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『 使える!コード理論 』 メソッドマップ
~ 注意 ~
本PDFは、「使える!コード理論」のグループレッスン内にて使用している資料です。書籍 「使える!コード理論」(リットーミュージック社)準拠の資料とは内容が異なります。
この資料の見方について
この「丸暗記不要!使えるコード理論 PDF図解テキスト」は以下の3つの要素から構成されております。※各ページの左上を見ると、【色】と【通し番号】で把握できるようになってます。
セオリー(Theory)各回のテーマについての理論的な解説です。まずは各回の最初に一度をセオリーを読んでください。特に序盤のセオリーを“カンタンなこと”だと思ってナナメ読みで済ませると後で悲惨なことになります。(本当です)
パレット(Palette)必要に応じて参照するための各種資料集です。パレットは丸暗記をするためのものではありません。使ってる内に自然と覚えるようなカタチが理想です。
レシピ(Recipe)各回のテーマを実際の曲作りに適切に使うためのステップです。筆者がどのようなプロセスで実際にコードを使用しているかを細分化してあります。また、途中で発生する問題にどう対策するのかもまとめていきます。
なお、この資料は将来的に続きをお届けする予定があります。メルマガへのご登録は解除されないことをオススメします。
「使える!コード理論」 講師:大浦 雅弘
~ 注意 ~
本PDFは、「使える!コード理論」のグループレッスン内にて使用している資料です。書籍 「使える!コード理論」(リットーミュージック社)準拠の資料とは内容が異なります。
使える!コード理論
第1回
『 倍音 』 と 『 度数 』
第1倍音(基音)
「 C 」
第2倍音
「 C 」
第3倍音
「 G 」
第4倍音
「 C 」
第5倍音
「 E 」
第6倍音
「 G 」
第7倍音
「 B♭ 」
第8倍音
「 C 」
実音C1[ド] を鳴らした時に発生する倍音(第8倍音まで)
Palette01-01a
実音C1[ド] を鳴らした時に発生する倍音(第8倍音まで)
C1
C2
C3
C4
第1倍音(基音)
「 C 」
第2倍音
「 C 」
第3倍音
「 G 」
第4倍音
「 C 」
第5倍音
「 E 」
第6倍音
「 G 」
第7倍音
「 B♭ 」
第8倍音
「 C 」
第8倍音までに、C = 4回, G = 2回
E = 1回, B♭ = 1回登場する。
Palette01-01b
度数(ディグリー)一覧表
長3度
完全4度
増4度 / 減5度
完全5度
短7度
増1度 / 短2度
長2度
短3度
完全1度短6度
長6度
長7度
短7度
Palette01-02
倍音とは?①
倍音とは
『ある基本となる音の周波数から見て、整数倍の周波数を持つ音』
のことです。
例えばピアノで、中央のド(C3)から2オクターブ低いド(C1)は
基本となる音の周波数は 約65Hz となります。
なので、鍵盤のド(C1)を鳴らした場合
普通に考えると、約65Hzの音だけが鳴るはずなのですが・・・?
しかし、現実にはこの基本となる周波数の [整数倍の音] が同時に
発生しているのです。例えば2倍なら約130Hzの音、
3倍なら約195Hzの音・・といった具合に。
すると大変興味深いことが発生します。
・・・なんと、ドを鳴らしてるのに、ド以外の音が鳴ってしまうのです。
※参照 [Palette01-01a] [Palette01-01b]
Theory01-01
倍音とは?②
つまり、自分では「ド」を鳴らしただけのつもりなのに、実は倍音という形で
「ミ」や「ソ」や「シ♭」などといった他の音も鳴っているということなのです。
と言っても、ピアノやギターで実際に弾いたときほどの大きな音ではないため
これまであまり意識してこなかった人は聴き取りにくく感じるかもしれません。
しかし、自然界に存在するあらゆる音は、この【倍音】というものを含んでいま
す。
ちなみに、「ド」と「ミ」と「ソ」と「シ♭」の音が同時に鳴るということは、
コードで言うところの 【C7】 と同じだったりします。
つまり、「ド」しか鳴らしてないつもりだったのに、密かにコードを鳴らしている
・・という風にも言えるでしょう。
今の段階では、音を1つ鳴らしただけで密かにコードが鳴っている、
ということだけ捉えておけば良いでしょう。
Theory01-02
音楽の世界では
「2つの音の高さの差」
のことを【度数】という単位で表します。
全く同じ音同士(例えば ド と ド)を1度として、
音と音との距離が離れるごとに度数は増していきます。※参照[Palette01-02]
度数とは?
Theory01-03a
『ドレミファソラシド』を使った度数の覚え方のコツ
レ
ド ミ ファ ソ ラレ シ ド
長2度
長3度
完全4度
完全5度
完全1度
長6度
長7度
完全8度
短2度
レ♭
ミ♭
ラ♭
シ♭
短3度
減5度
(増4度)
短6度
短7度
ソ♭
(ファ)#
『 ドレミファソラシド 』の中には
【完全】 と 【長】しか存在しない
Theory01-03b
度数を見極めるコツ① 『長3度』 と 『短3度』
鍵盤で、ある音(A) と ある音(B) との度数を知りたい場合、
指を[ドレミファソラシド]に沿って順番に置いてみると
数えやすくなります。
その時に親指を乗せた ある音(A) から見て
中指に来るある音(B)は必ず 【3度】の関係になります。
しかしこれだけだとまだその音が
『長3度』 なのか 『短3度』 なのかが分かりません。
そこで、『長3度』 と 『短3度』 では半音1個分距離が違うことと
鍵盤の特徴から次のように判別することができます。
①
② ③ ④⑤
必ず【3度】になる
A B
Theory01-03c
度数を見極めるコツ① 『長3度』 と 『短3度』
①
② ③ ④⑤
親指と中指の間に [黒鍵が2個] = 長3度 (半音4個分の距離)
A B
①
② ③ ④⑤
親指と中指の間に [黒鍵が1個] = 短3度 (半音3個分の距離)
A B
度数の見極めに自信がない人はまずは3度の把握をするべし!
Theory01-03d
度数を見極めるコツ② 『完全5度』 と 『減5度』
3度の時と同じように、親指を乗せた ある音(A) から見て
小指に来るある音(B)は必ず 【5度】の関係になります。
この場合ほとんど
『完全5度 (半音7個分の距離)』 になるのですが
1つだけ半音1個分短い 『減5度』 となる箇所があります。
それは親指と小指の間に、
[白鍵が隣り合っている所が2つ発生する]ケースです。
①
② ③ ④⑤
必ず【5度】になる
A B
Theory01-03e
度数を見極めるコツ② 『完全5度』 と 『減5度』
① ② ③ ④ ⑤
A B
白鍵の並び
親指と小指の間に [白鍵が隣り合ってる所が1つ] = 完全5度 (半音7個分の距離)
① ② ③ ④ ⑤
A B
白鍵の並び
親指と小指の間に [白鍵が隣り合ってる所が1つ] = 完全5度 (半音7個分の距離)
① ② ③ ④ ⑤
A B
白鍵の並び
親指と小指の間に [白鍵が隣り合ってる所が2つ] = 減5度 (半音6個分の距離)
つまり黒鍵1個分、鍵盤の数が減ってるため距離が半音分短くなっているということ。「シ」と「ファ」は要注意。
Theory01-03f
『長3度』 と 『短3度』 どっち? 『完全5度』 と 『減5度』 どっち?
2つの音の間の黒鍵は何個か 2つの音の間の白鍵の並びは何個か
それでは試しにピアノロールで 『3度』 と 『5度』 を見極めてみよう!
⇒ピアノロールウィンドウは、鍵盤の向きを変えただけなので同じ方法ですぐに見極めることが可能である。
Theory01-03g
ある度数を形成する2つの音の内、
高い方の音を1オクターブ下げるか、低い方の音を1オクターブ上げ
ると、2つの音の上下関係が入れかわります。
この時、例えば入れかえる前に鳴らした音が「ド」と「ミ」であるならば
入れかえた後に鳴る音は「ド」と「ミ」であることは変わりません。
しかし、2つの音の度数が変わりますのでそれに伴って
音の響きや広がり具合が変化することは抑えておいた方がよいでしょ
う。
なおこの転回をした時の度数の変化には次の様な法則があります。
度数の転回とは?
Theory01-04a
長3度 これは何度だろう?
「ド」を1オクターブ上にあげると・・・?
ある度数を【転回】した時の関係性 一覧
完全1度 完全8度
転回
増1度 / 短2度 長7度
転回
長2度 短7度
転回
カンタン暗記法!① 『長』 の反対は 『短』 / 『完全』の反対は『完全』 / 『増』の反対は『減』
② 転回前 と 転回後 の数字を足すと必ず 『 9 』 になる
Theory01-04b
短3度 長6度
転回
長3度 短6度
転回
完全4度 完全5度
転回
増4度 減5度
転回
Theory01-04c
使える!コード理論
第2回
『 3和音 』 と 『 4和音 』
3和音 と 4和音 について①
『 3和音 』 とは? ※参照 [Palette02-01]
‣ その名の通り、3つの音の組み合わせで作られるコードのこと。
‣ [ トライアド ]とも呼ばれる。
‣全てのコードの土台となるコードで、基本的に4種類に分類される。
‣4和音と比べると音数が1つ少ない分、スッキリとした響きになる。
『 4和音 』 とは? ※参照 [Palette02-02]
‣ 3和音にもう1つの音が加わり、4つの音の組み合わせで作られるコードのこと。
‣ [ テトラッド ] とも呼ばれる。
‣ 基本的に3種類に分類される。
‣ 3和音と比べると音数が1つ増えている分、やや複雑な響きになる。
Theory02-01
3和音 と 4和音 について②
したがって、3和音=4種類、4音目=3種類であることから、
4和音は4×3=全12種類あるということになる。
ただし、一部あまり実用的ではないコードもある。
そこで実際よく使われる代表的な4和音(9種)をまとめておきます。
※参照 [Palette02-04a] [Palette02-04b]
(メジャー)
m[ マイナー ]
m(♭5)[ マイナーフラットファイブ]
aug ≒ (#5)[ オーギュメント ]
Maj7[ メジャーセブンス ]
7[ セブンス ]
6[ シックス ]
+ =合計12種類の組み合わせ
Theory02-02
※○(#5)は、この資料では実用上○augという解釈で使います。
3和音 と 4和音 について③
『 3和音と4和音、どちらを使えばよいのか? 』
基本的にその楽曲で欲しいサウンドに応じて使い分ければOK!
3和音よりも4和音が偉い・・などということは全くありません。
なお、1つの楽曲のサウンドの統一感を出す上で、
3和音と4和音を意味もなく混在させることは避けた方が良いでしょう。
(極一部の例外として意図的に混ぜるケースはあります)
『 この講座では4和音を土台として学んでいく 』
普段の作品作りでは3和音・4和音どちらも自由に使っていただいて構いません。
ただし、コードの性質をより深く理解し、使いこなすためには
4和音での理解が必須であるため、この講座中では基本的に4和音を使って
レクチャーを進めていきます。
Theory02-03
コードネームの構造を知ろう!
基本的に4和音のコードネームは
[3和音の種類] + [4音目の種類]
・・という構造になっています。※参照 [Palette02-03]
CMaj73和音
C[メジャー※発音しない]
4音目Maj7[メジャーセブンス]
Cm73和音
Cm[マイナー]
4音目7[セブンス]
Cm7(♭5)
3和音Cm[マイナー]
4音目7[セブンス]
3和音のカッコの要素(♭5)[フラットファイブ]
読み「Cメジャーセブンス」 読み「Cマイナーセブンス」
読み「Cマイナーセブンスフラットファイブ」
カッコの要素は最後に右上に移動する
Theory02-04
コードネームのさまざまな表記方法について
なお、全く同じコードも様々な呼び方・表記の仕方をすることがあります。
CM7
C△7
CMaj7[ Cメジャーセブンス ]
Cm7
C-7 [ Cマイナーセブンス ]
Cm7(♭5)
Cφ7
[ Cマイナーセブンスフラットファイブ ]
[ Cハーフディミニッシュセブン ]
Caug
C(#5)
[ Cオーギュメント ]
[ Cシャープファイブ ]
Cdim
C○
Cdim7
[ Cディミニッシュ ]
[ Cディミニッシュセブン ]
同じコードを指し示している。
同じコードを指し示している。
同じコードを指し示している。
同じコードを指し示している。
同じコードを指し示している。
・・・ちょっとややこしく感じませんか?
Theory02-05
※○(#5)は、この資料では実用上○augという解釈で使います。
本講座におけるコードネーム表記について①
先ほど挙げた様に、全く同じコードにも関わらず
さまざまな呼び方・書き方が実在します。
しかし、実用性や安全面の観点から
このレッスンでは各コードを以下の様に統一してレクチャーをしていきます。
読み方 書き方 注意事項
Cメジャー C
Cマイナー Cm
Cマイナーフラットファイブ Cm(♭5) 「Cdim」と表記するのは非常に危険
Cオーギュメント Caug
~ 3和音(トライアド) ~
Theory02-06
本講座におけるコードネーム表記について②
読み方 書き方 注意事項
Cメジャーセブンス CMaj7 「CM7」と表記するのは危険
Cセブンス C7
Cシックス C6
Cマイナーメジャーセブンス CmMaj7
Cマイナーセブンス Cm7
Cマイナーシックス Cm6
Cマイナーセブンスフラットファイブ Cm7(♭5) 「Cφ7」は一般的に通じにくい
Cディミニッシュ Cdim 「C○」表記が危険 「Cdim7」本来の意味と違う
Cオーギュメントセブンス Caug7
~ 4和音(テトラッド) ~
Theory02-07
3和音(トライアド)一覧表
ルートから3度までの距離
ルートから5度までの距離
減5度 完全5度 増5度
長3度
※ (メジャー) aug ※
短3度
m(♭5) m ※
※この組み合わせは、3和音と扱わない方が実用的なため現時点ではまだ解説しない。
C [ Cメジャー ]
長3度
完全5度
Caug [ Cオーギュメント ] ※
長3度
増5度
短3度
Cm [Cマイナー]
完全5度
Cm(♭5) [ マイナーフラットファイブ ]
減5度
短3度
3和音(トライアド)は基本的にこの4種類のどれかに分類されると捉えておく。
Palette02-01
※○(#5)は、この資料では実用上○augという解釈で使います。
4音目 一覧表
ルートから7度までの距離
長7度
Maj7[ メジャーセブンス ]
短7度
7[ セブンス ]
長6度
6[ シックス ]
Maj7 [ メジャーセブンス ]
長7度
7 [ セブンス ]
短7度
6 [ シックス ]
長6度
4音目は基本的にこの3種類のどれかに分類されると捉えておく。
Palette02-02
3和音(トライアド)と7th系の(代表的な)組み合わせ
(メジャー)
[ 表記・発音しない ]
+ Maj7(長7度) ○Maj7 [ ○メジャーセブンス ]
+ 7(短7度) ○7 [ ○セブンス ]
+ 6(長6度) ○6 [ ○シックス ]
m[ マイナー ]
+ Maj7(長7度) ○mMaj7 [ ○マイナーメジャーセブンス ]
+ 7(短7度) ○m7 [ ○マイナーセブンス ]
+ 6(長6度) ○m6 [ ○マイナーシックス ]
m(♭5)[ マイナーフラットファイブ ]
+ 7(短7度) ○m7(♭5) [ ○マイナーセブンス フラットファイブ]
+ 6(長6度) ○dim [ ○ディミニッシュ ]
aug[ オーギュメント ]
+ 7(短7度) ○7 [ ○セブンス ]
Palette02-03
代表的な4和音(テトラッド)一覧表①
CMaj7 [ Cメジャーセブンス ]
長3度
完全5度
長7度
C7 [ Cセブンス ]
長3度
完全5度
短7度
C6 [Cシックス]
完全5度
長6度
長3度
CmMaj7 [ Cマイナーメジャーセブンス ]
短3度
完全5度
長7度
Cm7 [ Cマイナーセブンス ]
短3度
完全5度
短7度
Cm6 [Cマイナーシックス]
完全5度
長6度
短3度
※まずは構造を理解するためにすべてCから始まる並びにしてあります。
Palette02-04a
代表的な4和音(テトラッド)一覧表②
Cm7(♭5) [ Cマイナーセブンスフラットファイブ ]
短3度
減5度
短7度
Cdim [ Cディミニッシュ ]
短3度
減5度
長6度
Caug7 [Cオーギュメントセブンス]
増5度
短7度
長3度
‣ 3和音+4音目の組み合わせは、これら以外にも存在します。ですが、いわゆる [ コード進行 ] の中に組み込んだ時に効果的に使うことがやや難しいためあまり多用はされません。まずはこの表のコードを効果的に使えるようになりましょう。
※まずは構造を理解するためにすべてCから始まる並びにしてあります。
Palette02-04b
使える!コード理論
第3回
『 メジャースケール 』 と 『 キー 』
メジャースケールとは?①
『メジャースケール』 とはいわゆる 『ドレミファソラシド』 のことを指します。
では 『 ドレミファソラシド 』 とは白い鍵盤を CDEFGABC…と鳴らした時にのみ
感じ取れる物なのか?・・というとそうではなかったりします。
例えば・・・
レ
C D E F G A B C
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
Theory03-01
メジャースケールとは?②
例えば下図の鍵盤を低い方から順番鳴らしてみたとすると・・・?
きっと 『 ドレミファソラシド 』 という様に聞こえるはずです。
鳴らした音は GBABDEF#G…と弾いたのになぜそのように聞こえるのでしょうか。
これはいわゆる 『 ドレミファソラシド 』 とは【鍵盤の位置】の話ではなく、
【音の並び方】に基づいているからです。
では【音の並び方】とはどういうことなのでしょうか?
G A B C D E
F#
G
Theory03-02
メジャースケールとは?③
最初の『ドレミファソラシド』に戻って
順番に並んでいる音の度数を見てみましょう。
なお、短2度のことを【半音】、長2度は半音の2倍の距離なので
【全音】という風にも数えます。
『 ドレミファソラシド 』 それぞれの間隔が
全音-全音-半音-全音-全音-全音-半音 ・・となっていることが分かります。
レ
C D E F G A B C
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
全 全 半 全 全 全 半
Theory03-03
メジャースケールとは?④
では次に先ほど見た、Gから並んでいた音同士の距離も見てみましょう。
すると、こちらも音同士の距離がそれぞれ
全音-全音-半音-全音-全音-全音-半音 ・・となっていたのです。
G A B C D E
F#
G
全 全 半 全 全 全 半
Theory03-04
メジャースケールとは?⑤
つまり 『 ドレミファソラシドの構造 』 とは鍵盤の位置ではなく、
半音と全音から成る、音の並び方であるということだったのです。
したがってこのように並んでいれば、どの音からはじまっても
『 ドレミファソラシド 』 のように聴こえるのです。
またこの並びをどこからはじめるかによって、楽曲のkey(キー)が決定づけられます。
この 『 ドレミファソラシド 』 はまたの名を 『 ダイアとニックスケール 』 とも呼び、
楽曲の中でのメロディとハーモニーの基本となっています。
ド
全 全 半 全 全 全 半
レ ミ ファ ソ ラ シ ド
Theory03-05
キーを示す調号について①
さきほど 「 全全半全全全半 」 の音の並びになっていれば 『 ドレミファソラシド 』に聴こえ、
どの音からはじめるかによって楽曲のkey(キー)が決まると説明しました。
では次に以下のようなメロディ・譜面があったとしましょう。
このメロディのkey(キー)は一体なんなのでしょうか。
わかりますか?
Theory03-06
キーを示す調号について②
多少詳しい人なら、さきほどの楽譜でもある程度は
「もしかしたらこのkeyかな?」 とふんわり想像することはできたかもしれませんね。
しかし、これだと断言するのは難しかったはずです。
そこで、先ほどの楽譜の一部を少し変えてみました。
どこが変わったでしょうか?
また、このメロディのkey(キー)はなんだと思いますか?
Theory03-07
キーを示す調号について③
正解は 『 Aメジャースケール 』 が基本となっているメロディでした。
一体どこを見ればよいのかというと、楽譜の一番左はじにある
#(シャープ)や♭(フラット)がついてるところを見るのです。
この楽譜の場合だと、「C」と「F」と「G」の3カ所に#が最初についていますから
3つの音は半音上げて黒鍵を弾きますよ、という指示になります。
この時に「A」から音を並べていくと 全音-全音-半音-全音-全音-全音-半音
つまり 『 ドレミファソラシド 』 に聞こえるわけです。
だから 『 Aメジャースケール 』 なのです。
Theory03-08
キーを示す調号について③
つまり、楽譜の冒頭についてる、#や♭などの調号が、key(キー)と関係性がある、
ということを抑えておく必要があります。
例えば・・・
とか。
でも丸暗記とかはしたくないですよね?
そこでこの調号について、覚え方にちょっとしたコツがあるのでまとめてみました。
Aメジャースケール A♭メジャースケール C♯メジャースケール
Theory03-09
キーの構造 ~ 覚え方のコツ① ~
Cメジャースケール (♯も♭ない状態) からはじまって・・・
[♯のつく順番 ⇒ FCGDAEB ] [♭のつく順番 ⇒ BEADGCF ]
・・・という風に記号の数が1つずつ増え、キーは変化していきます。
この時に♯の付き方は「ファドソレラミシ」
♭の付き方は「シミラレソドファ」
であると、音読して覚えてしまうのが一番ラクだと思います。
ちなみに、「ファドソレラミシ」を逆から読むと「シミラレソドファ」になるんです。
つまりどちらか1つだけを覚えておけばなんとかなるわけです。
Theory03-10
キーの構造 ~ 覚え方のコツ② ~ [ シャープ編 ]
では次に、♯や♭がついてる楽譜を見た時に、
それが一体なんのkey(キー)であるのかを見極めるコツを伝授します。
まずシャープの場合は 【 最後に#がついてるところの半音上 】key
♯が1個の場合最後の#が「F#」
「F#」の半音上は「G」
♯が3個の場合最後の#が「G#」
「G#」の半音上は「A」
♯が5個の場合最後の#が「A#」
「A#」の半音上は「B」
最後の#がG# 最後の#がA# 最後の#がF#
Aメジャースケール Bメジャースケール Gメジャースケール
Theory03-11
キーの構造 ~ 覚え方のコツ③ ~ [ フラット編 ]
フラットの場合は 【 最後から1つ手前の♭がついてるところ 】 key
この覚え方のメリットは 「見たまま言えば良いこと」
なので頭の中で変換したりする必要がないのがとってもラク!
(その他にも覚え方はいろいろあると思います。自分の覚えやすいカタチで覚えてみてください)
♭が1個の場合のみ覚えてしまう方がカンタンかも
♭が3個の場合最後から1つ手前の♭が「E♭」
♭が5個の場合最後から1つ手前の♭が「D♭」
最後から1つ手前の♭がE♭ 最後から1つ手前の♭がD♭ この場合のみ1つ手前がない
E♭メジャースケール D♭メジャースケール Fメジャースケール
Theory03-12
♯・♭を1つずつ増やしていくと環状になる
キー同士をつないだこの環状構造のことを【五度圏】と呼ぶ。
一見ややこしいが、音楽の世界の世界地図のようなものと捉えておくと良い。
Cキー
Gキー
Dキー
Aキー
Eキー
Bキー
F#キー
G♭キー
Fキー
B♭キー
E♭キー
A♭キー
D♭キー
=実質同じ
#を足していくと
♭を足していくと
Theory03-13
キーに基づくコード 【ダイアトニックコード】
このkey(キー)の概念に基づいて
3度ずつ積み重ねたコード類のことを
【ダイアトニックコード】と呼びます。
詳しくは次回解説していきます。
R 3 5 7M
Ⅰmaj7 [ Cmaj7 ]
Ⅱm7 [ Dm7 ]
R m3 5 7
Ⅲm7 [ Em7 ]
R m3 5 7
Ⅳmaj7 [ Fmaj7 ]
R 3 5 7M
Ⅴ7 [ G7 ]
3R 5 7
Ⅵm7 [ Am7 ]
R m3 5 7
Ⅶm7(♭5) [ Bm7(♭5) ]
R m3 5♭ 7
Theory03-14
使える!コード理論
第4回
『 ダイアトニックコード 』
と 『 主要三和音 』
ダイアトニックスケール上の音を
3度ずつ積み重ねたコードのことを【ダイアトニックコード】と呼びます。
楽曲のメロディやハーモニーの基本となる重要なコードです。
ダイアトニックコードには3音で作る【トライアド】と
4音で作る【テトラッド】があります。※参照 [Palette04-01a~03b]
どちらを使うかは、欲しいサウンドによって使い分けることとなります。
ダイアトニックコードとは?
Cメジャーキーのダイアトニックスケール
ドレ
ミファ
ソラ
シ(ド)
Cメジャーキーの場合は「ドレミファ
ソラシ」の7つの音のみを使うということになります。
特定の音だけを使うことでサウンドに統一感が生まれます。
Theory04-01
7つあるダイアトニックコードの中で
Ⅰ・Ⅳ・Ⅴをルートとした3つコードのことを 【主要三和音 】 と呼びます。
キーを聴き手に感じさせる上で特に重要なコードです。
それぞれをⅠ=【トニック】 Ⅳ=【サブドミナント】Ⅴ=【ドミナント】いう
役割名で呼びます。
Ⅰ(Ⅰmaj7)トニック
ド
ミ
ソ
(シ)
ファ
ラ
ド
(ミ)
ソ
シ
レ
ファ
Ⅳ(Ⅳmaj7)サブドミナント
Ⅴ7
ドミナント
『 トニック 』 とは?⇒キーの中心となるコードのこと。
コード進行のはじまりや終わりに使うことで、楽曲のキーがわかりやすくなる性質があります。
では 『 ドミナント 』 『 サブドミナント 』 は一体どんな性質を持つのでしょうか・・・?
主要三和音とは?
Theory04-02
Ⅰ(トニック)
Ⅳ(サブドミナント)
Ⅴ7(ドミナント)
‣キーの軸となる音(主音)
‣トニックがなぜか進みたくなる音‣なぜかトニックに帰りたくなる音
なぜか進みたい!
主要三和音それぞれの関係性について
なぜか進みたい!
Theory04-03
⇒鍵は「減5度音程(通称:トライトーン)」にあります。
そこで第一回で学んだ 『 度数 』 を振り返ってみよう。
「減5度」の響きを聴いた時、あなたはどんな印象を抱きますか?
その減5度(トライトーン)から感じる印象が主要三和音のカギ!
減5度ってどんな響きだったっけ?
なぜ進みたくなってしまうのか?
Theory04-04
まずⅤ7(ドミナント)に注目してみると、
3rdの「シ」 と7thの 「ファ」がトライトーンであることが分かります。
つまり、ドミナントとは不安定な響きを含むコードなのです。
ということは、その不安定な響きのコードは当然聴き手になんとも
スッキリしない、もやもやした印象を与えるわけです。
3和音と4和音の使い分けについて。
さきほど 「欲しいサウンドによって使い分ける」 と書きました。 ただ、
コードをより使いこなしていく上で、ドミナントは4和音でとらえておいた方が何かと理解しやすかったりします。
ですので、この講座では基本ドミナントは4和音でレクチャーをしていきます。
Root = ソ
3rd = シ
5th =レ
7th = ファ
Ⅴ7
ドミナント
まずはドミナントを観察してみよう (1)
トライトーン(減5度)
=半音6個
もやもや…
Theory04-05
そこで、そのスッキリしない印象を“一番ラクに解消しよう”とした時に
登場するのが「ド」と「ミ」です。「シ」と「ファ」のトライトーンをそれぞれ
半音ずつ狭めるだけで、「ド」と「ミ」の長3度の落ち着いた響きに変わ
ります。そしてそのドとミを持っているのがⅠ(トニック)なのです。
つまりドミナントにはトニックとつなぐとスッキリする性質があるのです。
★ワンポイント★
「落ち着いた響き」がする度数は長3度以外にも、完全5度なども考えられます。
しかし、ドとミ以外の音につなごうとすると、ダイアトニックスケールではない音(黒鍵)になってしまったり、妙に音が飛んだりしてしまうのです。(ぜひ鍵盤で試してみてください)
スムーズにつなぐのにはドとミが一番相性がいいんですね。
Ⅰトニック
ド
ミ
ソ
ソ
シ
レ
ファ
Ⅴ7
ドミナント
まずはドミナントを観察してみよう (2)
長3度
もやもや… スッキリ!
Theory04-06
ドミナントに含むトライトーンは不安定な響きを持つわけですが、わざわざ鳴らすことで
一体どんな効果が得られるのでしょうか。 これはドミナントを「空腹」 トニックを「食事」
・・などとイメージするとわかりやすいかもしれません。
例えば、おなかがペコペコの時に食べるご飯ってすごく美味しいですよね?
それに対して、ずっとおなかがペコペコなままでいるとか、もうおなかいっぱいなのに延々
食べさせられるとしたらどうでしょうか。 ぺこぺこのままならいずれ餓死しちゃいます。
また、凄いご馳走ならいくらでも美味しく食べれるか・・と言われると、満腹の時に無理矢
理食べても空腹の時ほど美味しく感じなかったりします。
実はコードの世界も同じで、所々にドミナントとトニックをセットで入れてあげることで
美味しいコード進行を作ることができるのです。
トライトーンの効果って?
‣ おなかがペコペコの時に食べるご飯は最高においしい!
Theory04-07
続いてⅣ(サブドミナント)の重要性について触れます。
ただし、そのカギとなるのは実はⅠ(トニック)の倍音にあります。
第一回目で解説したように、この世のすべての音には
基本的に倍音が含まれています。そこでコード理論のカギと
なってくるのがルート(ベース)が鳴らしている倍音なのです。
第1倍音から第7倍音までの音を
合体させるとセブンスコードなります。
例えばド(C)を鳴らした時に、倍音はうっすらとC7というコードを
鳴らしてるのと同じような状態になります。
あれ、そういえばなんとかセブンスというコード、さっきも触れませんでしたっけ?
次はトニックを観察してみよう (1)
ド
ミ
ソ
Ⅰトニック
C7
トニックのルートが持つ倍音
ド
ミ
ソ
シ♭
Theory04-08
先ほどⅤ7(ドミナント)の解説では、セブンスコードの3rdと7thは減5度(トライトーン)となっていて、不安定な響きを持っていることが
分かりました。と、いうことは・・・?実は倍音の中にもトライトーンがあるのです。
(あくまでも倍音の中なのでうっすらではあります)
次はトニックを観察してみよう (2)
C7
トニックのルートが持つ倍音
Root = ド
3rd = ミ
5th = ソ
7th = シ♭
トライトーン(減5度)
=半音6個
ちょっともやもや…
Theory04-09
ということは、その倍音の中にあるトライトーンも、
Ⅴ7(ドミナント)と同じことをすればスッキリするはずですよね。
そこでトライトーンを半音ずつ狭めてみると登場するのが「ファ」と「ラ」
つまり、「ファ」からはじまるⅣ(サブドミナント)につなぐと、
トニックはスッキリすると言えます。
次はトニックを観察してみよう (3)
C7
トニックの倍音
Root = ド
3rd = ミ
5th = ソ
7th = シ♭
長3度
Ⅳサブドミナント
隠されたもやもや…
なんだかスッキリ!
Theory04-10
主要三和音まとめ
コードで直接鳴らしているトライトーン、
または倍音で鳴らしているトライトーンがコードの理解のカギ!
トニックからつなぐとなんとなくスッキリするのがサブドミナント。
また、トニックについつい戻りたくなってしまうのがドミナントといえます。
この3つのコードを活かすのが、イメージ通りのコード進行を作れる
ようになるための最初の一歩!と言えるでしょう。
Theory04-11
ダイアトニックコード(3和音)①
長3度
Ⅰ [ C ]
完全5度
R 3 5
Ⅱm [ Dm ]
短3度
R m3 5
Ⅲm [ Em ]
短3度
R m3 5
Ⅳ [ F ]
長3度
完全5度
R 3 5
完全5度
完全5度
Palette04-01a
ダイアトニックコード(3和音)②
Ⅴ [ G ]
長3度
3R 5
完全5度
短3度
R m3 5
Ⅵm [ Am ]
Ⅶm(♭5) [ Bm(♭5) ]
短3度
R m3 5♭
減5度
完全5度
Palette04-01b
ダイアトニックコード(3和音+7th系) ①
長3度
R 3 5 7M
Ⅰmaj7 [ Cmaj7 ]
Ⅱm7 [ Dm7 ]
短3度
R m3 5 7
Ⅲm7 [ Em7 ]
短3度
R m3 5 7
Ⅳmaj7 [ Fmaj7 ]
長3度
R 3 5 7M
完全5度
長7度
完全5度
短7度
完全5度
短7度
完全5度
長7度
Palette04-02a
ダイアトニックコード(3和音+7th系) ②
Ⅴ7 [ G7 ]
長3度
完全5度
短7度
3R 5 7
Ⅵm7 [ Am7 ]
短3度
R m3 5 7
Ⅶm7(♭5) [ Bm7(♭5) ]
短3度
R m3 5♭ 7
減5度
短7度
完全5度
短7度
Palette04-02b
Ⅰ6 [ C6 ]
長3度
R 3 5
ダイアトニックコード(3和音+6th) ①
6
Ⅱm6 [ Dm6 ]
短3度
R m3 5 6
Ⅲm6 [ Em6 ]※
短3度
R m3 5
6
Ⅳ6 [ F6 ]
長3度
R 3 5 6
完全5度
長6度
完全5度
長6度
完全5度
長6度
完全5度
長6度
Palette04-03a
3 5
ダイアトニックコード(3和音+6th) ②
6
※土台は3和音のダイアトニックコードと同じ。しかし、6thの音がダイアトニックスケール上の音ではないため、厳密にはダイアトニックコードではない。
Ⅴ6 [ G6 ]
長3度
3R 5 6
Ⅵm6 [ Am6 ] ※
短3度
R m3 5
6
Ⅶdim [ Bdim ] ※
短3度
R m3 5♭
6
完全5度
長6度
完全5度
長6度
減5度
長6度
Palette04-03b
第4回課題用資料 [ 主要3和音① ]
Ⅰ(C)
長3度
Ⅰ [ C ]
完全5度
R 3 5
Ⅳ(F)
Ⅳ [ F ]
長3度
完全5度
R 3 5
Palette04-04a
第4回課題用資料 [ 主要3和音② ]
Ⅴ7
Ⅴ7 [ G7 ]
長3度
完全5度
短7度
3R 5 7
Palette04-04b
使える!コード理論
第5回
『 トニック 』 『 ドミナント 』
『サブドミナント』
Ⅰ(トニック)
Ⅳ(サブドミナント)
Ⅴ7(ドミナント)
主要三和音をつなげてコード進行を作ってみよう①
今回は前回学んだ主要三和音同士をつないで
実際にコード進行を作っていきます。
ちなみに使うコードは3種類しかありませんので、
つなぎ方は矢印で示した6通りで全てとなります。
Theory05-01
主要三和音をつなげてコード進行を作ってみよう②
では実際にコード同士を繋げてみましょう。
と言っても、基本的にはどこからどこに繋げても問題はありません。
「やったらいけない」 ということはない、と思ってOK!
( a )
( b )
( b )
例えばこの3パターン全部オッケー
ただし・・・
Theory05-02
主要三和音をつなげてコード進行を作ってみよう③
前回やった主要三和音、それぞれの性質を振り返ってみましょう。
まず、Ⅴ7(ドミナント)はトライトーンの効果でⅠ(トニック)に帰りたくなる
性質がありました。 また、Ⅰ(トニック)は倍音中に含んでいる
トライトーンの効果でⅣ(サブドミナント)に進みたくなる性質がありました。
・・ということは?
Theory05-03
主要三和音をつなげてコード進行を作ってみよう④
主要三和音はどのように繋げてもOKではあるのですが、
ピンク色の矢印には、トライトーンがスッキリする
特別な効果が伴うといえます。
Ⅰ(トニック)
Ⅳ(サブドミナント)
Ⅴ7(ドミナント)
Theory05-04
主要三和音をつなげてコード進行を作ってみよう⑤
そこで、このピンク色の矢印の流れを最大限に活用してみると
例えばこんなコード進行が作れます。
聴いてみてあなたはどんな印象を受けますか?
トライトーンの力を活用
Theory05-05
主要三和音をつなげてコード進行を作ってみよう⑥
では次に、このピンク色の矢印の流れに完全に逆らってみると
こんなコード進行が作れます。
トライトーンの流れに逆らう
聴いてみてあなたはどんな印象を受けますか。先ほど聴いたコード進行と比べてどんな違いを感じますか?
Theory05-06
ドミナント終止 と サブドミナント終止
紹介した2つのコード進行ですが、トライトーンの流れを活用した方が
最後トニックに着地した時によりスッキリ感がありました。
これは前回も解説したように、Ⅴ7(ドミナント)がⅠ(トニック)に結びつく
のは「空腹」の時に食べる「食事」のような関係にあるから。
そしてこのトライトーンの性質を借りてトニックに着地することを
「ドミナント終止」と呼びます。
一方でⅣ(サブドミナント)がⅠ(トニック)に結びつくことを
「サブドミナント終止」と呼びます。
これを食事に例えるなら「空腹ではない」時に食べる「食事」の
ような関係と言えるでしょう。 例え食事の内容が同じでも、
おなかがペコペコの時に食べるほどの感動や喜びは感じにくい
イメージですね。
Theory05-07
<STEP1>
まず4つのコードの組み合わせでどんな流れにするのかをイメージしようとする。
▷ 自分が思い描いたような楽曲・コード進行を作っていく上で重要なことは 「流れをイメージすること」 です。
仮に流れをイメージしてない状態でなんとなくコード進行を作ってしまうとどうなるかというと、
どう調整したら良いのかが分からないままひたすらコードをこねくり回したあげく、
結局思うような形にならない・・・と言ったことになりがちかもしれません。
▷ ではどうしたら良いかというとまず
「楽曲というのは短いコード進行の組み合わせでできている」 ということと
「コード進行には物語作りのような流れがある」 という捉え方をしてみることです。
▷ そこで、今回は実際の作曲で使われることが多い 『 4つのコードの組み合わせ 』 を基本とした
一つのコード進行作成プロセスを考えてみます。
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目
4つのコードの組み合わせを基本とする
何かのコード 何かのコード 何かのコード 何かのコード
T・D・SDを使った コード進行作成プロセス例
Recipe05-01
例えば 「 ずっと繰り返せる流れ 」 「 この先を期待させるような流れ 」 が欲しい場合
⇒ 4小節目にⅤ7(ドミナント)を配置する。▷ なぜかというと、コード進行の最後をV7(ドミナント)にすると、トライトーンの響きが
「このままでは落ち着かない」 「この先が気になる…!」 という
次のコード進行にスムーズにつながる 『 引き 』 の構造をつくりだせるからです。
続きが聴きたくて仕方がない状態を意図的に作れたらしめたもの。
▷ これができるようになると、1つのコード進行を何度も繰り返すこともできますし、
他のコード進行と接続して、より長いコード進行(楽曲)を作ることもとっても簡単になります。
実用度がとても高いので、今回の例では 「4小節目はⅤ7」 のみに絞って考えてみることにします。
T・D・SDを使った コード進行作成プロセス例
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
4つのコードの組み合わせ
何かのコード Ⅴ7何かのコード 何かのコード
もやもや…
続きが気になる 新たな展開
Recipe05-02
<STEP2>
コード進行の終わりが決まったら、今度は1小節目に使うコードについて考えてみます。
▷ なぜなら、コード進行の1つ目のコードが第一印象を決めるカギだからです。
また、どのコードから始めるかによって、その後に続くコード進行にも大きく影響します。
▷ ちなみに今、考えられる選択肢は3つあります。それは「Ⅰ(トニック)」 「Ⅳ(サブドミナント)」 「Ⅴ7(ドミナント)」 の3つ。
▷ では、それぞれを選ぶとどんな印象をあたえるのかを見ていきましょう。
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
4つのコードの組み合わせ
何かのコード Ⅴ7何かのコード 何かのコード
さてどうしよう?
T・D・SDを使った コード進行作成プロセス例
Recipe05-03
コード進行の始まりに配置するコードによる違い
(ナレーション) 時は宇宙歴3108年、銀河系第13惑星イオムジークは滅亡の危機に瀕していた。
ふたつの巨大国家が引き起こした戦争が惑星の存亡そのもの脅かす事態になっていたからである。
その巨大国家とは、肉資本主義国家ぽんぽこランド帝国と、白米民主主義を掲げ帝国に反旗をひる
がえしたおかわり自由同盟である。
この二国家の抗争は実に130年に及び、両国に甚大な犠牲を生んでいた。そして、宇宙歴31世紀
末、停滞しきった歴史は突如として転換点を迎えることになる。
帝国と同盟、その双方にふたりの天才的な音楽家が登場したのだ。のちに帝位を簒奪することにな
る「ジョンブルの使者」ウラ・オーと、「宇宙の胃袋」と呼ばれる若者ベア・ユ・キーネである。
ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、幾度となく激突する。最後に勝つのはどちらなのか? ふたりの音
楽家を中心に、壮大な物語が幕をあける・・・
~ Ⅰ(トニック) 始まり ~
トニックはキーの中心となるコードですので、コード進行の始まりや終わりに最も多用されるお約束的なコードです。トニックで始めると地に足がついたような
とてもスムーズな立ち上がりのコード進行になります。
この感じを映画に冒頭に例えてみるとこんな感じでしょうか。
上記の内容はともかくとして、映画のプロローグがこういう始まりだと、世界観がスッと理解しやすいですよね。 このスムーズで王道的なスタートが作れるのがトニック始まりの特徴といえます。
Recipe05-04a
コード進行の始まりに配置するコードによる違い
ドガガガガガガッッ…!(マシンガンの音)
A「やばいぞ、ザキパン教の奴らに見つかった!逃げるぞ…!」
B「くそっ、あいつらマジでしつこいな!」
チュイン!チュイン!
C「絶対に逃がすな、何がなんでも仕留めろ!なんならナイススティック砲を使ってもかまわん!」
だだだだだだだだっ・・・(走る音)
B「おい、ひょっとしてこの先行き止まりじゃないか? どうするんだよ…!?」
A「大丈夫だ、確かこのあたりだったと思うが・・・」
(床の隠し通路から人の頭が見える)
D「ユ・キーネ!こっちよ!早く中に…!」
A「よし!」 B「ありがてぇ!」 (隠し通路に飛び込み息を潜める3人。追っ手は通り過ぎていく)
A「・・・・・ハァ・・ハァ・・なんとか無事みたいだな」
B「無事は無事だけどよ、生き残ったのは俺たち2人だけかよ、これからどうしたらいいんだ・・・」
~ Ⅳ(サブドミナント) 始まり ~
キーの中心であるトニックが進みたくなる先であるサブドミナント。お約束のトニックではないサブドミナントから始めると、まるで何か起きている場面を途中から切り取ったような
ピークからはじまる感じのコード進行になります。
この感じを映画に冒頭に例えてみるとこんな感じでしょうか。
上記の内容はともかくとして、映画の始まりがこういう感じだと、何が何だか分からないけれど最初から盛り上がってる感じがありますよね。 こういった前置きはすっとばしてさっさとピークから始められるのがサブドミナント始まりの特徴といえます。
Recipe05-04b
コード進行の始まりに配置するコードによる違い
~ Ⅴ7(ドミナント) 始まり ~
トライトーンを持つドミナントから始めることは正直あんまりしません。なぜなら、コード進行の最初からトライトーンを鳴らしてしまうと、
「さぁここからどんどんコードを進行を進行していこう!」ってタイミングで、つい生理的にトニックに着地したくなってしまう訳です。
その時に、素直にトニックに着地してしまうとどうなるかというと、これからってところで着地してしまうため、中途半端に尺が余ってしまうのです。
かといって着地をしないでいると、今度は聴き手はもやもやしてしまいます。
ドミナント始まりは、上手に使えば使うこと自体は不可能ではないのですが多少工夫が要求されます。また、あまり実用度は高くないことから、
まずはトニック始まりと、サブドミナント始まりから習得するのをオススメします。
トニック始まりとサブドミナント始まりをマスターしてからチャレンジしてみると、どのように工夫したら良いのかも見えてくることでしょう。
⇒ まずはトニック始まり、サブドミナント始まりをバランスよく使ってみよう
Recipe05-04c
<STEP3>
コード進行の始まりと終わりが決まったら最後に、2・3小節目について考えてみる。
▷ 2,3小節目に入れるコードによって、最終的な4小節の流れを色々と変えることが可能です。
ポイントは「演出的に考えてみること」です。では次のページからは、実際にどんなイメージでコード進行を作っているのか、いくつか例を紹介します。
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅰ(トニック) Ⅴ7何かのコード 何かのコード
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅳ(サブドミナント) Ⅴ7何かのコード 何かのコード
さて残りの2コードはどうしよう?
トニック始まり
サブドミナント始まり
T・D・SDを使った コード進行作成プロセス例
Recipe05-05
Ⅰ( トニック ) はじまりのコード進行例 と そのイメージ①
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅰ Ⅴ7Ⅰ Ⅳ
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅰ Ⅴ7Ⅳ Ⅰ
コードを変えずにガマンしてひっぱって後半で ぐい~ん…
着地!
最初は小さな波 一度下がって力をためて
反動を付けてぐい~ん…
着地!
アイディア①Ⅰ-Ⅰ -Ⅳ -Ⅴ7
アイディア②Ⅰ-Ⅳ -Ⅰ -Ⅴ7
▷ 最初をガマンすることで後半の動きを際立たせる演出。
▷ 小さな波⇒大きな波と見せることでダイナミックさと変化を演出。
Recipe05-06
Ⅰ( トニック ) はじまりのコード進行例 と そのイメージ②
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅰ Ⅴ7Ⅳ Ⅴ7
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅰ Ⅴ7Ⅴ7 Ⅳ
すぐに着地せずにトライトーンをひっぱってからの…
着地!
トニックに行くと思わせてフェイント
着地!
アイディア③Ⅰ-Ⅳ –Ⅴ7 -Ⅴ7
アイディア④Ⅰ-Ⅴ -Ⅳ -Ⅴ7
最初から大きく ぐい~ん…
もう一度 ぐい~ん 今度こそ…?
▷ 後半ずっとトライトーンでひっぱることで着地に爽快感を出す演出。
▷ 最初の大きな波はフェイント、二度目が本命という演出。
ぐい~ん…
Recipe05-07
Ⅳ( サブドミナント ) はじまりのコード進行例 と そのイメージ①
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅳ Ⅴ7Ⅰ Ⅳ
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅳ Ⅴ7Ⅴ7 Ⅰ
前半の動きの反動を使って後半で ぐい~ん…
着地!
着地!
アイディア⑤Ⅳ-Ⅰ -Ⅳ -Ⅴ7
アイディア⑥Ⅳ-Ⅴ -Ⅰ -Ⅴ7
▷ 4小節を使って大きく往復する動きを使って着地を目指す。
▷ 最初の大きな波はフェイント、二度目が本命という演出。
浮遊感があるところから一度落ち着けて
最初から ぐい~ん…着地!
更にもう一度 ぐい~ん…
Recipe05-08
Ⅳ( サブドミナント ) はじまりのコード進行例 と そのイメージ②
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅳ Ⅴ7Ⅳ Ⅰ
何かのコード
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目 1小節目
Ⅳ Ⅴ7Ⅰ Ⅴ7
一度落ち着けてからラストで ぐい~ん…
着地!
着地!
アイディア⑦Ⅳ-Ⅳ –Ⅰ -Ⅴ7
アイディア⑧Ⅳ-Ⅰ -Ⅴ7 -Ⅴ7
▷ 4小節を使って大きく往復する動きを使って着地を目指す。
▷ 一度落としたあとに後半はずっとトライトーンでひっぱる演出。
浮遊感を出したままひっぱって
浮遊感があるところから一度落ち着けて
すぐに着地せずトライトーンでひっぱってからの…
Recipe05-09
ここまでのようにコード進行に対して流れのイメージ持った上で、
4つのコードを組み合わせると、無事意図した流れの4小節のコード進行が完成する。
▷ また、こうして生み出したコード進行同士を組み合わせることで更に長い進行を作ることも可能。
< アイディア ① と ⑤ を組み合わせて8小節のコード進行にした例 >
T・D・SDを使った コード進行作成プロセス例
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目
Ⅰ Ⅴ7Ⅰ Ⅳ
5小節目 6小節目 7小節目 8小節目
Ⅳ Ⅴ7Ⅰ Ⅳ
Recipe05-10
< 補足 >
なお、コード進行(楽曲)を完全に終わらせたい場合は、
「4小節のコード進行+1小節(トニック)」という形を取ると良い。
< アイディア ① からコード進行を終わらせた例 >
T・D・SDを使った コード進行作成プロセス例
1小節目 2小節目 3小節目 4小節目
Ⅰ Ⅴ7Ⅰ Ⅳ
5小節目
Ⅰ
終わり
Recipe05-11
使える!コード理論
第6回
『 代理コード 』
ダイアトニックコード 代理コード一覧①
R 3 5 7M
Ⅰmaj7 [ Cmaj7 ] = トニック Ⅵm7 [ Am7 ] = トニック代理
R m3 5 7代理可能
トニックとしての重要な2音
Ⅲm7 [ Em7 ] = トニック代理
R m3 5 7代理可能
トライトーンを解消させる トニックとしての重要な2音が揃っていない!
「ミ」「ソ」「シ」を持つ
トライトーンを解消させる トニックとしての重要な2音
「ド」「ミ」「ソ」を持つ
⇒ そのコードの機能を果たすために重要な2音(セットで揃っていることではじめて意味が出る)
⇒元のコードと類似度を高める共通音
Palette06-01
ダイアトニックコード 代理コード一覧②
Ⅱm7 [ Dm7 ] = サブドミナント代理
R m3 5 7
Ⅳmaj7 [ Fmaj7 ] = サブドミナント
R 3 5 7M
Ⅴ7 [ G7 ] = ドミナント
3R 5 7
Ⅶm7(♭5) [ Bm7(♭5) ] = ドミナント代理
R m3 5♭ 7
代理可能
代理可能
サブドミナントとしての重要な2音
ドミナントとしての重要な2音
サブドミナントとしての重要な2音
ドミナントとしての重要な2音
⇒ そのコードの機能を果たすために重要な2音(セットで揃っていることではじめて意味が出る)
⇒元のコードと類似度を高める共通音
Palette06-02
代理コードとは?
『ある役割を持つコード』に対して、
同じ特徴をもつコード や
類似度の高いコード のことを
『代理コード』 と呼びます。
『代理コード』 はその名の通り
自由に差し替えが可能なコードです。
例えば、メロディとコード進行がすでに確定している曲がある時、
任意のコードを、その代理コードにおもむろに差し替えても
基本的にそのまま曲が成立してしまうバリエーションコードなのです。
代理コードをマスターしておくと
例えば元はとてもシンプルなコード進行の曲でも
色彩ゆたかなコード進行にいくらでも変えることが可能になります。
そこで今回は、主要三和音トニック・サブドミナント・ドミナント
この3つの役割のコードの代理コードについて
理解を深めていきましょう。
Theory06-01
代理コード 『ドミナント』
まず最初に着目するのは
主要三和音Ⅴ7 (ドミナント) です。
ドミナントにはある特徴がありましたね。
それは「シ」と「ファ」が作る【トライトーン】
トライトーンがあることによって、ドミナントは不安定な響きを持っていた。
・・・ということは?
同じ特徴である トライトーンを持つ、Ⅶm7(♭5)は、
ドミナントと同じ役割を果たすことが可能なのです。
Ⅴ7 [ G7 ] = ドミナント
3R 5 7
Ⅶm7(♭5) [ Bm7(♭5) ] = ドミナント代理
R m3 5♭ 7代理可能
ドミナントとしての重要な2音(トライトーン) ドミナントとしての重要な2音(トライトーン)
Theory06-02
代理コード 『サブドミナント』
次に着目するのは
主要三和音ⅣMaj7 (サブドミナント) です。
サブドミナント には トニックから繋げるとなぜかスッキリする特徴がありました。
それはサブドミナントⅣMaj7が持つ「ファ」と「ラ」が、
トニックの倍音に含んでいる【トライトーン】をスッキリさせていたからでした。
・・・ということは?
同じ特徴である 「ファ」と「ラ」を持つ、Ⅱm7は、
サブドミナントと同じ役割を果たすことが可能なのです。
Ⅱm7 [ Dm7 ] = サブドミナント代理
R m3 5 7
Ⅳmaj7 [ Fmaj7 ] = サブドミナント
R 3 5 7M 代理可能
サブドミナントとしての重要な2音 サブドミナントとしての重要な2音
Theory06-03
代理コード 『トニック』①
そして最後に残ったのは
主要三和音ⅠMaj7 (トニック) です。
トニックの代理コードについては、
他の主要三和音と同様に
「同じ特徴を持つコード」
に加えて
「類似度が高い(=共通音が多い)コード」
という考え方の両方で捉えるのが
バリエーションを増やすのにとても効果的です。
R 3 5 7M
Ⅰmaj7 [ Cmaj7 ] = トニック Ⅵm7 [ Am7 ] = トニック代理
R m3 5 7代理可能
トライトーンを解消させる トニックとしての重要な2音 トライトーンを解消させる トニックとしての重要な2音
「ド」「ミ」「ソ」を持つ 「ド」「ミ」「ソ」を持つ
Theory06-04
代理コード 『トニック』②
トニックの代理コードとして
Ⅵm7とは別にしばしば 『Ⅲm7』 が使われることがあります。
この時に、少し気をつけないといけないことがあります。
それはⅠMaj7と比べた時に、
共通音は3つと類似度は高いのですが、
ドミナントのトライトーンを解消する「ド」と「ミ」が揃っていない
ということです。
つまり、ドミナントの直後に来るトニックをⅢm7に差し替えると
トライトーンのもやもやがスッキリしなくなってしまうのです。
よほど何か明確な狙いがない限りは、ドミナント直後のトニックは
Ⅲm7に差しかえない方が良いかもしれません。
R 3 5 7M
Ⅰmaj7 [ Cmaj7 ] = トニック Ⅲm7 [ Em7 ] = トニック代理
R m3 5 7代理可能
トライトーンを解消させる トニックとしての重要な2音 トライトーンを解消させる トニックとしての重要な2音が揃っていない!
「ミ」「ソ」「シ」を持つ 「ミ」「ソ」「シ」を持つ
Theory06-05
代理コード まとめ
このように、あるコードが特定の役割を果たすためには
必ず 【要となっている重要な2音】 があります。
そして、同様にその重要な2音を持つコードは
代理コードとして差し替えが可能になるのです。
極端な話をいうと、その重要な2音さえ持っていれば
少々ヘンなコードであっても代用が可能だったりします。
(ただし、メロディと合っているかどうかは別の問題なので
個別に判断する必要はあります)
現時点ではトニックで重要な2音は「ド」と「ミ」
サブドミナントで重要な2音は「ファ」と「ラ」
ドミナントで重要な2音は「シ」と「ファ」=トライトーン
と認識しておくと良いでしょう。
しかし・・・となると・・・主要三和音を観察していて何か気づくことがないでしょうか。
(これに気づけるとコードの使いこなしが劇的にパワーアップします)
Theory06-06
<STEP1>
まず主要三和音でコード進行を作り、各コードの役割を明確にする。
▷ 代理コードを意図的に使うためには、まず自分が使っているコードの役割を把握しておく必要があります。
代理コードを使うプロセス例①
Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅴ7
トニック トニック サブドミナント ドミナント
主要三和音を使ったコード進行例 (a)
Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ Ⅴ7
サブドミナント ドミナント トニック ドミナント
主要三和音を使ったコード進行例 (b)
Recipe06-01
<STEP2>
トニックを個別に代理コードに差し替えるか検討する。
▷ トニックが、Ⅰ(メジャー)の響きになるか、Ⅵm(マイナー)の響きになるかによって
楽曲の持つ流れを演出的に変えることが可能なため。
代理コードを使うプロセス例②
Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅴ7
トニック トニック サブドミナント ドミナント
主要三和音を使ったコード進行例 (a)
Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ Ⅴ7
サブドミナント ドミナント トニック ドミナント
主要三和音を使ったコード進行例 (b)
ここの全体、あるいは一部をⅥm(トニック代理)に差し替えが可能
ここの全体、あるいは一部をⅥm(トニック代理)に差し替えが可能
Recipe06-02
代理コードを使うプロセス例③ トニック代理を活用した演出
例えば、Ⅰ(トニック)はメジャーコードなので
その響きを何か【ポジティブなイメージ】に結びつけることが
できかもしれません。
例えば 『春』 とか 『元気』
『恋人』 とか 『受験合格』 とか。
Recipe06-03
代理コードを使うプロセス例④ トニック代理を活用した演出
Ⅰに対して、Ⅵm(トニック代理)はマイナーコードですので
その響きを何か【ネガティブなイメージ】に結びつけることが
できかもしれません。
例えば 『台風』 とか 『寒い』
『失恋』 とか 『受験失敗』 とか。
Recipe06-04
・・と考えてみたときに、ある地点の【トニックA】と次に登場する【トニックB】にⅠかⅥmのどちらを選択するかで
何か物語的な演出ができそうです。
まずはシンプルに考えて【A】と【B】
どちらにもⅠを入れる場合とⅥmを入れる場合が考えられます。
その場合はポジティブかネガティブか、どちらかの印象が続く流れになりそうです。
代理コードを使うプロセス例⑤ トニック代理を活用した演出
トニックA地点 トニックB地点
ポジティブなイメージが続いている感じ ネガティブなイメージが続いている感じ
トニックA地点 トニックB地点
Recipe06-05
・・しかし物語には変化はつきものです。
その変化をトニックの選択で表現してみたらどうでしょうか。
例えばⅠ⇒Ⅵm なら 『恋人』と『失恋』してしまう変化とか。
Ⅵm⇒Ⅰ なら『受験失敗』が『受験合格』する変化とか。
代理コードを使うプロセス例⑥ トニック代理を活用した演出
トニックA地点 トニックB地点
ポジティブからネガティブへの変化 ネガティブからポジティブへの変化
トニックA地点 トニックB地点
Recipe06-06
<STEP3>
サブドミナントやドミナントも、トニック同様に代理コードに差し替えるか検討する。
トニックを差し替えた時と同じく、
【ⅣMaj7(サブドミナント)】 と 【Ⅱm7(サブドミナント代理)】
【Ⅴ7(ドミナント)】 と 【Ⅶm7(♭5) (ドミナント代理)】
・・とでは響きがことなるので、そこを考慮しつつ自分のイメージにあう選択をする。
代理コードを使うプロセス例⑦
Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅴ7
トニック トニック サブドミナント ドミナント
主要三和音を使ったコード進行例 (a)
ここの全体、あるいは一部をⅡm(サブドミナント代理)に差し替えが可能
ここの全体、あるいは一部をⅦm7(♭5) (ドミナント代理)に差し替えが可能
Recipe06-07
<STEP4>
トニック・サブドミナント・ドミナントと、各種代理コードを自由に差し替えて良いことから、
『コードチェンジのタイミングは小節の変わり目に限らない』 ということが言える。
代理コードを使うプロセス例⑧ コードチェンジのタイミング
Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅴ7
トニック トニック サブドミナント ドミナント
主要三和音を使ったコード進行例 (a)
Ⅰ Ⅵm Ⅳ Ⅴ7
トニック代理 ドミナント代理
主要三和音を使ったコード進行例 (a’)
Ⅱm Ⅶm7(♭5)
例えばこんな風にしてもコード進行全体の構造は変わらない。
サブドミナント代理【3拍目にチェンジ】
【4拍目にチェンジ】【1拍目にチェンジ】
Recipe06-08
使える!コード理論
第7回
『 プログレッション 』
代理コードの選び方 「プログレッション」
前回、代理コードへの差し替え方を学びました。
トニック(ⅠMaj7 )⇒ トニック代理( Ⅵm7 ) / ( Ⅲm7 )
ドミナント( Ⅴ7 )⇒ ドミナント代理( Ⅶm7(♭5) )
サブドミナント( ⅣMaj7 ) ⇒サブドミナント代理( Ⅱm7 )
(いずれも差し替えても良いし変えなくても良い)
その時に代理コードに差し替えるかどうかを
「なんとなく」「フィーリングで」「好みで」選んでしまっている内は
意図した様な雰囲気・演出の楽曲を
作れるようにはなかなかなりません。
(結局手探りで総当たり的な組み立て方になり、時間が掛かります)
そこでカギとなってくるのが「プログレッション」です。
Theory07-01
「プログレッション」とは?
「プログレッション」とは直訳すると
前進・漸進・発達・進歩という意味の言葉です。
コード理論においては
「音から音へ接続すること」を指します。
よく「コード・プログレッション」という表現がありますが
これはあるコードから別のコードに接続すること
つまりいわゆる 「コード進行」 のことを指しています。
この「プログレッション」ですが、
ある音Aからある音Bへと接続する時には
【2つの原則】と【3つの性質】があるのです。
これら原則と性質を把握しておくことが、
短時間で意図した様にコード進行を組み立てるカギ!
Theory07-02
プログレッション 2原則
Theory07-03
①的には上昇して向かう。
私たちが日常において、何か意図した動作をする時、
大なり小なり自然のチカラに逆らって動きます。
(弓矢で的を射る・ジャンプする・立ち上がる…など)
一方で意図を一切持たない時は、
自然のチカラに身を任せる動きになります。
(木の葉が落ちる・倒れる・・・など)
私たちが日々こうした環境で生活していることから、
音と音を接続する時には
「上への接続=意思」 「下への接続=自然」 を感じさせる性質があります。
②共通音があると接続が強くなる。
音と音を接続した際に共通音(倍音含む)があると強くなる性質があります。
3つの性質 「スイッチ」「スライド」「ピボット」
Theory07-04
完全4度上行 特殊効果発生
完全4度下行 ???
順次上行(長2度・短2度上行) となりのコードへずれる
順次下行(長2度・短2度下行) となりのコードへずれる
代理系上行(長3度・短3度上行) 共通音が多いコードへ接続
代理系下行(長3度・短3度下行) 共通音が多いコードへ接続
増4度上行 ???
スイッチ
スライド
ピボット
該当なし
<ワンポイント>なお、5・6・7度の上行・下行に関しては転回すると2・3・4度の上行・下行と同一になるためプログレッションの性質を区分する際には「4」度の数字が最大と捉えておいた方が混乱せずに済みます。
3つの性質 「スイッチ」 について①
Theory07-05
完全4度上行の性質は「スイッチon」
思い出してみてください。
ⅠMaj7 はⅣMaj7に接続するとなぜスッキリしたのでしょうか?
それは ルートの倍音が持つトライトーンが解決していたから ですよね。
ちなみにⅤ7(ドミナント) がⅠMaj7(トニック) に接続する時にも
当然トライトーンが解決しているわけですが、
仮にドミナント代理であるⅦm7(♭5) からⅠMaj7に接続した時と比べると
どちらの方がスッキリ解決している感が強いでしょうか?
そしてそこに差がある理由は一体なんなのでしょうか。
考えてみましょう。
ヒント : 「コードトーン」と「ルート倍音」の両方を書き出してみる。
3つの性質 「スイッチ」 について②
Theory07-06
「Ⅴ7⇒ⅠMaj7」 と 「Ⅶm7(♭5) ⇒ⅠMaj7」
を比較した時、
なぜⅤ7の方がスッキリ感が強かったか?
それは
【コードトーンのトライトーン】と
【ルートの倍音のトライトーン】
が一致しており
どちらもトニックで解決していたからなのです。※参照 [Palette07-01]
ここでのポイントは
「Ⅰ⇒Ⅳ」にしても、「Ⅴ⇒Ⅰ」にしても、
ルートが完全4度上行している時には、
ルートの倍音中に含まれるトライトーンが
必ず解決する接続になっているということです。
ということは、例えば
「Ⅱ⇒Ⅴ」 「Ⅲ⇒Ⅵ」
「Ⅵ⇒Ⅱ」 「Ⅳ⇒Ⅶ♭(今後出てきます)」
・・・など、完全4度上行する接続は、
キーとは無関係にトライトーンが解決するため
スッキリ感がともなう接続になる
・・と言えるのです。
この接続のことを「強進行」とも呼びます。
完全4度上行
スイッチが入ることでトライトーンの
モヤモヤが解消!
3つの性質 「スイッチ」 について③
Theory07-07
完全4度下行の性質は「スイッチoff」
まず、ⅠMaj7がなぜか結びつきたくなるのは
ⅣMaj7です。(=完全4度上行)
次に、Ⅴ7がなぜか結びつきたくなるのは
ⅠMaj7です。 (=完全4度上行)
完全4度下行は、
その「なぜか結びつきたくなる」チカラに
逆らった接続と言えます。
ニュアンスとしては
流れるプールを逆行する
ようなイメージでしょうか。
(泳いでも泳いでもなかなか前に進まない)
その性質から完全4度下行のことを「弱進行」あるいは「逆進行」と呼びます。
完全4度下行
トライトーンのモヤモヤは放置
3つの性質 「スライド」 について
Theory07-08
順次(2度)上行の性質は「スライド・意思」
順次(2度)下行の性質は「スライド・自然」
例えば山登りをする時には、一歩一歩意思を持って登る必要がありますよね。
一方で、山から下ろうとした時には、重力に身を任せて転がり落ちることが可能です。
実際にコード進行を鳴らしてみましょう。
スライド上行パターン 【ⅠMaj7⇒Ⅱm7⇒Ⅲm7⇒ⅣMa7】
スライド下行パターン 【ⅠMaj7⇒Ⅶm7(♭5)⇒Ⅵm7⇒Ⅴ7】
さてどちらの方が強い意志を感じますか?
また、よくある定番のコード進行で
半音ずつ(短2度ずつ)下行していく【クリシェ】というパターンがあります。
この【クリシェ】を聴いたときに強い意志を感じますか?
3つの性質 「ピボット」 について
Theory07-09
3度上行・下行の性質を「ピボット」
と呼びます。3度の動きでは
必ず共通する音があります。
その「ピボット」には
4通りの区別ができます。
Ⅵm7
トニック代理
ド
ミ
ソ
ミ
ド
ソ
ⅠMaj7
トニック
シ
ラ
共通音3つ
‣ 「長3度上行」 = 接続が強い
( 第5倍音 が 実音化 する )
‣ 「短3度下行」 = 接続が強い
( 第5倍音 が 第3倍音 に変化 )
⇒いずれも倍音がハッキリする接続
‣ 「短3度上行」 = 接続が弱い
( 第3倍音 が 第5倍音 に変化 )
‣ 「長3度下行」 = 接続が弱い
( 第1倍音 が 第5倍音 に変化 )
⇒いずれも倍音が薄まる接続
このことから、主要3和音から各種代理コードにつなぐ時には次の様なことが言えます。
ⅠMaj7(トニック)⇒Ⅵm7(トニック代理)
短3度下行で接続が強い
ⅣMaj7(サブドミナント)⇒Ⅱm7(サブドミナント代理)
短3度下行で接続が強い
実験 : 例えば前後逆にしてみたらどう聞こえるだろう?
増4度上行について
Theory07-10
増4度上行は「スイッチ」「スライド」「ピボット」
いずれの要素も持ち合わせない。
このことから、最も接続しません。
ダイアトニックコード同士の接続で言うと
「ⅣMaj7 ⇒Ⅶm7(♭5)」
あるいはその逆
「Ⅶm7(♭5) ⇒ⅣMaj7 」
が該当します。
使ってはいけない接続ではありませんが
最も違和感があるため、美しいことを重要視しているクラシックなどでは
できるだけ避けることを推奨されていたりします。
逆にその違和感を演出として狙って出したい時には有効と言えそうです。
参考曲紹介①
Theory07-11
(1)ジャズで多用される通称「ツーファイブワン」や「枯葉」
[ ツーファイブワン] ‣ Ⅱm7 ⇒Ⅴ7 ⇒ⅠMaj7
[ 枯葉 ] ‣Ⅱm7 ⇒Ⅴ7 ⇒ⅠMaj7 ⇒ⅣMaj7 ⇒Ⅶm7(♭5) ⇒Ⅲ7 ⇒Ⅵm7
⇒完全4度上行 /⇒増4度上行
ほとんどの接続が【完全4度上行(強進行)】になっています。
ブルースでは時に該当しない接続もありますが、
ボサノバなどジャズ由来のジャンルでは
【完全4度上行】がかなり多用されています。
テンションなどの複雑な響きを使うことからややこしいと思われがちなジャンルですが
そのコアにあるのは、
「倍音中のトライトーンがスイッチで解決する」
という音の性質を素直に活かしているジャンルと言えそうです。
参考曲紹介②
Theory07-12
(2)洋楽で定番の進行 例:Linkin Park 「numb 」の大半
‣ Ⅵm7 ⇒ⅣMaj7 ⇒ⅠMaj7 ⇒Ⅴ7
⇒長3度下行(接続が弱い) /⇒完全4度下行(弱進行)
洋楽で古くから多用されている定番の循環コード進行です。
徹底して接続が弱くなるような組み立て方になっているのが特徴です。
YouTubeにあるPVをぜひご覧ください。
PV中のストーリー展開 と プログレッションの性質 を観察してみると
その演出の一致具合がとても興味深いことに気づくはずです。
歌詞の内容も合わせて見てみると
「なんとなく」このコード進行にしたとはとても考えにくいです。
この一貫性がこの楽曲の説得力を生み出していると言ってもよさそうです。
参考曲紹介③
Theory07-13
(3)パッヘルベルのカノン 通称「カノン進行」
[ カノン進行 ]
‣ⅠMaj7 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅵm7 ⇒Ⅲm7 ⇒ⅣMaj7 ⇒ⅠMaj7 ⇒ⅣMaj7 ⇒Ⅴ7 ⇒ⅠMaj7
⇒完全4度下行(弱進行) /⇒順次(2度)上行(意思) /⇒完全4度上行(強進行)
その魅力的なコード進行ゆえに「カノン進行」という呼び方で定番化し
J-POP でも多用されてきた実績のコード進行です。
原曲では4小節にわたるこの1つのコード進行のみを延々反復しています。
しかし1曲を通して最後まで飽きずに聴けてしまうのはなぜでしょうか?
もしかしたら、この8つのコード進行全体が大きな流れが持っているからかもしれません。
Palette07-01
Ⅰトニック
ド
ミ
ソ
ソ
シ
レ
ファ
Ⅴ7
ドミナント
長3度
Ⅰトニック
ド
ミ
ソ
ソ
シ
レ
ファ
Ⅴ7のルートの倍音
長3度
Ⅰトニック
ド
ミ
ソラ
シ
レ
ファ
Ⅶm7(♭5)
ドミナント代理
長3度
ミ
ソ#
ソ
シ
レ
ファ
Ⅶm7(♭5)のルートの倍音
長3度
Ⅴ7 とⅦm7(♭5) とで、トニックへの接続に差を感じるの理由
コードの実音 ルートの倍音
トニックとは無関係の音に進みたい
トライトーンが完全一致
トライトーンが不一致
Ⅴ7
Ⅶm7(♭5)
3つの性質 「スイッチ」「スライド」「ピボット」 まとめ
完全4度上行 接続「強い」 別名「強進行」
完全4度下行 接続「弱い」 別名「弱進行」「逆進行」
順次上行(長2度・短2度上行) 「意思」
順次下行(長2度・短2度下行) 「自然」
代理系上行(長3度上行) 接続「強い」
代理系上行(短3度上行) 接続「弱い」
代理系下行(長3度下行) 接続「弱い」
代理系下行(短3度下行) 接続「強い」
増4度上行 最も接続しない
スイッチ
スライド
ピボット
該当なし
<ワンポイント>なお、5・6・7度の上行・下行に関しては転回すると2・3・4度の上行・下行と同一になるためプログレッションの性質を区分する際には「4」度の数字が最大と捉えておいた方が混乱せずに済みます。
Palette07-02
<STEP1>
まず作成したコード進行における、各コードの役割を明確にする。
<STEP2>
使える代理コードをピックアップする。
プログレッションを考慮した代理コード使用プロセス例①
Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ
トニック サブドミナント ドミナント トニック
主要三和音を使ったコード進行例
Recipe07-01
Ⅰ Ⅳ Ⅴ7 Ⅰ
トニック サブドミナント ドミナント トニック
主要三和音を使ったコード進行例
Ⅱm(Ⅱm7)も使えるなぁ
<STEP3>
該当するゾーンを全て代理コードに差し替えるバージョンと、
該当するゾーン分割して、当初のコードと代理コード両方使う場合を書き出してみる。
プログレッションを考慮した代理コード使用プロセス例②
Ⅰ Ⅱm Ⅴ7 Ⅰ
代理コードへの差し替え案
Recipe07-02
Ⅰ Ⅱm Ⅴ7 ⅠⅣ
Ⅰ Ⅱm Ⅴ7 ⅠⅣ
①
②
③
<STEP4>
代理コードの選び方によるプログレッションを書き出し、イメージに合う物を選ぶ。
プログレッションを考慮した代理コード使用プロセス例③
Ⅰ Ⅱm Ⅴ7 Ⅰ
代理コードへの差し替え案
Recipe07-03
Ⅰ Ⅱm Ⅴ7 ⅠⅣ
Ⅰ Ⅱm Ⅴ7 ⅠⅣ
①
②
③
スライド(意図) スイッチ(強進行) スイッチ(強進行)
スライド(意図) スライド(意図) スイッチ(強進行)
ピボット(接続弱)
スイッチ(強進行) スイッチ(強進行) スイッチ(強進行)
ピボット(接続強)
「主要3和音とは違ったメリハリが出せそう」
「接続が弱いところを作ることで
スルッとした繋がりを作れそう」
「この3つの中では一番メリハリが出せそう」
使える!コード理論
第8回
『 ボイシング 』 『不協和音』
『ボイシング』とは、コードに含まれるそれぞれの音の垂直的な間隔と並び順を決めることです。
たとえば、下図はすべてCメジャーコードですが
「ボイシングはそれぞれ異なる」
と言えます。
「ボイシング」とは?
Theory08-01
Ⅰ(C)
ド
ソ
ミ
ド
ソ
ミ
ド
ソ
ミ
ソ
Ⅰ(C) Ⅰ(C)
「転回形」とは?
『転回形』とは、コードに含まれるそれぞれの音の積み方・並び順を
『基本形』 とは異なる形に積みかえることです。
たとえば、下図は音の積み方がそれぞれ異なりますが
コードの構成音が「ド」「ミ」「ソ」「シ」であるため、全て「CMaj7 (トニック) 」とされます。
コードの持つ役割は変わらないことに気をつけてください。
Theory08-02
CMaj7
[ 基本形 ]
ド
ソ
シ
ソ
ミ
ドシ
ミ
シ
ミ
ド
ソ
CMaj7
[ 第1転回形 ]
CMaj7
[ 第2転回形 ]
CMaj7
[ 第3転回形 ]
ミ
ド
ソ
シ
「転回形」を使う場面・動機
Theory08-03
例えばCMaj7 ⇒ Am7 の進行の時に
以下の鳴らし方だと、『演奏性』を損なったり
『サウンド』に余計な断片化が発生したり
します。
仮に、それが意図的ならば良いのですが、
そうでない場合は転回形を使うことで
『演奏性の改善』やより『自然なサウンド』
が狙えるのです。
<改善例①…共通音を維持させる>
CMaj7 と Am7 では「ド」「ミ」「ソ」が共通していますので、共通音は同じ高さを維持させ、
演奏上の動きをコンパクトにします。
コツは
『トップノートをできるだけ動かさないこと』
ド
ソ
ラ
ミ
ミ
ド
ソ
シ
ド
ソラ
ミミ
ド
ソ
シ
CMaj7(基本形) ⇒ Am7(基本形) CMaj7(基本形) ⇒ Am7(第1転回形)
クローズド・ボイシング(密集配置)
Theory08-04
ボイシングには大きく分けて2種類あります。
その内の1つが『クローズド・ボイシング(密集配置)』です。
たとえば、CMaj7の基本形の様に
1オクターブ以内に音を積み重ねた場合、
このボイシングをクローズド・ボイシングと呼びます。
ミ
ド
ソ
シ
ファ
ドレ
ラシ
ソ
レ
ファ
1オクターブ
1オクターブ
1オクターブ
CMaj7(基本形) Dm7(第1転回形) G7(第2転回形)
クローズドボイシングに対して
1オクターブを越える音の積み方をすることを
『オープン・ボイシング(開離配置)』と呼びます。
たとえば、次のようなコードの鳴らし方は全てオープンボイシングとなります。
オープンボイシングは広域をカバーするため、
クローズド・ボイシングよりも広がりのあるサウンドが得られるのが特徴です。
オープン・ボイシング(開離配置)①
Theory08-05
CMaj7
ド
ソ
ミ
シ
1オクターブ
越えている
FMaj7
ド
ラ
ミ
ファ
1オクターブ
越えている
G7
シ
ソ
レ
ファ
1オクターブ
越えている
オープン・ボイシング(開離配置)② ~作り方~
Theory08-06
オープン・ボイシングの作り方には3種類あります。
具体的には、まずクローズド・ボイシングの形を決定するところから始めます。
そして、クローズド・ボイシングを(転回形まで含め)決定した後に
以下の3つの型でオープンボイシングに変化させることで完成します。
(なお、1曲中に3つの型が混在しても特に問題はありません)
CMaj7
ド
ソ
ミ
シ
CMaj7
(基本形)
ド
ソ
ミ
シ
[ ドロップ2&4 ]
ファ
ドレ
ラ
Dm7
(第1転回形)
ファ
ド
レ
ラ
Dm7
シ
ソ
レ
ファ
シ
ソ
レ
ファ
G7
(第2転回形)G7
[ ドロップ2 ] [ ドロップ3 ]
「不協和音」について① ~不協和音とは~
コードとメロディを書いていく上で避けて通れないのが『不協和音』です。
英語でアヴォイド・ノートとも呼ばれます。
不協和音はその名の通り、他のパートと協和していない音
つまり、濁って聞こえる音を指します。
よく誤解されることに
『不協和音』=使ってはいけない・間違った音
というのがありますが、そんなことは一切ありません。
むしろ、その濁った響きをスパイスとして有効活用している例は多岐にわたります。
しかし、いずれにしてもどういう状態が
『いわゆる不協和音』
なのかは知っておく必要があります。
分かっていて敢えて狙って使うのと
分かっていないままフィーリングで(知らず知らずの内に)使うのでは
コードの使いこなしに大きな差を生み出すからです。
Theory08-07
「不協和音」について② ~覚え方のコツ~
よく、「不協和音一覧表」・・・みたいのものがあるのですが
丸暗記は苦痛ですし、頑張って暗記をしても大体その一覧表では
全てのコードは網羅されてなかったりします。
そこでカンタンな覚え方のコツを伝授します。
不協和音の見極め方
それは
『 コードトーンの半音上 』
コードトーンの半音上をメロディが鳴らした時に、
短2度(半音)特有のサウンドが強調されるのです。
例) CMaj7の時の「ファ」
なお、補足するとマイナーコードの時の長3度、
セブンスコードの時の長7度など、コードの3度など、
メジャーとマイナー、セブンスとメジャーセブンスなどは
基本的には共存しません。
Theory08-08
「不協和音」について③ ~攻略方法A~
では実際の作曲において
CMaj7の時に「ファ」はできるだけ使わない方が良いのでしょうか?
そんなことはありません。
コードトーンの半音上でも、以下の様な鳴らし方については
「あまり濁って聞こえないからOK」
とされています。
Theory08-09
CMaj7 CMaj7
前後がコードトーンに挟まれていて、メロディがコードトーンに着地している。あくまでも瞬間的にしか鳴らない場合。
経過音 刺繍音
「不協和音」について④ ~攻略方法B 定義を逆手にとる ~
また『不協和音』の定義を逆手にとることで
【理論がまだよく分かってない段階でも今鳴らして大丈夫な音】
を鳴らすことが可能です。
それは
【コードトーン】と【コードトーンの全音上】は
不協和音にはならないということ。
多くの楽器・パートを成立させる時や
ソロパートをアドリブで演奏する時などに
このコツを知っていると非常に便利です。
また、メロディ作りにも活用できます。
ぜひ試してみてください。
Theory08-10
Palette08-01
3和音・4和音の転回形
CMaj7
[ 基本形 ]
ド
ソ
シ
ソ
ミ
ドシ
ミ
シ
ミ
ド
ソ
CMaj7
[ 第1転回形 ]
CMaj7
[ 第2転回形 ]
CMaj7
[ 第3転回形 ]
ミ
ド
ソ
シ
C
[ 基本形 ]
ド
ソ ソ
ミ
ド
ミ
C
[ 第1転回形 ]
C
[ 第2転回形 ]
ミ
ド
ソ
3和音はその性質上第2転回形までしか存在しない。
<STEP1>
コード楽器がコードを鳴らす音域(およそ1オクターブ)を大体決める。
⇒楽器構成やアレンジにもよるが、コード楽器が1つの場合、
メインメロディの音域中心付近から下方向に1オクターブあたりを目安に
音域設定すると、メロディを邪魔しない安定感のある伴奏が作れます。
ボイシングの整え方 / ベーシックな伴奏用プロセス例
Recipe08-01
メロディの音域
コードはこの範囲を目安にする
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7
<STEP2>
STEP1で決めた範囲に収まるようにトニックの鳴らし方を決める。
ボイシングの整え方 / ベーシックな伴奏用プロセス例
Recipe08-02
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7
(基本形)
<STEP3>
共通音が2つ以上ある場合は「共通音を継続する形」で転回形にする。
ボイシングの整え方 / ベーシックな伴奏用プロセス例
Recipe08-03
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7
(基本形) (第2転回形)
<STEP4>
共通音が存在しない、あるいは1つしかない場合は、コードの最高音が
a) 滑らかに動く(半音or全音)
b) コード楽器が鳴らす音域をできるだけ動かさずに済む
この2点を考慮し選択をする。
ボイシングの整え方 / ベーシックな伴奏用プロセス例
Recipe08-04
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7
(基本形) (第2転回形) (第2転回形)
<STEP5>
ドミナントからトニックへ接続する時は、トライトーンが接続するようにつなぐ。
「シ」⇒「ド」 / 「ファ」⇒「ミ」 が隣接するようにするとよりトニックへ自然に繋がります。
ボイシングの整え方 / ベーシックな伴奏用プロセス例
Recipe08-05
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7
(基本形) (第2転回形) (第2転回形) (第2転回形)
Ⅴ7 Ⅵm7
(第2転回形) (第1転回形)
この場合トライトーンの接続がスムーズではなくなる
<STEP6>
以降も
「共通音を維持」 「最高音をなめらかに」 「音域を維持」 を基準に配置していくと完成!
ボイシングの整え方 / ベーシックな伴奏用プロセス例
Recipe08-06
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7
(基本形) (第2転回形) (第2転回形) (第2転回形) (第3転回形)
使える!コード理論
第9回
『 ダイアトニック・テンション 』
『コードトーン・オンコード』
コードネーム表記は以下の様な書き方をされます。
‣通常のコードネームの右上にカッコを書いて、
中に『テンション・ノート』に書く表記方法。
主に手書きする際に使用される。
‣通常のコードネームの右側にカッコを書いて、
中に『テンション・ノート』を書く表記方法。
1行で表記できるため、パソコンで書くのに向く。
‣ 3和音にテンションを加える時に使う表記方法。
使われる数字は主に9、稀に11が入ることもある。
基本的に13はシックスと見なされ使われない。
『テンション・コード』 とはこれまで学習してきた
3和音や4和音に、コードトーンとは異なる
『テンション・ノート』 と呼ばれる音が追加された
コードのことを指します。
大抵の物は4和音を土台としています。
テンション(tension) という言葉は
「緊張」や「張力」などの意味を持ちますが
この言葉の通り、テンション・コードを鳴らすと
通常の3和音・4和音にはない程よい緊張感が
得られるところが特徴です。
主にジャズやその流れを汲む音楽に多用されますが
ジャンル限らず何かしらの緊張感を演出したい場合
には活用できる可能性があります。
今回はその初級編として
「ダイアトニック・コード」まで学んだ現段階でも使える
初歩的なテンションに触れておきます。
「テンション・コード」とは?
Theory09-01
Dm7(9,11)
13
9CMaj7( )
C add9
「テンション」の数字が示しているもの
Theory09-02
『テンション・ノート』には、
『ナチュラル・テンション』と
『オルタード・テンション』
という2種類があります。
その全貌を伝えるには現段階では煩雑になるため
今回はまず、基本を押さえる意味でも
『ナチュラル・テンション』
について把握しておきましょう。
なお、テンション・ノートは
基本的に9・11・13の数字を元に表記されます。
なぜなら、コードをルートからの度数を読む際に
1度・3度・5度・7度・・・と数えていくわけですが
同じ流れでスケール上の音を更に1個飛ばしで
数えていくと9度・11度・13度と言う距離に、
本来の4和音以外の音(テンション・ノート)が
登場するからです。
R 3 5 7M 9 11 13
R 3 5 7M9 11 13
‣
完全1度
‣
長3度
‣
完全5度
‣長7度
‣
長9度
‣
完全11度
‣
長13度
4和音の構造から更に3度ずつ延長していくと、3和音に含まれない音が3つ登場する
なお、9度・11度・13度の音を1オクターブ下げて鳴らしても、ルートとの響き・関係性は本質的には変わらないため同一の物として扱う。
同じ物として扱う
「ナチュラル・テンション」の定義について
Theory09-03
テンションの定義は、ルートからの距離を数えて
次の様に呼ぶ。
長9度の音 = 9th(ナインス)
完全11度の音 = 11th(イレブンス)
長13度の音 = 13th(サーティーンス)
これらの3つのテンション・ノートのことを
『ナチュラル・テンション』と呼ぶ。
しかし、前ページでも書いたように
テンションノートは音域を問わず同一のものとして
扱うため、次の様に覚えた方が
相対的な距離が短くとっさに判断しやすくなる。
長9度の音 = 9th = ルートから長2度上
完全11度の音 = 11th = ルートから完全4度上
長13度の音 = 13th = ルートから長6度上
R 3 5 7M9 11 13
‣
長2度
‣
完全4度
‣
長6度
ナチュラルテンション13th(サーティーンス)
ナチュラルテンション11th(イレブンス)
ナチュラルテンション9th(ナインス)
丸暗記ではなく、ルートからの距離を覚えればいつでも判断できる。
テンションがいつでも全て使えるとは限らない
Theory09-04
いつものコードに緊張感を添えてくれる
テンション・ノートですが、
常に程よい緊張感を与えてくれるとは
限りません。
例えば、CMaj7の時
ナチュラルテンション11th(ファ) は、
コードトーンである「ミ」の半音上ですので
テンション以前に【不協和音】に該当します。
ニュアンスとしては緊張感が高すぎて
聴いた時に演出の範疇を超えてしまっている
と捉えると良いでしょう。
従って基本を押さえる現段階においては
コードトーンの半音上の「テンション」は
使えないものとして捉えておいてください。
R 3 5 7M9 11 13
‣
長2度
=
ナインス
‣
完全4度
=
イレブンス
‣
長6度
=
サーティーンス
例えば・・・CMaj7の場合
程よい緊張感
◎
程よい緊張感
◎
不協和音×
コードトーンの半音上
ちなみに、良くあるsus4コードと
テンションコードは区分別物になります。
音としては、ルートから完全4度上で
同一なのですが、sus4コードは
3度の音を上に吊り上げ変形させたという
扱いになるからです。
また、あまり良くない一部の習慣として
sus2というのがありますが
言葉の意味的にも非推奨です。
「3和音+テンション」=add9,add11
Theory09-05
3和音にテンションを追加する場合は
「C add9(=アド ナインス)」や
「Dm add11(=アド イレブンス) 」
という様な形で
3和音にナチュラル・テンションを
【1つ】加えるという表記の仕方をします。
一般的によく見かけるのは「add9」
がほとんどではないでしょうか。
「add11」 をもし見かけたらかなりの
レアケースかもしれません。
なお「add9,11」という表記はされません。
この場合は「3和音+テンション」
という解釈ではなく、
「4和音にテンションが使われている」
という捉え方になるからです。
R 3 59
[ C add9 (シーアドナインス) ]
「コードトーン・オンコード」とは?
Theory09-06
『コードトーン・オンコード』とは
前回触れた【転回形】を発展させたコードです。
【コード楽器】が特定のコードを鳴らしている時に
【ベース楽器】は本来のルート以外の
コードトーン(3度・5度・7度)を鳴らしている
状態を指します。
オンコードは「分数コード」とも呼び
「C on E 」 あるいは
分数を示す“ / ” (スラッシュ) で 区切り
「C / E」 というような形で書きます。
いずれも
左側(分子)がコード楽器が鳴らすコード名、
右側(分母)がベース楽器が鳴らす実音名
を指します。
ベース楽器がコードのルートを演奏しませんので
基本形でコードを鳴らすのとは少し異なった響きが
得られるのが特徴です。
例えば下図のような演奏をする場合は
コードネームの表記が 『 C / E 』 の様になります。
注意が必要なのは、この場合はコードの役割は
あくまでも分子に書いてあるコードの役割と
なることです。
(この場合はコード名は実質Cになりますので、
Cキーの場合はトニックということになります)
ただし、 鳴らし方によってはトニックらしさが
希薄になったりするため、使う場合はよく吟味する
必要があるでしょう。
R3 5
[ C / E ( シー オン イー ) ]
3
ベース楽器 コード楽器
<STEP1>
まず、テンション・コードを使用する前にサウンドの完成系を必ずイメージをしておきます。
テンション・コードとは「緊張感のある響きを持つコード」ですから、
そもそも緊張感が欲しくない曲(ダイアトニックコード中心の方がむしろ適している曲)
に使用すると、かえって邪魔に感じられることも少なくありません。
理屈として「使える」からと言って、闇雲に使ってもあまり良い結果には
繋がらないでしょう。
また、同じ観点から「テンション・ノート」の同時使用数が増えると、緊張感が増すと
考えられます。テンションを使うのが基本である、一般的なスタンダードジャズにおいても
テンション・ノートの同時使用数は1~2個までであることがほとんどです。
(つまり、9thと11thと13thの3つ全てを同時に使うと、耳なじみのある
スタンダード・ジャズの雰囲気よりもかなりキツイ響きになります)
今回はジャズで一番多用される「4和音+1音」で考えてみることにしましょう。
「テンション」の組み込み方①
Recipe09-a01
<STEP2>
次に、まず楽曲の土台をダイアトニックコードで作り整えておきます。
「テンション」の組み込み方②
Recipe09-a02
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
<STEP3>
そこに、ジャズで使うテンションの定番=迷ったら使う初手
とも言える9thを加えてみます。
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
「テンション」の組み込み方③
Recipe09-a03
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
<STEP4>
すると5小節目Ⅲm7の9th(ルートの全音上)が黒鍵になってしまいました。
そのままだとメロディとぶつかる可能性があるので、9thを11thに変えていきます。
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
「テンション」の組み込み方④
Recipe09-a04
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
9th
11th
<STEP5>
これで完成…!と思いきや、いざピアノで演奏しようとすると非常に演奏しにくいことに
気づきます。そこで、テンション・ノートを加えた代わりに
「テンション・ノート」の直下にある「コードトーン」を省略していきます。
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
「テンション」の組み込み方⑤
Recipe09-a05
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
×
××
××
××
×
9thを加えRootを抜く
9thを加えRootを抜く
9thを加えRootを抜く
9thを加えRootを抜く
9thを加えRootを抜く
9thを加えRootを抜く
9thを加えRootを抜く
11thを加え3rdを抜く
<STEP6>
今度こそ完成…!と思いきや、4小節目Ⅵm7で鳴らす9thと短3度の音が半音に
なってることで濁って聞こえるのが少し気になります。理論上は特に問題ありませんが、
より澄んだ音にするため、ここだけ直下ではなく直上の音を省略することにします。
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
「テンション」の組み込み方⑥
Recipe09-a06
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
×
ここが気になるので直上を省略に変更
<STEP7>
最終的にはこのようになりました。
コードネームの表記もテンション表記にして無事完成!
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
「テンション」の組み込み方⑦
Recipe09-a07
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7( )9( )9 ( )9 ( )9 ( )9 ( )11 ( )9 ( )9
<STEP1>
まず基本となるコード進行を完成させる。
⇒コード楽器はボイシングを考慮しつつ、ベースはあくまでもルートを鳴らす。
「コードトーン・オンコード」の組み込み方①
Recipe09-b01
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
<STEP2A>
ベースをルート以外の音にすることで、ベース単独での「プログレッション」で
何か違った効果ができるのかを考えてみる。
「コードトーン・オンコード」の組み込み方②
Recipe09-b02
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
ずらすと…
完全4度下行(弱進行)に
ずらすと…
プログレッション発生せず。維持する感じに。
短3度下行(接続強)に
短3度上行(接続弱)に
<STEP2B>
他に同一コードを鳴らしている区間で、ベースを変えていくことで
ベースラインを滑らかにできるところがないかを考えてみる。
「コードトーン・オンコード」の組み込み方③
Recipe09-b03
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
ずらすと…
ずらすと…
完全4度上行から順次上行に変化。強進行特有のスイッチ感が緩和
完全4度上行とは異なる「意図」を感じさせる接続でトニックへ。
<STEP3>
STEP2A と STEP2B を組み合わせることで、接続を強めたり、弱めたりできる。
納得がいく形にできたら無事完成!!
「コードトーン・オンコード」の組み込み方④
Recipe09-b04
ⅠMaj7 ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7 Ⅲm7 ⅣMaj7 Ⅴ7 ⅠMaj7
Palette09-01
ダイアトニックスケール限定・テンション一覧 ①
R 3 5 7M9 11 13
コードトーンの半音上
ⅠMaj7
使えるテンション= 9th , 13th
×
R 59 11 13
Ⅱm7
使えるテンション= 9th , 11th , 13th
m3 7
R 5
9
11
13
ダイアトニックスケール外の音
Ⅲm7
使えるテンション= 11th
×
R 59
11
13
ⅣMaj7
使えるテンション= 9th , 13th
※ルートから「増4度」上の音は#11thと呼ばれ例外的に使用可
×
ダイアトニックスケール外の音
×#11
m3 7
3 7M
Palette09-02
ダイアトニックスケール限定・テンション一覧 ②
R 3 59 11 13
コードトーンの半音上だが例外的に使用可(不協和音的な響きは鳴る)
Ⅴ7
使えるテンション= 9th , 11th , 13th
R 59 11
13
Ⅵm7
使えるテンション= 9th , 11th
m3 7
R ♭5
9
11
13
ダイアトニックスケール外の音
Ⅶm7(♭5)
使えるテンション= 11th
× ×7
×
ダイアトニックスケール外の音
m3
使える!コード理論
第10回
『 マイナー・スケール 』
『マイナー・ダイアトニックコード(主要3和音)』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
メジャースケールとは軸が異なる「マイナースケール」の本質をつかむことで、これから色彩豊かなコードを使うための基本を身につける。
今回の内容はあなたがマイナースケールの曲を作りたいか、作りたくないかとは無関係に理解する必要があります。
なぜなら[ メジャースケール⇔ マイナースケール ] というある意味対極的な音の世界をつかんでおくとその間の精細な色味もねらえるようになるからです。
メジャースケールと同じ音しか鳴らしていませんが
「ラシドレミファソラ」・・という風に
はじめの音と終わりの音を「ラ」に変えるだけで
とても暗い響きのする音階となります。
『マイナー・スケール』 とはメジャースケール
ドレミファソラシド と 同じ7つの音を
「ド」からはじめて「ド」で終わる形 ではなく
「ラ」からはじめて「ラ」で終わる形
の区切りで並べた構造の音階のことです。
「マイナー・スケール」とは?
Theory10-01
レ
C D E F G A B C
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
A B
ラ シ
メジャー・スケール
マイナー・スケール
つまり、『マイナースケールの構造』とは
「ラシドレミファソラ」のことではなく、
半音と全音から成る音の並び方である
ということになります。
それを表したモノが下の図です。
この「全・半・全・全・半・全・全」の音の並びのことを
『ナチュラルマイナー・スケール(自然的短音階)』
と呼びます。
第3回 『メジャースケール』 の回において
『 メジャースケール(ドレミファソラシド)の構造 』 とは
鍵盤の位置ではなく、半音と全音から成る、
音の並び方であるということを学びました。
ということは、マイナースケールでも同じことが
言えるわけです。
「マイナー・スケール」の本質とは?
Theory10-02
レ
C D E F G A
ド レ ミ ファ ソ ラ
全 全 半 全 全
A B
ラ シ
全 半
<コード進行作り>
マイナー・スケールにおける
コードの基本的な考え方は
メジャー・スケールと変わりません。
スケールの各音を3度ずつ積み上げた
ナチュラルマイナー・スケールの
『ダイアトニック・コード』 というコードが存在します。
※Palette10-03 / Palette10-04 参照
またそれらダイアトニック・コードには
メジャー・スケール同様に
『主要3和音』 =トニック・ドミナント・サブドミナント
が存在します。
Aナチュラルマイナー・スケールでいうと
Am7 [ Ⅰm7 ] = トニック
Dm7 [ Ⅳm7 ] = サブドミナント
Em7 [ Ⅴm7 ] = ドミナント
ということになります。
ではその関係性について見ていきましょう。
では音の並びについて理解したところで、
マイナースケールでの作曲における
初歩的な考え方について触れていきます。
<メロディ作り>
今回紹介しているのは「ラ」を軸とした
マイナースケールですので、厳密には
「Aナチュラルマイナー・スケール」と呼びます。
そこでの一番基本的なアプローチとしては、
メロディの始まりと終わりを「ラ」になるようにする
ことです。
この時に一番“マイナーらしいメロディ”になります。
「ラ」以外を狙う、外しのアプローチも考えられますが
この基本を外せば外すほどメロディから
“マイナーらしさ”は失われていきます。
極端な話、「ドレミファソラシド」とメロディを弾いた時
“マイナーらしさ”を感じるか?ということです。
ある程度慣れるまでは、メロディの最終的な
着地点は「ラ」になるようにしてください。
「マイナー・スケール」における作曲の初歩
Theory10-03
Ⅰm7 [ Am7 ](トニック)
Ⅳm7 [ Dm7 ](サブドミナント)
Ⅴm7 [ Em7 ](ドミナント)
‣キーの軸となる音(主音)
‣トニックがなぜか進みたくなる音‣なぜかトニックに帰りたくなる音
Ⅰ⇒Ⅳがしっくりくる
ナチュラルマイナー・スケールでの 主要三和音
Theory10-04
ⅠとⅣとⅤの役割・関係性はメジャースケールと変わりません。なぜならルートの位置関係がメジャースケールと同じ= ルートの倍音がもたらす効果も同じ なため
ルートが完全4度上行
Ⅴ⇒Ⅰがしっくりくる
ルートが完全4度上行
基本的にはこの3つのコードを使えば、
ナチュラルマイナー・スケールで作曲ができます。
しかし、よく見てみるとあることに気づきませんか?
そうです。
メジャースケールの主要三和音であった
「○○○○○○」が
ナチュラルマイナー・スケールの
ダイアトニックコードにはありません。
「○○○○○○」がある場合とない場合
聞き比べたときに
あなたはどんな風な差を感じますか?
下の図はPalette10-03 / Palette10-04
から抜粋したナチュラルマイナー・スケールにおける
主要三和音です。
ナチュラルマイナー、主要三和音の疑問
Theory10-05
Ⅰm7 [ Am7 ] = トニック
R m3 5 7
Ⅳm7 [ Dm7 ] = サブドミナント
R m3 5 7
Ⅴm7 [ Em7 ] = ドミナント
R m3 5 7
全部「マイナーセブンス」ということは…?
ナチュラルマイナー・スケールの主要三和音
そこで、Ⅴを「Ⅴm7」ではなく、
トライトーンを持つ「Ⅴ7」 を使うべく
ナチュラルマイナー・スケールから派生したのが
『ハーモニックマイナー・スケール』 です。
ハーモニックマイナー・スケールは
ナチュラルマイナー・スケールの第7音目を半音上に
上げたスケールです。
ナチュラルマイナー・スケールにおいて欠けていた物
それは、ドミナントの中に「トライトーン」がないこと。
Ⅴm7 [ Em7 ] の実音にはトライトーンがないため
Ⅰm7 [ Am7 ] に終止させたとき、どうしても
しまりがない終わり方になってしまいますね。
ハーモニックマイナー・スケール の 登場
Theory10-06
C D E FA B A
G#
‣ ハーモニックマイナー・スケール
C D E FA B AG#
ハーモニックマイナー・スケール
見事 [ トライトーンを持つドミナント] を含めた
主要三和音が揃いました。
これでカンペキ!…と思いきや
ちょっと気になるところがあります。
そうなんです。
このハーモニックマイナー・スケール
なんだかとても癖のある音がしませんか?
その原因は「F」から「G#」にかけての【短3度】音程。
3度で跳躍すると、独特の色味が出てしまうのです。
人によってはこれは苦手に感じるかもしれませんね。
こうしてハーモニックマイナー・スケールを使うと
Ⅰ・Ⅳ・Ⅴのダイアトニックコードは下の様になります
ハーモニックマイナー・スケール の 特徴・弱点
Theory10-07
Ⅴ7 [ E7 ] = ドミナント
R 5 7
3
トライトーン(これが欲しい)
Ⅰm7 [ Am7 ] = トニック
R m3 5 7
Ⅳm7 [ Dm7 ] = サブドミナント
R m3 5 7
C D E FA B A
全 半 全 全 半 短3度
半
G#
‣ ハーモニックマイナー・スケール
ハーモニックマイナー・スケールの主要三和音
そこで
「トライトーンは欲しいけど、
短3度の独特な色味は欲しくない」
時に使えるよう更に派生したのが
『メロディックマイナー・スケール』です。
メロディックマイナー・スケールは
ナチュラルマイナー・スケールの第6音目と
第7音目半音上に上げたスケールです。
結果的に「全」と「半」のみで音が並んでいます。
ハーモニックマイナー・スケールでは
見事[ トライトーンをもつドミナント ] と
主要三和音を共存させることができました。
しかし、「F」⇒「G#」における【短3度】音程が
独特の色味を出してしまいます。
そして メロディックマイナー・スケール の 登場
Theory10-08
C D EA B AF# G#
メロディックマイナー・スケール
C D EA B A
全 半 全 全 全 半全
F# G#
‣ メロディックマイナー・スケール
これで見事
‣ [ トライトーンを持つドミナント] を含めた主要三和音
‣ 短3度の独特な色味の排除
この両方を満たすことができました。
これでカンペキ!…と言いたいところなのですが
ちょっと気になるところがあります。
このメロディックマイナー・スケール
実は音の並びがメジャー・スケールと近いため
あまりマイナーっぽくないのです。
こうしてメロディックマイナー・スケールを使った場合
Ⅰ・Ⅳ・Ⅴのダイアトニックコードは下図の通り
ハーモニックマイナーの時と全く変わりません。
メロディックマイナー・スケール の 特徴・弱点
Theory10-09
Ⅴ7 [ E7 ] = ドミナント
R 5 7
3
トライトーン(これが欲しい)
Ⅰm7 [ Am7 ] = トニック
R m3 5 7
Ⅳm7 [ Dm7 ] = サブドミナント
R m3 5 7
メロディックマイナー・スケールの主要三和音
C D EA B A
全 半 全 全 全 半全
F# G#
‣ メロディックマイナー・スケール
C D E F GA B A
全 半 全 全 半 全 全
C D E FA B A
全 半 全 全 半 短3度
半
G#
C D EA B A
全 半 全 全 全 半全
F# G#
‣ ナチュラルマイナー・スケール
‣ ハーモニックマイナー・スケール
‣ メロディックマイナー・スケール
3種類のマイナー・スケールの特徴・まとめ
長所 ‣ マイナーらしさ
短所(?)‣Ⅴ⇒Ⅰで明確な終止感が
得られない
長所‣ マイナーらしさ
‣Ⅴ⇒Ⅰでの明確な終止感
短所(?) ‣ 短3度特有の響き
長所‣Ⅴ⇒Ⅰでの明確な終止感‣ 短3度の特有の響きを回避
短所(?) ‣ あまりマイナーらしくない
※Palette10-01 とあわせて見てみよう
Theory10-10
3種類のマイナー・スケール [ 鍵盤図 ]
Palette10-01
C D E F GA B A
全 半 全 全 半 全 全
C D E FA B A
全 半 全 全 半 短3度
半
G#
C D EA B A
全 半 全 全 全 半全
F# G#
‣ ナチュラルマイナー・スケール
‣ ハーモニックマイナー・スケール
‣ メロディックマイナー・スケール
‣ メジャースケールを6番目から並び替えた音階。メジャースケールと比べて暗い響きがする。マイナースケールの土台となるもの。
‣ ナチュラルマイナーでは「トライトーン」を作れないことに対応するためできたスケール。ただし、6番目と7番目の間が「全」「半」ではなく「短3度」となり、特有の響きを持つ。(スケールを順に鳴らす時にアルペジオの様な2和音のニュアンスが出てしまう)
‣ ハーモニックマイナー同様に「トライトーン」を作れるようナチュラルマイナーを変形。それに加え、ハーモニックマイナーで発生していた「短3度」特有の響きをさけるため、6番目の音も半音上げることで「全」「半」しか存在しない音階に調整。ただし、音の並びがメジャースケールに近ため、マイナースケール特有の暗い響きがかなり薄い。
3種類のマイナー・スケール [ ピアノロール ]
Palette10-02
C D E F GA B A C D E FA B AG#
C D EA B AF# G#
ナチュラルマイナー・スケール ハーモニックマイナー・スケール
メロディックマイナー・スケール短3度
Ⅱm7(♭5) [ Bm7(♭5) ]
短3度
R m3 5♭ 7
減5度
短7度
Palette10-03
ナチュラルマイナー・スケール [ ダイアトニックコード(3和音+7th系) ] ①
Ⅲ♭Maj7 [ CMaj7 ]
長3度
R 3 5 7M
完全5度
長7度
Ⅳm7 [ Dm7 ]
短3度
R m3 5 7
完全5度
短7度
Ⅰm7 [ Am7 ]
短3度
R m3 5 7
完全5度
短7度
ナチュラルマイナー・スケール [ ダイアトニックコード(3和音+7th系) ] ②
Ⅴm7 [ Em7 ]
短3度
R m3 5 7
完全5度
短7度
Ⅵ♭Maj7 [ FMaj7 ]
長3度
R 3 5 7M
完全5度
長7度
Palette10-04
Ⅶ♭7 [ G7 ]
長3度
完全5度
短7度
3R 5 7
Ⅱm7(♭5) [ Bm7(♭5) ]
短3度
R m3 5♭ 7
減5度
短7度
Palette10-05
ハーモニックマイナー・スケール [ ダイアトニックコード(3和音+7th系) ] ①
Ⅲ♭augMaj7 [ CaugMaj7 ]
長3度
R 3 7M
増5度(短6度)
長7度
Ⅳm7 [ Dm7 ]
短3度
R m3 5 7
完全5度
短7度
ⅠmMaj7 [ AmMaj7 ]
短3度
R m3 5
完全5度
長7度
7M 5#
G ⇒ G# に変化するスケール
ハーモニックマイナー・スケール [ ダイアトニックコード(3和音+7th系) ] ②
Ⅴ7 [ E7 ]
長3度
R 5 7
完全5度
短7度
Ⅵ♭Maj7 [ FMaj7 ]
長3度
R 3 5 7M
完全5度
長7度
Palette10-06
Ⅶdim [ Gdim ]
短3度
減5度
長6度
3
R
5 6
3
トライトーン(これが欲しい)
G ⇒ G# に変化するスケール
Ⅱm7 [ Bm7 ]
短3度
R m3 7
完全5度
短7度
Palette10-07
メロディックマイナー・スケール [ ダイアトニックコード(3和音+7th系) ] ①
Ⅲ♭augMaj7 [ CaugMaj7 ]
長3度
R 3 7M
増5度(短6度)
長7度
Ⅳ7 [ D7 ]
長3度
R 5 7
完全5度
短7度
ⅠmMaj7 [ AmMaj7 ]
短3度
R m3 5
完全5度
長7度
7M 5#
5 3
F ⇒ F#
G ⇒ G#
に変化するスケール
メロディックマイナー・スケール [ ダイアトニックコード(3和音+7th系) ] ②
Ⅴ7 [ E7 ]
長3度
R 5 7
完全5度
短7度
Ⅵm7(♭5) [ Fm7(♭5) ]
長3度
3 5 7M
減5度
長7度
Palette10-08
Ⅶm7(♭5) [ Gm7(♭5) ]
短3度
減5度
短7度
3
R
5
3
トライトーン(これが欲しい)
R
7
F ⇒ F#
G ⇒ G#
に変化するスケール
マイナースケールでの作曲において、アプローチ方法はいくつか考えられます。
その中でも今回は、マイナーでの作曲経験がゼロの人でも確実に体得できる
ステップを紹介します。
<STEP1> コード進行を作る
まず、ナチュラルマイナー・スケールの
主要三和音を使ってコード進行を作ります。
その際メジャースケールの時同様、
コード進行のはじまりは 「Ⅰはじまり」
もしくは 「Ⅳはじまり」が可能です。
楽曲の最後はなんらかの形でⅠで
終わるようにします。
なお、途中Ⅴm7⇒Ⅰm7 の流れを
組み込むことが上達のコツです。
「マイナー・スケール」での作曲プロセス例 ①
Recipe10-01
Ⅰm7 [ Am7 ] = トニック
R m3 5 7
Ⅳm7 [ Dm7 ] = サブドミナント
R m3 5 7
Ⅴm7 [ Em7 ] = ドミナント
R m3 5 7
ナチュラルマイナー・スケールの主要三和音
<STEP2> メロディを付けてみる
次にコード進行に合わせてメロディを作ります。
メロディは適度にスケールの中心の音「ラ」に着地するようにしてあげると
マイナーらしさが出やすくなります。
「ラ」以外の選択肢では「ミ」もオススメです。
ドミナントを彷彿させる音なので偶数小節のメロディの着地に向きます。
今回はマイナーの作曲なので、
メロディの最後は必ず「ラ」に着地させます。
「マイナー・スケール」での作曲プロセス例 ②
Recipe10-02
C D E F GA B A
全 半 全 全 半 全 全
‣ ナチュラルマイナー・スケール
C D E F GA B A
ナチュラルマイナー・スケール
<STEP3> 明確な終止感を演出。
ここまで使用したコードはナチュラルマイナーの主要3和音でしたので、
ドミナント=Ⅴm7 となっていたはずです。
このⅤm7をⅤ7に差し替えます。
「マイナー・スケール」での作曲プロセス例 ③
Recipe10-03
Ⅴm7 [ Em7 ]
短3度
R m3 5 7
完全5度
短7度
Ⅴ7 [ E7 ]
長3度
R 5 7
完全5度
短7度
3
トライトーン(これが欲しい)
<STEP4> メロディを調整して完成!
Ⅴm7をⅤ7に変更したことで、メロディとⅤ7とがぶつかる可能性が出てきます。
そこで、Ⅴ7が鳴っている間のメロディ「F」と「G」を
「ハーモニックマイナー」か「メロディックマイナー」に合うように半音上にずらします。
「G」だけ半音上にずらしているならそのメロディはハーモニックマイナー。
「F」と「G」の2つとも半音上にずらしているならそのメロディはメロディックマイナー
を使っているということになります。
なお1曲の中に、「ハーモニックマイナーを採用しているⅤ7」と
「メロディックマイナーを採用しているⅤ7」の共存は可能です。
「マイナー・スケール」での作曲プロセス例 ④
Recipe10-04
使える!コード理論
第11回
『 マイナースケールでの代理コード 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
マイナースケールでも、メジャースケールと同じ発想で代理コードへの差し替えが可能なことを体得する。
また、同時に「メジャースケールでの代理コード」と「マイナースケールでの代理コード」それぞれでの違い・特徴をつかむことで、より説得力のあるコードの使いこなしを実現していく。
例えば、前回課題でマイナースケールにおける
主要三和音での作曲を課題で行いましたが、
その段階で音楽として成立していた場合
そのコード進行の任意のコードは、代理コードへの
差し替えが可能となります。
第6回でも解説しましたが、
『ある役割を持つコード』に対して、
同じ特徴をもつコード や 類似度の高いコード
は『代理コード』 と呼び差し替えが可能です。
それはマイナー・スケールにおける主要三和音でも
変わりません。
マイナー・スケールにおける代理コード
Theory11-01
Ⅰm7 [ Am7 ] ⇒ Ⅳm7 [ Dm7 ] ⇒ Ⅴ7 [ E7 ] ⇒ Ⅰm7 [ Am7 ]
(トニック) (サブドミナント) (ドミナント) (トニック)
[ 代理コード ] に差し替えが可能
<マイナー・スケールでのコード進行>
まずナチュラルマイナー・スケールの中にある
主要三和音Ⅴm7 を見てみます。
前回までは
『Ⅴm7もドミナント』として扱っていましたが
今回からはドミナントのマイナー版ということで
「ドミナントマイナー」と扱います。
ではこのドミナントマイナーには
どんな特徴があるか?
・・というと、残念ながらⅤ7が実音で持つ
【トライトーン】の様な大きな特徴がありません。
代理コード 『ドミナント(マイナー)』
代理可能
Theory11-02
Ⅴm7 [ Em7 ] = ドミナントマイナー
R m3 5 7
代理コード 該当なし
“共通音が多い”という意味では
「Ⅶ♭7」や「Ⅲ♭Maj7」は類似度が高いと言えます。
しかし
Ⅴm7はルートの倍音のチカラで
Ⅰm7にギリギリ接続できる特徴を一応持っている
のに対して
「Ⅶ♭7」や「Ⅲ♭Maj7」ではルートの倍音を活用して
同じような現象は引き起こすことができません。
したがって
ドミナントマイナーには代理コードはない
として捉えます。
それはサブドミナントマイナーⅣm7が持つ
「レ」と「ファ」(短3度)が、
トニックの倍音に含んでいる【トライトーン】
を一応落ち着かせていると言えるからです。
(長3度に解決するほどではありませんが。)
・・・ということは?
同じ特徴である 「レ」と「ファ」を持つ、Ⅱm7(♭5)は
サブドミナントマイナーと同じ役割を果たすコード
と言えます。
代理コード 『サブドミナント(マイナー)』
代理可能
Theory11-03
次に着目するのは 主要三和音Ⅳm7です。
これも前回は「サブドミナント」
として扱っていましたが、今回からは
サブドミナントのマイナー版ということで
「サブドミナントマイナー」と扱います。
なお、トニックはサブドミナントに繋がると
スッキリする特徴がありましたが
実はこの場合「サブドミナント」ではなく
「サブドミナントマイナー」に繋がった場合でも
同じような現象が発生していると扱われます。
Ⅳm7 [ Dm7 ] = サブドミナントマイナー
R m3 5 7
サブドミナントマイナーとしての重要な2音
Ⅱm7(♭5) [ Bm7(♭5) ] = サブドミナントマイナー代理
R m3 5♭ 7
サブドミナントマイナーとしての重要な2音
なお、トニックはドミナントから繋がるとスッキリする
特徴がありましたが、この場合
「ドミナント」⇒「トニックマイナー」
でも同じような現象が発生していると扱われます。
それはトニックマイナーⅠm7が持つ
「ラ」と「ド」(短3度)が、ドミナントの【トライトーン】を
一応落ち着かせていると言えるからです。
(長3度に解決するほどではありませんが。)
・・・ということは?
同じ特徴である 「ラ」と「ド」を持つ、Ⅵ♭Maj7は
トニックマイナーと同じ役割を果たすコード
と言えそうです。
代理コード 『トニック(マイナー)』 ①
代理可能
Theory11-04
そして最後に残ったのは
主要三和音Ⅰm7 です。
これも前回は「トニック」
として扱っていましたが、今回からは
トニックのマイナー版ということで
「トニックマイナー」と扱います。
メジャースケールの時と同様、
トニックの代理コードについては、
他の主要三和音と同様に
「同じ特徴を持つコード」 に加えて
「類似度が高い(=共通音が多い)コード」
という2つの考え方の捉えます。
Ⅰm7 [ Am7 ] = トニックマイナー
R m3 5 7
Ⅵ♭maj7 [ Fmaj7 ] = トニックマイナー代理
R 3 5 7M
トライトーンを解消させる トニックマイナーとしての重要な2音
「ラ」「ド」「ミ」を持つ
トライトーンを解消させる トニックマイナーとしての重要な2音
「ラ」「ド」「ミ」
つまり、
ドミナントの直後に来るトニックマイナーを
Ⅲ♭Maj7に差し替えると
トライトーンのもやもやがスッキリしなくなってしまう
のです。
また、CMaj7 はそもそもCメジャーキーのトニックと
同じコードのため、マイナー感がどうしても
うすくなってしまいます。
よほど何か明確な狙いがない限りは、
トニックマイナーの代理として
Ⅲ♭Maj7に差しかえない方が良いかもしれません。
代理コード 『トニック(マイナー)』 ②
代理可能
Theory11-05
トニックマイナーの代理コードとして
Ⅵ♭Maj7とは別にしばしば
『Ⅲ♭Maj7』 が使われることがあります。
この時に、少し気をつけないといけないこと
があります。それはⅠm7と比べた時に、
共通音は3つと類似度は高いのですが、
ドミナントのトライトーンを解消する
「ラ」と「ド」が揃っていない
ということです。
Ⅰm7 [ Am7 ] = トニックマイナー
R m3 5 7
トライトーンを解消させる トニックマイナーとしての重要な2音
「ド」「ミ」「ソ」を持つ
Ⅲ♭Maj7 [ CMaj7 ]
R 3 5 7M
「ド」「ミ」「ソ」を持つ
トニックマイナーとしての重要な2音が揃っていない!
マイナー・スケールにおける代理コード まとめ
Theory11-06
ここまでをまとめてみた物が右の表です。
これを見ていて何か気づかないでしょうか?
そうです、Ⅴm7のみトライトーン不在ゆえ
代理コード“該当なし”ではありますが、
基本的な代理関係の構造は
メジャーキーのダイアトニックコードとほとんど同じ
なのです。
そして今回特に押さえておいて欲しいのが
サブドミナントマイナー『Ⅳm7』
の代理コード『Ⅱm7(♭5)』 です。
というのも 『Ⅱm7(♭5)』は
マイナースケールにおける代理コードでの中では
一番多用されるコードだからです。
<必修POINT>
‣ メジャースケールのⅡはⅡm7
‣ マイナースケールのⅡはⅡm7(♭5)
Ⅰm7 (トニックマイナー)
Ⅵ♭Maj7
Ⅲ♭Maj7
Ⅳm7
(サブドミナントマイナー)
Ⅱm7(♭5)
Ⅴm7(ドミナントマイナー)
該当なし
主要三和音 代理コード
使える!コード理論
第12回
『 ドミナントのバリエーション 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
第9回 「ダイアトニック・テンション」第10,11回 「マイナースケール」
これらを踏まえて、今回からはダイアトニック・コードの響きから次第に離れていきます。と言っても、ダイアトニックコードからただ離れるだけですと、脈絡のないコードのただの羅列になってしまいます。そこで、今回は説得力を持たせつつも、楽曲を豊かにしていくための実践的なアプローチを学んで行きます。
中でも必ずマスターしておきたいのが「ドミナント」に関する応用です。なぜなら「トニック」や「サブドミナント」に比べて、ドミナントは非常にバリエーションを作りやすい性質があるからです。
そこで今回は「ドミナントのバリエーション」の初歩を学んで行きます。
この『sus4』という変形は3和音・4和音問わず
付けることができます。
例えば4和音G7をsus4で変形させた場合は
コード名の後ろにsus4を付け足して【G7sus4】
と表記します。
響きとしては、メジャーコード・マイナーコードのどち
らとも違う、明るいのか暗いのか分からないフワフワ
した印象を受けるのではないでしょうか。
ドミナントのバリエーションの1つとして有名なコードに
『sus4コード』というコードがあります。
sus4の”sus”とは「suspended(吊す・浮遊させる)」
から来ています。
コードの意味としては
『メジャートライアドの長3度の音を半音吊り上げる
=ルート+完全4度+完全5度の形に変形させる』
状態を表しています。
例えば【Csus4】というコード名は
Cの構成音「ド・ミ・ソ」の「ミ」の音を半音上げた状態
「ド・ファ・ソ」を表しています。
sus4コードについて
Theory12-01
4R 5 7
Ⅴ7sus4 [ G7sus4 ]・・・ジーセブンスサスフォー
4R 5
Ⅰsus4 [ Csus4 ] ・・・ シーサスフォー
鳴らしてみるときっとどこかで1度くらいは聞いた
ことがあるのではないかと思います。
ちなみにこのsus4コードですが、もっとも良く使わ
れる場面がトニックとドミナントです。
コード進行の終わりのトニックやドミナントで、
使ったことがある人もいるのではないでしょうか。
このsus4コードですが、定番の使い方として
『ルートが同じメジャーコードに接続させる』
という手法があります。
(マイナーコードにつなぐこともなくはありませんが
メジャーコードにつなぐほど自然にはなりません)
鳴らしてみると、浮遊感のある響きから地に足着い
た感じに変化する独特の変化を感じられるかと思い
ます。
sus4コードの定番の使い方
Theory12-02
4R 5
Ⅰsus4 [ Csus4 ]
3R 5
Ⅰ [ C ]
4R 5 7
Ⅴ7sus4 [ G7sus4 ]・・・ジーセブンスサスフォー
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
この進行、定番中の定番なので、
手癖で使ってる人も中にはいそうです。
そこで、1つ試してみて欲しいことがあるのです。
「このコード進行、途中のⅤ7って絶対に
鳴らさないとダメなの?」
ということです。
つまりコード進行的には
‣Ⅴ7sus4 ⇒Ⅰ
という風にしてみるってことですね。
トニック・ドミナントで多用されるsus4ですが
ここからはドミナントに絞った話をしていきましょう。
前ページで触れたように、ドミナント(Ⅴ7)を絡めた
sus4コードの接続に
‣Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ
というものがあります。
浮遊感があるⅤ7sus4からはじまって、トライトーンを持つⅤ7につながり、そしてⅠでトライトーンが解決する、とてもスムーズなコード進行だと思います。
sus4コードの応用・実験①
Theory12-03
4R 5 7
Ⅴ7sus4 [ G7sus4 ]
3R5
Ⅰ [ C ]
どんな風に聞こえるか予想してみましょう
なぜ違和感がないのか?
その答えに繋がる理由について、実は私たちは
すでに学んでいます。
1、ルートが完全4度上行(強進行)をしている。
⇒ルートの倍音中のトライトーンがほのかに解決している。
2、Ⅴ7sus4 ≒Ⅴ7(11) …ほぼ同じ。⇒テンションコード「Ⅴ7(11)」を鳴らす際に3度を省略すると全く同じ鳴らし方になる。
つまり、ざっくり言ってしまうとルートが完全4度上
行という動きさえしていれば、ドミナントとしての役割
をうっすら果たすことができてしまうのです。
従って「Ⅴ7sus4」もドミナントの代理コードの1つ
と見なせるわけですね。
それぞれの違う点は何か?それは
‣Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ
「トライトーン」を持つⅤ7からトニックに接続している。
‣Ⅴ7sus4 ⇒Ⅰ
「トライトーン」を持たないⅤ7sus4からトニックに接続している。
ですが、実際に鳴らしてみると意外と違和感がない
ことに気づくことでしょう。
sus4コードの応用・実験②
Theory12-04
4R 5 7
Ⅴ7sus4 [ G7sus4 ] = Ⅴ7(11) ※3度を省略
3R5
Ⅰ [ C ]
「Ⅴ7sus4」 と 「Ⅱm7 / Ⅴ」 違う点はどこですか?
また、トニックに接続した時にどう感じますか?
‣Ⅴ7sus4 ⇒Ⅰ
‣Ⅱm7 / Ⅴ⇒Ⅰ
従って、これまでコード進行を作る際に「Ⅴ7⇒Ⅰ」
などとしていた場面において新たな選択肢
「Ⅴ7sus4⇒Ⅰ」が追加されます。
もちろん従来の定番テクニック
「Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ」 も活用したい所です。
・・・ですが、今回はなにも
「Ⅴ7sus4もドミナントの代理だから使えるよ!」
などという小手先のテクニックをお伝えする回では
ありません。
一歩先の発想をしましょう。
「じゃあⅤ7sus4の代理コードもあるのでは?」
そこで、Ⅴ7sus4と限りなく共通音が多く、
かつドミナントとして重要なルートは変わらないような
コードを探していくと右図のコードにたどりつきます。
sus4コードの代理コードを考えてみよう
Theory12-05
C
G
D
F
G
F
C
D
A
G
コード楽器
ベース
Ⅴ7sus4 Ⅱm7 / Ⅴ
そこで、更なる利便性を追求すべく、
分子コード「Ⅱm7」を転回系とも言える
「Ⅳ6」に表現を変えてしまいます。
ここまでを一度まとめると
「Ⅴ7 (ドミナント) に対して
「Ⅴ7sus4 」 「Ⅱm7/Ⅴ 」 これらも代理が可能であることが分かりました。
なお、実は「Ⅱm7/Ⅴ」 は「Ⅴ7(9,11)」と同じなため
ドミナントコードとして使えるのは
ある意味当然だったりします。
しかし、こうした
「テンション表記しなくてもよい捉え方」
をすることには大きなメリットがあります。
例えば、バンドでコード演奏をする際や、
作曲時にコードを模索する際に
「Ⅴ7(9,11)」と表記されていたらどうなるでしょうか?
つまり、本来ならテンション表記が必要なコードを
オンコードの形で書き表せると、格段に扱いやすく
なるのです。
Ⅱm7/Ⅴの分子コードを都合よく変えてしまう
Theory12-06
G
F
C
D
A
G
コード楽器
ベース
F
C
D
A
Ⅱm7 / Ⅴ = Ⅳ6 / Ⅴ
この講座ではドミナントコードのバリエーションの
導き出した方のことを 『 sus4型オンコード 』 と
今後呼んでいきます。
なぜわざわざ「Ⅱm7 / Ⅴ」を「Ⅳ6 / Ⅴ」に変えたか。
それは、右の図のように
分母はⅤを鳴らした上 (大前提)
で
分子コードとして「Ⅳ」をルートとした
ダイアトニックコード鳴らす
と、自動的にドミナントコードのダイアトニックテンショ
ンコードを鳴らしたこと(=代理コード)
になるからなのです。
つまり
「Ⅳ○○ / Ⅴ 」 = ドミナントの代理
という構造さえ覚えてしまえば、ドミナントのさまざま
なテンションコードを手軽に演奏したり、代理コードと
して模索することが可能になるのです。
ドミナントのバリエーション 『sus4型オンコード』
Theory12-07
ⅣMaj7 / Ⅴ [ FMaj7 / G ] =Ⅴ7(9,11,13) omit3,5
RBa 3 5
RBa 3 5
RBa 3 5 7M
Ⅳ / Ⅴ [ F / G ] =Ⅴ7(9,11) omit3,5
Ⅳ6 / Ⅴ [ F6 / G ] =Ⅴ7(9,11) omit3
6
覚えるコツは分子コードが ベースの全音下 をルートとしていること!
★『sus4型オンコード』の基本的な使い方
長くなりましたので、今回学んだ代理コードが
使える状況を整理していきます。
まず考えられるのが
「ドミナント」の代理コードとしてのバリエーション
です。
『sus4型オンコード』 代理可能なシチュエーションの整理①
Theory12-08
Ⅴ7 ⇒ Ⅰ(ドミナント) (トニック)
代理可能
Ⅴ7sus4(ドミナント代理)
Ⅳ / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳ6 / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳmaj7 / Ⅴ(ドミナント代理)
『sus4型オンコード』 代理可能なシチュエーションの整理②
Theory12-09
Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ(ドミナント代理) (ドミナント) (トニック)
代理可能
Ⅳ / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳ6 / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳmaj7 / Ⅴ(ドミナント代理)
★『sus4型オンコード』の使い方 ~ワンアイデア~
しかしこれだけで終わるのは非常にもったいない。
そこでワンアイデアを提供します。
『sus4型オンコード』とはそもそもsus4コードが元に
なっています。
ということは、
sus4コードを使う状況で代理させることも可能
だといえるのです。
左の図は定番テクニック
「Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ」
を代理コードに差しかえる可能性を示しています。
Theory12-10
『sus4型オンコード』 代理可能なシチュエーションの整理③
Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ(ドミナント代理) (ドミナント) (トニック)
代理可能
Ⅳ / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳ6 / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳmaj7 / Ⅴ(ドミナント代理)
代理可能
Ⅴ7sus4(ドミナント代理)
Ⅳ / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳ6 / Ⅴ(ドミナント代理)
Ⅳmaj7 / Ⅴ(ドミナント代理)
★『sus4型オンコード』 ~ 応用 ~
今紹介した2つの使い方を組み合わせると
なんと更なるアプローチも可能です。
左の図は定番テクニック
「Ⅴ7sus4 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅰ」
を
「sus4型オンコード⇒ sus4型オンコード⇒Ⅰ」
に差しかえる可能性を示しています。
つまり
sus4型オンコード同士の『コンビネーションが可能』
だということなのです。
この考え方を持っておくことが、
膨大なコード進行・複雑なコード進行を
ラクして自由に扱えるようになるカギとなります。
ドミナントのバリエーション(ダイアトニックスケール限定)
Palette12-01
RBa 3 5
RBa 3 5
RBa 3 5 7M
4R 5 7
Ⅴ7sus4 [ G7sus4 ]
Ⅳ / Ⅴ [ F / G ] =Ⅴ7(9,11) omit3,5
Ⅳ6 / Ⅴ [ F6 / G ] =Ⅴ7(9,11) omit3
ⅣMaj7 / Ⅴ [ FMaj7 / G ] =Ⅴ7(9,11,13) omit3,5
6
~ sus4型オンコード ~
分子コードを4和音にした場合、異なる音が合計5音なるため響きとしてはより複雑になりやすい。
曲調によっては分子コードを3和音にするのも充分考えられる。(分子コードが3和音=普通に4和音鳴らしているのと同じ複雑度になる)
使える!コード理論
第13回
『 セカンダリードミナント 』
『 ドミナントのバリエーション 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
『 ドミナント祭り 』第2回目といえる今回は、ドミナントの性質を活かすことで、ダイアトニックスケール外のコードを使うアプローチを学んでいきます。
今回学ぶセカンダリードミナントは、ダイアトニックコードとの親和性が高い上に、楽曲の作曲意図をより強調する効果があります。
キャッチーな楽曲を作りたいなら必須項目と言えるでしょう。
セカンダリードミナントとは、
Ⅰ以外のダイアトニックコードをⅠと見立てて
終始的に強く接続する際の仮のドミナントのことです。
セカンダリードミナントとは?
Theory13-01
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
3R 5
ⅠMaj7 [ CMaj7 ]
完全4度上行
7M
本来のドミナント ⇒ トニック の動き
3
R 5 7
Ⅵ7 [ A7 ]
R 5
Ⅱm7 [ Dm7 ]
完全4度上行
m3 7
仮のドミナント ⇒一時的に「トニック」に見立てたⅡm7
このセブンスコードを「セカンダリードミナント」と呼ぶ
これを用いることで、あらゆるダイアトニックコードに対
してドミナントモーションを作ることができ、コード進行の
選択肢がますます広がるわけです。
仕組みとしてはV7と同じで、
・ルートが次のルートへ完全4度上行
・ トライトーンが次のコードのルートと長3度
あるいは短3度に接続するということです。
これによって、「V7→Ⅰmaj7」と同様、強い解決感が生まれるわけですね。
参照:Palette13-01 , Palette13-02
セカンダリードミナントとして使えるコードには条件が
あります。
‣ ダイアトニックスケール上にルートがあること
‣ 完全4度上のダイアトニックコードに接続すること
これらの条件を満たす7thコードが、セカンダリードミナ
ントです。
セカンダリードミナントの条件
Theory13-02
ⅣMaj7
ダイアトニックコード
ファ
ラ
ド
ド
ミ
ソ
シ♭
Ⅰ7
長3度
ミ
Ⅵm7
ダイアトニックコード
ラ
ド
ミ
ミ
ソ#
シ
レ
Ⅲ7
短3度
ソ
完全4度上行
完全4度上行
~ セカンダリードミナントの効果性 ~
使用時に得られるメリットは大きく2つあります。
① まず、なんと言っても大きいのはトライトーンに
よってⅠ以外のダイアトニックコードへの推進力が
得られることです。
つまり、Ⅱm7やⅢm7など、正規の意味ではトニッ
クではなかったコードの直前に配置することで
「さも、そのダイアトニックコードが今まさに鳴って欲
しかったんだよね!」
「そうそう!この音待ってたよ」
という待望する感覚と、そのスッキリ感の演出が
可能になります。
② もう1つは、セカンダリードミナントは必ず
ダイアトニックスケール外の音(黒鍵)を含んでいると
いうことです。つまり、ダイアトニックのサウンド外の
音が鳴ることで、聴き手に新鮮な感覚(あるいは
ほのかな違和感)を感じさせることができるのです。
~ セカンダリードミナントの使用例紹介 ~
‣ⅣMaj7 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅲ7⇒Ⅵm7
‣ⅠMaj7 ⇒Ⅰ7⇒ⅣMaj7
‣ⅠMaj7 ⇒ⅣMaj7 ⇒Ⅱ7⇒Ⅴ7
‣ Ⅲm7 ⇒Ⅵ7⇒Ⅱm7 ⇒Ⅴ7
‣ⅠMaj7 ⇒Ⅶ7⇒Ⅲm7 ⇒Ⅵm7
セカンダリードミナントの【使用例】 と 【効果性】
Theory13-03
その際に 特に注意するべき所は3度の音 です。
なぜならセカンダリードミナントはその特性上、3度
の音が必ず長3度になるからです。
下の図をご覧ください。
例えばメロディが「ソ」の場面でセカンダリードミナ
ント【E7】 を使用すると、両方が合わさった結果
「メジャー」と「マイナー」の響きが同時に発生する
ことになります。
コードの応用として、敢えてそういう際どい音を
鳴らすケースもなくはないのですが、あまりスタンダ
ードな使い方ではありません。
(どっちにしてもメジャーなのかマイナーなのかが分
からない音になります。キャッチーで心地よいコード
ワークをしたいなら学習上は当面避けた方が賢明で
す。)
セカンダリードミナント使用時にはメロディとのぶつ
かりを注意する必要があります。
なぜなら前ページで触れた通り、セカンダリードミナ
ント使用時には、必ずダイアトニックスケール外の音
が含まれるからです。
従ってセカンダリードミナントを使用する箇所では
必ずメロディとの関係を確認するようにします。
セカンダリードミナント使用時の注意事項
Theory13-04
3
R 5 7
Ⅲ7 [ E7 ]
R 5
Ⅵm7 [ Am7 ]
完全4度上行
m3 7
この時にメロディが「ソ~~♪」
メロディ
m3
例えばセカンダリードミナントⅡ7なばら
「Ⅰ○○ / Ⅱ」となります。
Ⅲ7ならば 「Ⅱ○○ / Ⅲ」
Ⅵ7ならば 「Ⅴ○○ / Ⅵ」
Ⅶ7ならば 「Ⅵ○○ / Ⅶ」
Ⅰ7ならば「Ⅶ♭○○ / Ⅰ」 ※Ⅰの全音下はⅦ♭
といった構造になります。
なお、分子コードに入れる「○○」には何を入れて
もセカンダリードミナントとしての役割を果たすことが
可能です。
ただし、ダイアトニックスケール外の音(黒鍵)が
鳴るようなコードを入れると、メロディとぶつかる可能
性が出てくるため要注意です。
例:ⅡMaj7 / Ⅲ (DMaj7 / E)
⇒DMaj7の「ファ#」と「ド#」が黒鍵
今回学ぶセカンダリードミナントですが、
実は前回学んだ【sus4型オンコード】の形にすること
で沢山の形の代理コードを作ることが可能です。
参照:Palette13-03
ポイントは、Ⅴ7をバリエーション化した
【 Ⅳ○○ / Ⅴ 】
の構造をそのまま適用する ことです。
つまり、
‣ 分子コードはルートの全音下からはじまるコード
‣ 分母はセカンダリードミナントのルートそのまま
にするということです。
セカンダリードミナントの『sus4型オンコード』化
Theory13-05
<STEP1>
まずダイアトニックコードで作曲をする。
例: ⅣMaj7 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅲm7 ⇒Ⅵm7
<STEP2>
各コードの接続において【完全4度上行】している箇所をチェックする。
例: ⅣMaj7 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅲm7 ⇒Ⅵm7
<STEP3>
完全4度上行している箇所の手前側コードを、
ルートはそのままセブンスコードに変化させる。
例: ⅣMaj7 ⇒Ⅴ7 ⇒Ⅲ7⇒Ⅵm7
これで上手く鳴ってくれたら無事完成!!(余力があればsus4型オンコードも試してみるのもアリ)
ちなみに、仮にもし上手く鳴らなかったら・・・?
セカンダリードミナントを使うプロセス例
Recipe13-01
セカンダリードミナント一覧① (key = Cメジャー)
Palette13-01
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
3R 5
ⅠMaj7 [ CMaj7 ]
完全4度上行
7M
上記と同じ関係(ドミナントモーション)をⅠ以外のダイアトニックコードにも持たせると…
3
R 5 7
Ⅵ7 [ A7 ]
R 5
Ⅱm7 [ Dm7 ]
完全4度上行
m3 7
3
R
5
7
Ⅶ7 [ B7 ]
R 5
Ⅲm7 [ Em7 ]
完全4度上行
m3 7
3R 5
7
Ⅰ7 [ C7 ] ⅣMaj7 [ FMaj7 ]
完全4度上行
3R 5 7M
セカンダリードミナント一覧② (key = Cメジャー)
Palette13-02
3
R 5 7
Ⅱ7 [ D7 ] Ⅴ7 [ G7 ]
完全4度上行
3
R 5 7
Ⅲ7 [ E7 ]
R 5
Ⅵm7 [ Am7 ]
完全4度上行
m3 7
3R 5
7
Ⅳ7 [ F7 ] Ⅶ♭Maj7 [ B♭Maj7 ]
完全4度上行
3
R
5 7M
3R 5 7
Ⅳ7はⅦ♭Maj7に接続することで、他と同様にトライトーンを解消させることができる。ただし、「Ⅶ♭」をルートとしたコードはダイアトニックコード中には存在しないため、ダイアトニックコード中心で作曲する場合は基本使われない。
ドミナント
Palette13-03
RBa 3 5 7M3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ] ⅣMaj7 / Ⅴ [ FMaj7 / G ]
RBa
3
5
7M3
R 5 7
Ⅲ7 [ E7 ]
RBa 3 5 7M
3
R 5 7
Ⅵ7 [ A7 ]
R
Ba 3 5 7M3R 5
7
Ⅰ7 [ C7 ]
sus4型オンコード化
各種セカンダリードミナント セカンダリードミナントをsus4型オンコード化例
ⅡMaj7 / Ⅲ [ DMaj7 / E ]
ⅤMaj7 / Ⅵ [ GMaj7 / A ]
Ⅶ♭Maj7 / Ⅰ [ B♭Maj7 / C ]
sus4化
sus4化
sus4化
sus4化
セカンダリードミナント の sus4化例 (分子は全てMaj7に統一)
使える!コード理論
第14回
『 セカンダリードミナントのⅡ-Ⅴ化 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
前回学んだセカンダリードミナントは、
・ダイアトニックスケール外の響き・トライトーンがもたらす不安定さ
を持つコードでした。
ダイアトニックコードの流れに組み込むことで、新鮮でメリハリのある動きを作れるテクニックでした。
しかし、場合によってはトライトーンを持つセカンダリードミナントを使用した時に「ワザとらしい」「とってつけたような」「唐突な」印象に感じられることがしばしばあります。
それをより自然な流れで組み込む方法を今回は学んでいきます。
前回学んだセカンダリードミナントですが、
楽曲の流れによっては少々強引な接続に
感じられることがあります。
理由は前ページにも書いたとおり
・ダイアトニックスケール外の響き
・トライトーンがもたらす不安定さ
この2つを持っているからです。
「突然」
「ダイアトニックコードじゃない」
「不安定なコード」
が鳴るわけですから、鳴った瞬間に「アレっ?」と
違和感を感じることがあっても不思議ではありません。
(もちろん直後で解決したらスッキリはするのですが。)
Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)化 とは?
Theory14-01
そんな時に、プログレッションの回で学んだ
【強進行】の性質を活用することで、
よりスムーズかつ必然性のある形で
セカンダリードミナントを使用することができるのです。
そのことを
「セカンダリードミナント」
のⅡ-Ⅴ(ツーファイブ)化
と呼びます。
そこで、まずはここまでの回で私たちが学んだ
「ツーファイブ」について振り返ってみましょう。
私たちが一番なじみのあるⅡ-Ⅴ、それは
メジャースケールのダイアトニックコードの
「Ⅱm7 ⇒Ⅴ7 」
です。
「Ⅱm7⇒Ⅴ7⇒Ⅰ」
というのは説明不要のレベルで
なじみがある進行ですね。
俗にいう「ツーファイブワン」と言う流れです。
CメジャースケールのⅡ-Ⅴ (Ⅱm7⇒Ⅴ7)
Theory14-02
Ⅱm7からⅤ7にかけた【強進行】を経て、
その後更に【強進行】でⅠに解決することで
非常に強い接続となります。
これを踏まえておさえておきたいことは次の通りです。
「セカンダリーDの解決先がメジャーコードの場合、
それはメジャースケールのⅤ7⇒Ⅰ
の形を踏襲している。
その場合ツーファイヴワンの「ツー」は
Ⅱm(Ⅱm7)になるのが自然である」
ということです。
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
3R 5
Ⅱm7 [ Dm7 ]
完全4度上行
7
★Check!★ メジャースケールのⅡは「Ⅱm7」である。⇒Ⅴの解決先のⅠがメジャーコードの場合、ⅡはⅡm7であることが自然。
では次に第11回のマイナースケールの回で学んだ
ことを振り返ってみましょう。
Aマイナースケールのダイアトニックコードにおける
Ⅱは [ Bm7(♭5) ]
だったのを覚えてますか。
※Palette10-03 参照
そうです。
マイナースケールのⅡにはマイナーに「(♭5)」が付く
と学びましたね。
AマイナースケールのⅡ-Ⅴ (Ⅱm7(♭5) ⇒Ⅴ7)
Theory14-03
従ってマイナースケールにおけるⅡ-Ⅴとは
「Ⅱm7(♭5)⇒Ⅴ7」
というのが一番耳なじみのある自然な流れとなります。
これを踏まえておさえておきたいことは次の通りです。
「セカンダリーDの解決先がマイナーコードの場合、
それはマイナースケールのⅤ7⇒Ⅰm
の形を踏襲している。
その場合ツーファイブワンのツーはⅡm(♭5)
あるいはⅡm7(♭5)になるのが自然である」
ということです。
マイナーのツーファイブワンは「Ⅱm7(♭5)-Ⅴ7-Ⅰm 」 と覚えてしまいましょう。
3
R 5 7
Ⅴ7 [ E7 ]
R
Ⅱm7(♭5) [ Bm7(♭5) ]
完全4度上行
m3 75♭
★Check!★ マイナースケールのⅡは「Ⅱm7(♭5)」である。⇒Ⅴの解決先のⅠがマイナーコードの場合、ⅡはⅡm7(♭5)であることが自然。
‣メジャーキーでⅤ7に強進行で接続するコードは
「Ⅱm 」 or 「Ⅱm7 」である。
‣マイナーキーでⅤ7に強進行で接続するコードは
「Ⅱm(♭5) 」 or 「Ⅱm7(♭5) 」 である。
Palette14-01
そこで、この性質を活かした仮想の「Ⅱ」を
各セカンダリードミナントの前に仕込むのです。
すると本来ならば楽曲のキーにとって突拍子もない
はずのコードが、必然であるかのようにみせかけること
ができるのです。
※Palette14-02 , Palette14-03 参照
「Ⅱ-Ⅴ化」とは手前に「振り」を作ること。
Theory14-04
この振りとも呼べる仕込みをすることで聴き手に
「そのタイミングでセカンダリードミナントが登場する
のは必然だよね!」
「そうそう、この流れが欲しかったんだよね!」
という錯覚をさせることが可能になるのです。
しかも場合によってはこの仮想の「Ⅱ」自体が
そもそもダイアトニックスケール外の音を含む
=「楽曲にとって新鮮な響きを持つコード」
である場合もあります。
まさに一石二鳥と言っても過言ではない
アプローチと言えるでしょう。
3R 5
7
Ⅰ7 [ C7 ] ⇒解決先はFMaj7(メジャーコード)Ⅴm7 [ Gm7 ]
完全4度上行
R 5 7M
m3
あれっ?Cキーの曲なのにGm7が出てきたぞ? あ、C7に繋がるなら普通か ( ただの錯覚 )
<STEP1>
第13回に学んだ手順で「完全4度上行」箇所にまずセカンダリードミナントを使います。
<STEP2>
次にセカンダリードミナントが鳴っている区間を2分割し、
セカンダリードミナント自体は後ろ側に寄せてしまいます。
<STEP3>
寄せたことでできた隙間に、※Palette14-02 , Palette14-03
にある「Ⅱ」にあたるコードを挿入して完成!
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例①
Recipe13-01
ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅲ7 Ⅵm7
ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7Ⅲ7( ( (((
グイッと圧縮
ⅣMaj7 Ⅴ7 Ⅵm7Ⅲ7
Ⅶm7(♭5)
着地点がマイナーだから「m7(♭5)」
この例は「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」の構造を逆手にとったアプローチです。
<STEP1> まず、ダイアトニックコードで作曲をする。
<STEP2> 次に、2コード間が「順次(全音)下行」している箇所を見つける。
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例②A
Recipe13-02
ⅠMaj7 Ⅶm7(♭5) Ⅵm7 Ⅴ7
ⅣMaj7 Ⅲm7 Ⅱm7 Ⅴ7
ⅠMaj7 Ⅶm7(♭5) Ⅵm7 Ⅴ7
ⅣMaj7 Ⅲm7 Ⅱm7 Ⅴ7
( ( (((<STEP3> 該当する2コードの手前側コードを前側に寄せて、
できた隙間に(後ろ側のダイアトニックコードに解決する)
セカンダリードミナントを割り込ませます。
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例②B
Recipe13-03
ⅠMaj7
ⅣMaj7 Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅲ7
(♭5)Ⅶm7 Ⅵm7 Ⅴ7
Ⅲm7
Ⅱ7 Ⅰ7
Ⅵ7
後ろのコードに解決するセカンダリードミナント
( ( ((( ( ( ((( ( ( (((
<STEP4>STEP3はあくまでも「セカンダリードミナントを入れる箇所の候補出し」です。従って入れるかどうかは取捨します。
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例②C
Recipe13-04
ⅠMaj7
ⅣMaj7 Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅲ7(♭5)
Ⅶm7 Ⅴ7
Ⅲm7
Ⅱ7
Ⅰ7
Ⅵ7
Ⅵm7
採用 採用
採用
あまり短時間でトライトーンが多発するとしつこく感じられるので不採用
×
<STEP4>このように順次(全音)下行の箇所にセカンダリードミナントを挿入すると、
セカンダリードミナントのⅡ-Ⅴ化と同じような状態を自動的に作ることができます。
なぜこれが成立するか?
⇒「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」の「Ⅱ」と「Ⅰ」が全音離れる関係であることから、
逆算でつじつまあわせをしています。
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例②D
Recipe13-05
ⅠMaj7
ⅣMaj7 Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅲ7(♭5)
Ⅶm7 Ⅴ7
Ⅲm7
Ⅰ7
Ⅵ7
Ⅵm7
採用 採用
採用
Ⅲ7をⅡ-Ⅴ化した状態と同じ
<STEP5>この時に、本来あるべき「Ⅱ-Ⅴ化」になっていないケースがしばしば発生します。
この様な場合は「Ⅱ」にあたるコードを(♭5)付きにするか、付けないかを判断します。
この時、メロディとの関係性などを見て音がぶつかってしまうような場合は、
本来あるべき形にしないのも選択肢としてはあり得ます。
(ただ本来の形に沿わせた方が、コード進行の流れにはより説得力は生まれます)
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例②E
Recipe13-06
ⅠMaj7
ⅣMaj7 Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅲ7(♭5)
Ⅶm7 Ⅴ7
Ⅲm7
Ⅰ7
Ⅵ7
Ⅵm7
Ⅵ7をⅡ-Ⅴ化するなら、「Ⅲm7」ではなく「Ⅲm7(♭5)」であるのが本来の形。
あれっ?
<STEP6>
・セカンダリードミナントの挿入箇所の選定
・メロディなどとの関係性を踏まえ「m7」or「m7(♭5)」の選定
ここまで行ったら無事完成!
セカンダリードミナントⅡ-Ⅴ化のプロセス例②B
Recipe13-07
ⅠMaj7
ⅣMaj7 Ⅱm7 Ⅴ7
Ⅲ7(♭5)
Ⅶm7 Ⅴm7
Ⅲm7
Ⅰ7
Ⅵ7
Ⅵm7
(♭5)
CメジャースケールにおけるⅡ-Ⅴ (key = Cメジャー)
Palette14-01
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
3R 5
Ⅱm7 [ Dm7 ]
完全4度上行
3
R 5 7
Ⅴ7 [ E7 ]
R
Ⅱm7(♭5) [ Bm7(♭5) ]
完全4度上行
m3 75♭
AナチュラルマイナースケールにおけるⅡ-Ⅴ (key = Aナチュラルマイナー)
7
★Check!★ メジャースケールのⅡは「Ⅱm7」である。⇒Ⅴの解決先のⅠがメジャーコードの場合、ⅡはⅡm7であることが自然。
★Check!★ マイナースケールのⅡは「Ⅱm7(♭5)」である。⇒Ⅴの解決先のⅠがマイナーコードの場合、ⅡはⅡm7(♭5)であることが自然。
各セカンダリードミナント に向かってⅡ-Ⅴの状態を作る(セカンダリードミナントのⅡ-Ⅴ化)
Palette14-02
3
R 5 7
Ⅵ7 [ A7 ] ⇒解決先はDm7(マイナコード)
R
Ⅲm7(♭5) [ Em7(♭5) ] ※(♭5)を付ける
完全4度上行
m3 7
3
R
5
7
Ⅶ7 [ B7 ] ⇒解決先はEm7(マイナコード)
R
Ⅳ#m7(♭5) [ F#m7(♭5) ] ※(♭5)を付ける
完全4度上行
m3 7
3R 5
7
Ⅰ7 [ C7 ] ⇒解決先はFMaj7(メジャーコード)Ⅴm7 [ Gm7 ]
完全4度上行
R 5 7M
5♭
5♭
m3
セカンダリードミナントの前に付加した仮想のⅡ
セカンダリードミナント一覧② (key = Cメジャー)
Palette13-03
3
R 5 7
Ⅱ7 [ D7 ] ⇒解決先はG7(メジャーコード)Ⅵm7 [ Am7 ]
完全4度上行
R 5 7
3
R 5 7
Ⅲ7 [ E7 ] ⇒解決先はAm7(マイナコード)
R
Ⅶm7(♭5) [ Bm7(♭5) ] ※(♭5)を付ける
完全4度上行
m3 75♭
m3
セカンダリードミナントの前に付加した仮想のⅡ
使える!コード理論
第15回
『 裏コード 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
セカンダリードミナント及びⅡ-Ⅴ化は一言で言うと
「意図的にドラマティックな予定調和を作る」手法でした。
ダイアトニックコードからは外れていましたがある意味で王道的なアプローチだったと言っても良いかもしれません。
そこで、今回は「予定調和」ではなく聴き手に“もっと”意外性を感じさせるアプローチを学んでいきます。
裏コードとは、ドミナントコードの増4度上をルートとし
たセブンスコードのことです。
下の図をご覧下さい。
左側のG7 に対して、右側にはD♭7が書かれて
います。
一見Cメジャーキーとは無縁そうなコードですが、
よくよく構成音を見てみると、D♭7には「シ」と「ファ」が
含まれています。
つまりG7とD♭7は同じトライトーンを持つセブンスコ
ードである、と言えます。
※なお、減5度(左)の上下が入れ替わっているので
増4度(右)としていますが、トライトーンは上下が入れ
替わっても不安定な響きは一切変わりません。
裏コード とは?
Theory15-01
以前、ドミナントの重要な2音は「シ」と「ファ」である
と学びました。
この裏コードという概念は、これを拡大解釈して
「シとファを持っているなら、このセブンスコードは
ドミナントの代理として使えるのではなかろうか?」
と言う発想で使われるようになりました。
実際のコード進行を聞き比べてみましょう。
‣Ⅱm7 -Ⅴ7 -Ⅰ (本来のドミナント)‣Ⅱm7 -Ⅱ♭7-Ⅰ (裏コードへの変化)
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
3
Ⅱ♭7 [ D♭7 ]
R 5
7
トライトーン(減5度) トライトーン(増4度)共通のトライトーンを持つセブンスコード
なぜ「裏コード」 と呼ぶのか?
Theory15-02
Cキー
Gキー
Dキー
Aキー
Eキー
Bキー
F#キー
G♭キー
Fキー
B♭キー
E♭キー
A♭キー
D♭キー
=実質同じ
なぜ「裏コード」と呼ぶかは、五度圏を見ると分かりや
すいです。
まず「G7」というのはCメジャーキーの「Ⅴ7」です。
それに対し「D♭7」とは
実はF#(G♭)メジャーキーのダイアトニックコード
「Ⅴ7(ドミナント)」だったのです。
五度圏で見ると、CキーとF#キーは12個のキーで
対角線上に存在しています。
つまり、裏コードとは本来のキーから見て一番遠い
キーのダイアトニックコードを借りてくるその構造を
表している呼び方なのです。
Cキー のⅤ7
= G7F#キー のⅤ7
= D♭7
表 と 裏 の関係性
裏コードがあるのは G7 だけではない。
Theory15-03
ここまで我々が一番なじみがある「G7」の代理として
使える裏コード「D♭7」について解説してきました。
ですが、冒頭ではこの様に書いていました。
>裏コードとは、ドミナントコードの増4度上をルートとし
>たセブンスコードのこと
つまり裏コードは、G7だけではなく、セカンダリードミ
ナントにも存在すると言えます。
下の図は、セカンダリードミナントⅥ7(A7)と
その増4度上をルートとした裏コード
Ⅲ♭7(E♭7)を表しています。
赤く書かれた3度と7度のトライトーンが
それぞれ同じであることが分かります。
従って 例えば
‣Ⅲm7 ⇒Ⅵ7(セカンダリーD)⇒Ⅱm7
というコード進行を
‣Ⅲm7 ⇒Ⅲ♭7(裏コード)⇒Ⅱm7
という差し替えが可能になるのです。
裏コード一覧表 ※Palette15-01, Palette15-02
3
R 5 7
Ⅵ7 [ A7 ]
3
Ⅲ♭7 [ E♭7 ]
R 5 7
共通のトライトーンを持つセブンスコード
良く裏コードを覚えたての人が混同しがちなコードに
「ナポリの6度」というニックネームのコードがあります。
下の図の左側が「裏コード」
右側が「ナポリの6度」です。
非常によく似ていますが、裏コードはセブンス、
「ナポリの6度」はメジャーセブンスとなっており
トライトーンを持っていません。
Ⅱ♭をルートとしており、構造も少し似ているため
なんとなく手癖で楽器を鳴らしていると、うっかり
メジャーセブンスを弾いてしまうことがあるかもしれ
ません。
良く混同される“ニセモノ”の裏コード「ナポリの6度」
Theory15-04
ですが、トライトーンを持っていませんから、本来は
「ドミナントの代理コード」にはなり得ませんし、
F#(G♭)キーのコードでもないので、「裏コード」と
呼ぶのはおかしな話なのです。
ところが・・・!
実際に鳴らしてみると、これが結構オシャレな感じで
トニックに接続してしまうのが困ったもので(笑)
結局ルートの倍音に着目してみると
「D♭7=裏コード」がうっすらなっているため、
若干ながら裏コードのような接続ができるのです。
使っても構いませんが「裏コードではない」ということ
だけは肝に銘じておきましょう。
3
Ⅱ♭Maj7 [ D♭Maj7 ]
R 5
完全5度
3
Ⅱ♭7 [ D♭7 ]
R 5
7
トライトーン(増4度)
7M
混同すべからず!
補足コラム①
今回学ぶ裏コードですがセカンダリードミナントなどと
同じセブンスコードであるため、【sus4型】の形にする
ことで沢山の形の代理コードを作ることが可能です。
ポイントは、Ⅴ7をバリエーション化した
【 Ⅳ○○ / Ⅴ 】
の構造をそのまま適用する ことです。
つまり、
‣ 分子コードはルートの全音下からはじまるコード
‣ 分母は裏コードのルートそのまま
にするということです。
裏コードの「バリエーション」
Theory15-05
例えば裏コード「Ⅲ♭7」ならば
「Ⅱ♭○○ / Ⅲ♭」となります。
Ⅵ♭7ならば 「Ⅴ♭○○ / Ⅵ♭」
Ⅱ♭7ならば 「Ⅰ♭(Ⅶ)○○ / Ⅱ♭」
といった構造になります。
セカンダリードミナントと同じように 「○○」には
何を入れても機能としては成立します。
ただし、分子コードに「メジャー」や「マイナー」などの
普段なじみのあるコードを入れると、裏コードの性質上
黒鍵が増加しやすくなります。(ただでさえ黒鍵が多い
裏コードが更に黒鍵が増えてしまい、メロディとの
整合性をとりづらくなります。)
そこで裏コードの場合、分子コードにaugやm(♭5)の
トライアドを採用するのがオススメです。
バリエーションを出しつつも白鍵が増えるため、
補足コラム②
<STEP1>
ダイアトニックコードで作曲をする。
<STEP2>
セカンダリードミナント及びⅡ-Ⅴ化を施す。
<STEP3>
Ⅴ7及び各セカンダリードミナントを裏コードに変化させてみる。
~ 注意事項 ~
・裏コードはその性質からダイアトニックスケール外の音(黒鍵)が多くなるため
使用時は必ずメロディとの関係性をチェックすること!
裏コードの使用プロセス
Recipe15-01
各ドミナントの代理が可能な「裏コード」①Palette15-01
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
3
Ⅱ♭7 [ D♭7 ]
R 5
7
各ドミナント 【 表 】 同じトライトーンを持つ裏コード 【 裏 】代理可能
3
R 5 7
Ⅵ7 [ A7 ]
3
Ⅲ♭7 [ E♭7 ]
R 5 7
3
R
5
7
Ⅶ7 [ B7 ]
3
Ⅳ♭7 [ F♭7 ]
R 5
7
トライトーン(減5度)
トライトーン(減5度)
トライトーン(減5度)
トライトーン(増4度)
トライトーン(増4度)
トライトーン(増4度)
Palette15-02
各ドミナント 【 表 】 同じトライトーンを持つ裏コード 【 裏 】代理可能
3R 5
7
Ⅰ7 [ C7 ]
3
Ⅴ♭7 [ G♭7 ]
R 5
7
3
R 5 7
Ⅱ7 [ D7 ]
3
Ⅵ♭7 [ A♭7 ]
R 5 7
3
R 5 7
Ⅲ7 [ E7 ]
3
Ⅶ♭7 [ B♭7 ]
R
5
7
各ドミナントの代理が可能な「裏コード」②
トライトーン(減5度)
トライトーン(減5度)
トライトーン(減5度)
トライトーン(増4度)
トライトーン(増4度)
トライトーン(増4度)
使える!コード理論
第16回
『 ディミニッシュ代理 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
前回は“もっと意外性を感じさせるアプローチ”として裏コードを学びました。
今回は新たに「ディミニッシュコード」を活用した意外性を感じさせるアプローチを学んでいきます。
前回学んだ
裏コードの仕組みを元に
さらに発想を広げたアプローチが
「ディミニッシュ代理」 です。
下の図をご覧下さい。
左側のG7 に対して、右側にはBdimが書かれて
います。
このBdimですが構成音を見てみると
G7同様に「シ」と「ファ」が含まれていることが
分かります。
つまり
G7とBdimは同じトライトーンを持つコード
だということです。
ディミニッシュ代理 とは?
Theory16-01
従って裏コードの発想と同じく
「シとファを持っているなら、このディミニッシュは
ドミナントの代理として使えるのではなかろうか?」
と言う発想で使われるようになりました。
実際のコード進行を聞き比べてみましょう。
‣Ⅱm7 -Ⅴ7 -Ⅰ (本来のドミナント)‣Ⅱm7 - Bdim-Ⅰ (ディミニッシュへの変化)
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
m3
Ⅶdim [ Bdim ]
R ♭5
6
トライトーン(減5度) トライトーン(増4度)共通のトライトーンを持つコード
なお
「シ」と「ファ」を持つディミニッシュコードは
Bdim だけではありません。
Ⅴ7 と同じトライトーンを持つディミニッシュは
「G#dim」 「Fdim」
「Ddim」 「Bdim」
の4種類があります。
したがって、上記全てがⅤ7の代理として使うことが
できるのです。
試しにこれらディミニッシュコードからトニック(Ⅰ)への
接続を聴いてみましょう。
共通のトライトーンを持つディミニッシュは4種
Theory16-02
3R 5 7
Ⅴ7 [ G7 ]
m3
Ⅶdim [ Bdim ]
R ♭5
6
トライトーン(減5度) トライトーン(減5度)共通のトライトーンを持つコード
m3
Ⅱdim [ Ddim ]
R
♭5
6
トライトーン(増4度)
m3
Ⅳdim [ Fdim ]
R ♭5 6
トライトーン(増4度)
m3
Ⅴ#dim [ G#dim ]
R
♭5 6
トライトーン(減5度)
このようにある1つのセブンスコードに対して
共通のトライトーンを持つディミニッシュコが4種ある
・・・ということは、セカンダリードミナントにとっても
まったく同じことが言えるのです。
Palette16-01, Palette16-02 , Palette16-03
例えばⅥ7 と同じトライトーンを持つディミニッシュは
「A#dim」 「Gdim」
「Edim」 「C#dim」
の4種類があります。
したがって
「Ⅵ7⇒Ⅱm7」というコード進行が成立する時
これらディミニッシュをⅥ7の代理コードとして
差し替えることができるのです。
セカンダリードミナントの「ディミニッシュ代理」
Theory16-03
3
R 5 7
セカンダリードミナントⅥ7 [ A7 ]
m3
Ⅰ#dim [ C#dim ]
R
♭5
6
トライトーン(減5度) トライトーン(減5度)共通のトライトーンを持つコード
m3
Ⅲdim [ Edim ]
R
♭5 6
トライトーン(増4度)
m3
Ⅴdim [ Gdim ]
R
♭5
6
トライトーン(増4度)
m3
Ⅵ#dim [ A#dim ]
R
♭5 6
トライトーン(減5度)
一覧表をみてウンザリした気持ちになった方に朗報!
資料のディミニッシュコードを丸暗記する必要は
ありません。
覚えることは1つだけでOKなんです。それは、
「ディミニッシュコードは半音上のコードに解決する」
これだけです。
なぜなら、ディミニッシュコードには法則があるから!
例えば
「Ⅶdim」と「Ⅱdim」と「Ⅳdim」と「Ⅴ#dim」は
全てコードトーンが同じため、名称こそ違うものの
実際に鳴っている音は変わらないからです。
したがって一番覚えやすいモノだけを覚えるのが
攻略のコツなのです。
丸暗記不要!「ディミニッシュ代理」
Theory16-04
Ⅴ7(ドミナント) ⇒Ⅰ(トニック)
Ⅶdim
Ⅱdim
Ⅳdim
Ⅴ#dim
4種 代理可能
「dimコードは半音上に接続すると解決する」この1点だけを覚えておく。(残りの3種は転回形で導きだせるため)
半音上行して解決
例題「解決できるコードを求めよ」
Theory16-05
~ 参考資料 ~
Ⅴ7
Ⅶdim
Ⅰmaj7
完全4度上行
半音上行
Ⅵ7
[ ]dim
Ⅱm7
問①
Ⅲ7
[ ]dim
Ⅵm7
問②
[ ]7
Ⅳ#dim
Ⅴ7
問③
Ⅴ7 [ G7 ]
ⅣMaj7 [ FMaj7 ]
Ⅳ#dim [ F#dim ]
ディミニッシュコードは半音上に接続すると
トライトーンが解消してスッキリする
という性質を活かしたテクニックに
「パッシングディミニッシュ」
と呼ばれるワザがあります。
例えばダイアトニックコード同士の接続
「 ⅣMaj7 ⇒ Ⅴ7 」
などの場合に、2コードの間に
後ろのⅤ7に解決するディミニッシュ「Ⅳ#dim」を
挿入するのです。
すると、ベースラインが半音ずつせり上がっていく形の
独特な進行を作ることができるのです。
パッシングディミニッシュを使うことで
楽曲を盛り上げたり、全音離れた任意のコードを
スムーズに繋ぐことが可能になります。
パッシングディミニッシュ
Theory16-06
R
R 5
♭5
R 5
M3
7
M7
M3
m3
6
Ⅴ7 [ G7 ]
ⅣMaj7 [ FMaj7 ]
Ⅳ#dim [ F#dim ]
先ほど解説したパッシングディミニッシュについて
もう一歩踏み込んで観察してみます。
右図はⅣからⅤを繋ぐ典型的なパッシングディミニッ
シュです。
中段Ⅳ#dim ではトライトーンが①と②の2組がある
ことが分かりますね。
ここで質問です。
Q、この2組のトライトーンですが続くⅤ7に解決してい
るのは①と②どちらでしょうか?
A、「 」
ということは・・・・?
パッシングディミニッシュを観察してみる
Theory16-07
R
R 5
♭5
トライトーン ①
補足アイディア①
R 5
M3
7
M7
M3
m3
6
トライトーン ②
典型的なパッシングディミニッシュ
Ⅴ7 [ G7 ]
ⅣMaj7 [ FMaj7 ]
Ⅳ#m7(♭5) [ F#m7(♭5) ]
つまり、パッシングディミニッシュにおいて、
「接続に貢献しているトライトーンは
常にどちらか片方のみである」
ということになります。
その場合、貢献していないトライトーンがもし黒鍵を
鳴らしていて、メロディと干渉する場合は、
白鍵にずらす形で変形させることで対応が可能です。
例①:Ⅳ#dim を Ⅳ#m7(♭5) に変化!
例②:Ⅰ#dim を Ⅰ#m7(♭5) に変化!
例③:Ⅱ#dim を Ⅳ7/Ⅱ# に変化!
※m7(♭5) 以外の形に変形する場合もありえます。
この場合は「 裏コードの転回形 」 になっています。
ディミニッシュ代理を変形させてみる
Theory16-08
R
R 5
♭5
トライトーン ①
補足アイディア②
R 5
M3
7
m3
M7
M3
パッシングディミニッシュを変形
7
機能性は維持しながら柔軟な対応が可能に!
…とは言えやればいいってモノではない。
Theory16-09補足アイディア③
Ⅵm7 [ Am7 ]
Ⅴ7 [ G7 ]
Ⅴ#m7(♭5) [ G#m7(♭5) ]
R
R 5
♭5
R 5
M3
7
m3
7
M3
効果性よりやることが目的に…
7
わざわざ黒鍵を鳴らすメリットがない
ここで
「へ~!dim を m7(♭5) で代理できるのか!!」
と安易に捉えた結果失敗したパターンが右図です。
ⅤからⅥに掛けたパッシングディミニッシュを変形し
Ⅴ#m7(♭5) にしています。
確かに理屈ではこれでパッシングディミニッシュ同様の
接続が実現しています。
そこで質問です。
Q 、変形させた音は一体メリットを
もたらしたのでしょうか??
A 、「
」
<STEP1>
ダイアトニックコードで作曲をする。
<STEP2>
セカンダリードミナント及びⅡ-Ⅴ化を施す。
<STEP3>
Ⅴ7及び各セカンダリードミナントをディミニッシュ代理に変化させてみる。
~ 注意事項 ~
・ディミニッシュコードはその性質からダイアトニックスケール外の音(黒鍵)が多くなります。
使用時は必ずメロディとの関係性をチェックすること!
【黒鍵数による要警戒度合】
裏コード(平均2個↑) > ディミニッシュ(平均1.6個↑) > セカンダリー(平均1.2個)
ディミニッシュ代理の使用プロセス①
Recipe16-01
<STEP1>
ダイアトニックコードで作曲をする。
<STEP2>
コード間が順次(全音)上行している所を探す。
<STEP3>
その2コードの間にルートが半音ずつ上行していく形でディミニッシュコードを挿入する。
※メロディと干渉する場合は「m7(♭5)」に変化させることも考慮する。
~ 注意事項 ~
・ディミニッシュコードはその性質からダイアトニックスケール外の音(黒鍵)が多くなります。
使用時は必ずメロディとの関係性をチェックすること!
【黒鍵発生数による要警戒度合】
裏コード(平均2個↑) > ディミニッシュ代理(平均1.6個↑) > セカンダリーD(平均1.2個)
ディミニッシュ代理の使用プロセス②「パッシングディミニッシュ」
Recipe16-02
ディミニッシュとドミナントの関係性①Palette16-01
ディミニッシュとドミナントの関係性②Palette16-02
ディミニッシュとドミナントの関係性③Palette16-03
使える!コード理論
第17回
『 ドミナント祭りの補足・応用 』
~ 今回の学習目的・ねらい ~
今回はドミナント祭りで学んだことの一部補足と応用的な手法をレクチャーします。
「ドミナント脳」に偏りすぎた頭をバランス良くリセットしていきます。
この例は楽曲や使用箇所によってはうまく行かない可能性があります。
ただし、作り的にも意外なコード進行を作れる場合があるので知っておくと便利です。
<STEP1> まず、ダイアトニックコードで作曲をする。
<STEP2> 次に、2コード間が「完全4度上行」や「順次(全音)下行」
“していない箇所”を見つける。
<STEP3> 該当する2コードの手前側コードを前側に寄せて、
できた隙間に(後ろ側のダイアトニックコードに解決する)
セカンダリードミナントを割り込ませます。
セカンダリードミナント ぶっこみ型使用法①
上手くいくか行かないかはケースバイケースのぶっこみ型!
Theory17-01
実際に使えそうなコード進行例。
(メロディと合うかは実際に鳴らしてみて確認する必要があります。)
① Ⅰmaj7 -Ⅵm7 -Ⅳmaj7 -Ⅴ7
② Ⅳmaj7 -Ⅴ7 -Ⅲm7 -Ⅵm7
③ Ⅵm7 -Ⅳmaj7 -Ⅴ7 -Ⅰ
④ Ⅳmaj7 -Ⅱm7 -Ⅴ7 -Ⅰ
⑤ Ⅰmaj7 -Ⅲm7 -Ⅳmaj7 -Ⅴ7
全て2つ目のコードの手前にセカンダリードミナントをいれると・・・?
セカンダリードミナント ぶっこみ型使用法①
Theory17-02
「弱進行」ってなぜ進む感じが弱かったのか覚えてますか?
全ては「倍音」と「セブンスコード」が源にありました。
そんな弱進行ですが、意識的に活用できてますか?
世の中には弱進行でないとだせないジャンル感・ニュアンスというのがあります。
意図的に使うための発想と応用ワザについて2種類解説します。
詳しくはホワイトボードにて!
「弱進行」 活用してますか? そして応用へ・・・
Theory17-03