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J-STAGE 20年間の歩みとこれから 2020年2月13日 JST情報基盤事業部 小賀坂康志 J-STAGE20周年記念シンポジウム「学術コミュニケーションの展望」

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J-STAGE 20年間の歩みとこれから

2020年2月13日

JST情報基盤事業部 小賀坂康志

J-STAGE20周年記念シンポジウム「学術コミュニケーションの展望」

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J-STAGEの背景・来歴

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J-STAGE概要~背景

• インターネットの普及に伴い、世界的に学術ジャーナルが電子ジャーナルに移行(1996年頃~)

– 欧米主要出版者を中心に急速に電子化が進行(英国・米国の学会や商業出版社を中心に2,500誌以上とも)

– 日本においては6誌程度の電子ジャーナルが学協会によって運営

(以上、吉田、時実、尾身(1999)、情報管理、Vol.42、No.8、p.682-693)

• 世界的な潮流に遅れることなく日本の学術ジャーナルの電子化を促進するためには、電子ジャーナル作成とインターネット流通を支援するシステムが必要と認識

• 1999年10月、「科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE; JapanScience and Technology Information Aggregator, Electronic)」を運用開始

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J-STAGE概要~機能概要

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学術電子ジャーナルプラットフォーム

発行機関 閲覧者

・発行機関自身で記事を登載

・著作権は発行機関または著者に帰属

・記事の登載に関する意思決定は発行機関による

(例)・記事の公開可否・公開時期(早期公開、エンバーゴ)・フリー公開 or 認証付き・バックナンバー

登載機能公開画面閲覧者機能

・登載記事の閲覧

・閲覧者機能の活用

検索機能

My J-STAGE

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J-STAGE概要~初期の成長

• 学協会のご協力により、順調に参加学会数・資料数が増加

• 当初英文誌が大勢であったところ、和文誌・和英混合誌も増加

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(出典:和田、時実、田口(2007)、情報管理、Vol.50, No.1, p.20-31)

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J-STAGEに求められる機能・役割

• J-STAGE事業方針検討有識者委員会(2013年)

– 求められる機能・サービスの充実、データ品質の維持・向上

– 世界標準に見合う機能・サービスを着実に実装

• 文部科学省 ジャーナル問題に関する検討会(2014年)

– 国際標準での論文流通のための機能強化とともに、プラットフォームとしての国際的な存在感を増すことを検討すべき

– 日本のハイレベルな論文を紹介するためのレビュー誌をJ-STAGEから発信すること等により、掲載論文の利活用の促進を期待

• 文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会学術情報委員会(2015-2016年)

– (国が行うべき支援)J-STAGEについて、レビュー誌の構築や利便性の高いインターフェースの構築など、その高度化を支援する

– (JSTが行うべき取組)我が国の公的支援による出版プラットフォームであるJ-STAGEについて、レビュー誌の発信などを通じて国際的な存在感の向上を図る

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J-STAGE開発の経緯

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2012年 J-STAGE3Journal@rchiveサイトとの統合、デザイン・ユーザーインターフェースの刷新、データ形式を国際標準であるXML方式へ移行、購読・販売管理機能の化などの改革を実施

2015年11月 登載対象コンテンツ拡大・Web登載機能追加2016年 NII-ELS登載誌のJ-STAGE利用が開始

評価版の開発(公開インターフェース改善)

2017年11月 サイトリニューアル

1999年 J-STAGEジャーナルの電子化による情報の発信と流通の迅速化を目的とした

プラットフォームとしてサービスを開始

2003年 J-STAGE2横断検索機能、My J-STAGE機能、早期公開、全文HTML公開などの機能を追加

2005年~2011年学協会誌を創刊号まで遡って電子化し、169万論文を公開

主に査読付き論文誌を中心に登載

登載対象コンテンツを拡大

日本の科学技術刊行物の電子化と流通促進

国立情報学研究所電子図書館事業(NII-ELS)の終了

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現在のJ-STAGE

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登載誌の状況

8

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

登載誌数の推移

登載誌数:3,008誌記事数:4,977,988件利用団体数:1,653団体

(2020年1月21日時点)1005

1051

1098

1116

1223

789

0 1000

人文・社会科学系

学際科学系

工学系

医学・保健衛生系

ライフ系

基礎科学系

分野別誌数2020年1月7日3,000誌到達!

和文誌

39%英和混在誌

42%

英文誌

17%

その他 2%

登載誌の使用言語種別

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記事閲覧の状況

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フリーアクセス 95%

認証付き 5%

0

50

100

150

200

250

300

350(百万件)

国内ダウンロード数

海外ダウンロード数

登載記事のフリーアクセス率

記事ダウンロード数の推移国別アクセス割合

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日本のジャーナルの電子化

• 日本のジャーナルの電子化率は順調に上昇

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(2008年)JST国内収集誌の電子化状況調査報告 https://doi.org/10.1241/johokanri.52.95

(2012年)JST国内収集誌の電子化状況調査報告(2012) https://doi.org/10.1241/johokanri.56.93

資料種別の電子化状況(2008年、2012年及び2018年)

(2018年)JST情報企画部調査

47%(2008年)

59%(2012年)

69%(2018年)

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ジャーナルを取り巻く環境:増加する誌数・論文数

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出典Rob Johnson, Anthony Watkinson, Michael Mabe.”The STM Report”,Fifth edition, October 2018https://www.stm-assoc.org/2018_10_04_STM_Report_2018.pdf

世界の査読付き・英文ジャーナル数の増加。2013年時点で30,000誌、増加率は5~6%。

ジャーナル数(左軸)

年毎の増加率(右軸)

世界の論文数の増加

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ジャーナルを取り巻く環境:大手出版社による寡占

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Fig 1. Percentage of Natural and Medical Sciences (left panel) and Social Sciences and Humanities (right panel) papers published by the top 5 publishers, 1973–2013.

出典Larivière V, Haustein S, Mongeon P (2015) The Oligopoly of Academic Publishers in the Digital Era. PLOS ONE 10(6): e0127502. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0127502http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0127502

NMS分野では論文の大部分が商業出版社5社が刊行するジャーナルにより出版されている

Top5出版社における刊行数増加の理由1) 新規ジャーナルの創刊2) 既存ジャーナルの獲得

1970 1980 1990 2000 2010 2020 1970 1980 1990 2000 2010 2020

Top 5 publishers (as of 2013) (private firm , scientific society)・Natural and Medical Sciences(NMS)

Reed-Elsevier, Wiley-Blackwell, Springer, the American Chemical Society and Taylor & Francis

・Social Sciences and Humanities(SSH)Reed-Elsevier, Wiley-Blackwell, Springer, Taylor & Francis and Sage Publications

“Top-5 publishers”

→ 2000年ごろを境に寡占化が加速50%のジャーナルが大出版社から刊行

1970 1980 1990 2000 2010 2020 1970 1980 1990 2000 2010 2020

1970 1980 1990 2000 2010 2020 1970 1980 1990 2000 2010 2020

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ジャーナルを取り巻く環境:オープンアクセス動向

• オープンアクセス

– ジャーナル購読費高騰問題に対する解決方法

– 公的資金による研究成果の公開促進

• 各国政府・機関がオープンアクセス施策を推進

– 論文のオープンアクセス化を推奨・義務化

• オープンアクセス誌の台頭

– Scopus登載誌に占めるOA誌の割合:12.4%(2012年)→15.2%(2016年)*

• 「ハゲタカジャーナル(Predatory Journal)」の登場

– 粗悪学術誌、九大が対策 学内で投稿自粛指導(2018年9月3日 毎日新聞)

– 京都大学図書館機構、粗悪学術誌「ハゲタカジャーナル」に関する注意喚起について(2019年1月17日 京都大学図書館機構HP)

• オープンアクセス誌の質の保証が求められるようになる

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*出典 “Monitoring the Transition to Open Access”, Universities UK, December 2017

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次の10年期に向けて

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J-STAGE中長期戦略(2019年3月)

• 「電子化プラットフォーム」から「国際発信力支援事業」へと変遷

• 環境の変化を踏まえてあり方・事業方針を再検討(2017~2018)

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「我が国のジャーナル振興に向けたJ-STAGE中長期戦略」(2019年3月 J-STAGEアドバイザリー委員会(委員長:土屋俊 NIAD特任教授))

【 事業推進の基本姿勢 】

基本姿勢1 電子ジャーナルプラットフォーム機能の維持及び新たな要請への対応

基本姿勢2 「我が国のジャーナルの強化」にかかる学協会との連携の深化及び共創

基本姿勢3 システム開発やサービス提供の手段の最適化によるJ-STAGEサービスの品質向上

1)我が国の電子ジャーナルの基本的機能の開発及び維持・世界標準への準拠 / コンテンツの保全 / セキュリティの強化

2)目的や状況に応じたジャーナルの強化・学協会との連携を深化する仕組みづくり / 目的や状況に特化した機能・サービスの提供

3)新たな時代の要請への対応・J-STAGEがカバーする研究ワークフロー及びコンテンツの拡大・研究成果の利用促進に資する取り組み

施策の展開方向及び 取組内容

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最近の主な取組

① J-STAGE検索閲覧インターフェースの改善(2017年)

② ジャーナルコンサルテーションの提供(2017年~)

③ 論文根拠データの公開プラットフォームの提供(J-STAGE Data)(開発中)

④ 機械可読化(全文XML化)推進のための支援ツールの提供(開発中)

⑤ 学協会によるマーケティング活動を支援する機能の提供(開発予定)

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②ジャーナルコンサルテーション

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目的:JST及びJSTが委託する海外のコンサルティング会社により、J-STAGE登載誌の質向上を目指す利

用機関に対して、個別事情を踏まえたコンサルティング(診断、助言等)を行い、ジャーナルの質向上に向

けた課題解決の自立的な取り組みを促す。

コンサルティング会社

対象誌(学協会)

JST

②応募

⑥成果報告③採択

①契約

④情報、要望

⑤コンサルティング

ファシリ

テーション ⑦フォロー

アップ

経営戦略に関する支援(例)

• 対象誌の現状分析• APC(論文処理費用)の導入試算• 編集委員会の国際化に関する助言ブランディング支援(例)

• 論文投稿規程等の整備、改善• CCライセンス導入への助言• DOAJ等のデータベース収載に向けた助言

• 投稿数の増加• 閲覧数・引用数の増加• 編集体制の強化• Webページの改善• マーケティング• オープンアクセス対応

ジャーナルの課題(例) コンサルティングテーマ(個別)

• コンサルティング実施:11誌• OA誌へ移行:3誌• OA・ODジャーナル新規創刊:1誌(2019年)• OAジャーナル新規創刊(予定):1誌(2020年)• DOAJ申請予定:4誌• PMC申請中:1誌

• コンサル結果をJSTで蓄積、セミナー等で学協会へ幅広く情報提供(セミナーにて取組紹介:年1回)

• JSTによるジャーナル診断実施:16誌• JSTによるコンサルティング実施:2誌• DOAJ収載1誌、申請予定1誌

実施策及び成果 波及効果

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ジャーナルコンサルテーション~支援実績

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• 2017年度(2誌)– Biological and Pharmaceutical Bulletin (日本薬学会)

– Food Science and Technology Research (日本食品科学工学会)

• 2018年度(4誌)– Biological and Pharmaceutical Bulletin (日本薬学会)

– Journal of Water and Environment Technology (日本水環境学会)

– Progress in Rehabilitation Medicine (日本リハビリテーション医学会)

– Journal of Proteome Data and Methods (日本プロテオーム学会)

• 2019年度(5誌)– Advanced Biomedical Engineering (日本生体医工学会)

– International Journal of Automotive Engineering (自動車技術会)

– Journal of Agricultural Meteorology (日本農業気象学会)

– Environmental Monitoring and Contaminants Research(日本環境化学会)

– Journal of Proteome Data and Methods (日本プロテオーム学会)

– ミニセミナーを通じたジャーナル診断(英文11誌、和文5誌)

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Journal of Proteome Data and Methods創刊 (日本プロテオーム学会)

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③論文根拠データの公開プラットフォームの提供

• 研究成果の利活用及び研究結果の検証可能性の担保の観点から、研究成果論文の根拠となるデータ(いわゆる「エビデンスデータ」)の公開の必要性が唱えられている。

• エビデンスデータの公開は、研究資金配分機関のポリシーにおける「推奨」「義務化」もさることながら、ジャーナル(学術論文誌)においても「推奨」「義務化」が進んでおり、これも推進力の一つとなっている。

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論文エビデンスデータの公開に関するジャーナル方針

• 学術雑誌によるデータ共有ポリシーの分野間比較と特徴分析(左:池内&逸村(2016)、右:池内他(2019))

• 図は、22分野各10誌について、リポジトリでの公開に関する方針の強弱の調査結果

• 分野に依存するものの2014年時点で概ね半数程度が公開を「必須」としている。

• 公開方針の掲載率及び要求の度合いは、約5年で大きく増加した。

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暖色:必須・推奨

寒色:受諾・なし

2014年時点 2019年時点

(出典:池内・逸村, 日本図書館情報学会誌, vol.62, no.1, p.20 (2016)に基づき著者が作成) (出典:池内(2019)https://japanlinkcenter.org/rduf/doc/joss2019_rdc_03.pdf)

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J-STAGE Data:登載誌向けデータリポジトリ

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記事データ(論文)

記事関連データ 論文とセットで投稿し

学協会が登載

論文投稿時に著者が直接登載

学協会• 論文受理• 査読• 編集• 登載

目的:論文に紐付くデータ(エビデンスデータ等)を公開することで、論文の再現性や信頼性を向上させよう

という研究者の取り組みを支援。同時に、世界的なオープンサイエンス(OA・オープンデータ)の潮流に対

応するプラットフォームとしての活用も目指す。

DOI付与・

関連付け

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④機械全文XML化推進のための支援ツールの提供

• 学術論文は、科学研究の方法論に沿って作成され、査読過程を経て一定の質が担保された、質の高い科学技術情報源と言える。

• いわゆる「データ駆動型科学」は、研究データだけでなく論文全文情報を資源とした取組もその範疇に含まれる。

• 近年の情報処理技術や機械学習技術の進展により、こうした研究の実現性は高まったといえる。ただし、依然として下記の課題が存在する。

– 論文の多くが無料でアクセスできないこと

– 論文の機械可読化が未だ進展途上にあること

• ただし、アクセスの無料化は近年のオープンアクセスの促進により次第に進みつつある。また機械可読化も、大手出版社等では大きく進展している。

• またこれら出版社の中には、TDM(テキストデータマイニング)向けに全文情報提供サービスを行う者も出てきている。

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機械可読化、XML化の促進

• J-STAGE学術論文のデータ活用に向けた現状と課題

– データ活用の資源となる学術論文の全文を登載(3,008誌、約497万記事)

– 書誌(抄録含む)データまでは100%機械可読化(XML形式)済み

– しかしながら特にTDMで期待される全文データの機械可読化は不十分

(誌数ベースでXML形式は10%未満、PDF形式のみが90%以上)

• 機械可読化推進の取組

– TDM等での活用に向けて全文データのXML化支援ツールの提供を検討

– 来年度リリースに向けて開発中

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論文原稿(Word,TeX等)

全文(PDF形式)

全文(XML形式)

学協会 J-STAGE既 存 の PDF 作 成

ツール等で変換し、J-STAGEに登載

現状では外部委託しないと全文のXML化は困難であり、XML形式での登載は少ない

全文XML化を促進する支援ツールを提供(予定)

機械可読でなくTDM等での活用には不向き

X

機械可読でありTDM等での活用が容易

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日本の学術ジャーナルを振興するということ

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”On the Interaction of Elementary Particles. I“H. Yukawa, Proc. Physico-Mathematical Society of Japan, 17, 48-57 (1935)

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ご清聴ありがとうございました