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JPEC レポート 1 平成 27 10 5 IMOSOx規制強化による船舶用燃料への影響(1) 世界的な海洋汚染の防止は、 IMO (国際海 事機関、International Maritime Organization国際連合の専門機関の一つ) が中心となって取り組んでいる。 IMOは、1983年に発効した国際条約を核 として、船舶から排出される大気汚染物質の 排出規制に関しての関係規則が2005年に発 効し、10年が経過している。規制発効後は、 段階的に排出規制値は引き下げられており、 世界的に高硫黄船舶用燃料を低硫黄化する 動きが活発化している。 20151月からは、ECAEmission Control Areas)といわれる一部の海域(詳細は 後述)では、硫黄分0.1%以下という厳しい規制値が適用されている。また、ECA海域を 除く、世界の一般海域でも、2020年(または2025年)以降には規制値が大幅に引き下げ られる予定である。 日本船主協会の統計によると、 2012末時点での世界の商船船腹数(100総トン 以上)は、約10.5万隻(約10.8億総トン) である(図1参照)。前記 隻数および船腹 数は、 1950年以降 毎年増加し続けている。 なお、日本籍商船の船腹数(100総トン以 上)は、約5,500隻(約1.9億総トン)で、 世界12位である。統計上の商船の定義は、 貨物船、旅客船、漁船、調査船および作業 船などの船舶をいう。 今回は前編として、IMOの硫黄酸化物 SOx)規制の対応およびが船舶用燃料に 及ぼす影響を報告する。 2 2 2 0 0 0 1 1 1 5 5 5 1 1 1 7 7 7 1 マルポール条約の概要 2 1-1 マルポール条約 2 1-2 附属書Ⅵの SOx 規制の概要 2 1-3 SOx 地域規制の概要 4 1-4 SOx 規制への対応方法 5 2 船舶用燃料油 10 2-1 船舶用燃料油の需要 10 2-2 船舶用燃料油の概要 11 2-3 船舶用低硫黄燃料の製造方法 12 2-4 ハイブリッド低硫黄燃料 14 3 前篇まとめ 16 1 世界の商船船腹内訳(2012 年) (出所:日本船主協会 統計より) 商船船腹数 100,504

IMOのSOx規制強化による船舶用燃料への影響 1 · jpec レポート 2 1. マルポール条約の概要 1-1 マルポール条約 imoは、171加盟国と3準加盟国で現在構成され、日本も1983年3月に加盟している。

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1

平成 27年 10月 5日

IMOのSOx規制強化による船舶用燃料への影響(1)

世界的な海洋汚染の防止は、IMO(国際海

事機関、International Maritime

Organization、国際連合の専門機関の一つ)

が中心となって取り組んでいる。

IMOは、1983年に発効した国際条約を核

として、船舶から排出される大気汚染物質の

排出規制に関しての関係規則が2005年に発

効し、10年が経過している。規制発効後は、

段階的に排出規制値は引き下げられており、

世界的に高硫黄船舶用燃料を低硫黄化する

動きが活発化している。

2015年1月からは、ECA(Emission Control Areas)といわれる一部の海域(詳細は

後述)では、硫黄分0.1%以下という厳しい規制値が適用されている。また、ECA海域を

除く、世界の一般海域でも、2020年(または2025年)以降には規制値が大幅に引き下げ

られる予定である。

日本船主協会の統計によると、2012年

末時点での世界の商船船腹数(100総トン

以上)は、約10.5万隻(約10.8億総トン)

である(図1参照)。前記 隻数および船腹

数は、1950年以降 毎年増加し続けている。

なお、日本籍商船の船腹数(100総トン以

上)は、約5,500隻(約1.9億総トン)で、

世界12位である。統計上の商船の定義は、

貨物船、旅客船、漁船、調査船および作業

船などの船舶をいう。

今回は前編として、IMOの硫黄酸化物

(SOx)規制の対応およびが船舶用燃料に

及ぼす影響を報告する。

JJJPPPEEECCC レレレポポポーーートトト 222000111555 年年年度度度 第第第 111777 回回回

1 マルポール条約の概要 2

1-1 マルポール条約 2

1-2 附属書Ⅵの SOx 規制の概要 2

1-3 SOx 地域規制の概要 4

1-4 SOx 規制への対応方法 5

2 船舶用燃料油 10

2-1 船舶用燃料油の需要 10

2-2 船舶用燃料油の概要 11

2-3 船舶用低硫黄燃料の製造方法 12

2-4 ハイブリッド低硫黄燃料 14

3 前篇まとめ 16

図 1 世界の商船船腹内訳(2012 年)

(出所:日本船主協会 統計より)

商船船腹数

100,504隻

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1. マルポール条約の概要

1-1 マルポール条約

IMOは、171加盟国と3準加盟国で現在構成され、日本も1983年3月に加盟している。

IMOの船舶からの海洋汚染防止に関するルールは、マルポール条約(MARPOL 73/78、

73/78:1973年に採択され1978年に発効という意味)として知られる「船舶による海洋汚

染の防止のための国際条約」に盛り込まれている。同条約は、「海洋汚染防止条約」と呼

ばれることもあり、国際海運分野での船舶の航行や事故による海洋汚染の防止を目的に、

有害物質や大気汚染物質の排出規制のほか、様々な環境規制が導入されており、国際条約

と議定書から構成されている。

MARPOL 73/78 条約 附属書Ⅵ(2005 年発効)は、400 総トン以上の全ての船舶から

排出される大気汚染物質に適用され、船舶から排出される SOx、PM(Particulate Matter、

粒子状物質)および窒素酸化物(NOx)排出規制を想定している。なお、同条約は、海

洋における規制であり、ライン川のような国際河川での船舶運航には適用されない。

SOx は、舶用ディーゼル機関において硫黄含有燃料油を燃焼することにより発生する。

SOx は、大気汚染および酸性雨の原因物質となる。SOx 対策としては、後述する低硫黄

燃料油への変更またはLNG などの硫黄分を含まない燃料への転換が必要となる。

PM は、舶用ディーゼル機関において高硫黄燃料油を燃焼することにより発生する。

PM は、大半が硫酸塩とその結晶水から生成することが分かっており、現状では硫黄分

規制によりPM 低減が達成できると考えられている。

NOx は、舶用ディーゼル機関での燃料の燃焼により発生する。物質が燃焼する時に、空

気中の窒素が酸化されることにより必ず発生する物質であり、燃焼温度が高温になれば

なるほど多量に発生する。なお、今回の報告では、同条約のNOx規制に関しては紙面の都

合上取り上げない。

1-2 マルポール条約 付属書ⅥのSOx規制の概要

マルポール条約 附属書Ⅵでの規制は、400 総トン以上の全ての船舶(洋上固定の掘削

リグおよびプラットフォームを含む)に適用される。同規制の適用は、マルポール条約

締結国を旗国とする船舶、条約締結国の管轄権が関与する航海に従事する船舶に行われ

る為、幅広い影響を有している。

SOx 規制は、ECA 海域および一般海域(ECA 海域以外)に分けて規制が行われてい

る(図 2、図 3 参照)。なお、ECA 海域とは、マルポール条約 附属書Ⅵで適用された船

舶からの大気汚染物質の規制海域をいう。同海域では、各国が SOx、PM、NOx を任意

の組み合わせで、一般海域より一段と厳しい規制を設定できるようになっている。

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3

現在設定されているECA 海域は、下記 4 海域が指定されている(図 4 参照)。なお、

ECA 海域以外の世界の大半を占める海域は、一般海域と呼ばれている。

【ECA 4 海域と指定汚染物質】

① バルト海周辺海域(SOx)

② 北海周辺海域(SOx)

③ 米国(含むハワイ)とカナダ沿海部の 200 海里内の北米海域(SOx 、PM、NOx)

④ プエルトリコと米領ヴァージン諸島を含むカリブ海海域(SOx 、PM、NOx)

2015 年 1 月からECA 海域では、運航する 400 総トン以上の全ての船舶は、燃料油(主

機エンジン、発電機用エンジンおよびボイラーに使用)の硫黄分を従来の1.0%以下から、

0.10%以下の燃料油の使用が義務付けられている。なお、後述のように低硫黄燃料使用の

図 3 ECA海域

図 2 ECA海域の硫黄分規制推移

(JPECにて作成)

図3 一般海域の硫黄分規制推移

(JPECにて作成)

(単位:%)

(単位:%)

(注意)2018年の規制開始決定会議において、2025年に変更される可能性あり

プエルトリコ、米領ヴァージン諸島

ハワイ諸島

バルト海

北海

図 4 ECA海域 (出所:IEA Reportより)

(単位:wt%) (単位:wt%)

北海 バルト海

ハワイ

プエルトリコ 米領ヴァージン諸島

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4

代替手段としてExhaust Gas Cleaning System(EGCS:排ガス洗浄システム) による、

排ガス中の SOx 排出量削減などの方法が認められている。

一般海域(ECA 海域を除く)では、IMO による燃料硫黄分の規制値は、2012 年 1 月

に 3.5%になり、2020 年以降は 0.5%へと強化される予定である。しかしながら、IMO で

は、2018 年までに「硫黄分 0.5%以下の燃料の利用可能性」に関して調査を行う予定であ

る。この調査の結果次第(低硫黄分燃料の供給に問題があると判断された場合)では、

2025 年に規制開始時期が先送りされる可能性がある(図 2 参照)。

1-3 SOx地域規制の概要

マルポール条約による規制に加えて、EU および米国など独自の基準による地域規制が

いち早く導入されている国や地域がある。

・ EUでは、船舶燃料油に含まれる硫黄分の規制を1999年に導入し、当初は留出燃料

油のみに規制が適用されたが、2005年からは残渣燃料油にも規制が拡大されている。

EUのDirective(指令)ではIMOによる要求を上回る項目もある(表1参照)。

2010年1月より陸上からの電力供給なしに、2時間を越えてEU域内で停泊する船舶

は、燃料硫黄分濃度が0.1%に制限されている。また、IMO規制では、一般海域の規

制強化は2025年まで延長される可能性があるが、EU規制では2020年1月1日より燃

料油硫黄分0.50%の上限値が適用される。

トルコ(EU非加盟国)でも自国の港湾において、EUと同様の要求事項を実施し

ている。このように、新たに規制が強化されたECA海域内は当然として、同海域外

のEU域内であっても各国の独自規制に注意が必要である。

地理的エリア

全船のSOx 上限 旅客船のSOx 上限※ EU域内諸港着桟中

船舶のSOx上限

3.50% 1.50% 0.10%

(2014年6月18日以降) (2020年1月1日まで) (但し、陸上電源を利用している場合及び着桟が2時間未満の場合を除く)

0.50% 0.50% 0.10%

(2020年1月1日以降) (2020年1月1日まで) (上記同様の条件適用)

1.00% 1.00% 0.10%

(2014年12月31日まで) (2014年12月31日まで) (上記同様の条件適用)

0.10% 0.10% 0.10%

(2015年1月1日以降) (2015年1月1日以降) (上記同様の条件適用)

表1  EU Directiveに基づく規制

ECAs 外

ECA内

※客船はEU Directive 2005/33/ECのSection 3fで船員以外に12名以上の乗客を運送する船舶と定義されている。

(出所:日本船主責任相互保険組合)

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・ カリフォルニア州(米国)では、CARB(California Air Resources Board)が

同州の港に寄港する外航船舶に対して規制が導入されている。規制内容は、沿岸

24海里(約45km)以内を航行する際に、全ての主機、補機および補助ボイラーに

おいて、低硫黄燃料油(硫黄分0.1%以下)の使用を求めている。

この規制は「CARB規制(2009年7月施行)」と呼ばれ、その後 段階的に規制値

が下げられ、2014年1月1日からは硫黄分0.1%以下の燃料を使用することになって

いる。また、2015年1月からは、同州ではCARB規制とマルポール条約の規制の両

方を満足する必要がある。

・ 香港では、大気汚染対策の観点から、2015年7月1日以降に香港海域で係留また

は投錨している外航船は、着桟中は硫黄分0.5%以下の船舶用燃料を使用すること

が定められた。

なお、香港では、LNG燃料の使用およびスクラバーによる排ガス洗浄も認めら

れている。また、2012年から行っている低硫黄燃料を使用する場合の奨励制度も、

2018年まで延長される見込みである。

・ 日本では、国土交通省が設置した「船舶からの大気汚染物質 放出規制海域に関

する技術委員会」がECA 海域設定の必要性について検討を行っていた。しかしな

がら、2013 年 6 月 大気質改善効果は小さいかまたは明確でないため、「現時点で

はECA 海域を設定する必要性があるとは判断されない」とされている。

また、「今後とも大気汚染物質に関する世界の取組状況に注視しつつ、化学的知

見の蓄積等により国全体としての対応に見直しがあった場合などには、ECA 設定

の必要について改めて検討すべし。」と結論付けている。

1-4 SOx規制への対応方法

SOx 規制への対応方法としては、大きく下記 3 点の方法が取られている。船舶運航会

社にとっては、いずれの方法も追加費用が発生し経営を圧迫する要因となる。船舶運航会

社がどの方法を採用するかの判断は、経済性、供給体制、NOx 規制および燃費等との関

係により決まる可能性が高い。更に対応方法の選択に当っては、ECA 海域内に滞在する

時間、船舶の機械構成、燃料消費、船齢などの様々な要因により判断する必要がある。

(1)規制値に適合する燃料油(適合油)への切替え

一般海域を航行する大半の船舶は、ECA 海域に進入する前に適合する低硫黄燃料油

に切替えることになるが、下記のような課題点が考えられる。

・現在運航中の船舶の機械系統は、高硫黄燃料油を前提に設計されている場合が多

くなっている。そのためMGO (Marine Gas Oil)などの留出油および低硫黄燃

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6

料油(低粘度、低潤滑性、低揮発点などの性質が異なる油)を使用すると、下記

のような問題を生じる可能性がある。燃料の油種切替えに当たっては、事前の技

術的使用可否の検討および適切な対策の実施が必須である。

・燃料油の供給系統(ポンプシール部からの燃料漏れ)

・エンジン系統(燃料ポンプ、燃料弁など機関内の異常摩耗)

・ボイラー系統(高温輸送管内での燃料蒸発)

・港湾によっては、従来のMGO やMDO(Marine Diesel Oil)と品質性能の異な

る低硫黄燃料油が供給される可能性がある。

・ECA 海域進入前に燃料切替えを行うには、本船に複数の燃料油タンク設置、複雑

な燃料切替配管の設置、配管加熱温度の調整および船員の教育訓練などの対策が

必要である。

・今後 一般海域での硫黄分規制が厳しくなる場合には、需給バランスが変化するこ

とにより、低硫黄燃料油価格の上昇も考えられる。

(2)排ガス洗浄装置の船舶への搭載

IMO の関連規制により、規制適合燃料油を使用する代替策として、排ガス浄化装

置(スクラバー、Scrubber)等の使用が挙げられる。同装置に関しては、IMO の

「排ガス浄化装置ガイドライン」に従って試験、検査、性能評価などが行われるこ

とになっており、技術的課題や排水基準をクリアすることも必要である。

船舶用スクラバーは、比較的安価な高硫黄燃料油(硫黄含有率 3.5%)を燃料とし

て使用しても、発生した排ガス中の SOx を 0.1%の低硫黄燃料の使用時レベルまで

低減し、ECA 海域内での規制値をクリアすることを可能にする環境装置である。

船舶用スクラバーの搭載は、初期投資コストが大きいことが課題であるが、すで

に欧米および日本のメーカーでモジュール化された種々の装置が商品化されている。

なお、主な装置メーカーについては、後編の 4 項で紹介する。同装置は、投資回収

(ROI、Return On Investment)期間が 3~5 年程度との報告も多く、既存船への

レトロフィットおよび新造船への導入が着実に進んでいる。

スクラバーは、構成上 湿式(アルカリ水や海水を用いて排ガス中のSOx を洗浄

する)および乾式(吸着剤を用いて排ガス中のSOx を吸収浄化する)に大別される。

船舶用スクラバーでは、主に湿式が多く開発・採用されている。また、同装置は、

脱硫と合わせてPM も 70~80%程度除去可能とも言われている。

初期の湿式スクラバーでは、規制値を満たす削減効果が得られないケースも報告され

ていた。しかしながら、現在は技術改良による洗浄効果の向上および IMOの洗浄水排

水基準の明確化などにより、搭載上の課題は解決されていると報じられている。

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7

船舶用湿式スクラバーの基本構成は、概ね同じでクローズドループ方式、オープ

ンループ方式およびハイブリッド方式の 3 方式に分類される。

・ クローズドループ方式:ECA 海域でも対応可能な脱硫率(98%以上)を達成

できる方式である。SOx は、NaOH 等を加えたアルカリ水溶液を循環し中和

除去し浄化する。洗浄した水溶液は循環使用する(図 5 参照)。

この方式のメリットは、海水の性質にかかわらず一定した操作性が得られる

こと、最小限のスラッジ生成で済むことである。一方 デメリットは、廃液処

理にコストが掛かること、アルカリ剤の入手性および安全性(強アルカリ性

水溶液の取扱い)などが挙げられる。

・ オープンループ方式:今後の一般海域での規制強化に対応可能な方式である。

天然のアルカリ水である海水を使用して SOx を中和する。なお洗浄水は、浄

化処理後 海洋に排水する。

この方式のメリットは、クローズドループ方式に比べて、操作が容易なこと

および低ランニングコスト(化学物質 添加不要)になることである。一方 デ

メリットは、海域により海水のアルカリ度(pH)および水温にばらつきが生

じるため、浄化装置の性能維持に影響があることである。さらに、排水規制

は、地域や港湾により異なるため、各規制を満たすため低硫黄燃料油を使用

する必要が生じる可能性がある。

図 5 クローズドループ方式の一例(出所:Wärtsilä社)

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・ ハイブリッド方式:ECA 海域および一般海域の両方の海域で、状況に応じて

オープンループ方式とクローズループ方式を切替え可能なシステムである。

この方式のメリットは、可能な場合にはオープンループ方式を使用して操作

コストを抑えつつ、比較的高価な低硫黄燃料油の使用を抑えられるクローズ

ドループ方式も使用できることである。一方 デメリットは、必要機材が増え

ること、切替操作が複雑になることである。

(3)代替燃料(主にLNG)の利用

従来からLNG タンカーでは、LNG タンクに外部環境からの入熱により発生する

蒸発ガス(ボイルオフガス、Boil Off Gas)を船舶用燃料とすることが一般的であ

る。また、港内操船時の負荷変動対策としては、ガスと燃料油の混焼を採用するこ

とも一般的である。

石油製品価格や排ガス処理コストによっては、発熱量単価でLNG の方が安価に

なる場合もある。また、北米を中心に天然ガス供給体制の充実も進行していること

から、LNG を推進燃料として用いるLNG 燃料船の建造が近年増加している。同船

の導入は、NHK(日本放送協会)の報道(2014 年 4 月)では、欧州および北米が

先行しており、2020 年には約 1,000 隻に増加すると予測されている。

なお、LNG 燃料船では、超低温のLNG(約-160℃)を扱うので燃料の保管や

取扱いが特殊であり、船員の技術教育の充実などの新しい取組みが求められる。な

おLNG は、石油系燃料油と比べて SOx はほぼ発生せず、NOx は最大 80%、CO2

発生量も 25%削減できると言われている。

なお、LNG 燃料船のメリット・デメリットとしては、以下が指摘されている。

【メリット】

・ ECA 海域が設定されている北米や欧州では、燃料油に比べてLNG 価格が安

く、燃料の切替えだけでECA 規制値をクリアできる。

【デメリット】

・ 船舶では、特殊で大型のLNG 燃料タンクの設置が必要になり、建造または改

造コストが高くなると考えられる。また、船員の教育訓練も必須となる。な

お、改造では同タンクの設置により貨物積載量が削減される可能性がある。

・ 従来使用していた燃料油のバンカリング用インフラが使用できず、LNG バン

カリング用インフラを新たに構築する必要がある。なお、同インフラは、バ

ルト海沿岸の港湾で整備が進行しつつあるが、現在 世界の大半の港湾で未整

備である。今後 LNG 燃料船への供給には、同インフラの充実が必須である。

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LNG 燃料船へのバンカリング方法は、3 種類が採用されている(図 6 参照)。

① LNG 基地またはパイプラインからの供給(Shore to Ship)

供給できる港湾が限られ、給油のためLNG 基地への回航が必要になる。

今後 供給可能港湾を増やすには、2 次および 3 次となる小型LNG 基

地のNet Work の整備が必要になる。

② LNG バンカー船からの供給(Ship to Ship)

LNG 専用バンカー船の手配が必要になり、本方式は同船手配可能港湾

に限定される。なお、新造船による同船の船腹数増加および配備港湾の

増加による供給力の整備が必要になる。

③ LNG 車からの供給(Truck to Ship)

LNG 専用ローリー車が必要になり、本方式は対応可能港湾数が多くな

るが、本船は岸壁着岸が必要になる。また、ローリー車の積載量制限か

ら、大型船舶への多量バンカリングには適さない。

・ 船舶用燃料がLNG へ燃料転換が大きく進捗すると、石油会社は対応(余剰に

なった高硫黄燃料油の新たな販路を開拓、高硫黄燃料油生産量の削減対策等)

が必要になる。また、前記対応の経済的負担、石油会社間の競争激化も予想

され石油業界への影響は大きくなると考える。

図 6 LNG バンカリング方法

(出所:デンマーク海運局 欧州北部LNGインフラプロジェクト報告書)

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(4)Dual Fuel Engine方式

近年 開発されているDual Fuel Engine(2元燃料使用可能エンジン)がある。同

ディーゼルエンジンは、LNGと石油系燃料油の両方を使用することが可能である。

同機関は、主燃料として主にLNGを使用し、LNG系統に何らかの故障が発生した

時に、石油系燃料油に切替えるバックアップ対応(冗長性がある)が可能な機関で

ある。同エンジンは、今後の用途開発に注視が必要である。

2 船舶用燃料油

2-1 舶用燃料油の需要

世界の舶用燃料油の需要は、経済成長と船腹数の増加により需要は拡大傾向にある(図

7参照、2010年までは実績、2014年以降は予測)。2010年以降 IMO規制の影響を受け

て、舶用燃料油の油種構成の変動が予測されている。

特に、高硫黄残渣油は、2010年のバンカー市場で約7割を占めていた。2025年から一

旦減少(4~5割程度)することが予測されている。また、硫黄分1.0%以下の残渣油は2015

年以降需要がなくなり、2025年以降 硫黄分0.5%以下の残渣油販売が開始されてくるこ

とが予測されている。なお、硫黄分0.5%以下の残渣油が2030年に再び減少に向かう理由

は、スクラバー搭載船が普及してくることにより、船舶運航会社が経済性から比較的安

価な高硫黄残渣油に戻すことが予測されているためである。

なお、低硫黄油(硫黄分0.1%以下)は、下記グラフでは留出油に含まれている。また、

LNGが2025年から新たに舶用燃料として登場し、2030年には1,880万トン(約6%)の

需要があると予測されている。

図 7 世界の舶用燃料油の推移予測 (JPECにて作成)

(単位:百万トン)

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11

2-2 舶用燃料油の概要

船舶で使用する燃料油は、一般には船舶用ガスオイル(MGO 、Marine Gas Oil )

船舶用ディーゼルオイル(MDO 、Marine Diesel Oil)およびIFO(Intermediate Fuel

Oil)と呼ばれている。

なお、国際規格では、ISO 8217:2012(国際標準化機構、International Organization

for Standardization)のクラスFにて規定されている。舶用留出油および舶用残渣油に

分類されている(表2、表3参照)。舶用留出油は4グレード、舶用残渣油は11グレード

に分けられている。なお、舶用留出油に性状が似ているJIS銘柄としては、DMAは軽油、

DMBはA重油に相当する。

項 目 単位 限界 DMX DMA DMZ DMB 試験方法

動粘度(40℃) mm2/sec 上限 5.50 6.00 6.00 11.00

ISO 3104 下限 1.40 1.50 3.00 2.00

密度(15℃) kg/m3 上限 - 890.0 890.0 900.0 ISO 3675

ISO 12185

セタン指数 - 下限 45 40 40 35 ISO 4264

硫黄分 mass % 上限 1.00 1.50 1.50 2.00 ISO 8754

ISO 14596

引火点 ℃ 下限 43.0 60.0 60.0 60.0 ISO 2719

硫化水素 mg/kg 上限 2.00 2.00 2.00 2.00 IP 570

酸価 mgKOH/g 上限 0.5 0.5 0.5 0.5 ASTM D664

熱ろ過沈殿物 mass% 上限 - - - 0.10 ISO 10307-1

酸化安定性 g/m3 上限 25 25 25 25 ISO 12205

残留炭素分 mass % 上限 - - - 0.30 ISO 10370

残炭(10%残) mass % 上限 0.30 0.30 0.30 - ISO 10370

曇り点 ℃ 上限 -16 - - - ISO 3015

流動点(冬用) ℃ 上限 - -6 -6 0 ISO 3016

流動点(夏用) ℃ 上限 - 0 0 6 ISO 3016

水分 vol% 上限 - - - 0.30 ISO 3733

灰分 mass% 上限 0.010 0.010 0.010 0.010 ISO 6245

潤滑性(60℃) μm 上限 520 520 520 520 ISO 12156-1

表 2 舶用留出油の規格概要 (ISO8217:2012)

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12

項 目 単位 限界RMA

10

RMB

30

RMD

80

RME

180

RMG

380

RMK

500試験方法

動粘度(50℃) mm2/sec 上限 10.0 30.0 80.0 180.0 380.0 500.0 ISO 3104

密度(15℃) kg/m3 上限 920 960 975 991 991 1,010

ISO 3675

ISO 12185CCAI - 上限 850 860 860 860 870 870 計算値硫黄分 mass% 上限 ISO 8754他引火点 ℃ 下限 60.0 60.0 60.0 60.0 60.0 60.0 ISO 2719

硫化水素 mg/kg 上限 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 2.00 IP 570

酸価 mgKOH/g 上限 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 ASTM D664

全沈殿物 mass % 上限 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 ISO 10307-2

残留炭素分 mass % 上限 2.50 10.0 14.0 15.0 18.0 20.0 ISO 10370

流動点(冬用) ℃ 上限 0 0 30 30 30 30 ISO 3016

流動点(夏用) ℃ 上限 6 6 30 30 30 30 ISO 3016

水分 vol% 上限 0.30 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 ISO 3733

灰分 mass% 上限 0.04 0.07 0.07 0.07 0.10 0.15 ISO 6245

バナジウム mg/kg 上限 50 150 150 150 350 450 IP501,IP470

ナトリウム mg/kg 上限 50 100 100 50 100 100 IP501,IP470

アルミナ + シリコン mg/kg 上限 25 40 40 50 60 60 IP501,IP470

分析時の注意事項等の詳細は、ISO 8217:2012を参照のこと。

法的要求値

2-3 船舶用低硫黄燃料の製造方法

船舶用燃料の製造方法および性状の燃焼性への影響に関しては多数の文献が出ており、

詳細はそれらの報告を参照願う。本レポートでは、船舶用燃料の製造法概略を紹介する。

(1)Marine Gas Oil(MGO/DMA)

MGO(ISO8217分類のDMA)の主な基材は、製油所の常圧蒸留装置からの軽油

留分である。同留分は、軽油脱硫装置や軽油深度脱硫装置などで水素化処理され、

硫黄分の殆どは除去される。

なお、日本では、2007年から自動車用軽油の硫黄分は10ppm以下になっている。

欧米でも2009年から同10ppm以下の軽油が供給されている。

舶用燃料油は、動粘度を高くするために流動接触分解装置(FCC)の分解軽油(収

率15~45 vol%)であるLight Cycle Oil (LCO)を基材として一部使用する。LCO

は芳香族分を約60%含んでおり、動粘度を高くする効果があるが、常圧蒸留装置か

らの留出軽油に比較して密度は重く(860 kg/m3、15℃)なる。なお、FCCへの原

料油は、通常 減圧蒸留装置からの減圧軽油や常圧残渣油が使用されるが、水素化脱

硫装置を経てFCCに原料が送られるため、FCCの各留分は基本的に低硫黄分である

(図8参照)。

表 3 舶用残渣油の主要 6グレードの規格 (ISO8217:2012)

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日本では軽油の動粘度の基準温度は30℃であるが、海外は40℃が基準として一般

的に用いられる。JIS軽油2号の動粘度は 2.5mm2/sec(30℃)であり、基準温度が

10℃異なると動粘度は20~30%増減すると言われている。そのため、JIS軽油2号だ

けでは、DMAの動粘度規格(1.50~6.00 mm2/sec、40℃)の下限を切る可能性が

ある。

既に日本およびECA海域を抱える欧米では、硫黄分0.1%以下のMGOは通常

LSMGO(Low Sulphur Marine Gas Oil)と表記して区別される。

(2)Marine Diesel Oil(MDO/DMB)

MDO(ISO8217分類のDMB)は、JIS銘柄でA重油相当品であり、MGOにC重

油を1~2%程度混合して製造する。MDOは、MGOよりセタン指数は低く、密度は

高くなっている。製造には、多量のLCOがブレンド基材として使用され、動粘度は

最大で11 mm2/sec なので加熱は不要である。

また、MDOやMGOでも、FCC系の芳香族成分の多い難燃性成分の混合比率を高め

ると燃焼障害(着火時期遅れ、燃焼時間延長)を起こすことが報告されている。

図 8 一般的な舶用燃料油の製造フロー

(JPECにて作成)

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(3)IFO-380(Intermediate Fuel Oil)

舶用残渣燃料油製品は、IFO(Intermediate Fuel Oil)と呼ばれる。IFOの標準

的な動粘度は380 mm2/sec (50℃、ISO8217分類のRMG380)であり、常圧蒸留

残渣油、減圧蒸留残渣油、ビスブレーカーの残渣油およびFCCからのHeavy Cycle

Oil(HCO)やLCOなどを使用して製造され、通常は硫黄分3.5% である。

常圧蒸留装置の下流プロセスは、各石油会社の製品需給状況や出荷製品構成など

により各様で複雑化しており、バンカー重油の製造も減圧蒸留残渣油と脱硫残渣油、

FCCからの芳香族分を多く含む高粘度油などをブレンドし、要求仕様に合わせて動

粘度や硫黄分を調整する。

IFOの密度が高く(概ね982 kg/m3以上)CCAI*も高い(概ね860以上)場合には、低

速障害などが発生する恐れがあると報じられている。芳香族成分が多くなると燃焼性が

悪化することから、FCC蒸留塔ボトムからのClarified Oil(CLO)などの成分を加えてい

くと難燃化し、燃焼時にトラブルを起こす可能性が指摘されている。CLOは通常触媒分

を含んでおり、船舶用燃料への混合比率が多い場合は燃焼系の汚れの原因となる。

(*)CCAI(Calculated Carbon Aromatic Index)とは,燃料油の比重と粘性から燃料重油の着火性を推定する方法で、MGOやMDO等の留出油の燃焼性の評価基準としてはセタン価、セタン指数を用いることが出来るが、残渣油には適応できないためにCCAIは残渣油を含む重油の着火性を評価する尺度として用いられる。

(4)低硫黄舶用残渣油

ECA規制を満足する低硫黄残渣油燃料を製造する場合、常圧蒸留装置で低硫黄原

油を処理して残渣油基材を得ることも考えられる。しかしながら、低硫黄原油は、

日本などでは発電用燃料油(原油生焚き)としての需要が多く、同原油を処理した

バンカー重油の確保は経済的には難しいため一般的ではない。

2-4 ハイブリッド低硫黄燃料

2015年1月1日 からのECA規制強化に伴い、ECA海域で運航する殆どの船舶(LNG燃

料船、スクラバー搭載船等を除く)が、燃料を留出油のLSMGO(Low Sulphur Marine

Gas Oil)に切替えた模様である。切替え後、半年以上経過した段階であるが、需給面や

価格面の混乱は無いと報道されている。これは、2014年後半からの原油価格急落による

油価の低下および船舶運航会社の入念な準備(低硫黄燃料でのテスト運航、設備改修、運

転条件整備および船員への教育訓練等)があったことが理由として挙げられる。

2015年に入り、各石油会社から硫黄分0.1%以下のULSFO(Ultra Low Sulphur Fuel

Oil、超低硫黄残渣油)の販売が本格化している。ULSFOは、密度と動粘度から脱硫重油

と深度脱硫軽油のブレンド品の可能性が高い。さらに、ULSFOは、潤滑性や動粘度が規

制前燃料に近いため関心が高まっている(表4参照)。

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2015年1月 ExxonMobilが販売開始した舶用燃料 Premium HDME 50は、舶用留出油

と舶用残渣油の両方の利点を持ち、舶用エンジンおよびボイラーへのダメージリスクを下

げた製品である。同油は、ECA0.10%硫黄分規制適用品で、高引火点、低揮発性、高粘

度でISO8217のRMD80相当以上と発表されている。

Chemoil(シンガポール)は、米国に多数の船舶燃料供給拠点を保有している。船舶

用燃料は、Los Angeles地区では硫黄分0.10%のDMBを、HoustonおよびNewYork地区

では、硫黄分0.10%のULSFOを販売している。

2014年12月 Shell は、ULSFOの販売を開始し、欧州(Antwerp、Rotterdam港)、

北米(New Orleans、Montreal港)および中米Bahamasの各港湾で供給している。

2015年5月 SK Energy(韓国)は、Trefoil Trading (オランダ)と協力して、 ULSFO

の販売をARA地区(Antwerp、Rotterdam及びAmsterdam港)で行っている。情報では、

最小納入数量が100トンになっており、中小型船では注文が難しいと言われている。また、

ULSFOが納入できる港が限定されているため、採用には躊躇する状況がみられる。

2015年7月 SK Energy は、Singapore港でULSFO(硫黄分0.1%)の販売供給を開始

している。同港では、品質確保の点から専用バージ船を用船し同油の供給を行っている。

項目 単位 限界 Premium

HDME50 Fuel Oil ULSFO ULSFO

Eco

Marine 参考

販売会社 ExxonMobil Chemoil Shell SK

Energy Lukoil

ISO8217相当 RMD80 RMD80 RME180 RMG380

動粘度

(50℃) mm2/sec

上限 45 26.3

60 20~40 65

380.0

下限 30 10

密度(15℃) kg/m3 上限 900~915 896 790~910 928 910 991

CCAI - 上限 795~810 795 800 790~800 860 870

硫黄分 mass% 上限 0.10 <0.1 <0.1 <0.1 0.095

引火点 ℃ 下限 70 60 60 100 60 60

硫化水素 mg/kg 上限 1 <2 2.00 2.00

酸価 mgKOH/g 上限 0.1 2.35 <0.5 2.5 2.5

全沈殿物 mass% 上限 0.01 0.01 0.01~

0.05 0.02 0.1 0.10

残留炭素分 mass% 上限 0.3 3.8 2.0 2.7 14.0 18.0

流動点(冬用) ℃ 上限 6~12

-6 18 20~25 20 30

流動点(冬用) ℃ 上限

アルミナ+シリコン mg/kg 上限 5 <10 12~20 17 60

表 4 舶用として公表されている主な燃料(硫黄分 0.1%)の性状

(出所:各石油会社のHPより)

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なお、2015年8月上旬の報道では、同油はISO8217 RME180相当品であり、LSMGOよ

り1トン当り約22米ドル安く取引されている。

Lukoil-Bunker(ロシア)では、LukoilのUkhta製油所で製造したECA適合レベルの

Eco Marineを販売している。

3 前編まとめ

2015年1月1日からのECA海域の燃料硫黄分規制強化に伴い、硫黄分0.1%燃料の供給

に大きな混乱が生じるのではないかとの懸念があった。しかしながら、規制強化から半

年以上が過ぎ大きな混乱もなく規制が定着している。これは、2014年後半からの原油価

格急落による油価の低下および船舶運航会社の入念な準備(低硫黄燃料でのテスト運航、

設備改修、運転条件整備および船員への教育訓練等)があったことが理由として挙げら

れる。

また、EU域内および米国カリフォルニア州では、マルポール条約の規制強化の以前

から既に厳しい規制が導入されている。この影響もあり、硫黄分0.1%燃料の供給体制が

問題無く構築された可能性が高い。

また、ECA海域の規制強化に伴い、排ガス浄化システムの導入やLNG燃料船の建造

などの動きも活発化してきており、低硫黄燃料化に対する複数の手段が定着しつつある。

硫黄分0.1%燃料油に関しては、2015年前半は留出油のLSMGOへの切り替えが進ん

だ模様である。しかし、ディーゼル機関の燃料供給系のトラブル対策などの観点から、

新たに開発されたECA海域対応のハイブリッド低硫黄分燃料(ULSFO)と呼ばれる舶

用残渣油が提案され、同油の普及が進みつつある。ただし、ULSFOの供給できる港湾

は、まだ限定されており普及はこれからの状況である。

後編では、排ガス浄化システムの動向、船舶用燃料油のアジア地区の動向およびLNG

燃料船の動向を報告する。

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本資料は、一般財団法人 石油エネルギー技術センターの情報探査で得られた情報を、整理、

分析したものです。無断転載、複製を禁止します。本資料に関するお問い合わせは

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次回のJPECレポート(2015年度 第18回)は「IMOのSOx規制強化による船舶用燃料へ

の影響(2)」を予定しています。