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40 1. 漁獲量と漁場 2. 近海の漁場と養殖場 1.漁獲量と漁場 わが国の1973年の漁業、養殖業の生�Y量は約 1100万トンで世界の生産 量(漁獲量)の約16%をしめる。生産量は1969年以後増加しつづけ�トい るが、部門別では遠�m漁業、海面養殖業、内水面漁業・養殖業の生産�ハが 大きくのび、沿岸漁�ニの生産量は停滞している。捕鯨業の生産量�ヘ国際規 制の強化にともなって、1966年以後年々減少してい� B魚種別の生産量は 経年変化が大きく、とくに1960年以後、北洋における遠洋底び�ォ網による すけとうだらの生産�ハがいちじるしく増�チしている。 漁業、養殖業の生産額は年々増加し、1973年に約1兆4900億円となっ た。沿岸漁業、海面養�B業、内水面漁業・養殖�ニの各部門は、その生�Y量 の全体にたいする割�№ カ産額の全体にたいする割合のほうが大きい。 最近、わが国の漁船は大型化がすすみ世界のほとんどすべての海� ナ操 業している。しかし�痘m漁場については、�e国との漁業条約による操業規 制、領海の拡大や漁業� ヌ水域の設定など�スくの問題をかかえ�トいる。 〔凡例と作図の要点〕 水域別漁獲量は、主としてFAOの資料によった。鯨の漁獲量は、捕獲頭 数に種類ごとの平均重量(ながす40トン、いわし15トン、まっこう25ト ン、その他の鯨は7トン)をかけて換算した。 漁場は日本漁船の操業対象となっている海� フ概況を表示した。 〔資料) 1.水産庁資料 2. FAO, YearbookofFisheryStatistics,1973 3.農林省,昭和48年漁業養殖業生産統計年��Tj 漁業養殖業の部門別生産量の推移 捕鯨業 内水面漁業・養殖業 海面養殖業 沿岸漁業 沖合漁業 遠洋漁業 (漁業養殖業生産統計年��ゥら作成) 2.近海の漁場と養殖場 漁場は海況の変化や

j-atlas d j 40 157 - GSI157 40.1 (1973) 1:55,000,000 158 159 漁業条約水域等については1974年現在 おもな魚類等の分布 漁獲量と漁場 漁獲量と漁場 水域別漁獲量

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    1. 漁 獲 量 と 漁 場

    2. 近 海 の 漁 場 と 養 殖 場

    1.漁獲量と漁場

    わが国の1973年の漁業、養殖業の生産量は約1100万トンで世界の生産

    量(漁獲量)の約16%をしめる。生産量は1969年以後増加しつづけてい

    るが、部門別では遠洋漁業、海面養殖業、内水面漁業・養殖業の生産量が

    大きくのび、沿岸漁業の生産量は停滞している。捕鯨業の生産量は国際規

    制の強化にともなって、1966年以後年々減少している。魚種別の生産量は

    経年変化が大きく、とくに1960年以後、北洋における遠洋底びき網による

    すけとうだらの生産量がいちじるしく増加している。

    漁業、養殖業の生産額は年々増加し、1973年に約 1兆 4900億円となっ

    た。沿岸漁業、海面養殖業、内水面漁業・養殖業の各部門は、その生産量

    の全体にたいする割合より生産額の全体にたいする割合のほうが大きい。

    最近、わが国の漁船は大型化がすすみ世界のほとんどすべての海域で操

    業している。しかし遠洋漁場については、各国との漁業条約による操業規

    制、領海の拡大や漁業専管水域の設定など多くの問題をかかえている。

    〔凡例と作図の要点〕

    水域別漁獲量は、主としてFAOの資料によった。鯨の漁獲量は、捕獲頭

    数に種類ごとの平均重量(ながす40トン、 いわし15トン、 まっこう25ト

    ン、その他の鯨は7トン)をかけて換算した。

    漁場は日本漁船の操業対象となっている海域の概況を表示した。

    〔資料)

    1.水産庁資料

    2.FAO,Yearbook of Fishery Statistics,1973

    3.農林省,昭和48年漁業養殖業生産統計年報

    漁業養殖業の部門別生産量の推移

    捕鯨業

    内水面漁業・養殖業

    海面養殖業

    沿岸漁業

    沖合漁業

    遠洋漁業

    (漁業養殖業生産統計年報から作成)

    2.近海の漁場と養殖場

    漁場は海況の変化や、魚自身がもっている回遊性のため、経年による変

    化もあるが季節的な変化もある。

    くろまぐろは、おおむね黒潮の流れに沿って分布し、本州東岸沖で6~10

    月、南岸沖で11~3月、壱岐から対馬海流に沿って佐渡周辺までは5~8月

    が漁期である。

    かつおは、日本周辺では太平洋のほほ北緯42度以南に分布し、本州東岸

    沖では5~10月、南岸沖では3~7月、九州南岸沖では2~10月が漁期であ

    る。

    にしんの漁期は北海道東部沿岸では4、5月、北海道北部から樺太の沿岸

    では1~12月、朝鮮沿岸では1~5月である。

    まいわしは本州北端の下北半島から男鹿半島をとりまく沿岸海域を除い

    た本州、四国、九州の沿岸とやや沖合に分布し、福島県沿岸では9~1月、

    千葉県沿岸では7~3月、三重県沿岸では2~10月、高知県沿岸では11、12

    月が漁期である。

    まあじは本州、四国、九州の沿岸と沖合、および東シナ海に分布し、千

    葉、茨城県沿岸では5~11月、宮崎、大分県沿岸では2~11月、五島列島、

    対馬周辺、山口、島根、鳥取県沿岸では1~12月が漁期である。

    まさばは北海道の根室半島から宗谷岬を経て積丹半島までと沖縄を除い

    た日本列島の沿岸と沖合、および九州寄りの東シナ海に分布し、釧路沖で

    は7、8月、三陸沖では10、11月、関東沿岸では12~5月、東シナ海から対

    馬にかけては9~4月、山口、島根、鳥取沿岸では10~4月が漁期である。

    さんまは日本をとりまく海域と太平洋の北緯40~50度帯および北アメリ

    カ西岸の沖合に広く分布し、千葉、茨城県の沖合では11月、釧路沖から三

    陸沖にかけては9、10月、三重県沖では1~4月、秋田県沿岸から北海道西

    岸にかけては5~7月が漁期である。

    すけとうだらは日本海、オホーツク海、ベーリング海や太平洋の犬吠埼

    から北海道、千島列島、カムチャツカ半島、アリューシャン列島、カナダ

    のバンクーバー島の沿岸と沖合などに分布している。ベーリング海の北緯

    生産量と生産額の部門別割合(1973)

    生産量

    生産額

    (漁業養殖業生産統計年報から作成)

    世界の海域別漁獲量と日本の漁獲量の割合(1973)

    1:250,000,000 (Yearbook of Fishery Statisticsから作成)

    60度あたりでは6~10月、アラスカ半島の北沖合では3~5月が漁期であ

    る。

    するめいかは北海道、本州、四国、九州西南から尖閣諸島までの東シナ

    海の大陸ダナ縁辺部に分布し、北海道の東岸やオホーツク海沿岸では8~

    10月、三陸沖では6~12月、九州西岸から鳥取県沿岸では10~3月、日本

    海中央部(大和海嶺)では 6~9月が漁期である。

    沿岸漁場は水質と底質の汚濁が進行し、また臨海工業用地の造成などに

    より、その環境が悪化している。一方養殖場は増殖技術が進歩し、海面の

    集約的利用が進んでいる。

    〔凡例と作図の要点〕

    漁場の分布は、水産庁と各地の水産庁水産研究所の資料を用いた。

    養殖場の分布は各地の水産庁水産研究所の資料と第5次漁業センサスの

    市町村別養殖業経営体数を用いた。

    〔資料〕

    1.水産庁資料

    2.農林省,第5次漁業センサス

    主要魚種別漁獲量の推移

    たら類

    あじ類

    にしん

    いわし類

    さば類

    (漁業養殖業生産統計年報から作成)

    漁場の潰廃(1968~1972)

    埋立

    漁業権放棄

    1:19,000,000

    (漁業センサスから作成)

    157

  • 40.1

    (1973)

    1:55,000,000

    158 159

    漁業条約水域等については1974年現在

    おもな魚類等の分布

    漁 獲 量 と 漁 場

    漁 獲 量 と 漁 場

    水域別漁獲量 種 別

    ひらめ・かれい等

    たら・すけとうだら等

    ほっけ・めぬけ・にべ・ぐち等

    さんま・あじ・ぶり・にしん・いわし

    かじき・かつお・まぐろ類

    さば等

    その他の魚類

    えび・かに

    貝類・いか・たこ・うに・なまこ等

    水 草

    内水面漁業によるもの

    内水面養殖によるもの

    みなみまぐろ

    くろまぐろ

    びんなが

    めばち

    きはだ

    かつお

    にしん

    さんま

    すけとうだら

    いか

    水 域 界

    水域番号

    漁業条約水域界等

  • 40.2

    1:6,000,000

    160

    近海の漁場と養殖場

    近 海 の 漁 場 と 養 殖 場

    近海の漁場

    おもな養殖場

    くろまぐろ

    かつお

    にしん

    まいわし

    かたくちいわし

    まあじ

    まさば

    さんま

    すけとうだら

    するめいか

    のり

    わかめ

    真珠

    真珠母貝

    はまち

    かき

    ほたて

    うなぎ

    40 農林漁業40.1 漁獲量と漁場40.2 近海の漁場と養殖場