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地球温暖化の実態と暮らしの場との関わり- IPCC報告書がまとめた研究成果、今後の二酸化 炭素排出削減、京都議定書と日本 国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長 野尻 幸宏 本日の話 本日の話 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書が出た。 温室効果ガスが増えている! 将来の気候はどうなる? 気候を安定化させることと、自然の吸収源の役割について。 究極の温暖化対策、削減量・削減の方法は? 今年から始まった京都議定書の約束期間。 日本の過去を振り返って、将来を考える。 将来社会とCO2排出削減、活力の社会?ゆとりの社会? (時間があれば)環境研の民間船利用CO2観測 IPCC IPCCがノーベル賞を受賞! がノーベル賞を受賞! 代表執筆者として、ノーベル賞レプリ カの付いた感謝状を頂きました。 IPCC IPCCとは とは IPCC : Intergovernmental Panel on Climate Change (気候変動に関する政府間パネル) IPCC 総会 IPCCの組織 ○IPCCとは? ・国連環境計画(UNEP)・世界気象機関(WMO) により1988年に設立 された政府間機関 ○IPCCの任務 「気候変動に関する最新の科学的知見の評価」 ・世界各国の研究者の参加のもと、地球温暖化に 関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、 得られた知見を政策決定者を始め広く一般に利 用してもらうこと。 ※ただし、IPCCは設立以来、前提として、政策的に中立で あり特定の政策の提案を行わない 、という科学的中立性を 重視している。 第2作業部会(WG2):影響・適応・脆弱性 生態系、社会・経済等の各分野における影響及び適応策についての評価を行う 第1作業部会(WG1):科学的根拠 気候システム及び気候変動についての評価を行う 第3作業部会(WG3):緩和策 気候変動に対する対策(緩和策)についての評価を行う インベントリー・タスクフォース 各国における温室効果ガス排出量・吸収量の目録に関する計画の運営委員会 これまでに公開されたIPCC評価報告書 1990年:第1次評価報告書 1995年:第2次評価報告書 2001年:第3次評価報告書 2007年:第4次評価報告書 第4次評価報告書作成スケジュール ○第1作業部会(科学的根拠)報告書 2007年1月29日~2月1日:第1作業部会総会(フランス・パリ)で審 議・採択 ○第2作業部会(影響・適応・脆弱性)報告書 2007年4月2日~4月5日:第2作業部会総会(ベルギー・ブリュッセル)で 審議・採択 ○第3作業部会(緩和策)報告書 2007年4月30日~5月3日:第3作業部会総会(タイ・バンコク)で審 議・採択 ○統合報告書 11月12日~11月17日:第27回IPCC総会(スペイン・バレンシア)で審 議・採択 ※各作業部会総会において採択された、作業部会報告書については、5月4日に開催予 定の第26回IPCC総会(タイ・バンコク)で承認された IPCC IPCC第4次報告書の出版 第4次報告書の出版 WG1 科学的根拠 2007年10月出版済み、pdf ファイルはIPCCウェブからダウンロード可能、重量 2.75kg WG2 影響・適応・脆弱性 2008年2月出版済み, pdfファイルはIPCCウェブからダウンロード可能、重 量2.65kg WG3 緩和策 2007年12月出版済み、pdf ファイ ルはIPCCウェブからダウンロード可能、重量2.1kg 合計7.5kg! AR4の作成には、 ・3年の歳月 ・130を超える国の450名を超える代表執筆者 ・800名を越える執筆協力者 ・2,500名を越える専門家の査読 を経て、2007年末に作成プロセスを終了。 WG1報告書のわが国からの代表執筆者は、 藤井理行(極地研)、野尻幸宏(環境研)、 花輪公雄(東北大)、住明正(東大)、鬼頭 昭雄(気象研)、野田彰(気象研) IPCC IPCC第4次報告書の公開 第4次報告書の公開 環境省HP http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th_rep.html に報告書関係の必要なリンクがあります。 報告書は、WG1を例にすると、2段組みA4印刷で、政策決定者向け要約SPM(18ページ)、技術要約TS(73ページ)、用 語集(14ページ)、1から11章(848ページ)、補足(56ページ)、全996ページの膨大なものです。2007年9月には、 WG1,2,3全報告書のpdfがIPCCホームページから入手できるようになりました(無料)。 一般の方向けに、日本語で入手できるものがあります。上記HPとリンクから、WG1・2・3のSPM日本語訳、環境省作成の 図解概要が入手可能です。WG1・2・3のSPM、TSの和訳は、合冊にして2008年夏頃出版予定です。 図解概要 2007年9月にWG1報告はケ ンブリッジプレスから出版 第52回海洋フォーラム 080728

IPCCがノーベル賞を受賞!...IPCCがノーベル賞を受賞!代表執筆者として、ノーベル賞レプリ カの付いた感謝状を頂きました。IPCCとは IPCC

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地球温暖化の実態と暮らしの場との関わり-IPCC報告書がまとめた研究成果、今後の二酸化炭素排出削減、京都議定書と日本

国立環境研究所地球環境研究センター 副センター長

野尻 幸宏

本日の話本日の話

• 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書が出た。

• 温室効果ガスが増えている!

• 将来の気候はどうなる?

• 気候を安定化させることと、自然の吸収源の役割について。

• 究極の温暖化対策、削減量・削減の方法は?

• 今年から始まった京都議定書の約束期間。

• 日本の過去を振り返って、将来を考える。

• 将来社会とCO2排出削減、活力の社会?ゆとりの社会?

• (時間があれば)環境研の民間船利用CO2観測

IPCCIPCCがノーベル賞を受賞!がノーベル賞を受賞!

代表執筆者として、ノーベル賞レプリ

カの付いた感謝状を頂きました。

IPCCIPCCとはとはIPCC : Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)

IPCC総会

IPCCの組織○IPCCとは?・国連環境計画(UNEP)・世界気象機関(WMO)

により1988年に設立された政府間機関

○IPCCの任務「気候変動に関する最新の科学的知見の評価」・世界各国の研究者の参加のもと、地球温暖化に

関する科学的・技術的・社会経済的な評価を行い、得られた知見を政策決定者を始め広く一般に利用してもらうこと。

※ただし、IPCCは設立以来、前提として、政策的に中立であり特定の政策の提案を行わない、という科学的中立性を重視している。

第2作業部会(WG2):影響・適応・脆弱性生態系、社会・経済等の各分野における影響及び適応策についての評価を行う

第1作業部会(WG1):科学的根拠気候システム及び気候変動についての評価を行う

第3作業部会(WG3):緩和策気候変動に対する対策(緩和策)についての評価を行う

インベントリー・タスクフォース各国における温室効果ガス排出量・吸収量の目録に関する計画の運営委員会

これまでに公開されたIPCC評価報告書

1990年:第1次評価報告書

1995年:第2次評価報告書

2001年:第3次評価報告書

2007年:第4次評価報告書

第4次評価報告書作成スケジュール

○第1作業部会(科学的根拠)報告書2007年1月29日~2月1日:第1作業部会総会(フランス・パリ)で審

議・採択

○第2作業部会(影響・適応・脆弱性)報告書2007年4月2日~4月5日:第2作業部会総会(ベルギー・ブリュッセル)で審議・採択

○第3作業部会(緩和策)報告書2007年4月30日~5月3日:第3作業部会総会(タイ・バンコク)で審

議・採択

○統合報告書11月12日~11月17日:第27回IPCC総会(スペイン・バレンシア)で審議・採択

※各作業部会総会において採択された、作業部会報告書については、5月4日に開催予定の第26回IPCC総会(タイ・バンコク)で承認された

IPCCIPCC第4次報告書の出版第4次報告書の出版

• WG1 科学的根拠 2007年10月出版済み、pdf

ファイルはIPCCウェブからダウンロード可能、重量

2.75kg

• WG2 影響・適応・脆弱性 2008年2月出版済み,

pdfファイルはIPCCウェブからダウンロード可能、重

量2.65kg

• WG3 緩和策 2007年12月出版済み、pdf ファイ

ルはIPCCウェブからダウンロード可能、重量2.1kg

• 合計7.5kg!

AR4の作成には、・3年の歳月・130を超える国の450名を超える代表執筆者・800名を越える執筆協力者・2,500名を越える専門家の査読

を経て、2007年末に作成プロセスを終了。

WG1報告書のわが国からの代表執筆者は、藤井理行(極地研)、野尻幸宏(環境研)、花輪公雄(東北大)、住明正(東大)、鬼頭昭雄(気象研)、野田彰(気象研)

IPCCIPCC第4次報告書の公開第4次報告書の公開

• 環境省HP http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th_rep.html に報告書関係の必要なリンクがあります。

• 報告書は、WG1を例にすると、2段組みA4印刷で、政策決定者向け要約SPM(18ページ)、技術要約TS(73ページ)、用

語集(14ページ)、1から11章(848ページ)、補足(56ページ)、全996ページの膨大なものです。2007年9月には、

WG1,2,3全報告書のpdfがIPCCホームページから入手できるようになりました(無料)。

• 一般の方向けに、日本語で入手できるものがあります。上記HPとリンクから、WG1・2・3のSPM日本語訳、環境省作成の

図解概要が入手可能です。WG1・2・3のSPM、TSの和訳は、合冊にして2008年夏頃出版予定です。

図解概要

2007年9月にWG1報告はケ

ンブリッジプレスから出版

第52回海洋フォーラム 080728

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2

大気大気COCO22濃度増加と酸素濃度の減少濃度増加と酸素濃度の減少

• マウナロア(ハワイ)と南極で観

測されてきた大気二酸化炭素濃

度増加とそれに対応する酸素濃

度減少。

• 陸や海の吸収量推定の指標に

なる

• 大 気 酸 素 同 位 体 変 化 で は 、

C13/C12比がだんだん低くなって

来ている。同位体比が低い化石

燃料燃焼の寄与であり、人為起

源CO2増加の証拠。 化石燃料燃焼

炭素同位体比

酸素/窒素比

大気CO2濃度

世界平均地上世界平均地上気温気温 〈〈観測観測〉〉

• 最近12年間のうち11年

間は、1850年から現在ま

での間で最も暖かった。

• 1906年から2005年まで

に観測された100年間の

気温上昇は0.74℃。 これ

はTARの0.6℃よりも大き

い。

• 最 近 50 年 間 (1956 ~

2005年)の温度上昇の傾

向は、10年間に0.13℃。

こ れ は 、 過 去 100 年 間

(1906~2005年)の傾

向のほぼ2倍に相当。

8

出典:AR4 SPM

平均地上気温 (1961~1990年の平均気温との偏差)

出典:AR4 Final Draft 第3章 FAQ 3.1 図 1

線形トレンドデータからひいた曲線

10年ごとの誤差範囲(5~95%)

年々、勾配が大きくなっていることがわかる。

温暖化による熱の行方?温暖化による熱の行方?

• 地球温暖化による地球の貯

熱量変化は、圧倒的に海洋

の昇温である。

• 1961年から2003年にかけ

て、海洋表層から700m深度

までで、約0.1℃の水温上昇

があった。自動ブイを含む海

洋観測密度増大の結果、最

近になってようやく明らかに

なった。

• 海洋が吸収したCO2総量が、

世界の海洋CO2 観測統合

データ解析から明らかになり、

人為起源排出の42%とされ

た。最近この海洋吸収比が

低下する傾向にある。

9

出典:AR4 Final Draft 5章

出典:AR4 Final Draft TS 図15

世界平均海面水位世界平均海面水位 〈〈観測観測〉〉

• 1961~2003年における世界

平均海面水位の上昇は年間

1.8mm。

• 1993~2003年にかけては、

年間約3.1mmと、より早い速

度で上昇。

• 20 世 紀 中 の 海 面 上 昇 は

0.17mと推定される。

• グリーンランドと南極の氷床の

消失が 1993~2003年の海

面水位の上昇に寄与した可能

性が高い。

世界平均海面水位の年平均値

出典:AR4 Final Draft 第5章 図5.13に一部加筆

10

※ 面積が5万立方キロメートル以下の氷塊のこと。

海面水位変化(mm

赤 : 推定された1870年以降の海面水位青 : 1950年以降の沿岸潮位計測

黒 : 衛星高度測量

20世紀:1.7±0.5mm/年

1961~2003年:1.8 ±0.5mm /年

1993~2003年:

3.1±0.7mm/年

19世紀から20世

紀にかけての上昇率の値の信頼性は高い。

出典:AR4 SPM

今世紀で17cm上昇。

世界世界平均平均地上気温地上気温 〈〈予測予測〉〉

A2、A1B、B1シナリオにおける地上昇温のマルチモデル平均

11

出典:AR4 SPM

• 統一的な社会経済

シナリオ(SRES)をもと

に世界各国23の大

気海洋結合気候予

測モデル(スーパーコン

ピュータによる)を使っ

て予測

• AR3との違い:大気

海洋結合モデルで最

確値を求めた上、炭

素循環モデル、簡易

モデルの結果などを

加えて不確実性の

幅を評価

12

A1B

A1T

A1FI

A1 「高成長型社会シナリオ」

A2 「多元化社会シナリオ」

B1

B2 「地域共存型社会シナリオ」• 地域的な問題解決や世界の公平性を重視し、経済成長はやや低い。

• 環境の保全と、経済の発展を地球規模で両立する。

• 世界経済や政治がブロック化され、

貿易や人・技術の移動が制限。

• 環境問題等は、各地域で解決が図られる。

• 経済成長は低く、環境への関心も相対的に低い。

• 世界中がさらに経済成長し、

教育、技術等に大きな革新が生じる。

: 化石エネルギー源を重視

: 非化石エネルギー源を重視

(新エネルギーの大幅な技術革新)

: 各エネルギー源のバランスを重視

「持続的発展型社会シナリオ」出典:環境省「地球温暖化パネル」

注:これらのシナリオは、

追加的な温暖化イニ

シアチブを含まない。

※ IS92a 「地域共存型社会シナリオ」• IPCC第二次評価の際に使用されていたシナリオであり、

約100年後に二酸化炭素濃度が倍増すると見込んでいる。

SRESSRESシナリオシナリオ

第52回海洋フォーラム 080728

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3

SRESSRESによるによる21002100年の世界年の世界

シナリオ毎の2100年の世界の違いA1FI A1B A1T A2 B1 B2

2100年の人口 71 71 70 151 70 104 億人

2100年のGDP 525 529 550 243 328 235 兆ドル

非CO2エネルギー比 31 65 85 28 52 49 %

CO2排出量 30 13 4 29 5 14 GtC/年

高成長 高成長 高成長 低成長 持続的発展低成長化石依存 環境調和 化石非依存地域主義 環境調和 地域共存

人口増大 人口中庸

今後の気候と温室効果ガス排出今後の気候と温室効果ガス排出

A2、A1B、B1シナリオにおける地上昇温のマルチモデル平均

14

出典:AR4 SPM

• 今後30年程度の期

間の気温上昇は、

温室効果ガス排出

量が多くても少なく

てもさほど変わらな

い(今までの蓄積の

効果が大きい)

• 今後30年-50年の

排出動向が、21世

紀後半の気候を大

きく左右する。→次

の世代の生存環境

を今の世代が決め

Simulated Temperature Change (1950-2100) Snow cover decreaseSnow cover decrease

猛暑、熱波、猛暑、熱波、大雨大雨(1) (1) 〈〈予測予測〉〉

• 猛暑、熱波、大雨などの極端な気象は、今後ますます頻度が増加する可能性が

かなり高い。

極端な気象に関する、1980-1999年の観測結果と2080-2099年の予測結果の差異 (偏差) 【A1Bシナリオ※1】

17

降水強度(年間降水量を降雨日数で除したもの) 乾燥日※2

出典:AR4 Final Draft 第10章 図10.18

• 亜熱帯地域、低~中緯度地域では、連続し

て降雨のない日(乾燥日)が増加する。

・ ほとんどの地域で、激しい豪雨の発生頻度が増加する。

( 赤や茶が増加 )( 紫や青が増加 )

※1 予測シナリオについての説明は、p52を参照。 ※2 降雨のない連続日(最低5日以上)の年間最長日数。

出典:AR4 SPM

0 2 3 41 5℃

生態系

最大30%の種で絶滅リスクの増加

地球規模での重大な(40%以上)絶滅

サンゴの白化の増加 ほとんどのサンゴが白化

広範囲に及ぶサンゴの死滅

種の分布範囲の変化と森林火災リスクの増加

~15% ~40%の生態系が影響を受けることで、

海洋の深層循環が弱まることによる生態系の変化

陸域生物圏の正味炭素放出源化が進行

数億人が水不足の深刻化に直面する

湿潤熱帯地域と高緯度地域での水利用可能性の増加

中緯度地域と半乾燥低緯度地域での水利用可能性の減少及び干ばつの増加

1980-1999年に対する世界年平均気温の変化(℃)

食糧

小規模農家、自給的農業者・漁業者への複合的で局所的なマイナス影響

低緯度地域における穀物生産性の低下中高緯度地域におけるいくつかの穀物生産性の向上

低緯度地域における全ての穀物生産性の低下いくつかの地域で穀物生産性の低下

0 2 3 41 5℃

沿岸域世界の沿岸湿地の約30%の消失※

毎年追加的に数百万人が沿岸洪水を経験

洪水と暴風雨による損害の増加

健康

栄養失調、下痢、呼吸器疾患、感染症による社会的負荷の増加熱波、洪水、干ばつによる罹(り)病率※と死亡率の増加いくつかの感染症媒介生物の分布変化

医療サービスへの重大な負荷

将来に懸念される影響将来に懸念される影響 IPCC AR4 WG2IPCC AR4 WG2

第52回海洋フォーラム 080728

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4

COCO22のリザーバー間への分配のリザーバー間への分配

• 化石燃料を燃やしてCO2を出すと、大気海洋にCO2が分配されつつ濃度増大浅い海洋モデルでは、年々CO2排出量が大きくても小さくても大気濃度は続く年々CO2排出量を半減しても、大気濃度増加速度は半分になるだけ

CO2

CO2

残留

吸収CO2

残留

吸収

自然吸収源の変動自然吸収源の変動

自然吸収源は、産業革命以前は正味ゼロだったと考えられる(長期の平衡状態)。

人為起源CO2放出で大気と海洋に非平衡が生じ(大気濃度:高、海洋濃度:低)、

自然吸収源が正味プラスの吸収を起こすようになった。

CO2排出増加で海洋正味吸収量はしだいに大きくなってきた。

大気残留率(大気残留量/化石燃料燃焼CO2)は、最近50年ほぼ一定。

大気残留 大気残留

自然吸収(海+陸)

自然吸収(海+陸)

大気

残留

化石

燃料

消費

(大

気濃

度換

算)

最近の大気年々増加は1.8ppm/年程度

自然吸収がないと3.5ppm/年で増加してしまう

Sabine et al. (2004)

世界の海洋断面観測成果を結集して得た海洋CO2吸収:1750-1994年で118±19GtC1980-2005年では、53±9GtC(年々約2Gt)。

海水のCO2濃度増加を直接測定したことに近いので、これは「堅い推定」。北部大西洋と南半球中緯度帯が大きな吸収をした。

海洋観測で求めた長期の海洋海洋観測で求めた長期の海洋COCO22吸収吸収 地球の地球の炭素炭素循環循環

出典:AR4 Final Draft第7章 図7.3

22

• 二酸化炭素の増加は、主に化石燃料の使用、土地利用の変化による。出典:AR4 SPM

1990年代の炭素収支(GtC/年)大気増加(3.2)=化石燃料(6.4)-海の吸収(2.2)-陸の吸収(1.0)

陸の吸収(1.0)の内訳=吸収増大(2.6)ー土地利用変化(1.6)と推定しているが、不確実性は大きい 出典:AR4 Final Draft

第7章 表7.1

B O

大気中の物質収支

ΔCO2= F – B - O

? ?

化石燃料の燃焼によるCO2の放出

F

陸上植物によるCO2の吸収

B

海洋によるCO2の吸収

O

F 1.4F 1.1B

ΔO2 = -1.4F + 1.1B

大気酸素濃度観測から大気酸素濃度観測から炭素炭素吸収が分かる!吸収が分かる!

-80

-60

-40

-20

0

20

350

370

390

410

430

450

1997 1999 2001 2003 2005

波照間

ΔO2(

ppm

)

CO

2 (ppm)

-80

-60

-40

-20

0

20

350

370

390

410

430

450

1997 1999 2001 2003 2005

落石

ΔO

2(pp

m)

CO

2 (ppm)

環境研の大気観測から環境研の大気観測から観測所と船を使った大気観測(酸素濃度)で、自然

吸収源の変動を観測している

大気CO2濃度が増

加する一方で酸

素濃度は低下し

ている

第52回海洋フォーラム 080728

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5

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

80 120 160 200 240 280

NIES O2 measurement Network

Hateruma IslandFlask+in-situ

Cape Ochi-ishiFlask+in-situ

Pyxis & SkaubrynFlask

Fujitrans WorldFlask + (in-situ)

COCO22, O, O22/N/N22 and APO observed at NIES platformand APO observed at NIES platform

-35

-30

-25

-20

-15

-10

-5

0

-5 0 5 10 15 20 25

波照間・落石での観測結果

化石燃料消費による変化

海洋によるCO2の吸収

陸域生物圏によるCO2の吸収 

および、O2の放出

1999年を

起点とした酸素濃

度の変化

(ppm)

1999年を起点としたCO2濃度の変化 (ppm)

OB

1999年

2001年

2003年

2005年

2001年2001年

2003年

2005年

海洋と陸の海洋と陸のCOCO22吸収の分別吸収の分別

この勾配は1.4

この勾配は1.1

海洋からの 海洋 陸上植物圏期間 観測点 O2放出補正 吸収 吸収

Bender et al. 1994-2002 CGT,SMO,BRW 0.3 1.7±0.5 1.0±0.6(2005)

Manning & 1993-2003 ALT,LJO,CGO 0.5 2.2±0.6 0.5±0.7Keeling (2006)

環境研 1998.5-2005.5 HAT 0.5 2.4 ±0.7 0.5 ±0.91999.5-2005.5 HAT+COI 0.5 2.1 ±0.7 0.8 ±0.9

(単位: GtC/年)

大気中の酸素観測に基づく炭素収支大気中の酸素観測に基づく炭素収支

(上)海洋と(下)陸域生物圏の炭素吸収量の推定(AR4より)。オレ

ンジ色の推定は環境研の酸素濃度観測の結果。

世界の酸素観測のまとめ世界の酸素観測のまとめ

酸素観測で分かるのは、長期(数年以上)の平均的自然吸収源変動である。

海洋吸収にはまだ大きな変化が見られない(微増)。

陸域吸収の傾向も明瞭ではないが、1990年代前半に吸収が大きい時期(ピナツボ噴火と連動?)があった。

海洋吸収・陸域正味吸収推定はGtCスケールなら堅い推定

海洋吸収は約2GtC/年、微増?

陸域吸収は約1GtC/年、変化がある

CO2を吸収した海水

CO2をまだ吸収していない海水

• 現実の海洋は、浅い海と深い海が混合しにくいシステムである深層海洋と海洋表層の交換時間スケールは1500年程度(交換率が1500分の1)深層混合が続く限り、CO2の深層海洋への輸送は、実質吸収量と考えてよいIPCCAR4の炭素循環像では、浅い海洋吸収を0.6Gt/年、深層海洋輸送を1.6Gt/年と評価

CO2排出量を半減すると、浅い海洋吸収は期待できなくなるが、深層海洋輸送は続く

大気濃度は安定化しないまでも、濃度増加速度は著しく低下

陸の吸収源は比較的早く低下する、むしろ排出源になる懸念もある

CO2

残留

吸収

COCO22のリザーバー間への分配のリザーバー間への分配

第52回海洋フォーラム 080728

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6

大気濃度安定化モデル大気濃度安定化モデル

• 気候の安定化のためには、大気温室

効果ガス濃度を一定にするような排

出削減が必要になる。

• 最終的に排出できるのは、長期の自

然の吸収源活動の量にまで削減しな

くてはならない

• それ以下の排出量に抑制すれば、大

気濃度の低下をもたらす。

• 自然の吸収源はどのくらい期待できる

か→ベルンモデルによれば、1-2Gt

程度であり、現在排出量の15-30%

程度?

• それでは、現在のCO2排出量半減で

は安定化しない?

長期的な安定化シナリオ長期的な安定化シナリオ IPCCIPCC AR4 WG3AR4 WG36つの安定化目標とそれらの世界平均気温上昇値との関係

温室効果ガス安定化濃度(ppmCO2換算)

産業革命前からの世界平均気温の上昇(℃)

※1 大気中の二酸化炭素濃度が産業革命前の2倍になった場合の気温の変化。※2 正の放射強制力は地表面を暖め、負の放射強制力は地表面を冷やす。地球に出入りするエネルギーのバランスを変化させる影響力のことで、1平方メートルあたりのワット数で表される。※3 「最善の推計値」による産業革命前と比べた場合の世界平均気温の上昇幅。

• 安定化レベルが低

いほど、排出量の

ピークと減少を早急

に達成しなければな

らない。

• 低いレベルでの安

定化を達成するため

には、今後20~30

年での緩和努力が

大きな影響を持つ。

32

出典:AR4 SPM

出典:AR4 SPM 表5および図8

Ⅰでは「最善の推計値」で2~2.4℃の上昇。

Ⅲでは「最善の推計値」で2.8~3.2℃の上昇。

Ⅳでは「最善の推計値」で3.2~4℃の上昇。

カテゴ

リー

放射強制力※2 CO2濃度 温室効果ガス

濃度(CO

2換算)

産業革命前からの気温上昇※3

CO2排出がピークとなる年

2050年のCO

2排出

(2000年比、%)

シナリオの数

W/m2 ppm ppm ºC 年 %

Ⅰ 2.5 – 3.0 350 – 400 445 – 490 2.0 – 2.4 2000 - 2015 -85 to -50 6

Ⅱ 3.0 – 3.5 400 – 440 490 – 535 2.4 – 2.8 2000 - 2020 -60 to -30 18

Ⅲ 3.5 – 4.0 440 – 485 535 – 590 2.8 – 3.2 2010 - 2030 -30 to +5 21

Ⅳ 4.0 – 5.0 485 – 570 590 – 710 3.2 – 4.0 2020 - 2060 +10 to +60 118

Ⅴ 5.0 – 6.0 570 – 660 710 – 855 4.0 – 4.9 2050 - 2080 +25 to +85 9

Ⅵ 6.0 – 7.5 660 – 790 855 – 1130 4.9 – 6.1 2060 - 2090 +90 to +140 5

合計 177

赤線:気候感度※14.5℃

の「推計範囲の上限」黒線:気候感度※1 3℃の「最善の推計値」青線:気候感度※1 2℃の「推計範囲の下限」

ⅠⅡ

人類社会にとって、将来気候を致命的に悪くしないために

はカテゴリーII程度で何とかする必要があるでしょう!

これまでのB1(SRESで

最も低いシナリオ)程度

33

6つの安定化目標(カテゴリーⅠ~Ⅵ)における緩和シナリオでの排出経路※

• 安定化濃度の相場観は変わった。カテゴリーIIを目指す安定化のために、世界排

出量のピークアウトを早め、2050年までに大幅な排出削減を行う必要がある。

安定化シナリオのための排出経路安定化シナリオのための排出経路

出典:AR4 SPM

出典:AR4 Synthesis Report 図5.1

低レベルの安定化を実現するには、2050年ま

でに大幅な排出削減が必要である。

※これらの排出経路で考慮されているのはCO2のみである。

吸収源強化・バイオマスのCCSなどを含む?

カテゴリーIIの2050年世界排出量は50%減

カテゴリーIIの2100年世界排出量は80%減

1990年代の炭素収支(GtC/年)大気増加(3.2)=化石燃料(6.4)-海の吸収(2.2)-陸の吸収(1.0)

を深層海洋輸送と表層海洋吸収に分けると大気増加(3.2)=化石燃料(6.4)-表層海洋吸収(0.6)-深層海洋輸送(1.6)-陸の吸収(1.0)

化石燃料燃焼を半減すると、数年で表層海洋吸収は期待できなくなるが化石燃料(3.2)-深層海洋輸送(1.6)-陸の吸収(1.0)=大気増加(0.6)

となり、大気濃度増加は著しく鈍化する。

陸の吸収は、産業革命以前との濃度差に依存するとすれば大きく変化しないと考えうる。この考え方では、究極の安定化に向かうには、深層海洋吸収量の1.6Gt/年まで削減する必要がある。

一方、温暖化フィードバックで、陸の吸収量低下、および、深層海洋輸送の鈍化が起こると、究極削減目標はさらに厳しい比率となるべきである(例えば80%削減)。

しかしながら、究極削減目標に至る経路で「世界全体での50%削減」は必ず通過しなくてはならないマイルストーンである。

究極削減目標の考え方究極削減目標の考え方

京都議定書の目標達成京都議定書の目標達成

京都議定書の目標達成(2008-2012年にー6%)は、必ず通過しなくてはならない短期目標。

日本が京都議定書の目標(1990年比6%削減)を達成するには、いったい「何年」戻せばよいか?

何を戻す? 社会産業暮らし意識

日本の日本の19601960年以降の年以降のCOCO22排出量排出量

1990年が京都議定書の基準年1987年以降の伸びが著しい

第52回海洋フォーラム 080728

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7

経済発展とCO経済発展とCO22排出排出

・CO2排出量は、経済発展と強く関係

・日本と欧州はCO2排出を抑制しつつ経済発展を実現

出典:国際エネルギー機関のデータをもとに作成一人あたりのGDP(2002年)

一人

あた

りの

CO

2排出

量(20

02年

)(トンCO2)

0

5

10

15

20

0 10 20 30

カナダ

米国

イタリア

ドイツ

英国日本

中国

インドタイインドネシア

フランス

豪州

ロシア 台湾韓国

(USドル購買力平価)

1960~2002年

日本の変化【経済発展の度合い】

【環

境負

荷の

度合

い】

10,000 20,000 30,0000

マレーシア

「国民総生産あたり二酸化炭素排出量」と「国民一人あたり二酸化炭「国民総生産あたり二酸化炭素排出量」と「国民一人あたり二酸化炭素排出量」の関係からたどる日本の素排出量」の関係からたどる日本のCOCO22排出の歴史排出の歴史

1.148 1215 2004

1.148 1215 2003

1.140 1206 2002

1.103 1167 2001

1.120 1185 2000

1.102 1166 1999

1.062 1123 1998

1.092 1155 1997

1.091 1155 1996

1.078 1140 1995

1.063 1125 1994

1.014 1072 1993

1.016 1075 1992

1.008 1066 1991

1.000 1058 1990

0.922 975 1989

0.895 947 1988

0.831 879 1987

対1990年MtCO2年日本のCO2排出量(IEAによる)

1987年に戻すなら20%削減すればよい、年配世代には、「戻せる」という感覚がある。もう少しがんばって「物質的な豊かさ」を30%削減できないか?

エネルギー効率の改善は速度に限界がある。30%には少なくとも15年かかる。

そこで提案:2025年目標 0.7x0.7=0.52050年目標 0.7x0.4=0.3

ならば、2025年以降は「物質的な豊かさ」の程度を維持しながら、年2%のエネルギー効率改善を進めれば、2050年の70%削減目標を達成できる。こんな程度(物質的豊かさの30%減)が許容できないか?

京都議定書の目標達成京都議定書の目標達成

京都議定書の目標達成(2008-2012年にー6%)は、必ず通過しなくてはならない短期目標。

日本が京都議定書の目標(1990年比6%削減)を達成するには、「何年」戻せばよいか?

何を戻す? 社会

産業

暮らし

意識

もう変えられない社会の変化、国際化、高齢化

製造業の省エネは進んだ、1990年以降ソフト産業の占める比率が増大

過剰な豊かさを感じているのでは?

変えられない、といえなくなるのではないか?

贅沢は「たま」に限ればいいのでは?

生活の質を落とさずに

CO2を減らすには?http://www-cger.nies.go.jp/qa/qa_index-j.html

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

なりゆきなりゆきケースケース

CO

2排

出量

(炭

素10

0万ト

ン-C

どうすれば低炭素社会がどうすれば低炭素社会が作れるのか?作れるのか?

通常の通常の対策ケース対策ケース

低炭素社会低炭素社会対策ケース対策ケース

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050

↓60%削減

↓80%削減

↓40% 削減

フォアキャスティング現状から考えられる方法の延長で将来を考える

技術・制度・行動における技術・制度・行動におけるInnovationInnovation((==革新、創新)革新、創新)

すべての対策の組合せすべての対策の組合せ

省エネ技術開発省エネ技術開発エネ供給システム変更エネ供給システム変更

人々が住みたい

と思う社会

バックキャスティング目標とすべき社会を想定し、将来から現在の対策を考える

脱温暖化2050研究 シナリオチーム

第52回海洋フォーラム 080728

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8

CO2排出量=

炭素集約度の改善

エネルギー集約度の改善

一人当たり活動量の見直し

人口×××活動量

人口

エネルギー

活動量

CO2

エネルギー

少ないエネルギーで価値の高いサービスを産み出す

省エネ機器、低公害車、

都市交通システム・産業構造転換等

CO2排出の少ないエネルギーの利用割合を増やす

太陽光、風力、バイオマス、

水素、原子力、炭素隔離貯留等

豊かな生活とは?モノ消費に頼らない楽しさの再発見

モッタイナイ、足るを知る、自然の恵み

インフラ整備インフラ整備

社会の社会のCOCO22排出とその削減の概念排出とその削減の概念 20502050年低炭素社会の描写例年低炭素社会の描写例

ビジョンA: 活力の社会 ビジョン B: ゆとりの社会

都市型/個人を大事に 分散型/コミュニティ重視

集中生産・リサイクル

技術によるブレイクスルー

地産地消、必要な分の生産・消費

もったいない

より便利で快適な社会を目指す 社会・文化的価値を尊ぶ

GDP一人当たり2%成長 GDP1人当たり1%成長

絵:今川朱美

人々の考え方、人口、国土・都市、生活・家庭、経済・産業に関する叙述的なシナリオを開発している

二次エネルギー消費量 (Mtoe)

産業 家庭 業務 運輸旅客運輸貨物

0 50 100 150 200 250 300 350 400

2000年(実績)

2050年(シナリオA)

2050年(シナリオB)

産業 家庭 業務 運輸旅客 運輸貨物

エネルギー需要削減

COCO22排出量排出量7070%%削減を可能にする需要削減削減を可能にする需要削減対策の効果対策の効果

産業部門:構造転換と省エネルギー技術導入等で20~40%。運輸旅客部門:適切な国土利用、エネルギー効率、炭素強度改善等で80%。運輸貨物部門:輸送システムの効率化、輸送機器のエネルギー効率改善等で60~70%。家庭部門:利便性の高い居住空間と省エネルギー性能が両立した住宅への誘導で50%。業務部門:快適なサービス空間/働きやすいオフィスと省エネ機器の効率改善で40%。

2000年に比べて40-45%の削減

石炭 石油 ガス

バイオマス

原子力

太陽・風力等

0 100 200 300 400 500 600

2000年(実績)

2050年(シナリオA)

2050年(シナリオB)

一次エネルギー消費量(Mtoe)

石炭 石油 ガス バイオマス 原子力 水力 太陽・風力等

70%70%削減を可能にする供給側エネルギー構成例削減を可能にする供給側エネルギー構成例

炭素隔離貯留(CCS)や水素など大規模なエネルギー技術が、シナリオBでは太陽光や風力、バイオマスなど比較的規模の小さい

分散的なエネルギー技術が受け入れられやすいと想定した

低炭素経済に向けたシナリオ国際比較

IB1IA2

Japan 2050 scenario

米:技術・温暖化ビジネス市場でのおくれ?

欧州:国家戦略として検討日本:長期戦略確立の要

途上国:今からの誘導が有効

US

Canada

UK

France

China

India

World

0

1

2

3

4

5

6

7

1970

1980

1990

2000

2010

2020

2030

2040

2050

一人

当た

りC

O2排

出量

(t-C

/人)

GermanyMETI, Japan2030 scenario

Shuzo Nishioka, Junichi Fujino; NIES COP11 and COP/MOP1 side eventGlobal Challenges Toward Low-Carbon Economy (LCE), Dec.3, 2005

低炭素社会に向けた削減目標 0.5-0.8t/人

技術と社会の変革速度から見た可能性技術と社会の変革速度から見た可能性::従来の改善速度より一層の加速が必要従来の改善速度より一層の加速が必要

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00

ドイツ

フランス

イギリス

シナリオB

シナリオA

過去

炭素集約度及びエネルギー集約度の改善速度(%/年)

エネルギー集約度 炭素集約度(CCSを除く)炭素集約度(CCS相当分)

第52回海洋フォーラム 080728

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9

COCO22回収貯留回収貯留((CCarbon arbon CCapture & apture & SStorage/CCS)torage/CCS)

• 大規模固定発生源で燃焼ガスからCO2を回収する。

エネルギー供給を電力もしくは水素にすることで、

ゼロエミッションを実現。

• 石炭と水から水素とCO2を生成し、CO2回収貯留を

行うのがFutureGenの考え方。

• ノルウェー、カナダで実施例があり、わが国でも、研

究段階から実証試験段階へ。

CO2排出量=

炭素集約度の改善(再生可能エネルギー・原子力・CCS)

エネルギー集約度の

改善

一人当たり活動量の

見直し

人口×××活動量

人口

エネルギー

活動量

CO2

エネルギー

炭素集約度の改善

(化石燃料消費型)

大気濃度安定化を見越した対策は、「本質的にCO2を大気に出さない対策」を優先すべき

CO2を出さないエネルギー源への転換は、第一項を半減以下にする可能性のある対策である。

活動量見直し(ソフトな対策)は、全体にかかるので、排出量半減以下を目指すのに有効である。

エネルギー集約度改善は、全体にかかるので有効と考えられる反面、大幅減が困難な対策(省エネの限界?)でもある。

安定化を見越した温暖化対策のプライオリティ安定化を見越した温暖化対策のプライオリティ

19951995年以来の北太平洋定期貨物船観測の歴史年以来の北太平洋定期貨物船観測の歴史

M/S Pyxis自動車運搬船(豊橋ー米国西岸・東岸)2001 November - Present (大気)2002 July – Present (大気/海洋)観測要員として船員雇用

M/S Alligator Hopeコンテナ貨物船(東京ーシアトル・バンクーバー間)1999 November – 2001 May観測要員として船員雇用

M/S Skaugran材木船(バンクーバーー日本間)1995 March - 1999 SeptemberNIES技術員乗船

19951995年以来、年以来、33隻の協力貨物船で隻の協力貨物船で160160回回(片道単位)の表層海洋(片道単位)の表層海洋pCOpCO22観測に成功観測に成功

北太平洋の海洋-大気CO2分圧差の気候値環境研データセット(1995-2006)による

COCO22 monitoring by Trans Future 5 in western Pacificmonitoring by Trans Future 5 in western Pacific

Ocean: From TF5-06N(June 2006)

CO2, SST, SSS, DO, Chl-a, Nutrients

Atmosphere: From TF5-01N(Nov 2005)

CO2, O3, CO, O2/N2, Bottle sampling

S cruise

N cruise

T cruise

M/S Trans Future 5 (Car carrier)

Toyofuji shipping Co., Ltd.

貨物船新造船時に大気・海洋観測室を用意していただき、装置を設置。新しい大気観測へのチャレンジとして大気O2/N2比やCOの連続観測などを開始。

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10

Atmospheric observation roomAtmospheric observation room TF5TF5の大気酸素測定システム設置の大気酸素測定システム設置

断熱箱

ビニールハウス

防振ゲル

標準ガスBox

安定化電源

Ocean observation roomOcean observation room Oceanic observation systemOceanic observation system

Pt100 temp. sensor Water pump

Tandem-type gas-liquid equilibratorThermosalinograph

CO2 analyzer

Drain

Equilibrated gas

Observation Room

Shaft Room

Sea water

Screw

Map of Map of ΔΔpCOpCO22 predicted by predicted by KrigingKriging methodmethod

Kriging method

Apl-Jun Jul-Sep

spring

autumn

summer

winter

Map of Map of ΔΔpCOpCO22 predicted by predicted by KrigingKriging methodmethod

Oct-Dec Jan-Mar

winter

summer

autumn

spring

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Pyxis

太平洋の海洋表層pCO2観測の各国の観測協力体制。わが国では環境研・気象庁・JAMSTEC・水研センターなどが協力、カナダIOS、米国NOAA・豪州CSIRO・ニュージーランドNIWAなどとともに観測体制作りを進めている。

NOAA equatorial prog.

JMA

Now missing

JAMSTEC

US

US

TF5

Line PNRIFS

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