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ブリッジ・ミュートをしながら、パワー・コードを オルタネイトで弾くのは意外に大変だ。慣れてい ないとアップ・ピッキングで詰まってしまうことがあ る。これを避けるためには、P.33 で紹介したよ うに弦にピックを埋め込む感じで弾くと良いだろ う。この時に“2本の弦を弾く”というより、“2本 を 1 本の太い弦として弾く”イメージでピッキング すると良い (図 1-a) 。ただし、アップ時には少し 注意が必要だ。ダウン後のピックは弦に埋まって いるが、このまま普通にアップすると1本弦のみが はじかれ、2 本目の弦にピックが当たらない (図 1-b) 。そこでダウン後は、埋め込まれたピックを 利用し、エグる感じでアップする (図 1-c &写真 ①&②)) 。少しピックを持つ力を緩めて、ピック をしならせるように弾けば良いだろう。 アップ・ピッキングは、エグるような感覚で行なうと良い。 アップ直後も、しっかりとブリッジ・ミュートを行なうこと。 アップ・ピッキングは エグる感じで行なうこと! このフレーズには、2 本弦の空振りが登場す るので、アップによる 2 本弦の空振りを覚えな くてはいけない。図2 は1小節目1拍目のピック の軌道を表している。最後の部分が空振りと なっているが、2本の弦をまたぐため、その軌道 は他のピッキングのような直線ではなく、放物線 のようになっている点に注目してほしい。この一 連の動作は、 “直線ダウン・ピッキング→エグるアッ プ・ピッキング→直線ダウン・ピッキング→放物線 アップ空振り”として、右手に覚え込ませよう。 このフレーズの残りの部分は、この“ダウン&アッ プ”と“ダウン&空振り”の組み合わせが変わっ ているだけなので、右手の振り自体で悩むこと は少ないはずだ。左手が激しく移動する箇所 で、リズムがズレないように注意しよう。 アップの空振りは 放物線のような軌道で! ギタリストは、さまざまな筋肉を駆使してギター を演奏している。 特にヘヴィメタル系ギタリスト は、激しいステージングを行なうので、驚異的な 筋力が必要だ。身体を鍛えていない人には、ザッ ク・ワイルドのように重いレス・ポールを極太の 鎖のストラップで肩から提げて大股開きで弾くこ とや、スリップノットのように“腰曲げ90度体勢” で弾き続けることはできないだろう。だからと言っ て、むやみやたらに筋肉を鍛えてもいけない。“お まえたちはダウン・ピッキングが弱いから、腕立 て伏せ100回だ!”という昭和スポ魂アニメのよ うな鍛え方は間違っている(写真③) 。筆者の 行きつけの“鍼治療”の先生から“ギタリストは、 一般の人の身体とはまったく異なる筋肉のつき方 をしている”と聞いたことがある。つまり“ダウン・ ピッキングを弾くために必要な筋肉は、ダウン・ ピッキングを弾くことで養われる”のだ。そのた め超絶ギタリストを目指す者は、速弾き以外には ほとんど使われることがない高速ピッキング&フィ ンガリング力=“メタル筋”を鍛え上げることが 大切だと言える。ただ、前述の“鍼治療”の 先生から“適度な筋力トレーニングは、メタル筋 の周りも鍛えられるので、メタル筋を助ける効果 もある”そうだ。自宅にこもって速弾き練習ばか りをするのではなく、適度な運動をしてみるのも オススメだ。 超絶ギタリストを目指すなら、メタル筋を育てよ! ~コラム 9 ~ このようなスパルタ的筋力トレーニングを行なったところ で、“メタル筋”が鍛えられるわけではない!

~コラム9~ 超絶ギタリストを目指すなら、メタル筋 ... - …ブリッジ・ミュートをしながら、パワー・コードを オルタネイトで弾くのは意外に大変だ。慣れてい

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  • ブリッジ・ミュートをしながら、パワー・コードをオルタネイトで弾くのは意外に大変だ。慣れていないとアップ・ピッキングで詰まってしまうことがある。これを避けるためには、P.33 で紹介したように弦にピックを埋め込む感じで弾くと良いだろう。この時に“2本の弦を弾く”というより、“2本を1本の太い弦として弾く”イメージでピッキングすると良い(図 1-a)。ただし、アップ時には少し注意が必要だ。ダウン後のピックは弦に埋まっているが、このまま普通にアップすると1本弦のみがはじかれ、2本目の弦にピックが当たらない(図1-b)。そこでダウン後は、埋め込まれたピックを利用し、エグる感じでアップする(図 1-c&写真①&②))。少しピックを持つ力を緩めて、ピックをしならせるように弾けば良いだろう。

    アップ・ピッキングは、エグるような感覚で行なうと良い。 アップ直後も、しっかりとブリッジ・ミュートを行なうこと。

    アップ・ピッキングはエグる感じで行なうこと!

     このフレーズには、2本弦の空振りが登場するので、アップによる2本弦の空振りを覚えなくてはいけない。図 2は1小節目1拍目のピックの軌道を表している。最後の部分が空振りとなっているが、2本の弦をまたぐため、その軌道は他のピッキングのような直線ではなく、放物線のようになっている点に注目してほしい。この一連の動作は、“直線ダウン・ピッキング→エグるアップ・ピッキング→直線ダウン・ピッキング→放物線アップ空振り”として、右手に覚え込ませよう。このフレーズの残りの部分は、この“ダウン&アップ”と“ダウン&空振り”の組み合わせが変わっているだけなので、右手の振り自体で悩むことは少ないはずだ。左手が激しく移動する箇所で、リズムがズレないように注意しよう。

    アップの空振りは放物線のような軌道で!

     ギタリストは、さまざまな筋肉を駆使してギターを演奏している。特にヘヴィメタル系ギタリストは、激しいステージングを行なうので、驚異的な筋力が必要だ。身体を鍛えていない人には、ザック・ワイルドのように重いレス・ポールを極太の鎖のストラップで肩から提げて大股開きで弾くことや、スリップノットのように“腰曲げ90度体勢”で弾き続けることはできないだろう。だからと言って、むやみやたらに筋肉を鍛えてもいけない。“おまえたちはダウン・ピッキングが弱いから、腕立て伏せ100回だ!”という昭和スポ魂アニメのような鍛え方は間違っている(写真③)。筆者の行きつけの“鍼治療”の先生から“ギタリストは、

    一般の人の身体とはまったく異なる筋肉のつき方をしている”と聞いたことがある。つまり“ダウン・ピッキングを弾くために必要な筋肉は、ダウン・ピッキングを弾くことで養われる”のだ。そのため超絶ギタリストを目指す者は、速弾き以外にはほとんど使われることがない高速ピッキング&フィンガリング力=“メタル筋”を鍛え上げることが大切だと言える。ただ、前述の“鍼治療”の先生から“適度な筋力トレーニングは、メタル筋の周りも鍛えられるので、メタル筋を助ける効果もある”そうだ。自宅にこもって速弾き練習ばかりをするのではなく、適度な運動をしてみるのもオススメだ。

    超絶ギタリストを目指すなら、メタル筋を育てよ!~コラム9~

    このようなスパルタ的筋力トレーニングを行なったところで、“メタル筋”が鍛えられるわけではない!