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© PASCO CORPORATION 2013インフラ・イノベーション研究会 2013年10月17日
防災対策とICTの活用
空間情報活用の現状と課題
インフラマネジメント事業部 坂下 裕明http://[email protected]
平成25年10月17日
© PASCO CORPORATION 2013 インフラ・イノベーション研究会 2013年10月17日- 1 -
空中写真測量の原理空中写真測量の原理
測量事業 今は地理空間情報DB構築並びに活用事業
マルチラインセンサ フレームセンサ 航空レーザ 熱センサ スペクトルセンサ
航空機センサ ・・・可視光赤外領域から短波長赤外領域までをカバー
測位インフラ
GPS衛星
電子基準点網地上センサ
地上レーザ 路面センサ
GPS/IMU(位置と傾きを検出)
GPS受信機
多様なセンサから得られたデジタル情報を「データ・フュージョン」により地理空間情報データベースを構築
2枚の空中写真が重なる部分が立体的に見える
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地理空間情報を活用した事業展開
地理空間情報コンテンツ提供
■コンテンツ販売
画像 地図 3Dモデル
■ASP配信サービス
GISアプリケーション提供
■ 公共団体向け統合型GIS法定業務支援
■ 民間企業向けマーケティングロジスティックス
建設コンサルタント
■ 自然災害調査・防災計画■ 環境調査・解析・アセスメント■農業(食味解析)
■ ユビキタス
地理空間情報整備ほとんどは公共セクタによるもの
(内、3分の2は地方自治体による法定図書としての地図整備)
都道府県
33%
市町村
32%
民間
11%国
24%
発注機関別測量業務受注金額(2005年度,全測連調査による)
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パスコが目指す災害モニタリング■ 広域エリアの情報を3D観測し、データ化
■ 昼夜を問わず、国土を迅速に観測し、データ化
■ 狭域エリアの情報を、高精度に観測し、データ化
■ 様々なセンサから得られたデータを即座に分析、可視化し、提供
■ 被災地における即時 データ中継・処理機能
統合化された社会システムを構築し、
3時間以内の情報提供を目指す
日本の技術を世界の防災対策へ
衛星の受信・処理地上受信網の拡充
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東日本大震災での対応
震災発生直後から、弊社では衛星、航空機等を活用して、情報の収集を開始しました。収集した情報は、公的機関に提供するとともに公開しています。その際、過去の統計情報やアーカイブ情報が非常に役に立っています。
3/11 3/18 3/25 4/1
航空機による被災地の撮影を実施
MMSよる被災地の撮影を実施
合成開口レーダ衛星(TSX)による、津波浸水域の継続監視を実施
ヘリによる被災地の撮影を実施
津波浸水想定区域図
津波被災状況図
被災状況判定図
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国土地理院緊急撮影
3月12日・13日には、国土交通省国土地理院との災害協定(測量調査技術協会)に基づき、弊社では仙台、石巻地域の空中写真撮影を実施しました。
撮影成果は地理院HPにて公開中
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速報:TerraSAR-Xによる撮影
震災発生直後に撮影を計画し、13日の早朝撮影、同日夕方には仙台平
野周辺の津波被害状況図を作成し、国土交通省をはじめとした公的機関に配布すると同時にHP上で公開しています。
アーカイブ画像と比較し被災地を抽出
3月13日から15日にかけての撮影範囲
3月13日に公表した津波の被害判定図
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速報:推定浸水範囲の抽出
3月13日撮影のTerraSAR-X画像と、2010年10月21日のアーカイブデータ用いて、想定浸水範囲を抽出しました。
仙台市沿岸部および
東松島市の浸水範囲
福島県北部の浸水範囲
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速報:海上浮遊物の抽出
3月13日撮影のTerraSAR-X画像から海上の浮遊物を判読しました。津波の影響でがれき等が海上に浮遊している様子がわかります。
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監視:推定湛水区域の抽出
TerraSAR-Xの撮影成果から、津波による推定湛水区域(水が残る範
囲)の自動抽出を試行しました。3月13日から5回の撮影を行い、抽出しました。
3月13日と15日
の比較 3月13日と15日、
16日の比較3月13日と24日
の比較
3月13日と24日、
4月4日の比較
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判読:浸水区域の判読
World View-1・2、RapidEye、ALOS、Spot5、EROS-B、TerraSAR-Xといった災害時に撮影された衛星画像より、青森県~茨城県沿岸の推定浸水区域を判読しました。
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分析:推定浸水域におけるガラ量の推計
住宅地図の家屋形状を推定浸水範囲によって抽出し、推定浸水範囲内の建物棟数・面積からガラ量を推計しました。
【ガラ量の推計方法】津波想定浸水域に含まれる建物より150㎡未満の建物を抽出し、標高別に倒壊率を設定。建物1棟当たりのガラ量を平米あたり300kg/㎡として算定することで全体総量を算定しました。
推計ガラ量約3,634,163トン
参考:6月21日の内閣府では、3県で2260万㌧と発表された。
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分析:浸水建物推計地図(県別)
家屋形状を推定浸水範囲によって抽出し、推定浸水範囲内の建物棟数・面積からガラ量を推計しました。
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情報化と分析:福島第一原発周辺・ ステレオ撮影画像からの三次元図化・ 高分解能衛星画像から1/5,000レベル
福島第1原発周辺
© DigitalGlobe, Inc., All Rights Reserved.
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分析:電子基準点変位量を用いた地盤沈下推定
電子基準点の移動量(地理院提供)を利用し、高さ方向の変位量を補間(クリギング)して推定しました。仙台平野の推定地盤沈下量を図化し、国土交通省河川局に参考図として提供しました。
震災前レーザー計測による
基盤地図情報
震災後(想定)海抜0m以下の濃い
青が増えている
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詳細:航空写真自社撮影
飛行規制が解除された3月下旬からは岩手県、宮城県を対象に、自主的な撮影を行い、情報を提供しています。
なお、福島原発周辺は、H25年2月5日に半径3Km以内は高度5000ft制限にまで緩和されています。 (これまでの経緯)
平成23年3月15日 半径30km圏内上空は飛行禁止5月31日 飛行禁止区域を半径20kmに縮小9月30日 20-30Kmの緊急時避難準備解除
平成24年2月24日 飛行禁止区域を半径3km圏内に縮小
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詳細:MMSによる情報収集
緊急対策が実施されるに従い、より詳細な情報が求められるようになりました。高精度GPSなどを活用したMMSによる情報収集も行っています。
MMS撮影画像 IPC撮影画像
PADMS Viewerによる処理画面© PASCO CORPORATION 2013 インフラ・イノベーション研究会 2013年10月17日- 17 -
詳細:ヘリ撮よる高解像度パノラマ写真
弊社が開発したシステムでは、どこから撮影したのか、どこを撮影したのかが情報として記録されるため、撮影直後に状況を確認することが出来ます。
女川町(3月29日撮影) 宮古市(4月7日撮影)
ヘリ撮システム3月下旬から、岩手県、宮城県の津波浸水区域を中心に情報を収集し、公的機関に提供しています。
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参照:国土交通省 「インドネシアにおける天然ダム決壊の規模は我が国の戦後最大規模の天然ダム決壊」 (平成25年8月5日報道発表)
海外の事例(インドネシアの天然ダムの決壊)
2012年7月 インドネシア共和国 アンボン島で発生した天然ダムの決壊監視事例
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新しい空間情報の取得手法と利活用
MMS(Mobile Mapping System)オブリークカメラ
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MMSの概要(システム構成)Mobile Mapping System(モービルマッピングシステム)
– 3台のGPS、IMUとオドメトリ(距離計)を搭載、正確な位置姿勢算出
– FKP方式によるGPS補正(面補正)で、位置精度を向上
– 画像データと3次元レーザ点群データを取得し、正確に重畳
⇒ 道路空間情報を的確に把握するシステム
三菱MMS TypeX 640
画像データと3次元レーザ点群データ
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画像による路面確認
MMS 道路付属物や路面の確認道路施設現況調査
照明灯の位置特定
道路標識の位置・種類特定
5.10m標識の高さ計測
GRの位置特定
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MMS 道路管理者用のシステム構築
計測データの閲覧・利用
道路GIS
MMSデータ
相互連携!
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PHM-COV-PJ2.2
空間情報インフラ(道路のイメージ:安全運転支援)
MMSの成果から車道の3次元空間情報を作成し、車載カメラと重畳した例
3次元空間の適用(構想)
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オブリークカメラ 3Dモデルによる空間計測へ航空機による斜め撮影では、写真測量により精度管理され、三次元計測が可能な3Dモデルの生成ができます。これにより従来の2.5Dとは異なり、計測値に基づいた、対象物の座標の特定、体積や距離の算出が可能となり3Dの様々な可視化表現が可能となります。
建物の体積計算 各地点の3次元座標計測 3次元での距離計測
規制・基準等の高さを可視化断面取得地形解析表現© PASCO CORPORATION 2013 インフラ・イノベーション研究会 2013年10月17日
オブリークカメラによる撮影と3Dモデル作成オブリークカメラによる撮影:
直下視(NaDir)に加えて、複数の斜め方向視(Forward、Backward、Left、Rightなど)を同時にシャッターを切ることで、膨大なラップ撮影(マルチレイ画像)の取得が可能となります。
Nadir53mm
Right 35°53mm
Left 35°53mm
Backward 35°53mm
Forward 35°53mm
自動処理による3Dモデル作成:
空中三角測量にあたる作業工程を経て正確な座標値(X,Y,Z)を取り出し、ステレオペア作成、点群抽出、TINモデル生成、テクスチャー画像の生成を自動処理が可能です。
点群(ノイズ除去前) 点群(ノイズ除去後) TIN TIN(簡素化後) テクスチャー生成後
オブリークカメラの例※レベル500の精度での公共
測量が可能なよう地上解像度は8cm以上とします。
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複数のセンサ撮影による斜め撮像データ取得
Nadir51mm
Forward 45°80mm
Backward 45°80mm
Left 45°80mm
Right 45°80mm
航空機オブリーク撮影 ヘリコプター斜め撮影 車両搭載MMS計測
デジタル
カメラ撮影
レーザ計測
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活用イメージ
【固定資産】
【3Dモデルの利点】3Dモデルによる建築物形状の計測や、形状変化の分析既存のCADデータとの差分の比較を行うことにより、家屋の経年変化の判読が可能となります。
【都市計画】
【現状と課題】経年移動家屋判読調査では、航空写真を利用し、広範囲にわたって家屋の増改築を目視で判読する必要があります。
【現状と課題】都市計画を行うには、公園整備、住宅造成、緑化計画などから各インフラの相互関係を適切に保つ必要があります。
【3Dモデルの利点】三次元座標を持つ3Dモデルに、現存しない建築物を設計図面から取り込むことで、より現実に近い景観や日当りなどのシミュレーション行うことが可能となります。
インフラ整備
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活用イメージ
【水害ハザードマップ】
【3Dモデルの利点】・3Dモデル上で豪雨などに伴う、危険水位到達までの時間、浸水範囲、浸水の高さの予測などが可能となります。
・3Dモデルでは高さなども考慮した階上への非難など、災害時の適切な避難経路情報の提供に活用できます。
【土砂崩落箇所判読】
【3Dモデルの利点】・3Dモデルから詳細などの地形情報が把握できることから、地形の傾斜量・起伏量の詳細な計測が可能となります。
・傾斜量や起伏量と、周辺家屋の分布、形状、高さなどから、急傾斜地等の土砂崩壊の被害予測や災害前後の差分を活用した判読に活用できます。
災 害 対 応
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まとめ
• 東日本大震災では地理空間情報が活用され、また復旧・復興に活用されています
• しかし、もっと多くの関係者に有効な情報を適切なタイミングで提供することで、さらに活用できるはずだと考えています
• 今回感じた課題
– 緊急時の対応の制度設計
– アーカイブ情報の収集と公開
– 解析や分析技術の開発
• 今後予想される東海、東南海、首都直下等の大規模震災に備え、様々な検討が進むことを期待しています
© PASCO CORPORATION 2013 インフラ・イノベーション研究会 2013年10月17日
ご参考:中央防災会議資料
•南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ最終報告(平成25年5月)より
– 発災直後は、停電、通信の途絶、交通寸断、自治体等行政機関の被災等により、超広域にわたる被害の全体像を速やかに把握することは非常に難しい。的確な応急活動の展開のため、航空写真や衛星写真から概略の被災状況を把握するシステム開発等を推進すべきである。
– 航空機や夜間も飛行可能なヘリコプターの利用体制の充実、暗視カメラ画像や衛星等による合成開口レーダ画像、災害用ロボット、衛星通信等の活用により、夜間、悪天候や山間地等の悪条件下での情報収集体制を充実させる必要がある。
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http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg/pdf/20130528_honbun.pdf