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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu 1
廃棄物分野の都市間環境国際協力
~北九州市の事例から~
北九州市環境国際戦略室長 櫃本 礼二
© City of Kitakyushu
世界の環境首都を目指して
世界のモデルとなる “環境都市(持続可能な都市)” づくり
・目標に関する地域の合意と具体的行動における関係者の協働
・環境、経済、社会の統合的発展
・首長のリーダーシップ
・国際的情報発信/インプット
© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
中華人民共和国
大韓民国
日本
北九州市
大阪
東京 ソウル
仁川 煙台
朝鮮民主主義人民共和国
蔚山 釜山
大連
ウラジオストク
青島
台北
北京
天津
上海
TOTO 新日鐵住金 安川電機
北九州地域の代表的企業
三菱化学 トヨタ自動車
・日産自動車
関門海峡たこ 合馬のたけのこ
若松特選トマト
小倉牛
豊前海一粒かき
豊かな自然やブランド食材
カルスト台地・平尾台 若松北海岸
人口:977,000人(2010年)
面積:487.88Km2
GDP:3兆4300億円(2010年)
三菱マテリアル
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
3
© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
OECD グリーン成長都市への選定
かつて汚染された工業地帯であった北九州は、現在、グ
リーン成長を目指す現代的な産業都市である。 北九州市のグリーン成長は、過去に成し遂げたことと同様、
市民の強い関与によるべきである。
パリ (フランス)
シカゴ (アメリカ)
北九州 (日本)
ストックホルム (スウェーデン)
OECD報告書「北九州のグリーン成長」(2013年)
OECDグリーンシティプログラム北九州レポート
発表記念会議(平成25年10月18日)で、
OECD局長からレポートを受け取る北九州市長
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu “死の海, 洞海湾” 蘇えったきれいな海
深刻な大気汚染
I1950年代~1960年代 現在
激甚公害の克服
蘇えった青空
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
パートナーシップ 市民による民間企業視察
市民
環境規制とインフラ整備
地方自治体 民間企業 クリーナープロダクションと公害対策施設
大学教授から大気汚染測定を学ぶ
ローカルイニシャティブとパートナーシップ
環境技術と投資、教育と市民参加
環境ガバナンス
出典: UNESCAP “Kitakyushu Initiative for a Clean Environment
地域の多様な主体のパートナーシップ
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
6
© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
出典: World Bank, MEIP Report, 1996
北九州市での経済発展と環境改善の両立(Win-Win)
0
0.5
1
1.5
2
0 5 10 15 20 25 30
Environmental Pollution
(mg-SO3/100c㎡/day)
Economic Development
(Value of Shipments: 100Billiom Yen)
1960
19611962
19631964
1965
1966
1967
1968
1969
1970
19711972
19731974
19761977
1978 1979
1980
環境汚染 (mg-SO3/100cm2/日)
経済発展(製造品出荷額: 兆円)
1960
1980
経済開発が環境改善に沿って達成された。
1968
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
多様な主体間の合意形成:「グランド・デザイン」の策定 ~基本理念と具体的行動~
多様な主体の対話集会 (1年間)
環境首都創造に関する意見募集
・期間:8か月間
・1,000件以上の提案・意見
市民、企業、大学、行政協働で、
グランドデザイン策定
・期間:8か月間
・議論:180回
環境首都創造会議
グランド・デザインの策定・発表 (平成16年10月)
合意形成の仕組みの提供
市民、NPO 民間企業 大学 地方自治体
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu
北九州市環境モデル都市行動計画 (北九州グリーンフロンティアプラン)
環境が
先進の街を
創る
環境が
経済を
拓く
環境が
人を
育む
環境が
豊かな生活を
支える
環境が
アジアの絆を
深める
取組方針と5年間の取組
CO2削減目標(2050年) 北九州市域: 50%
アジア地域: 150%相当
ストック型社会構築の理念の下、地球温暖化防止活動の推進と都市の活力増大を同時
に切り拓き、その成果は、国内やアジアを中心に世界の発展にも貢献
・産業都市としての低炭素社会
・少子高齢化社会に対応した低炭素社会
・アジアの低炭素化に向けての都市間環境外交
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
世界の環境首都・グランドデザインに基づく 持続可能な都市会づくり
環境的側面 都市の持続可能性
を高める
社会的側面 共に生き、 共に創る
経済的側面 環境で 経済を拓く
北九州市の持続可能な都市づくりの取組み
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
一般廃棄物管理と資源循環 15分別21種類
北九州市の廃棄物管理と資源循環
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
12.1 12.3 13.1 14.6 15.2 15.8 15.0 15.8
18.9
23.1
30.0 30.6 30.4
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
Year
Recycling Ratio(%)
資源循環ステーション
一般ごみ プラスティック製容器包装
缶・ビン ペット ボトル
家庭でのごみ分別(料金格差によるインセンティブ)
一般廃棄物発生量 (g/日/人) 748
703 701 698 706 705 706 704 696
609
536 522506
300
350
400
450
500
550
600
650
700
750
800
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
ごみ量(g/人/日)
Year
家庭ごみの排出量の変化
リサイクル率(%)
廃棄物削減とリサイクル増加
50円/枚
12 円/ 枚
障害者を雇用した
缶ビン資源化センター リサイクル産業、実証研究施設
ソフト
ハード
環境
経済
社会
市民参加 社会福祉
環境産業 地域雇用
CO2削減
廃棄物削減
北九州エコタウン
循環型社会システムと北九州エコタウン
北九州市の廃棄物管理と資源循環
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748
703 701 698 706 705 706 704 696
609
536 522506
300
350
400
450
500
550
600
650
700
750
800
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
ごみ量(g/人/日)
Year
家庭ごみの排出量の変化
一般廃棄物の削減
一般廃棄物排出量 (g/日/人)
12.1 12.3 13.1 14.6 15.2 15.8 15.0 15.8
18.9
23.1
30.0 30.6 30.4
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
Year
Recycling Ratio(%)
一般廃棄物のリサイクル率
一般ごみ
容器包装
かん、びん
ペットボトル
2006年に資源循環のための
一般廃棄物分別システムスタート
資源循環社会構築への市民参加(廃棄物減量化・リサイクル)
日本はOECD諸国の中でも一般廃棄物の発生量が最も低い国の一つであり、2008年度は
1.03kg/日/人である。北九州市はさらに、506kg/日/人(2009年度)と半分以下である。
(出典: OECD Green Growth Studies, Green Growth in Kitakyushu, Japan, 2013)
リサイクル率(%)
北九州市の廃棄物管理と資源循環
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
地域での集団資源回収活動
種々のリサイクルステーション 家庭でのコンポスト(市民への助成)
資源循環社会構築への市民参加(廃棄物減量化・リサイクル)
北九州市の廃棄物管理と資源循環
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© City of Kitakyushu
総合環境コンビナート(約30事業) 実証研究エリア(16事業)
北九州エコタウン事業(全体概要)
地域資源の活用:
広大な土地(2,000ha)
民間蓄積技術、処分場、港湾機能等
環境: CO2の削減:38万トン/年、省資源・省エネ 経済: 投資額 約660億円 (市:国等:民間=1:2:7)
従業員数: 約1,340人(非常勤を含む)
視察者数:100万人 (1998年~2011年12月)
北九州市
北九州市の廃棄物管理と資源循環
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© City of Kitakyushu
環境国際協力の推進
・新たな都市づくりの機軸(民間からの発意)
・蓄積したノウハウや人材の活用
・地球環境問題とその解決(地球益=地域益)
・先進的政策・取組の共有によるさらなる発展
・国際的ビジネス展開による地域経済発展
© City of Kitakyushu
市民参加による廃棄物管理と持続可能な開発
~その発展段階と課題に応じた北九州市の協力・支援~
市民(意識、理解、協力・参画、受益)
市民対話、情報公開、環境教育・学習 等
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
貧困層(1日1ドル未満の生活者)の割合(%) 1990年 1999年 2005年
発展途上地域 45.5 32.9 26.6
後発発展途上国 63.3 60.4 53.4
出典:UNDP “The Millennium Development Goals Report 2009”
貧困は、大きな社会環境問題であり、特に途上国では高い割合を占めている。
ごみの中から有価物を拾って売却し生計を立てる人々も多い。
廃棄物、 貧困(経済発展の必要性)
ごみのオープンダンピング ごみの山から有価物を拾う 子ども(家族の生計のために)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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© City of Kitakyushu
持続可能な社会づくりのための人材育成
環境改善の過程で培った経験、ノウハウを基に世界の環境改善に貢献
研修員受入: 150国 7,453人 専門家派遣: 170人以上
独立行政法人
国際協力機構 九州国際センター
(JICA 九州)
公益財団法人
北九州国際技術協力協会
(KITA)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
20
© City of Kitakyushu
0
500
1000
1500
2000
2005 2006 2007 2008 2009 2010
インドネシア・スラバヤ市との協力(コミュニティ参加と堆肥化)
☑コミュニティ参加による廃棄物の適正管理との事業を実施。
☑ポイント:住民の意識・行動の向上と自治体の制度整備
☑成果:スラバヤ市の埋立廃棄物量の30%減量化
多くの住民意識向上と60,000世帯以上への普及
美しいスラバヤ市実現
スラバヤ市の埋立廃棄物の削減
埋立処分場での環境汚染
有機廃棄物からのコンポスト
コミュニティ・ベースの
分別・コンポストシステム
コンポストづくりを伝える
北九州市の専門家
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
トン/日
年
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© City of Kitakyushu
段階的協力と外部資金活用:
CLAIR(自治体国際化協会)「自治体職員協力交流事業/Local Government Officials Training Program 」(2001年) :スラバヤ市職員の受入(人材育成)
JBIC「提案型案件形成調査事業」(2002年) (Pilot Project for Participatory Yen Loan Projects) :課題の明確化と基本的な計画を策定 ・調査団の派遣、現地調査、住民対話・啓発、解決策提示
JICA「専門家派遣事業」(2003年) :専門的調査、JBIC事業との連携活動
JICA「草の根後術協力事業」(2004年~)
:住民参加型廃棄物管理事業を具体化のための取組み
・専門家派遣、研修員受入、セミナー開催等
人材活用:
民間技術者(コミュニティ参加型堆肥化技術指導者、ごみ分析専門家)
現地専門家(スラバヤ市関係者に信頼の高い大学教授) 等
スラバヤ市と段階的協力と外部資源の活用
インドネシア・スラバヤ市との協力(コミュニティ参加と堆肥化)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
- 顔と顔を会わせての協力と相互理解・信頼(友好関係)
- スラバヤ市政府の熱心な行動
- スラバヤ市の伝統的コミュニティの存在とカンポン改善事業の成功経験
- スラバヤ市の伝統的社会システムのさらなるノウハウの投入
- スラバヤ市の積極的市民参加と北九州市専門との友好関係
- 科学的調査研究と計画に基づく適切な政策
- 国や国際社会との共同
スラバヤ市との環境協力の成功要因
インドネシア・スラバヤ市との協力(コミュニティ参加と堆肥化)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
マレーシア・ハントワジャヤ特別市との協力(廃棄物適正管理)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
☑マレーシア廃棄物管理公社(PPSPPA)との協力
・ハントワジャヤ特別市をモデルに廃棄物管理システム改善協力
・「住民とPPSPPAとの対話」や「住民意識と参加」等の重要課題解決に協力
☑ポイント:住民の意識・行動の向上と管理者の合意形成
☑成果:住民理解・参加の重要性を関係者が深く理解
マレーシア関係者自身でさらなる取組を推進中
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
段階的協力と外部資金活用:
JICAマーレシア「市民参加型廃棄物管理推進事業セミナー」(2010年)
:北九州市専門家の派遣による相手都市との情報共有
JICA「草の根後術協力事業」(2011年~2012年)
:専門家派遣や研修員受入による、課題の明確化と基本的な計画づくり
CLAIR(自治体国際化協会)「モデル事業」(2013年~2014年)
:専門家派遣による、住民参加を含む廃棄物総合管理プログラムづくり
人材活用:
民間技術者(コミュニティ参加型堆肥化技術指導者、ごみ分析専門家)等
ハントワジャヤ特別市と段階的協力と外部資源の活用
マレーシア・ハントワジャヤ特別市との協力(廃棄物適正管理)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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© City of Kitakyushu
•電気電子機器廃棄物リサイクル事業(インド等)
•廃プラスチックのリサイクル事業 (中国)
•廃自動車リサイクル事業(中国)
•循環型都市協力推進事業 ・経産省(中国)
•古紙リサイクルシステム構築事業(中国)
•再生固形燃料(RPF)の製造・販売事業(中国)
•リサイクル型中間廃棄物処理施設パイロット事業(インドネシア)
•インドネシアにおける廃棄物中間処理事業(インドネシア)
•廃棄物のリサイクル型中間処理・堆肥化普及事業(インドネシア)
•都市ごみの廃棄物発電事業(インドネシア)
•電機産業バリューチェーン全体にかかるリサイクルシステム構築事業(インドネシア)
•廃棄物管理の効率化~都市ごみの資源化とパーム産業の余剰バイオマス有効利用~(インドネシア)
•レジ袋等の軟質系廃プラスチック類マテリアルリサイクル事業(フィリピン)
•工業団地(ラグナテクノパーク)及び周辺地域における地域循環共生型廃棄物発電事業(フィリピン)
•廃棄物の再資源化事業(マレーシア)
•マレーシア国フレーザーヒル廃棄物管理改善事業(マレーシア)
•マレーシアにおける廃プラスチック油化事業(マレーシア)
•低炭素社会実現のための包括的資源循環システム(パラオ)
北九州市が協力・参加する廃棄物管理の国際協力事業(例)
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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© City of Kitakyushu © City of Kitakyushu
インドの電気電子廃棄物リサイクル
日本磁力選鉱㈱(希少金属リサイクル企業)をアジア低炭素化センターが支援
北九州市の廃棄物分野の国際ビジネス展開
・小型電子機器等からレアメタル及び希少金属を濃縮回収(二次処理)技術を開発。
・事業の一環としてインドから廃電子基板を輸入 ・バーゼル条約手続きを経て、2013年度から廃電子基板を購入(輸入)開始。
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© City of Kitakyushu
2011年 経済産業省「インドにおける電気 電子機器廃棄物のリサイクル事業に 関する実施可能性調査」(基礎調査、 実施可能性調査) 2011年 NEDO「希少金属代替・削減技術 実用化開発助成事業」(技術開発) 2012年 NEDO「 アジアにおける先進的な 資源循環システム国際研究開発・実証」 (有効的な回収システムの実証)
公的資金活用で環境整備、ビジネス展開へ~インドの電気電子廃棄物リサイクル
(官民連携、資金等スキーム)
公的資金を活用して「投資環境」を整備し、民間ビジネスを安定的に実施
インド:家電リサイクル法
(2012年5月から施行)
バーゼル条約の手続
日本への輸入開始(2013年度)
日本磁力選鉱(株)
・レアメタル輸入事業
国等の制度・資金
経済産業省・ンフラ・システム輸出促進調査等委託費
NEDO「希少金属代替・削減技術実用化開発助成等
実施可能性検討
現地基盤・制度整備
民間企業 (インド・ムンバイ市)
・電気電子廃棄物 回収事業
レアメタル市場
収入 販売
輸出入(代金、収入)ビジネス
ビジネス
インド国内では処理できない
ため環境影響懸念
日本における
レアメタル確保
需給関係の成立
インドの電気電子廃棄物リサイクル
北九州市の廃棄物分野の国際ビジネス展開
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© City of Kitakyushu
都市間環境国際協力の現状と課題
成功要因 ☑相手都市の主体性、自主性
☑地域主導と適用可能性
☑顔の見える関係
☑実践経験
☑環境と経済と社会の両立、双方への便益 等
失敗要因 ☑相手都市における援助頼り、基盤の脆弱性
☑不安定な人材
☑情報の非共有化 (研修で習得した成果の独占等)
☑技術やノウハウの一方的移転 等
北九州市の廃棄物分野の都市間協力
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便益
☑市民・地域の利益へ
☑国・国際社会の持続可能な社会の不可欠性
負担
☑必要な資金の確保
☑必要な国内人材・資源の確保