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JPMA ICH-E6 Project ICH-E6R2)について -日本の臨床試験実施体制に与える影響- 日本製薬工業協会 臨床評価部会 平成29年度治験推進地域連絡会議 201823日(土):大阪 217日(土):福岡 317日(土):東京

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JPMA ICH-E6 Project

ICH-E6(R2)について -日本の臨床試験実施体制に与える影響-

日本製薬工業協会 臨床評価部会

平成29年度治験推進地域連絡会議 2018年2月3日(土):大阪 2月17日(土):福岡 3月17日(土):東京

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従来行われてきた(実地)モニタリング

エラー エラー エラー エラー エラー エラー

不備 逸脱 不備

モニタリング モニタリング

起きてしまったエラーや逸脱がないか,事後的にチェック CAPAのCA(きゃ)=是正措置 に主眼 同種の問題も発生しやすい(その施設だけでなく他の施設でも) 品質確認作業のメリハリも十分でない Critical data vs. Non-critical data モニタリングコストもとんでもない

このような質の管理技術を「出口管理」 「検査重点主義」という 1

<JPMA データサイエンス部会長 小宮山氏 ICH-E6(R2)研修会より >

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GCP Renovation ~2020年代前半?

品質管理の歴史

「出口管理」 検査重点主義 プロセス管理 Quality

by Design

できた不良品をはじく 厳格な出荷検査, 受け入れ検査が中心

事後的な検査を不要 にするための活動 プロセス管理を前提とした

設計の良さ

Risk-based Monitoring 従来のモニタリング

ICH GCP(R2)

2 <JPMA データサイエンス部会長 小宮山氏 ICH-E6(R2)研修会より >

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本日の発表 1. ICHとは 2. ICH-E6(R2) 改訂の内容 3. Sponsor への影響 4. 日本の臨床試験への影響 5. まとめ

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本日の発表 1. ICHとは 2. ICH-E6(R2) 改訂の内容 3. Sponsor への影響 4. 日本の臨床試験への影響 5. まとめ

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ICH発足の経緯 日本・米国・ヨーロッパでは、医薬品の販売開始前に政府による評価・承認を行うため、それぞれ独自に法制度を整備してきました。特に1960年代から1970年代にかけては、各国で急速に法令やガイドラインが整備され、新医薬品の品質、有効性および安全性についてのデータ報告・評価の体制が整いました。しかし、新医薬品の品質、有効性、安全性を評価するという基本は共通であったものの、承認申請の際の詳細な技術的要件は地域により異なっていました。製薬企業の国際化に伴い、各地域の規制要件を満たすため、時間とコストのかかる重複した試験を数多く行う必要がありました。 そのため、拡大する医薬品開発コストへの懸念を背景に、必要な患者に安全で有効な新医薬品をより早く提供するため、各地域の医薬品承認審査の基準の合理化・標準化が必要となり、1990年4月、日本・米国・ヨーロッパの各医薬品規制当局と業界団体の6者によりICHが発足しました。 また、2015年10月にInternational Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (日米EU医薬品規制調和国際会議から “International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for human use (医薬品規制調和国際会議)に変更されました。

< PMDA Webページ: ICH 医薬品規制調和国際会議 より https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0014.html > 5

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ICHの目的と役割 ICHの目的は、新医薬品を時宜に即し、また継続的に患者が利用できるようにすること、ヒトにおける不必要な臨床試験の重複を避けること、安全性、有効性及び品質の高い医薬品が効率的に開発、登録及び製造されること、及び安全性及び有効性が損なわれることなく動物試験が軽減されることに資する技術的要件における国際調和を促進することで公衆衛生を促進することです。

6 < PMDA Webページ: ICH 医薬品規制調和国際会議 https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0014.html より一部抜粋 >

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ガイドラインの策定プロセス ステップ1 新しい調和ガイドラインを作成する提案が新しいトピックとして総会により承認を受

けると、専門家作業部会が設置されます。 専門家作業部会では協議を重ねて技術ドキュメント(ガイドライン案のベース)を作成します。

ステップ2a 技術ドキュメントの確認 ステップ1の技術ドキュメントが総会で承認されるとステップ2aとなります。

ステップ2b ガイドライン案の採択ステップ2aの技術ドキュメントをベースにしたガイドライン案が総会の規制当局代表者により承認されるとステップ2bとなります。

ステップ3 ICHの各地域・国の規制当局(日本では厚生労働省)からガイドライン案が公表され、公に意見が求められます。寄せられた意見に基づいて専門家作業部会で協議が行なわれ、ガイドライン案が修正されます

ステップ4 ガイドライン案が総会の規制当局代表者によって最終的に合意、採択されるとステップ4となります。

ステップ5 ICHの各地域・国の規制当局において、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施されます。 日本では、厚生労働省医薬・生活衛生局から通知されます。

7 < PMDA Webページ: ICH 医薬品規制調和国際会議 https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0014.html より一部抜粋 >

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ICHの組織体制の改変 ICH協会の設立〔スイスに法人を設置〕

日米EU3極からグローバルな枠組みへ組織体制を含めて変更された。(2015年に協会が設立、2016年1月稼働開始)

構成: 総会、執行委員会、事務局、監査

総会:全会員で構成(最高決定機関となる)

執行委員会:

開始2年間は8常任委員。後に、拡大(非常任の追加: 行政、業界)

常任委員:非改選、創始団体(EC, FDA, MHLW, EFPIA, PhRMA, JPMA)

常任委員:非改選、行政(カナダ厚生省、スイス連邦医薬品庁)

非常任委員:改選(任期4年)、総会で選出(行政、業種別グローバル業界代表)

オブザーバー:行政(WHO)、業界(IFPMA)

8 < 製薬協Webページ: (ICH)即時報告会 http://www.jpma.or.jp/information/ich/ich_list.html 第31回 ICH即時報告会、第32回ICH即時報告会から抜粋>

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本日の発表 1. ICHとは 2. ICH-E6(R2) 改訂の内容 3. Sponsor への影響 4. 日本の臨床試験への影響 5. まとめ

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Step 4 (R2), Dated 9November 2016 <http://www.ich.org/products/guidelines/efficacy/article/efficacy-guidelines.html>

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経緯 2013年11月:

2014年4月:

2014年11月: 2015年6月: 2015年11月16日: 2016年6月16日: 2016年11月9日: 2017年6月:

ICHリスボンEWG会合 ICH 福岡EWG会合 (Step 2 合意) 日本でのパブコメ募集(~2016年1月15日) ICHリスボンEWG会合 (Step3合意) ICH 大阪会議 (Step4 サインオフ) EU Effective

ICH大阪会合において、FDAから新規トピックの提案: Assessment of Clinical Trial Quality 「Clinical Trial Quality に関する Addendum または Q&A を ICH E6(R1) (現行の ICH GCP)に付録として追加する」旨の draft Concept Paper等が運営委員会会合で了承

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決定事項 (前提条件) ≪前提条件≫ 検討方針 既存のガイドラインは改訂しない。新規の検討事項を明記のみとする。 体裁・記載方式 ADDENDUM として、既存のガイドラインに明確に判るように挿入する。明記箇所のみを添付する形式とはしない。

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記載例示 <記載例1> 1.62 Well-being (of the trial subjects)

The physical and mental integrity of the subjects participating in a clinical trial.

ADDENDUM 1.63 Certified Copy

A copy (irrespective of the type of media used) of the original record that has been ・・・

<記載例2> 2.10 All clinical trial information should be recorded, handled,

and stored in a way that allows its accurate reporting, interpretation and verification.

ADDENDUM This principle applies to all records referenced in this guideline, irrespective of the type of media used.

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改訂内容(1) 次の項にADDENDUMの文章が挿入された:

Introduction, 1.63, 1.64, 1.65, 2.10, 2.13, 4.2.5, 4.2.6, 4.9.0, 5.0, 5.0.1, 5.0.2, 5.0.3, 5.0.4, 5.0.5, 5.0.6, 5.0.7, 5.2.2, 5.5.3 (a), 5.5.3 (b), 5.5.3 (h), 5.18.3, 5.18.6 (e), 5.18.7, 5.20.1, 8.1

計 26 箇所

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改訂内容(2) INTRODUCTION ICH-GCP(R1)が策定されてから、臨床試験は規模の増大、複雑化、

コストの増加に直面してきた。これに伴い、新しい技術や、Risk Management Processなど新しい取り組みが開始されている。

新しい取り組みや、効率化の流れを踏まえて、継続的な被験者の保護やデータの信頼性を維持する仕組みについて述べる。また、電子記録や必須文書に関する統一的な基準を記載する。

他のICH 文書と併せて使用されることが推奨される(例:E2A 安全性データ、E3 CSR 等)。

EU、日本、米国、カナダ、スイスならびにこの考えを受容する各地域で、臨床データの相互受け入れを促進するために統一した考え方を提供する。

追記された補遺(R2 Addendum)とオリジナル(R1)文書の内容が一致しないと考えられる場合には、R2を優先する。

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改訂内容(3-1) 1. Glossary

ADDENDUMとして明記された内容を踏まえ、以下の定義が明記された

1.63 Certified Copy

1.64 Monitoring Plan

1.65 Validation of Computerized Systems

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改訂内容(3-2) 1. Glossary

1.63 Certified Copy

適切な媒体を利用した保証された複写物で、オリジナルと同じ情報や記載内容、コンテキスト(IT用語でいうプログラムの実行情報)、構造が含まれていることが求められる。

ここで言う保証には署名と日付けを記載するか、保証されたプロセスで作成されていること等を示すことが重要となる。

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≪ポイント≫ 紙媒体と電磁媒体の運用の差異を見越した表現となっている。そのため、実行の際には、“紙と電磁の違い”と“何が必要なのか”を意識する必要がある

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改訂内容(3-3) 1. Glossary

1.64 Monitoring Plan

モニタリングプランとは、臨床試験のモニタリングの戦略、方法、責務及び要件を記述した文書。

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≪ポイント≫ プランを記載するドキュメントスタイルについては明言されていない。

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改訂内容(3-4) 1. Glossary

1.65 Validation of Computerized Systems

コンピュータ化システムに対してあらかじめ定められた要求事項が、システムの設計から稼働停止もしくは新しいシステムへの移行までの間、一貫して満たされているように保つ状態を確立し、文書化するプロセス。 バリデーションのアプローチは、意図したシステムの用途、被験者の保護および治験の結果の信頼性へのシステムの潜在的な影響を考慮したリスクアセスメントに基づく。

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改訂内容(4-1) 2. The Principles of ICH GCP

2.10 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取り扱い及び保存しなければならない。

ADDENDUM 本原則は、使用する媒体を問わず、本ガイドラインで規定する全ての記録に適用される旨が明記された。

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黒字:オリジナル E6(R1)文書

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改訂内容(4-2) 2. The Principles of ICH GCP

2.13 治験のあらゆる局面の質を確保するための手順を示し

たシステムが、運用されなければならない。

ADDENDUM 当該システムは、治験において被験者の保護及び治験結果の信頼性の確保に不可欠な側面に重点を置くものとする旨が明記された。

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黒字:オリジナル E6(R1)文書

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改訂内容(5) 4. INVESTIGATOR

4.2 Adequate Resources

ADDENDUM

4.2.5 治験責任医師は、治験業務を委託した個人または第三者を監督する責任を有する旨が明記され、委託業務の管理責任が強調された。

4.2.6 治験責任医師/治験実施医療機関は、個人または第三者に業務を委託した場合には、その者が業務を遂行するための要件を満たしていることを保証し、併せて、作成される業務と作成されるデータについても保証する旨が明記された。

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改訂内容(6) 4. INVESTIGATOR

4.9 Records and Reports 4.9.0 治験責任医師/治験実施医療機関は、治験に関する被験者の観察記録を含め、全ての原資料・原データに関する記録を保存する。 原データは、帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性およ

び完全性を満たし、原データを変更した場合には、その過程

を遡ることが出来ると共に、変更前の記載内容を不明瞭にし

ない。また、必要に応じて監査証跡等により、変更の経緯が

説明で可能である旨が明記された。 22

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JPMA ICH-E6 Project

改訂内容(7-1) 5. SPONSOR

5.0 Quality Management

治験の品質を管理するために Quality Management System(QMS)が必要である旨が明記された。

品質保証及び品質管理のために使用する方法は、治験特有のリスク及び収集する情報の重要性と釣り合いの取れたものとし、不必要な複雑な手順やデータの収集を避けるべきである。治験実施計画書や、SOP等の業務手順書は簡潔明瞭で一貫しているべきである。また、QMSには Risk Based Approachを用いる旨などが明記された。

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JPMA ICH-E6 Project

改訂内容(7-2) 5. SPONSOR Risk Based Approach

Risk Based Approachの手法

を用いる旨が明記された。

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ICH Quality (Q) 9 Guidelines

Quality Risk Management

EMA, Reflection Paper on Risk-Based Quality Management in Clinical Trials, 2013

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改訂内容(7-3) 5. SPONSOR 5.0.1 Critical Process and Data Identification 〔重要なプロセスやデータを特定する〕 5.0.2 Risk identification 〔リスクをシステム(体制)レベル、治験レベルの両面で特定する〕 5.0.3 Risk Evaluation 〔エラーの発生確率、影響、検出可能な程度等を考慮し、リスクを評価する〕 5.0.4 Risk Control 〔リスクの軽減措置や許容範囲を決定する。また手順書等を整備し、役割分担の

明確化、必要な措置、トレーニング等を検討する〕 5.0.5 Risk Communication 〔品質マネジメント活動記録等を作成し、関係者間で共有する〕 5.0.6 Risk Review 〔最新の知識及び経験を利用し、定期的にリスクコントロールをレビューする〕 5.0.7 Risk Reporting 〔事前に定めた手法等をCSRに記載し、併せて重要な逸脱が生じた場合には、そ

の要約を文書として報告/記録する〕 25

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計画 実施 報告

Risk Based QM

臨床試験

• 重要なプロセス/データの特定

• リスクの特定/評価 • 許容範囲の決定 • リスク低減計画

重要なプロセス/データのモニタリング 総括報告書へ

の重要な逸脱の記載

原因分析

是正措置、予防措置 新たなリスク • 重大なリスクの発現 • 想定を逸脱した頻度 • 前提条件の変更

Issue

Risk based QMのイメージ

措置の有効性の確認

“計画”の改訂 PDCA サイクルの実行 (Issue

Managementの一例)

定期的なレビュー!

改訂内容(7-4)

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5.0.1 Critical Process and Data Identification 5.0.2 Risk identification 5.0.3 Risk Evaluation

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目的:< リスクの特定 > 重要なプロセス/データの特定 リスクの特定/評価

≪プロセスの例示≫

治験実施計画で重要なポイント 例) ・同意の取得 ・組み入れ基準/除外基準 ・中止基準(安全性/有効性) ・治験薬の投与 ・評価項目/評価方法

エラー発生時の影響 例) ・大きい ・中程度 ・小 ・許容範囲

発生する確率 例) ・大きい ・中程度 ・小

検出性&方法 例) 検出難易度 ・困難 ・中程度 ・容易

改訂内容(7-5)

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5.0.3 Risk Evaluation 5.0.4 Risk Control

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目的:< Action Planの策定>

特定されたリスクの検出方法 リスクの軽減活動

特定されたリスクの検出方法/箇所 例) ・同意の取得: 資料の閲覧 ・組み入れ基準/除外基準:登録票(データ)の確認 ・中止基準:EDC/Labo Data

モニタリング(監視)方法 例) ・On-site ・IT システム 〔例:EDC、IWRS 〕 ・Fax・メール

低減措置の決定 例) ・モニタリング ・手順書/マニュアルの整備

・トレーニング ・許容範囲の設定

事前準備 の完了

≪プロセスの例示≫

改訂内容(7-6)

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5.0.5 Risk Communication 5.0.6 Risk Review 5.0.7 Risk Reporting

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目的:< Planの実行とモニタリング(監視活動)>

適切にRiskの状況について関係者間でコミュニケーションを取り、情報を共有するために、記録が重要!

監視活動の開始 ・ On-site モニタリング

・ Centralized モニタリング

・ 他

Issueの確認 ・ Issueの発現状況 ・ 重大な逸脱 ・ 重要な逸脱 ・ データの確認

定期的 Riskの評価 例) 逐次評価 ・事前の予測値の越境 ・重大インシデントの発生 ・閾値の見直し ・新たな対応の必要性

モニタリング方法の変更 例) ・On-site 方法/回数 ・確認指標/頻度

最終的な評価 ・データの信頼性 ・Action Planの実行(完了)

最終報告書の作成および CSRの概要陳述

≪プロセスの例示≫

改訂内容(7-7)

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JPMA ICH-E6 Project

5. SPONSOR 5.2 Contract Research Organization (CRO) 治験依頼者は、治験依頼者が契約するCROが第三者に再委

託した業務を含め、治験依頼者に代わり遂行された、治験に

係わる全ての業務の監督を保証する旨が明記された。

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改訂内容(8)

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JPMA ICH-E6 Project

5.5 Trial Management, Data Handling, and Record Keeping

5.5.3(a)電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての治験依頼者の要件を満たしていることを保証し、文書化する(すなわちバリデーション)。 ADDENDUM 治験依頼者は、システムのバリデーションにおいて、当該シ

ステムの利用目的並びに当該システムが被験者の保護及び

治験結果の信頼性に与える影響を考慮した、リスク評価に基

づいたアプローチをとる旨が明記された。

31

黒字:オリジナル E6(R1)文書

改訂内容(9-1)

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5.5 Trial Management, Data Handling, and Record Keeping 5.5.3(b)これらのシステムを使用するための

標準業務手順書を整備する。 ADDENDUM 標準業務手順書の対象範囲にはシステムのセットアップ、インストール及び使用方法を含めるものとする。標準業務手順書はシステムのバリデーション及び機能テスト、データの収集及び取扱い、システムの維持管理、システムのセキュリティ対策、変更管理、データのバックアップ、復旧、危機管理計画並びにシステムの廃止を記載しなければならない。 これらのコンピューター化システムの使用に関する治験依頼者、治験責任医師及びその他の当事者の責任は明確に規定され、使用者にはシステムの使用に関するトレーニングが実施されなければならない。

32

黒字:オリジナル E6(R1)文書

改訂内容(9-2)

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5.5 Trial Management, Data Handling, and Record Keeping ADDENDUM 5.5.3(h)

背景、内容及び構成を説明するデータを含め、データの完

全性を保証する。この点は、ソフトウェアのアップグレード又

はデータの移行等、コンピューター化システムを変更する場

合に特に重要である。

33

改訂内容(9-3)

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5. SPONSOR 5.18.3 Extent and Nature of Monitoring 治験依頼者は、治験のモニタリング実施に当たり、体系的で優先順位を考慮した、リスクに基づくアプローチを策定する。 モニタリングの範囲及び方法は、モニタリングの有効性及び効率性を改善するさまざまなアプローチを許容され、治験依頼者はオンサイトモニタリング、オンサイト及び中央モニタリングの併用、又は、正当な理由がある場合、中央モニタリングのみのいずれかを選択することが可能となる。 治験依頼者は、選択したモニタリング戦略の根拠を文書化する(モニタリングプランへの記載)等が明記された。

34

改訂内容(10-1)

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5. SPONSOR 5.18.3 Extent and Nature of Monitoring (Centralized Monitoring) 時宣に即して実施される累積データの遠隔的な評価であ

り、適切に資格を有し、訓練を受けた者(データマネー

ジャー、生物統計専門家等)によってサポートされるモニタリ

ングである。また、オンサイトモニタリングを補完し、その範

囲及び(又は)頻度を削減し、信頼性のあるデータと潜在的

に信頼性のないデータとの判別を補助することでさらなるモ

ニタリングの可能性をもたらすものである旨が明記された。

35

改訂内容(10-2)

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5. SPONSOR 5.18.3 Extent and Nature of Monitoring (Centralized Monitoring) 中央モニタリング/データレビューの利用例 (a) 欠測データ、不整合データ、外れ値、予想外の変動の

欠如及び治験実施計画書からの逸脱の特定 (b) 治験実施医療機関内及び施設間におけるデータの範

囲、一貫性及び変動性等、データの傾向の分析 (c) 治験実施医療機関内又は施設間におけるデータ収集

及び報告の体系的又は重大なエラーの評価;又はデータ操作の疑い又はデータの完全性に関する問題

36

改訂内容(10-3)

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5. SPONSOR 5.18.3 Extent and Nature of Monitoring (Centralized Monitoring) 中央モニタリング/データレビューの利用例 (d) 治験実施医療機関の特性及び性能指標の解析 (e) オンサイトモニタリング実施対象の治験実施医療機関

及び(又は)プロセスの選択

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改訂内容(10-4)

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5. SPONSOR 5.18.6 Monitoring Report (e) オンサイト及び(又は)中央モニタリングの結果は、レビュー

及びフォローアップを実行できるように、適切な時期に治験

依頼者(監督責任を有する適切な管理者及びスタッフを含

む)に提出される。モニタリング活動の結果は、モニタリング

プランの遵守状況の検証に十分な詳細度で記録される。中

央モニタリング活動の報告は定期的に行い、通常の施設訪

問とは独立して実施してもよい。

38

改訂内容(10-5)

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5. SPONSOR 5.18.7 Monitoring Plan 治験依頼者は、被験者の保護及びデータの完全性に関す

る治験固有のリスクに応じたモニタリングプランを作成する。 モニタリングプランにて、モニタリング戦略、全ての関係当

事者のモニタリングの責任、使用する種々のモニタリング方

法及びその使用根拠が説明される。 モニタリングプランは、重要なデータ及びプロセスのモニタ

リングについても強調され、日常的な診療業務で実施しない

事項や、追加的なトレーニングを要する事項については特別

な注意が払われ、適用される指針や手順を参照するものと

する旨が明記された。 39

改訂内容(10-6)

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5. SPONSOR 5.20.1 Noncompliance 被験者保護又は治験結果の信頼性に重大な影響を与える、又は重大な影響を与える可能性のある不遵守が発見された際は、治験依頼者は根本原因を分析し、適切な是正・予防措置を講じる旨が明記された。

注:Noncompliance (不遵守): 従来の記載でも、治験実施計画書、標準業務手順書、GCPおよび(又は)適用される規制要件を遵守していない場合には、必要な措置を講じる旨は既に規定されている。

40

改訂内容(11)

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8. ESSENTIAL DOCUMENTS FOR THE CONDUCT OF A CLINICAL TRIAL 8.1 Introduction ADDENDUM 治験依頼者および治験責任医師/治験実施医療機関は、原資料を含む各文書の所在に関する記録を保持し、体系的に文書の識別、検索、入手ができるようにする。

治験の文書は、当該資料の重要性および関連性に応じて補完されなければならず、また、正当な理由があれば(治験開始前とする)削減することができる。

41

改訂内容(12-1)

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8. ESSENTIAL DOCUMENTS FOR THE CONDUCT OF A CLINICAL TRIAL 8.1 Introduction ADDENDUM 治験依頼者は、治験依頼者に対して報告される症例報告書データに関して、治験責任医師が管理権限を保持し、かつ、常にアクセス可能であることを保証する。治験依頼者がこれらのデータを独占的に管理してはならない。

複写物を元の文書(原資料、CRF等)の代わりとして置き換える場合、当該複写物は保証付き複写の要件を満たすものとなる。

治験責任医師/治験実施医療機関は、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師/治験実施医療機関が作成したすべての必須文書及び記録の管理権限を保持する。

42

改訂内容(12-2)

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本日の発表 1. ICHとは 2. ICH-E6(R2) 改訂の内容 3. Sponsor への影響 4. 日本の臨床試験への影響 5. まとめ

43

注意:医療機関の方々が、自ら治験を実施しようとする場合(いわゆる医師主導治験)およびICH-GCPを遵守して臨床研究を実施する場合には、製薬企業の立場と同様になると想定している。

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Sponsorへの影響(1) 既にガイドライン等が発出されているが、日本では対応が遅

れているプロセスや手順書などの作成等が盛り込まれている(例:Quality Management System(QMS), Risk Review, Centralized Monitoring documentation)。

これらの内容には、まだ馴染みが薄いプロセス等が有り、具体的なパイロット結果の情報公開や先行する海外での事例紹介が、日本での実行には不可欠と考えている。 特に、QMSについては、絶対的な指標が無いことから、実装に向けての体制整備に混乱が懸念される。

44

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Sponsorへの影響(2) Risk Based Approach(RBA)が提唱されてから、概念的

にRBAは広く知られているが、具体的な“手法”“指標” “Review”の具体性・妥当性について明確に示されたものが無く、各社が試験的に実施中の状態である。

事前に想定した基準と、実行後のReviewならびにMonitoringの結果の水準を受け入れ可能と判断する根拠(妥当性の判断基準)の設定に苦慮する。

RBAに関するノウハウに乏しいことや、信頼性を確保するうえでの妥当な水準、適切なアプローチ等の実例が少ない為に、試行錯誤している状態である。

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Sponsorへの影響(3) 従来は、Non compliance の扱いについて規制上で明確

に定義されておらず、「治験実施計画書等からの逸脱が確認された際は適切な措置を講じる」旨がGCPガイダンスには定義されている。Non complianceの収集、原因分析、改善策の策定から実行までの、全ての過程を記録する様に求められることとなり、相応の管理方針・具体的な管理体制等が必要となる。

体制的なアプローチのみならず、問題解決スキル、改善策や再発防止策の立案等の、従来は明確に求められていないスキルの習得も課題となる。

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Sponsorへの影響(4) Essential documentも “必須文書”ではなく、“治験の経

緯を再現するために必要となる文書”との意図がより明確に示されている。

そのため、併せて漫然とした文書保存ではなく、試験の規模等に応じた文書・記録の所在の確認/文書化から始まり、体系的アプローチとしたTMF*を意識した文書・記録の管理が求められると考えている。

*:Trial Master File (治験マスターファイル)の略で、単純な文書を保管/綴じ込んだファイルではなく、試験特有のファイリングルールを含めた計画的かつ具体的なルールに基づいた、文書のファイリングと考えている。

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本日の発表 1. ICHとは 2. ICH-E6(R2) 改訂の内容 3. Sponsor への影響 4. 日本の臨床試験への影響 5. まとめ

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社会的な背景 本邦における情勢 ICH-E6(R2):Step4 ⇒ GCPガイダンス等へ 臨床研究の法制化 次世代医療基盤の法制化 医薬品承認スキーム変更の議論

Global Wideの動き ICHの体制変更 GCP Renovation の議論活発化

臨床試験の複雑さの増加とそれに伴う労務や費用の増加が、試験関係者への負担となり、効率化が新たな課題となっている。

JPMA 臨床評価部会が注目している <ICH-E6(R2)研修会より>

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医療における規制の区分

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臨床研究

医薬品等の臨床研究 一般の医療 手術・

手技の 臨床研究 治験

(承認申請目的の医薬品等の臨床試験)

基準遵守義務 (GCP)

特定臨床研究 未承認・適応外の医薬品等の臨床試験

製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床試験

基準遵守義務 基準遵守義務(努力義務)

基準遵守義務 (努力義務)

医薬品医療機器等法 臨床研究法 医療法

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臨床研究の法制化 関係機関の基盤整備が具体的な課題

特定臨床研究実施に際し、医療機関の 体制整備

特定臨床研究における安全性情報の収集経路の確立 〔医療機関と企業の連携〕

特定臨床研究で得られたデータの利活用

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臨床研究法 附則 ≪第三条≫ この法律施行の際現に特定臨床研究を実施しているものが実施

する当該特定臨床研究については、この法律の施行の日(2017年4月14日)から起算して1年を経過する日までの間は、第四条第二項及び第五条第一項の規定は、適用しない。

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第四条 2 特定臨床研究を実施する者は、臨床研究実施基準に従ってこれを実施しなければならない。 第五条 特定臨床研究を実施する者は、特定臨床研究ごとに、次に掲げる事項を記載した特定臨床研究の実施に関する計画(以下「実施計画」という)を作成し、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に提出しなければならない。

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臨床研究法 附帯決議 一 何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けな

いとする国際人権規約の規定の趣旨を尊重し、臨床研究の対象者の保護に万全を期すこと。 また、臨床研究実施基準等において、研究者等による臨床研究の対象者の権利の尊重を明確に規定すること。

二 臨床研究実施基準の策定に当たっては、ICH-GCPやGMPに準拠することにより、臨床研究の一層の信頼性の確保に努めるとともに、国際的な規制との整合性を確保し、国際的な共同研究・共同治験の一層の推進に向けて取り組むこと。

三 医薬品、医療機器等の開発を推進するため、治験と臨床研究の制度区分と活用方法を明確化して、臨床研究を促進するとともに、臨床研究で得られた情報を、医薬品、医療機器等の承認申請に係る資料として利活用できる仕組みについて速やかに検討すること。

四 特定の認定臨床研究審査委員会に審査意見業務が集中することにより、審査意見業務の質や公平性、公正性が損なわれないよう、認定臨床研究審査委員会の運営環境の整備を図り、臨床研究の対象者の確実な保護に努めること。

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臨床研究法 附帯決議 五 臨床研究の対象者に健康被害が生じた場合の補償及び医療の提供が

適切に行われるよう、医薬品副作用被害救済制度についての周知徹底を図るとともに、同制度の対象とならない臨床研究について、健康被害が生じた場合に同制度に準じた補償が受けられるよう、必要な措置を検討すること。

六 研究過程の透明性を確保し、研究の進捗状況の把握や学術的解析を可能にするため、臨床研究実施基準において、臨床研究の概要、進捗状況及び結果を公的なデータベースに登録する旨を規定し、臨床研究の結果を含む情報の登録・公開要件等の拡充について検討すること。

七 学問の自由に配慮しつつ臨床研究の一層の信頼確保を図るため、研究資金等の提供に関する情報等の公表制度の実施状況を踏まえながら、本法の公表の対象外とされている情報提供関連費や接遇費等を公表の対象とすることについて検討すること。

八 研究者等の事前準備に遺漏や混乱を生じさせないよう、臨床研究実施基準の案については、できるだけ速やかに公表すること。

九 患者申出療養、評価療養として保険外併用療養費制度で行われている医療行為について、有効性・安全性等が確認されたものは引き続き保険収載に向けて必要な措置を講ずること。

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JPMA ICH-E6 Project

ICH-E6 QMS

外部との提携

Partnering

組織・ 体制

Risk Management

記録作成と保存

明確な プロセス

Process

Issue Management

QMS

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JPMAが考える Clinical Trial における QMSを支える

構成要素の例

<JPMA ICH-E6(R2)研修会より>

注意:医療機関の方々が、自ら治験を実施しようとする場合(いわゆる医師主導治験)、ICH-GCPを遵守して臨床研究を実施する場合等には、製薬企業の立場と同様になると想定している。

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組織・体制

組織と部署・個人の役割・責任の明確化 シニアマネジメント/経営陣のリーダーシップ 職務にあったトレーニングの実施・記録 クオリティに関する意識づけ(マインドセット) QC担当者だけでなく、ひとりひとりが品質に貢献しているという意識をもつ

意思決定機関・会議体の設置(必要最低限)

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JPMA ICH-E6 Project

組織・体制

品質のOversight

IssueのEscalation

シニアマネジメント/ 経営陣

各部門長

品質のOversight 監査部門

品質管理活動 各部署/QC担当部署

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外部との提携(Partnering)

治験依頼者あるいは臨床試験の実施者としてデータ等の品質に責任がある。 共同開発(共同研究) 両者の役割分担やSOPなどを明確にする。

CRO(SMO)/Vendor 〔業務委託先〕 オーバーサイトをどのようにするかあらかじめ決めておく必要がある。

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明確なプロセス クオリティ・スタンダードの設定(品質方針・目標) SOPの策定

役割・責任の明確化 分かりやすく、簡潔に記載 品質方針、品質目標に合致させる 遵守すべき要件(例えばGCP、薬機法、各社におけるポリシーなど)を網羅する

リスクを低減させる手順であるか SOP作成前に想定されるリスクを洗い出し、評価する 必要に応じてQC手順を追加する(またはQCのSOPを別途作成することも可能)

目的にあった詳細度で 59

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明確なプロセス スタッフへの周知

SOPの公開 新規SOPや改訂された場合の通知 SOP Training

SOPの定期的なレビュー (必要に応じて改訂)

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Risk Management <ICH Q9>

リスクレビュー

リスクアセスメント

リスク評価

リスクコントロール

リスク分析

リスク低減

リスク特定

事象レビュー

リスク受容

品質リスクマネジメントプロセスの開始

品質リスクマネジメントプロセスの アウトプット/結果

リスクマネジメント手法

リスクコミュニケーション

Quality Plan

リスクの特定

リスクの検出

リスクの分析

リスクの受容

リスクの評価

リスクの レビュー

ICH E6 5.0.1 重要なプロセス及びデータの特定 5.0.2 リスクの特定 5.0.3 リスクの評価 5.0.4 リスクのコントロール 5.0.6 リスクレビュー 5.0.5 リスクコミュニケーション 5.0.7 リスク報告 61

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Issue Management 1. Issueの収集・報告

2. Issueの分類

3. CAPAの作成および承認

4. CAPAの実行

5. CAPAの有効性レビュー

6. CAPAの終了(Closure)

Issue Managementの体制

記録の作成および保存

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記録作成と保存(含む電子記録)

保管すべき記録 GCP/各種規制要件で保管が定められている記録 各組織のSOPで保管が定められている記録 QMSがどのように評価されたか、または結果としてどのような対応をとったかを示せるもの 例えば、QC記録、監査記録、CAPA、リスクアセスメント、issue escalation等の記録

保管期間 各組織のポリシーに従う。但し、最低限GCPの定める期間

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ICH-E6 (R2) 8.1 ADDENDUM The sponsor and investigator/institution should maintain a record of the location(s) of their respective essential documents including source documents. The storage system used during the trial and for archiving (irrespective of the type of media used) should provide for document identification, version history, search, and retrieval. 治験期間中及び書庫保管(使用する媒体を問わない)に使用される保管システムは、文書の識別、版履歴、探索及び取得に関する機能を有しなければならない。

記録の作成・管理・保存を体系的に管理し、監督すること(レコードマネジメント)が重要!

記録作成と保存(含む電子記録)

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再考しなければならないこと 臨床試験に求められるQuality Management System(QMS) の理想的なゴールの全体像をイメージし、 既にGCPで規定されていて適切に実行されている要素を明確

にする 自らの組織等に欠けている要素ならびに改善が必要な要素を

明確にする ⇒ ギャップの自覚 ギャップを分析し、

重要度 組織/規模の最適化 技術・ITシステム・予算 等を考慮して優先順位を付し、対応順位を決定する

GCP施行時までに組織・体制を構築する必要がある 65

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GCP Renovation 臨床試験の試験体系と医薬品開発体系を包括的に再検討するため、その考え方案をReflection Paperとして意見公募

<Renovation案とは…> • ICH-E8 (臨床試験の一般指針)を見なおし、ICH-E6 を改修 • ICH-E6 を 適用する試験体系を、Annex1~3 に区分

Therapeutic Exploratory

Human Pharmacology

Therapeutic Use

Therapeutic Confirmatory

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Phases

• 研究の種類やデータソースの多様化に対応するために、適切かつ柔軟な最新のガイドラインに

• 人間の被験者保護およびデータ品質の根底にある原則は変わらない

• 目的・状況と多様な研究方法に則し、フレキシブルな基準を提供

Study Unit

Proof of concept study

Pre Clinical study Small

size Clinical study

(i.e. special population)

Large size

Clinical study

Epidemiology study

=目的に応じて試験を組み合せ、試験の基準を設定

• 被験者保護

• データ信頼性

Clinical Pharmacology

study

【概念イメージ】

<JPMA 臨床評価部会長 近藤氏 ICH-E6(R2)研修会より 一部改変> 66

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従来行われてきた(実地)モニタリング

エラー エラー エラー エラー エラー エラー

不備 逸脱 不備

モニタリング モニタリング

起きてしまったエラーや逸脱がないか,事後的にチェック CAPAのCA(きゃ)=是正措置 に主眼 同種の問題も発生しやすい(その施設だけでなく他の施設でも) 品質確認作業のメリハリも十分でない Critical data vs. Non-critical data モニタリングコストもとんでもない

このような質の管理技術を「出口管理」 「検査重点主義」という

<JPMA データサイエンス部会長 小宮山氏 ICH-E6(R2)研修会より > 67

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GCP Renovation ~2020年代前半?

品質管理の歴史

「出口管理」 検査重点主義 プロセス管理 Quality

by Design

できた不良品をはじく 厳格な出荷検査, 受け入れ検査が中心

事後的な検査を不要 にするための活動 プロセス管理を前提とした

設計の良さ

Risk-based Monitoring 従来のモニタリング

ICH GCP(R2)

<JPMA データサイエンス部会長 小宮山氏 ICH-E6(R2)研修会より > 68

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本日の発表 1. ICHとは 2. ICH-E6(R2) 改訂の内容 3. Sponsor への影響 4. 日本の臨床試験への影響 5. まとめ

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まとめ ICH-E6(R2)対応に際して 治験のみを実施する医療機関の方々に影響は大きくない。 しかし、医師主導治験等各種の臨床試験を実施する際には 非常に影響が大きい。 臨床試験に対するQuality Management System(QMS) を

構築する必要がある − System として明確に体制を構築する必要があるが、個々の医療機

関の規模に応じて状況が大きく異なる − Risk Based Approachを実施する経験が豊富でない

体制構築の要件が現時点では、まだ明確でないが、体制整備には時間を要するため、出来るところから着手する

データを創出するプロセスが個人に依存しているケースがあり、 プロセスの統一や個人に依存しない管理体系が客観的指標等により制御される必要がある

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より良い医薬品をより早く 患者さんのもとに

ご清聴ありがとうございました。