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労 働 と 健 康 第183号 2004.5.1発行 Vol.30 No.3 たから 「目先の利益より人が財!一項された職場の働き方を問い直そうー」 ‥一一現代労働負担研究集会第10回研究集会の報告より- 1,人間らしい労働生活を求めて 一現代労働負担研究集会、第10回研究集会in名古屋一 同志社大学 2.派遣労働者の二重の労働負担 現代労働負担(首都圏)研究会 3.人権無き移住労働者の労働負担 首都圏移住労働者ユニオン 現代労働負担(首都圏)研究会 4.マクドナルドの仕事 千田 忠男…… 1 高森 敏次…… 5 本多ミヨ子……8 永原 信子 松川 和子……12 山口 健司……15 若月 忠夫……18 内野 博子……20 5.軍需産業で働く労働者の負担 人権回復を求める石楢原告団 6.命と健康が尊重される職場と会社でありたい トヨタ自動車職自連 7.トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで (特別企画)「堺市の鈴木先生過労死労災認定裁判勝利報告」 1.鈴木均過労死事件判決の意義 弁護士 2.故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点 堺市教職員組合 旅客の生命を左右する航空機客室乗務員の健康問題 paれ3 村田 浩治……24 木寺 鶴夫……27 日航労災職業病患者会 ・介護職の健康管理 一今すぐできる予防と対策一 幸谷 興男・徳永 力雄編著 ・身を守るための労働法 労働調査会出版局労働相談室編 ・もうひとつのビキニ事件 -1000隻をこえる被災船を追う一 高知県ビキニ水爆実験被災調査団編 ・健康帝国ナチス ロバート・N・プロテクター著/宮崎 尊訳 陽子……30 (ミネルヴァ書房)……33 (労働調査会)……33 (平和文化)……34 (草 思 社)……35 大阪労災職業病対策連絡会(大阪職対連)

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労 働 と 健 康 第183号 200451発行

Vol30 No3

たから 「目先の利益より人が財一項された職場の働き方を問い直そうー」

一一現代労働負担研究集会第10回研究集会の報告より-

1人間らしい労働生活を求めて

一現代労働負担研究集会第10回研究集会in名古屋一 同志社大学

2派遣労働者の二重の労働負担 現代労働負担(首都圏)研究会

3人権無き移住労働者の労働負担 首都圏移住労働者ユニオン

現代労働負担(首都圏)研究会

4マクドナルドの仕事

千田 忠男helliphellip 1

高森 敏次helliphellip 5

本多ミヨ子helliphellip8

永原 信子

松川 和子helliphellip12

山口 健司helliphellip15

若月 忠夫helliphellip18

内野 博子helliphellip20

5軍需産業で働く労働者の負担 人権回復を求める石楢原告団

6命と健康が尊重される職場と会社でありたい トヨタ自動車職自連

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

(特別企画)「堺市の鈴木先生過労死労災認定裁判勝利報告」

1鈴木均過労死事件判決の意義 弁護士

2故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点 堺市教職員組合

旅客の生命を左右する航空機客室乗務員の健康問題 paれ3

村田 浩治helliphellip24

木寺 鶴夫helliphellip27

日航労災職業病患者会

介護職の健康管理 一今すぐできる予防と対策一

幸谷 興男徳永 力雄編著

身を守るための労働法 労働調査会出版局労働相談室編

もうひとつのビキニ事件 -1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

健康帝国ナチス ロバートNプロテクター著宮崎 尊訳

森 陽子helliphellip30

(ミネルヴァ書房)helliphellip33

(労働調査会)helliphellip33

(平和文化)helliphellip34

(草 思 社)helliphellip35

大阪労災職業病対策連絡会(大阪職対連)

琉拙等卿串モ昔卿舐轟溌驚醐顎写植顎芳醐モ鞘抑制朋正抽モ醐

脚打方択捉郡腑硯旛醐顎曲亭柵

一現代労働負担研究集会第10回研究集会の報告より-

1人間らしい労働生活を求めて

一現代労働負担研究会第10回研究集会in名古屋一

同志社大学教授 千 田 忠 男

第3の柱はヒューマンサービスにおけるス

トレスと長時間過密労働の実態であり3

題の発表があり新しい分野の問題を指摘し

ました

第4の柱として職場からすすめる労働運動

について3題の発表がありました

1労働負担を研究して

現代労働負担研究会第10回研究集会を2003

年11月に名古屋で開催しました3日間で工

場見学研究発表活動交流などをおこない

初日に17名二日目労働者労働運動団体役

員など41名研究者マスコミなど13名大

学院生学生など21名の合計76名三日目に

46名が参加しました

今回のメインテperpマは「人間らしい労働生

たから 活を求めて目先の利益より人が財-こわ

された職場の働き方を問い直そうー」で研

究集会では9題の研究発表と4題の指定発表

それをめぐる交流をしました

研究テーマにおける第1の柱は派遣や移

住労働者パートアルバイトなどの不安

定非正規雇用労働者の労働負担で4題の

発表がありました

第2の柱は製造業における過密長時間

労働とそれによる過労死と過重負担で4題

の発表声ミありまいたそのうち2題が過労死

労災認定を取り組む家族からの発表でひと

つはトヨタもうひとつはスズキにおける事

例でした

2 職場の構造的破壊

これらのテーマは労働現場の実態を反映

するものです

現実の職場では現象的にみるとミスや

事故の多発不良率の上昇働く人の心身の

健康悪化あるいはモラールの低下などが進

行しています

これらの背景ではつぎのような事態がみられ

ます

(1)リストラをすすめて黒字を生み出す

職場労働の知恵と経験とを一身に背負って

きた労働者層を強制的に解雇する出向転

籍させる役職からはずす隔離して見せし

めとするなどを強行していますその代替と

して派遣やパートアルバイトなどを導入し

ています

ー1-

3 広範囲な労働破壊

こうした「職場労働の構造的破壊」傾向は

モノつくりにかかわる製造業だけでなく運

輸物流商業販売金融保険情報産

業などにも広まっていますたとえば郵政

事業にもJIT(ジャストインタイム)を導入

しようとしています

とりわけヒューマンサービス分野や公務な

どでもあらたな展開がみられます

まず国立大学の独立法人化が学問研究と

高等教育を大きくゆがめる危険をもたらして

います

教育労働も危機に直面しています少人数

のゆとり教育という国民的要求を実現するた

めにと称して教育力リキュラムを切り刻み

つつ教師に過密長時間労働を押しつけて

います

介護労働も危機的状況です形態も内容も

きわめて劣悪低水準な介護保険によって

介護労働が危機に瀕しています国民の介護

問題を介護の社会化をはかりつつ社会福祉

の水準向上をもはかって解決するというふ

れこみで介護保険が導入されたのですが実

際には困難をすべて介護家族に押しつけて

国民同士の対立を激化させ介護労働者とり

わけホームヘルパーの労働条件を切り捨てま

したこのとき「登録型有償ボランティア」

の名称を雇用労働条件切り下げの口実に利用

しました

そのほかの分野もふくめ職場労働にみら

れる否定的な現象を「構造的破壊」とみる視

点が重要であると第10回研究集会で提起しま

した

モノつくりの核心となる知恵と経験が失われ

て労働者はシステムにふりまわされてミ

スや事故が多発するなど職場労働の実質が変

質劣化しています

(2)成果主義処遇といいながら下がる基

本賃金

年功賃金や能力主義的管理を廃止して成

果に応じた賃金で報いると標ぼうしながら

自らすすんで長時間過密労働に突きすすむ

ように強制し成果に応じて基本賃金を切り

下げるという処遇を強行しています

(3)「中国にも勝てる」生産システムとい

いつつ労働者には長時間過密労働が

中国と競争しても勝てる製造力にする一ト

ヨタがいま実践している生産性向上の運動

は実質的にこの水準を追求していますそ

のためにグローバリゼーシ ョンと情報技術

革命を労働者を責める道具にしています

グローバリゼーションの内容は生産製

造販売過程を海外とりわけアジアに移転

しアジアの労働者と日本の労働者をアジア

の労働水準で競わせることですそしてこ

れらを日本における労働ルール破壊につなげ

ようとしています

また情報技術革命を利用して国内にお

ける開発事業と海外における生産と販売国

内への環流を一元的に管理調整し国内の産

業空洞化を推しすすめています

こうしてトヨタをはじめとするわが国の有

力企業は中国の労働水準と労働実態を念頭

にして日本の労働者を過密長時間労働に

駆り立てています

こうした動向を背景にした職場の変化働

き方の変化劣化を私たちは「職場労働の

構造的破壊」と名づけました 4 構造破壊に立ちむかうために

職場労働の構造破壊に立ちむかうために

-2-

に徹底追求しなければなりません

こうしたことを諌題として第10回研究集会を

開催して多くの成果を得ましたそのいくつ

かを本誌の特集記事として紹介します

は職場労働を構造的に把握する視点を確立

して実態をつぶさに研究し職場労働者が

有効に対応できる対抗策を対置しなければな

りませんそのためにはつぎの方向にむけ

た努力が必要です

第1にミスや事故の多発働く人の心身

の健康悪化モラールの低下などに焦点をあ

てて実態を究明しますミスや不良を減らす

合理的な方策を提案する事故を未然に防ぐ

方策を提案して先頭に立って実施する健康

の悪化する者がいないかどうかに気を配る

不調の場合には気兼ねなく休養できるように

配慮するモラール低下に留意するなどが

重要です

第2にリストラによる出向転籍強制

配転請け負いの名称を借りた派遣の導入

解雇の脅かしや解雇成果主義による競争的

な過密長時間労働などを職場の労働実質

を確保する視点から規制する方策を提案する

ように努力します

職場の働き方は職場ごとの作業別に定まり

ます技術開発の職場ならばすぐれた技術

をスムーズに開発することが労働実質となり

ますそのとき技術の核心部分を開発する

チームが派遣あるいは下請け孫下請けあ

るいはひ孫下請けとなっているならばのち

のち重大な事態となったときに対応が困難と

なりますこうしたことは経験のある技術者

ならば十分に承知のことですそうした職場

の実質を確保することを理由にして職場か

ら不安定雇用に対抗する方策を提案していか

なければなりません

第3に過労死過労自殺や職業病事故

や災害などが発生したら十分な補償と再発

防止策を徹底して求めなければなりません

そのためにはなによりも発生原因を科学的

5 人間らしい働き方を求めて

私たちの研究会は職場における労働者の

働き方にこだわってひとり一人の働き方を

ていねいに明らかにして職場労働の根本的

改善につなげる政策を提案することを目標に

していますそのために労働運動の企画調

査政策立案担当者と専門家が協力共同して

研究活動をすすめますまた事実以外の権

威を認めずに事実にもとづいた率直な意見

交換を契機にしてお互いの認識を深めあうと

いうルールで運営しています

この研究会は1990年に三菱電機神戸に牽制

立ち作業が導入された事態を契機に「全国立

ち作業研究会」として発足しました以来足

かけ13年間名称も「現代労働負担研究会」

と変えながら労働負担を研究する自主的な

組織として継続してきました

次回は2005年6月に関西圏で開催する予

定です

これまでの研究活動と今回研究集会の詳細

は下記のホームページにも紹介しています

また資料集も配布していますのでご参照く

ださい

現代労働負担研究会公式ホームページ

h均)wwwkitanetnejprt-takam0

-3-

現代労働負担研究会第10回研究集会研究発表演題

1派遣労働者の二重の労働負担一大手情報処理

サービス会社での金融システム派遣の労働負担

2人権なき移住労働者の労働負担

高森 敏次(現代労働負担首都圏研究会)

本多ミヨ子(首都圏移住労働者ユニオン)

永原信子(現代労働負担首都圏研究会)

柴崎 孝夫(浜松大学) 3外国人労働者と派遣労働

4マクドナルドの仕事 松川 和子

5軍需産業で働く労働者の負担 山口 健司(人権回復を求める石播原告団)

6トヨタでの「モノつくりはヒトつくり」の実

態をみる

7トヨタの過労死夫の救済をもとめて

トヨタ自動車職自連

内野 博子(過労死家族の会)

8オーバーワークは教師の宿命か一教師の労働

負担

9裁量労働や感情労働のストレス

千田 忠男(同志社大学)

鈴木 安名(三島共立病院)

10労働者のいのちと健康をまもるために(紙上) 細川 汀

11新日鉄の重大災害根絶をめぎして 新日銭職自連

12職場から労働運動をめぎして 日立労働者懇談会

13教師の労働安全衛生活動をすすめて 愛知健康センター

14スズキ過労死で息子をうばわれて スズキ小松弘人さんの過労自殺労災認

定をすすめる会

-4-

2派遣労働者の二重の労働負担

現代労働負担(首都圏)研究会 高 森 敏 次

労働条件や身分は比較的安定している会社で

ある

コンピュータのプログラマとして入社した

T君は神経性の胃炎が悪化し派遣先企業から

交替を要請され派遣元に返された入社後わ

ずか1年であるそこで大手情報処理サービ

ス会社に派遣されて働いていたT君(28才)

の事例に沿って派遣労働者の労働負担がどの

ようなものであるかを検討してみた

2派遣先のA社の職場実態

派遣先であるA社は全国的にビジネスを展

開している巨大企業である東京駅近くにあ

るオフィスに半年後派遣されたT君は初めて

お金になる仕事がもらえたという喜びもあ

り弓長り切って毎日の作業に没頭した作業

は新しく開発された金融システムを個別の銀

行との間で構築するものでプログラムのコ

ーディングとコマンドを送信して実際に動く

かどうかを確かめるテストを繰り返してい

くこの作業は客先である銀行が休みの日に

行う銀行に入っているコンピュータのメー

カーや工事会社などと連絡調整をしながら決

められプロジェクトスケジュールをこなして

いく神経を使う作業である

この職場の労働者の構成は表一1のように

なっている

1派遣元のB壮

丁君は2002年4月にB社に入社大手情報処

理サービス会社であるA社の子会社へOJTを

かねて無償で派遣されたB社は従業員50名

たらずのコンピュータによる各種システムづ

くりを請負または派遣で行う小規模の独立系

の会社であるT君は大学卒業後に情報処理

の専門学校を卒業しており性格的には決し

て暗い人ではない社員はすべて正社員とし

て採用しており身分は比較的安定している

のが特徴である同じ派遣労働者でもいわゆ

る登録型派遣とは異なり常用型であるので ホlarr

雇用形態 人 数 雇用別合計 合 計

プロパ ー 31 31

A社 2 0

B社 10

C社 5

D社 5

派遣会社 E社 2 4 8 8 0

F社 2

G社 2

H社

Ⅰ社

フ リ ー

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 2: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

琉拙等卿串モ昔卿舐轟溌驚醐顎写植顎芳醐モ鞘抑制朋正抽モ醐

脚打方択捉郡腑硯旛醐顎曲亭柵

一現代労働負担研究集会第10回研究集会の報告より-

1人間らしい労働生活を求めて

一現代労働負担研究会第10回研究集会in名古屋一

同志社大学教授 千 田 忠 男

第3の柱はヒューマンサービスにおけるス

トレスと長時間過密労働の実態であり3

題の発表があり新しい分野の問題を指摘し

ました

第4の柱として職場からすすめる労働運動

について3題の発表がありました

1労働負担を研究して

現代労働負担研究会第10回研究集会を2003

年11月に名古屋で開催しました3日間で工

場見学研究発表活動交流などをおこない

初日に17名二日目労働者労働運動団体役

員など41名研究者マスコミなど13名大

学院生学生など21名の合計76名三日目に

46名が参加しました

今回のメインテperpマは「人間らしい労働生

たから 活を求めて目先の利益より人が財-こわ

された職場の働き方を問い直そうー」で研

究集会では9題の研究発表と4題の指定発表

それをめぐる交流をしました

研究テーマにおける第1の柱は派遣や移

住労働者パートアルバイトなどの不安

定非正規雇用労働者の労働負担で4題の

発表がありました

第2の柱は製造業における過密長時間

労働とそれによる過労死と過重負担で4題

の発表声ミありまいたそのうち2題が過労死

労災認定を取り組む家族からの発表でひと

つはトヨタもうひとつはスズキにおける事

例でした

2 職場の構造的破壊

これらのテーマは労働現場の実態を反映

するものです

現実の職場では現象的にみるとミスや

事故の多発不良率の上昇働く人の心身の

健康悪化あるいはモラールの低下などが進

行しています

これらの背景ではつぎのような事態がみられ

ます

(1)リストラをすすめて黒字を生み出す

職場労働の知恵と経験とを一身に背負って

きた労働者層を強制的に解雇する出向転

籍させる役職からはずす隔離して見せし

めとするなどを強行していますその代替と

して派遣やパートアルバイトなどを導入し

ています

ー1-

3 広範囲な労働破壊

こうした「職場労働の構造的破壊」傾向は

モノつくりにかかわる製造業だけでなく運

輸物流商業販売金融保険情報産

業などにも広まっていますたとえば郵政

事業にもJIT(ジャストインタイム)を導入

しようとしています

とりわけヒューマンサービス分野や公務な

どでもあらたな展開がみられます

まず国立大学の独立法人化が学問研究と

高等教育を大きくゆがめる危険をもたらして

います

教育労働も危機に直面しています少人数

のゆとり教育という国民的要求を実現するた

めにと称して教育力リキュラムを切り刻み

つつ教師に過密長時間労働を押しつけて

います

介護労働も危機的状況です形態も内容も

きわめて劣悪低水準な介護保険によって

介護労働が危機に瀕しています国民の介護

問題を介護の社会化をはかりつつ社会福祉

の水準向上をもはかって解決するというふ

れこみで介護保険が導入されたのですが実

際には困難をすべて介護家族に押しつけて

国民同士の対立を激化させ介護労働者とり

わけホームヘルパーの労働条件を切り捨てま

したこのとき「登録型有償ボランティア」

の名称を雇用労働条件切り下げの口実に利用

しました

そのほかの分野もふくめ職場労働にみら

れる否定的な現象を「構造的破壊」とみる視

点が重要であると第10回研究集会で提起しま

した

モノつくりの核心となる知恵と経験が失われ

て労働者はシステムにふりまわされてミ

スや事故が多発するなど職場労働の実質が変

質劣化しています

(2)成果主義処遇といいながら下がる基

本賃金

年功賃金や能力主義的管理を廃止して成

果に応じた賃金で報いると標ぼうしながら

自らすすんで長時間過密労働に突きすすむ

ように強制し成果に応じて基本賃金を切り

下げるという処遇を強行しています

(3)「中国にも勝てる」生産システムとい

いつつ労働者には長時間過密労働が

中国と競争しても勝てる製造力にする一ト

ヨタがいま実践している生産性向上の運動

は実質的にこの水準を追求していますそ

のためにグローバリゼーシ ョンと情報技術

革命を労働者を責める道具にしています

グローバリゼーションの内容は生産製

造販売過程を海外とりわけアジアに移転

しアジアの労働者と日本の労働者をアジア

の労働水準で競わせることですそしてこ

れらを日本における労働ルール破壊につなげ

ようとしています

また情報技術革命を利用して国内にお

ける開発事業と海外における生産と販売国

内への環流を一元的に管理調整し国内の産

業空洞化を推しすすめています

こうしてトヨタをはじめとするわが国の有

力企業は中国の労働水準と労働実態を念頭

にして日本の労働者を過密長時間労働に

駆り立てています

こうした動向を背景にした職場の変化働

き方の変化劣化を私たちは「職場労働の

構造的破壊」と名づけました 4 構造破壊に立ちむかうために

職場労働の構造破壊に立ちむかうために

-2-

に徹底追求しなければなりません

こうしたことを諌題として第10回研究集会を

開催して多くの成果を得ましたそのいくつ

かを本誌の特集記事として紹介します

は職場労働を構造的に把握する視点を確立

して実態をつぶさに研究し職場労働者が

有効に対応できる対抗策を対置しなければな

りませんそのためにはつぎの方向にむけ

た努力が必要です

第1にミスや事故の多発働く人の心身

の健康悪化モラールの低下などに焦点をあ

てて実態を究明しますミスや不良を減らす

合理的な方策を提案する事故を未然に防ぐ

方策を提案して先頭に立って実施する健康

の悪化する者がいないかどうかに気を配る

不調の場合には気兼ねなく休養できるように

配慮するモラール低下に留意するなどが

重要です

第2にリストラによる出向転籍強制

配転請け負いの名称を借りた派遣の導入

解雇の脅かしや解雇成果主義による競争的

な過密長時間労働などを職場の労働実質

を確保する視点から規制する方策を提案する

ように努力します

職場の働き方は職場ごとの作業別に定まり

ます技術開発の職場ならばすぐれた技術

をスムーズに開発することが労働実質となり

ますそのとき技術の核心部分を開発する

チームが派遣あるいは下請け孫下請けあ

るいはひ孫下請けとなっているならばのち

のち重大な事態となったときに対応が困難と

なりますこうしたことは経験のある技術者

ならば十分に承知のことですそうした職場

の実質を確保することを理由にして職場か

ら不安定雇用に対抗する方策を提案していか

なければなりません

第3に過労死過労自殺や職業病事故

や災害などが発生したら十分な補償と再発

防止策を徹底して求めなければなりません

そのためにはなによりも発生原因を科学的

5 人間らしい働き方を求めて

私たちの研究会は職場における労働者の

働き方にこだわってひとり一人の働き方を

ていねいに明らかにして職場労働の根本的

改善につなげる政策を提案することを目標に

していますそのために労働運動の企画調

査政策立案担当者と専門家が協力共同して

研究活動をすすめますまた事実以外の権

威を認めずに事実にもとづいた率直な意見

交換を契機にしてお互いの認識を深めあうと

いうルールで運営しています

この研究会は1990年に三菱電機神戸に牽制

立ち作業が導入された事態を契機に「全国立

ち作業研究会」として発足しました以来足

かけ13年間名称も「現代労働負担研究会」

と変えながら労働負担を研究する自主的な

組織として継続してきました

次回は2005年6月に関西圏で開催する予

定です

これまでの研究活動と今回研究集会の詳細

は下記のホームページにも紹介しています

また資料集も配布していますのでご参照く

ださい

現代労働負担研究会公式ホームページ

h均)wwwkitanetnejprt-takam0

-3-

現代労働負担研究会第10回研究集会研究発表演題

1派遣労働者の二重の労働負担一大手情報処理

サービス会社での金融システム派遣の労働負担

2人権なき移住労働者の労働負担

高森 敏次(現代労働負担首都圏研究会)

本多ミヨ子(首都圏移住労働者ユニオン)

永原信子(現代労働負担首都圏研究会)

柴崎 孝夫(浜松大学) 3外国人労働者と派遣労働

4マクドナルドの仕事 松川 和子

5軍需産業で働く労働者の負担 山口 健司(人権回復を求める石播原告団)

6トヨタでの「モノつくりはヒトつくり」の実

態をみる

7トヨタの過労死夫の救済をもとめて

トヨタ自動車職自連

内野 博子(過労死家族の会)

8オーバーワークは教師の宿命か一教師の労働

負担

9裁量労働や感情労働のストレス

千田 忠男(同志社大学)

鈴木 安名(三島共立病院)

10労働者のいのちと健康をまもるために(紙上) 細川 汀

11新日鉄の重大災害根絶をめぎして 新日銭職自連

12職場から労働運動をめぎして 日立労働者懇談会

13教師の労働安全衛生活動をすすめて 愛知健康センター

14スズキ過労死で息子をうばわれて スズキ小松弘人さんの過労自殺労災認

定をすすめる会

-4-

2派遣労働者の二重の労働負担

現代労働負担(首都圏)研究会 高 森 敏 次

労働条件や身分は比較的安定している会社で

ある

コンピュータのプログラマとして入社した

T君は神経性の胃炎が悪化し派遣先企業から

交替を要請され派遣元に返された入社後わ

ずか1年であるそこで大手情報処理サービ

ス会社に派遣されて働いていたT君(28才)

の事例に沿って派遣労働者の労働負担がどの

ようなものであるかを検討してみた

2派遣先のA社の職場実態

派遣先であるA社は全国的にビジネスを展

開している巨大企業である東京駅近くにあ

るオフィスに半年後派遣されたT君は初めて

お金になる仕事がもらえたという喜びもあ

り弓長り切って毎日の作業に没頭した作業

は新しく開発された金融システムを個別の銀

行との間で構築するものでプログラムのコ

ーディングとコマンドを送信して実際に動く

かどうかを確かめるテストを繰り返してい

くこの作業は客先である銀行が休みの日に

行う銀行に入っているコンピュータのメー

カーや工事会社などと連絡調整をしながら決

められプロジェクトスケジュールをこなして

いく神経を使う作業である

この職場の労働者の構成は表一1のように

なっている

1派遣元のB壮

丁君は2002年4月にB社に入社大手情報処

理サービス会社であるA社の子会社へOJTを

かねて無償で派遣されたB社は従業員50名

たらずのコンピュータによる各種システムづ

くりを請負または派遣で行う小規模の独立系

の会社であるT君は大学卒業後に情報処理

の専門学校を卒業しており性格的には決し

て暗い人ではない社員はすべて正社員とし

て採用しており身分は比較的安定している

のが特徴である同じ派遣労働者でもいわゆ

る登録型派遣とは異なり常用型であるので ホlarr

雇用形態 人 数 雇用別合計 合 計

プロパ ー 31 31

A社 2 0

B社 10

C社 5

D社 5

派遣会社 E社 2 4 8 8 0

F社 2

G社 2

H社

Ⅰ社

フ リ ー

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 3: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

3 広範囲な労働破壊

こうした「職場労働の構造的破壊」傾向は

モノつくりにかかわる製造業だけでなく運

輸物流商業販売金融保険情報産

業などにも広まっていますたとえば郵政

事業にもJIT(ジャストインタイム)を導入

しようとしています

とりわけヒューマンサービス分野や公務な

どでもあらたな展開がみられます

まず国立大学の独立法人化が学問研究と

高等教育を大きくゆがめる危険をもたらして

います

教育労働も危機に直面しています少人数

のゆとり教育という国民的要求を実現するた

めにと称して教育力リキュラムを切り刻み

つつ教師に過密長時間労働を押しつけて

います

介護労働も危機的状況です形態も内容も

きわめて劣悪低水準な介護保険によって

介護労働が危機に瀕しています国民の介護

問題を介護の社会化をはかりつつ社会福祉

の水準向上をもはかって解決するというふ

れこみで介護保険が導入されたのですが実

際には困難をすべて介護家族に押しつけて

国民同士の対立を激化させ介護労働者とり

わけホームヘルパーの労働条件を切り捨てま

したこのとき「登録型有償ボランティア」

の名称を雇用労働条件切り下げの口実に利用

しました

そのほかの分野もふくめ職場労働にみら

れる否定的な現象を「構造的破壊」とみる視

点が重要であると第10回研究集会で提起しま

した

モノつくりの核心となる知恵と経験が失われ

て労働者はシステムにふりまわされてミ

スや事故が多発するなど職場労働の実質が変

質劣化しています

(2)成果主義処遇といいながら下がる基

本賃金

年功賃金や能力主義的管理を廃止して成

果に応じた賃金で報いると標ぼうしながら

自らすすんで長時間過密労働に突きすすむ

ように強制し成果に応じて基本賃金を切り

下げるという処遇を強行しています

(3)「中国にも勝てる」生産システムとい

いつつ労働者には長時間過密労働が

中国と競争しても勝てる製造力にする一ト

ヨタがいま実践している生産性向上の運動

は実質的にこの水準を追求していますそ

のためにグローバリゼーシ ョンと情報技術

革命を労働者を責める道具にしています

グローバリゼーションの内容は生産製

造販売過程を海外とりわけアジアに移転

しアジアの労働者と日本の労働者をアジア

の労働水準で競わせることですそしてこ

れらを日本における労働ルール破壊につなげ

ようとしています

また情報技術革命を利用して国内にお

ける開発事業と海外における生産と販売国

内への環流を一元的に管理調整し国内の産

業空洞化を推しすすめています

こうしてトヨタをはじめとするわが国の有

力企業は中国の労働水準と労働実態を念頭

にして日本の労働者を過密長時間労働に

駆り立てています

こうした動向を背景にした職場の変化働

き方の変化劣化を私たちは「職場労働の

構造的破壊」と名づけました 4 構造破壊に立ちむかうために

職場労働の構造破壊に立ちむかうために

-2-

に徹底追求しなければなりません

こうしたことを諌題として第10回研究集会を

開催して多くの成果を得ましたそのいくつ

かを本誌の特集記事として紹介します

は職場労働を構造的に把握する視点を確立

して実態をつぶさに研究し職場労働者が

有効に対応できる対抗策を対置しなければな

りませんそのためにはつぎの方向にむけ

た努力が必要です

第1にミスや事故の多発働く人の心身

の健康悪化モラールの低下などに焦点をあ

てて実態を究明しますミスや不良を減らす

合理的な方策を提案する事故を未然に防ぐ

方策を提案して先頭に立って実施する健康

の悪化する者がいないかどうかに気を配る

不調の場合には気兼ねなく休養できるように

配慮するモラール低下に留意するなどが

重要です

第2にリストラによる出向転籍強制

配転請け負いの名称を借りた派遣の導入

解雇の脅かしや解雇成果主義による競争的

な過密長時間労働などを職場の労働実質

を確保する視点から規制する方策を提案する

ように努力します

職場の働き方は職場ごとの作業別に定まり

ます技術開発の職場ならばすぐれた技術

をスムーズに開発することが労働実質となり

ますそのとき技術の核心部分を開発する

チームが派遣あるいは下請け孫下請けあ

るいはひ孫下請けとなっているならばのち

のち重大な事態となったときに対応が困難と

なりますこうしたことは経験のある技術者

ならば十分に承知のことですそうした職場

の実質を確保することを理由にして職場か

ら不安定雇用に対抗する方策を提案していか

なければなりません

第3に過労死過労自殺や職業病事故

や災害などが発生したら十分な補償と再発

防止策を徹底して求めなければなりません

そのためにはなによりも発生原因を科学的

5 人間らしい働き方を求めて

私たちの研究会は職場における労働者の

働き方にこだわってひとり一人の働き方を

ていねいに明らかにして職場労働の根本的

改善につなげる政策を提案することを目標に

していますそのために労働運動の企画調

査政策立案担当者と専門家が協力共同して

研究活動をすすめますまた事実以外の権

威を認めずに事実にもとづいた率直な意見

交換を契機にしてお互いの認識を深めあうと

いうルールで運営しています

この研究会は1990年に三菱電機神戸に牽制

立ち作業が導入された事態を契機に「全国立

ち作業研究会」として発足しました以来足

かけ13年間名称も「現代労働負担研究会」

と変えながら労働負担を研究する自主的な

組織として継続してきました

次回は2005年6月に関西圏で開催する予

定です

これまでの研究活動と今回研究集会の詳細

は下記のホームページにも紹介しています

また資料集も配布していますのでご参照く

ださい

現代労働負担研究会公式ホームページ

h均)wwwkitanetnejprt-takam0

-3-

現代労働負担研究会第10回研究集会研究発表演題

1派遣労働者の二重の労働負担一大手情報処理

サービス会社での金融システム派遣の労働負担

2人権なき移住労働者の労働負担

高森 敏次(現代労働負担首都圏研究会)

本多ミヨ子(首都圏移住労働者ユニオン)

永原信子(現代労働負担首都圏研究会)

柴崎 孝夫(浜松大学) 3外国人労働者と派遣労働

4マクドナルドの仕事 松川 和子

5軍需産業で働く労働者の負担 山口 健司(人権回復を求める石播原告団)

6トヨタでの「モノつくりはヒトつくり」の実

態をみる

7トヨタの過労死夫の救済をもとめて

トヨタ自動車職自連

内野 博子(過労死家族の会)

8オーバーワークは教師の宿命か一教師の労働

負担

9裁量労働や感情労働のストレス

千田 忠男(同志社大学)

鈴木 安名(三島共立病院)

10労働者のいのちと健康をまもるために(紙上) 細川 汀

11新日鉄の重大災害根絶をめぎして 新日銭職自連

12職場から労働運動をめぎして 日立労働者懇談会

13教師の労働安全衛生活動をすすめて 愛知健康センター

14スズキ過労死で息子をうばわれて スズキ小松弘人さんの過労自殺労災認

定をすすめる会

-4-

2派遣労働者の二重の労働負担

現代労働負担(首都圏)研究会 高 森 敏 次

労働条件や身分は比較的安定している会社で

ある

コンピュータのプログラマとして入社した

T君は神経性の胃炎が悪化し派遣先企業から

交替を要請され派遣元に返された入社後わ

ずか1年であるそこで大手情報処理サービ

ス会社に派遣されて働いていたT君(28才)

の事例に沿って派遣労働者の労働負担がどの

ようなものであるかを検討してみた

2派遣先のA社の職場実態

派遣先であるA社は全国的にビジネスを展

開している巨大企業である東京駅近くにあ

るオフィスに半年後派遣されたT君は初めて

お金になる仕事がもらえたという喜びもあ

り弓長り切って毎日の作業に没頭した作業

は新しく開発された金融システムを個別の銀

行との間で構築するものでプログラムのコ

ーディングとコマンドを送信して実際に動く

かどうかを確かめるテストを繰り返してい

くこの作業は客先である銀行が休みの日に

行う銀行に入っているコンピュータのメー

カーや工事会社などと連絡調整をしながら決

められプロジェクトスケジュールをこなして

いく神経を使う作業である

この職場の労働者の構成は表一1のように

なっている

1派遣元のB壮

丁君は2002年4月にB社に入社大手情報処

理サービス会社であるA社の子会社へOJTを

かねて無償で派遣されたB社は従業員50名

たらずのコンピュータによる各種システムづ

くりを請負または派遣で行う小規模の独立系

の会社であるT君は大学卒業後に情報処理

の専門学校を卒業しており性格的には決し

て暗い人ではない社員はすべて正社員とし

て採用しており身分は比較的安定している

のが特徴である同じ派遣労働者でもいわゆ

る登録型派遣とは異なり常用型であるので ホlarr

雇用形態 人 数 雇用別合計 合 計

プロパ ー 31 31

A社 2 0

B社 10

C社 5

D社 5

派遣会社 E社 2 4 8 8 0

F社 2

G社 2

H社

Ⅰ社

フ リ ー

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 4: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

に徹底追求しなければなりません

こうしたことを諌題として第10回研究集会を

開催して多くの成果を得ましたそのいくつ

かを本誌の特集記事として紹介します

は職場労働を構造的に把握する視点を確立

して実態をつぶさに研究し職場労働者が

有効に対応できる対抗策を対置しなければな

りませんそのためにはつぎの方向にむけ

た努力が必要です

第1にミスや事故の多発働く人の心身

の健康悪化モラールの低下などに焦点をあ

てて実態を究明しますミスや不良を減らす

合理的な方策を提案する事故を未然に防ぐ

方策を提案して先頭に立って実施する健康

の悪化する者がいないかどうかに気を配る

不調の場合には気兼ねなく休養できるように

配慮するモラール低下に留意するなどが

重要です

第2にリストラによる出向転籍強制

配転請け負いの名称を借りた派遣の導入

解雇の脅かしや解雇成果主義による競争的

な過密長時間労働などを職場の労働実質

を確保する視点から規制する方策を提案する

ように努力します

職場の働き方は職場ごとの作業別に定まり

ます技術開発の職場ならばすぐれた技術

をスムーズに開発することが労働実質となり

ますそのとき技術の核心部分を開発する

チームが派遣あるいは下請け孫下請けあ

るいはひ孫下請けとなっているならばのち

のち重大な事態となったときに対応が困難と

なりますこうしたことは経験のある技術者

ならば十分に承知のことですそうした職場

の実質を確保することを理由にして職場か

ら不安定雇用に対抗する方策を提案していか

なければなりません

第3に過労死過労自殺や職業病事故

や災害などが発生したら十分な補償と再発

防止策を徹底して求めなければなりません

そのためにはなによりも発生原因を科学的

5 人間らしい働き方を求めて

私たちの研究会は職場における労働者の

働き方にこだわってひとり一人の働き方を

ていねいに明らかにして職場労働の根本的

改善につなげる政策を提案することを目標に

していますそのために労働運動の企画調

査政策立案担当者と専門家が協力共同して

研究活動をすすめますまた事実以外の権

威を認めずに事実にもとづいた率直な意見

交換を契機にしてお互いの認識を深めあうと

いうルールで運営しています

この研究会は1990年に三菱電機神戸に牽制

立ち作業が導入された事態を契機に「全国立

ち作業研究会」として発足しました以来足

かけ13年間名称も「現代労働負担研究会」

と変えながら労働負担を研究する自主的な

組織として継続してきました

次回は2005年6月に関西圏で開催する予

定です

これまでの研究活動と今回研究集会の詳細

は下記のホームページにも紹介しています

また資料集も配布していますのでご参照く

ださい

現代労働負担研究会公式ホームページ

h均)wwwkitanetnejprt-takam0

-3-

現代労働負担研究会第10回研究集会研究発表演題

1派遣労働者の二重の労働負担一大手情報処理

サービス会社での金融システム派遣の労働負担

2人権なき移住労働者の労働負担

高森 敏次(現代労働負担首都圏研究会)

本多ミヨ子(首都圏移住労働者ユニオン)

永原信子(現代労働負担首都圏研究会)

柴崎 孝夫(浜松大学) 3外国人労働者と派遣労働

4マクドナルドの仕事 松川 和子

5軍需産業で働く労働者の負担 山口 健司(人権回復を求める石播原告団)

6トヨタでの「モノつくりはヒトつくり」の実

態をみる

7トヨタの過労死夫の救済をもとめて

トヨタ自動車職自連

内野 博子(過労死家族の会)

8オーバーワークは教師の宿命か一教師の労働

負担

9裁量労働や感情労働のストレス

千田 忠男(同志社大学)

鈴木 安名(三島共立病院)

10労働者のいのちと健康をまもるために(紙上) 細川 汀

11新日鉄の重大災害根絶をめぎして 新日銭職自連

12職場から労働運動をめぎして 日立労働者懇談会

13教師の労働安全衛生活動をすすめて 愛知健康センター

14スズキ過労死で息子をうばわれて スズキ小松弘人さんの過労自殺労災認

定をすすめる会

-4-

2派遣労働者の二重の労働負担

現代労働負担(首都圏)研究会 高 森 敏 次

労働条件や身分は比較的安定している会社で

ある

コンピュータのプログラマとして入社した

T君は神経性の胃炎が悪化し派遣先企業から

交替を要請され派遣元に返された入社後わ

ずか1年であるそこで大手情報処理サービ

ス会社に派遣されて働いていたT君(28才)

の事例に沿って派遣労働者の労働負担がどの

ようなものであるかを検討してみた

2派遣先のA社の職場実態

派遣先であるA社は全国的にビジネスを展

開している巨大企業である東京駅近くにあ

るオフィスに半年後派遣されたT君は初めて

お金になる仕事がもらえたという喜びもあ

り弓長り切って毎日の作業に没頭した作業

は新しく開発された金融システムを個別の銀

行との間で構築するものでプログラムのコ

ーディングとコマンドを送信して実際に動く

かどうかを確かめるテストを繰り返してい

くこの作業は客先である銀行が休みの日に

行う銀行に入っているコンピュータのメー

カーや工事会社などと連絡調整をしながら決

められプロジェクトスケジュールをこなして

いく神経を使う作業である

この職場の労働者の構成は表一1のように

なっている

1派遣元のB壮

丁君は2002年4月にB社に入社大手情報処

理サービス会社であるA社の子会社へOJTを

かねて無償で派遣されたB社は従業員50名

たらずのコンピュータによる各種システムづ

くりを請負または派遣で行う小規模の独立系

の会社であるT君は大学卒業後に情報処理

の専門学校を卒業しており性格的には決し

て暗い人ではない社員はすべて正社員とし

て採用しており身分は比較的安定している

のが特徴である同じ派遣労働者でもいわゆ

る登録型派遣とは異なり常用型であるので ホlarr

雇用形態 人 数 雇用別合計 合 計

プロパ ー 31 31

A社 2 0

B社 10

C社 5

D社 5

派遣会社 E社 2 4 8 8 0

F社 2

G社 2

H社

Ⅰ社

フ リ ー

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 5: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

現代労働負担研究会第10回研究集会研究発表演題

1派遣労働者の二重の労働負担一大手情報処理

サービス会社での金融システム派遣の労働負担

2人権なき移住労働者の労働負担

高森 敏次(現代労働負担首都圏研究会)

本多ミヨ子(首都圏移住労働者ユニオン)

永原信子(現代労働負担首都圏研究会)

柴崎 孝夫(浜松大学) 3外国人労働者と派遣労働

4マクドナルドの仕事 松川 和子

5軍需産業で働く労働者の負担 山口 健司(人権回復を求める石播原告団)

6トヨタでの「モノつくりはヒトつくり」の実

態をみる

7トヨタの過労死夫の救済をもとめて

トヨタ自動車職自連

内野 博子(過労死家族の会)

8オーバーワークは教師の宿命か一教師の労働

負担

9裁量労働や感情労働のストレス

千田 忠男(同志社大学)

鈴木 安名(三島共立病院)

10労働者のいのちと健康をまもるために(紙上) 細川 汀

11新日鉄の重大災害根絶をめぎして 新日銭職自連

12職場から労働運動をめぎして 日立労働者懇談会

13教師の労働安全衛生活動をすすめて 愛知健康センター

14スズキ過労死で息子をうばわれて スズキ小松弘人さんの過労自殺労災認

定をすすめる会

-4-

2派遣労働者の二重の労働負担

現代労働負担(首都圏)研究会 高 森 敏 次

労働条件や身分は比較的安定している会社で

ある

コンピュータのプログラマとして入社した

T君は神経性の胃炎が悪化し派遣先企業から

交替を要請され派遣元に返された入社後わ

ずか1年であるそこで大手情報処理サービ

ス会社に派遣されて働いていたT君(28才)

の事例に沿って派遣労働者の労働負担がどの

ようなものであるかを検討してみた

2派遣先のA社の職場実態

派遣先であるA社は全国的にビジネスを展

開している巨大企業である東京駅近くにあ

るオフィスに半年後派遣されたT君は初めて

お金になる仕事がもらえたという喜びもあ

り弓長り切って毎日の作業に没頭した作業

は新しく開発された金融システムを個別の銀

行との間で構築するものでプログラムのコ

ーディングとコマンドを送信して実際に動く

かどうかを確かめるテストを繰り返してい

くこの作業は客先である銀行が休みの日に

行う銀行に入っているコンピュータのメー

カーや工事会社などと連絡調整をしながら決

められプロジェクトスケジュールをこなして

いく神経を使う作業である

この職場の労働者の構成は表一1のように

なっている

1派遣元のB壮

丁君は2002年4月にB社に入社大手情報処

理サービス会社であるA社の子会社へOJTを

かねて無償で派遣されたB社は従業員50名

たらずのコンピュータによる各種システムづ

くりを請負または派遣で行う小規模の独立系

の会社であるT君は大学卒業後に情報処理

の専門学校を卒業しており性格的には決し

て暗い人ではない社員はすべて正社員とし

て採用しており身分は比較的安定している

のが特徴である同じ派遣労働者でもいわゆ

る登録型派遣とは異なり常用型であるので ホlarr

雇用形態 人 数 雇用別合計 合 計

プロパ ー 31 31

A社 2 0

B社 10

C社 5

D社 5

派遣会社 E社 2 4 8 8 0

F社 2

G社 2

H社

Ⅰ社

フ リ ー

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 6: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

2派遣労働者の二重の労働負担

現代労働負担(首都圏)研究会 高 森 敏 次

労働条件や身分は比較的安定している会社で

ある

コンピュータのプログラマとして入社した

T君は神経性の胃炎が悪化し派遣先企業から

交替を要請され派遣元に返された入社後わ

ずか1年であるそこで大手情報処理サービ

ス会社に派遣されて働いていたT君(28才)

の事例に沿って派遣労働者の労働負担がどの

ようなものであるかを検討してみた

2派遣先のA社の職場実態

派遣先であるA社は全国的にビジネスを展

開している巨大企業である東京駅近くにあ

るオフィスに半年後派遣されたT君は初めて

お金になる仕事がもらえたという喜びもあ

り弓長り切って毎日の作業に没頭した作業

は新しく開発された金融システムを個別の銀

行との間で構築するものでプログラムのコ

ーディングとコマンドを送信して実際に動く

かどうかを確かめるテストを繰り返してい

くこの作業は客先である銀行が休みの日に

行う銀行に入っているコンピュータのメー

カーや工事会社などと連絡調整をしながら決

められプロジェクトスケジュールをこなして

いく神経を使う作業である

この職場の労働者の構成は表一1のように

なっている

1派遣元のB壮

丁君は2002年4月にB社に入社大手情報処

理サービス会社であるA社の子会社へOJTを

かねて無償で派遣されたB社は従業員50名

たらずのコンピュータによる各種システムづ

くりを請負または派遣で行う小規模の独立系

の会社であるT君は大学卒業後に情報処理

の専門学校を卒業しており性格的には決し

て暗い人ではない社員はすべて正社員とし

て採用しており身分は比較的安定している

のが特徴である同じ派遣労働者でもいわゆ

る登録型派遣とは異なり常用型であるので ホlarr

雇用形態 人 数 雇用別合計 合 計

プロパ ー 31 31

A社 2 0

B社 10

C社 5

D社 5

派遣会社 E社 2 4 8 8 0

F社 2

G社 2

H社

Ⅰ社

フ リ ー

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 7: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

退社貞はこの職場の業務である金融システム

の技術を事実上支えていると言っても過言で

はない

表-1でもわかるがこの職場ではプロパー

の社員は全体の半分以下の38であるあと

は派遣会社からの労働者で9社から来ており

お互いに競わせているA社やB社などの派

3T暑の労働時間

次にT君の入社以来約1年間の労働時間について表-2に記述する

年 所定労 実労働 残業 休日出 休暇

月 働時間 時間 時間 勤日数 取得

コメント

4 168 168 0 0 0 入社A社子会社派遣

5 168 168 0 0 0

6 160 160 0 0 0

7 184 184 0 O 0

2002 8 144 1685 245 0 0 A社オフィスに派遣

9 152 1965 445 0 0

10 176 239 625 0 0

160 215 460 0 0 神経性胃炎発症

12 148 1795 305 0 0

152 218 620 2 0 症状悪化

2 152 233 810 2 0 深夜勤務2hあり

2003 3 160 2095 495 2 0 深夜勤務6hあり

4 168 2275 595 0 0 交番勧告深夜勤務35h

5 168 2095 415 0 0 派遣打ち切り交替

6 14 自社にて軽作尭

--

T君は4月に入社してすぐA社の子会社に

OJTを兼ねて派遣された当初の4ヶ月はOJT

のため無償で派遣しているので派遣元の会

社の指揮下にあり残業はゼロである8月

にA社のオフィスに変わり有償で派遣され

るようになった有償で派遣されるというこ

とは戦力としてカウントされるためベテラン

の労働者とともにまかされたプロジェクトを

納期までに完成しテストをして引き渡さなく

てはならない有償派遣されてから10ケ月の

残業は月平均50時間であり休日出勤と深夜

残業も行われている派遣後4ケ月日に機能

性ディスペプシア(神経性胃炎)を発症して

いる

更に2ケ月後には症状が悪化し仕事中胃

の中から突き上げてくるようなゲップや食欲

不振に陥った我慢をして仕事を続けている

うちに深夜勤務や休日勤務もあり日が空ろ

になるなど更に症状は悪化していった派遣

先の担当責任者から「T君は日が空ろだ典

型的な鬱の症状になっているのでは」と注

意の勧告がされるようになったその後2ケ

-6-

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 8: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

月たちこのままでは持たないと派遣先のA

社から判断されて交替を要望されたのであ

入社以来14ケ月有償派遣後10ケ月で体調

を崩して派遣を打ち切られたのである

境としてはあまりにも過酷な環境であった

5派遣社員の二重の労働負担

以上のT君の実例から派遣社員が抱えて

いる労働負担について考えてみた

1)本来業務による労働負担

a長時間労働による負担 b休日労働に

よる負担 c労働密度による負担 dス

キル不足による負担 e納期に負われる

負担 f劣悪な職場環境による負担 g

人間関係による負担

2)派遣による労働負担

a職場の上司同僚がお客さんという負

担 b契約打ち切りという圧力による負

担 c二重派遣三重派遣による最終客

先に対する負担

以上の状況からいえることは派遣労働者

は本来業務による労働負担とあわせて派遣

による労働負担という二重の負担が強いられ

ている労働者派遣法の改悪により派遣業務

が原則自由化されたことにより派遣業界へ

の参入が大手企業を含めて激増しているま

すます競争が激しくなるので派遣労働者は

心身ともに労働負担が大きくなる一方であ

4仕事でのストレス

T君の仕事は前述のごとく新しく開発され

た金融システムを個別の銀行との間で構築す

るものでプログラムのコーディングとコマ

ンドを送信して実際に動くかどうかを確かめ

るテストを繰り返していくこの作業は客先

である銀行が休みの日に行いながら客先に

入っているコンピュータのメーカーや工事会

社などと連絡調整をしながら決められプロ

ジェクトスケジュールをこなしていく神経を

使う作業であるこの作業をリーダー役であ

るプロパー社員からの指示で行うのである

がリーダーの年齢も若く経験も少ないた

め客先からの要望やトラブル処理でリーダー

自身のストレスが大きいそのため指示の仕

方が適切を欠いて感情的なものになり新入

社員のT君は真面目な性格なためまともに

受け止めてしまいストレスが溜まっていく

T君は前述の機能性ディスペプシア(神経

性胃炎)になり内科医と鍼灸に通院治療を

している派遣先から引き上げてきたときの

聞き取りでT君は「派遣先のA社のことや

仕事のことを思い出すと胃が痛み出す」「最

寄駅のOT駅を降りようとすると気分が悪く

なってどうしても降りられない」と訴えてい

るT君の性格傾向は高学歴凡帳面優等

生タイプで挫折経験が無い(労働科学研究所

鈴木安名氏の面談による)など派遣労働者

としてITの先端技術者として共通する特徴が

あり新卒者が始めて経験する仕事と職場環

cent派遣労働者の保護と環境の改善

派遣労働者は二重の労働負担を受けなが

ら過酷な労働を余儀なくされているが派

遣労働者の働き方を改善するための方策が急

がれている基本的な問題提起として次の項

目が挙げられる

①派遣労働者保護の法律が必要現在の労

働者派遣法の中でも活用できる条文がある

があくまでも使用者である会社に対するも

のである派遣労働者に対する保護の法律が

-7-

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 9: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

野に入っていない失業者外国人労働者

派遣労働者などの不安定な雇用形態の労働現

場に対する労組の抜本的な取り組みが改善の

鍵である

③研究者による派遣労働者の実態調査とシ

ンポジウムなど世論形成が求められている

必要であるその内容は派遣先の労働者との

均等待遇の原則であろう

②派遣労働者が雇用労働者の大きな部分を

占めている現在労働組合からのアプローチ

が求められている連合全労連などの既存

の労組は正社員正規職員の目線からの運動

になっているため派遣労働者の組織化が視

3人権無き移住労働者の労働負担

首都圏移住労働者ユニオン 本多 ミ ヨ子

現代労働負担(首都圏)研究会 永 原 信 子

が少子化と高学歴化の日本では若者が働

きたがらない領域でもあるそういう意味で

は日本社会の土台を支えている労働であり

本来最も人権が保障されなくてはならない労

働現場である

次に人権無き無法地帯の典型的な職場で働

いていたバングラデイシュ国籍のAさんの

「働き方」を紹介し移住労働者の働き方と

してはごく当たり前の状態であるということ

を知ってもらいたい

1首都圏移住労働者ユニオンの相談活動か

ら見えるもの

現在日本には180ケ国以上の国籍をもつ外

国人(移住者)200万人が生活しておりそ

のうち労働者は90万人といわれている

この間(2002年11月~2003年10月までの2

年間)首都圏移住労働者ユニオンに寄せられ

た相談は合計66件となっており内容は次の通

りである国籍別ではフィレピン26件バン

グラデイシュ16件ガーナ7件中国5件タ

イ3件トルコ1件ブラジル2件ナイジェ

リア2件日本2件ペルー1件モロッコ1件

で大部分は東南アジアに集中している相

談内容では「賃金手当ての未払い」が24件

「解雇」21件で70を占めている

移住労働者の相談活動から見えてくるもの

はまさに労基法はもちろんのこと人権無き

無法地帯とも言える労働実態になっている

移住労働者の主な就労先は土木建設現場

解体作業深夜労働の生産現場など3Kどころ

か労働災害と過労死寸前の働き方を強制さ

れていると言っても過言ではないこれらの

仕事は社会に無くてはならない仕事なのだ

2Aさんの働き方労働時間

Aさんはバングラデイシュの首都ダッカか

ら日本に来て9年いわゆるオーバーステイ

の労働者である都内の家内工場的な印刷会

社で働いていたそのときの働き方について

別紙グラフー1で示すグラフー1はある1ケ

月間の一日当りの実労働時間で最高が何と

18時間を超す労働時間になっている12時間

以上は当たり前の働き方になっている別紙

のグラフー2はAさんの1ケ月の総労働時間で

ある月に300時間以上が当たり前になって

おりよく過労死をしなかったか不思議なく

ー8-

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 10: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

らいである

次にAさんとAさんの奥さんから直接聞き

取りをした内容を示す

ているが300時間未満は4ヶ月300時間

~400時間が14ヶ月にもなる

3)賃金

時給1080円 残業割増は深夜休日とも1

時間100円さらに二交替で事実上24時間労

働を1ヶ月のうちに2週間行っている7名の

人員を半分にして一つの班が24時間労働を行

う仮眠無し食事は仕事の合間に摂る食

べる時間だけ交替するこのように半分の人

員で7名分の仕事をこなしても賃金は同じで

100円の割増だけであった

4)休憩時間

決まった休憩時間がない食事時間も無い

ので仕事の合間に摂るか食事抜きの暗もあ

5)作業の肉体的な負荷

a作業手順

機械の立ち上げ 始業時に行う

スイッチをONするrArr版を交換するrArr紙

をセットするrArrインクを入れ 試し刷りを

するrArr見本と照合し品質をチェックする

この動作の繰り返しになるが刷り上っ

た印刷物を揃えて格納する作業もある

b紙のセット作業

印刷作業で一番大きな負荷は紙のセット

であるここに着目してセット作業の労働

負担について検討をしてみたセット作業

の作業姿勢は下図のとおりである

3Aさんからの聞き取り

1)会社の概要

都内にある個人経営の印刷会社で家族労働

(社長夫婦と息子と娘夫婦)+日本人女性

(事務員)とバングラデイシュ国籍のAさんと

Bさんの合計8名仕事内容は各種学校の教科

書やテストなどの冊子月末に忙しい働い

ていた期間は2000年9月に入社~2002年12月

病気により退職

2)労働時間と労働日

a所定労働時間が決まっていない忙

しい時は残業徹夜などあり始業時間も

納期などに合わせて朝6時や7時8時など

社長の指示によりその日により違うAさ

んが働いていた約2年間のうちで一日の平

均的な労働時間は11時間rdquo15時間月別の

一日の最長労働時間は14時間台1回15

時間台5回16時間台6回17時間台2回

18時間台1回となっている

b労働日 1ヶ月の最高労働日数は27

日休日無しで連続労働27日さらに10日

間以上の連続労働の後に16時間から18時間

働き次の日が休日になるケースが多い

c月間の労働時間 グラフー2で示し

図-1

-9-

⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

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⑥残業深夜休日勤務をしても100円の

割増賃金しか支払われない悔しさ

機 7)生活と健康への影響

肩 超長時間休み無し深夜勤務での働き方

は当然家庭生活や健康にも大きな影響を及

ぼしている次にその影響内容について記述

機 する

両 ①入社1年半で体調不良のため働けなくな

った病名は「潰瘍性大腸炎」である不規

則な勤務と食事長時間労働による疲労ス

トレスが原因と見られる体調を崩してから

約3ケ月半休んだり労働時間を短くした

結果体調は回復してきている

割 ②3才の子供が毎日父親に会いたくて深夜

の12時ちかくまで寝ないで待っていた子供

の健康と発達に対する影響

③奥さんも働いているので夫婦のコミュニ

ケーションが取れず連絡ノートに頼ってい

たまともな夫婦生活家庭生活が築けない

2 非人間的な労働環境であった

④毎日の辛い労働について誰かに聞いて欲

しいと願う日々であった

⑤体調を崩して病気になってもオーバース

テイのため健康保険が無くて全額自費負担

で経済的にも苦しかった

8)労基法を遵守する会社に替わる

2002年12月に無法な印刷会社を退職し別

の印刷会社で働けるようになった

二つの会社を比較すると労基法を遵守して

いる会社はあらゆる面で働きやすい現在の

会社での働き方は次の通り

①労働時間 840~1730

昼休み1200~1245

②休日 土日と祝日が休み

③残業1740~ 50分で1時間とみなす

24暗までの作業があるが自分の裁量で休憩が

-10-

cセット作業の負荷

セットする紙の枚数は一度に500枚重

量は20kg棚から下ろして台車に積み

械にセットする機械のセットは自分の

の高さより高い位置であるつまり棚から

下ろし機械にセットするので1工程で2回の

上げ下ろしの動作が必要になる1台の

械で一日10万枚印刷するのでAさんの

腕と足腰にかかる重量は次の計算になる

100000枚500枚times2回times20kg=

8000kg1日となるつまり一日8Jトンもの

重量を上げ下げしているのである

なお刷り上った印刷物の処理作業につい

ては詳しく聞き取りが出来なかったため

愛するがその分の重量も加算されるので

労働負担はさらに大きくなる

6)Aさんの労働負担

以上の働き方からAさんの労働負担は次

の通りである

①一日の労働時間が労基法にある8時間の

倍以上が通常の状態でありしかも連続して

いる長時間労働による睡眠不足による精神

的負担によるストレスと循環器の負担

②24時間労働深夜労働休日無し労働が

当り前の超長時間労働になっている

人間の生理的限界を越えている①と同じ精

神的肉体的負担

③食事時間が決まっていない休憩時間が

無い働き方でありパンを食べながらの仕事

や食事抜きの仕事など人間以下の働き方によ

る胃腸系統の負担

④このような働き方が5ケ月7ケ月連続し

ている

⑤肉体的負荷も一日8トン以上の重量を休

み無しに扱う足腰肩腕などにかかる

負担

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 12: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

取れる割増賃金は125で基準法通り

④労働負荷 ラベル印刷のため重さは5kg

と軽いセットする高さも腰の位置で楽にな

った

⑤さらに経営者の裁量で様々な支援がされ

ている

末現在約22万人(共に法務省発表)と少しず

つ減少している日本の長引く不況の中でも

大幅な減少にはなっていないなぜならア

ジアアフリカからの移住労働者は自国よ

りはまだしも日本には仕事があると考え中

小零細企業主は不況だからこそ低賃金で

長時間黙って働く移住労働者を雇いたいと考

えているからである

また日本の産業になくてはならないにも

かかわらず日本人が働きたがらない金属プレ

スメッキプラスチック加工建設解体

などの職場では移住労働者に頼るしかない

状況にある

この実態と政策の禾離が労働環境のみなら

ず医療子どもの教育など多くの権利侵害

を生み移住労働者の最大の問題点となって

いる解決方法は出入国管理難民認定法を変

え実態に見合った制度を整えることである

2000年3月に発表された「出入国管理基本計

画(第2次)」は「日本に必要な労働者の積極

的受け入れ」を明記している現実に働いて

いる労働者はすべて「必要な労働者」として

在留資格を認めるべきである

2)労働運動

今劣悪な労働条件で働く労働者は移住労

働者だけではなく非正規労働者を始め多数

の日本人が悪条件で働いている労働組合の

組織率低下が大きな原因の一つであることは

まちがいなく組織化が急務となっている

移住労働者も同じで労働組合を組織し移

住労働者自らが労働条件を守り向上させるこ

となしに真の問題解決はありえない労働相

談を受け解決を図るだけではなく移住労働

者を最も悪い労働条件下におかれている仲間

として位置づけ地域で外国人労働相談会を

開くなど組織化の手助けをしてほしい

4Aさんからのメッセージ

バングラデイシュから日本を見るとヒロ

シマナガサキの被害に対しても報復をしな

いで廃嘘の中からこれだけの発展を遂げた

国として尊敬している日本は法治国家であ

るしハローワークがあり国が責任を持って

職業紹介をしているので素晴らしいと思って

いたところが私たち移住者に対しては法律

も守らずに休憩も無しに働かせている会社が

あることがわかり残念だ信仰のお祈りの時

間すら無いしかし現在の法律を守っている

会社にきたら家族や友人との会話もできるよ

うになり楽しめる時間があってとても嬉し

い私たちの為に寝食も忘れて相談に乗って

くれるLUM(移住労働者ユニオン)のような

労働組合にめぐり合えたことで希望が持て

る {-

5提言

1)日本政府

日本政府は移住労働者に関して一貫して

「専門的技術的分野の労働者は積極的に受

け入れることとするがいわゆる単純労働者

の受け入れは慎重に対応する」という政策を

とっている

しかし労働力移動という現象は基本的に

は国際的経済状況に左右される日本におけ

るオーバーステイ労働者数の推移を見てもバ

ブル経済時に30万人を超え崩壊後は2002年

-11-

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 13: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

国に帰り家族と暮らしたいと思っているマ

スコミに踊らされることなく本当の移住労

働者の姿を知るためには直接話すことが一

番の近道労働相談を受けることで真実が

見えてくると思う

今外国人犯罪をことさら大きく取り上げ

それを理由とした排外主義が強まっている

オーバーステイはみんな泥棒や人殺しだなど

と言わんばかりの暴言を吐く議員もいるし

かしほとんどの移住労働者はまじめに働き

母国の家族に仕送りをしできるならば早く

グラフー1

4マクドナルドの仕事

松 川 和 子

国内の空洞化で失業者が増える中で若い

人が引き寄せられているマクドドナルドで

私はパートタイマーをしています

1雇用形態雇用契約書を交しています

3ケ月契約でその後は自動更新です自宅か

ら近いのと働く時間を自由に選べることから

決めました中にはこれを本業にして長い時

間働いている人正社員でないがいわゆるフ

リーターの若い人が中心ですその人達を補

うようにして働く若い子持ちの女性達が朝8

~9暗から午後1~2時ごろまで働く人私は

その後の時間から高校生のバイトが来るまで

の午後の時間に働いています土日曜日は学

生が働きます今では60代でも働けますと募

集していて大きな店では掃除専門の人もい

ますそれから朝6暗から9暗までと夜9時

から11暗までのオープンワーククローズワ

ークと言う開店閉店の為の仕事がありま

すこの仕事をする人は年輩の方でサラリ

ーマンで夜だけ働きたい人や年金生活の方が

います

2勤務時間 主婦高校生高齢者学

生は3~6時間日で1~5日週ですフリー

ターは6~8時間日で5~6日過ですフリ

ーターの女性は掛け持ちで働く人が多く午

後4時~9暗までファミリーレストランや居酒

屋でも働いています

3出勤日時の決め方 毎月15日までに翌

月の希望出勤日時を提出します働ける日

時間帯を全部出します週6日までで7日連

続はだめですそして毎週金曜日に翌週月

曜日から日曜日の全員のスケジュール表を発

ー12-

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 14: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

表します各自がスケジュール表を見てOK

のサインを入れる基本的に自分が出した希

望時間はスケジュール発表後は変更できませ

んが高校生の部活とか主婦は子供の学校

の用事子供の病気などの時は変更可能で

すその時はフリーターの人とか学生などで

調整していますそして働きたい日が全部

働ける分けでなくその中でマグドナルドが

ほしいい時間だけ取ってくれて働きたくて

も働けないということがありますさらに

時々上からの指摘で人が多すぎるとなるとあ

っと言う間にカットされますだから月に

5~6万円だったのが1日に1-2時間とか週に3

時間ぐらいになって悲しいくらいに2~3万

円になったりしましたこれは出し入れ自

由の不安定雇用労働者そのものです

4職種

パートタイマー

トレーニー新人研修中の人10~12時間

の訓練

Cクルー 研修終了した人

Bクルー 混んでいない時援助なしで

できる

Aクルー 土日祝日の昼ピークの混んで

いるいる時にも確実にできる

クルーの仕事手足を動かす仕事

オペレーション厨房でハンバーガーやポ

テトの製造をする

カウンターパーソンオーダーを取り商

品を取り揃える人

私はこれですそして各機器の手入れ洗

浄や資材の補充掃除など同時進行ですすめ

ます忙しくなる時は資材がなくならないよ

うに準備しておきます

スイングマネージャー 少し頭を使う仕

事高校生以外のパートタイマーが対象セ

ールス計画にもとずいて売り上げ目標から

クルーの人数スケジュール作成と配置や資材

のストック準備や1週間に1回発注し運びい

れる仕事をしますクルーと同じ事もします

が独自の仕事があります機器のメンテナ

ンス現金おつりの管理開店閉店ク

レーム処理で商品をお宅まで届けるのもスイ

ングマネージャー でないとできないことにな

っています社員がいなくても店はやってい

けるようになっていますこれらを数人で分

担します

Aスイングマネージャーマネージャー

のトップの人店舗で1人だけです

ここから正社員で100店舗あっても30席か

ら100席まの規模で100人はいません数程

度です社員の人は入社するとファーストマ

ネージャ ーとかセカンドマネージャーとな

りAスイングマネージャーと同じ仕事をこ

なしていきます

店長1店舗に必ずいるとは限りません直

営3店くらいで母店となるトラディ

ショナルと子店のサテライト23店を

一人でみていますその他2~3人の社

員のマネージャーで店全体の経営をみ

ている

OC店長より広い範囲をみるオペーレーシ

ョンコンサルタントどこの店がうま

くいっているとかつかえているとか

を観る仕事です私たちパートはほと

んど会うことがありませんが突然や

ってきて一人でコーヒーー杯だけ飲

んで長く居て私達を観ていればこの

人がそうですトラディショナル5店

舗と付随するかなり広い施設を観てい

ますこの人達は30代でリタイヤして

マクドナルトの権利を買ってブランチ

ー13-

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 15: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

らいに並んでやりますカウンターもオーダ

ーだけをとり4時間喋りっばなしの人ドリ

ンクだけ作る人お金だけ受け取って「いら

しゃいませ有り難う御座いましたまたご

利用下さい」と言う人に分かれています

あとどんな忙しい時でも15分に1回客

席トイレを見回りしてゴミ箱の中を始末

してゴミを拾って奇麗に掃除をしますホー

ルディングタイムと言ってポテトは7分コ

ーヒー30分パイ90分とおいしい時間が決ま

っています時間が過ぎた物は捨てて新し

い物を作ります混んでいない時は注文があ

ってから作る暗もあります捨てた物につい

てもマネージャーがカウントしていきます

6給与 高校生の時給680円でスタート

学生成人は720円でスタート

3ケ月に1回パーフォーマンス(面談)の

結果昇給するシステムで到達と目標が示され

ますしかし私は2年間で1回しかなく750

円のまま昇給していません4年以上働いて

いる女性マネージャーでも800円です7年働

いて辞めたフリーターの女性でも840円でし

たあんなに仕事ができても90円しか変わら

ないのかとショックでした一番高い人でも

Aスウィングマネージャーで1000円以内です

マクドナルドはたくさん入って来てたくさん

出て行く所だけの時給だと感じます交通

費食事手当てなど一切なしですフランチ

ャイズの店だとたまに食事手当てがある所と

か3時間働けば1セットがただで食べられる所

もあります私の店は正月3が日に6時間以上

勤務の場合500円のセット支給だけでした

パートタイマーで一番上のAスウィングマネ

ージャーだけは賞与があります

7休暇 パートタイマーの就業規則には

有給休暇が書かれています配布はされてな

-14-

ヤイズのオーナーになる人が多いで

5私の仕事内容(Aクルーカウンター

パーソン)

お店で「いらしゃいませこんにちはこ

ちらでお召し上がりですか」声をかけて注

文を取りますドライブスルーの注文も取り

ますドライブスルーはワズ(マイクとヘッ

ドフォンの装置)を付けてお店に辛がスー

と来るとプーと音がして「はいいらっしゃ

いませこんにちは何になさいますかご注

文どうぞ」向こうで迷っていると誘導したり

「ただ今期間限定のメンチハンバーガーど

うですかサイドメニューはいかがですか

それではお会計525円でございます前へお

進み下さい」早くすすめてお客さんにどん

どん買ってもらってどんどん進めますド

リンクの注文も受けます注文を取り揃えて

お客さんが前へ来るとがらがらと開けて「は

い525円でございます」となりますPOS

というシステムでお客さんが向こうで選ぶと

金額もでてきて合計もすぐでるしくみにな

っていて全部同時進行で行う仕事です後ろ

でハンバーガー などはすぐに作れませんので

袋に入れて取り揃えてくれる人がいます

すいている時間帯はいませんドリンクにス

トローを差して渡して「はい有り難う御座

いましたまたご利用ください」と一人

につき90秒以内で行うことになっています

気にしながら仕事しています注文が45セ

ットもあると「車を前に進めてあちらでお待

ちください」となります12セットであれ

ばほぼ90秒で終わるようになっています土

日祝日11暗から2時の忙しい時間帯は流れ作

業になり作るのもパンを焼く人調味料を

付ける人ピクルスを乗せる人と80センチぐ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 16: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

くて1冊だけ置いてあります実際有給休

暇を取った人を見たことがありませんスケ

ジュー ルを出す時に予定がある時は最初から

出さないので有休を取る機会は少なくなり

ます一定の期間働けば取れることを知らな

い人が多いです私も話題にしたらいいか躊

躇しています

8福利厚生 制服は貸与されます靴と

ストッキングは自前で靴はデザイン材質

が指定ですクルールームと言う休息室が1

つ6畳程でテレビと洋服掛けと更衣室が半

分で後はテーブルと椅子5個です1時間の

休息や食事をする部屋お茶の設備トイレ

はありません救急箱と勉強用のDVDがあり

エアコンが付いています職場内にマネージ

ヤーがパソコンに向かう為の壊れた椅子があ

きヤたつ

るだけです私は時々脚立に掛けて休むぐら

いです年2回の会社費用による懇親会が学

生の卒業時期などに合わせてあります労災

保険は全員入っていると思います雇用保険

はわかりません健康保険厚生年金は希望

すれば加入できます長時間働いているフリ

ーターの人は加入している人もあります

最後にスウィングマネージャー は時給800

円8時間日で20日働くと128000円月の

計算になり20才前後でこの金額は深刻だと

感じ仕事のやりがいとかでなく将来どうな

るのだろうかと思いました

5軍需産業で働く労働者の負担

人権回復を求める石播原告団 山 口 健 司

もに従業員のゆとりと豊さの実現に努める」

(同指針7(従業員の尊重))などと謳ってい

るが現実はこれとはほど遠い軍需産業

IHIの職場実態を以下に報告する

1はじめに

私は2003年6月44年3ケ月働いた石川島播

磨重工業(IHI石播)を定年退職した私

は西東京市の田無工場で航空宇宙事業本

部開発グループで働いていたこの工場で

は主に自衛隊や民間のジェットエンジンを

作っているイージス艦などを追っている海

洋船舶事業部は横浜にあり2002年10月から

IHトMUという子会杜になっているこれら

軍事産業の比率は全体の17しかないがや

はり石播は軍事産業が特徴な企業だと思う

会社は「あらゆる法令を厳格に遵守し社

会的規範にもとることのない誠実かつ公正

な企業活動を遂行する」(企業行動指針2(事

業活動の基本))「従業員の人格個性を尊

重し安全で働きやすい環境を確保するとと

2ZC管理対象者名簿を用いた労働者管理

ZCとはゼロコミュニスト(共産党員撲滅)

の意味である(月刊現代2003年10月号参照)

いまも「口をきくな」「目を見るな」「ビラを

受け取るな」「香典を受け取るな」「行事に呼

ぶな」「活躍させるな」「仕事を教えるな」

「得意な仕事は取り上げろ」「昇格させるな」

「賃金で徹底的に差をつけろ」と石播は30年

あまりにわたって職場で暮らしと権利を守

る活動をした者を日本共産党貞とみなし

「ZC計画管理名簿」に載せて激しく差別し

-15-

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 17: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

一員としては企業防衛に取組む必要がある

とも教育しているのであるまたZC問題

を考える際には企業にとって危機ファクタ

ーである共産党と我々のどちらに「大義」が

あるかという視点で提えていくべきであると

教えている

てきた

①全従業員を対象に思想調査

全従業員の行動を監視し思想でランク分

けをしている個人の疾病である腎炎葦

丸癌メニエル病等の病歴情報まで記入して

いる

私の所属していた田無工場宇宙開発グルー

プにはインフォーマル組織として「コスモス

会」があったこの会の会則には労使協調路

線に基ずいた民主的労働運動の規約を認める

ことが前提になっており私たちのような闘

う労働者は入会できなかった職場での親睦

会新入杜員の歓迎会退職を祝う会冠婚

葬祭運動会等々からの排除がやられてきた

まさに差別の実行部隊である

賃金の苦情を労組に申し入れをしたこと

でZC名簿のランクがBからAにアップさ

れた人がいる

(ni家族の地域での活動「歌声サークル加入」

等まで調査記入

③公安情報連絡田無警察との協力連絡を

指示

④若手人勤マンに対するZC教育内容

人材こそが最大かつ唯一の財産といい本

杜労働管理Gが行った「若手人勤マンZC

教育」報告書で人材育成についての教育で

は4つの様相があるそれはa人財(企業に

とって財産と呼べる者)b人在(企業にと

って存在価値のある者)C人済(いわゆる窓

際族)db人罪(企業にとって罪となるもの)

である人勤にとっての人材育成は人財あ

るいは人在を育てなければならない又

クライシス(危機)管理では企業にとって

守るべきものは人製品の品質会社の信

用社会的評価などがあるもし人罪が生ま

れてしまったら我々人勤として経営側の

3労働者の心身の疲労

差別人権侵害のみせしめでもの言えぬ職

場となり成果主義が導入され人員削減が

なされてきた「人間らしく働く」という視

点で職場を見ると昼休みは現場の作業者が

工場の床にダンボールを敷いたりマットを

敷いて寝ていた「ずいぶん疲れているな」

と思った私が田無工場に配属された頃は

食事をするのも惜しんで昼休みはスポーツ

をしたり土手を散策したりしていたもので

ある

ある事務職場では「40人中部課長を

含めて10人がメンタノレヘルスのカウンセリ

ングを受けている」といわれている

4大きなミス事故多発

末端職制の班長は大忙し日程管理工程

管理不具合対策処理の対処に追われパソコ

ンとにらめっこで余裕がない身をもって班

員に作業の指導ができない技能の伝承がで

きない職制が増えているさらに成果主義

能力主義目標管理が導入されて「他人のミ

スは自分の成果」「知っている事は教えない

の」の凪が職場に吹いている仕事の加工条

件を記した「作業ポイント」作業トラの巻き

を持っていてもそれを見せない教えない

新入杜貝が半日以上旋盤作業の芯だしで困っ

ていても「他の班員だから」「よけいなこと

をしておこられたくない」と教えることをし

-16-

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 18: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

ない

石播の成長部門である航空宇宙部門でミス

が多発している田無工場を移転売却する

と報道されいずれはなくなる工場に会社は

設備の改善や補修に金はかけないといってい

たそんな中で立型の倣い旋盤の倣い装置

が落下プレス機械の修理後の始動でカバー

が天井を突破る事故バルブの閉め忘れの為

漏れた水で床が水浸しなる等老朽化した機

械の破損事故や注意不足等による事故が多発

している2002年5月10月11月と3回も航

空自衛隊中等練習機T4の飛行中エンジンの推

力低下があったこの推力低下はあっては

ならないミス燃料制御装置内からの金属粉

が原因で全208機の部品交換が行なわれた

この他民間航空機でも飛行中にエンジンが停

止してしまう整備ミスも発生しているさら

に03年11月末には改良されたH2Aロケッ

トの打ち上げにも失敗した

えい」(石播建造)1号主ボイラー節炭器管の

漏水製品に暇庇(キズ欠点)あり海上

自衛隊の呉地方総監部経理部長とのあいだで

「暇癖の協定書」が結ばれる同年10月28

日14人の技術者は出張を命ぜられ飛行機

で出発する事前に派遣要員のリストアップ

パスポートの準備がされているようだ10月

29日現地時間の午前中にインド洋かアラビ

ア海がペルシャ湾沿岸のどこかの国に到着後

(4人の技術者)税関手続午後すぐ現地連絡

官のもと某港に停泊した「ひえい」に午後3

時40分乗艦修理開始30日午後1時修理完

了30日午後1時32分 下艦以後帰国日時は

記載報告なし

これでは技術者が安全第一で守られてい

ないことは明白であるこの事実(防衛庁報

告)を組合(連合)の委員長にたずねたとこ

ろ「そういうことがいやだという人はこうい

う企業(軍事産業)に働き続けることができ

ない」という返事であった

5戦地派遣にみる人命軽視労働強イヒ無権

利の実態

1)インド洋に派遣されている護衛艦

補給艦イージス艦の修理のために2003年

7月から2004年1月までの7ケ月間に民間人技

術者25人が送られている石播からもこの1

月にイージス艦「きりしま」修理のため7人

が送られたイラク全土が戦争状態安全な

ところは無いと言われる中で戦場に近い海

域での修理補修作業が大変危険であることは

間違いない派遣された技術者作業者は職

場の同僚にも一切何も言えず出張し帰って

きても一切他言無用で仕事を続けている

2)民間人も「戦地へ」テロ対策特別措置

法の現実岩波ブックレットによる石播の派

遣の実態を抜粋すると2002年10月26日「ひ

6人権回復を求めて

一軍需産業の現場から告発する-

私たちが賃金差別是正と人権回復を求めて

提訴して4年この間いはイラク戦争反対

民間企業の技術者を戦地に派適するなかの闘

いでもあったこの間2回の全国行動で石播

を世論で大きく包囲してきた

1)違法企業の公共発注参加の禁止発注

の停止を求める総務省国土省防衛庁への

要請行動の展開2)国会でのZC問題重

大ミス事故の原因追求究明の闘い3)労基

署へのサービス残業是正の申告4)行政(県

庁市役所等)への要請5)造船工業会み

づほコーポレート銀行等背景資本への要請を

支援共闘支える会闘う労働組合(全労連

-ノ17-

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 19: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

JMIU中央東京地本)との共同行動で展開 組合の果たすべき役割の大切さを痛感してい

6)団体署名の取組み軍事産業の石播をも

ってしても賃金差別の是正とZCを認めざ

るを得ないところまで追い込んできた「た

たかってこそ明日はある」は石播闘争の中か

ら生まれたスローガンであるたたかう労働

本論文は石幡人権回復訴訟勝利和解の直前

に執筆され山口氏の所属は当時のものであ

る (編集部)

lsquo命と健康が尊重される職場と社会でありたい

トヨタ自動車職自連 若 月 忠 夫

上げ春闘は3年連続ベアーゼロ(内2年連続

労働組合側から要求せず)ですこんな理不

尽なことを許していいのか組合員は怒り心

頭ですしかも日経連奥田ビジョンのもとで

賃金が高すぎるから引き下げろの命題で賃

金制度改悪成果主義賃金の導入へと全面的

な攻撃が労働者にかけられてきています共

通する企業のイデオロギー攻撃は「国際競争

力」「中国の脅威」論ですトヨタ自動車は

全体の冷え切った日本経済の現状の中で

政官財を巧みに利用しながら「千載一隅」

のチャンスとばかりに膨大な利益を吸い上

げていますその実態を見ていきたいと思い

ます

過労自殺労災認定

「トヨタについていけない」そんな言葉

を残して有為な青年が長時間過密労働で心

身ともにボロボロになって自殺しました

rsquo03年7月に名古屋高裁がトヨタ社貞「過

労自殺」は労働災害と判断を下しましたA

さんが亡くなって(rsquo88年)から実に15年の

歳月が流れていました

Aさんは当時35歳車の設計業務を担当し

ていましたいつも仕事に追われ眠るとき

も枕元にメモ用紙を置き飛び起きてメモを

する毎日だったそうです成果主義賃金が導

入されて今職場は大変な状況になってい

ますと同時に明らかに変化を生んでいま

すAさんに続きまた当時30歳の労働者

の妻が「過労死」認定の審査請求を起こしま

した沈黙していた家族のみなさんがはた

らく人達の命と健康が尊重される職場と社会

であってほしいと確実に運動が広がって

います

乾いたタオルを搾るマジック

1) トヨタぱ00年から3年目標でトヨタ

グループ上げて30コスト削減を狙った

CCC21(総減価低減活動)を展開しました

部品173品目で世界最安値を目指して徹底

した削減をおこないました総売上高ば97年

3月期連結決算で12兆円であったものがrsquo03年

引 には16兆円に膨れ上がっていますコスト削

減がどれだけ行われたのかを見るとrsquo97年で

は1100億円であったものがrsquo03年では3000億

-18-

理不尽なトヨタに怒り

トヨタ自動車は「rsquo043月期連結決算で税

き後利益1兆円(前期比40増)突破か」と

各紙が予想を報道しましたところがrsquo04賃

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 20: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

円CCC21活動の3年間で7600億円のコスト

削減を達成しています(表1)その削減方法

は一次下請け部品会社はトヨタから押し

付けられた30削減を更に下請け孫受けに

まで押し付けたのです下請け部品会社は

①正社員の首切外国人労働者の採用(ni定年

の繰り上げ(60歳rarr57歳)③賃金カット(50

歳=1555歳=20)④運輸関係の物流費

削減などなどで応えたのです単に車を売っ

て利益をあげるだけでなく製造過程で徹底

したコスト削減することで利益をあげる二層

式利潤追求をしているのです

2) そして第2弾更にトヨタ国内13工場

における総原価低減活動「BT2」(ブレーク

スルートヨタ)(rsquo03~rsquo05)を立ち上げ国内

製品の競争力強化世界NOlを目指して

30のコスト削減を目標に加速しています

ここでも主眼は人件費の削減です

生産工場の海外進出が急速に拡大して海

外の生産は42工場255万台(lsquo03実績)に拡大

しています国内生産が350万台(同)だか

ら逆転現象は時間の問題ですトヨタは

13000台日の生産台数を国内雇用確保ライ

ンとしてきましたしかし急速に進む海外

生産依存から年産300万台を上限に照準を充

て国内リストラを始めているのです

正規社員の数は96年から01年の5年間で

6000人削減しています正社員の事務職を

廃止して1000人の派遣社員に置き換えま

した工場の生産要員も期間派遣などの非

正規社員が増えていますrsquo00年前期では正社

員20940人非正規社員1500人だったもの

が03年後期には正社員19010人と減って

きているのに非正規社員8510人に増加してい

る生産要員に占める非正規社員の割合は

30にまで達しているのです(表2)

トヨタの働かせ方に異義あり

こうした状況を受けて労使間で議論にな

っていることは開発期間の短縮原価低減

の高い目標達成を目指す中で様々な問題が

生じていることです

前出のAさんの過労死裁判の判決は画期

的であり私達にとって救われたのですそ

の後会社はメンタルヘルス相談窓口を開

設したりして一定制度は出来たのですが

実質機能を果たしていませんなぜなら

「個人の問題」として受け止めている節が

多分にあるからです半ば放置されているの

が現状でこの事に「組合員は強い危機感

を持っている」(第70回労組定期大会代議員

発言)(表3)

判決で「仕事との因果関係」が明確に示さ

れているにも係らずなのです今春闘の協議

ではこの課題が取り上げらています組合側

は「業務改革は進めているが仕事の負荷減

少の実感はなく今後の山積する負荷に不安

感が募っている」との実態を吐き「rsquo05年に

年間所定外労働時間360時間達成」を提案し

ました

これに対して会社側は「これらの課題は

トヨタの競争力の源である従業員一人ひと

りの意欲活力につながるもの」と認識(第

2回労使協)労使ともに本質からズレた感覚

でトヨタは「人間性尊重の会社です」と

は呆れたものです

2度にわたる「賃金不払い残業」を摘発さ

れたトヨタは明確に「犯罪です」と謝罪し

ました国際公約1800時間の早期実現トヨ

タにおける完全週休2日制の実現有給休暇

の完全消化実現を果たさなければなりません

(表4)ますます人間らしい労働と生活を

求める課題は重要性を増しています

-19-

〆-

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 21: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

表2 トヨタの生産要員の推移 表1トヨタの売上高とコストダウンの推移

0

2

0

0

0

2

3

コストダウン 0

劇 5

rsquo01年 rsquo02年 0

0

0 乱

rsquo00 rsquo01 rsquo02 03

表4 トヨタの労働時間 表3 不安に感じるトヨタ組合員の割合()

rsquo99 rsquo00 rsquo01

所 定(H) 1927 1936 1903

所定外(H) 210 239 240

年 休(日) 178 179 188

総労働時間 1959 2002 1963

精神的緊張や疲労感ストレス

仕事圭の増大

自分の将来の昇進や処遇

退職後の仕事

雇用

職場の高齢化に伴う活気の限界

仕事上での体力や能力の限界

仕事や職場での変化への対応

0 20 40 60

7トヨタで過労死した夫の労災認定に取り組んで

内 野 博 子

は入社以来10年以上

役割の集中班の人員構成に偏り

定年間近の人や新人契約社員が多く

唯一の30代社員rarr中間管理兼実務者

追加業務QCサークルリーダー交

通安全リーダー新人契約社員の教育担

当等

<仕事>自動車製造工場の晶賞管理係のE

X(班長)

製造ライン外で不具合調査をしたりライ

ンの品質係が見落とした不良品が後工程で発

覚した際に苦情を受けて対処する人に謝る

ことの多いストレスのたまる仕事

不規則勤務(連続2交代制)や深夜勤務

-20-

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 22: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

インフォーマルEX(班長)会の広

報役組合の職場委員(補足説明1)

<家族>

妻パー ト主婦(プログラマー)

長女(当時3歳)長男(当時1歳)

<倒れた状況と民間救急車の実態>

日時2002年2月9日(土)当時30歳

2直(遅番)が終わる明け方の4時過ぎ

状況隣の上司と話し中に突然いすか

ら床に転落rarr大きないびきrarr顔面が紫色

rarr意識不明

処置救急の担当に連絡rarr工場内の救

急車が到着rarr警備員を兼ねた隊員が適切

な処置もしないまま30分かかる病院へ搬

送rarr脈もとらず心肺停止状態で病院に

到着

<記録上の死因は医学的な最終結論ではな

い>

死亡証明書「うっ血肺水腫」肺に液

が溜まった状態 実際は13以下times死因

剖検診断書「心筋炎に基づく不整脈

及び急性左心不全と推察」

炎症自体は死に至るほどではないtimes死因

他に原因なし

解剖医の証言 「断定はできないが

不整脈による心室細動としか考えられな

い」

rarr心臓停止による突然死を示唆するもの

<労災の申請へ>

過労が続き家族や友人ともに心配して

いた最中での出来事

会社の無神経な対応(通夜の直前に退職

手続きの話組合の見舞金)

死因の疑問とともに過労をさせた会社へ

の怒り

彼を死に至らしめた原因は過労しかない

虚しさと悔しさ「彼の努力は労災として

認めてあげないと報われない」

<行動を明らかにするための資料の収集>

客観的な証拠出勤帰宅時間のメモ

日時の入っているレシート私と彼の携

帯の発信記録クレジットカードの請求

明細彼が仕事をしていたノートパソコ

ンの更新記録

書き写し携帯本体の着信記録過去

の家計簿カレンダーの日記代わりのメ

調査給油時刻(カード会社にスタン

ドを問い合わせて控えのレシートをもら

う)

通勤にかかる時間や出勤帰宅途中に寄

った店までの時間を計測

習慣出勤時間飲酒なし帰るコー

ルから40分後の帰宅子供のお風呂洗

性格几帳面周りに気を使って雰囲

気を合わせる子煩悩

rarrこれらの資料を行動記録として時系列

に並べてまとめる(1年分で32枚)

rarr残業+その他の労働時間集計表として

6ケ月分を計算 死亡前1ケ月の時間外労

働時間154時間40分

<トラブル>

日時亡くなる数時間前の深夜

内容 不良が連続して後工程に流

れ後工程の組長らに呼ばれて強く叱咤

される何度も頭を下げ不良元の現場

と連絡をとって処理をした

彼の状況通常は無事に問題を処理

してくるのにこの日は1人に対して複

数の人から大声で責められたと厳しい顔

で上司に報告多大なストレス

ー21-

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 23: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

会社の監督署への書類「時間外労働時

間の判断がつかないのでお任せします」

<監督署の調査官の異動そして判定>

新課長新調査官の下で再調査rarr2003年

11月28日付で不支給決定

<愛知労働局へ審査請求>

上記判定を不服とし2004年1月13日労

働保険審査請求書を労働局へ提出

<会社とのやりとり>

時間外労働時間についての考え方

会社側お互いに主張をして判

断を監督署に任せるのが筋

私監督署は裁判所ではない別

の資料を出されても案件が複雑になる

だけ真実は一つであるから会社と

私とで真実をできるかぎり明らかにし

てその状況を監督署に判断してもら

うべき

調査官に相談 私が会社と接触す

るのは全く構わない

真実の追究(どのくらい時間外労働をし

ていたのか)

弁護士のアドバイスに従って時間外労

働時間を再計算

1規定労働時間会社規定の一日

7時間35分rarr週40時間

2休憩時間1時間rarr会社規定の1

時間15分

〔別記資料一段落1〕時間外労働時

間144時間35分

同僚証言による会社側の表(97時間)と

の相違点について質問書を出して確認

3通勤時間多く見て平均一時間

4前残業出勤時聞から始業時間

までの半分程度

5一部の不明な時間二日分の6

時間は明らかに残業ではない

6インフォーマルEX会活動

職制会組合活動は認められない

〔別記資料一段落4〕時間外労働時

間114時間

会社との共通認識として妻が監督署

に書類提出

会社内で上層部から担当者への圧力

補足1組合活動(職場委員) トヨタで

は組合活動をすることでその後の昇

進にもプラスになるとされるほど労使

間が密接であり慣例として断ること

はできない

補足2豊生会入社時の学歴などによっ

て分断組織を作っており他にも豊養

会豊隆会豊栄会などがあるよ

J

-22-

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 24: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

夫の時間外労働の実態 弁護士のアドバイスにより計算方法を変更しました

<方法>1日の勤務時間から休憩時間である1時間15分をひいた時間を実労働時間とする

1週間の実労働時間を合計し40時間をひいた時間を時間外労働とする

つまり二L日の時間内労働時間を5日出勤の週は即寺間6日出勤の週は6時間40分とする

1被災者の死亡前1ケ月の勤務状況

2インフォーマル()の15時間を除くと129時間35分

3前残業19時間5分のうち半分除くと120時間2分30秒

4不明な時間(1月19日と2月1日のそれぞれ3時間)を除くと114時間2分30秒

-23-

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 25: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

1「堺市の鈴木均先生過労死認定裁判勝利報告」

報告1鈴木均過労死事件判決の意義

弁護士 村 田 清 治

1 はじめに

基金大阪府支部基金支部審査会基金本

部審査会そして一審判決の結論は結局鈴

木均先生の死亡が前年度に糖尿病で入院して

いた鈴木均本人の健康状態の自然的悪化の結

果というものであった

病気が自然に悪化していったという理由は

過重性と無関係ではない「特別の公務はな

い」=「通常の公務」=「過重な公務がな

い」=「公務が原因とはいえない」larr=rarr

「元々の疾病が原因」という図式で理解出来

るものであり公務過重の有無という議論の裏

返しである

従って実は一つともいえるが基金の主

張に沿って議論を作るとすれば本件の争点

(1)鈴木先生の健康状態基礎疾病である

糖尿病の程度は死亡にいたるほどのものであ

るか否か

(2)そうでないとすれば脳梗塞を起こすほ

どの公務の過重性があるのか否かこの二つ

がこの事件の大きな争点だった

と結局公務過重性の程度が重いと判断さ

れれば病気が原因という議論は論破できる

といえるからである

一審裁判所の立証の重点は鈴木先生の公

務の過重性であり特に「通常の公務と比較

して」の過重性をどう表現するかということ

に苦心したのである

鈴木均先生の公務が職場の同僚と比較し

てどうか例年に比べてどうか時期的には

2学期の初め9月から10月からという時期とし

てどうかということを強調するものであっ

た判決を見て頂いたらわかるとおり一審

でも公務過重性は一所懸命に主張し立証し

た合計4名うち3名は鈴木和子さん本人を

含む現役教師であった

立証のために多くの方々の協力を得て陳

述書を提出した

クラス担任の立場から児童保護考との対

人ストレス同僚間の対人ストレス行事が

重なる中で休めない支援が少ないという状

況で体育主任保健主事など行事に責任を

負う役職についていることワープロ作業を

ひっきりなしにしていたことなど同僚の陳述

書など100を越える書証を提出した 2 一審地方裁判所での立証の重点と立証活

動の内容

前項のような理由から一審判決までは

鈴木先生の疾病の程度はあまり大きな争点で

はないと考えていた鈴木先生の疾病は実

際それほど重いものではなかったということ

3 一審判決(敗訴)の内容と逆転への布石

ところが一審判決は鈴木均先生の発症直

前の公務の過重性はそれなりに認めるもの

の教師一般の公務に対する根拠の乏しい偏

-24-

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 26: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

見に満ちたものであり結局動脈硬化が進

んでいた鈴木先生の疾病が悪化した結果であ

るというものであった一読をした感想は

教師の公務の過重性が低いという結論が先に

あって原告の訴えを棄却するためにあま

り議論のない医学的論点では基金の主張をそ

のまま採用したというものであった

この医学論争を挑むのか否かは控訴審を始

めるにあたって重要な方針の転換であった

しかし結論は挑むことになった脳血栓の

場合は直前の公務過重はいくらあっても影

響ないというのが一審判決の理屈であるそ

うであるとすれば脳塞栓であるという結論

になれば直前の公務の過重性は一審でも認

めているだけに鈴木先生の死亡直前の公務

の過重性が大きな影響があると言いやすくな

るここに逆転勝訴の布石が存在すると戦略

を立てたのである専門家の意見もそれを裏

付けるものであり鈴木均先生の疾病は心臓

に出来た血栓が脳血管を突然塞ぐ心原性脳塞

栓に由来する脳梗塞であるという前提にたつ

ことで一審はひっくり返る

的な姿勢で邁進することにした松丸弁護士

が述べたように「脳塞栓と位置づけたのは戦

略的な方針」だった

また一審の教師の公務に対する偏見を払

拭するために教師一般の公務の過重性の主張

も必要であると考えたこの点は一審では鈴

木均先生の公務が過重であると強調すること

を第一に考えた立証方針から教師の公務一般

の過重性も議論として展開していくことで教

師労働に対する偏見を払拭しようというもの

であった

5 控訴審における立証活動

鈴木均先生が脳塞栓であるという医学的立

証は控訴審で本格化した証人も脳外科の伊

藤医師内科の緒方医師相手方嘱託医の奥

医師と3名もの医師の証人尋問を実施した

この三名の証人採用のために裁判官に面談

しナ審の示した脳血栓という判断が如何に

おかしいかこの判断によって直前の過重性

の意味が全く異なることを強調して実現させ

また鈴木均先生がコンビニエンスストア前

で倒れた時の防犯ビデオに映像が当時残され

ており警察官がその当時再生した報告が

残されていた報告書はまさに急激な発

症=脳塞栓を裏付けたこうして発掘した証

拠で基金側の証人として出廷した医師も鈴

木均先生の発症が塞栓性の脳梗塞と認めぎる

を得なかった医学論争ではまずこちら側

が圧倒したもはや脳塞栓という判断は揺る

ぎのないと感じることが出来た

護 問題は教師の公務の過重性である一審

でも鈴木先生の公務の過重性を強調したが

その中には当然教師全般の公務の負担を述べ

ていた一審判決がわぎわぎ教師であるとい

-25-

4 控訴審で転換し付加された方針

弁護団としては当初から控訴審では鈴木

均先生の発症は脳塞栓であるという立証で

行こうと決めたわけではなかったしかし一

審では脳血栓と認めていたものをあっさり捨

てて手のひら返すような主張をするのが適

当なのか議論も行った

しかし医師の強い意見もあり脳血栓を否

定することで一審が認めた直前の公務の過重

性を生かして逆転出来るのではないか弁

団として本件の発症が脳塞栓しかないだ

から一審の判断は明らかに誤っていて修正す

るしかないと強く主張していこうという基本

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 27: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

いあげてその時閣外労働が月額で100時間を

優に超えていることを認定した質的にも量

的にも認定基準を満たす事実認定を行うだけ

でなく教師労働の過重性を正面から認めた

一審で提出した陳述書類も含めた立証活動を

踏まえたものであった

この高等裁判所が示した具体的な陳述に基

づく公務過重性の認定手法は不定型な労働

全般にも応用できる認定手法であるこれま

で客観的な成果物がないと認定しなかった従

来の判決と異なり証言に具体性があり整

合性があれば持ち帰り残業も認定する特徴

を持つ今後の同種事件にも是非生かして頂

きたいと思う

うことだけで過重性があるとはいえないとい

う判断を示していたことからも分かるよう

に決して力を抜いていたわけではないだ

がこうした立証は一審では無視された

仮に脳塞栓であると判断を受けたとしても

直前の公務はやはりたいしたことはないとい

うことで否定されるおそれはないと言えな

い公務過重性も気を抜くことなく立証を補

充した具体的には虐待等のある要配慮児童

の対応について教師のストレスやその支援を

テーマに研究している山野先生の意見書大

阪教育大学人間工学講座の中迫先生に教育労

働の特質(子どもと保護者との気配り多岐

にわたる取り組み多忙責任が重く支援

が少ない)や疲労が蓄積してく要因など従

前からの教師の労働に関する研究成果を踏ま

えた意見書の作成を依頼し提出した

lsquo 控訴人の主張をほぼ認めた大阪高等裁判

所判決の意義

高等裁判所の判決はほぼ控訴人の主張を採

用した完全勝利というものであった鈴木先

生の脳梗塞が心原性脳塞栓という判断は立証

の成果として当然であった

重要なことは公務の過重性について高裁が

示した教師の労働の質的量的過重性を正面

から素直に認めた認定の手法である直前の

公務の過重性を教師の公務の特性を踏まえ

て具体的な陳述書等に基づいて公務時間を

認定するという画期的なものであった一審

から提出していた同僚保護者クラスの子

ども達等関係者の供述を丁寧に拾い上げた

うえで鈴木均先生の死亡直前の公務が多岐

にわたりストレスの強いものであり過重な

ものであったこと持ち帰り残業時間につい

ても鈴木和子さんの陳述書や証言を丁寧に拾

-26一

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 28: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

報告2 故鈴木均先生の過労死認定運動の経過と到達点

堺市教職員組合 木 寺 鶴 夫

はじめに

2004年1月30日午後1時大阪高裁81号法廷

の傍聴席は満席で廊下も中へ入りきれない

人で埋まっていました開廷は1時15分です

が傍聴者が多いことを見越して午後1時に

法廷の扉が開かれましたそして1時15分

裁判官が入廷し開廷「控訴人鈴木和子被

控訴人地方公務員災害補償基金大阪府支部長

斉藤房江の判決を言い渡します主文原判

決を取り消す」との判決言い渡し

「やった」との思いで胸がいっぱいになり

ましたやっと勝ち取った判決長い時間と

労力を費やしての結果です当たり前のこと

が認められるのにこれだけの時間がかかると

求棄却」裁決書が届く基金(中央)審

査会へ再審査請求を行い10月18日に基

金審査会で口頭意見陳述を行う

同年12月23日基金中央審査会より「再

審査請求棄却」裁決書が届く

1999年3月18日大阪地方裁判所へ「公

務外処分取り消し」を求めて提訴する

同年5月15日「堺鈴木先生の過労死認

定を求める裁判の支援共闘会議」を結成

同年6月2日の第二L回裁判以後証人尋問も

含めて8回の裁判が行われ2001年2月5

日に判決が言い渡された不当な「請求

棄却」(原告敗訴)の判決であった

2001年2月大阪高等裁判所へ控訴する

同年6月14日の第1回控訴審裁判以後証

人尋問も含めて14回の裁判

2004年1月30日画期的な逆転勝利判決

を勝ち取った基金本部は上告を断念し

判決が確定した

1故鈴木均先生(元堺市立新金岡小学校教

諭享年36歳)の過労死認定闘争の経過

1990年10月8日帰宅途中で倒れ病院

に運ばれたが意識不明のまま10月12日

に死亡脳梗塞

1991年11月7日遺族の鈴木和子さんが

公務災害認定請求を行う

1993年1月22日地方公務員災害補償基

金大阪府支部が申請書を受理

1993年11月11日「故鈴木均先生の公務

災害の認定請求をすすめる会」結成

1996年1月12日基金支部の「公務外」

認定処分通知が届く1月29日基金支

部審査会へ審査請求を行う

1997年9月23日基金支部審査会で口頭

意見陳述を行う

1998年6月9日支部審査会より「審査請

2どう運動を進めてきたか

(1)職場での取り組み

『鈴木先生が倒れたそして亡くなられ

た」】これを知った同僚たちは「過労死だ」

と直感したといいます当時それだけ職場

全体が超多忙な毎日を送っていました

学校のため子ども達のためにと一生懸命仕

事をして倒れたのだから公務災害として認

定されるのは当然のことだと誰もが考えまし

た新金岡小学校の職員会議が全員一致で遺

族の和子夫人に協力することを確認し「同

僚会」(全職員が加入している親睦組織)と

して協力することとなり「追想録」作成に

-27-

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 29: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

も取り組みました同時に公務災害認定を

申請することを弁護士さんにも相談しまし

鈴木先生はどんな状況でどんな仕事をし

ていたか倒れる前の状況を把握することが

重要だと教えてもらい同僚や保護者教え

子達に鈴木先生に関わる事実を思い出してメ

モに書き留めてもらいそれを集約しました

この資料は裁判になってからも重要な役割

を果たしました

(2)堺市教職員組合の取り組み

当時堺市では1990年-92年の3年間に21

人の先生方が現職死亡するという事態が発生

していました「同じような犠牲者をこれ以

上出したくない」との願いを込めた和子夫人

からの協力要請を受けて堺教組は『健康問

題緊急要求」】を決定し堺市教委に対する要求

運動を強化する一方鈴木先生の公務災害認

定を勝ち取るための運動を強めることを確認

しました

また堺教組執行委貞長森下博の名で国連

人権委貞会にカウンターレポートを数年にわ

たって提出し≪過労死≫を国際世論に高め

る活動も始めました2002年にはジュネー

ブの国連本部へも代表を派遣し報告しまし

(3)「すすめる会」の活動

職場の同僚保護者教え子知人友人

堺教組組合員を中心に組織された「すすめる

会」は基金支部段階では意見書作成に多く

の労力を注ぎ込みましたこれは基金支部

蕃査会段階でも大阪地裁での証言資料とし

ても大いに役立ちました「すすめる会」事

務局はこの間ニュースを28号まで発行し

会員をはじめ坊の全教職員に配布して運動の

進展状況を知らせ協力要請に大きな役割を

-28-

果たしましたさらに財政面の支援も行い

ました

(4)堺鈴木先生の過労死認定を求める裁

判の支援共闘会議の結成活動

この運動を大きく広げるために大阪地裁

へ提訴した直後の1999年5月大阪労連堺

労連大教組堺教組大阪職対連大阪労

働健康安全センター等で「鈴木過労死裁判支

援共闘会議」を結成し堺教組内に事務局を

置いて活動を始めました裁判長宛の要請署

名は全教全労連等を通じて全国に協力要

請を行い地裁では4323団体58363筆高

裁では2791団体43404筆一言意見書654通

を集め提出しました

(5)弁護団と共に立証活動を展開

「すすめる会」「支援共闘会議」事務局は

原告や弁護団と共に公務の過重性を立証する

ための資料集め意見書作成証言等に取り

組みました医学的意見書作成も4人の医

師研究者に依頼し他の分野(児童福祉

教師の労働実態等)でも専門的に研究されて

いる学者に意見書作成を依願し提出しまし

(6)要請署名ビラまき裁判傍聴等への

取り組み

署名は労働組合を中心とする組織に協力

要請をして進めました全国的には日本母

親大会全労連大会や全国センター等の集会

で返信用封筒(料金受取人払い)をセットし

た署名用紙を配布しまた全教(全日本教

職員組合)各都道府県組織へ送り協力を得ま

した同様に大阪府下堺市内でも協力要請

をしました特に母親大会では堺教組女性

部の先生方が5年間続けて大きな力を発揮し

てくれました各組織のご協力に紙面を借り

てお礼を申し上げます高裁では裁判所前

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 30: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

昼休み宣伝を行い裁判傍聴も支援者で毎回

満席にしていただきました

(7)「一言意見書」の取り組み

2002年7月「一言意見書」運動を始めまし

た住所氏名だけを書く署名だけでなく

日々学校現場で奮闘している先生方に「教職

員の労働実態」を訴える短い手紙を書いても

らい裁判官に届けるものです堺教組大教

組そして全教の先生方に呼びかけました

そして最終的には600通を越す意見書を

提出しました

更にこれだけは是非読んでもらいたいと

思う36通を『ゆっくり出来るのは死ぬ暗か

な』と題する冊子にまとめ裁判官に届けま

したそして記者クラブにも届け新聞紙

上で大きく報道されましたその内の1通を

次に紹介します

3高裁判決の意義と今後の課題

今回の高裁判決は教師の公務の範囲を幅

広く認めました給食時間や授業と授業の間

の「休み時間」も教師にとっては労働時間で

あると認め「持ち帰り仕事」も労働時間と

して認めました更に成長途上にある子ど

もやその保護者との関りなどからくるストレ

スを教師の仕事の実態に即して正しく評価し

ました

鈴木先生の「公務上」災害は勝ち取ること

ができましたが教職員の現職死亡や健康破

壊は改善されていませんと言うより悪化

しているとも言えます高裁判決が認定した

「休憩時間なしの長時間過密労働」の実態を

行政当局にはっきりと追認させ労働基準

法労働安全衛生法に基づく改善を強く求め

ていかなければなりませんまた基金の民

主化も重要な課題ですこの認定闘争で培っ

た力をさらに発展させ「安心して定年まで

働き続けられる職場」をめぎして奮闘します

ゆっくり出来るのは死ぬ時かな

8時半からの勤務ですが毎日8暗までに出勤し週1回は7時出勤です子どもの登校前に不

審者も心配なのでクラスや学年全体の安全をチェックし授業の用意をし気になる児童への

電話もします

8暗から登校してくる児童を教室で迎えます休み時間も休憩などとんでもないことです

子どもの話を聞き前の授業の片付けノートの九つけそして次の時間の準備hellip

とにかく忙しいです午前中トイレに行けない日もあります放課後はほとんど毎日会議

打ち合わせがありますほぼ毎日6時半から7暗まで職場にいます

帰りに仕事を持ったまま児童宅へ家庭訪問をするときもあります学年通信学級通信は

夜家で作ります児童の家庭への電話連絡も夜自宅からすることも多いです児童宅も仕事

がありゆっくり話せるのが夜だからです土曜日曜もどちらか1日は出勤し仕事をして

います特に学校行事前には休日出勤が多いです

書き出したらキリがありません心身体ともクタクタでゆっくり出来るのは死ぬ暗か

ななんて同僚と笑い合う暗がある位です〔堺市小学校 女性教師〕

-29-

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

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護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

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こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

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政府の処置がいかにひどいものであったかを

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は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

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妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

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高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

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「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

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たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

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ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

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力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

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クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 31: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

旅客の生命を左右する航空機客室乗務月の健康問題 Part3

日航労災職業病患者全 会長 森 陽 子

視され労災申請などは論外という状況は現

在に至っても続いています

こうして経営者に都合の良い存在である契

約制客室乗務員は導入時日本航空で全客

室乗務員の2全日空8日本エアシステ

ム3という割合だったものが2003年には

各々375687という比率にまでにな

っています

またその状況とも連動して正社員の労働条

件の改善もまったくと言って良いほど進まな

くなりましたそれどころか合理化強行の流

れは益々強くなり「このままでは過労死が出

てしてしまう」という職場の不安が募るなか

1996年には日本航空の客室乗務員が滞在先の

香港でくも膜下出血で倒れるという事態まで

起こってしまいました幸い命はとりとめた

ものの彼女には右半身と言語能力に障害が残

りましたしかし「発症の原因は業務以外に

は考えられない」と労災申請を行い現在

行政裁判の係争中ですまた「科学的な調

査検討もせずに合理化を次々と強行したの

は安全配慮の欠如」と日本航空を相手の民

事裁判提訴も準備中です

合理化の嵐と契約制客室乗務員の登場

そして過労性疾病の重傷化へ

日本航空では闘う組合の弱体化を目的に

1970年台半ばに客乗職場への組合分裂攻撃が

行われそしてその後も御用組合への強化育

成策が違法行為も含めて次々と行われまし

また全日空では日本航空のような分裂政策

ではなく闘う組合を丸ごと変質させる施策が

とられその結果全日空労働組合は航空労

組連絡会ならびに客乗連絡会から脱退する

(全日空乗員組合のみ航空連に残留)に至り

ました

日本航空の御用組合や全日空労働組合の変

質をテコにまた政府の『規制緩和」1推進策

にも励まされ航空各社は合理化策を次々と

強行実施し1994年には13年間に及ぶ客乗連

傘下の組合からの反対で導入が叶わずにいた

契約制客室乗務員の導入も敢行しました

客乗連に結集した日本航空日本エアシス

テムの客室乗務員とそれを支援する航空連傘

下の仲間の粘り強い取り組みで「3年後には

正社員」の成果を勝ち取りましたが3年後

の正社員は既存の正社員との格差の大きい

「新正社員」でしかも正社員になれるまで

の3年間1年後毎の契約更新をクリアーしな

ければならないという踏み絵があり彼女た

ちは3年間物言えぬ無権理状態に置かれるこ

とになってしまいました劣悪な時給制の給

与体系はもとより航空会社によっては地上

滞在中の機内清掃もさせられる程の状況も生

まれました

病気になっても有給休暇の振り替えが当然

-30-

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 32: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

先の3つ資料は今年6月に航空経営者側の

連合組織である定期航空協会が自由民主党

国土交通部会の航空対策特別委員会等に提出

した『航空会社の経営合理化状況』と題する

資料の一部です

労災発生数もまた急増し1990年代後半に

は日本航空は再度『労働安全特別指導事業場」】

指定と行政指導を3年間も継続して受けるに

至りました

生産圭と費用の推移

1990年以降生産暮を7割以上拡大する中生産性の向上とコスト削i引こ努め経常 十用の伸びを約2割に抑制しました

(触) 生産推移

182

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02(年

(出典)JALAN人JAS

労働災害私傷病(一週間の休業)航空性中耳炎

1986 1987 1988 19舶 1990 1991 1992 1993 1甲4 199ざ 1TL

124 184 138 88 1447 労糾問)

伽) (140) (144) (123) (108) (78) ( (983)

534 弱1 549 491 492 474 450 431 5125

私傷病 (174) (101) (106) (101) (110) (79) (1000)

航空性中耳炎 団 田 440 440 413 493 448 439 朋3 田 4130

客室乗務員の編成数

1国内線

米国欧州日本等各国の航空当局が定める最低駕成数()で運航しております

最低】i成致の基準=50座席当たり1名(端数切り上げ)かつ緊急脱出時配置数を下回らない

【国内操主要機種の提供座席数と客室乗務員組成数】

呵鱒5年度から在席している契約制客室乗務Å絹勤人数718人)の発生件数が含まれていないため例年より濾少している

上の表は日本航空の客室乗務員(正社員)

の労災疾病発症状況数の推移です

航空性中耳炎は公傷扱いとされているもの

の労災や傷病発生としての報告は労基署に

一切されていないことが課題となっていま

また羽田および成田事業場での安全衛生委

員会では労災発生報告と共に毎月の客室

乗務員の腰痛発生者数や腰痛による制限乗務

者数などが定例で報告されています

弊「担当座席数」とは薯玉蛸一人あたりの担当座熊を指す 努JALANAの例

2国際繰

上記基準に加えサービス要員が搭乗していますがその数はここ数年で減少していま すまたお客様の搭乗者数に応じた編成数の縮減(サービス要員のみ)を行っている 場合もあります

【国際層客室乗務員綴成数の推移】

成田=ニューヨーク

成田=ロンドン

成田=サンバウロ

差正の成熟は書材仕様尊により1なります

客室乗務員の生産性比較

客室乗務員1人当たりの生産暮(座キロ)はこの10年間で大幅に伸びた結果欧米の 15倍以上の高い水準になっています

現状と健康と安全を守る聞いの継続

現在航空産業にも純粋持ち株会社の設立と

それに伴う事業の再編が進められています

日本航空株式会社は事業全体の収益率の向上

と株価を上げることのみを目的とする本社

とその傘下に多数の現業会社が存在すると

いう形態になります

-31-

(出典)lATA「WORLDAJFITRAN$PORT$TATISTIC$」1990年およぴ2001年デTタ (注)座キロ航空会社の生産1を示す代表的稽欄で擾供座席数times運航距書(キロ)で井出

本邦牡はJAL叫JAS

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

の良いサービスを提供することができる航空

作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 33: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

本社の意向に応えまた企業としての生き

残りをかけ傘下の各社は各々の生き残りを

かけ競い合う様に人件費の削減を柱とする

合理化の推進を計画中です

また運航乗務員を除いて闘わない労働組合

しかない全日空では既に全社員への一律

5の賃金カットを始めとした労働条件の大

幅な切り下げ提案が次々と提案実施されて

います

労働者の健康破壊は加速度的に進行し同

時に安全面の低下にも著しいものがあります

が労働者側でも連帯を強め戦列を大きく

また強いものにしつつあります先にご紹介

した日本航空客室乗務員のくも膜下出血発症

を契機に発足した日航内の闘う組合の連帯組

織ldquo日航5労組連絡会rdquoは現在日本エアシ

ステムの労働組合との共闘をldquo7労組連絡会rdquo

として進めています

また塚本洋子さんの提訴前年の1995年に

は日航労災職業病患者会が再発足し「健

康を害した仲間を職場から去らせない」「健

康問題を通して人間の尊厳と闘うことの意義

に確信を深めよう」と活動を継続していま

客室乗務員に留まらず航空労働者のいのち

と健康を守る闘いにおける課題は急増を続

ける未組織労働者の組織化や契約制客室乗務

員の権利を守り正社員化へなどなど山積

み状態ですがこれまでの闘いの教訓や闘い

で得た成果を活かしながら健康が守られ働

き甲斐の持てる職場作りと安全が守られ質

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作りとを目指して航空労働者の熱い闘いは

今日も続いています

ー32-

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

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ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

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「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

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戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

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人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

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う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 34: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

たしかしどの職場にも労基法は適応し

そこで働く人はこの法律のしくみや中味を知

って働かなければならない労基法では使用

者だけしばっているのではなく労働者の義

務も善かれているしかし労基法は雇用

就業規則賃金労働時間(残業)休憩

休日労災補償などの労働条件を守っており

それは憲法で保障されている権利(職業選択

の自由生存権勤労権)であることを規定

している従って労働者が自分の労働条件を

しっかりつかみ不当な要求は拒否し自分

の権利を守ることが大切である

この本はこうしたことになれない人や無

関心な人でも労基法の大切さが分かるための

入門書であるたとえば労働時間の章には

①いつからいつまでが労働時間か②計算のし

かたと証明③「みなし労働時間」とは④フレッ

クスタイム制で短縮されるか⑤残業命令は拒

否できるか⑥新しい時間制度とはという

QアンドAが図表入りで簡明に善かれている

また最近の職場に多い配転出向命令

セクハラ派遣労働パートアルバイト

退職会社とのトラブル労災手続きなど

にもそれぞれ書かれているこういう点につ

いては労働者が困っているときや相談に乗

っているときには参考になるだろうたとえ

ば派遣(パート)労働の章では①派遣とはど

ういう働き方か知らないうちにそうなった

ら②何を確認する必要があるか

用者の責任)③突然打ち切られたらどんな

権利が④パートバイトとどうちがう⑤パー

トのトラブル⑥課税所得や保険加入のQア

ンドAになっている退職のしかたについて

も気をつけなければならない点が沢山善かれ

ている

このようにこの本は働く者の視点からト

ー33-

介護職の健康管理

一今すぐできる予防と対策一

幸谷典男徳永力雄著(ミネルヴァ書房)2800円

介護労働者が急増を続けている同時に介

護労働の負担がふえ介護労働者の健康は長

く持たないと言われている介護労働者と

くにヘルパーは小零細企業で身分も不安定

労働条件も不良で未組織が多いこの人たち

の健康を維持するには労働者の組織化と介

護保険の改善をふくむ政策要求が望まれる

本書は介護職場の労働衛生と健康問題に関

する11人の研究者の共同執筆である

腰痛けいわんと職場対策夜勤交代制

メンタルヘルス感染症などの問題が取り扱

われているまた施設在宅の介護問題

介護機器施設と環境健康管理について述

べられている

この種の本ははじめてなので研究調査に

よる執筆よりも従来の労働衛生の立場から

の応用の論文が多く十分職場の実情とかみ

合わないかた苦しい感じもするが職場の

声を反映したものに改善すればもっと読み

やすく役に立つものになるであろう

ともかく早くから待望された本であった

身を守るための労働法

労働調査会出版局労務相談室編

労働調査会1400円

「うちの会社には憲法も労基法もない」と

いう企業がある十年ほど前まで文部省は

「学校に労基法や労安法はない」と言ってい

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 35: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

ラブル対策を中心にした労働法入門である

こまかい点は省かれているがこれらは弁護

士や相談窓口で聞く必要がある

労基法に限らず法律を活用するにはそ

の法律がどのような目的でどのような社会

情勢でどんな力関係で作られ解釈され運用

されたかを勉強する必要がある労基法は

戦前の工場法時代の経験を経て戦後のアメ

リカ占領時代に成立しその後も内外の労働

運動の前進によって何度か変わり最近は財

界主義の改悪が続いているまたパート労

働法男女差別労災の民営化などの社会問

題にも無関心ではいけない運動のとりくみ

は法のうつりかわりに何らかの形で影響して

いる従って労基法改正の運動が全体の

人のために必要である手軽に読めて参考に

なる本である

はまだ未解明のままである

この本は高知県の高校生や民医連をふく

む人々が1985年以来高知の青年2名の被

災死の発見をきっかけに第五福竜丸生存者の

証言さらに数多くの乗組員の証言沖縄と

韓国の調査と粘り強くとりくんできたことの

記録であるその調査は一人一人の聞き取り

による丹念なものであるだけにアメリカや

政府の処置がいかにひどいものであったかを

物語る被ばくその事実さえかくされた船員

は原爆医療法の対象に認定されず当然も

らうべき被曝者手帳さえもらっていない当

時重症だった人をふくめてその後の後遺症

や続発症は確実にその後も起こった

久保山愛吉さんの被ばく死もアメリカの

妨害をよけて日本の医師や研究者が必死に

治療しその原因を追求して初めて明らかに

された86年この本を書いた調査団が高知民

医連の森清一郎先生らの協力を得て行った健

康診断では18人中10人に白血球(好中球)

減少11人に低リン酸血所見が見られ(重複

7人)4人がガンの手術をしていたこれら

は内部被ばくを含めて放射能との関係を強く

疑わせるものであるさらに今年2月高知

県にたいして調査団の名ですべての被ばく者

の健康診断を要請し県から健診の実施漁

協に対する協力要請県職員のビキニ問題の

研修の検討を約束させた50年経過した今

も健康に不安のある漁船船員の対応は自治体

の責任であることを県が認めたことの意味は

大きいさらに国がビキニ被災資料の公開に

ふみきり全国的な調査を行い被災者の医

療と生活社会復帰の事業を行うべきである

この事件は過去のまた特別な問題では

なく今日にも生かされる問題でありとり

くみである私たちはこの調査団の気迫と努

-34-

もうひとつのビキニ事件

-1000隻をこえる被災船を追う一

高知県ビキニ水爆実験被災調査団編

(平和文化)1700円

去る3月1日がアメリカによるビキニ環礁の

水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が

「死の灰」を浴び久保山愛吉さんが死亡し

た事件の50年目であったしかし実際は

1000隻をこえる漁船が被災されていると考え

られているその乗組員はすべてからだを洗

う程度できちんとした健康管理をしなかっ

たその後マグロや船体の放射線汚染が問

題になったが船員の健康は(死者以外は)

放置されたこれは東海村の臨界事故でも同

じである55年1月日本政府はアメリカか

ら200万ドル(7億2千万円)の慰謝料を受け

とり「政治決着」をしたが事件とその被害

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 36: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

力からもっと学ぶつきである発行所のTEL

O3-3812-8618mXO3-3812-7105

クロム石英などの粉じんやじん肺症その

他の化学工業の職業ガンについても多くの

ページを使っているさらに食生活では

戦争による影響か肉食を菜食に変える運動が

とりあげられておりわが国の食生活「改革」

のことを思い出させるさらにタバコの撲滅

運動は最近のことしか知らない読者には

おどろかされる1929年に肺ガンと紙巻タバ

コの因果関係が報告されている職業ガンに

ついてはくわしく参考になる

ナチス時代断種された者35万人殺害さ

れた心身障害者20万人強制収容所内で殺さ

れた者1000人以上生物化学兵器の開発と人

体実験などが知られているその反面戦争

はさまぎまの科学技術を発展させたことは

どの国でも(英米の抗生物質のように)見ら

れたことであるしかし国家主導の健康保

護はわが国でもハンセン病性病結核

伝染病患者の隔離政策のようにしばしば人権

を侵害するのである

かつてナチスに傾倒した医師は戦後大半

は復帰したと言われるわが国でも同じであ

るこの本を読むとわが国で2003年施行さ

れた健康増進法「国民は健康な生活習慣の重

要性に対する関心と理解を深め生涯にわた

って自らの健康状態を自覚するとともにprime健

康の増進に努めなければなちない」という条

文(第2条)が何かその後にある国家の志

向と個人への責任転嫁に不安と疑惑を持たざ

るをえなくなる「健康は義務である」とい

別 うナチスに通じるものがないか

なおドイツの労働衛生はナチス以前か

ら有名で日本も影響を受けているがナチ

スの影響についての追及が不足しているま

たこの本は戦後のドイツの労働衛生につい

てふれていない

一35-

健康帝国ナチス

ロバートNプロテクター著(宮崎尊訳)

草思社 220q円

この本は一見あの非人道的な行為を行っ

たヒットラーが医学面では国民の健康に気を

配り大規模なタバコ反対運動をしたりア

スベスト肺を初めて労災に設定したり化学

物質や放射線や食品添加物を規制した先進

的な活動をしたということでは認めてもよ

いのでないかという本である1999年アメ

リカの学者の書いた「ナチスのガン戦争」の

訳書である

もちろん著者はナチズムを賛美している

のではないヒットラーの健康重視は強兵政

策だけでなく人種主義や優生思想が張りつ

いていた有害物質にさらされる危険なしご

とは外国人労働者「劣等民族」や「国家の

敵」に強制させることで解決しようとした

強壮な国民頑健な労働者のイ規格」から外

れた身体障害者や精神病患者病弱者や高齢

者は排除された

当時のドイツの医師の大半はナチス党員に

なったというユダヤ人と共産党貝を排除し

てヒットラーばガンの研究患者登録制と

精密検査を行った「ユダヤと共産党とガン

が最大の敵」であったガンは遺伝病でユダ

ヤ人種の「病的遺伝子」のせいとされ選

と断種を行ったまた産業面では石綿

クロムの肺ガン芳香族アミンによる膜胱ガ

ン放射線による白血病や肺ガンアスベス

ト肺ガンをとりあげこれらの女子子ども

の保護などを行ったこの本の中にはヒ素

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen

Page 37: J Æ N - 戦医研ホームwarandmedicine homewar-medicine-ethics.com/OsakaShokutairen0907-/rodotokenko/J183... · w @ ¶ E w ¶ È Ç21 ¼ Ì v76 ¼ A O ú Ú É 46 ¼ ª Q Á µ

あ とがき

3月22日石川島播磨重工業に思想差別根絶を求めて闘っててきた人間回

復訴訟原告団が東京地裁で勝利和解した原告の山口氏は闘いの最終ラ

ウンドでの多忙な中で本特集に向けて執筆してくださった

会社と原告との間で確認した覚書別紙は実際に石播で行われていた差別

と排除の事例を14項目列記して「こうしたことをやってはならない」と明

示したこの14項目の中に「合理的な理由がなく仕事や安全衛生などの

教育研修または社内公開講座などを受けさせないまたこれらの開催

や募集を知らせない」というものがある石播の思想差別は安全教育を受

けさせないという内容もあったのである

「職場労働の構造的破壊」に立ち向かうための王道(royalroad)はない

本誌特集が闘って明日を切り開く力になることを願っている

ー J

労働と健康 No183(隔月刊) (会員に限り配布)

2004年5月1日発行 発行人 大阪労災職業病対策連絡会 530-0034

住 所 大阪市北区錦町2-2 国労会館内 TELFAX O6-6882-2084 郵便振替口座 00980-2-69015

加入者名 大阪労災職業病対策連絡会

インターネットアドレス httpwwweonetnejprsyokutairen