々に進行しつつあるものの、大方の予想よりも遅い歩みとなりました。この危機による大き

な後遺症のうち、いくつかは居座り続けており、この中には欧州に関連する後遺症も含まれます。

地政学的観点では、中東での緊張が高まり、ウクライナの衝突が再燃しました。

財務状況

このような状況のもと、当社は 2014 年に Xstrata との統合を完了し、目標としていた税引前利

益を達成するとともに、統合シナジーで 24 億 US$のコスト削減を果たしました。以前より取り

組んできた資本拡大プログラムをバランスよく実現させて、今後 2 年のうちにさらなるキャッシ

ュフローの改善を見込んでいます。マーケティングでは、Xstrata の石炭、銅、亜鉛の生産統合

に加え、Viterra を当社グループに加えたことなどが功を奏し、調整後 EBIT は対 2013 年 18%増

の 28 億 US$となりました。当社主要商品の価格が下落する中でこの業績を収めたことは喜ばし

く、改めて当社ビジネスモデルの強靭性を示す結果となりました。業界各社の業績は、価格の低

迷基調を如実に反映したものとなり、特に、最も大きく値を下げたエネルギー商品の影響は大き

いものとなりました。業界の調整後 EBITDA は 7%減の 98 億 US$でした。これに対し当社グル

ープ全体の調整後 EBITDA は、低調な市況においても、わずか 2%減に留まる 128 億 US$とな

りました。

当社は、取捨選択しながら継続して資本の再構成に取り組んでいます。主な取引としては、ペル

ーの Las Bambas プロジェクト権益の 65 億 US$(税抜)での売却や、チャドの Caracal 石油資

産の統合が挙げられます。全般的に商品価格が低迷する中で、2014 年度の一株当たり最終配当を

12 セントとする旨、発表できたことは喜ばしく、2014 年度はベース配当の増配を果たすことが

できました。併せて先ごろ、Lonmin をノンコア資産とし、当社保有の Lonmin 株式を当社株主

へと分配することを発表しました。10 億 US$の自社株買いも完了し、結果 EPS はおよそ 1.2%上昇しました。Glencore は 2011 年の上場以降、93 億 US$を株主に還元することとなります(6億 3,900 万 US$の転換社債の買い取りを含みます)。

グラセンバーグ氏について: 1957 年南アフリカ生まれ、ヨハネスブルグにある名門ウィットウォータースラ

ンド大学出身で卒業当初は会計士であった。1984 年にグレンコアの南アフリカに入社し石炭畑を長く歩き

1991 年には同部門のトップに就任しており、トレーダーとしての経歴が長い。その後は順調で 2002 年に

CEO 就任している。のちに Xstrata の CEO となる Mick Davis とは学生時代からの友人であったことが 2011

年の両社の合併に大きく作用したといわれている。

同氏は南アフリカ国籍だが豪州(およびイスラエル)の市民権を持つため、グレンコアの IPO により、2011

年に豪州の経済紙においていきなり長者番付 2 位を獲得している。

コーポレートガバナンス

取締役会の強化を図るべく、Patrice Merrin 氏を取締役に指名し、Tony Hayward 氏を恒久会長

へと昇格させました。また Peter Grauer 氏が、筆頭独立取締役に就任しました。

持続可能性

深い悲しみと共に、2014 年に業務で 16 名の方が命を落とされたことをご報告します。この人数

の多さはたいへん遺憾であり、Glencore が買収した事業の性質、場所、来歴にも起因しています。

16 件のうち 13 件の死亡事故は、7 万 1,000 名が従事する事業の一部で発生しました。当社が関

与する以前は安全性に対する文化が形成されていないような、厳しい地理的環境のもとでの事故

でした。残り 3 件の事故は、11 万人が従事し、世界水準の安全な操業を実施する先進的な環境の

もとで発生しました。当社は、この世界水準の安全性を先ほど述べた「重点アセット」に根付か

せるべく、不断の挑戦と取り組みを継続してまいります。全体としては、従来と比べて死亡者数

は減少する方向に向かっており、死亡者数をゼロにすべく、固い決意をもって取り組んでいます。

2013 年に、職場の安全性向上を目的とする安全労働プログラムを始動させました。現在このプロ

グラムは全世界で実施され、2014 年は 11 万 8,000 名の従業員が訓練を受けました。長期傷害頻

度率は 1.87 から 1.58 に縮小しました。取締役会や経営幹部陣が、安全に関するベストプラクテ

ィス手順を提唱、主導し、重点的に取り組んだ成果が、この数字の改善に現れています。2014 年

5 月に国際金属・鉱業評議会(ICMM)に加盟し、グループ全体でベストプラクティスの実施を

心がけて取り組んでいます。

今後の展望

当社は今後も、BBB/Baa 格付の健全なバランスシートの維持と、明確に規定されかつ統制のと

れた資本配分に取り組んでまいります。重点的に扱う対象は、高収益かつ時宜にかなった M&A、

およびブラウンフィールド事業による成長機会のみとします。当社は従来同様、最も持続可能か

つ効率的な方法を用いて、フリーキャッシュフローと株主還元の拡大を図ることを究極の目標と

します。最も多くの種類の原料を生産し製造する当社は、商品ファンダメンタルズの変化に対応

し、変化の恩恵を享受する上で有利な立場にあります。Glencore は今後も、当社ビジネスの潜在

価値の最大化に注力してまいります。

厳しい市況を受け、石炭の質と量を現在の需要により見合ったものへ調整すべく、南アフリカの

Optimum の石炭生産、およびオーストラリアでの当社の石炭操業のいくつかの縮小を決定しま

した。これら石炭生産体制の変更および関連する資本支出の圧縮や繰延に加え、商品価格の低迷

(とそれに追い打ちをかける投入コストの低減)を受け、先ごろ当社グループ全体のアセットポ

ートフォリオの見直しを行いました。結果、2015 年度の資本支出に関し、過日開催したインベス

ターデーでは 79 億 US$という額を提示していましたが、現在は業界平均の 65~68 億 US$の範

囲内に収めようと進めています。

今後経済状況が悪化し、金融市場における商品価格の低迷が続く可能性はあるものの、当社が扱

う原料の実需は堅調に推移しています。価格のさらなる下落、生産や投資の縮小、格付けの引下

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 98 -

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Page 11: Glencore - JOGMEC金属資源情報mric.jogmec.go.jp/.../report/2016-02/major2015-02_03-5.pdf3.5 Glencore 3.5.1 企業概要 設立: 1974 年 本社: Baar(スイス) 上場先:

以下、2014 年度 Annual Report より

CEO(Ivan Glasenberg)からのご挨拶

当社を取り巻く状況

Glencore にとって 2014 年は、試練と好機の年となりました。金融危機後の正常化に向けた動き

は徐々に進行しつつあるものの、大方の予想よりも遅い歩みとなりました。この危機による大き

な後遺症のうち、いくつかは居座り続けており、この中には欧州に関連する後遺症も含まれます。

地政学的観点では、中東での緊張が高まり、ウクライナの衝突が再燃しました。

財務状況

このような状況のもと、当社は 2014 年に Xstrata との統合を完了し、目標としていた税引前利

益を達成するとともに、統合シナジーで 24 億 US$のコスト削減を果たしました。以前より取り

組んできた資本拡大プログラムをバランスよく実現させて、今後 2 年のうちにさらなるキャッシ

ュフローの改善を見込んでいます。マーケティングでは、Xstrata の石炭、銅、亜鉛の生産統合

に加え、Viterra を当社グループに加えたことなどが功を奏し、調整後 EBIT は対 2013 年 18%増

の 28 億 US$となりました。当社主要商品の価格が下落する中でこの業績を収めたことは喜ばし

く、改めて当社ビジネスモデルの強靭性を示す結果となりました。業界各社の業績は、価格の低

迷基調を如実に反映したものとなり、特に、最も大きく値を下げたエネルギー商品の影響は大き

いものとなりました。業界の調整後 EBITDA は 7%減の 98 億 US$でした。これに対し当社グル

ープ全体の調整後 EBITDA は、低調な市況においても、わずか 2%減に留まる 128 億 US$とな

りました。

当社は、取捨選択しながら継続して資本の再構成に取り組んでいます。主な取引としては、ペル

ーの Las Bambas プロジェクト権益の 65 億 US$(税抜)での売却や、チャドの Caracal 石油資

産の統合が挙げられます。全般的に商品価格が低迷する中で、2014 年度の一株当たり最終配当を

12 セントとする旨、発表できたことは喜ばしく、2014 年度はベース配当の増配を果たすことが

できました。併せて先ごろ、Lonmin をノンコア資産とし、当社保有の Lonmin 株式を当社株主

へと分配することを発表しました。10 億 US$の自社株買いも完了し、結果 EPS はおよそ 1.2%上昇しました。Glencore は 2011 年の上場以降、93 億 US$を株主に還元することとなります(6億 3,900 万 US$の転換社債の買い取りを含みます)。

グラセンバーグ氏について: 1957 年南アフリカ生まれ、ヨハネスブルグにある名門ウィットウォータースラ

ンド大学出身で卒業当初は会計士であった。1984 年にグレンコアの南アフリカに入社し石炭畑を長く歩き

1991 年には同部門のトップに就任しており、トレーダーとしての経歴が長い。その後は順調で 2002 年に

CEO 就任している。のちに Xstrata の CEO となる Mick Davis とは学生時代からの友人であったことが 2011

年の両社の合併に大きく作用したといわれている。

同氏は南アフリカ国籍だが豪州(およびイスラエル)の市民権を持つため、グレンコアの IPO により、2011

年に豪州の経済紙においていきなり長者番付 2 位を獲得している。

コーポレートガバナンス

取締役会の強化を図るべく、Patrice Merrin 氏を取締役に指名し、Tony Hayward 氏を恒久会長

へと昇格させました。また Peter Grauer 氏が、筆頭独立取締役に就任しました。

持続可能性

深い悲しみと共に、2014 年に業務で 16 名の方が命を落とされたことをご報告します。この人数

の多さはたいへん遺憾であり、Glencore が買収した事業の性質、場所、来歴にも起因しています。

16 件のうち 13 件の死亡事故は、7 万 1,000 名が従事する事業の一部で発生しました。当社が関

与する以前は安全性に対する文化が形成されていないような、厳しい地理的環境のもとでの事故

でした。残り 3 件の事故は、11 万人が従事し、世界水準の安全な操業を実施する先進的な環境の

もとで発生しました。当社は、この世界水準の安全性を先ほど述べた「重点アセット」に根付か

せるべく、不断の挑戦と取り組みを継続してまいります。全体としては、従来と比べて死亡者数

は減少する方向に向かっており、死亡者数をゼロにすべく、固い決意をもって取り組んでいます。

2013 年に、職場の安全性向上を目的とする安全労働プログラムを始動させました。現在このプロ

グラムは全世界で実施され、2014 年は 11 万 8,000 名の従業員が訓練を受けました。長期傷害頻

度率は 1.87 から 1.58 に縮小しました。取締役会や経営幹部陣が、安全に関するベストプラクテ

ィス手順を提唱、主導し、重点的に取り組んだ成果が、この数字の改善に現れています。2014 年

5 月に国際金属・鉱業評議会(ICMM)に加盟し、グループ全体でベストプラクティスの実施を

心がけて取り組んでいます。

今後の展望

当社は今後も、BBB/Baa 格付の健全なバランスシートの維持と、明確に規定されかつ統制のと

れた資本配分に取り組んでまいります。重点的に扱う対象は、高収益かつ時宜にかなった M&A、

およびブラウンフィールド事業による成長機会のみとします。当社は従来同様、最も持続可能か

つ効率的な方法を用いて、フリーキャッシュフローと株主還元の拡大を図ることを究極の目標と

します。最も多くの種類の原料を生産し製造する当社は、商品ファンダメンタルズの変化に対応

し、変化の恩恵を享受する上で有利な立場にあります。Glencore は今後も、当社ビジネスの潜在

価値の最大化に注力してまいります。

厳しい市況を受け、石炭の質と量を現在の需要により見合ったものへ調整すべく、南アフリカの

Optimum の石炭生産、およびオーストラリアでの当社の石炭操業のいくつかの縮小を決定しま

した。これら石炭生産体制の変更および関連する資本支出の圧縮や繰延に加え、商品価格の低迷

(とそれに追い打ちをかける投入コストの低減)を受け、先ごろ当社グループ全体のアセットポ

ートフォリオの見直しを行いました。結果、2015 年度の資本支出に関し、過日開催したインベス

ターデーでは 79 億 US$という額を提示していましたが、現在は業界平均の 65~68 億 US$の範

囲内に収めようと進めています。

今後経済状況が悪化し、金融市場における商品価格の低迷が続く可能性はあるものの、当社が扱

う原料の実需は堅調に推移しています。価格のさらなる下落、生産や投資の縮小、格付けの引下

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015- 99 -

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Page 12: Glencore - JOGMEC金属資源情報mric.jogmec.go.jp/.../report/2016-02/major2015-02_03-5.pdf3.5 Glencore 3.5.1 企業概要 設立: 1974 年 本社: Baar(スイス) 上場先:

げに応じて、主要商品の供給条件の引き締めを実施する予定です。

従業員、債権者、株主の皆様の 2014 年度中のご支援に感謝するとともに、今後の当社の展開に

大いにご期待くださいますようお願い申し上げます。

Ivan Glasenberg

CEO

資源メジャー・金属部門の動向調査 2015 - 100 -

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