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IPCC/WG1/AR5 「自然科学的根拠」について (一般財団法人)リモート・センシング技術センターRESTEC) ソリューション事業部 特任首席研究員 JCCCA講演(2013.11.7) 1

JCCCA講演(2013.11.7) IPCC/WG1/AR5 · 次評価報告書 (TAR) : 881. ページ “過去50年間に観測された温暖化の大部分は、温室効果ガス濃度の増加によるものであった可

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IPCC/WG1/AR5 「自然科学的根拠」について

(一般財団法人)リモート・センシング技術センター(RESTEC) ソリューション事業部 特任首席研究員

近 藤 洋 輝

JCCCA講演(2013.11.7)

1

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1.はじめに

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1750年:280 ppm 2011年:390.9 ppm (+40%)

大気中の二酸化炭素濃度の経年変化

(気象庁資料)

Mauna Loa観測値: 400.03 ppm (3013年5月9日:43%増)

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気候変動に関する政府間パネル(IPCC、1988年設立) による科学的知見の主要メッセージ

○1990年:第1次評価報告書(FAR):410ページ “人為起源の温室効果ガスは気候変化を生じさせるおそれがある ” “安定化のためには、温室効果ガスの大気中濃度を一定に抑える必要がある。”

○1995年:第2次評価報告書(SAR):572ページ “識別可能な(discernible)人為的影響が全球の気候に現れている”

○2001年:第3次評価報告書(TAR):881ページ “過去50年間に観測された温暖化の大部分は、温室効果ガス濃度の増加によるものであった可

能性が高い(66~90%の確からしさ)”

○2007年:第4次評価報告書(AR4):996ページ “気候システムの温暖化には疑う余地がない(unequivocal)”

“20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほと んどは、人為起源の温室効果ガスの観測された増加によってもたらされた可能性が非常

に高い(90%以上の確からしさ)” “Best estimate” や “likely range”が示されるようになった(モデル開発の進展)。

○2013~14年:第5次評価報告書(AR5):約2000ページ

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2. IPCC/AR5の概観

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技術支援室

第5次評価報告書(2013~14)へ向けたIPCC体制

国連環境計画 (UNEP)

IPCC総会 議長 副議長(3)

第3作業部会 (緩和政策) 共同議長(3) 副議長(6)

インベントリー・ タスクフォース

共同議長(2) メンバー(12)

第2作業部会 (影響・適応・脆弱性)

共同議長(2) 副議長(6)

技術支援室 (スイス)

技術支援室 (米国)

技術支援室 (ドイツ)

技術支援室 (日本)

第1作業部会 (自然科学的根拠)

共同議長(2) 副議長(6)

国連環境計画 (UNEP)

IPCC総会 議長 副議長(3)

世界気象機関 (WMO)

IPCCビューロー (メンバー:31名)

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IPCC第5次評価報告書(AR5)

*SPM: 政策決定者向け要約、Longer Part: 詳細部分

第Ⅰ作業部会 (自然科学的根拠)

SPM 本文

第Ⅱ作業部会 (影響・適応・脆弱性)

SPM 本文

第Ⅲ作業部会 (緩和策)

SPM 本文

統合報告書 SPM

Longer Part

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AR5のWG1報告書 本文各章(赤字:新たに追加された章) AR4:全11章 → AR5:全14章

• 第1章 序

• 第2章 観測:大気圏と地球表面

• 第3章 観測:海洋

• 第4章 観測:雪氷圏

• 第5章 古気候のアーカイブ(記録・資料)からの情報

• 第6章 炭素およびその他の生物地球化学的循環

• 第7章 雲とエアロゾル

• 第8章 人為起源と自然起源の放射強制力

• 第9章 気候モデルの評価

• 第10章 気候変動の検出と原因特定:全球規模から地域規模まで

• 第11章 近未来気候変動:予測と予測可能性

• 第12章 長期気候変動:予測、既定および不可逆性

• 第13章 海面水位の変化

• 第14章 気候の現象およびその将来の地域規模気候変動との関連性 10

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WG1/AR5 スケジュール Feb. 2007: IPCC/WG1/AR4 完成 Sept. 2008: AR5に向けた新たなIPCC体制選出 July 2009: Scoping meeting (Drafting AR5 outline) Nov. ------: 各WG 会合およびIPCC 総会→ AR5 の章立てなど骨子を確定

モデルグループによる主要な予測実験実施 April 2010: AR5 執筆陣(CLAs、LAs、REs )選出 Nov. ------: WG1/LAs 第1回会合 Informal Review 研究結果の学術誌への投稿および受諾 July 2011: WG1/LAs 第2回会合 First Order Draft (FOD) Expert Review

April ------: WG1/LAs 第3回会合 Second Order Draft (SOD) Government/Expert Review

Jan. 2013: WG1/Las第4回会合 Final Draft (FD) Government Review

Sep. 2013: WG1全体会合 → WG1/AR 5 完成 Mar. and Apr.: WG2, WG3によるAR5それぞれ完成 Oct. 2014: IPCC 総会→ AR5/SYR完成:AR5全体の完成 11

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[AR4]: • Virtually certain > 99% probability of occurrence, • Extremely likely >95%; • Very likely > 90%; (可能性が非常に高い) • Likely > 66%; (可能性が高い) •More likely than not > 50%; • Unlikely < 33%; • Very unlikely < 10%; • Extremely unlikely < 5%; and • Exceptionally unlikely <1%. levels of confidence to express expert judgements on the correctness of the underlying science: very high confidence : at least a 9 out of 10 chance of being correct. high confidence : about an 8 out of 10 chance of being correct.

[TAR]: • virtually certain (greater than 99% chance that a result is true); • very likely (90-99% chance); (可能性が非常に高い) • likely (66-90% chance); (可能性が高い) • medium likelihood (33-66% chance); • unlikely (10-33% chance); • very unlikely (1-10% chance); and •exceptionally unlikely (less than 1% chance).

Degree of likelihood and confidence in WG1 (up to AR4)

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Degree of certainty or uncertainty in AR5/WG1

Probability of occurrence Virtually certain: 99% - 100% (ほぼ確実) Extremely likely: 95% - 100% (可能性が極めて高い) Very likely: 90% - 100% (可能性が非常に高い) Likely: 66% - 100% (可能性が高い) More likely than not: 50% - 100% (どちらかといえば) Unlikely: 0% - 33% (可能性が低い) Very unlikely: 0% - 10% (可能性が非常に低い) Extremely unlikely: 0% - 5% (可能性が極めて低い) Exceptionally unlikely: 0% - 1% (ほぼありえない)

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A. Introduction B. Observed Changes in the Climate System B.1 Atmosphere, B.2 Ocean, B.3 Cryosphere, B.4 Sea Level, B.5 Carbon and Other Biogeochemical Cycles C. Drivers of Climate Change D. Understanding the Climate System and its Recent

Changes D.1 Evaluation of Climate Models, D.2 Quantification of Climate System Responses, D.3 Detection and Attribution of Climate Change E. Future Global and Regional Climate Change E.1 Atmosphere: Temperature, E.2 Atmosphere: Water Cycle, E.3 Atmosphere: Air Quality, E.5 Cryosphere, E.6 Sea Level, E.7 Carbon and Other Biogeochemical Cycles, E.8 Climate Stabilization, Climate Change Commitment and Irreversibility

IPCC/WG1/AR5/SPM (2013) Outline

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Outline of the AR5 Synthesis Report (SYR)

* IPCC 28th Session (Budapest, Hungary, April 2008):decided issuance * AR5 Scoping meeting(Venice、July 2009)、and SYR Scoping meeting

(Liege, Belgium, August 2010) prepared Draft Scoping Document * IPCC 32th Session (Busan, R. of Korea, October 2010) finalized

Scoping Document including Outline :

Forward Introduction Topic 1 : Observed Changes and their Causes Topic 2 : Future Changes (in Short and Long-term) ⇒ Future Climate Changes, Impact, and Risks Topic 3 : Responses ⇒ Adaptation and Mitigation Measures Topic 4 : Transformations and Changes in Systems Topic 5 : Science supporting Article 2 of the UNFCCC ⇒ Box: Information relevant to Article 2 of the UNFCCC Annexes

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AR5 schedule Feb. 2007: IPCC/WG1/AR4 completed Sept. 2008: New IPCC Bureau elected for AR5 July 2009: Scoping meeting (Drafting AR5 outline) Nov. ------: Each WG plenary and IPCC Plenary→ Basic AR5 structure fixed Substantial projection experiments April 2010: AR5 Writing team(CLAs、LAs、REs ) for each WG be selected Nov. ------: First meeting of WG1/LAs Informal Review Output analysis, paper submission and acceptance July 2011: Second meeting of WG1/LAs First Order Draft (FOD) Expert Review

April ------: Third meeting of WG1/LAs Second Order Draft (SOD) Government/Expert Review

Jan. 2013: Fourth meeting of WG1/LAs Final Draft (FD) Government Review

Sep. 2013: WG1plenary → Completion of WG1/AR 5 Oct. 2014: IPCC Plenary → Completion of the whole AR5 16

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3. 観測された気候システムの変化

• 気候システムの温暖化は疑う余地がなく(Unequivocal)、1950年代以降において、多くの観測された変化は、数十年から数千年にわたって、前例がない(Unprecedented)。大気と海洋は暖まり、雪氷の量は縮小し、海面水位は上昇し、温室効果ガスは増加した。

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過去直近3回の10年間は地球表面が、1850年以来、どの10年間よりも暖かかった。

全球平均地上気温

1850‐1900年の平均から (工業化初期:工業化以前に近い) 2003‐2012年の平均まで (最近の10年) 平均的昇温:0.78 [0.72~0.85]℃ また、 1880年 から 2012年までに、 [工業化初期] [現在] 0.85 [0.65~1.06] ℃の昇温

年平均値

10年平均値

(IPCC/AR5)

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全球平均地上気温変化

地域的傾向の算定に十分なデータのある最長期間 (1901–2012)にわたり, ほとんど全ての地球の地域が、地上気温の上昇に見舞われた。

(IPCC/AR5)

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北半球の中緯度陸地平均では、 降水量は1901年から増大している (1951年 以前は中程度の確信度、以後は高い確信度).

降水量

(IPCC/AR5)

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極端現象

• 1950年頃以来、多くの極端気象・気候現象の変化が観測さ

れてきた。寒い日・寒い夜の数が減少し、暑い日・暑い夜が増加したことは全球的に非常に可能性が高い。

• 熱波の頻度は、ヨーロッパ、アジア及びオーストラリアのいずれも大部分で増加した可能性が高い。

• 陸域では、大雨現象が増加した地域のほうが減少した地域よりも多い可能性が高い。

• 北米やヨーロッパでは、大雨の頻度あるいは強度が増大した可能性が高い。その他の大陸では、大雨現象の変化に関する確信度はせいぜいで、中程度である。

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過去20年間、

北半球の春の積雪 と

北極海氷

面積が縮小し続けてきた (高い確信度)

北半球積雪面積及び 北極夏季(JAS)海氷面積

(IPCC/AR5)

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(NSIDC)

2012年9月は衛星観測史上最小

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(Median ice edge of September average for 1979 ~ 2000)

Average Sea Ice Extent in September 2012 (NSIDC)

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雪氷圏

過去20年間、グリーンランドと南極の氷床は質量が減少し、

氷河はほとんど世界中で後退し続けてきており、また、北極海氷と北半球の春の積雪は面積が縮小し続けてきた(高い確信度)。

世界中の氷河の平均減少率は、氷床の周辺部での氷河(氷床に含めて扱う)を除くと、1071~2009年に226 [91~36] Gt yr-1であった可能性が非常に高く、1993~2009年に275 [140~410] Gt yr-1であった可能が非常に高い。

グリーンランド氷床からの氷の平均減少率(マイナスの値)は、1992~2001年での34 [-6~74] Gtyr-1から、2002~2011年での215 [157~274] Gtyr-1に大幅に増大した可能性が高い。

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海洋上層(0−700 m) が1971から 2010に かけて温まったことはほぼ確実

1901~2010において, 全球平均海面水位は、0.19 [0.17 to 0.21] m上昇

(IPCC/AR5)

Ocean heat content and global average sea level

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海洋

海洋の温暖化は、気候システムに貯留されたエネルギー増加において卓越しており、1971年から2010年に蓄積されたエネルギーの90%以上を占めている(高い信頼度)。

1957~2009年に海洋は700mから2000mが温暖化した可能性が高い。 1992~2005年に関し、2000m以深での水温変化の全球的な評価は、

十分な観測値が利用可能である。 - 同じ期間に、2000m~3000mには顕著な水温変化傾向はなかった 可能性が高い。 - 同じ期間に、海洋は3000mから海底まで温暖化した可能性が高く、 南大洋で最大の温暖化が生じた可能性が高い。 大西洋子午面循環(AMOC)の変化傾向に関する観測的な証拠はない。

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海洋大コンベアベルト(熱塩循環)(IPCC/TAR)

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海面水位 19世紀半ば以降の海面水位上昇率は、それ以前の2000年間の

平均上昇率よりも大きい(高い確信度)。<高上昇率への遷移> 1901~2010年の期間において、全球平均海面水位は、0.19

[0.17~0.21] m上昇した。 最終間氷期( 12万9千年‐11万6千年前から現在まで)における全球平均海

面水位の最大値は、数千年の間、少なくとも現在より5m高かったことには非常に高い確信度があり、また現在より10mを超えなかったことには高い確信度がある。

この最終間氷期に、グリーンランド氷床がこの高い全球平均海面水位に1.4 ~4.3m寄与した可能性は非常に高く、またそのことは南極氷床からの追加的な寄与があったことになるという点には中程度の確信度がある。

この海面水位の変化は、異なる軌道外力に関連して、また数千年で平均して

現在より少なくとも2℃暖かな高緯度地上気温により生じた(高い確信度)

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炭素その他の生物地球化学的循環

大気中の二酸化炭素(CO2)、メタン、及び一酸化二窒素( N2O)の大気濃度は、少なくとも過去80万年間において前例がないレベルに増加した。

CO2、CH4、N2Oの大気中濃度は全て1750年以来、人間活動により増加してきた。2011年には、それぞれ391ppm*、1803ppb**、324ppbであり、工業化以前より、それぞれ、40%、150%、20%増加している。注) *ppm=分子数で100万分率、**:同じく10億分率

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Changes of Atmospheric Concentration of CO2 (AR5)

(IPCC/AR5)

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大気中のCO2収支(億炭素トン/年、1990年代、AR4) (符号の+は大気に、-は大気からの方向のフラックスを示す)

• 人為起源のCO2排・放出(→大気へ):+80 化石燃料等から排出: +64 土地利用変化から放出:+16 (算定に時間を要する) • 自然起源のCO2吸収(←大気から): -48 海洋の収支は吸収: -22 陸域生態系収支は吸収:-26(推定が最も困難)

その結果: 大気には、+32が残留・蓄積となった。

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大気中のCO2収支(億炭素トン/年、 2002~2011, AR5) (符号の+は大気に、-は大気からの方向のフラックスを示す)

• 人為起源のCO2排・放出(→大気へ):+92* 化石燃料等から排出: +83 (±7) 土地利用変化から放出:+ 9 (±8) (算定に時間を要する) • 自然起源のCO2吸収(←大気から): -49* 海洋の収支は吸収: -24±5 陸域生態系収支は吸収:-25±13 (推定が最も困難)

その結果: 大気には、+ 43±0.1が残留・蓄積となった。 ***********************************************

* WG1/AR5では、これらの値は表示されていないので、誤差の範囲は省略

(10億トン=1ギガ・トン=1ペタ・グラム)

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4. 気候変化の駆動要因

• 放射強制力(RF)の総合計は正であり、気候システムによるエネルギーの取り込みに帰着する。放射強制力総合計に対する最大の貢献は1750年以来のCO2の大気中濃度の増大に起因する。

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1750に比べた2005年の放射強制力 放射強制力の各要素

放射強制力 (Watt / m2)

然過

程 長期間滞留する 温室効果ガス

オゾン

成層圏の 水蒸気

地表面のアルベード

直接効果 間接効果

エアロ ゾル

飛行機雲

太陽放射

人為起源合計

ハロカーボン 成 層 圏 対 流 圏

積雪上の ブラックカーボン

土地利用

(IPCC/AR4)

+1.6 [0.6~2.4]

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(IPCC/AR5) 36

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駆動要因 (1)

1750年基準での2011における人為起源RF合計は、2.29 [1.13~3.33] Wm-2であり、1970年以来、それ以前の数十年よりも急速に増加してきた。2011年における人為起源RF合計の最良の推定値は、AR4で報告された、2005年でのそれ*よりも43%高い。これは、ほとんどの温室効

果ガス濃度の継続する増加と、正味では弱い冷却効果を示すエーロゾルによるRFの評価の改善とがあいまって生じた。注)*: +1.60 [0.6~2.4]

近未来(今後数十年間)における予測結果は、21 世紀後半に予測される

変化と類似した気候の変化の空間パターンを示すが、変化の程度はより小さい。内部変動は、気候に対し大きな影響を与え続け、それは特に近未来や地域規模で顕著であるだろう。21 世紀の半ばまでには、排出シ

ナリオによる違いが、予測される変化の大きさに顕著に表れるようになる。

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駆動要因 (2) 1750年基準での2011年における、よく混合した温室効果ガス(CO2、

CH4、N2O、及びハロカーボン類)排出によるRFは3.00 [2.22~3.78] Wm-2である。これらの3つのガスの濃度変化によるRFは2.83 [2.26~3.40] Wm-2である。

火山性の成層圏エーロゾルの強制力は、火山噴火後数年の間気候に大きな影響を与えうる。幾つかの小さな噴火により、2008~2011年には-0.11 [-0.15~-0.08]のRFを生じさせが、これは、1999~2002年の間のそれより2倍ほどの強さである。

太陽放射照度の変化によるRFは、0.05 [0.00~0.10] Wm-2である。1978年~2011年における太陽放射照度の全変化の衛星観測値によると、最近の太陽活動極小値はその前の2つの極小値よりも低かったことが示された。その結果、2008年の最近年の極小値と1986年の極小値との間のRFは、-0.04 [-0.08~0.00] Wm-2である。

38

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4. 気候システムとその最近の変動についての理解 (1)

気候システムに対する人間の影響は明らかである。それは、大気中の温室効果ガスの増加、放射強制力、観測される昇温、及び気候システムの理解によって証拠付けられる。

長期の気候モデルの再現実験によれば、全球平均地上気温の1951~2012年にわたる変化傾向が観測された変化傾向に一致することが示された(非常に高い確信度)。しかしながら、10~15年の短い期間に関する再現実験と観測の変動傾向には差が存在する。

1998~2012年にわたる地上気温上昇が、1951~2012年の期間にくらべ、減速の傾向が観測されているのは、放射強制力における減速的傾向と、海洋内熱再分配の可能性などの内部変動性による寒冷化への寄

与とのほぼ同等の程度の原因による(中程度の確信度)。 いくつかの重要な気候現象はいまやよりよくモデルで再現される。AR4

以来、複数モデルによるモンスーンやエルニーニョ・南方振動(ENSO)の再現の統計量は改善してきたことには高い確信度がある。

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4. 気候システムとその最近の変動についての理解 (2)

1979年以降の北極域の夏季海氷面積の減少傾向について、AR4時点と 比べて現在ではより多くのモデルで再現されていることについて強固な証 拠があり、およそ1/4のモデルが観測と同程度もしくはより大きな変化傾 向を示している。 極端気象・気候現象の評価は、AR4より大きく進歩した。再現された、20 世紀の後半にわたる、極端に暑い日および、寒い日・寒い夜の頻度の全 球的変化傾向は、観測と全般的に一致している。 多くのモデルが1961年から2005年までに観測された海洋表層貯熱量 (0~700m)の変化を再現しており(高い確信度)、マルチモデル平均の時 系列は、現在利用可能な観測の期間の大部分において、観測からの推 定幅の範囲に収まっている。 炭素循環を含む気候モデル(地球システムモデル)は、熱帯では放出し、 中・高緯度で吸収する、海洋―大気間のCO2フラックスの全球的分布を 再現する。

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気候システムの応答の定量化 気温変化、気候フィードバック、および地球のエネルギー収

支における変化に関し、観測やモデルによる総合的な研究を行うことにより、過去及び将来の外力への応答としての全球温暖化の大きさに対する確信がもたらされる。

平衡気候感度は、数世紀の時間スケールのおける一定の放射強制力に対する気候システムの応答を定量化したものである。この気候感度は、大気中のCO2濃度を倍増することによって生じる平衡状態までの全球平均地上気温の変化として定義される。平衡気候感度は、1.5~4.5℃の範囲である可能性が高く、1℃未満である可能性は極端に低く(高い確信度)、また6℃より高い可能性は非常に高い(中程度の確信度)。

過渡的気候応答(TCR=Transient Climate Response)は、十年規模から世紀規模で増加しつつある放射強制力に対する気候システムの応答を定量化する。CO2の大気中濃度が年率1%増のシナリオで、倍増したときにおける、全球平均地上気温の変化として定義される。TCRは、1.0~2.5℃(高い確信度)の範囲にある可能性が高く、3℃より大きい可能性は極端に低い。

関連する量として、累積炭素排出量に対する過渡的気候応答(TCRE=Transient Climate Response to cumulative carbon Emission)がある。それは、累積炭素排出量に対する、気候システムの過渡的な応答を定量化する。TCREは、大気に排出・蓄積された1000Gtあたりのへ全球平均地上気温変化として定義される。TCREは、1000GtCあたり0.8~2.5℃の範囲である可能性が高く、気温のピークを打つ時点の約2000GtCに達するまでの累積炭素排出量に適用される。 41

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20世紀半ば以降に観

測された世界平均気温の上昇は、人為起源の温室効果ガスの増加による可能性が非常に高い(very likely)

原因特定

人為起源+自然起源

自然起源

(14 のモデルによる 58の実験から., IPCC/AR4)

(5つのモデルによる 19の実験から, IPCC/AR4)

観測結果

差 (

℃)

(℃

(WG1/AR4)

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気候変化の検出と原因特定

人間の影響は、大気及び海洋の温暖化、全球的な水循環の変化、雪氷の減少、全球平均の海面水位上昇、及びいくつかの気候極端現象において検出される。

人間の影響に関するこの証拠はAR4以来進展している。人間の影響は20世紀半ば以来に観測された温暖化の主要な原因であることは極めて可能性が高い。

・・・気温極端現象に対する人間活動の影響に関する証拠がさらに強まってきた。人間活動の影響が20世紀半ば以降の日別の極端な気温の頻度や程度に寄与してきた可能性は非常に高く、人間の影響が、いくつかの地区で生じる熱波の生じる可能性を倍以上にした可能性が高い。

1979年以降の北極域の海氷の減少に人為的影響が寄与していた可能性が非常に高い。

南極海の海氷面積にわずかな増加が観測されていることの科学的理解については確信度が低い。これは、変化の原因の科学的説明が不完全で、また互いに競合していることや、南極域の内部変動の大きさの見積もりの確信度が低いことによる。

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1951~2010年の全球平均地上気温の観測された上昇の半分以上が、温室効果ガ

ス濃度の人為起源の増加とその他の人為起源の外力とがあいまって引き起こされたことは極めて可能性が高い。

人為起源の外力が、1970年代以来観測された、全球の海洋表層の熱容量(0~700m) の増加にかなり寄与したことは非常に可能性が高い。

全太陽放射照度の衛星による直接測定結果に基づくと、1986~2008年の期間の全

球平均地上気温の上昇に、全太陽放射照度の変化が寄与していなかったことは確信度が高い。11年周期の太陽の変動がいくつかの地域における十年規模の気候のゆらぎに影響していることは確信度が中程度である。

宇宙線と雲量の変化の間に、強固な関連性は何も見出されていない。

(IPCC/AR5)

観測された ・再現された全球平均気候変化

(IPCC/AR5)

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(IPCC/AR5) 45

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将来の全球的及び地域的な気候変化

温室効果ガスの継続的な排出は、更なる温暖化と気候シス テム全ての要素の変化をもたらすだろう。気候変化を抑制するには、温室効果ガス排出量の大幅かつ持続的な削減が必要であろう。

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SRES*排出シナリオ 排出シナリオに関するIPCC特別報告書(SRES, 2000)

A1FI:化石エネルギー源を重視

A1B:各エネルギー源のバランスを重視 A1T: 非化石エネルギー源を重視(新エネル ギーの大幅な技術革新)

A2:「多元化社会シナリオ」 地域独自性、世界人口増加、経済成長・技術変化のばらつき、緩やかな技術革新など

A1: 「高成長型社会シナリオ」

B1: 「持続的発展型社会シナリオ」

経済・社会及び環境問題で世界的対策重視、クリーン技術の導入など

B2: 「地域共存型社会シナリオ」 経済・社会及び環境問題では地域的対策重視、

穏やかだが広範囲な技術革新

その他: コミットメント: 今後濃度一定と仮定

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SRESシナリオの範囲では、今後20年間に、10年あたり約0.2℃の割合で気温が上昇することが予測される。

世界平均地上気温変化(再現と予測)

(IPCC/WG1/AR4)

(AR4)

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AR5に向けた、気候(結合)モデル間の気候変動 の再現・予測の比較実験(CMIP5)

AR5では、IPCCの「触媒的役割」のもとに、国際的研究 枠組み: WCRP/WGCMの主体的な研究協力活動として 本実験を実施 濃度のシナリオである:4つのRCP*シナリオ、 および、20世紀気候再現などについてモデル間の 結果を比較(*:RCP=代表的濃度パスウェイ)

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予測実験で用いるRCPシナリオ(2100年まで)

濃度(放射強制力に換算して表示) CO2換算排出量

(IPCC)

“高位参照 シナリオ”

“高位安定化 シナリオ“

“中位安定化 シナリオ”

“低位安定化 シナリオ”

(AR5)

50

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2300年までのRCPシナリオ

(IPCC/AR5)

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1986~2005年に対する、2016~2035年(近未来)での全球平均地上気温の変化は、0.3~0.7℃の間である可能性が高い(中程度の確信度)。

1986~2005年に対する、2081~2100年の全球平均地上気温の上昇量は、濃度で駆動されるCMIP5モデルシミュレーションから得られる幅によれば:

0.3~1.7℃(RCP2.6) 、~2.6℃(RCP4.51.1) 、 1.4~3.1℃ (RCP6.0) 、2.6~4.8℃ (RCP8.5)の範囲に入る可能性が高いと予測される。

北極域は全球平均より速く温暖化し、陸上における平均的な温暖化は海上よりも大きくなるだろう(非常に高い確信度)

1950 2000 2050 2100

(モデルの初期ゼロ点:1995年前後の平均値)

(IPCC/AR5)

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大気:気温 (1)

1850~1900を基準とした21世紀末までの*全球地上気温変化は、RCP2.6以外の全てのRCPシナリオで1.5℃を超える可能性が高い。

RCP6.0 および RCP8.5では2℃を超える可能性が高く、RCP4.5では、どちらかといえば(more likely than not) 2℃を超える。温暖化は、RCP2.6以外の全てのシナリオにおいて、2100年の先でも継続する。温暖化は、年々~十年規模の変動を示し続け、地域的に一様ではないだろう。

************************************ 注): 1750年(工業化以前の標準年)の気温 は1850~1900(測器観測データ存在時

で工業化がわずか)の平均で近似される。 それから1986~2005 (次のスライドで示されるモデル予測のスタート時)までの気温上昇量は:

ΔT (1850~1900 から1986~2005まで) = 0.61[0.55~0.67]℃ その内訳は: ΔT (1850~1900 から1980~1999 <1990年前後>まで) ≒ 0.5℃ ΔT (1980~1999 から1986~2005 < 1995年前後>まで)≒ 0.11℃

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大気:気温 (2)

全球平均気温が上昇するにつれて、ほとんどの陸域で日々及び季節の時間 スケールで極端な高温がより頻繁になり、極端な低温が減少することはほぼ 確実である。 熱波の頻度が増加し、より長く続く可能性が非常に高い。たまに起こる冬季 の極端な低温は引き続き発生するだろう。 たまに起こる冬季の極端な低温は引き続き発生するだろう

(IPCC/AR5)

55

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大気:水循環 21世紀にわたる温暖化に応答して、全球的水循環における変化は一様では ない。湿潤域と乾燥域、また雨季と乾季の間の降水の対照は、地域的な例外 はあるかもしれないが、増大するだろう。 全球平均地上気温が上昇するにつれて、中緯度の陸域のほとんどと湿潤な熱帯域に おいて、今世紀末までに極端な降水がより強く、より頻繁となる可能性が非常に高い。 全球的には、モンスーンシステムに含まれる領域は21世紀を通じて拡大する可能性が 高い。モンスーンの風は弱くなる可能性が高い。一方、モンスーンの降水は大気中の 水蒸気量の増加により強まる可能性が高い。モンスーン期の開始期は早くなるか、ま たはあまり変化しない可能性が高い。モンスーン期の終了期は遅くなり、結果としてモ ンスーン期は多くの地域で長期化する可能性が高い。 ・・・・、ENSOに関係した降水量の変動度は強まる可能性が高い。

(IPCC/AR5)

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海洋 全球的に海洋は21世紀において温暖化が続く。熱は表面か

ら深海にまで浸透し、海洋循環に影響する。 最大の海洋の温暖化は熱帯域と北半球亜熱帯域の海面において予測さ

れている。より深い深度においては、昇温は南大洋で最も大きいだろう(高い確信度)。

21世紀末までの海洋表層(海面から水深100mまで)における水温上昇の最良の推定値は約0.6℃(RCP2.6シナリオ)から約2.0℃(RCP8.5シナリオ)、水深約1,000mにおいては約0.3℃(RCP2.6シナリオ)から約0.6℃(RCP8.5シナリオ)である。

大西洋子午面循環(AMOC)は、21世紀を通じて弱まる可能性が非常に高い。CMIP5による弱化の最良推定値と範囲は、RCP2.6シナリオで11%(1~24%)、RCP8.5シナリオで34%(12~54%)である。

・・・AMOCが21世紀中に突然に変化または停止してしまう可能性は非常に低い。

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雪氷圏

21世紀を通して、全球平均地上気温の上昇の伴い、北極海氷は面積が縮小し、厚さが薄くなり続け、北半球の春の積雪面積は減少するだろう。全球の氷河の体積が更に縮小することは非常に可能性が高い。

マルチモデルの平均から、21 世紀の終わりまでに北極域の海氷面積は通年で減少すると予測されている。9 月においてはRCP2.6 シナリオの43%からRCP8.5 シナリオの94%、2 月においてはRCP2.6 シナリオの8%からRCP8.5 シナリオの34%の間である(中程度の確信度)

その気候学的な平均状態と1979~2012年の傾向を現実にかなり近く再現したモデルによる評価ではRCP8.5シナリオにおいて今世紀半ばまでに9月の北極域で海氷がほぼ無くなる可能性が高い(中程度の確信度)。

北半球の春季の積雪面積は、モデル平均では21世紀末までにRCP2.6シナリオで7%、RCP8.5シナリオで25%減少すると予測されている(中程度の確信度)

北半球9月の海氷面積

(IPCC/AR5)

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海面水位

(IPCC/AR5) 59

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海面水位

全球平均の海面水位は21世紀を通して上昇し続けるだろう。海洋温暖化の増大や、氷河・氷床からの質量減少により、全てのRCPシナリオの下で、海面水位の上昇率は1971~2010年に観測された値を超えることは非常に可能性が高い。

1986~2005年を基準とした、2081~2100年の期間の全球平均海面水位の上昇はRCP2.6シナリオで0.26~0.55m、RCP4.5シナリオで0.32~0.63m、RCP6.0シナリオで0.33~0.63m、RCP8.5シナリオで0.45~0.82mの範囲となる可能性が高い(中程度の確信度)。

RCP8.5シナリオにおいて、全球平均海面水位の2100年における上昇幅は0.52~0.98mの間であり、2081~2100年の期間の上昇率は1年当たり8~16mmである(中程度の確信度)。

RCPシナリオに基づく予測において、21世紀の全球平均海面水位上昇の30~55%を熱膨張が占め、氷河による上昇は15~35%である。グリーンランド氷床の表面融解

の増加が降雪量の増加を上回るようになり、その結果、グリーンランド氷床表層における質量収支の変化は将来の海面水位に対して正の寄与となるだろう(高い確信度)。

南極氷床の表面融解は少ないままである一方、南極氷床上での降雪量の増加が考えられ(中程度の確信度)、南極氷床表層の質量収支の変化は将来の海面水位に対して負の寄与となるだろう。

海面水位上昇は一様ではないだろう。21世紀末までに、海洋面積の約95%以上で海面水位が上昇する可能性が非常に高い。

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炭素その他の生物・地球化学的循環 気候変動は、大気中のCO2の増加を激化させるように炭素循環過程に

影響を与える。 人為的に排出された二酸化炭素の海洋への吸収は、4 つある全ての

RCP シナリオにおいて2100 年まで継続し、それは高濃度の経路ほど高い吸収量であるだろう(非常に高い確信度)。陸域の炭素吸収が将来どう変化するかはあまり確かではない。

地球システムモデルによると、気候と炭素循環の間のフィードバックが21 世紀に正であることの確信度は高い。

2050 年までに、RCP2.6 シナリオに従った地球システムモデルの結果から得られた二酸化炭素の年排出量は、1990 年の排出量より少なくなる(14~96%少ない排出量)

21 世紀末までに、モデルの約半数が0 をわずかに超える程度の排出量を示唆しており、残りの半分は大気中から二酸化炭素を正味で取り除く事を示唆している。

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Climate-Carbon Cycle Feedback

Increase of CO2 concentration

Global warming

Carbon cycle Further increase of CO2 concentration

Further Global Warming

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海洋酸性化

海洋による更なる炭素の吸収は海洋の酸性化を増大させるだろう。 地球システムモデルは全てのRCP シナリオにおいて海洋酸性化の全球

的な進行を予測している。21 世紀末までの海面のpH の低下量の幅はRCP2.6 シナリオで0.06~0.07、RCP4.5 シナリオで0.14~0.15、RCP6.0 シナリオで0.20~0.21、RCP8.5 シナリオで0.30~0.32 である

(IPCC/AR5) 63

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気候の安定化、気候変化の既定性(Climate Change Commitment)と不可逆性 (1)

CO2の蓄積排出量は、21世紀末およびその先に、全球平均

地上気温上昇を主として決定する。気候変動のほとんどの状況は、CO2排出が停止しても多数の世紀にわたり持続するだろう。このことは、過去、現在、将来のCO2排出により創り出さ

れた、多数の世紀にわたるかなりの気候変動既定性(Climate change commitment*)を表している。

AR5 Glossary: Climate change commitment Due to the thermal inertia of the ocean and slow processes in the cryosphere and land surfaces, the climate would continue to change even if the atmospheric composition were held fixed at today’s values. Past change in atmospheric composition leads to a committed climate change, which continues for as long as a radiative imbalance persists and until all components of the climate system have adjusted to a new state. The further change in temperature after the composition of the atmosphere is held constant is referred to as the constant composition temperature commitment or simply committed warming or warming commitment. 64

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CO2累積排出量(1870からの)と それによる気温上昇量 (AR5)

(IPCC/AR5)

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気候の安定化、気候変化の既定性(Climate Change Commitment)と不可逆性 (2)

CO2の累積総排出量とそれに対する全球平均地上気温の応答は、ほぼ比例関係にある。

人為起源のCO2排出のみにより生じる温暖化を、ある確率で1861~1880年*の平均から2℃未満に抑えるには、全ての人為起源からの累積CO2排出量を、同期間以降で、 33%を超える確率の場合は0~約1560 GtC、50%を超える確率の場合は0~約1210 GtC、66%を超える確率の場合は0~約1000 GtCの範囲に制限する必要があるだろう。これらの上限値は、RCP2.6シナリオにおけるCO2以外の強制力も考慮に入れると、それぞれ約880 GtC、約840 GtC、約800GtCに減少する。注) *:モデルの結果が利用可能な最初の20年

CO2排出による人為起源の気候変動の大部分は、大気中からCO2の正味での除

去を大規模に継続して行う場合を除いて、数百年から千年規模の時間スケールで不可逆である。人為起源のCO2の正味の排出が完全に停止した後も、何世紀にもわたって、地上気温は高いレベルでほぼ一定のままとどまるだろう。

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気候の安定化、気候変化の既定性(Climate Change Commitment)と不可逆性 (3)

熱膨張に起因する海面水位上昇が多くの世紀にわたって継続するため、2100年以降も全球平均海面水位が上昇しつづけることはほぼ確実である。2100年以降に及ぶ予測結果が利用できる少数のモデル予測によると、RCP2.6シナリオのようにピークに達した後減少し500 ppm未満を維持するようなCO2濃度に相当する放射強制力の場合、工業化以前と比べた2300年までの全球平均海面水位の上昇は1m未満であることが示されている。RCP8.5シナリオのように700 ppmを超えるが1500 ppmには達しないCO2濃度に相当する放射強制力の場合、予測された水位上昇は2300年までに1mから3m以上である(中程度の確信度)

氷床の持続的な質量損失が起これば、より大きな海面上昇が生じるだろう。そして、この質量損失の一部は不可逆的であるかもしれない。あるしきい値を超える気温上昇が持続すると、千年あるいはさらに長期間をかけたグリーンランド氷床のほぼ完全な消失を招いて、7mに達する全球平均海面上昇をもたらすだろうというこ

との確信度は高い。現在の見積もりでは、そのしきい値は工業化以前に対する全球平均気温の上昇量で1℃より大きく(低い確信度)、4℃より小さい(中程度の確信度)とされている。 67

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AR5に向けた日本の研究成果 (予測分野の例)

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(MEXT)

IPCC AR5 への貢献 政策決定者への科学的根拠

長期気候変動(~2300年)予測

地球シミュレイータ (ES)による 気候変動予測

気候モデル 高度化と

気候変動予測

不確実性の 定量化と低減

自然災害に対する 影響評価

近未来(20~30年後)予測

極端現象(台風・集中豪雨等)予測

雲解像モデルの高度化

海洋乱流シミュレーションの高度化

影響評価 研究

影響評価 研究

革新プログラム (21世紀気候変動予測革新プログラム)

地球シミュレータ

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CMIP5関連論文のモデルグループ別引用数 (8月29日現在、 全引用数:331)

(http://cmip.llnl.gov/cmip5/publications/model)

:日本のグループ

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MIROC-ESM結果

CO

2濃度

RCP4.5

(JAMSTEC/AORI/NIES/MEXT)

地球システムモデル(ESM)による

長期気候変動予測の成果

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(JAMSTEC/MEXT)

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(JAMSTEC)

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北方落葉樹林 北方常緑樹林 熱帯林 20

07

2100

22

00

2300

RCP4.5での森林帯変化 (JAMSTEC/AORI/NIES/MEXT)

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近未来予測成果概要 CMIP5 decadal prediction experiment

初期値問題および強制力応答問題が複合した予測

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全球平均気温 3-7年予測

日本と東海上の気温 3-7年予測

図1:(a) 全球地表気温の5年平均観測値(黒線)と3-7年平均予測(青は今回実施した初期値化ありの手法、赤は初期値化しない従来手法)。最右端の予測は、2006年を初期値とする2015-2019年に対する予測。(b) (a)と同様。ただし、日本とその東海上(130E-160W, 30N-60N)の領域平均。(c) 過去事例における予測開始後3-7年の予測誤差(℃)。陰影は、今回導入した初期値化で従来手法より10%以上誤差が減少した地域を示す。

(a) (c)

(b)

予測誤差 ● 初期値化あり:0.05ºC ● 初期値化なし:0.08ºC

予測誤差 ●初期値化あり:0.12ºC ●初期値化なし:0.17ºC

(2011年2月23日革新プロジェクト記者発表資料)

(AORI/JAMSTEC/NIES/MEXT)

近未来予測成果

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海面水温

海洋

大気海洋結合モデルによる地球温暖化予測実験

大気

280-120km格子全球大気モデル

水平20km格子 全球大気モデル

海面水温

水平5km/2km/1km格子雲解像領域大気モデル

高分解能大気モデルによるタイムスライス実験

ネスティングによる領域タイムスライス実験

2075-2099 1979-2003 年

海面水温

現在気候 21世紀末

革新プログラム「極端現象予測」実験仕様

200-50km格子全球海洋モデル

境界条件

予測した海面水温

境界条件 大気

CMIP3モデル

2015-2039

近未来

5km領域

2km領域

1km領域

FY2007-FY2011

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台風の年平均発生数の将来変化(パーセント) 色はWelchの検定で95%有意

前期20km

後期20km

前期60km

後期60km

全球 -22.5 -15.5 -22.8 -22.7 北半球 -20.1 -13.5 -22.8 -23.0 南半球 -25.3 -19.4 -22.6 -24.8 北インド洋 -14.3 -1.6 +23.1 -16.1 北西太平洋 -27.4 -22.9 -20.2 -27.6 北東太平洋 -23.0 +1.6 -33.1 -4.7 北大西洋 +8.3 -28.6 +3.6 -42.6 南インド洋 -10.2 -23.5 -12.2 -23.8 南太平洋 -44.4 -16.5 -39.4 -26.4

海盆スケールで前期と後期で異なる 全球•半球スケールで減るのは一致。 80

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台風の陸上接近頻度と強度の将来変化

台風の存在頻度の将来変化

台風の陸上接近時の最大風速の将来変化

台風の陸上接近頻度の将来変化

左上図 モデル各地域の陸グリッドから半径200km域内に存在したTCの存在頻度(単位:ストーム日数)。青色棒グラフは現在気候実験、赤色棒グラフは将来気候実験を示す。

上図 モデル各地域の陸グリッドから半径200km域内に存在したTCの最大風速(ms-1)の平均値。青色棒グラフは現在気候実験、赤色棒グラフは将来気候実験を示す。

右図 TC存在

頻度分布の将来変化を示す。緑の丸は将来変化が有意水準90%で有意

であることを示す

Murakami et al. (2011) J. Climate 前期実験(MRI-AGCM3.1S)の解析

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全球雲解像モデル •全球を数kmメッシュで覆い、地球全体の「雲」を解像するモデル •モデル名: 非静力正20面体大気モデル(NICAM) •地球シミュレータを有する日本が世界に先駆けて2000年より開発 •独創的で先進的なモデル

気象衛星の画像 全球雲解像モデルの結果 正20面体格子

(NICAM/JAMSTEC/FRCGC) (NICAM/JAMSTEC/FRCGC) (MTSAT、Kochi Univ.)

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気象衛星による画像 NICAM モデルのシミュレーション

(MTSAT、Kochi Univ.) (NICAM/JAMSTEC/FRCGC) 83

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まとめ IPCC/WG1/AR5 は、2013年9月に、気候変動に関する最新の知見として発表された。

地球システムの温暖化は疑う余地がない。(AR4知見の確認)

20世紀半ば以来観測されている温暖化の主要な原因は、人間による影響であることは極めて可能性が高い (AF4より知見が一段と強固に)

21世紀末までの気温上昇量は1850~1900年の気温(近似的に、工業化以前の気温)から、RCPシナリオでは、RCP2.6以外のすべてのシナリオで、1.5℃を超える可能性が高い。(新シナリオに基づく新知見)

温暖化の熱は、海洋の表面から、深層に浸透し、海洋循環に影響を与えるだろう。

全球平均地上気温上昇に伴い、ほとんどの陸域で、日々および季節の時間規模において、熱いおよび寒い気温極端現象の頻度が増大することはほぼ確実である。

海面水位の上昇率は、海洋の温暖化の増加や、氷河や氷床からの質量消失により、すべてのRCPシナリオの下で、1971~2010年に観測された値を上回ることは非常に可能性が高い。

CO2 の蓄積排出量は、21世紀の後期までおよびその後の、全球平均地上気温を主に決める。

IPCC/WG1/AR5に向け、日本からは、地球シミュレータを活用した革新プログラムの予測研究などにより、中心的・先端的な貢献がなされた。 84