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第3章 食中毒
3.5 微生物性食中毒<1>
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(1)サルモネラ属菌3.5 微生物性
サルモネラ• 腸内細菌科
• グラム陰性
• 通性嫌気性桿菌
• 周毛性(鞭毛:運動性有り)
• ブドウ糖から酸(およびガス)を産生
• 哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類等広く分布
• 自然環境(土壌、河川水など)からも分離
• 乾燥に抵抗・・・土壌や冷凍食品中で数年生存
• 人へは家畜、家禽、野生動物が主な経路3
サルモネラ属菌~分類~• 血清型により約2,5OO種に分けられる。
菌体表面のリポ多糖体の菌体抗原(O抗原)、
鞭毛の抗原(H抗原)があり、O抗原とH抗原の組み合わせで。
• 2菌種6亜種
• 菌種:Salmonella enterica と S.bongori
• Salmonella enterica に 5亜種(subspecies)
• 5亜種の中で亜種enterica に含まれる1500種以上
の血清型の中の数百種類によって食中毒が発生。
• 人や家畜・家禽から分離されるサルモネラの大部分
はSalmonella enterica subsp.enterica に属す4
5
1)サルモネラ食中毒①
ブタ,ウシ,ニワトリ,ウマなどの家畜腸管内に広く分布。
食肉, 乳, 卵やそれらの加工品を介す。
S. Enteritidis(SE)、
S. Typhimurium(ST)
S. Infantis(SI)などが有名(食中毒)
1987年以降
SEによるものが欧米諸国で急増。
わが国でも1989年以降増加。
大規模発生する例が多かった。
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1)サルモネラ食中毒②
感染菌量
・・・105個以上(一般的には)で発症
しかし、 102 ~103個でも発症事例
小児、老齢者は数個~10数個でも発症する可能性アリ
症状
主として急性胃腸炎
小 児 で は 症 状 が 重 篤 で 敗 血 症 を 併 発 し や す い老齢者は基礎疾患患者は病巣感染を起こすことも
腸管上皮細胞に侵入し炎症反応から下痢を起こす。
2
7
2)卵で起こりやすいサルモネラ食中毒
奈良県生駒市
学校給食が原因(20校)
摂食者11,686名,患者1,529名:大規模
主な症状は腹痛81.3%,下痢52.9%,頭痛51.3%,発熱39.2%,吐き気28.4%,嘔吐10.1%
原因食は酢の物に使われた調味料
ミキサーはカニスープ用の溶き卵を作るために用いられており,使用後は55~60℃の湯で洗浄されただけで,2日間室温放置されていた。 8
3) 生卵のなかにいるサルモネラ
原因食品;SE汚染鶏卵とSE汚染鶏卵を使用した
自家製マヨネーズ,アイスクリーム,ババロア,
タマゴサンドイッチ,オムレツ,とろろ汁,
卵納豆など
サルモネラは60℃,20分程度の加熱で死滅する、しかし
無加熱か,加熱程度の低い食品で, 製造・貯蔵中に増殖。
市販の殻付き卵のSE汚染率はO.02%(2004-2006)
汚染率0.0029%(2010-2011) 3万個に1個
米国:汚染率0.0275%(1992-1994)
汚染率0.005%(2000) 2万個に1個
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4)臨床症状
潜伏期間 12~48時間(発症ピーク:12~24時間)
下痢、腹痛、悪寒、発熱、吐気、嘔吐、頭痛、脱水など
致死率0.1~0.2%、排菌2週間以内(保菌もあり)
経過1~4日
5)原因食品と予防
①動物由来食品(食肉、卵など)
②輸入飼料→動物、農場→屠場→食肉(二次汚染)
③汚染肉取扱者・施設→食肉(二次汚染)
④保菌者・保菌動物→食肉
予防はとにかく加熱と二次汚染防止 10
(2)病原大腸菌
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参考:
細胞壁のリポ多糖
(O抗原)
鞭毛のタンパク
(H抗原)
大腸菌の場合 H抗原:57種類
大腸菌の場合 O抗原:180種類
夾膜のタンパク
(K抗原)
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3
13
1) 菌学的特長
グラム陰性桿菌 芽胞非形成 鞭毛は周毛
通性嫌気性菌 O抗原とH抗原の組み合わせで血清型
至適生育温度30-37℃、60℃20分で死滅
乳糖を分解<サルモネラとの鑑別ポイント>
病原大腸菌中毒
①腸管病原性大腸菌(EPEC) Enteropathogenic E. coli
血清型 O18,O20,O44,O55,O86・・・・・など
<臨床症状>潜伏期間 10~12時間腹痛、下痢、発熱、吐気、嘔吐、乳幼児で血便
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②腸管侵入性大腸菌(EIEC) Enteroinvasive E. coli
血清型 O28,O112,O124,O136,O143・・・・・など
<臨床症状>潜伏期間 10~12時間腹痛、下痢、発熱
③腸管付着性大腸菌(EAEC) Enteroadherent E. coli(=腸管凝集性大腸菌(EAggEC) Enteroaggregative E. coli)
④腸管毒素原性大腸菌(ETEC) Enterotoxigenic E. coli
コレラと類似の症状、海外旅行者下痢症の原因菌の1つ。エンテロトキシン・・易熱性毒素(LT: 60℃30分で失活)
耐熱性毒素(ST: 100℃30分でも失活しない)
<臨床症状>潜伏期間 12~72時間コレラ様下痢(水様便)、腹痛、吐気、(発熱、頭痛を伴うことも)
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⑤腸管出血性大腸菌(EHEC) Enterohemorrhagic E. coli
ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC) Verotoxin-puroducing E. coli
ベロ毒素(志賀毒素) VT1(Stx1)およびVT2(Stx2)を産生する。Verotoxin=VT, または志賀毒素;Shigatoxin =Stx と呼ばれる。
ベロ毒素=赤痢菌が産生する志賀毒素に類似
Vero細胞(アフリカミドリザルの腎臓由来)」に対して強い毒性>
血清型 O157:H7 O2:H5, O26:H11, O103:H2など 約20種
<臨床症状>潜伏期間 1~12日(平均3~5日)新鮮血の混入の激しい血便、腹痛重症化時に腎不全、血小板減少、溶血性貧血、
溶血性尿毒症症候群(HUS:hemolytic uremic syndrome). →血液中の赤血球がこわれて、貧血をきたし、血小板が少なくなり、また、腎臓障害・腎不全をともなう状態
腸管出血性大腸菌Enterohemorrhagic E.coli:EHEC
1982年 米国 ハンバーガー食中毒 O157:H7分離
100個程度で感染が成立
ヒト-ヒト感染、動物-ヒト感染も
1999年 感染症法で第3類感染症に
全数把握の感染症
2013年 4046例報告
(感染症患者2624+無症状病原体保有者1422)
成人におけるO157抵抗性
・30~40代の成人では感染しても発症するのは30%程であり,健康保菌者が多い
・子供や高齢者は発症率が高く,症状が重い
・なぜこのような病態の違いが生じるのか?
・免疫?・腸内細菌?
年齢別 O157感染者における発症率(Terajima et al, Emerg. Infect. Dis. 1999; 5: 301)
http://www.nih.go.jp/niid/images/iasr/35/411/graph/f4113j.gif
有症者の割合:若年層や70 歳以上の高齢者で高く、一方で30 代、40 代では有症者の割合は低い
4
19
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/diseases/ehec/ehec2013/52wEHEC.pdf
2013EHEC 発生動向EHEC 集団発生事例2013 20
初期症状は風邪に似ている
抵抗力の弱い老人や乳・幼児などが感染した場合
激しい腹痛と下痢、2~3日目に血便
3~7日で無尿, 乏尿, 貧血出血傾向
重症化すると溶血性尿毒症症候群,脳症、最悪の場合死亡
•潜伏期間が1~12日と長い
•原因食品が不明のケースが多い。
•アメリカ,イギリス,カナダなどは,ハンバーガー,牛肉,牛乳,ローストビーフなどが原因
•一般的にはウシが宿主
•0157の感染力は強く,他の食中毒よりも極めて少ない菌量でも発症
•人から人へ感染する例も
•0157は熱に弱く.75℃1分間の加熱で死滅
21http://www.nih.go.jp/niid/images/idwr/douko/2012d/img42/sokuhou09.gif
溶血性尿毒症症候群:HUSHemolytic Uremic Syndrome
• 溶血性貧血/血小板減少/腎機能低下
• 10歳以下の子供は約15%発症するリスク
• 2006-2010 日本 3.2-4.2%
• 2011 日本 4.0%(2658例中)
4.7%(5歳未満)
• 2000-2006 米国調査 6.3%(3467例中)
15.3%(5歳未満)
• 2007-2009 EU/EEA 6%(9637例中)
2011年6月27日朝日新聞 夕刊
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患者数 169名死者 4名
• 富山、福井、神奈川の焼き肉店「焼肉酒家えびす」
• 160人以上の患者が発生、
• 4人が死亡
• 原因は、ユッケに付いていた腸管出血性大腸菌O111とO157
• 富山県と福井県の子ども2人が死亡
• いずれも3、4日の潜伏期間を経て、嘔吐や下痢。入院後、「溶血性尿毒症症候群(HUS)」を発症した。
• 成人の死者:40代と70代の女性。4月23日にユッケなどを食べ、3日後腹痛や下痢。2人が病院にかかったのは27日。血便が出た後。
• 腸管出血性大腸菌による食中毒の原因菌はO157がほとんどで、O26やO128などと合わせ、年間3000~4000人の患者
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2011.5・21 東京新聞より
5
腸管出血性大腸菌による食中毒の防止について平成22年4月7日 食品安全委員会事務局
1 レバーなどの牛内臓や牛肉を生で食べることはひか
えること
2 腸管出血性大腸菌は75℃で1分間以上の加熱で死
滅するので、牛内臓や牛肉を調理する際には、中心
部までよく加熱すること
3 特に乳幼児やお年寄りでは、死亡したり重い症状にな
ることがあるので、生や加熱不十分なレバーなどの牛
内臓や牛肉を食べないよう、周りの方も含め注意する
こと
団子、柏餅でO-157集団食中毒(山形市)
• 2011/5/3に団子を食べた50名中27名、8名中7名が腹痛や下痢、嘔気など
• うち18名が医療機関を受診、7名入院
• 5/2製造の柏餅、5/3~5/5製造の団子を店舗で購入した客からも発症者
• 団子は「しょうゆ」、「ぬた」、「ごま」、「あんこ」の4種類、柏餅は2種類
• 計75名の患者から腸管出血性大腸菌O-157が検出(5/17)
• 発症者数は計274名で、49名が入院(5/19)
• 保健所は(有)佐藤だんご屋を5/8~5/10まで3日間営業停止
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一人当たり2~9cfu の菌の摂取で食中毒が発生した事例がある
感染源・感染経路
• EHECの保菌動物 ⇒ 牛(であることが多い)
• 牛糞便中のEHEC ➔ 土壌、水(二次汚染)➔野菜・果物
➔ 牛肉(二次汚染)➔さまざま食材
病院および老人保健施設で発生した腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒事例-宇都宮市
• 2002(平成14)年8月5日
• 入所者等28名が下痢、 粘血便などの症状
• 7月29日、 老人保健施設で昼食に提供された和え物(香味和え:ゆでほうれん草、 蒸しささみ、 ねぎ、 生しょうが、 醤油で和えたもの)からO157:H7(VT1&VT2)が検出された。
• 患者123名のうち47名(検出率38%)の糞便からO157が検出された。
• 患者を除く喫食者753名のうち62名(無症状喫食者;検出率8.2%)、 および患者の接触者645名のうち2名(無症状非喫食者;検出率0.3%)からO157が検出
• 分離菌はいずれも、 VT1、 VT2産生株。
病院および老人保健施設で発生した腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒事例-宇都宮市
• 調理室内温度が上昇した環境中での食品の取り扱いが菌の増殖を招き、 食中毒発生の要因となったと推定。
• 女性7名(58~98歳)、 男性2名(73、 74歳)の計9名が死亡
• 高齢者が多く集まる施設において、 食中毒が
発生した場合のリスクの大きさを痛感させられる事例。
6
ドイツでのO104による事例から
• 2011.5 EHEC O104:H4
• EU/EEA 13か国 3842名, HUS;855名, 死者53名
• HUS発症率22%、HUSの89%成人 うち68%女性
• スプラウト(fenugreek)の汚染エジプトから輸入
• VT2産生菌
インチミン遺伝子(eae)なし
腸管凝集付着性大腸菌(EaggAC)特異性の線毛付着因子をもつ。
β-ラクタマーゼ(ESBL)産生の耐性菌http://www.nih.go.jp/niid/ja/ehec-m/ehec-iasrtpc/2118-surveillance/iasr/related-articles/related-articles-387/2041-dj387e.html
商 品 名:白菜きりづけ
消費期限:12.8.2
12.8.3
12.8.4
製 造 者:I食品(札幌市西区)
流 通 先:高齢者施設、食品スーパー、
ホテル、飲食店等
北海道における浅漬食中毒
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概要概要
患 者 数:169名
病因物質:腸管出血性大腸菌O157
主な症状:下痢、血便、腹痛、発熱、
嘔吐等
初発日時:平成24年8月2日
潜伏時間:約152時間40分 (n=66)
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地理情報地理情報
北海道以外の患者は、すべて北海道滞在中に当該浅漬を喫食している
所管保健所(患者所在地) 患者数
北海道
札幌市 94 (58)
旭川市 2
小樽市 2
市立函館 3
江別 28 (20)
千歳 14 (14)
苫小牧 14 (12)
岩見沢 2 (1)
根室 2
上川 1
山形県 1
茨城県 2
栃木県 1
東京都 1
神奈川県 2
計 169(105)(括弧内数字は高齢者施設を再掲)
34
患者流行曲線(n=169)
患者流行曲線(n=169)
探知
高齢者施設
の喫食日
E社 自主休業
E社 営業禁止
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患者年齢分布(n=169)患者年齢分布(n=169)
(1) (2)
(2)
(3)
(括弧内の赤字は死亡例)36
7
90.5%
73.4%
63.3%
37.3%
16.0%
9.5%
3.0%
1.2%
12.4%
1.2%
21.3%
患者の症状別割合(n=169)患者の症状別割合(n=169)
37
原因の考察
各工程で微生物による汚染の可能性
原材料の殺菌に不備があった可能性
器具類に微生物が残存した可能性
原材料が殺菌工程を通らないで製造された可能性
従業員の衛生管理意識が不十分
38
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生レバー提供、2容疑者逮捕京都の焼き肉店
牛レバーを生食用として客に提供していたとして、京都府警は29日、
京都市東山区の焼き肉店「祇園焼肉(やきにく)志(こころ)」の経営者小田篤志容疑者(29)(罰金100万円の略式命令)と、料理長大槻善之容疑者(44) (同50万円)を、食品衛生法違反(牛レバーの非加熱提供)容疑で逮捕し、発表した。
健康被害は確認されていないが、府警は「深刻な被害が出ないうちに手を打つ必要がある」として、捜査を進めていた。
2014.10.30 朝日新聞朝刊
牛レバーを生食するのは、やめましょう(「レバ刺し」等)
40
豚生レバー提供禁止へ牛の代わりに提供相次ぐ 厚労省
2014.6.21 朝日新聞朝刊
厚生労働省は20日、豚の生肉や生レバーの飲食店などでの提供を禁止する方針を決めた。2年前に牛の生レバー提供が禁止されてから、代わりに豚の生レバーを出す店が相次いでいた。自治体の指導に応じない店も多く、「法的に禁止して強制力を持たせるべきだ」との声を踏まえた。この日開かれた審議会の調査会で、肉の中心部まで加熱して提供するよう食品衛生法の規格基準に盛り込む方針が了承された。
厚労省によると、豚の肉や内臓にはE型肝炎ウイルスや寄生虫などのリスクがある。これまで規制はなかった。
41
(3)カンピロバクターCampylobacter
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1982年に食中毒菌に指定 らせん状の桿菌
乾燥に弱い・食品中では増殖しない
普通の酸素濃度(20%)の下で発育抑制・死滅
微好気条件(酸素3~15%%)で発育
大気中酸素濃度への曝露、
長時間培養で球形に変化(コッコイド化)
ジェジュニとコリの2種が主な菌種
カンピロバクター属菌は18種
1)カンピロバクターとは①
8
43
人獣共通感染菌
ニワトリ、ブタ、ウシ、ヒツジなど家畜の腸に寄生
イヌ、ネコ、小鳥などのペット類にも
その分布はサルモネラ菌より高率
動物の糞便から直接、
もしくは糞便に汚染された食肉を通じて
用水・飲料水が汚染されることも多い
2)カンピロバクターとは②
44
ニワトリがカンピロバクターに汚染されている
市販の国産鶏肉の汚染率:60~80%
輸入鶏肉の汚染率:平均30%
ウシやブタの腸管内にも高率に分布
ウシのレバーが汚染されている
牛の胆嚢内、胆汁に高率、高濃度に存在
ジェジュニ・・ウシ、ヒツジ、野鳥、ニワトリなどの腸管に
コリ・・・ブタの腸管に
3)われわれは常に危険に曝されている①
45
汚染している食品が新鮮なほど
(➔低温管理や包装がされているほど)
感染のリスクが高い
調理の過程や冷蔵庫保存の時に
他のなま食をする野菜などを汚染することも
野菜サラダやバーベキューの
半なま野菜などは危険性が高い
身の回りに多数生息 少量の菌で罹る(数百個)
感染菌量は500個程度の小量でも発症(人の投与実験)
食中毒は、夏場だけでなく一年中起きる特徴
4)われわれは常に危険に曝されている②
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家畜や人の糞便で、井戸水や河川水が汚染
一度にたくさんの患者が発生
日本の統計でも、患者数は1,2位を争う
昭和57年(1982)10月
札幌の大型スーパーの開店大売り出しの日
8,000人もの食中毒患者が発生
井戸の水が下水のしみ込みで強く汚染
5)とかく大型が多いカンピロバクター食中毒①
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平成6年(1994)5月 倉敷市児島の中学校
野外炊事バーベキュー大会に参加した308名
うち136名が罹患 発症はおおむね2~3日後
腹痛(87%)、下痢(75%)、発熱(54%)、頭痛(44%)
原因食品はバーベキューに使われた鶏肉
学校作製の「バーベキューのしおり」に、
「焼き過ぎに注意する」という項!?
6)とかく大型が多いカンピロバクター食中毒②
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4/26 レジャー施設に遠足 高校生355名
うち41名(11.5%)が28~30日昼にかけて
下痢(85.4%)、発熱(80.5%)、腹痛(78.0%)などの症状
昼食にバーベキュー。
鶏むね肉、豚ロース、ソーセージ、カットコーン、キャベツ、
もやし、ニンジン、ピーマン、焼きそば。
7)とかく大型が多いカンピロバクター食中毒③
検査の結果、患者便と鶏肉残品からCampylobacter jejuni が検出された。
関係者の証言から、中には競争しながらの喫食も行われていたことが判明。鶏肉の加熱不足が原因。
9
49
潜伏期間は2日~7日(平均2~3日)
初発症状は軽い
下痢、腹痛、発熱、吐き気、倦怠感・頭痛、嘔吐
一般に予後は良好で、数日のうち症状は改善
発熱は37~38℃台だが40℃の患者も
予防するには
この菌は熱や乾燥に極めて弱い
加熱で殺菌可
調理器具を熱湯消毒や乾燥
8)症状は軽く予後は良好
50
9) 菌学的特長
微好気性菌(培養には3~10%酸素)グラム陰性桿菌
芽胞非形成 べん毛は極毛(単毛)⇒運動性あり
30℃以下の温度では増殖できない。微好気環境が必要
病原因子:腸管毒素(CJT:Campylobacter jejuni toxin)
細胞毒素(CCT:Campylobacter coli toxin)
10) 臨床症状
2~7日の潜伏期間、
下痢、腹痛、発熱、吐き気、倦怠感・頭痛
→ギランバレー症候群(Guillain-Barre syndrome )抹梢の運動神経に障害がおこり、急に手足のしびれや筋力が低下して手足が動かなくなる(四肢の運動麻痺)などの症状を呈する
呼吸麻痺が進行し、死亡することもまれではない。
海外の調査では年間10万人当たり0.4~4人(中央値1.3人)
カンピロバクター腸炎発症後、1058人に1名程度がギランバレー発症(米)
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11)原因食品と予防①ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ニワトリ、カモメ、ハムスターなど
が腸管に保菌
②糞便が汚染源
③汚染した生肉、生乳、飲料水、食品から人へ
特徴 鶏肉はC.jejuniの汚染率が高い。
予防
a.保菌獣や保菌鶏対策
b.と畜場や食鳥処理場における衛生管理
c.冷蔵庫や冷凍庫での生食肉からの他の食品への二次汚染防止
d.生食肉を取り扱った調理器具器材からの二次汚染防止
e.加熱
f.飲料水対策(河川、湖水、井戸水の汚染)