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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism ~ 索道事業者向け参考資料 北陸信越スノーリゾート地域の活性化推進検討会 (事務局:北陸信越運輸局観光部・鉄道部 ) 北アルプスの景色( HAKUBA VALLEY索道事業者プロモーションボード 提供) 2020年3月

~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

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Page 1: ~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

~ 索道事業者向け参考資料 ~

北陸信越スノーリゾート地域の活性化推進検討会

(事務局:北陸信越運輸局観光部・鉄道部 )

北アルプスの景色( HAKUBA VALLEY索道事業者プロモーションボード 提供)

2020年3月

Page 2: ~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅰ.北陸信越運輸局管内のスノーリゾート地域における好事例(先進事例)

1.HAKUBA VALLEYの取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.野沢温泉スキー場の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.妙高高原(赤倉温泉)の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.個別の好事例(先進事例) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅱ.北陸信越運輸局管内のスノーリゾート地域における通年リゾート地化

推進にかかる調査の結果

1.調査の実施概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.各スキー場のグリーンシーズンにおける実態調査の結果 ・・・・・・・

3.海外・国内の通年リゾ-ト化モデルケースの調査の結果 ・・・・・・・

4.スノーリゾ-トの来訪調査・決定要因調査の結果 ・・・・・・・・・

5.調査結果を踏まえた考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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【 はじめに 】

北陸信越スノーリゾート地域の活性化推進検討会では、訪日外国人旅行者の増加基調を捉え、

北陸信越運輸局管内(以下「管内」と表記。)のスキー場(スノーリゾート地域)についても、よ

り多くの観光需要を取り込み、地域の活性化が促進されることの一助となるように、昨年度より

取組を進めてきているところです。

近年、管内の主要なスノーリゾート地域においても、上質な雪質や地域の観光コンテンツ等が

高く評価され、訪日外国人旅行者の増加に繋がっており、地域経済の活性化や雇用促進が期待さ

れる状況にあります。

本検討会においては、この流れを少しでも多くのスノーリゾート地域へ拡げることができれば

と考えており、今年度は、管内の索道事業者の皆様に向けた参考資料となるよう、以下の項目を

取り纏めた資料を作成しましたので、ご参照いただければと思います。

1点目は、管内のスノーリゾート地域における好事例(先進事例)を集めたものです。

今般、「HAKUBA VALLEY」、「野沢温泉スキー場」、「妙高高原(赤倉温泉)」の3地域を取り上

げさせていただきましたが、いずれも、関係者連携によるプロモーション等の効果により、主に

オーストラリアからの誘客に成功している地域であると言えます。それぞれに特長がありますの

で、皆様の今後の取組においてご参考にしていただきたいと思います。また、当該3地域とは別

に、個別の事例についてもいくつか取り上げておりますので、同様にご参照ください。

2点目は、国内の各スノーリゾート地域の共通の課題にもなっているグリーンシーズンにおけ

る活性化(→通年リゾート地化)に焦点をあて、今年度、「北陸信越運輸局管内のスノーリゾー

ト地域における通年リゾート地化推進にかかる調査」を行った結果です。

管内の各スキー場のグリーンシーズンにおける実態調査により現状や課題把握を行うとともに、

海外の主要山岳リゾート地の調査を踏まえ通年リゾート化モデルケースとのギャップを洗い出し、

更には外国人旅行者へのWEB調査により山岳リゾートに対するニーズ等を明らかにすることに

より、管内のスノーリゾート地域が通年リゾート地化に向けて取り組むべき施策を見出そうとす

るものです。今般、当該調査結果のデータを可能な限り盛り込みましたので、通年リゾート地化

を目指す取組をはじめ、各種活性化策の検討にあたっての基礎資料に供していただければと思い

ます。

管内の索道事業者の皆様がスノーリゾート地域の活性化をご検討されるにあたり、本資料が少

しでもお役に立つことができれば幸いに存じます。

2020年3月

北陸信越スノーリゾート地域の活性化推進検討会

(事務局)北陸信越運輸局観光部観光地域振興課

北陸信越運輸局鉄道部索道課

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Ⅰ.北陸信越運輸局管内のスノーリゾー

ト地域における好事例(先進事例)

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1. HAKUBA VALLEY の取組 〔概要版〕

(1)インバウンドの増加状況

〔人〕

HAKUBA VALLEYスキー場の来場者(延べ客数)の状況

(HVPB事務局提供データ)

■ 外国人来場者数(延べ客数)は年々増加(年平均+25%で順調に成長)している。(2018-19シーズンは約36万7千人(対前年+11%))

■ 国別にはオーストラリアからが過半数。(同国からの客数が依然増加傾向にあることに加え、香港、シンガポール、中国、台湾、イギリス、アメリカ等のアジア・欧米各国からの客数も増えている。)

※ 国別割合のデータについては、HVPB(HAKUBA VALLEY索道事業者プロモーションボード:索道事業者10社の連合体)が実施したアンケート及び白馬村の調査による推定値。

■ インバウンドが来訪先にHAKUBA VALLEYを選んだ理由について、アンケート結果では、「雪質(パウダースノー〔JAPOW〕)・豊富な降雪量」、「エリア全体のスケールの大きさ・多様なゲレンデ・コース、景色・地形」、「口コミ」(友人の薦め)等が多数を占めている。

(2)HAKUBA VALLEYの取組の主な内容

■ 白馬エリアの10スキー場を一つにまとめ『国内最大のスキーリゾート』を造成(広域連携によるスケールメリッ

トの創出)

■ 「日本有数の山岳観光地」、「9mを超す降雪量を誇るパウダースノー」、「130以上のバラエティ豊かなコース」等、

HAKUBA VALLEYの特長をインバウンド向けに発信

⇒ 「HAKUBA VALLEY」のブランドにより世界に名だたる一大スキーリゾート地を形成(グローバルブランド確立

によりインバウンド顧客取り込み)

■ 10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア内(各スキー場間)のシャトルバスを運行し

一体感を構築

■ 当該エリア内索道の共通自動改札システム・共通ICチケットを導入

⇒ 単一チケットの利用で滑走できるゲレンデ群としては、世界の著名リゾートと比肩する規模感を創出(総滑走距

離:134km、コース数:139)

■ 共通ICチケット導入に合わせて当該チケットの個人向けWeb販売システム「My Hakuba Pass」を導入(ICチケッ

ト(カード)はWeb上でチャージ可能)

■ 観光地域づくり法人(DMO)を設立し更なる地域連携を創出

■ オールシーズンリゾート化の取組を推進(「世界を魅了するオールシーズンマウンテンリゾート化」に向けグリーンシーズ

ンのアクティビティを多数設定 等)

(3)HAKUBA VALLEYの取組の効果

■ 広域連携による効果・国内最大規模のスノーリゾートとしての規模感(価値観)の創出⇒ インバウンドの長期滞在化に寄与(広範な回遊・訪問先が長期滞在のインセンティブに)

・ 「HAKUBA VALLEY」としてのプロモーションによりエリア全体のPRが実現(2019-20シーズンからはアプリを通じた各種情報の発信を開始)

⇒ 個々のスキー場へプロモーションの効果を還元・エリア内索道の共通自動改札システム等については各スキー場共同で導入⇒ 全体のコストを抑え1事業者あたりの負担を軽減

・海外のリゾートと国際リフトシーズン券(Epic Pass)に係る連携を実現⇒ オーストラリアに加え北米・欧州からの誘客増にも寄与

・更なる地域連携を創出するDMOの設立⇒ 地域関係者の結束力を強化、受入環境の整備や宣伝の効率化等を実現

■ グローバルブランド確立による効果・「HAKUBA VALLEY」のネームバリューによるプロモーション効果向上⇒ ブランディングによる誘客促進(グリーンシーズンの誘客にも期待)

■ インバウンドの利便向上につながるシステム導入による効果・エリア共通ICチケット導入やチケットのWeb販売システムにより来訪者の利便を大幅に向上

⇒ 口コミによる来訪者の拡がり・リピーターの増加を実現

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(HVPB事務局提供データ)

HAKUBA VALLEY の取組 〔詳細版〕

◎ インバウンドが増加した経緯・背景

【経緯・背景】

〇 広域連携によるスケールメリットの創出

・2015 年に HAKUBA VALLEY 索道事業者プロモーションボード(以下「HVPB」と表記。)を立ち上げ、三

市村(大町市、白馬村、小谷村)からの支援を受けながら索道事業者 10 社が連携する取組を展開。

・白馬エリアの 10 スキー場を一つにまとめ『国内最大のスキーリゾート HAKUBA VALLEY』を造成。

・10 スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

・一番のターゲットは長期滞在の訪日外国人観光客(以下「インバウンド」と表記。)であり、「日本有数の山岳観光

地」、「9mを超す降雪量を誇るパウダースノー」、「130以上のバラエティ豊かなコース」等、HAKUBA

VALLEY の特長をインバウンド向けに発信。

⇒ 「HAKUBA VALLEY」のブランドにより世界に名だたる一大スキーリゾート地を形成.。

〇 HVPBの組織を設立した経緯

・2000 年初頭に、当時白馬村にあった 7 つのスキー場(白馬村索道事業者協議会)にて共通券の販売を開始し、

国内の宿泊客の来場促進を目的に販売を開始した。その後 2008 年には小谷村のスキー場のエリア、2013 年

には大町市のスキー場のエリアを含めた共通券に発展した。

・1990 年頃をピークにスキー場への来場者数の減少が続いていたところ、近年のインバウンドの増加により緩

やかな回復傾向に転じてきたことに鑑み、広域連携の組織(HVPB)を立ち上げ、エリア内スキー場共通のフリー

ゲートシステム等を導入した。(従前は誘客活動を各社が個々に取り組んでいたところ、HAKUBA VALLEY エ

リア共通リフト券の販売を機に、観光産業活性化の流れを加速していこうとする気運が高まり、エリア内の各ス

キー場が連携・協力して取り組む組織を立ち上げるに至ったもの。)

【インバウンドの増加状況】

〇 インバウンド促進の取組の効果

・HAKUBA VALLEY への外国人来場者数(来場者数は延べ客数。以下同。)は、年々増加しており(年平均

+25%で成長)、2018-19 シーズンは約36万7千人(対前年+11%)となっている。

・2018-19 シーズンの総来場者数中インバウンドは約 24%を占めている。(八方尾根スキー場では、外国人比率

が約 4 割となっている。)

・HAKUBA VALLEY への総来場者数は、ここ 7 シーズン(2012-13~2018-19)を見ると、特異な少雪によ

り落ち込んだ年はあったものの、傾向としては順調に来場者を確保している。(2018-19 シーズンは 154 万

3千人。)

〇 インバウンドの国別割合

・インバウンドの国別割合については、HVPB が実施したアンケートの結果及び白馬村の調査(村内の宿泊施設に

HAKUBA VALLEY スキー場の来場者(延べ客数)の状況

〔人〕

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(HVPB事務局提供データ)

おける調査)の結果に基づく推定値によると、オーストラリアからの客数が過半数を占めている。

・同調査結果の近年の推移をみると、オーストラリア人客の比率が半分近くに下がってはいるが、絶対数としての

同国からの客数は未だ増加傾向にある。それにも増して、台湾、香港、シンガポール、中国等のアジアや、欧米

各国からの客数が増えており、全体に占めるインバウンドの割合が増加していることが数値に現れている。

・・・オーストラリアに対するプロモーション強化のほか、アジアや欧米に対するプロモーション促進の効果が

現れている。

〇 インバウンドに目的地として選ばれる理由

〔雪質(パウダースノー)・豊富な降雪量〕

・HAKUBA VALLEY のスキー場がインバウンドに対して実施したアンケート(来場理由)の結果(回答)では、

「雪質(パウダースノー)・豊富な降雪量」が多数を占めている。また、「エリア全体としてのスケール・多様性(多

様なゲレンデ・コース)、景色・地形」も回答が多く高評価となっている。(「オリンピック開催地」であることも

評価に繋がっている。)

※ 日本のスキー場のパウダースノーは「JAPOW(ジャパウ)」と呼ばれ、非常に人気がある。海外のスキー場で

は、パウダースノーを楽しめるところは少ない。(⇒ 日本の上質なパウダースノーの魅力が海外に浸透し、口

コミによる来場やリピーターが増加。)

※ 豊富な降雪量とコース(斜面)を有していることから、「Freeride World Tour」大会(非圧雪、非人工斜面で

行われる「フリーライド」の世界選手権)が開催されており、これについても欧米を中心に注目され、「HAKUBA

VALLEY」の更なる知名度の向上に繋がっている。(山の地形を楽しむフリーライドスキーは人気が高まってお

り、HAKUBA VALLEY での大会誘致は、内閣府の地方創生加速化交付金事業に採択され、「スポーツ地方創

生」の事例として注目されている。)

〔口コミ〕

・白馬への来訪を決定した理由として「人」との関係でアンケート回答があったなかでは、「友人の薦め」の割合が大

多数を占めている。

〔アクセスの良さ〕

・白馬エリアは、北陸新幹線と特急バス利用で東京から 2 時間40分。小松空港や富山空港から至便な位置関係に

あるほか、成田、羽田、中部、関西の各空港からは直通バスが高頻度で運行。

〔低廉な料金〕

・リフト券料金については、海外のスキー場に比べ、圧倒的に安い状況。(訪日の理由の一つにもなっている。)

・・・豊富な深雪をリーズナブルに楽しめることが海外リゾートと比べての強みの一つ。

〈参考データ〉

◎ 具体の取組

【エリア内共通自動改札システム・共通 IC チケットの導入】

・エリアの共通チケットについては、2013-14 シーズンに導入した旧システムがスキー場毎に別々の改札システ

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ムであり、スキー場間を移動するたびにチケット販売窓口で当該スキー場リフト券への引き換えが必要なため、

特にインバウンドには不評であった。(「非常に不便だ」という声が多かった。)

⇒ 2016-17 シーズンからエリア内共通自動改札システム・共通ICチケットを導入。

(※ 爺ガ岳、鹿島槍の2スキー場は従来システムを継続利用。)

・このフリーゲートシステムは、各スキー場間の垣根を越えて共同で導入したものであり、全体のコストを抑える

ことができたことは大きなメリットとなった。

・10 スキー場共通のチケットの構築により、単一チケットの利用で滑走できるゲレンデ群としては、圧倒的な国

内最大規模となった。(総滑走距離:134km、リフト本数:105、コース数:138 であり、世界の著名リゾー

トと比肩する規模感。⇒ 世界的リゾートの一つとしてのアピールを強化。)

【グローバルブランド確立(「HAKUBA VALLEY」)によるインバウンド顧客の取り込み】

・白馬エリアでは国内外の市場へのアピール力を強化することが急務であるとの認識のもと、個々のスキー場単位

での取組では海外の有力スキー場に太刀打ちできないため、自治体やスキー場・事業者の垣根を越えて、地域一

体となったブランド創りを推進した。

⇒ グローバルブランド確立によるインバウンド顧客の取り込み。

・・・長期滞在客のニーズに合った商品づくり、マーケティング上のプレゼンス強化。

・国内に対しては、新たな楽しみの提供や話題作りを通じた需要の掘り起こしを展開。(若年層を中心に「白馬」の

認知度が低下していたため、「白馬」の名を改めて世の中に発出していく話題づくり(「国内最大のスキーリゾー

ト HAKUBA VALLEY」という分かりやすいブランドの確立、SNS向け話題づくり、異業種(飲料、食品、ス

ポーツ用品等)との提携等)とともに、地域と連携し様々なアクティビティや安らぎの空間を提供できる魅力的

なリゾートの再構築を行った。)

・個々のスキー場の名称ではなく「HAKUBA VALLEY」の名でプロモーションを行うことにより、エリア全体の

PRが実現。(「HAKUBA VALLEY」の名によりスノースポーツ競技選手などの「タレント」も有しており、「力

強い」イメージの創出にも繋がっている。⇒ 訴求力の向上。)

【個人向けWeb販売システム「My Hakuba Pass」の導入】

・共通ICチケット導入に合わせて、個人向けWeb販売システム「My Hakuba Pass」を導入したことにより、

よりスムーズに様々なエリアを滑走することが可能となった。(一度購入したICチケットは次回以降もWeb

上でチャージをすることで HAKUBA VALLEY 内のスキー場を繰り返し滑走できる。(チャージはWeb限定

割引価格で可。)⇒ チャージした当チケットがあれば、チケット販売窓口に並ぶことなく直接リフトに乗車でき

る。)

・・・リピーター増の効果大。

【シャトルバスの運行(インバウンドの移動手段の確保)】

・インバウンドは移動手段を持たないため、スキー場間のシャトルバスが非常に重要。インバウンドの増加に伴い

年々需要が高まっている。

(HVPB事務局提供データ)

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・行政からの支援も受けつつ各エリアを接続するシャトルバスを充実し、「一つのスキー場」として楽しめるように

した。(共通ICチケット保有者は料金無料。大町市エリア~白馬村エリア~小谷村エリアにおいて3系統で運

行(冬季)。)

・冬季は各スキー場単位での自家用のシャトルバスも運行。(自スキー場への送迎主体。)

・グリーンシーズンにおいては、白馬村がシャトルバスを運行。

・宿泊地が離れたエリアに点在(エコーランド、みそら野、和田野、落倉等)しており、シャトルバスの運用は不

可避。(宿泊施設については、インバウンドが現状のまま増加し続けるとキャパシティオーバーになる懸念があ

り、対策が求められる課題の一つ。)

・飲食店を巡る「ナイトシャトル」は行政(3市村)が運行。また、片道 1 時間半程度要するが、白馬~糸魚川間の

「シーフードシャトル」も好評。( ← 糸魚川の実行委員会が運行。インバウンドのみならず国内客にも人気があ

り、現在は利用者の半分位を国内客が占めている。)

・2015 年頃、泊食分離のインバウンドの増加に伴い、飲食店のキャパシティが不足し、所謂「夕食難民」が生じた

が、現在はインバウンドを受け入れる飲食店が増え、また、プロモーションの効果もあり、問題にはなっていな

い。ただし、アクセスのための二次交通については、ニーズにまだまだ応えきれていない状況がある。

・移動手段として、シャトルバスのほかにはタクシーが対応している。(白馬地区のタクシー会社3社(車両合計

50台弱)のほか大町・穂高方面のタクシー会社2社も対応。)

・・・増え続けるインバウンドに対応するうえで更なる二次交通の整備は大きな課題。

【アプリを通じた各種情報の発信】

・2019-20シーズンから「HAKUBA VALLEY アプリ」を設定し、同アプリを通じて観光情報、スキー場の天

候、積雪、リフト運行状況、バスロケーション(シャトルバスの位置情報)等の各種情報の発信を開始。スキー

場への来訪者に対して、事前に有益な情報を提供するものであり、利便を向上し誘客促進にも繋がっている。

【無料WiーFiサービスの環境整備】

・各スキー場のレストハウス、レストラン、インフォメーションセンター、チケットセンター等を中心に各スキー

場事業者(索道事業者)が整備を推進。(国土交通省の「観光振興事業費補助金」も有効活用。)

【多言語対応の充実】

・スキー場内の案内・誘導用看板、案内放送やHPの多言語化を各スキー場において推進。(国土交通省の「観光振

興事業費補助金」も有効活用。)

・近年、オーストラリアのほか台湾や中国などアジア系インバウンドが増加し、従来の英語表記以外に中国語(簡

体字・繁体字)や韓国語での表記が必要となっており、4カ国語による表記等が検討・推進されている。(インバ

ウンドの多様化(多国籍化)に合わせ、スタッフも含め何カ国語まで対応すべきかの判断については、各スキー場

にて検討を要するところ。)

【キャッシュレス化の推進】

・白馬エリアの殆どのスキー場においては、チケット販売やレストランでの決済についてキャッシュレス化(クレ

ジットカード対応)済み。

・HAKUBA VALLEY の取組としては、(前述のとおり)個人向け Web 販売システム「My Hakuba Pass」を導入。

・各スキー場において、QRコード決済システムの導入も検討。(一部スキー場導入済み。)

【観光地域づくり法人(DMO)の設立(更なる地域連携の創出)】

・観光地づくり法人「(一社)HAKUBA VALLEY TOURISM」を 2019 年 4 月 3 日に設立。これまで、3市村

(大町市・白馬村・小谷村)の観光部局が行政側の予算をもって個々にプロモーション等を行っており、地域事業

者全体と一堂に会して話し合うテーブルがなかった(中心的組織の不在)が、観光地づくり法人の設立により、

三市村行政や地域事業者が一つになって話し合うことができるようになった。重複しているような事業を精査し、

プロモーションの効率化等、整理・調整・コントロールを行うことがDMOの役割となっている。

・現在のメンバー(社員)は、3市村、3市村の観光団体(観光協会・観光局・観光連盟)と索道事業者で組織してい

る。今後は、関連の機関等(商工会議所・商工会、振興公社、電気通信事業者、交通事業者、JAグループ、金融

機関、医療関係者、高等学校等)が順次加盟することにより、地域全体で北アルプスエリアにおける誘客増を推進

する団体の構築を目指している。

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(HVPB事務局提供資料)

・現在、行政、宿泊施設、ショップ等、それぞれがHPからのプロモーション等を行っているが、これらを一元化

したプラットフォームの構築を目指している。

・DMOには、専門部会を設置しており、行政、観光団体、地域事業者から担当者が集まり定期的な会議を開催す

ることによって地域の課題改善に努めている。

【異業種との連携】

・異業種との連携については、飲料、食品、スポーツ用品等の外部ブランド企業との提携により、誘客・収益増を

図っている。(例えば八方尾根スキー場では、「コロナビール」、「スターバックスコーヒー」、「ホワイトホース」など外部ブラ

ンドとのタイアップや「トランジットジェネラルオフィス」などの空間プロデュース会社との連携、栂池高原スキー場におけ

るアスレチックでは、自然体験の企画等を行う「ベネッセ」などの教育関係企業との連携を行っている。(八方尾根スキー場の

「スターバックス・コロナエスケープテラス」には一冬で1万人超えの売上げがあるなど、スキー場の集客・収益に寄与してい

る。))

・・・若者に刺さるコンテンツを提供するパートナーとの連携。

・また、ゴンドラ搬器内や搬器外面ラッピングに異業種(自動車ディーラーやスキー用品(ウェア、カメラ等)メー

カーなど)の広告を掲載する(⇒広告収入を得る)ことなどの連携も行っている。

【海外のリゾートとのアライアンス】

・米国の Vail Resorts(株)と長期アライアンス契約を提携し、同社が販売・運営する世界最大の国際リフトシーズ

ン券である「Epic Pass」(エピックパス)のプログラムに HAKUBA VALLEY も 2018-19 シーズンより連携

している。(当該パスの全世界の発券枚数は 90万枚を超えている。)

・「Epic Pass」は、「Epic Pass」、「Epic Local Pass」、「Epic Australia Pass」の3種類

があり、これを保有していると HAKUBA VALLEY にて連続5日間無料で滑ることが

できる。

・訪れているオーストラリア人客には「Epic Australia Pass」が特に好評。北米本土からの

誘客にも大きく寄与していると考えられる。(現在、全世界で 78 リゾートが提携してお

り、国内では HAKUBA VALLEY が先行して加入。)

【バックカントリールールの統一化について検討】

・増加するバックカントリーに対する安全対策として、各スキー場で別々に策定されているルールをエリア全体の

統一ルール「HAKUBA VALLEY ルール」に統一化するための検討を開始している。

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(白馬観光開発(株)提供資料)

(白馬観光開発(株)提供資料)

【オールシーズンリゾート化の取組推進】

〔グリーンシーズンの取組事例(白馬観光開発(株))〕

・白馬山麓の「世界を魅了するオールシーズンマウンテンリゾート化」に向けて、グリーンシーズンに楽しめるアク

ティビティを多数用意し、「誘客の伸び代が大きいグリーンシーズンを如何に盛り上げるか」を念頭に様々な取組

を展開している。(具体の取組は下記のとおり。)

※ 「冬の白馬」から四季が楽しめる世界有数の「オールシーズンマウンテンリゾート」としてのブランド確立を目

指している。(「マウンテンリゾート」の言葉のイメージも重要視。)

※ リゾート化の推進においては、インバウンドに好評な日本独特の雰囲気が失われることがないように配慮す

ることを共有。(例として、岩岳の街並み活性化に向けた事業など。)

〇 マウンテンバイク(MTB)

・かつてマウンテンバイク(MTB)の聖地と呼ばれていた白馬岩岳の施設を復活。

・2017 年に「白馬岩岳 MTB PARK」を大改装し、山頂から山麓まで全長約7km のコースを新設するなどマウン

テンバイクの魅力を再認識させるようなコースに生まれ変わった。(国内唯一の国際基準に沿った初心者・初級

者コースを2本造成し、誰でも(どんなレベルでも)楽しめるような設定を行った。)

・改装後は来場者数が大幅アップ。(2018 年は 2016 年比 8 倍増の 1 万人の来場があった。)(20 年位前のM

TBの聖地だった頃の来場者は競技志向者が多く、所謂「お金を落とさない」(収益が上がらない)状況だったが、

改装後は幅広い客層の来場により収益も向上。)

・インバウンド向けにも盛んにプロモーションを行っている。また、全ての来場者に対して常に最新モデルの良い

物をレンタルできるようにしている。

〇 様々なアクティビティ(複合遊戯施設)

・大人から子供まで楽しめる様々なアクティビティを栂池に設置。(「白馬つがいけ WOW!」)

※ 主に4つのアクティビティ(フランス製で日本初のアドベンチャー施設)を導入。地上 10m、片道 140mの

コースの自転車綱渡り、高さ 12mからのクイックジャンプ、池に向かって滑り降りるウォータースライダーな

ど、日常では味わえない体験を大自然の中でチャレンジできる。(冬季においても、スキー・スノーボード以外

のコンテンツとして、冬ならではの体験ができる「白馬つがいけ SNOW WOW!」を実施。)

・グリーンシーズンの白馬は年配者が訪れるイメージがあったが、若年層やファミリーの多くの来訪を企図したア

クティビティ(アイテム)の導入により、新たな顧客層の取り込みを図っている。(「白馬つがいけ WOW!」は

2018 年8月の開業後3ヶ月で 8 千人超が来場。)… コンテンツについては常に話題性のあるものを意識し取

組を進めている。

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(白馬観光開発(株)提供資料)

(白馬観光開発(株)提供資料)

〇 展望テラス

・2018 年秋に白馬随一の絶景の地である白馬岩岳の山頂にテラス&カフェ「HAKUBA MOUNTAIN

HARBOR」を創設。(HAKUBA 三山(白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳)を正面に見据え、南北に広がる北アルプス

を一望できる絶景テラスとなっている。(「シティベーカリー」とタイアップし、白馬の特産物である白馬豚のク

ロワッサンサンドや、白馬で育った信州サーモンのスモークサンドなど、ここでしか味わえないメニューを提供。)

※ 岩岳では、グリーンシーズン全体の入込客数が例年のスノーシーズン全体の入込客数を超え、スノーシーズ

ンにおいてもスキー・スノーボード以外を目的とした観光客数が伸びている。

〇 グランピング・食

・2018 年9月に、アウトドアブランド「(株)スノーピーク」と共同で白馬村の地域活性化を推進すべく「(株)スノー

ピーク白馬」を設立。「和の大家」と称される世界的建築家の隅研吾氏のプロデュースのもと、2020 年4月中旬

に新たな体験型施設を白馬村に開業する予定。

・長野県農業経営者協会などと協力しながら、白馬村の「食」を強化する取組も進めている。

⇒ リゾートにおける「食」を重要視。引き続き外部ブランドとのタイアップも充実させ、より自然と食を同時に

楽しめる環境を創出していく。

〇 古民家等の観光資源化

・街並みを「高級古民家リゾート」に転換し、地域の魅力を増進。(日本情緒の残る街並みや特徴的な食事をアピー

ル。)

・REVIC(㈱地域経済活性化支援機構)や観光協会等と連携し、街並み・宿泊施設のリニューアルと運営一体

化を進める会社を設立し、山と里一体でのリゾート化を推進。

※ 2018 年 9 月に新会社「自然と伝統の融合した白馬岩岳の街並み活性化(株)」を設立。(ALL 信州観光活性化

ファンド、NEC キャピタル、Funny(株)、岩岳観光協会及び白馬観光開発(株)の連合体。)休業した複数の宿の

リノベーション、運営の一体化、泊食分離等を手掛けていくことで、街並み全体を一つの「高級古民家リゾート」

に転換。(2020 年 2 月には「旅籠丸八」の稼働率は約 75%に到達。併設する「庄屋丸八ダイニング(レストラ

ンまるはち)」も連日のように満席が続いた。)

・岩岳地域内料飲施設(「レストランまるはち」等)を軸に地域をあげて泊食分離の推進を行い、地域内の宿の手間

の縮減とエリアの魅力増進を進める。・‥ 近隣宿泊施設では宿泊客に「ミールクーポン」を発券。(宿泊施設側の

食事準備の負担を軽減。)地域内の回遊ルート設定・ナイトシャトルとの連携も強化し、宿泊客を岩岳地域内料

飲施設へ誘導する。日本情緒の残る街並みや特徴的な食事をアピールし、「白馬滞在中に必ず訪れるべき街」を目

指している。

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(白馬観光開発(株)提供資料)

◎ 主要課題・対応策の検討

【課題認識とそれへの対応】

〇 スキー人口の減少(国内スキー場共通の課題)

・国内スキー人口は継続的に減少しピーク時の1/3程度まで縮小している。(ピーク時:約 1800 万人(人口の

15%以上が年 1 回以上スキーを実施)、現在:600 万人を切る水準に。)それに対して、スキー場の数はそれ程

減少しておらず、供給過剰(足の引っ張り合い)の状況に陥っている。

・国内マーケットは現状を維持することが精一杯(多くを期待できない)。(2025 年以降国内人口は 1 億人を切る

予測。現在の 10 代 20 代はスキー・スノーボードの参加率は低い。)

⇒ ・増加基調にあるインバウンドの促進により地域を活性化する。

・そのための受入環境整備を更に進める。

・グリーンシーズンのコンテンツ充実も含め「HAKUBA VALLEY」のブランディングを強化しエリアとして

の魅力を一層高め、通年での誘客拡大を図る。

・リピーターを拡大するための効果的なプロモーションの実施。(顧客情報収集システムを活用した顧客の

パーソナライズ化によるダイレクトなプロモーションの展開。)

〇 施設の老朽化

・索道施設の老朽化が進んでおり(平均 30 年超経過。)更新等の整備が必要。

⇒ ・これらの施設更新の投資のために企業としての体力を付けている段階にある。

・索道の輸送単価の見直し(経営の安定化を図る。)… 米国 Vail Resorts(株)では、ここ10年で入込客数

が変わらない状況のなか大幅な単価増に成功しており好循環の達成ができている。国内のスキー場はこれ

に比べ低利益のぎりぎりの経営を強いられており、投資ができていない。結果、サービスの切り捨て→快

適な体験の提供ができない→顧客満足度低下→客離れ となっている。(⇒ HAKUBA VALLEY において

は少しずつ単価を上げている状況にある。)

・ただ単に索道施設を更新すればよいというものではなく、「スキー場内のアイテムを充実させる」意識が重

要。索道配置の適正化を図ることもその一つ。(例えば、八方尾根スキー場は、以前は索道事業者6社で営

業しており(現在は2社)、リフトのつなぎ(連絡)が悪く、効率化(配置の適正化)を図る余地がある。)

〇 二次交通(インバウンドの移動手段)の不足

・移動手段を持たないインバウンドが増加の一途を辿るなか、現在運行しているシャトルバスのキャパシティが足

りない。(今後大幅に誘客を図るグリーンシーズンも含め、二次交通の整備・拡充は喫緊の課題。)

(←・インバウンドは長期滞在し、日毎にスキー場を移動する。

・宿泊施設は広域に点在しており移動手段が必須。

・インバウンドは泊食分離であり、夕食に出掛けるための移動手段が必須。

・グリーンシーズンにおいても同様。 )

・交通事業者側の課題として、バスの運転者不足。

・タクシーが足りない。(海外のリゾート地では夜中の 1 時頃までシャトルバスが運行しているが、HAKUBA

VALLEY ではナイトシャトルは 22~23 時頃に終了するため、遅い時間はタクシーに頼らざるを得ない。)

・インバウンド客からは利便性に対する意見あり(動きたいタイミングで動けない等)。

(← HAKUBA VALLEY が運行のシャトルバスは路線バスであり、定時定路線であることからの制約あり。)

⇒ 交通事業者と自治体等との連携強化による対策が求められており、自治体・DMOが主体となりエリア内を運

行するシャトルバス全体の整理・再編を検討する動きが始まっている。

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〇 宿泊施設のキャパシティの不足

・インバウンドの増加に伴い、宿泊施設のキャパシティも不足している。(経営者の高齢化・後継者不足により廃

業が進み、減少の一途。岩岳周辺宿泊施設の事例では、ピーク時の 60%程度に減少している(1993 年:156

軒 → 2016 年:91 軒)。「借金をしてまで続ける必要はない」という経営者の意識があり、廃業が続いている。

古い民宿が数多く残っているが、若年層やファミリー(子供連れ)はリゾートホテルを好む傾向にあり、利用率

が上がっていない。)

⇒ ・古い民宿をインバウンドのニーズに合ったかたちに再生する。(インバウンドの長期滞在、泊食分離に適し

た環境の整備。)

・岩岳の街並み活性化に向けた事業に見られるように、地域を挙げて泊食分離の推進を行い、宿泊施設側の負

担を軽減(人手不足にも対応)するとともに、地域内の回遊ルート上の料飲施設においては、日本情緒の残

る街並みや特徴的な食事をアピールし、かつ、移動手段(シャトルバス)の充実も行い、当エリアの魅力を

増強する取組が求められる。

〇 強いシーズナリティ(グリーンシーズンの低稼働)による地域全体への悪影響

・冬季の短期雇用が中心 → 生産性・サービス水準向上への足枷

・定住人口が増えない → 街の機能充実への足枷

・スキー場、宿、商業施設等の設備投資への足枷

⇒ グリーンシーズンの誘客増を図り「オールシーズンマウンテンリゾート」としてのブランドを確立する。(「リ

ゾート」感を強化する。)

・グリーンシーズンのアトラクションの増強(天体ショー、MTB、アイテム豊富なアドベンチャー施設など)

・地域と一体となった「街の魅力」向上(「スノーピーク白馬」の設立など)

・手軽に非日常感を味わえる場の創出(山頂で絶景を眺めるテラス(HAKUBA MOUNTAIN HARBOR)など)

※ 以上の取組についてのプロモーションを、インバウンドに対してはもとより、国内の若年層やファミリー層

に対して効果的に行うことが肝要。… HAKUBA VALLEY では視覚に訴えるプロモーションビデオの発信

等が盛んに行われており、誘客の効果が現れている。

◎ HAKUBA VALLEY の特長・ポイント(まとめ)

〇 広域連携による強み

・国内最大規模のスノーリゾートとなったことによる規模感(価値観)の創出(集客力アップに繋がる)

・インバウンドの長期滞在化に寄与(広範な回遊・訪問先が長期滞在のインセンティブに)

・エリア内共通システム導入等において1事業者あたりの負担軽減の効果

・ 「HAKUBA VALLEY」としてのプロモーションによりエリア全体のPRが可(各事業者に効果還元)

・海外のリゾートと国際リフトシーズン券に係る連携を実現したことによる誘客促進の効果

〇 ブランド確立による強み

・「HAKUBA VALLEY」のネームバリューによるプロモーション効果(魅力向上による誘客効果大)

・オリンピック開催地であることやフリーライドスキー世界大会開催による知名度による効果

・ブランディングをグリーンシーズンにも拡げ「オールシーズンマウンテンリゾート」を形成(⇒ 今後、グリーン

シーズンのインバウンド誘客拡大に期待)

〇 豊かな自然環境を活かしている強み

・豊富なパウダースノー

・南北に広がる北アルプスの絶景

・ゴンドラ等を活用し山の中腹等に設定した各種アクティビティ等に集客が可能なロケーション

〇 インバウンドの利便向上につながるシステム導入による強み

・共通ICチケット導入によりエリア内のいずれのスキー場も回遊できる利便創出

・ICチケットにWeb上でチャージすることによりチケット購入の手間を省ける利便創出

〇 異業種との積極的な連携による強み

・飲料、食品、スポーツ用品等の外部ブランド(「若者に刺さる」コンテンツを提供するパートナー)とのタイア

ップにより誘客促進

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((株)野沢温泉提供データ)

2. 野沢温泉スキー場 の取組 〔概要版〕

■インバウンドにとって野沢温泉スキー場の豊富な雪量とパウダーの雪質は大きな魅力(当スキー場を目的地とする第

1の要素)となっている。

⇒ 当スキー場では多くの非圧雪コース・エリアを設定

⇒ 非圧雪のパウダースノーを楽しむ様子がSNSで発信され人気拡大

■ 「野沢温泉」内には各施設がまとまっており、各所へ歩いて回れる環境。「泊食分離」のインバウンドにとっては人気の

大きな要因となっている。

⇒ 「野沢温泉」では多言語対応の飲食店の数を増やすなどインバウンド増に対応・・・需要増とともに街の賑わいが増

し活性化が進展

■ インバウンドは老舗の古い旅館を好む傾向にあり、また地元の住民と接することも楽しんでいる。外国人オーナーの

宿泊施設・飲食店等も増加。

⇒ 村全体が一体となってインバウンドの受入れに対応

■ 村内の関係者が連携した協議会によりオーストラリア等へ積極的なプロモーションを展開。(協議会はインバウンド

誘致に関わる窓口の役割も。)

■ 多様なコンテンツ(各種スノーアクティビティ等)を造成し、長期滞在のインバウンドの需要に対応。

■ インバウンドの利用率が高いスキー・スノーボードスクールについては外国人インストラクターによる多言語での

レッスンを提供。

(2)野沢温泉スキー場の取組の主な内容

■ 野沢温泉村が有する資源をそのまま大きな訴求力に⇒ インバウンドに好評な雪量・雪質(JAPOW)に加え、日本的な文化・歴史を感じさせるスキー場麓の街並み(温泉

街)がオーストラリアをはじめとするインバウンドの志向に合致・・・ウィンウィンの関係を構築■ 域内の二次交通が不要な環境を強みに

⇒ スキー場麓の街並み(温泉街)はコンパクトにまとまっており、長期滞在・泊食分離のインバウンドにとって歩いて回遊できる楽しみを創出・・・口コミによる来訪者の拡大・リピーターの増加を実現

■ 長期滞在のインバウンドに対して多様なコンテンツを提供⇒ 日本の伝統的文化や独自の資源に触れる多様なメニューを揃え提供しており、滞在中にスノースポーツ以外の観光

も消費するインバウンドの需要に村全体・関係者が一体となって応えている(インバウンドに人気の「スノーモンキーツアー」等、観光資源を回遊するバスツアーは重要な役割を果たしている) ・・・インバウンドの長期滞在化・消費拡大を促進

■ インバウンドの受入環境整備を推進⇒ スキー場における多言語案内表示・案内放送をはじめ、スキー・スノーボードスクールの外国人スタッフによる

レッスン、スキー場隣接医療機関の外国語対応等、多言語対応を充実するとともにスキー場及び街並み(温泉街)における無料Wi-Fi環境整備を推進・・・インバウンドのストレスフリー化が進み高評価に

■ 「良質で豊富な天然雪」、「日本最大級のスキーゲレンデ」、「日本の文化・歴史を感じさせる街並み」等についての積極的なプロモーション活動により冬季のインバウンドツーリズムが発展し、2010年頃からオーストラリア人を中心に多くのインバウンドが訪れるようになった。

■ シーズン毎のインバウンドの宿泊者数は対前年2~3割増の拡大基調にて推移(2013-14~2017-18シーズン)。(2018-19シーズンにおける実宿泊者数は約3万人。)

■ 2018-19シーズンのスキー場利用者(延べ入込客数) 421千人のうち、インバウンドは98千人であり、約4分の1を占めている。

■ インバウンドの国籍別には約6割強をオーストラリア人が占めている。(最近の傾向として、中国、台湾、香港、アメリカ、イギリス、シンガポールなどの他の国々への分散化が進んでいる。)

■ 「野沢温泉」(スキー場麓の街並み)は日本文化や歴史を感じることが出来るところとしてフォーカスされ、目的地として人気を博している。

(3)野沢温泉スキー場の取組の効果

(1)インバウンドの増加状況

スキー場周辺宿泊施設への外国人宿泊者の増加状況(実宿泊者数)

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野沢温泉スキー場の取組 〔詳細版〕

◎ インバウンドが増加した経緯・背景

【経緯・背景】

・野沢温泉村は、戦前期から「スキー」を軸とした国際交流や国際大会の開催がなされてきており、元々外国人を受

け入れる基盤や素地が存在していたと考えられる。

・「良質で豊富な天然雪」、「日本最大級のスキーゲレンデ」、「日本の文化・歴史を感じさせる街並み」等についての

積極的なプロモーション活動も功を奏し冬季のインバウンドツーリズムが発展。

⇒ 2010 年頃からオーストラリア人を中心に多くのインバウンドが訪れるようになり、シーズン毎の宿泊者数

を見ると対前年 2~3 割増の拡大基調にて推移(2013-14~2017-18 シーズン)している。(2018-19 シー

ズンにおけるインバウンドの実宿泊者数は約 3 万人に至っている。)

【インバウンドの増加状況】

総宿泊者数

(人・泊)

総宿泊者数

対前年比(%) 平均泊数(泊) 実宿泊者数(人)

実宿泊者数

対前年比(%)

13/14 シーズン 62,300 5.25 11,860

14/15 シーズン 71,800 115.3 4.66 15,400 129.8

15/16 シーズン 85,200 118.7 4.39 19,400 126.0

16/17 シーズン 106,000 124.4 4.37 24,250 125.0

17/18 シーズン 133,600 126.0 4.63 28,860 119.0

18/19 シーズン 128,000 95.8 29,490 102.2

・野沢温泉スキー場全体の索道の乗車人数データ(H27~30 年度の推移)からは、冬季以外(4~11 月)の人数は

概ね横ばいであるものの、冬季(12~3 月)は年々増加傾向にあり、インバウンドの増加が大いに寄与しているも

のと考えられる。

・2018-19 シーズンのスキー場利用者(延べ入込客数) 421 千人のうち、インバウンドは 98 千人であり、約

1/4を占めている。((株)野沢温泉提供データ)

・インバウンドは長期滞在者が多いこともあり、近年、平日の入込客数が伸びていることが特徴として挙げられる。

(多い日で 4,000 人程度の入込あり。)

【野沢温泉スキー場の魅力】

・インバウンドにとって、野沢温泉スキー場の豊富な雪量とパウダーの雪質は大きな魅力であり、当スキー場を目

的地とする第 1 の要素となっている。(海外のスキーヤー・スノーボーダーには、「天然雪がこれ程豊富な国は世

界でも珍しい」という認識がある。)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

2013-14 2014-15 2015-16 2016-17 2017-18 2018-19

(人)(人・泊) 総宿泊者数(人・泊) 実宿泊者数(人)

スキー場周辺宿泊施設への外国人宿泊者の増加状況 ((株)野沢温泉提供データ)

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・当スキー場内では計11箇所の非圧雪コースを設けている。また、スキー場上部には「自己責任特別エリア」(当

社管理区域外)を設けており、非圧雪のパウダースノーを楽しみながら樹木の間を滑走する様子がSNSでも発

信され、特にインバウンドに人気を博している。

・訪れているインバウンドのうち、国籍別には約6割強をオーストラリア人が占めている。(最近の傾向として、

中国、台湾、香港、アメリカ、イギリス、シンガポールなどの他の国々への分散化は進んでいる。)

・インバウンド(以下、オーストラリア人を想定。)は、日本における地域性に強い関心があり、「野沢温泉」(※)は日

本文化や歴史を感じることが出来るところとしてフォーカスされ、目的地として人気を博している状況にある。

・・・インバウンドはリッチな贅沢感にはこだわらず「日本らしさ」を求めている。

(※ 野沢温泉スキー場麓に広がっている街並み。)

・「野沢温泉」は、大手ホテル企業に依存しない老舗旅館中心の「レトロな和」の街並み、外湯巡りができる温泉の存

在など、海外からの観光客が魅力を感じる要素が具現化されている。(温泉資源は、維持・管理形態も含め、地

域の特徴的な文化として評価されている。)

・・・村全体が一体となり積極的な国際化(インバウンドとの調和)に取り組んできた成果も現れている。

・「野沢温泉」内には各施設がまとまっており、自動車を利用しなくても各所へ歩いて回れる環境にある。宿から夕

食に出掛けることも容易であり、宿で食事を取らずに外食をすること(泊食分離)が主体のインバウンドにとって

は、人気の秘訣(大きな要因)となっている。(インバウンドの一日の行動パターンについては、新(深)雪を求めて

早朝から滑走し、午後はゆっくりとアプレスキー(アフタースキー)を楽しむといった形態が多い模様。)

・インバウンドは、街を散策しながら色々な食事を独自の選択で探すことを好んでおり、長期滞在者が多いことか

ら、食事の選択肢の多さも大きなポイントとなっている。(日毎に別の飲食店を歩いて巡り楽しんでいる。… 「野

沢温泉」はコンパクトにまとまっているため、それが出来るところ。旅館側の接客も積極的な街歩きを促す方向

となっている。)

・数年前までは、ハイシーズンにおいて飲食店のキャパシティが不足し、所謂「夕食難民」が生じることもあったが、

ここ数年間で飲食店(英語表記の看板等インバウンド対応済み。)の数も増え、また、店によってはお客の回転

率を上げる努力も行った結果、現在はほぼ対応出来るようになっている。(… 需要増とともに街の賑わいが増し、

相乗効果により食事内容も進化したとのこと。)

・インバウンドは、老舗の古い旅館を好む傾向にあり、また、「野沢温泉」の文化・資源である「外湯」についてもよ

く調べており、マナーもわきまえ、かつ、地元の住民と接することも楽しんでいる模様。(「野沢温泉」内の道路

は狭い箇所が多く、また、民家が連なっており、道路拡幅等の整備は容易ではない状況と言えるが、逆にインバ

ウンドに対しては、このような昔からの風情を感じさせる様子が好まれるようでもある。…ウィンウィンの関係。)

・野沢温泉スキー場(「㈱野沢温泉」)がインバウンドに対して実施したアンケートの結果では、当スキー場を目的地

野沢温泉観光案内所発行のイン

バウンド向けパンフレットより

温泉街・商店街の様子(㈱野沢温泉提供)

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に選定した理由として、「家族や親しい友人の満足度を中心とした口コミによる情報収集」が一番多く、必ずしも

インターネットからの情報(HPやSNS)に依っていない状況が窺われる。

・「野沢温泉」内にオーストラリア人のオーナー(宿泊施設、飲食店など)は70~80軒程度存在しており、更な

るインバウンド誘致に寄与している。(オーストラリア人オーナー(宿泊施設)は「野沢温泉」の旅館組合には入っ

ていないが、観光協会には加入し他との調和が図られている。)

・また、毎年スノーシーズンに入る前に、行政(野沢温泉村)を中心に村内の関係者・関係公共機関(警察、消防、

地縁団体「野沢組」惣代、金融機関、観光協会、スキー場等)と外国人オーナーとの間で説明会、情報交換会等を

開催しており(行政(野沢温泉村)が主導し 2013 年度から継続。)、安全管理に関することをはじめ、ゴミの出し

方や雪の扱い(除雪)方に関するルール・マナーなどについて、外国人オーナーに理解を求め、かつ、周知を図っ

ており、地元オーナーと外国人オーナーとの温度差解消に資するとともに、村内の治安安定化に大きな成果を上

げている。(治安上の問題は生じていない。)

◎ 具体の取組

【プロモーション】

・2006 年にオーストラリアをはじめとする英語圏向けのプロモーション組織として「長野-新潟スノーアライア

ンス実行委員会」が立ち上がり、各種プロモーションを展開している。(白馬、志賀高原、妙高、野沢温泉等の宿

泊業者が中心となり広域での誘客を行ったことが大きな流れの始まり。)当委員会では、海外の旅行博への出展

や旅行業者・メディア関係者へのプロモーション等、各種活動を展開しており、その一環として、野沢温泉スキ

ー場も一企業として現地へ出向き、プロモーションを継続することで知名度を高めてきた経緯がある。(オース

トラリアでの旅行博(例年5月開催)には毎年出展しており、近年、当スキー場のブースには大変多くの人が集ま

っている。)

・野沢温泉村では旅館経営者達が中心となって平成17年に設立した「インバウンド協議会」が存在しており(当初

は12~13軒、現在は20軒位の旅館で構成。)、「長野-新潟スノーアライアンス実行委員会」へは、同協議会

が加盟し、積極的にプロモーションを行っている。オーストラリアについては、同協議会がニセコでの成功事例

を踏まえてターゲットし、旅行雑誌・専門誌・機内誌等への広告掲載や観光イベントでの宣伝を行ってきている。

「インバウンド協議会」は、インバウンドの誘致、長期滞在化の対応について、一つの窓口にもなっている。(各

会員は、同協議会としての取組のほか、独自のプロモーション活動も別途行っており誘客効果を高めている。)

・各種プロモーションの効果は現れているが、それ以上に野沢温泉スキー場を訪れた人からの口コミやSNSによ

る情報発信が大きな影響(誘客効果)を与えている。インバウンドのリピーターの増加に伴い、益々その影響力は

大きなものになっていると言える。

・・・プロモーションによる効果以上に、口コミ・SNSによる高評価の拡散効果が大きい。

【マーケティング】

・インバウンドの国籍については、適宜実施しているアンケートの結果や各種スノーアクティビティ(雪上車によ

る「雪原遊覧」等)の利用者のデータなどから把握している。(前述のとおり、オーストラリアからの来訪者が多く

を占めているなか、アジア、ヨーロッパ、北米各国からの来訪者も増えつつある状況。)

【インバウンド受入環境整備】

・無料Wi-Fi環境整備については、スキー場内(建物中心)及び温泉街において、早い段階(6~7年前)から

対応している。(宿泊施設は殆どが個々に対応済み。)

・多言語対応については、スキー場内ゴンドラ駅舎等に国の補助制度も活用しデジタルサイネージを導入するなど、

インバウンドの増加に合わせ推進している。

【多様なコンテンツの造成】

・スキー、スノーボード以外のスノーアクティビティとして、雪上車による「雪原遊覧」(雪上車に人が乗れるキャ

ビンを載せたもの。16名が乗車可能。)、「ジップ・スカイライド」(ゲレンデ最上部から張ったワイヤーケーブ

ルによりゲレンデ上空を滑り降りるアクティビティ。)、「スノーシューイング」(スノーシューを履いて雪の原生

林を散策するツアー。)のほか、スキースクールのスタッフが案内する「バックカントリーツアー」も行っている。

ファミリー向けには「キッズパーク」(ゲレンデエスカレーター、ソリ・チュ-ビング遊びコースのほか各種遊具

あり。)も設定している。長期滞在のインバウンドにとっては、日によってはこのようなアクティビティにより

過ごしており、楽しみ方の選択肢が多いことは評価を高め、リピーターの増加に繋がっている。

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・スキー場におけるコンテンツ以外では、おやき作り・そば打ち体験や和紙作り体験、蔓細工体験などがあり、観

光協会を通じて予約制にて行っている。

・インバウンドに非常に人気がある地獄谷野猿公苑をめぐる「スノーモンキーツアー」については、バス運行会社 2

社が送迎バスを運行している。(多様な観光資源を回遊するバスツアーは、長期滞在のインバウンドに対して重

要な役割を果たしており、寺社仏閣や祭事など日本の伝統的な文化に触れる企画などを提供し好評を得ている。)

・インバウンドのなかには、滞在中に金沢や東京まで観光に出掛ける者もいる模様。

・・・インバウンドの多くは移動距離・移動時間を気にしない。

【近隣スキー場との連携】

・近隣スキー場間のシャトルバスについては、斑尾高原スキー場との間をJR飯山駅経由で1日2往復している。

・近隣スキー場との連携による共通チケットについては、志賀高原との共通シーズンパスを設けている。また、北

信州の6スキー場(野沢温泉、木島平、さかえ倶楽部、戸狩温泉、斑尾高原、北志賀竜王)の間で、使用済みリ

フト券をもって料金が割引される「北信州周遊割引」も設定している。

【スキー場へのアクセス(二次交通)】

・新幹線駅「飯山駅」からの直通バス「野沢温泉ライナー」が1日9往復しており、多くのインバウンドが利用してい

る。利用者数については、年々増加しており、ハイシーズンにおいては、多客時間帯の4~5便にバス車両の増

発も行い対応している。

・・・新幹線開業効果(北陸新幹線開業(金沢延伸)後、首都圏からの公共交通機関による所要時間は約 2 時間

強となり利便が向上。(開業前は長野駅からの直通バスが運行していた。))

・一方、利用者は少ないものの、在来線(JR飯山線)の最寄り駅「戸狩野沢温泉駅」からは、タクシーも含めアク

セス手段が乏しい状態にあり、一つの課題となっている。(なお、村内には従前からの路線バス(1社)が便数は少

ないものの日常的に運行している。)

【スクール・外国人スタッフの活用】

・スキー・スノーボードスクールについて、インバウンドの利用率は高い状態が続いている。(スクール利用者全

体のうちインバウンドが6割弱。その半数近くがオーストラリア人。また、子供の割合は 4 割程度。)

・インバウンドに対するレッスンについては、外部会社(各種アクティビティの事業も行っている群馬県水上の会

社。)と契約し、当該社のインストラクター(全員外国人(8割方オーストラリア人))が対応しており、英語によ

りレッスンが行われている。(6年程前にこのスクールを当スキー場のスクールに組み入れ、「野沢温泉スキース

クール」の名目でインバウンドに対するレッスンを行っている。)

・外国人のスタッフについては、索道、レンタル、レストラン等において一定程度の人数を雇用している。

【インバウンドの安全・安心の確保】

・スキー場において怪我人が発生した場合には、スキー場に隣接している整形外科医院が受け入れ先となっている。

英語での会話によるインバウンド対応が可能な医療機関でもあり、インバウンドの安全・安心を確保するうえで

重要な役割を果たしている。

インバウンド向けパンフレット(野沢温泉観光案内所)では、近隣の観光スポット

として、地獄谷野猿公苑のほか、善光寺、松本城、金沢などを紹介している。

野沢温泉観光案内所

発行パンフレットより

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・近年案件が多かったバックカントリーにおける遭難事故・トラブルについては、その危険性や遵守しなければな

らないルールの説明の徹底により、漸くインバウンドにも趣旨が浸透し、ここ数年は件数が明らかに減少してい

る状況にある。

【グリーンシーズンの取組】

・グリーンシーズンのコンテンツについては、『利用者の選択肢を増やす』ことを念頭に検討を進めている。

・・・現在の主要課題の一つ。(「持続性が肝要。流行りものにとらわれない。」旨の認識により取り組んでいる。)

・現在、「サマーゲレンデ」、「ジップ・スカイライド」、「アスレチックパーク」の営業(いずれも3年程前から)の

ほか、野沢温泉の自然を活かしたコンテンツとして、トレッキング(山の散策)、花畑(柳欄など)、星空観賞(「ナ

イトゴンドラツアー」)、キャンプ場(上ノ平高原、スタカ湖畔)、マウンテンバイクなどをメニューとして揃え

ている。また、周辺のコンテンツとして、「千曲川カヌーツアー」や「北竜湖SUP(スタンドアップパドルボー

ド)」などもインバウンド向けに紹介している。

・「サマーゲレンデ」(7~11月)は、500m位のコースであり、固定4人乗りリフト利用。マニアックなお客向

けであるが、予想以上に集客できている状況。「ジップ・スカイライド」(7~11月)は全長652mのスカイア

クティビティであり、機器はフランス製で独自のブレーキシステムを有している。マウンテンバイク(7~8月)

はゴンドラ(長坂ゴンドラリフト)利用のうえ全長約10kmのコースを下るアクティビティ。

◎ 今後の課題

【グリーンシーズンの誘客増】

・グリーンシーズンのコンテンツを充実させる(前述のとおり。)ことにより誘客を図り、オールシーズンのリゾ

ート地を目指す。(特にインバウンドについては伸び代があると捉えており積極的な誘客を行っていく。)

【スノーシーズン後半のインバウンドの呼び込み】

・インバウンドの入込は、1~2月がピーク。(オーストラリアは夏季休暇期間であり、この時期にオーストラリ

ア人客の来場が集中する。(個人で直接予約して来る人が多い。))今後は、3月においても来場者を確保する(1

~2月の数に近付ける)ことを課題としている。

・・・インバウンドに対しては、口コミの影響が大きいものの、例年 3 月に入ると国内でも宣伝が少なくなる現

状があるため、「3月は雪質も良く、1~2月に比べて暖かい気候でもあり、未だ十分楽しめる」ことを今後一層

宣伝していきたいとしている。

【宿泊キャパの確保】

・宿泊施設経営者の高齢化が進む状況のなか、後継者不足(→経営持続困難)が深刻化し、宿泊キャパが年々縮小し

てきており、早急の対策が求められている。

・宿泊者の傾向として大部屋は好まれなくなり、多くの宿泊施設において部屋のツイン(定員2名)化などを行っ

ていることにより全体の宿泊キャパが減少していることも問題視しており、今後の課題となっている。(週末の

入込客数はおおよそ8~9千人。(平日は2~4千人。))

・インバウンドは長期滞在者が多く(滞在期間が長い人は2週間~1ヶ月間)、そのため、土曜日に宿泊しようとす

る国内の常連客が泊まれなくなる(宿泊予約ができない)状況が生じており、国内の顧客が激減していくことを危

惧している。

・・・宿泊施設に対して、土曜日は国内常連客のために確保しておく(インバウンドにはなるべく日曜日~金曜

日の間の宿泊にしてもらう)配慮も行ってもらうよう呼びかけることも行っている。

・宿泊キャパ確保の問題とともに、宿泊施設にはコンシェルジュとしての役割の充実が求められる。(スキー場・

観光協会から様々なメニュー(情報)を提供しているが、「食」に関することをはじめ各宿泊施設からの情報提供が

重要であり、引き続きの充実が求められる。)

野沢温泉観光案内所

発行パンフレットより

Page 21: ~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

- 19 -

【リピーターの確保・拡大】

・国内外客ともにリピーターが多いことは、野沢温泉スキー場の特色の一つとなっている。当スキー場としては、

今後とも、流行りもののコンテンツにとらわれることなく、着実にリピーターの確保・拡大の取組(スキー場、

温泉街等の魅力の訴求)を行っていきたいとしている。

【アジア圏(中国)からの誘客促進】

・オーストラリアを筆頭としたインバウンドの入込については、まだまだ増えると予想されている。なかでも、ス

ノースポーツ人口が急増している中国からの誘客は大いに伸び代があると考えられている。現在は、野沢温泉ス

キー場の資源(良質な雪、伝統的な文化・風習)がオーストラリア人客の志向に合致しており、まさにウィンウ

ィンの関係にあると言えるが、どちらかというと高級志向・ブランド志向の中国人客に対しても、今後、野沢温

泉のコンセプトを理解していただくよう努力していきたいとしている。

・・・ここ数年の入込状況をみても、オーストラリア人客主体の状況からアジアやヨーロッパの複数の国への分

散化が進んでおり、何年か後には自ずと状況が変わってくる(中国からの誘客増)のではないかとも考えられて

いる。

◎ 野沢温泉スキー場の特長・ポイント(まとめ)

〇 インバウンドに好評な雪量・雪質(ジャパウ)に加え、日本的な文化・歴史を感じさせるスキー場麓の街並み

(温泉街)がオーストラリアをはじめとするインバウンドの志向に合致

・・・元々有していた資源をそのまま大きな訴求力に

〇 スキー場麓の街並み(温泉街)はコンパクトにまとまっており、長期滞在・泊食分離のインバウンドにとって、歩

いて回遊できることが楽しみの創出(地域の食の堪能や住民との触れ合いなど)につながっている

・・・域内の二次交通が不要な環境であることの強み

〇 日本の伝統的文化や独自の資源に触れる多様なメニューを揃え提供しており、滞在中にスノースポーツ以外の

観光資源も消費するインバウンドの需要に村全体が一体となって応えている

・・・インバウンドの長期滞在化・消費拡大を促している

〇 インバウンドが訪れる理由として「家族や親しい友人からの口コミ」が最も多く、プロモーションの大きな後押

しとなっている

・・・リピーターの確保・拡大につながっている

〇 スキー場における多言語案内表示・案内放送をはじめ、スキー・スノーボードスクールの外国人スタッフによ

るレッスン、スキー場隣接医療機関の外国語対応等、多言語対応を充実するとともにスキー場及び街並み(温泉

街)における無料Wi-Fi環境整備を推進

・・・インバウンドのストレスフリー化が進み高評価に

〇 今後の目標として、3 月期の誘客及びグリーンシーズンのコンテンツ充実による誘客

・・・オールシーズンのリゾート化に期待

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3. 妙高高原(赤倉温泉)の取組〔概要版〕

■ 妙高高原の特長である「適度な湿度の絶妙な雪質」と「豪雪」はインバウンドにとって当地区スキー場を目的地とする第

1の要素。特に降雪量の多さは驚きと感動を与えている。(「1night-1metre」は1晩に1mの雪が降り積もる当地の特徴を表す

言葉。インバウンドはこの言葉で「豪雪」のイメージを共有している。)

また、「大きな山(妙高山)がある」こともセールスポイントになっている。

⇒ プロモーションに反映(豪雪のなかで暮らす地域の様子の写真をポスターに使用することによる豪雪のイメージの

発信など。)

⇒ スキー場によっては非圧雪コースを開放

■ 宿泊施設と飲食店が一つの街(赤倉温泉街)の中にあり、かつゲレンデに隣接している好条件はインバウンドに大きな

インセンティブとなっている。

⇒ 街が一体となってインバウンド対応(各宿泊施設においては外食を楽しむ滞在客を互いに受け入れ得意料理を提供するサービ

スなどの工夫も行っている。)

■ インバウンドは日本独自の風情や良い意味での古さを好む傾向にある。

⇒ 「old(老朽)」は解消しつつ「classic(伝統)」は観光要素として残す取組

■ インバウンドに対してコンシェルジュの役割を果たす法人の存在が、当地区へのインバウンド誘致に大きく寄与して

いる。

⇒ 当法人との連携を深めインバウンド誘致を促進

2.妙高高原(赤倉温泉)の取組の主な内容

■ 当地の資源(雪)を効果的なプロモーションの目玉に⇒ インバウンドへの訴求力大(非圧雪コースの様子はSNSでの発信効果大)・・・当地のイメージを高め更なる訪問客増の効果

■ 良い意味での古さ(classic)をそのまま残し誘客に繋げる取組⇒ 静かで落ち着いた雰囲気で昔のイメージのままの赤倉温泉街は日本の文化・歴史に触れることを好むインバウンドの志向に合致(外国人オーナーによる宿泊施設開業も増)・・・口コミによる効果を促進

■ インバウンドに対してコンシェルジュの役割を果たす法人の存在⇒ 今日の賑わい創出に至る大きな力となっている(インバウンド専用のスクールの対応をはじめ宿の斡旋、レンタルの予約など全てに対応)・・・当地区のインバウンド誘致にとってその存在は引き続きの強みに

■ 地域関係者の連携によりインバウンドの受入環境整備を推進⇒ 自治体やDMOをはじめとする地域関係者が連携し、キャッシュレス化システムの構築や無料Wi-Fi環境整備、多言語案内書配布等を推進・・・インバウンドのストレスフリー化が進み高評価に

■ DMOの存在は地域連携による各種取組推進の原動力に⇒ オーストラリアでのプロモーション強化のほかブロガー等のSNSを通じた情報発信や「Mt.Myoko」のブランディングなどを展開・・・地域連携の強みの発揮のほか、スキー場毎に行っていた宣伝活動が集約されることによるコスト(宣伝費)削減の効果も

■ 10数年前からオーストラリア人を中心に多くのインバウンドが訪れるようになり、妙高市内宿泊施設の外国人宿泊者数は対前年1~2割増の拡大基調にて推移している。

(2018年の妙高市内のインバウンド延べ宿泊者数は約6万人。うち1~3月における宿泊者数が約8割を占めている。)

■ 現在、1~3月の3ヶ月間のオーストラリア人の延べ宿泊数が約3万人泊、インバウンド全体では約4万6千人泊にまで増加している。(国籍別には約7割弱をオーストラリア人が占めている。)

■ 来訪するオーストラリア人客のほとんどは個人旅行者(FIT)であり、また 1/3位がリピーターであると推察されている。リピーターの多くは個人で直接予約を行っており、帰国後直ぐに次シーズンの予約を入れる者も多い状況。(オーストラリア人客の滞在期間は数週間から2ヶ月にも及んでいる。)

■ 彼らの多くは、耳寄りな情報や気に入った景観をブログやインスタグラムなどのSNSにより発信しており、それらの口コミ情報が主な旅行動機となって新たな顧客を生み、年々来日客数が増加している状況にある。

3.妙高高原(赤倉温泉)の取組の効果

1.インバウンドの増加状況

妙高市内宿泊施設への外国人宿泊者の増加状況(妙高市外国人延べ宿泊者数)

-20-

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((一社)妙高ツーリズムマネジメント提供データ)

((一社)妙高ツーリズムマネジメント提供データ)

妙高高原(赤倉温泉)の取組 〔詳細版〕

◎ インバウンドが増加した経緯・背景

【経緯・背景】

・2000 年代に北海道のニセコがオーストラリア人に人気のスキーリゾート地となり、飽和状態に達する勢いで

オーストラリア人スキー客が増加していたところ、この流れ(チャンス)を呼び込もうと妙高高原と長野県北部の

宿泊関係者等が連携し、2006 年に「長野-新潟スノーリゾートアライアンス実行委員会」を立ち上げ、オースト

ラリア向けに広域的なプロモーション(旅行博出展、各種広告、招請事業など)を展開したこと(※)をはじめ、

世界に誇れるコンテンツとして「豪雪」を発信するなど独自の取組を続けたこと、また、リピート客による口コミ

で人気に拍車がかかったことにより、近年のオーストラリア人を主体とするインバウンド増加に繋がっている。

・・・インバウンド誘致に長けた人材の存在と地域の特徴を活かした戦略が大きな成果を生んだもの。

(※ ビジット・ジャパン地方連携事業の一環として北陸信越運輸局とともに実施した「オーストラリア・スキー観光客

誘致推進事業」。)

・地道な誘客活動を続けたことによって「Myoko」の知名度が高まり、東京からのアクセスの良さなどの好条件

も加わってインバウンドが増加し始め、受入体制整備等を加速させたことに合わせて現在の目覚ましいインバウ

ンド伸長に至っているものと言える。

・最近のインバウンドからは、「妙高高原(赤倉温泉)の街には、日本の風情や良い意味での「古さ」が未だ残ってお

り、この静かで落ち着いた雰囲気の「小さな町としての温泉街」を楽しんでいる。」との声が聞かれており、これ

が口コミで拡がる当地の「魅力」の主要な要素にもなっていると考えられる。

【インバウンドの増加状況】

・10 数年前からオーストラリア人を中心に多くのインバウンドが訪れるようになり、妙高市内宿泊施設の外国人

宿泊者数については、以下のグラフのとおり対前年1~2割増の拡大基調にて推移している。(2018 年の妙高

市内のインバウンドの延べ宿泊者数は約6万人であり、そのうちスキーシーズンの1~3月における宿泊者数

が約8割を占めている。)

・妙高市内スキー場全体への入込数(延べ客数)は、以下のグラフ(H27~30 年度の推移)のとおり、年々確実に増

加している状況にあり、インバウンドの増加が大いに寄与しているものと考えられる。

妙高市内宿泊施設への外国人宿泊者の増加状況

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

2015 2016 2017 2018

(人・泊)

西 暦

妙高市内スキー場への入込数(延べ客数)の増加状況

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

2014-15 2015-16 2016-17 2017-18

(人)

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・誘致活動が始まった 2006 年当初はオーストラリア人の受入れが百人に満たない状況であったところ、現在は、

スノーシーズン(1~3 月)の3ヶ月間で見た場合のオーストラリア人の延べ宿泊数が約 3 万人泊、インバウンド

全体では約 4 万 6 千人泊にまで増加している。(2018 年外国人延べ宿泊者数(国別)推計値((一社)妙高ツーリズ

ムマネジメント調べ)より。)

・スノーシーズンに妙高高原を訪れているインバウンドのうち、国籍別には約7割弱をオーストラリア人が占めて

いる。(最近の傾向として、台湾・香港からの来訪者が伸びており、繋がりが強くなった企業やブロガー、タレ

ント等との連携を強化することで更なる誘客が期待できるとしている(DMO「(一社)妙高ツーリズムマネジメン

ト」)。)

・来訪するオーストラリア人客のほとんどは個人旅行者(FIT)であり、また、1/3 位がリピーターであると推察さ

れている。リピーターの多くは、宿泊先等の予約について、OTA(※)や旅行会社を介さずに個人による直接予

約を行っており、帰国後直ぐに次年度の宿泊予約を入れる者も多い状況とのこと。

(※ インターネット上で取引を行う旅行会社。)

・オーストラリア人客は、国内客やアジア圏の観光客とは異なり、滞在期間が数週間から 2 ヶ月にも及んでおり、

滞在期間中にはスノースポーツのほか、周辺観光を楽しむことが一般的となっている。

・彼らの多くは、耳寄りな情報や気に入った景観をブログやインスタグラムなどのSNSにより発信しており、そ

れらの口コミ情報が主な旅行動機となって新たな顧客を生み、年々来日客数が増加している状況にある。

・近年では、オーストラリア人等による不動産取得が続いており、宿泊施設や旅行代理店の外国人オーナーが増え

ている状況にある。(赤倉温泉地区では過去3年間で 20 件以上の宿泊施設や飲食店がオープンしている。)当該

施設オーナーは直接本国からの誘客も行っており、これについては、当地区の更なる誘客拡大に結び付くものと

考えられている。(宿泊施設の空き物件を購入する外国人は、定員が数十名までの中小規模の建物を購入し再生

する傾向にある。また、宿泊施設以外では、お土産屋やレンタルショップ等であったところを買い取り、インバ

ウンド向けの飲食店などに改装しているところが多い。)

【妙高高原のスキー場の魅力】

・インバウンドにとって、豊富な雪量とパウダーの雪質は大きな魅力であり、当地区スキー場を目的地とする第 1

の要素となっている。また、妙高山山麓のスキー場は斜面が同一方向に位置しており、スキー場間をスムーズに

移動できることも魅力を満喫するためには好条件となっている。

・「いい雪がある」ことに加えて、「大きな山(妙高山)がある」ことが、大きなセールスポイントとなっている。イ

ンバウンドにとっては、目の前に雄大な妙高山があり、その景観を楽しめるとともに、「非常に大きな山を滑っ

ている」ことを実感できることが好評を呼んでいる模様。(オーストラリアは高低差のあるスキー場が少なく、降

雪量も数 10cm程度に止まり、かつ、硬い雪質が一般的であると言われている。)

・インバウンドからの意見として最も多いのは、何と言っても「雪の多さ」に関することであり、当地区の降雪量の

多さには驚きと感動を覚えるとのこと。(「1night-1metre」(ワンナイト・ワンメーター)は 1 晩に 1mの雪が降

り積もる当地の特徴を表す言葉であり、インバウンドはこれをよく口にし、「豪雪」のイメージを共有している。)

・宿泊街がゲレンデに隣接し歩いて行ける位置関係にあることも魅力の要素であり、また、「降雪地域としては暖

かく非常に過ごし易い」と捉えられていることも好条件となっている。

・インバウンドは、滞在中の夕食は温泉街の飲食店を利用することが一般的であり、宿泊施設と飲食店が一つの街

の中にある赤倉温泉街はインバウンドに対するセールスポイントにもなっている。(各宿泊施設においては、夕

方に外食を楽しむ滞在客を互いに受け入れて得意料理を提供するサービス実施などの工夫も行っている。)

DMO発行のインバウンド

向けパンフレットより

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・・・温泉街の賑わいは地域の活性化効果も生み出している。

◎ 具体の取組

【プロモーション】

・「長野-新潟スノーリゾートアライアンス実行委員会」が行う海外へのプロモーションのほか、DMO「(一社)妙高

ツーリズムマネジメント」のプロモーション、並びに各スキー場運営会社のHP(多言語表示)によるプロモーシ

ョンが展開されているが、近年はこれに加え、外国人オーナー(宿泊施設、旅行代理店等)のHPからの誘客もイ

ンバウンド拡大に寄与している模様。

・海外へのプロモーションについては、ターゲットをオーストラリアに絞り、メディア招聘、現地の旅行会社まわ

り、スノーエキスポ(例年5月に開催)への出展などに力を入れてきているが、近年では、台湾、香港、イギリス、

シンガポールなどの国々に対しても展開しており、プロモーションを行う範囲が拡充している。

・妙高高原の特長は、「雪質の良さ」(適度な湿度の絶妙な雪質)とともに「雪の多さ」(豪雪)であり、この両者が

相まって人気を高めていると言える。プロモーション用ポスターには、豪雪のなかで暮らす人々と民家の様子を

表した写真が使われており、雪の多い地区のイメージを高め、誘客効果を上げているものと考えられる。

【スキー場のコース設定】

・インバウンドに好評なパウダースノー(「ジャパウ」)を提供するため、スキー場によっては非圧雪コースを開放し

ている。(夜間に降雪があった日の朝方には、当該コースへ希望者が殺到し、コースのオープンを待ちわびる状

況となっている。( … オープン前には、パトロール隊が雪面の不安定箇所のスキーカット(※)を施すなど安全確

認を実施し、安全性を確保している。))

(※ 雪崩のリスクの高い斜面で自ら雪崩を起こしてリスクを低下させること。)

・非圧雪コースの様子については、スキー場側からも情報発信しているが、それ以上にインバウンド客からのSN

Sでの発信が多い状況であり、人気を博している。

【インバウンド受入環境整備】

・無料Wi-Fi環境整備については、各スキー場のチケット販売所等における整備が順次拡大しているほか、宿

泊街・温泉街においては、妙高市が行っている整備に加え、個々の店舗等において確実にWi-Fiが使えるよ

うに、国の補助制度も活用しつつ妙高観光局または個々の事業者による環境整備が行われている。

・キャシュレス化の取組については、チケットをHPから事前に購入できるシステムの導入や、チケット販売所等

におけるカード決済システムの導入等が順次進められている。また、エリア共通のICチケットによるリフト等

乗降場の自動改札化(フリーゲートシステム導入)についても、各スキー場間の連携によるシステムの構築が検討

されている。

・・・日によってスキー場を選択し移動する長期滞在のインバウンドの需要に応えストレスフリー化が図られる

こととなり、更なる誘客・リピーター拡大に繋がる。

・妙高市内では、現在、スマホを使って注文・支払いができるオーダーシステム(多言語対応(12 カ国語))「Pu

tmenu」の導入が進められており、スキー場においては、2019-20 シーズンから、一部のエリアにおいて

運用が開始されている。(本取組は、DMO「(一社)妙高ツーリズムマネジメント」が、当システムを提供する「プットメ

ニュー(株)」とプロジェクトの企画・運営を行う「(株)ジャパンデザイン」と連携し実施しているもの。国が後援し全国の

DMO発行のインバウンド向け

パンフレットより

【「豪雪」のイメージの発信

⇒ 「ジャパウ」を求めるインバウン

ドにとっては訴求力大 】

温泉街・商店街の様子

(2019 年 4 月)

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温泉地で実施されている地域活性化プロジェクトの一環。)スキー場では、チケット購入、レンタル、レストランで

の飲食等の全ての注文・決済がオンラインで行われることとなり、現地到着前の注文・支払いにより現地での待

ち時間を短縮できることなど、利用者の利便が向上するとともに、事業運営側の省力化にも繋がるものとなる。

また、12 カ国語に対応していることから、殆どの国のインバウンドに対して、同一の情報を正確に提供するこ

とができるようになり、多言語対応の充実に資することにもなる。

・(一社)妙高ツーリズムマネジメントにおいては、インバウンド向けに英語版のレストランガイドマップを作成し、

各所で配布している。 … インバウンドは泊食分離のため、飲食店の案内は必須。(当地区の飲食店街のなかで

は、赤倉温泉街が一番人気のスポット。約 200 メートルの温泉街に多くの飲食店が集まっており、(また、ここ

数年でその数も増えており、)連泊するインバウンドには宿から近い範囲で日ごとに様々な店に行くことができ

る点が喜ばれている。)… 当地を訪れるインバウンドの多くは、「日本の食べ物や文化を知りたい、日本人とのコミュ

ニケーションをしたい、本当の日本を体験したい」ということを欲しており、それに対して妙高高原の各飲食店は、流

暢な英語会話力を有していなくとも、伝えようとする姿勢や「おもてなし」のこころにより問題なく対応している。(「指

さし会話シート」なども活用。)

【DMOの取組】

・現在、地域DMOとして登録されている「(一社)妙高ツーリズムマネジメント」は、平成 30 年 4 月 1 日に設立。

地域を代表して様々な活動を行っており、各スキー場の関係者にとっては地域連携による各種取組推進の原動力

となっている。(「食」、「温泉」、「山岳観光」の3つの部会あり。)

・一番のマーケットであるオーストラリアについて、「長野-新潟スノーリゾートアライアンス実行委員会」との連

携により現地でのプロモーションの強化を行っているほか、台湾・香港へのブロガー等のSNSを通じた情報発

信などに力を入れている。(オーストラリアからの来訪者がインバウンド全体の 7 割弱を占めているなか、新たなマ

ーケットの開拓をすべく台湾・香港に向けた戦略的な誘客プロモーションを進めている。)

・また、国内客も含めた誘客促進のために、当地区スキー場における着地型旅行商品や共通リフト券の造成・販売

を推進しているほか、特に近隣日帰り客の拡大を図るために、長野県・富山県・石川県へのプロモーションも強

化している。

・2019-20 シーズンからは、杉の原から赤倉温泉までの複数のスキー場を「Mt.Myoko」と位置付けてのブラン

ディングを行うとともに、新たに共通リフトパス(チケット)を設定している。… DMOが主体となり「Mt.

Myoko」のプロモーションを行っており、これまでスキー場毎に行っていた宣伝活動が集約されることによるコ

スト(宣伝費)削減の効果も生まれている。(2018-19 シーズンまでは、一部エリアでの共通チケットの設定あり。)

【多様なコンテンツの造成】

・スキー、スノーボード以外のスノーアクティビティとして、スノーモービルによる雪原回遊、ワイヤーケーブル

上を滑り降りるアクティビティの「ジップ・ライニング」(全長約 1.5km(アジア最長))、スノーモービルで牽引す

る「スノーラフティング」のほか、スタッフが案内する「バックカントリーツアー」も行っている。長期滞在のイン

バウンドにとっては、このような様々なアクティビティ(楽しみ方)があることは魅力であり、当地の評価を高め、

リピーターの増加にも繋がっている。

・インバウンドに人気がある地獄谷野猿公苑(スノーモンキー)までを往復するバス(「スノーモンキーシャトル」)

がバス会社2社により運行されているなど、多様な関係者の連携により、スノースポーツ以外の楽しみ(観光)

についても様々なコンテンツが提供されている。

【近隣スキー場との連携】

・近隣スキー場間のシャトルバスについては、各スキー場の連携(経費負担)に加え利用者からのワンコイン(500

円)の収受により運行している。

snow conections 発行のインバウンド向けパンフレットより

Page 27: ~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

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・(前述のとおり)2020-21 シーズンに向けて、エリア共通のICチケット導入(フリーゲートシステム導入)を検

討している。(エリア内の 4 大スキー場(赤倉温泉・赤倉観光リゾート・池の平温泉・杉の原)の共通チケットと

なる「Mt.Myoko」リフトパス(チケット)については設定済み。)また、野沢温泉、斑尾高原などの近隣地域とも

連携を強化していく予定としている。

【スキー場へのアクセス(二次交通)】

・新幹線駅からのアクセスについては、「かがやき」・「あさま」が停車する長野駅からの方が上越妙高駅からよりも

利用者数が多い状況にある(新幹線利用客全体の 7 割程度)。(一方、インバウンドからは、「上越妙高駅から妙高

高原のスキー場へ向かう場合、車窓からの眺めが、目前の大きな山(妙高山)へ向かっていくということでの期待

感が高まるものであり、非常に良い風景である。」との声が聞かれ、(新幹線列車停車数増により、)上越妙高駅

からのアクセスがより便利になることを望む意見もある模様。)

【宿泊施設の対応】

・(前述のとおり、)オーストラリア人オーナーによる宿泊施設の開業が増えてきている。(後継者難などから売りに

出された空き物件を買い取り、スキーや温泉を楽しむインバウンドがくつろげる空間を提供している。… 地元

は「地域の活性化につながる」と歓迎している。)

・これらの外国人オーナーやそこへ宿泊した外国人旅行者がSNSを使って情報発信していることが、大きなプロ

モーション効果に繋がっている。( … 結果として、スキー場や観光局側は以前ほどプロモーション(オーストラ

リア向け)に予算をかけなくても済むようになってきている。)

・地域の代表者(区長)が中心となり、スノーシーズン当初に海外のオーナー達にゴミの出し方などのマナー・ルー

ルを教えており、一定の規範が保たれている。( … 海外のオーナー達は旅館組合に入っていないが、このような

取組を通じて地元との調和が図られている。)

・“クラシック”なイメージがインバウンドに好評。(赤倉温泉街の印象に

ついては、「静かで落ち着いた雰囲気」、「ノスタルジックな感じ」、「昭和

のイメージがかえってよい」など。( … インバウンドにとっては「何でも

英語表記になっていなくてよい(昔のままがよい)」とのこと。))

・当エリア内の「赤倉観光ホテル」は、昭和12年にスキー場内に建設され

たリゾートホテル(国際的ホテルとしては国内初と言える伝統あり。)であ

り、現在に至るまで“クラシック”な部分は残したまま建替や増改築が

行われてきている。(“オールド”(老朽化)の部分は解消しつつ、“クラ

シック”な部分は観光上重要な要素として各所に表現している。)

・・・インバウンドは日本の伝統である“クラシック”を好んでいる。

【インバウンドの安全・安心の確保】

・当地区スキー場においては、インバウンド対応においても「安全安心の確保」が何事にも優先されることであると

して、事故防止・事故発生時の対応について、共通認識のもと取組を推進している。

・スキー場におけるインバウンドの怪我人の対応については、最寄りの県立妙高病院(整形外科)において主に受

け入れており、冬季は土日でも対応できるようにしている。(… 当病院のみならず上越市の総合病院や大学付属

病院からも医師を派遣してもらうように、地域として要請している。)ほかには、新井市、信濃町、飯綱町等の

総合病院においても受入れがある。

・当地区の各索道事業者をはじめ、消防、警察などの関係機関が連携し、スキー場における安全安心なスノースポ

ーツの推進のため、「妙高市スキー場協議会」(会長:妙高市長)を組織しており、外国語表記による注意看板の整

備等の取組推進により、利用者が遵守すべきルールの周知徹底、自己責任によるマナーの意識啓発等を行ってい

る。( … 「インバウンドは明確に「ダメ」と言われない限り「OK」と捉えてしまう気質

があり、はっきりと伝える必要がある」との認識による周知・啓発活動。)

・特にインバウンドに人気がある非圧雪エリアでの滑走について、「妙高市スキー場

協議会」では、新潟県山岳遭難防止対策協議会において作成された注意喚起チラシ

(「ロープの向こう側の「管理されていな斜面」に潜む危険」についての説明資料)の配

布等により、滑走者への安全の呼びかけを行っている。

DMO発行のインバウンド向けパンフレットより

啓発用チラシ

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【スキー・スノーボードスクールの対応】

・インバウンドが利用するスキー・スノーボードスクールについては、インバウンド専用のスクールである「my

okosnowsports.」が殆どの需要を受け入れている。(当該社は、オーストラリア人の校長を筆頭に

100 名位のスタッフ(殆ど外国人(13 カ国))で構成されており、夏季は南半球のオーストラリアに拠点を移し

活動している。( … オーストラリアからの誘客増に繋がっている。)各スタッフ(ガイド)は、スキー・スノー

ボードの指導のみならず、観光地を案内したり、飲食を共にしたりしている。

・・・コンシェルジュとしての役割。( … 外国では初心者、上級者を問わずガイドと滑り、楽しむ文化が根付

いている。)

・当法人は、インバウンドの需要に的確に応えるものであり、トリップアドバイザーで満点を獲得するほどの人気

を得ている。

【コンシェルジュ的な役割を果たす中核(法人)の存在】

・「myokosnowsports.」においては、スクールの対応のみならず、妙高高原のスキー場を訪れる海外

の客からの申し込みの多くを受け付け、宿の斡旋(…5つ星のホテルから安価なホテルまで選択可)、スクールや

レンタルの予約受付なども行っている。

・・・当地区へのインバウンド誘致に非常に大きな役割を果たしている。

・ ま た 、 海 外 か ら の ス ノ ー リ ゾ ー ト 観 光 客 の 旅 行 予 約 を 専 門 に 行 っ て い る ラ ン ド オ ペ レ ー タ ー の

(株)JapanSnowAccess の存在も大きな影響をもたらしている。(当法人の代表は、インバウンド誘致プロジ

ェクトの展開・活動の中核となり、当地区がインバウンドで賑わうようになるに至ったことに大きく寄与してい

る。)

【グリーンシーズンの取組】

・グリーンシーズンの取組については、コンテンツを充実させ、魅力の発信を強化することに力点を置いている。

・・・現在の主要課題の一つ。

・DMO((一社)妙高ツーリズムマネジメント)においても、特にグリーンシーズンの誘客拡大に重点を置いており、

台湾・香港をはじめとした東南アジアなどへのターゲッティングを踏まえ、夏の自然(高山植物等)や秋の紅葉を

楽しむコンテンツ・旅行商品の造成等を進めている。( … DMOではインバウンド専門員を雇用。)

・妙高山周辺は国立公園内にあり、自然環境保全意識の醸成・向上を図る必要性がある一方で、その優れた自然環

境や景観をコンテンツとして生かしており、運行しているゴンドラから眺める風景や山頂駅からの眺望を楽しん

でもらうとともに、山頂駅付近の散策コース、山頂から山麓までのトレッキングコースの設定などを行っている。

(更なるコンテンツ造成としては、山頂駅からの登山コースやマウンテンバイクのコース設定等が検討されてい

る。)

・また、妙高市では、大学のスポーツチーム等の合宿の誘致を盛んに行っており、より多くの人が集う環境づくり

に取り組んでいる。

DMO発行のインバウ

ンド向けパンフレット

より

DMO発行のインバウンド向けパンフレットより

Page 29: ~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

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◎ 今後の課題

【グリーンシーズンの誘客】

・グリーンシーズンのコンテンツを造成・充実させる(前述のとおり。)ことにより誘客を図り、オールシーズン

のリゾート地を目指す。(‥働き口の通年化により地元の雇用の安定化にも繋がる。)

⇒ 他地域における先行事例も踏まえ当地に合ったコンテンツの発掘・造成、そのためのマーケティングの必要性

【スノーシーズンの更なる強化(シーズン後半のインバウンドの呼び込み)】

・冬季のインバウンドは、1~2月(オーストラリアの夏季休暇期間)に入込が集中しているのが現状であり、まだ

十分に積雪のある 3 月にも計画的に集客できるような対策が必要としている。

⇒ 効果的なプロモーション展開等の必要性

【宿泊施設・飲食店キャパの確保・二次交通の充実】

・宿泊施設・飲食店の老朽化・経営者の高齢化が進み、廃業等による客室数の減少や飲食店の閉店などが続いてい

ることにより、お客に対するキャパシティーの不足が顕在化することが課題となっている。大部屋は好まれなく

なり、多くの宿泊施設において部屋のツイン(定員2名)化などを行っていることも全体の宿泊キャパが減少す

ることに繋がっている。

・インバウンドは長期滞在のリピーターが多く、ホテルへ直接宿泊予約を申し込むケースも見られるが、土曜~日

曜日をねらって訪れようとする国内客が入る余地がなくなることが課題にもなっている。

・長期滞在のインバウンドは、スノースポーツ以外のコンテンツ(「食」、「文化」など)を楽しむために(高田の雁木通

りなど)隣接市の商店街等へ足を伸ばしており、そのための交通手段となる二次交通の充実が求められている。

⇒ 二次交通の強化を含め関係者間の広域連携による更なる取組(対策)展開の必要性

【老朽化対策】

・妙高高原は良い意味での古さ(CLASSIC)はあるが、宿泊施設の老朽化(OLD)は否めない。お客の満足度(CS)

向上を図るためにも老朽化(OLD)対策は重要。

・索道施設の老朽化(OLD)も顕著。安全性は保たれているものの、見た目にも古さを感じさせるところはマイナ

ス要因となっている。更新の時期を迎えてはいるものの、なかなか費用捻出ができないのが現状でもある。

⇒ 公的補助の有効活用も含め戦略的な投資(整備)によるエリア全体のイメージ向上(ブランディング)の必要性

【アジア圏からの誘客促進】

・オーストラリアからの入込はもとより、DMOが誘客に力を入れている台湾・香港をはじめインバウンドの需要

増加は今後も予想されている。なかでも、北京オリンピックを控え、国をあげてスノースポーツ振興に力を入れ

ている中国にあっては、国内の人工雪のスキー場では飽き足らず良質の雪を求めて日本にやって来る客の増加が

想定されるものであり、その伸び代からも今後の誘客促進策の検討対象になるものと考えられる。

⇒ DMO をはじめ関係者一体となった戦略的プロモーションの必要性

◎ 妙高高原(赤倉温泉)の特長・ポイント(まとめ)

〇 妙高高原の特長である雪量(豪雪)・雪質(ジャパウ)はインバウンドへの訴求力大

・・・当地の資源(雪)を効果的なプロモーションの目玉に

〇 静かで落ち着いた雰囲気で昔のイメージのままの赤倉温泉街は日本の文化・歴史に触れることを好むインバウ

ンドの志向に合致

・・・良い意味での古さ(CLASSIC)をそのまま残しインバウンド誘客の強みに

〇 インバウンドに対してコンシェルジュとしての役割を果たしている法人の存在がインバウンド誘致・促進の大

きな力に

・・・今日の賑わい創出に至る大きな力となり、その存在・役割は引き続きの強みに

〇 自治体やDMOをはじめとする地域関係者の連携・取組によりキャッシュレス化システムの構築や無料Wi-F

i環境整備、多言語案内書配布等を推進

・・・インバウンドのストレスフリー化が進み高評価に

〇 今後の目標として、3 月期の誘客及びグリーンシーズンのコンテンツ創出による誘客

・・・オールシーズンのリゾート化に期待

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((株)ガーラ湯沢提供)

■ 新潟県の「GALA湯沢スキー場」において、リフト沿線・ゲレンデ内の無料Wi-Fi環境を整備する無線方式の Wi-Fiアンテナを設置。

■ アンテナ個々に電源が必要になるものの親機器との間は空中波(無線)で繋ぐものであり、設置工事に手間を要する配線工事は不要。

⇒ 「効率的なWi-Fi環境整備」を実現。 ((株)ガーラ湯沢提供)

■ 新潟県の「GALA湯沢スキー場」においては、外国人インストラクターによる

多言語でのレッスンを実施。(英語、中国語、タイ語に対応。)

受講者にはインカム内蔵のヘルメットを提供し、レッスン内容がよく聞こえる

ようにしている。

⇒ インバウンドのスクール利用率の増に寄与。

4.個別の好事例(先進事例)

(1)「便利」で「快適」な索道(コンビリフト)

■ 新潟県の「石打丸山スキー場」において、「コンビリフト」(ゴンドラの搬器「キャビン」とリフトの搬器「チェア」の複合)を導入。乗客はニーズに応じて搬器を選択できる。

※ 当索道施設は、オーストリアのドッペルマイヤー社製であり、運行システムについては、同社が海外から常時状況把握し、サポートを行っている。

(大生総業(株)提供)

■ 「チェア」搬器の座席はヒーター付きバケットシートになっており、快適に移動できる。(停留場内の搬器押送装置のレール上移動時にヒーターが稼働。)

⇒ 当索道への掛け替えにより輸送実績の大幅増を実現。

(2)スキー場内の無料Wi-Fi環境拡大(無線方式)

(3)キャッシュレス決済システムの導入(QRコード決済)

■ 今後増加することが予想される中国人客などの利便向上のため、「Alipay」、「We

Chat Pay」等のQR・バーコード決済サービスを導入。

(国内客向けには、「LINE Pay」「Pay Pay」等の導入。)

〔新潟県の「GALA湯沢スキー場」、長野県の「Hakuba47ウィンタースポーツ

パーク」等〕

※ 東急グループ(長野県の「タングラムスキーサーカス」)では、マルチ決済プラット

フォーム「Star Pay」のサービスを提供。

(4)効果的なマーケティング(CSポイントにより顧客の満足度をリサーチ)

■ ㈱プリンスホテル(新潟県の「苗場」、長野県の「志賀高原焼額山」、 「軽井沢プリンスホテル」ほか)においては、ホ

テル客室、レストラン、WebでのアンケートによりCSポイントを吸い上げ、顧客の満足度を常にリサーチし、

施策に反映。

(5)インバウンド専用スキースクールの設置

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■ 石川県の「白山一里野温泉スキー場」においては、観光庁とJNTOが訪日需要喚起のため企画したキャンペーン「YourJapan 2020」に、自治体や地元観光協会と連携し「白山

一里野温泉の協賛施設に宿泊したインバウンドを対象に、当スキー場のリフト1日券の引換券を配付するキャンペーン」の企画を応募。

⇒ 採択された結果、JNTOの海外向けポータルサイトに掲載され、プロモーション効果が高まり、インバウンドの誘客を促進。

※ 当スキー場では、金沢を訪れるインバウンドを呼び込むため、金沢の宿泊施設とバス会社との連携により、スキー場へのシャトルバス往復とスキー場チケットとのパック商品を企画し、金沢市内宿泊者への誘客(PR)も行っている。

(JNTO HPより抜粋)

■ 子供達のスノースポーツ・レジャーに対する関心を高め、次世代における需要開拓(底辺の拡大)を図る取組の実施。

・小学校でリフト乗り方教室を開催(北陸信越山岳観光索道協会新潟地区部会)

・小中学校の教員に対するスキー授業の実施(同部会)・修学旅行(スキー合宿)の誘致(新潟県の「上越国際スキー場」では、収

容力2千3百人規模のホテルを活用し複数校を同時に誘致。)

(北陸信越山岳観光索道協会新潟地区部会提供)

(6)次世代の需要拡大(国内需要の開拓)のための取組

(7)効果的な施設の維持管理の取組

■ 新潟県の「上越国際スキー場」「岩原スキー場」では、通年雇用社員の技術力の維持向上による施設の保守(メーカーに依存しない自社による体制)や効率的な部品導入・整備等を実施。

⇒ コスト削減に繋がる取組の効果を現出。

■ 石川県の「白山一里野温泉スキー場」「セイモアスキー場」では、シーズンを通して定期的に施設の各部位の詳細検査を行い(メーカー委託)、経年変化を把握することにより、交換・整備を適切な時期に実施。

⇒ 長期的観点でのコスト削減を実現。

(8)高機能の人工降雪施設によりスノーシーズンに先駆けての需要に対応

■ 長野県の「軽井沢プリンスホテルスキー場」においては、高機能な造雪機を配備(8カ所)し、スノーシーズンに先駆けて人工のスノーゲレンデを造成。降雪期前の早い時期から滑りたいとするスキーヤー・スノーボーダーの需要に応えている。(降雪機(スノーマシン)については、200台弱の設備を配備。(滑走コース脇に約35mピッチでの配置。))

※ 例年11月上旬をオープン日とし、当日は自治体やDMO等と連携したイベントも開催し雰囲気を盛り上げている。

■ 造雪機は1基あたり25トン/日(1ユニット:50トン/日)の製氷能力の最新の機器。製氷機内の円筒内面に沿って流し込んだ水を瞬時に凍らせると同時にそれを削り取り氷粒を生成。直径2~3mmの氷粒にしたものを100m程度のホースでスノーゲレンデまで送り込んでいる。(低温時でなければ稼働できない降雪機とは異なり、11月上旬頃の降雪期前の気温であっても雪を生成することができる。)

※ 新潟県の「苗場スキー場」においても同様な取組を実施。

造雪機で生成した雪により整備した滑走コース

造雪機の外形・内部構造(氷粒製造機)

(9)観光庁のキャンペーンを有効活用し誘客促進

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◎ 観光振興事業費補助金(公共交通利用環境の革新等事業)

■ 案内標識類の多言語化

・長野県の「野麦峠スキー場」においては、観光振興事業費補助金を活用し、インバウンドに対してリフト乗車にかかる注意事項を周知するための多言語表記(日英中の3カ国語併記)の標識を各所に設置。

※ 新潟県の「苗場スキー場」、長野県の「志賀高原焼額山スキー場」、「乗鞍スキー場」、「栂池高原スキー場」においても同様な取組を実施。

・長野県の「野沢温泉スキー場」においては、観光振興事業費補助金を活用し、多言語表記のデジタルサイネージをチケット販売所等に設置。

※ 新潟県の「ガーラ湯沢スキー場」においても同様な取組を実施。

■ WiーFi(無料公衆無線LAN)環境の整備

・長野県の「野麦峠スキー場」においては、観光振興事業費補助金を活用し、インバウンドに対して各種情報の入手のための無料公衆無線LAN環境整備設備を設置。

※ 新潟県の「ガーラ湯沢スキー場」、長野県の「乗鞍スキー場」においても同様な取組を実施。

■ キャッシュレス対応(クレジットカード決済対応設備設置)

・新潟県の「ガーラ湯沢スキー場」においては、観光振興事業費補助金を活用し、インバウンドがキャッシュレスでチケット購入等ができるようにクレジットカード決済対応設備を設置。

※ キャッシュレス対応については、令和元年10月からの消費税率引上げ後の消費喚起とキャッシュレス推進の観点から、経済産業省において中小・小規模事業者向けの支援制度(決済手数料補助、端末補助等)が実施されている。(令和元年10月初~令和2年6月末までの9ヵ月間)

【公共交通利用環境の革新等事業】〔観光庁 令和元年度~ 〕 ※ 申請窓口は運輸局訪日外国人旅行者の誘致の加速化に向け、公共交通機関の利用環境を刷新するため、訪日外国人旅行者のニーズが特に高い多言語対応、無料Wi-Fiサービス、トイレの洋式化、キャッシュレス決済対応等の取組を一気呵成に進め、シームレスで一貫した世界水準の交通サービスを実現するもの。【参照】観光庁HP掲載『観光地域づくりに対する支援メニュー集』

◎ 中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画認定による金融支援

■ 圧雪車の導入

・長野県の「治部坂高原スキー場」においては、中小企業庁の中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受け(運輸局長による認定)、金融機関からの低利融資が受けられる支援を活用し、高機能の外国製最新型圧雪車を導入。

※ 経営力向上計画申請にあたっては経営革新等支援機関である商工会議所のサポートを活用。(申請窓口は運輸局。)

【経営力向上計画認定による支援】〔中小企業庁 平成29年度~ 〕 ※ 索道事業者の申請窓口は運輸局経営力向上計画は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上する計画であり、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができる。〔支援措置例〕・生産性を高めるための設備を取得した場合、中小企業経営強化税制(即時償却等)により税制面から支援・計画に基づく事業に必要な資金繰りを支援(融資・信用保証等)【参照】中小企業庁HP掲載『経営力向上計画策定の手引き』

(10)国の補助金等支援制度を有効活用し各種設備を導入

野麦峠スキー場の多言語表記注意表示版(㈱岳都リゾート開発提供)

野沢温泉スキー場の多言語表記デジタルサイネージ(㈱野沢温泉提供)

野麦峠スキー場のWiーFi環境整備設備(屋外・屋内)(㈱岳都リゾート開発提供)

(㈱ガーラ湯沢提供)

(治部坂観光㈱提供)

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Ⅱ.北陸信越運輸局管内のスノーリゾー

ト地域における通 年 リ ゾ ー ト 地 化 推 進

に か か る 調 査 の 結 果

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1.現状把握

A)各スキー場のグリーンシーズンにおける

実態調査

B)スノーリゾートの来訪実態・決定要因

調査2.来訪要因ニーズ把握

C)海外・国内の通年リゾート化モデルケース

の調査3.モデルケース

分析

調査目的

【索道事業者へのアンケート調査】・サンプル数:83事業者

(回収率60.1%)・対象エリア:北陸信越エリア・調査時期:2019.11.13~12.9・調査項目:グリーン期の事業実施状

況や外国人来訪者の状況等

【外国人旅行者へのWEB調査】・調査エリア:豪州、中国・サンプル数:各国300名

(※山岳リゾート関心層)・調査時期:2019.11~12・調査項目:山岳リゾートに対するニー

ズ、北陸信越エリアの代表的なコンテンツに対する認知度や興味度等

【海外モデルケースのデスクリサーチ】・調査エリア:ツェルマット、ウィスラービレ

ッジ、シャモニー・モンブラン・調査時期:2019.12~2020.1・調査項目:時期別/国別の誘客状況、

代表的なグリーン期のコンテンツ等

グリーンシーズンの事業運営を行っている索道事業者の現状や課題把握を行い、海外のモデル地域(ベンチマーク)とのギャップを明らかにする。合わせて、外国人旅行者の山岳リゾートに対する誘客トリガーを特定し、北陸信越地域のスノーリゾートの通年リゾート地化に向けて、取り組むべき施策を明らかにする。

【DMO/観光協会へのヒアリング】・対象エリア:妙高、白馬、野沢温泉

※重点分析エリアに設定・調査時期:2019.10~2020.1・調査項目:グリーン期のエリアの誘客

状況、今後の注力事業等

1.調査の実施概要

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グリーンシーズンの営業状況

索道事業者へのアンケート調査

グリーン期に対する温度感は分かれるが、地域内で成功事例が共有出来ているところは実施率が高い傾向。<北陸信越全体>

半数以上が営業を行っていると回答。スノー期の終了直後から開始し、秋前まで運営を行ってる事業者が最も多い。営業していない理由として、そもそも複数事業を経営している事業者が多いことから、グリーン期は他の事業を優先させていたり、収益につながりづらいという回答が多かった。

<重点エリア:妙高・白馬・野沢温泉>妙高)営業していると回答したのはホテルリゾートをメインとした事業者のみ(3割)で少数派。開始時期はGW明け、夏場、秋口からとそれぞれ異なる回答。白馬)7割が営業していると回答。4月~6月からといった早い段階から運営を開始している傾向。野沢温泉)夏ごろから約2カ月間の短期で営業を実施。

2.各スキー場のグリーンシーズンにおける実態調査

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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グリーンシーズンの誘客状況

索道事業者へのアンケート調査

グリーン期とスノー期ではターゲットとなる外国人は異なる傾向。<北陸信越全体>

ほとんどの事業者がスノー期の方が誘客が出来ていると回答。(スノー期よりも誘客出来ていると回答しているのは、ホテル経営を含む数値と思われる。)外国人旅行者の割合もスノー期と比べると大幅に低下する。国別の誘客割合もスノー期とはやや異なる傾向(一般的な日本国内の国別誘客割合により近い)。

<重点エリア:妙高・白馬・野沢温泉>※重点エリアの数値は、各エリアの調査データから推計を行っているため概算となります。(未公表のデータを含む。)妙高)外国人の来訪数は、グリーン期1.2割/スノー期8.8割。国別では傾向が異なり、スノー期は豪州6.5割/香港0.7割/その他米国・台湾・シンガポールなどに対して、グリーン期は傾向が異なり、台湾7割/中国1割/その他香港・東南アジアなどが続く。(スノー期:10月~3月 としたデータより。)白馬)外国人の来訪数は、グリーン期1.2割/スノー期8.8割。国別では傾向が異なり、スノー期は豪州6割程度/その他米国・台湾・シンガポール等が多いのに対して、グリーン期は傾向が異なり、台湾/韓国/香港/中国がボリュームゾーンとなっている。(スノー期:12月~3月 としたデータより。)野沢温泉)外国人の来訪数は、グリーン期1割未満/スノー期9割強と推計。国別ではスノー期とグリーン期で傾向は似ており、豪州が約6割、中国は約2割を占める。(スノー期:12月~3月としたデータより。)

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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体験コンテンツの実施状況と今後の展開について

索道事業者へのアンケート調査

共通して、まずは幅広く体験メニューを整備する方針。ターゲットや各エリアの強みに合わせて、一定絞り込みが必要か。<北陸信越全体>

自然環境をあるがまま楽しめるコンテンツやゴンドラの稼働による眺望体験の実施率などが高い。今後の方針として、スノーシーズンとは別に設備/備品の投資が必要なコンテンツを中心に、他事業者で比較的評判の良いコンテンツを検討している傾向。

<重点エリア:妙高・白馬・野沢温泉>妙高)ゴンドラを活用した紅葉鑑賞やトレッキングが中心。アウトドア系やMTBなどのアクティビティ系は未整備で、今後の取り組み意向が高い分野。白馬)幅広い体験メニューの他にも、他地域には珍しいグランピングや展望テラスカフェも整備されており、インバウンドだけでなく、国内旅行者からも高い人気を得ている。野沢温泉)ゴンドラを稼働させ、山の斜面を活用した幅広い体験メニューを取り揃え、特にMTBは強い人気を誇っている。

問11 グリーンシーズンで外国人旅行者から評価されていると感じる自社のコンテンツがあれば教えてください。(一部コメント抜粋)

絶景体験(展望テラスからの眺望、スカイケーブルでの紅葉鑑賞、テラスカフェ)斜面を活かしたアクティビティ(ジップラインアドベンチャー、MTB、マウンテンバイク、トレイルランニング)高級グランピング施設

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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受入環境整備の状況について

索道事業者へのアンケート調査

WiFi、キャッシュレスの導入は進むが、多言語対応は事業者単体ではハードルが高く、エリア全体としての取組が必要。<北陸信越全体>

WiFi環境の整備やキャッシュレス対応は実施率も高く、今後も優先的に検討している事業者が多い。多言語対応に関しては、実施項目が多いため優先度がつけずらく、且つ補助制度等も少なくコスト高となり、なかなか事業者単体では取り組めていない状況。

<重点エリア:妙高・白馬・野沢温泉>妙高)WiFi環境の整備やキャッシュレス対応は8割の事業者で実施済。多言語対応のさらなる強化、外国人スタッフの雇用が今後のテーマ。白馬) WiFi環境の整備やキャッシュレス対応、多言語の広報物(HP、パンフレット)は8割以上が実施済。エリアで共通した看板表記などが今後のテーマ。野沢温泉)外国人スタッフの雇用やピクトグラム表記等を除き、調査票記述の受け入れ環境整備は実施済。

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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プロモーションの実施状況

索道事業者へのアンケート調査

特定の団体客を対象としたプロモーション展開が中心。スノー期メインのため、グリーン期に投資しづらい状況。<北陸信越全体>

グリーンシーズンに特化したプロモーションの実施率はわずか15%に留まる。手法としては、低コストのSNSが最も多く、次いで旅行博。旅行博の場合は、エリア単位で合同出展を行っているケースが多い。対象国はアジア圏が中心。FITに向けて事業者が独自にプロモーションを行っているケースはかなり限られる。

<重点エリア:妙高・白馬・野沢温泉>妙高)DMOと事業者が合同で台湾や中国の旅行博へ出展し、プロモーションを実施している。事業者独自での展開はしていない。白馬)エリアとしては、ある程度コンテンツに応じてターゲットと手法を絞ったプロモーションを実施。キーコンテンツを持っている事業者は、独自で海外OTAへの掲載を進めるなど、積極的にプロモーションを展開している。野沢温泉)グリーン期に特化したプロモーションは未実施。

問16 対象国(ターゲットにしている国)も合わせて教えてください。(抜粋)

SNS発信(台湾、中国)旅行博への出展(台湾、香港、中国、オーストラリア、タイ)海外エージェントの招聘(台湾、タイ)海外体験型OTA掲載(Voyagin、Booking.com、Mafegwo)

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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今後の事業推進における課題感

索道事業者へのアンケート調査

エリア全体としての目指すべきゴールイメージの共有不足から、事業者単体でのグリーン期への投資につながっていない。<北陸信越全体>

自社単体では、グリーン期の事業推進に壁を感じている事業者が多い。国内やエリア内に明確なモデルケースが存在するわけではないため、取り組むべき方向性が見えず、新たな投資をする価値を見出せていていない。

<重点エリア:妙高・白馬・野沢温泉>3エリア共通して、グリーン期の重要性は十分に理解をしているが、ターゲット国や注力すべきコンテンツ開発の方向性が定められない、また戦略を策定するための材料(調査データ等)が不足しているという声があがっていた。

事業展開・コンテンツ造成において 受入整備において プロモーション展開において その他コンテンツのニーズ調査が不十分 外国語の案内看板整備 PRに伴う予算不足(冬メインのため、グリーン期

は優先度低い)冬のスノースポーツほどの魅力のあるものがないのが現状ではないか?

大がかりな設備投資に踏み切れない 二次交通整備。空港や駅からの交通インフラがシーズンによって違う。 外国語のHP、パンフレット制作 公園利用におけるビジョンの未共有

新事業の核となるものが見いだせていない WiFi環境、キャッシュレスの整備は急務だと思う 現状海外向けPRの方法を知らない 長野県のリゾート地としての認知度UP

グリーンシーズンには誘致できるコンテンツがない ラグジュアリークラスの宿泊施設不足 単独ではなく広域でのプロモーションが必要 外国人集客も大切ではあるが、地元県民からの認知がまだまだ足りてない

そもそも外国人が興味をもっているのかわからない 地域内受け入れ窓口、コーディネーターの不足 海外エージェントの招聘。欧米マーケットの開拓。外国人にウケるコンテンツを地域で共有しあえるようにとりまとめを行ってくれる機関が必要。

外国語対応スタッフの育成、雇用。スタッフの中で外国語に精通した人がいないと難しい。

こちらから情報発信するよりも、ユーザーにいかにSNS等で情報発信してもらえるかに注視すべき

(山岳だけではなく)街中や商業施設の充実 FITを対象にした、誘致活動の強化アクセス、交通不便の解消近隣施設との連携

問17 グリーンシーズンのさらなる外国人旅行者の誘客に向けた事業推進において、課題に感じていることがあれば教えてください。(一部抜粋)

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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行政機関・観光協会・DMOへの支援要望

索道事業者へのアンケート調査

事業者単体では取り組むハードルが高い、戦略設計や地域内のコーディネート、受入整備の助成に対する要望が多い。

行政・観光協会が先導してグリーン期の戦略設計をして欲しい、またそれに付随する補助制度を設置して欲しいという要望が多かった。自社では連携を呼びかけづらいため、索道事業者以外を含めたエリア内の事業者連携のつなぎ役になって欲しいという声もあった。

行政機関 観光協会・DMO県全体/エリア全体でのプロモーション活動 商談会開催、地域全体の誘客宣伝

二次交通整備(特に空港からのアクセス) 地元(スキー場含め)にお金が落ちる仕組みの構築

観光コンテンツ開発や索道設備に対する補助金 ガイドができるような方の引率

(東京都は手厚いが)地方は外国語対応の支援制度が非常に少ない エリアとしての魅力付け

一貫したインバウンド戦略(専門部署による年間を通したターゲットを限った誘客による実績づくり。数年で方向が変わり、やってみたり、やめてみたりが多い)

近隣のスキー場又は、観光施設や、体験施設、宿泊施設の取りまとめ、情報交換の場をつくって欲しい

雇用支援、労働人口不足解消に向けた移住プログラム 受け入れ窓口としての機能

エリア内事業者の連携促進(1団体でまとめあげるのが難しく、行政が動いてインバウンド戦略をまとめて欲しい)

インバウンドだけ追い求めていくと日本人に敬遠される可能性がある(特にアジア人の増加)。現場の意見も取り入れてPRをして欲しい。

FAM Trip視察などの際に自社施設を案内する

地域全体を巻き込んだ観光コンテンツ開発

問19 グリーンシーズンのさらなる外国人旅行者の誘客に向けて、行政機関(国・自治体)や観光協会・DMOに対して求めること、こういった支援があればありがたいなど、ご意見があれば教えてください。

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※ 以下は<北陸信越全体>についてのアンケート結果。

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海外山岳リゾートの時期別誘客データ

通年型山岳リゾートとしての誘客に成功している。スノー期だけではなく、グリーン期も数多くの方が来訪している。

<シャモニー・モンブラン 時期別誘客データ>

※出典:savoie-mont-blanc 「Zoom Pays du Mont Blanc – Edition」( 2019)https://pro.savoie-mont-blanc.com/var/ezwebin_site/storage/original/application/96805cd6503559e1061fb39c1f95e153.pdf※出典:ZERMATT – MATTERHORN 「LOGIERNÄCHTE 2018/19.」( 2019)https://ztnet.ch/images/content/05_zermatt_tourismus/04_statistiken_umfragen/01_statistiken/gesamtstatistiken/Lnderstatistik2019DestinationZermatt.pdf※出典:Tourism Whistler’s Media Room 「Visitor Numbers」(2020)https://media.whistler.com/all-about-whistler/stats-and-facts/

<ツェルマット 時期別誘客データ>

<ウィスラー 時期別誘客データ>

海外モデルケースのデスクリサーチ

3.海外・国内の通年リゾート化モデルケースの調査

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Page 43: ~索道事業者向け参考資料~ -  · ・10スキー場についてのプロモーションを展開するとともに当該エリア間のシャトルバスを運行し一体感を構築。

海外山岳リゾートの国別誘客データ

特定の国に依存せず、幅広い国を誘客し、リスク分散が出来ている。近隣諸国を中心に、アジアを含めて幅広い国からの誘客に成功している。これが実施できている要因としては、現地観光局(DMO)が各国出身のスタッフを雇用したり、各国のマーケットデータを分析し、戦略的にプロモーションを実施しているためである。

<シャモニー・モンブラン 国別誘客データ>

※ウィスラービレッジは公開されている該当データなし※出典:savoie-mont-blanc 「Zoom Pays du Mont Blanc – Edition」( 2019)https://pro.savoie-mont-blanc.com/var/ezwebin_site/storage/original/application/96805cd6503559e1061fb39c1f95e153.pdf※出典:ZERMATT – MATTERHORN 「LOGIERNÄCHTE 2018/19.」( 2019)https://ztnet.ch/images/content/05_zermatt_tourismus/04_statistiken_umfragen/01_statistiken/gesamtstatistiken/Lnderstatistik2019DestinationZermatt.pdf

<ツェルマット 国別誘客データ>

海外モデルケースのデスクリサーチ

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体験コンテンツの特徴(シャモニー・モンブラン)

海外モデルケースのデスクリサーチ

グリーン期の来訪の目玉は登山。長期滞在者に向けた幅広いコンテンツが人気。山の景観を活かしたマウンテンアクティビティが中心だが、長期滞在者に合わせてファミリー向けのコンテンツも充実している。メインは登山だが、登山鉄道や氷河洞窟ツアーなど景観鑑賞のみを目的としたコンテンツも人気。

カテゴリ 活動内容

スポーツ

テニスゴルフスケートボードローラーブレードペイントボールパラグライダーペタンクホッケーゲームマラソン

その他

脱出ゲームレーザーゲームスケートパークジム動物園音楽祭ヨガフェスティバル温泉劇場カジノ展示会(伝統、歴史)

カテゴリ 活動内容

マウンテンアクティビティ

ハイキング

トレッキング

トレイルランニング

クライミング

オリエンテーリング

クロスカントリースキー

ウォーターアクティビティ

スイミングプール

釣り

キャニオニング

ラフティング

乗り物アクティビティ

乗馬トレッキングBMX

マウンテンバイク

ヘリコプター

特に人気の体験コンテンツ:エギーユ・デュ・ミディ

-STEP INTO THE VOID-参考URL 特徴

https://www.chamonix.com/aiguille-du-midi-step-into-the-

void,80,en.html

エギーユ・デュ・ミディはフランスのアルプス山脈にあるモンブラン山系の山であり、フランス、スイス、イタリアのアルプスを眺めることができる。STEP INTO THE VOIDでは、エギーユ・デュ・ミディ山頂の施設内のガラスのケージに入り、壮大な景観を楽しみながらスリルを味わうことができる。

<コンテンツメニュー一覧>

アクティビティ 料金 備考

氷河ハイキング 450€/1ガイド(約53,100円)

・丸一日のガイド・6人グループまで

マウンテンバイク 380€1日/1ガイド250€半日/1ガイド

(1日約44,840円/半日約29,500円)・6人グループまで

・マウンテンバイク付き

キャニオニング 105€/半日/1ガイド(約12,390円) ・3人以上で開催

<体験価格(例)>

※1€=118円(2020/3/6時点)で計算

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体験コンテンツの特徴(ツェルマット)

海外モデルケースのデスクリサーチ

※1€=118円(2020/3/6時点)で計算

グリーン期の来訪の目玉は登山。美しい町並みや駅前通りの散策も人気。シャモニー同様にメインは登山で、山の景観を活かしたマウンテンアクティビティが中心。登山をしなくても鉄道から山々の景色を楽しんだり、木造建築の独特な町並みを散策するだけでも十分な見応えあり、ライト層にも人気。

<コンテンツメニュー一覧>

<体験価格(例)>

特に人気な体験コンテンツ:ゴルナーグラート鉄道 参考URL 特徴

https://www.zermatt.ch/en/Media/Attractions/Gornergrat

ゴルナーグラート鉄道は1898年に開業。標高3,089mに位置するゴルナーグラート駅と始発のツェルマット駅(標高1,604m)との標高差は約1,500mにもなる。ゴルナーグラート駅近くの展望台からは4,000mを超える合計29の山々のパノラマを眺めることができる。長時間のハイキングをせずに自然と山の美しさを楽しむことができ、特に子連れのファミリーに人気となっている。

アクティビティ 料金 備考

クライミングプライベートガイド:442€グループガイド:120€/人

(プライベートガイド約52,156円、グループガイド約14,160円)

3-4時間

釣り 323€/ガイド(約38,114円)

最大4人まで釣り具付き

マウンテンバイク

プライベートガイド:469€/日グループガイド:263€/2時間

(プライベートガイド約55,342円、グループガイド約31,034円)

マウンテンバイクのレンタル付き

カテゴリ 活動内容

マウンテンアクテビティ

ハイキング

ヴィア・フェラータ

ウォーターアクテビティ

水上スキー

湖で水泳

乗り物アクティビティ

マウンテンバイク

ヘリコプターダートスクーター

電子自転車

スポーツ

ゴルフ

ビーチバレー

テニス

ジョギングトレイルランニング

バスケットボール

カテゴリ 活動内容

その他

電子クレー射撃

スケートパーク

宝探し

マッターホルン博物館

日の出ツアー

シネマ

ライブミュージックバー

BBQ

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体験コンテンツの特徴(ウィスラー)

海外モデルケースのデスクリサーチ

グリーン期来訪の目玉は山岳アクティビティ。ホテルや飲食店も充実しており、長期滞在型の高原リゾートとして人気。

マウンテンバイク、ロッククライミングなどの山岳アクティビティの他、湖畔でのキャンプや釣りなどアウトドア需要の取り込みにも成功している。高級リゾートホテルや飲食店も豊富で、夏場の誘客数は冬場を超える。

<コンテンツメニュー一覧>

<体験価格(例)>

特に人気な体験コンテンツ:マウンテンバイク 参考URL 特徴

https://www.whistler.com/activities/biking/

マウンテンバイクを楽しむことができる、世界で最も有名で人気のあるスポット。レンタルバイクの種類やコースが充実しており、最高の自転車体験やスリルを求めている人に最適。マウンテンバイクパークまではケーブルカーで行くことができる。

アクティビティ 料金 備考

マウンテンバイクプライベートガイド: 128$/人

グループガイド: 89$/人(プライベートガイド約9,984円、

グループガイド約6,942円)

マウンテンバイクのレンタル付き

クライミング一日:219$/人半日: 139$/人

(一日約17,082円、半日約10,842円)

3.5時間必要物は全てレンタル

ラフティング

※コースによって料金異なる2.5時間:75$~119$/人4時間: 110$~200$/人

(2.5時間 約5,850~9,282円、4時間 約8,580~15,600円)

必要物(ウェットスーツ・ライフジャケットなど)付き

カテゴリ 活動内容

マウンテンアクティビティ

ハイキング

ロック・クライミング

ウォーターアクテビティ

ラフティング

湖で水泳

カヌー

釣り

乗り物アクティビティ

バギー

マウンテンバイク

ヘリコプター

高級車ツアー

スポーツゴルフ

ランニング

テニス

その他

鉱山博物館

フードツアー

バー

クラブ

ビールの試飲ツアー

カテゴリ 活動内容

その他

バンジージャンプ

イーグル鑑賞ツアー

洞窟ツアー

ナイトウォーク&光のショー

アートクラス

ジム

ヨガ

インドアロッククライミング

屋内プール

アイススケート

脱出ゲーム

スパ&マッサージ

シネマ

美術館

ウィスラー博物館

文化センター

アートギャラリー

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※1C$=78円(2020/3/6時点)で計算

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その他TOPICS

海外モデルケースのデスクリサーチ

項目 まとめ

SNS活用・SNS上で、季節ごとのイベントの告知を行なっている(動画を活用していることが多い)(例)Facebook上で、クリスマス期間中に企画しているイベントの告知など・facebook、twitter、instagram、youtubeは全エリアアカウントを保有・ツェルマット(フォロー数約24万人)、ウィスラー(フォロー数約20万人)はFacebookを毎日投稿している

多言語対応 ・観光情報サイトは、シャモニー(8言語)、ツェルマット(10言語)、ウィスラー(6言語)対応・英語/中国語/ドイツ語/スペイン語の4言語については、各エリア共通して対応している

イベント開催・グリーン期には、マウンテンアクティビティ系のイベントを多数開催(例)マウンテンバイクフェスティバル、トレイルレース等・他にも、家族向けイベント、スポーツイベント、文化イベントなど、多種多様なイベントを開催している(例)家族向けの工芸イベントやマラソン、音楽フェスティバルなど

その他・自地域全体を巻き込んでプロモーションを行なっている(例)地域住民をガイドとして観光地へのツアーに招待したり、地元の食品を販売したりなど

・グリーン期で利用できるパス(鉄道や美術館、プール等の利用券)をスノー期のリフト券と合わせてシーズンパスとして販売

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外国人旅行者へのWEB調査 実施概要

外国人旅行者へのWEB調査

調査方法 インターネット調査(スクリーニング調査+本調査)

調査地域 中国・オーストラリア※それぞれ全土。現地の提携機関が保有するモニターへ調査を実施。

取得サンプル数 ・オーストラリア:301件・中国:302件

対象者条件 • 18歳以上の男女• 海外のスノーリゾートや山岳リゾートに行ったことがある• 今後も海外への旅行の意向がある• 日本に対してネガティブなイメージを持っていない• 日本に居住した経験がない• 旅行会社、調査機関に勤務していない※調査対象者のスクリーニング設問において、上記に該当する対象者をそれぞれ300サンプル絞り込みを行う。

調査設問 • 設問数 計25問(スクリーニング調査8問、本調査17問)• スクリーニング調査 質問項目性別、年齢、職業、海外旅行経験、海外旅行意向(今後行きたい国、ネガティブな印象の国)、山岳リゾートの渡航経験(国、実施した体験コンテンツ)、海外への居住経験

• 本調査 質問項目海外旅行の実施動向/情報収集方法/実施形態/消費傾向/選択基準、山岳リゾートの選択基準、北陸信越エリアへの来訪経験/認知度/興味関心度、グリーン期の体験コンテンツへの興味関心度、グリーン期の体験コンテンツへの消費意向、結婚有無、世帯年収

4.スノーリゾートの来訪調査・決定要因調査

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海外旅行の実施動向(全体)

外国人旅行者へのWEB調査

豪州は1人旅が3割強、中国は半数以上が夫婦旅行。どちらも消費金額は日本人と比較すると高単価。Q1.海外旅行頻度:半数以上が年に2回以上海外旅行を実施。Q2.同行者:豪州は1人旅の割合が多く、中国は家族同伴(夫婦/子供連れ/親)の割合が多い。Q3.旅行消費額:1人当たり単価として、豪州は約26~65万円、中国は約15~44万円がボリュームゾーン。

※1A$=65.8円(2020/3/6時点)

Q1. あなたはプライベートでだいたい1年に何回海外旅行をしますか。

Q3.直近1年のプライベートでの海外旅行で、あなたは総額いくらくらい支払いましたか。下記の選択肢の中で最も近い金額をお答えください。※金額は、一人当たりのおおよその平均金額

Q2. 直近1年のプライベートでの海外旅行で、あなたはどなたと一緒に行くことが多いですか。あてはまるものをすべてをお選びください。

※1元=14.7円(2020/3/6時点)

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海外旅行の実施動向(山岳リゾート)

外国人旅行者へのWEB調査

豪州、中国ともに、グリーン期の訪問経験および体験ニーズは、スノーを目的とした訪問よりも高い。SQ6.海外山岳リゾートの体験実施状況:豪州はハイキング、トレッキング、キャンプ、スキーの順に高い。中国は山登り、トレッキング、キャンプ、ハイキングの順に高い。両国ともにグリーン期の体験の方が実施率が高く、今後の実施意向も高い。SQ7.海外山岳リゾートの訪問経験:豪州はオセアニア近郊の訪問が最も多いが、ウィスラーや欧州、アジアの山岳リゾートの訪問経験も多く、距離に捉われずに訪問をしている。中国はアジア近郊の山岳リゾートへの訪問が圧倒的に多い。

SQ6.山岳リゾートへ行った際に何をしましたか。今後、何をしたいと思いますか。あてはまるものをすべてをお選びください。(回答はいくつでも)

◎豪州 ◎中国

SQ7.(山岳リゾートの中で)今までに訪問した場所はどこですか?あてはまるものをすべてをお選びください。(回答はいくつでも)

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山岳リゾートの選択基準

外国人旅行者へのWEB調査

山岳リゾートに求めるものと海外旅行自体に求めるものは類似しており、山岳だけでなく周辺施設の環境を重要視。

Q4.海外旅行選択基準:「リラックスしたい」「異文化体験」「美味しいものを食べる」は両国共通のニーズ。

Q4. あなたがプライベートの海外旅行に求めるものに関して、あてはまるものをお選びください。

n=

リラッ

クスしたい

ストレス解消したい

日常から逃れたい

冒険心を満たしたい

家族をおもてなししたい

子供に様々な経験をさせる

ため

パー

トナー

と充実した時間

を過ごしたい

友達と楽しく盛り上がりた

い その土地ならではの異文化

の世界を味わいたい

その土地ならではの歴史や

文化を深く知りたい

その土地の伝統・文化を疑

似体験できる宿泊施設に泊

まりたい

人がいっ

たことのないよう

な秘境にいきたい

自己啓発したい・自分を磨

きたい

現地の人との交流をしたい

その土地発祥の本場の体験

をしたい

最近話題になっ

ているとこ

ろをまわりたい

世界遺産をまわりたい

アクティ

ブに体を動かした

い SNSで投稿するネタにし

たい

趣味や習い事を深めたい

美味しいものを食べたい

買い物をしたい

美しくなりたい

健康になりたい

特定のイベントに参加した

い 親族・友人に会いにいきた

い ボランティ

アに参加したい

考えや気持ちを整理したい

/アイデアを得たい

その他

すべて 301 62.1 35.9 52.8 41.2 25.9 17.6 46.2 29.6 58.5 49.5 46.2 33.2 23.9 36.9 46.5 33.9 46.8 28.2 1.7 18.6 67.8 31.6 5.0 19.3 13.6 34.2 3.7 18.6 1.3すべて(n=301)

その中で(5つまで) 301 32.9 12.3 27.6 18.3 10.3 9.3 29.2 9.6 36.2 25.6 18.3 14.6 7.6 14.0 27.6 9.3 23.3 8.3 0.3 3.0 36.5 12.3 0.7 3.3 5.0 18.9 1.0 3.7 0.3その中で(5つまで)(n=301)

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

すべて(n=301) その中で(5つまで)(n=301)

(%)

◎豪州

◎中国

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山岳リゾートの選択基準

外国人旅行者へのWEB調査

山岳リゾートに求めるものと海外旅行自体に求めるものは類似しており、山岳だけでなく周辺施設の環境を重要視。

Q8,9.山岳リゾートの選択基準(豪州):展望の良い場所や自然環境を楽しめるスポットを最も重視。飲食店、博物館など周辺観光スポットの有無も重要視。Q8,9.山岳リゾートの選択基準(中国):山岳で何が出来るか(トレッキング等)を重視。豪州同様に周辺観光施設も重要な選択基準で、温泉や古代遺跡、飲食店を重視。

Q8. あなたが山岳リゾートへ行く理由や行き先を決める際に重視する点をすべてをお選びください。

Q9. あなたが行く山岳リゾートの場所、もしくは周辺に魅力的な観光スポットはありますか。

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海外旅行先を選ぶ際の情報源・旅行形態

外国人旅行者へのWEB調査

豪州、中国で情報源・旅行形態は大きく異なる傾向。Q5.情報源:豪州はトリップアドバイザー、宿泊予約サイト、観光局や観光施設のHPの順で高く、中国は自国SNS、家族や知人からの紹介、TV・CMの順に高い。Q6.旅行形態:豪州はいわゆるパック旅行は3.5割程度で、ほとんどが個人手配。対して中国は6.5割がパック旅行で、うち4割はガイド付きのプラン。

Q5.あなたはプライベートで海外旅行をするとき、どのような情報源を参考にしていますか。あてはまるものすべてお選びください。

Q6.あなたはプライベートで海外旅行をする上で最も多い旅行形態をお選びください。

◎豪州

◎中国

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北陸信越エリアに対する認知度

外国人旅行者へのWEB調査

◎豪州

豪州、中国ともに好意的なイメージを形成出来ている。Q10.認知度:豪州において来訪済数%、名称認知は20%弱。中国において来訪済野沢で30%、白馬で20%、その他も10%強と高い。名称認知は7割強。

Q10.あなたは、下記の県・地域をどの程度ご存じですか。

◎中国

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北陸信越エリアに対する認知度

外国人旅行者へのWEB調査

豪州、中国ともに好意的なイメージを形成出来ている。Q12.イメージ、興味度(豪州):「ご飯が美味しい」「温泉」「スキー」というイメージが高い。約8割が興味関心があると回答。Q12.イメージ、興味度(中国):「温泉」「自然が豊富」 「スキー」というイメージが高い。9割強が興味関心があると回答。

Q12.あなたは北陸信越地域に対してどのようなイメージをお持ちですか。あてはまるものをすべてをお選びください。

Q13. あなたは北陸信越地域にどの程度興味がありますか。

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北陸信越エリアのコンテンツに対する興味/体験意向①

外国人旅行者へのWEB調査

比較的コアなコンテンツも一定ニーズはあるが、全体傾向では景観鑑賞等のライトなコンテンツの方がニーズが高い。

Q14.体験意向(豪州):絶景体験/自然鑑賞系のコンテンツの興味度が高い。逆にサマースキーやMTB、スパルタンレースなどコアなアクティビティニーズはそこまで高くない。

※グリーンシーズンのコンテンツに特化した設問となります。

Q14.次に挙げる項目は、日本の北陸信越地域で体験できます。それぞれについてどの程度興味がありますか。

◎豪州

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北陸信越エリアのコンテンツに対する興味/体験意向①

外国人旅行者へのWEB調査

比較的コアなコンテンツも一定ニーズはあるが、全体傾向では景観鑑賞等のライトなコンテンツの方がニーズが高い。

Q14.体験意向(中国):山岳アクティビティ系のコンテンツを含め、すべてにおいて興味度は高い。

※グリーンシーズンのコンテンツに特化した設問となります。

Q14.次に挙げる項目は、日本の北陸信越地域で体験できます。それぞれについてどの程度興味がありますか。

◎中国

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北陸信越エリアのコンテンツに対する興味/体験意向②

外国人旅行者へのWEB調査

◎豪州

外国人旅行者は、体験の付加価値に対しては投資を惜しまない。総じて、現在北陸信越エリアで提供している単価よりも高め。グランピングやパラグライダーなど特別な体験には単価を多く払っても体験したいという意向。

※グリーンシーズンのコンテンツに特化した設問となります。

Q15.あなたは、このような体験に対していくらまでお支払いできますか。

※1A$=65.8円(2020/3/6時点)

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北陸信越エリアのコンテンツに対する興味/体験意向②

外国人旅行者へのWEB調査

◎中国

外国人旅行者は、体験の付加価値に対しては投資を惜しまない。総じて、現在北陸信越エリアで提供している単価よりも高め。グランピングやパラグライダーなど特別な体験には単価を多く払っても体験したいという意向。

※グリーンシーズンのコンテンツに特化した設問となります。

Q15.あなたは、このような体験に対していくらまでお支払いできますか。

※1元=14.7円(2020/3/6時点)

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通年リゾート地化に向けた壁

• P33:グリーン期の営業実施率は半数に留まる。グリーン期の成功イメージがつかめていない。

• P34:ターゲットが定まっていない。スノー期とは違った傾向。• P35:重点的に投資をすべきコンテンツが明確になっていない。• P38,39:エリア全体としての目指すべきゴールイメージの共有

不足から、事業者単体でのグリーン期への投資につながっていない。1事業者で取り組むにはハードルが高い。

調査結果サマリ今回の調査で重点的に明らかにする3つのポイント

海外モデル地域とのギャップ

外国人旅行者の山岳リゾートへの誘客

トリガー

• P40,41:グリーン期とスノー期の誘客割合はほぼ同一。また、現地DMOのマーケティング戦略により、幅広い国からの誘客に成功。

• P42~44:メインで訴求するコンテンツが明確。• P42~44:山岳アクティビティだけでなく、ライト層向けのコンテ

ンツや周辺観光施設が豊富。• P45:地元住民を狙った施策や、グリーン期も利用可能な

シーズンパスなどを販売。

• P48:両国ともにスキーを目的とした旅行よりも、登山・トレッキング・ハイキング・キャンプ目的の方が訪問経験および体験ニーズが高い。

• P48:中国はアジア近郊メイン、豪州は距離に捉われず魅力的な地域に渡航する傾向。

• P49:「リラックスしたい」「異文化体験」「美味しいものを食べる」は両国共通で根底にある海外旅行に対するニーズ。

• P50:両国ともに山岳リゾートならではの体験は当然重要だが、同等に周辺観光施設(飲食店、温泉、遺跡等)の有無も重要な渡航先の選択基準。

• P53:北陸信越のイメージは「温泉」「自然が豊富」 「スキー」「ご飯が美味しい」が高い。

• P54~57:比較的コアなコンテンツも一定ニーズはあるが、全体傾向では景観鑑賞等のライトなコンテンツの方がニーズが高い。また体験の付加価値には投資を惜しまない傾向。

1.グリーン期未実施事業者向けに新規参画のポイント紹介

対応策

2.コア層とライト層に分けたマーケティング戦略の展開

3.周辺観光施設と連携し、想定外国人ターゲットのニーズ

に合わせたコンテンツを開発

索道事業者が優先的に取り組むべき対応策として、以下3点を考察する。

5.調査結果を踏まえた考察

-58-

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調査結果を踏まえた対応策の提案①

1.グリーン期未実施事業者向けに新規参画のポイント紹介

押さえておきたい3つのポイントグリーン期の成功イメージがつかめていない(=参入障壁を高く感じてしまっている)という事業者に向けて、国内の成功事例を踏まえた上で、新規参画に当たってのポイントは以下3点である。

大きな投資なしで始められるコンテンツ同じエリア内で実施していないコンテンツまずは日本人(県内含む)をターゲットに始めてみる

具体策(体験コンテンツの事例)各コンテンツ共通で、リフト・ゴンドラを稼働し、より眺望の良い斜面で行うことがベスト。

手ぶらキャンプ/BBQ場として開放(例:丸沼高原、油山キャンプ場)※機材レンタル付きで手ぶらで行えるというのが重要。情報発信力の高い若年のライト層に人気。ソリ・ストライダーが利用できるように斜面を開放(例:蔵王猿倉)斜面全体を花畑にする(例:ノルンみなかみスキー場、たんばらスキーパーク)キャンピングカー宿泊(例:キャンピングカー株式会社)※出張レンタルという方法で、一定期間スキー場にキャンピングカーを停泊させ、宿泊施設として活用する方法。里山などで活用事例あり。ドッグラン場として開放(例:サンメドウズ清里)

2.コア層とライト層に分けたマーケティング戦略の展開

コアコンテンツ(登山・MTBなど)で呼び込み、幅広いコンテンツでライト層をもてなす海外モデル地域との差として、現在多くの北陸信越エリアにおいて、「何をフックに呼び込むのか?」が明確になっていない。また特に目的が定まらずに、一旦幅広くコンテンツを整備するという傾向になっている。新規獲得・リピートにつなげること、また地域内の滞在時間を伸ばし、観光消費額を向上させるためには、コア層とライト層に分けて戦略を描くことが重要である。

特色ある地域資源をコア層に向けて付加価値の高いコンテンツに磨き上げる(→誘客のフックをつくる)景観鑑賞や写真スポット、飲食店など、ライト層の満足度を上げるコンテンツの開発・プロモーションの魅せ方を変える

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調査結果を踏まえた対応策の提案②

3.周辺観光施設と連携し、想定外国人ターゲットのニーズに合わせたコンテンツを開発

「山岳体験コンテンツ + α地域の観光資源 = そこでしか出来ない体験」山岳リゾートで実施できる体験コンテンツの価値は、その地域のポテンシャルに左右される部分が強く、それだけでは強みにならない。(→仮にツェルマットを競合と捉えた時に、単純なトレッキングでは勝負にならない。)一方で、外国人旅行者が山岳リゾートを選択する際に、山岳リゾートならではの体験は当然重要だが、同等に周辺観光施設(飲食店、温泉、遺跡等)の有無も重要な渡航先の選択基準であることが調査結果より明らかになった。例えば、中国人旅行者が日本旅行に求める「異文化体験」「現地の美味しいものを食べる」「温泉」をキーワードに、「トレッキング」と掛け合わせると、「山中の寺院を回りながら、眺望の良い場所で日本食弁当(発酵文化を伝える保存食など)を楽しみ、その後は効能のある温泉で疲れを取る」といった体験コンテンツが出来上がり、そこでしか味わえないトレッキングに仕立てることが可能。

(必ずしも)索道事業者が提供する体験コンテンツだけで完結させない外国人カスタマーのニーズを起点に考える周辺観光施設との連携を含めて、体験コンテンツに付加価値(地域ならではの観光資源)を加える

<地域独自の体験コンテンツを生み出すフレーム例>

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【 おわりに 】

国内のスキー・スノーボード人口は、1990年代の18百万人をピークに半分以下まで減少し

ましたが、近年は、スポーツツーリズムの魅力が認識されるとともに、日本の雪質やスノーリ

ゾートへのアクセスの良さ等が評価され、スノースポーツを目的とした訪日外国人旅行者の数は

増加基調にあります。また、2022年の北京冬季五輪の開催は、中国をはじめ国内外からのス

ノーリゾートへの来訪を更に取り込む大きな契機になろうとしています。

管内のスノーリゾート地域においても、この機を捉えた誘客促進により活性化を推進すること

は、地方創生に向けて大きな効果を生み出すものと思われます。そのための意見交換・情報共有

等につきましては、今後とも、北陸信越スノーリゾート地域の活性化推進検討会又は北陸信越運

輸局を通じて行っていきたいと考えております。

この度の資料の内容につきまして、お問合せ事項がありましたら、事務局である北陸信越運輸

局の担当課(下記)までご連絡ください。

なお、今般の「北陸信越運輸局管内のスノーリゾート地域における通年リゾート地化推進にか

かる調査」 の結果の詳細につきましては、別途、北陸信越運輸局ホームページに掲載いたします

ので、適宜ご覧いただければと思います。

管内のスキー場(スノーリゾート地域)の皆様におかれましては、更なる活性化への取組につ

きまして、今後ともご協力いただきますようお願い申し上げます。

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【ご連絡先】

北陸信越スノーリゾート地域の活性化推進検討会 事務局

北陸信越運輸局観光部観光地域振興課

TEL:025-285-9181

北陸信越運輸局鉄道部索道課

TEL:025-285-9153