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JEITA ETR-7017...JEITA ETR-7017 - 1 - 電子情報技術産業協会技術レポート 表面実装部品の連続テープによる パッケージングの課題調査報告 Investigative

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JEITA ETR-7017

目 次

1. 一般事項 ………………………………………………………………………………………………… 1

1.1 適用範囲 ……………………………………………………………………………………………… 1

1.2 目 的 ………………………………………………………………………………………………… 2

1.3 引用規格 ……………………………………………………………………………………………… 2

2. 用語の定義 ……………………………………………………………………………………………… 2

3. 課題の抽出 ……………………………………………………………………………………………… 2

3.1 テーピング内寸法 …………………………………………………………………………………… 4

3.2 テーピングの性能 …………………………………………………………………………………… 5

3.3 試験方法 ……………………………………………………………………………………………… 5

3.4 極小部品のテーピング ……………………………………………………………………………… 6

3.5 幅広テーピング ……………………………………………………………………………………… 6

3.6 方形でないエンボス部の中心定義 ………………………………………………………………… 6

4. 検討結果 ………………………………………………………………………………………………… 6

4.1 テーピング内寸法 …………………………………………………………………………………… 6

4.1.1 A0,B0寸法の基準位置定義 ……………………………………………………………………… 6

4.1.2 B1寸法の基準位置定義 …………………………………………………………………………… 8

4.1.3 部品とポケット部の位置関係を示す傾き,回転,偏りについて ……………………………… 9

4.2 テーピングの性能 …………………………………………………………………………………… 12

4.2.1 キャリアテープを継ぎ合せることについて …………………………………………………… 12

4.2.2 カバーテープを継ぎ合せることについて ……………………………………………………… 12

4.2.3 カバーテープの接着剤が実装機のフィーダーに与える影響について ……………………… 12

4.2.4 カバーテープの厚みT1の最大値規格化について …………………………………………… 12

4.2.5 カバーテープが送り穴をふさがない寸法 ……………………………………………………… 13

4.2.6 キャリアテープの反りについて ………………………………………………………………… 14

4.3 試験方法 ……………………………………………………………………………………………… 15

4.3.1 カバーテープのはく離速度・測定環境条件・判定方法について ……………………………… 15

4.3.2 キャリアテープの反りの測定方法について …………………………………………………… 17

4.4 極小部品のテーピングにおける新提案寸法P3について ……………………………………… 18

4.5 幅広テーピング(72mm 幅以上のエンボスキャリアテープ)について …………………………… 18

4.6 方形でないエンボス部の中心定義 ………………………………………………………………… 19

5. 今後の検討課題 ……………………………………………………………………………………… 20

5.1 テーピング内寸法 …………………………………………………………………………………… 20

5.1.1 部品とポケット部の位置関係を示す傾き,回転,偏りについて ……………………………… 20

5.2 テーピングの性能 …………………………………………………………………………………… 21

5.2.1 カバーテープが送り穴をふさがない寸法 ……………………………………………………… 21

5.3 試験方法 ……………………………………………………………………………………………… 22

5.3.1 カバーテープのはく離速度・測定環境条件・判定方法について ……………………………… 22

6. IEC への新規提案事項 ………………………………………………………………………………… 22

7. 今後の方向性について ……………………………………………………………………………… 22

8. 審議委員会の構成 …………………………………………………………………………………… 23

附属書1 送り丸穴中心と送り長穴中心のエンボスキャリアテープの取り出し方向の

位置ずれ測定方法 …………………………………………………………………………… 24

添付資料表1 国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)への日本提案 Annex G1 ………… 25

添付資料表2 国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)への日本提案 Annex G2 ………… 26

添付資料表3 国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)への日本提案 Annex G3 ………… 27

添付資料図1 エンボステープ全体図 ………………………………………………………………… 30

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JEITA ETR-7017

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電子情報技術産業協会技術レポート

表面実装部品の連続テープによる

パッケージングの課題調査報告

Investigative report of problem for Packaging of surface mount components on continuous tapes

序 文 この技術レポートの調査報告の基とした IEC 規格は,1997 年に第 3 版として発行された IEC

60286-3,Packaging of components for automatic handling – Part 3 : Packaging of surface mount

components on continuous tapes である。国内規格としては,この規格を基に翻訳した JIS C 0806-3 自

動実装用部品のパッケージング – 第 3 部:表面実装部品の連続テープによるパッケージング が 1999

年に発行された。IEC 規格を翻訳し,JIS 化する作業の中で懸案となった事項は,当然この報告でも課

題事項となるため,この技術レポートの中に備考及び参考として追加した。さらにそれらの補足説明事

項を記載した。また,検討後も方向付けできなかった事項についても今後の課題事項として検討結果に

記載した。

市場での実装速度は,ますます高速化し,実装機側からのテーピングの精度アップなどの要求があっ

て,上記の課題事項の再検討が求められてきた。さらに,市場に供給され始めた極小部品に関する実装

のため,テーピング規格の改正検討が求められたことから,上記課題の要因の明確化を行うため,その

要因に対してアンケート調査を実施し,その結果の分析・聞き取り調査・机上でのシミュレーション・

実装機による検証などを,包装材料メーカ,部品メーカ及び実装機メーカの協力の下に行った。その調

査結果をここに報告する。

1. 一般事項

1.1 適用範囲 この技術レポートは,IEC 60286-3:1997,JIS C 0806-3:1999 及び現在,改定作業を進

めている,IEC 60286-3:200X の中で,テープ幅 8 mm から 200 mm の表面実装部品(以下,SMD という。)

のテーピング(TypeⅠ~TypeⅢ)についての課題調査に適用する。

参考 改定作業中の IEC 60286-3:200X の分類は,現在の規格と異なり,次のように五つに分類され

ている。

Type Ⅰ パンチテープ W=8 mm,12 mm

Type Ⅱ エンボステープ W=8 mm~24 mm

Type Ⅲ エンボステープ W=32 mm~200 mm

Type Ⅳ 打ち抜き粘着テープ W=8 mm~56 mm

Type Ⅴ アッセンブリ用テープ

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JEITA ETR-7017

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1.2 目 的 SMD を実装機で装着する上で,既存のテーピング規格では規定していない事項を検証し,

その問題点の把握と解決策を求めることを目的とする。これらの運用上の課題点は,テーピング技術が

高精度化及びテープの幅広化へ進展する中で,規格化が必要となっていることである。国内規格に規定

することは,産業競争力強化と戦略的な標準化のため国家規格は,国際規格との整合を求められるもの

であって,規定が必要なものについては,国際提案を行う。

なお,次の観点から課題点を検討した。

a) JIS C 0806-3:1999 が IEC 60286-3:1997 と整合していない部分を整合させる可能性を求める。

b) 測定方法及び試験方法の未定部分を規定する。

c) 極小部品,幅広,方形でない形状のテーピングを新規に規格化する。

以上のことから,国際規格に提案できるものは,提案する。

1.3 引用規格 次に掲げる規格は,この技術レポートに引用されることによって,この技術レポート

の一部を構成する。

JIS C 0806-3:1999 自動実装用部品のパッケージング-第 3 部:表面実装部品の連続テープによる

パッケージング

IEC 60286-3:1997 Packaging of components for automatic handling – Part 3 : Packaging of surface

mount components on continuous tapes

2. 用語の定義 この技術レポートに用いる主な用語の定義は,JIS C 0806-3:1999 及び IEC 60286-3

:1997 による。

3. 課題の抽出 IEC 60286-3 及び JIS C 0806-3 に明確にされていない事項について,実装部品包装標

準化委員会傘下の IEC 60286-3 再構築検討プロジェクトグループ(PG)において審議した結果,現在の規

格で何が問題で,その要因となっている未規定事項又は規定が困難なことのために曖昧になっている事

項があるなら,その曖昧さを解消するための課題を具体的に抽出することとし,その概要を表1に示す。

なお,IEC 60286-3 及び JIS C 0806-3 は,パンチテープとエンボステープの両方を含んだ規格であっ

て,パンチテープ(以降,パンチキャリアテープと称する。)において部品を収納する部分はパンチ部,

エンボステープ(以降,エンボスキャリアテープと称する。)において部品を収納する部分はエンボス部

と示されている。この技術レポートでは,パンチキャリアテープとエンボスキャリアテープに共通事項

であればポケット部と示すこととし,それぞれ独自事項であればパンチ部又は,エンボス部と示すこと

とした。また,キャリアテープとは,パンチキャリアテープとエンボスキャリアテープの両方を示すこ

ととし,それぞれ独自事項であればパンチキャリアテープ又は,エンボスキャリアテープと示すことと

した。

なお,この技術レポートに用いるテーピングとは,自動実装用部品をプリント配線板に実装機で自動

実装するため,キャリアテープに自動実装用部品を装着した包装形態のことを示すものとする。

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JEITA ETR-7017

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表1 課題点一覧表

問 題 点 曖 昧 な 事 項 課 題

エンボス部寸法であるA0,B0

の測定位置が規定されていない。

(3.1 参照)

- A0,B0の測定位置を決める。

(4.1.1 参照)

エンボス部外側寸法であるB1

の測定位置を規定していない。

(3.1 参照)

IEC 60286-3及び JIS C 0806-3

ではB1を定義していない。

B1の測定位置を決める。

(4.1.2 参照)

部品とポケット部の位置関係を

示す傾き,回転,偏りを求める方

法を規定していない。(3.1 参照)

位置関係をどのようにして求

めるのかが不明確である。

位置関係を求める基準を決める。

(4.1.3 参照)

キャリアテープを継ぐことに関

する現在の規格では問題がある。

(3.2 参照)

キャリアテープを継ぐことので

きる規格を決める。

(4.2.1 参照)

カバーテープを継ぐことに関す

る規格がない。(3.2 参照) -

カバーテープを継ぐことのでき

る規格を決める。(4.2.2 参照)

カバーテープの接着剤が実装機

のフィーダに与える影響を排除

したい。(3.2 参照)

何がどのように実装機のフィ

ーダに影響を与えるのかが不

明確である。

実装機のフィーダに影響を与え

る事項の特定と,その対策を決め

る。(4.2.3参照)

カバーテープの厚みT1の寸法

を規定していない。(3.2 参照) -

カバーテープの厚みT1の寸法

規格を決める。(4.2.4参照)

カバーテープが送り穴をふさが

ないとし,幅寸法を提示していな

い。(3.2 参照)

カバーテープが送り穴をふさ

がないことを算式で説明して

いない。

数値計算において,送り穴をふさ

がないカバーテープ幅を決める。

(4.2.5 参照)

キャリアテープの反りについて,

IEC 60286-3と JIS C 0806-3 の

相違である,受渡当事者間の協定

がない場合には一文を削除でき

るかの調査確認。(3.2参照)

キャリアテープの反りについて,

受渡当事者間の協定がない場合

には一文を削除できるかどうか

を再調査し決める。(4.2.6 参照)

カバーテープのはく離速度・測定

環境条件・判定方法が現実と乖離

し過ぎていることや,規定してい

ない。(3.3参照)

測定環境条件・判定方法が不明

確である。

カバーテープのはく離速度の決

定と測定環境条件・判定方法を決

める。(4.3.1 参照)

キャリアテープの反り測定方法

が,IEC 60286-3 と JIS C 0806-3

とも引っ張らない状態とあるが,

もっと再現性のある方法とした

い。(3.3 参照)

- キャリアテープの反り測定方法

を決める。(4.3.2 参照)

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JEITA ETR-7017

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表1 課題点一覧表(続き)

問 題 点 曖 昧 な 事 項 課 題

P1=2 mm の場合,送り穴直下

のポケット部のテープ取出し

方向の位置を直接規定する規

格数値がない。(3.4 参照)

P1=2 mm の場合,送り穴直下の

ポケット部のテープ取出し方向

の位置を直接規定する規格数値

を決める。(4.4 参照)

IEC 60286-3と JIS C 0806-3

のエンボスキャリアテープで

は 56 mm 幅までのテープが規格

化されているが,72 mm 幅以上

のテープも市場流通し始めて

いることや,EIA-481-B-2001

では規格化されているため,規

定したい。(3.5 参照)

新規規格であって,関連する

寸法規格が多くある。

72 mm 幅以上のテープ幅を決める

ことと,関連する規格を決める。

(4.5 参照)

方形でないエンボス部の場合,

その中心を部品のどこの部分

にするかが決められていない。

(3.6 参照)

方形でないエンボス部の場合,そ

の中心を部品のどこの部分にす

るかを決める。(4.6 参照)

上記内容に基づき,3.1以降に IEC 60286-3 再構築検討 PG において分類した項目ごとに,その詳細を

記載する。

3.1 テーピング内寸法 A0,B0及びB1の測定位置と,部品とポケット部の位置関係を示す傾き,回

転,偏りについて記載する。

IEC 60286-3 においてエンボスキャリアテープ自体には多くの寸法規格公差が規定されている。この

中でエンボスキャリアテープのA0,B0寸法は,エンボス部の底面寸法を示しているように記載してい

るが,寸法測定時に測定ポイントとして用いるエンボス部の底部断面形状は,必ずしも鋭角ではなく丸

みのある形状になっている場合が多い。また,A0,B0寸法を用いて求める寸法規格や,ポケット部に

収納する部品との位置関係を示した傾き,回転,偏りなどの規格も記載されている。このためA0,B0

寸法の基準位置を決めることが求められていた。

なお,IEC 60286-3 及び JIS C 0806-3 ではエンボス部外側寸法B1寸法を定義せず,テープ下端とエ

ンボス下端との距離Gの最小値を規定していた。しかしながらこの寸法規定では,実装機のフィーダ設

計において不具合を生じる可能性があることが判明したため,ANSI/EIA-481-B-2001 で定義されている

B1寸法の採用を国際会議に提案した。実装機のフィーダにおける不具合は後述するが,エンボスキャ

リアテープ端がフィーダ溝に脱落することによる送りミスの発生である。現規格では実装機のフィーダ

の溝幅を一義的に決定することは不可能であって,規格限界値で設計されたエンボスキャリアテープで

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の不具合回避のためには特殊な実装機のフィーダを製作する必要があった。この対策としてB1寸法の

採用が提案された。

3.2 テーピングの性能 キャリアテープ,カバーテープの継ぎ,カバーテープの接着剤が実装機の

フィーダに与える影響,カバーテープの厚みとカバーテープが送り穴をふさがない寸法及びキャリア

テープの反りについて記載する。

テーピングの性能に関する項目として,キャリアテープの継ぎ及びカバーテープの継ぎが,テーピン

グ作業における供給材料の長さを長尺化することによる段取り換え工数削減によるコスト低減や,省資

源化に結びつく廃棄物削減という時代に即した対応をするために求められている。また,部品を表面実

装する際の実装効率を上げ,コスト低減を実施するためには実装機で実際に発生している機械停止の原

因を解明し,対応していくことが重要である。その事例としては,カバーテープの接着剤が実装機の

フィーダに貼り付いて異常を発生してしまうことや,カバーテープが送り穴をふさいでしまうことに

よって,カバーテープ端面に傷を付け,結果的にカバーテープが切れてしまうことが報告された。また,

カバーテープ厚さT1を含んだエンボス部全体厚さT2は決められているが,カバーテープ厚さT1個別

の最大値が決定していないため実装機のフィーダでカバーテープを剥がすシャッター部分とカバーテープ

上面までのクリアランス設定がこれまでの経験則によることが多く,この寸法を決定することも求めら

れている。

なお,供給材料の長さを長尺化することによる段取り換え工数削減によるコスト低減対応として,

キャリアテープを長尺化する対応の一つである複数列巻きで,一般的にスパイラル(トラバース,ボビ

ン)巻きと呼ばれるキャリアテープの巻き方があるが,この場合にキャリアテープの反りが問題である

と部品メーカから提案があった。

3.3 試験方法 カバーテープのはく離速度・測定環境条件・判定方法及び,キャリアテープの反り測

定方法について記載する。

実装効率を上げる方法としてタクトを高速化するという手法が一般的に取られる。この場合,カバー

テープを引き剥がす速度(はく離速度)も高速化され,現時点で最も速い場合では 21 600 mm/min=360

mm/s に達するという報告が実装機メーカから報告された。一方,IEC 60286-3 においては 300 mm/min

=5 mm/s におけるはく離強度を判定するため,現実の実装機でのはく離速度とかなり乖離している状況

もあって,国際規格を見直すべきではないかという提案がされた。この内容を深耕していくと測定環境

条件やはく離強度の判定方法についても指針がないことが判明した。

次に,3.2 において提案されたキャリアテープの反りに対する試験方法において IEC 60286-3 におい

て引っ張らない状態(without tension)で測定すると規定されているが,この反りを測定することを,

現実の問題として包装材料メーカと部品メーカに要求されている。このことについては,4.2.5 におい

て詳述するが,IEC 60286-3 及び JIS C 0806-3に記載されている反りの規格は使用される状態,つまり

ポケット部に部品が収納され,かつカバーテープが貼られたテーピングとして完成品状態での規格であ

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るが,前記のように包装材料メーカには現実の問題として反りの測定要求があって,受渡当事者間で決

定していることが多いという報告があった。測定の際は,引っ張らない状態としても部品収納状態で一

定重量がキャリアテープにある場合と,部品のない場合ではおのずと同じキャリアテープの反りを測定

しても数値が異なることや,測定物を置く場所の表面粗さなどによって数値が異なる。このようなこと

から汎用性のある測定方法を統一方法とすることが好ましいという提案が行われた。

3.4 極小部品のテーピング P1が 2 mm の場合,送り穴直下のポケット部とP0の位置関係について記

載するものである。

IEC 60286-3のパンチキャリアテープにおいて,パンチ部の中心間距離P1と,送り穴の中心とパンチ

部の中心とのテープ取出し方向の距離P2,及び送り穴のピッチP0が決められているが,P1が 2 mm

ピッチの場合においてもP0=4.0±0.1 である。一方,エンボスキャリアテープにおいてはP1が 2 mm

ピッチの場合のP0=4.0±0.05 であって,パンチキャリアテープとエンボスキャリアテープにおいて異

なる規格数値となっている。また,極小部品(形式名 1608 以下の部品を示す。)が市場に多く採用され

るようになることで,極小部品における実装効率の問題が指摘されている。特にP1が 2 mm ピッチの場

合,送り穴の直下にポケット部が設けられることになるが,そのときの位置関係を決める寸法規格公差

が設けられていないため,基準位置を決定することの重要性が提案された。

3.5 幅広テーピング エンボスキャリアテープ幅 56 mm より大きい幅について記載する。

IEC 60286-3においてエンボスキャリアテープ最大幅は 56 mm であるが,テーピング品種が拡大され,

接続・機構部品等においてこれまでのエンボスキャリアテープ幅 56 mm では収納しきれない部品が市場

に登場してきた。このような状況からエンボスキャリアテープ幅を 56 mm より大きい幅の設定が必要で

あるとの提案がされた。すでに ANSI/EIA-481-B-2001 においてはエンボスキャリアテープ最大幅 200 mm

までが規定されている。日本としても国際会議への提案が必要になってきた。

3.6 方形でないエンボス部の中心定義 方形でないエンボス部の場合,エンボス部の中心を部品のど

この部分にするかについて記載する。

エンボスキャリアテープのエンボス部形状は,方形が主流であるが,収納する電子部品によっては方

形でなくかつ左右及び上下に対象でない形も流通している。このような状況において,部品のどこの位

置をエンボス部の中心にするのかは受渡当事者間協議で解決されていた。しかし,このような状況のた

め実際の実装段階において自動実装できなかったり,あるいは特殊な形状の吸着ノズルあるいはチャッ

キング爪などを製作する対応が必要となってコストアップの一因ともなっていた。このようなことから,

方形でないエンボス部形状の中心を定義したいという提案がされた。

4. 検討結果 3. 課題の抽出で挙げた各項目に対する具体的な検討結果を項目ごとに記載する。

4.1 テーピング内寸法

4.1.1 A0,B0寸法の基準位置定義 エンボス部底面を示すA0,B0寸法は,図1(a)に示した部分

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とし,その部分をわかり易く拡大した部分を図1(b)に示し,さらに測定位置を明確にするために図1

(c)に顕微鏡写真を示す。A0,B0寸法測定時に測定ポイントとして用いられるエンボス部の底部断面

形状は,図1(b)に示したように丸みのある形状になっている場合が多いため,基準位置定義において

も貴重なアンケート意見が出された。特に,丸みのある状態であれば,丸みに公差を設けることが必要

であることや,丸みに部品が乗り上がることになるが改善策はあるのかなどの提案があった。また,丸

みに関係しない測定方法として例えば底面からの距離を規定し,その位置でのエンボス部寸法をA0,

B0とする提案もあった。これらの意見を検討した結果,IEC 60286-3 再構築検討 PG では,実際には丸

みが問題となることが想定される部品に対応するエンボスキャリアテープでは,丸みが部品に影響を及

ぼさない形状を考案することで対応できることや,丸みがほとんどないエンボス部も現実には製品化が

始まりだしている。現実に実施されている測定ポイントのアンケートにおいては多数が図1(b)である

ことから,その位置をA0,B0寸法の基準位置と定義したが,丸みがほとんどないエンボス部の場合は

測定ポイントが明確であるため,測定位置を明確な測定ポイントとすることも付け加えることとした。

文章における表現としては,顕微鏡などの寸法測定器においてエンボス部をカバーテープ貼付け面側か

ら見た場合に,底面と側壁面の変曲点が2カ所観察される。そのうちのカバーテープ側である上方の変

曲点を基準位置とし,丸みがほとんどないエンボス部の場合は,明確な測定ポイントを基準位置とする。

(a) エンボス部断面形状 (b) 基準位置の拡大部分

図1 A0,B0寸法の基準位置

基準位置

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(c) 基準位置の顕微鏡写真

図1 A0,B0寸法の基準位置(続き)

4.1.2 B1寸法の基準位置定義 エンボス部外側を示すB1寸法は,図2(a)に示した部分とし,寸法数

値については ANSI/EIA-481-B-2001に準拠する事で問題はないと判断した。その部分をわかり易く拡大

した部分を図2(b)に示す。B1寸法に関しては,部品が収納される側ではないが,実装機のフィーダ設

計を考慮し,図1(b)の位置をB1寸法の基準位置と定義した。文章における表現としては,顕微鏡など

の寸法測定器においてエンボス外側面側から見た場合に,側壁面とカバーテープを貼り付ける面の外側

には変曲点が2カ所観察される。そのうちのカバーテープ側である上方の変曲点を基準位置とする。

なお,実装機のフィーダ設計において不具合を生じる可能性を図3に示すが,エンボスキャリアテー

プ端がフィーダ溝に脱落することによる送りミスの発生である。エンボスキャリアテープが実装機のフ

ィーダから脱落すると,送り穴はピンロールのピンによって位置決めされているが,その反対側が脱落

することでエンボスキャリアテープに抵抗がかかってしまう。このために,一定量送る搬送精度が通常

の場合と異なることによって部品吸着時に,位置ずれが発生し,問題となってしまう。このため,B1

最大寸法を規定することによって,エンボスキャリアテープが脱落しない実装機のフィーダ溝幅を設計

でき,特殊な実装機のフィーダを製作するなどのコストアップになる要因削減ができる。また,結果的

にエンボスキャリアテープ幅に対して,過大な大きさのB0寸法を持つエンボスキャリアテープの設計

も制限されることで,カバーテープを貼付けるテーピング作業が容易になることや,脱落が発生しない

ことから実装効率のアップが期待できる。

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(a)エンボス部断面形状 (b)基準位置の拡大部分

図2 B1寸法の基準位置

4.1.3 部品とポケット部の位置関係を示す傾き,回転,偏りについて IEC 60286-3 は 1997 年に制定

され,国際規格への整合性を求められ制定されたのが JIS C 0806-3 であるが,国際規格が制定された

当時の表面実装の状況と現在の表面実装の状況は大きく変化し,部品の小形化が進んでいる。形式名

1608 以下の大きさの極小部品において,キャリアテープと収納される部品との位置関係がどのような状

態になっているのかが把握されていないこと及びその算出をどのようにするか明確でないこともあっ

て,非常に多くの意見が出された。図4に示すような実装機がピックアップする場合に要求される電子

部品とピックアップノズルの相対位置関係の参考データ,あるいは電子部品,キャリアテープの加工限

界精度,実装機の位置決め精度等々についての論議の結果,算出基準を次のように結論付けた。傾き,

回転,偏りを算出する数値は,部品の規格公差における最小値とポケット部の規格公差における最大値

とする。この結論による形式名 1608 以下の代表的な部品寸法表の一例を表2に示し,それに対応する

代表的なパンチキャリアテープのパンチ部寸法表の一例を表3に示し,結論付けた算出基準による傾き,

エンボスキャリアテープの脱落

実装機のフィーダ エンボスキャリアテープ

図3 実装機のフィーダ設計において不具合を生じる可能性

基準位置

送り穴

B0

B1

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回転,偏りを求めた結果を表4に示した。また,傾き,回転,偏りがどのような状態を指すのか,それ

ぞれ図5(a),図5(b)及び図5(c)において示した。

なお,表2のL,W及びTは,それぞれ部品の縦,横,高さを示すものとする。

表2 部品寸法表

単位 mm

L W T

形式名 規格公差 最小値 規格公差 最小値 規格公差 最小値

0603 0.60±0.05 0.55 0.30±0.03 0.27 0.25±0.05 0.20

1005 1.00±0.05 0.95 0.50±0.05 0.45 0.35±0.05 0.30

1608 1.60±0.10 1.50 0.80±0.10 0.70 0.45±0.10 0.35

表3 パンチ部寸法表

単位 mm

B0 A0 T

形式名 規格公差 最大値 規格公差 最大値 規格公差 最大値

0603 0.68±0.02 0.70 0.38±0.02 0.40 0.28±0.05 0.33

1005 1.15±0.03 1.18 0.62±0.03 0.65 0.43±0.05 0.48

1608 1.80±0.05 1.85 0.97±0.05 1.02 0.63±0.05 0.68

0.0%

0.5%

1.0%

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5

X方向ズレ量(mm)

吸着

ミス

率(%

0.0%

0.5%

1.0%

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35

Y方向ズレ量(mm)吸

着ミ

ス率

(%

0603

1005

1608

図4 電子部品とピックアップノズルの相対位置と吸着ミス率(1)

注(1) 図4 電子部品とピックアップノズルの相対位置関係は,電子部品あるいはパンチキャリア

注(1) テープのバリ,カエリ等は無いものとし,また,ズレ量は電子部品とパンチキャリアテープ

注(1) のクリアランス,実装機のズレ等を総合計したものである。

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JEITA ETR-7017

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表4 傾き,回転,偏り表

傾き( °) 回転( °) 偏り(mm)

規格値 10 °以下 規格値 20 °以下 規格値 0.5 mm 以下

形式名 側断面 正面断面 水平方向 A0方向 B0方向

0603 14.34 42.62 14.61 0.13 0.15

1005 11.28 28.87 12.85 0.20 0.23

1608 13.06 33.76 13.02 0.32 0.35

(a)傾き (b)回転 (c)偏り

図5 傾き,回転,偏りの図解

表4に示された結果を IEC 60286-3 に照らし合わせると,傾きは 10°以下,回転は 20°以下,偏り

は 0.5 mm 以下が規格であるが,傾きは形式名 1608 以下すべて規格を満たせず,回転は形式名 1608 以

下すべて規格を満たし,偏りも形式名 1608 以下すべて規格を満たしていることがわかる。このような

状況が実態として把握できたため,受動部品標準化委員会の協力を得て,代表数社の実態を数値として

捉えた。ここではそのすべてを記載することはできないため,結論を述べるにとどめることとする。

結 論

a) 傾きに対しては,形式名 1608 以下の極小部品で IEC 60286-3 の規格を満足することはできない。

これは部品の実力寸法及びパンチキャリアテープのパンチ部実力寸法を用いて確認しても,程度の

差はあるにせよ同じ結論であった。傾きに対しては,T寸法の影響が大きいことからできるだけ部

品と上面のカバーテープの隙間を小さくすることが好ましいとの意見から,T寸法の最小値と部品

規格寸法の最大値を規格公差上は同じ数値になるようにする。つまり部品と上面カバーテープの隙

間の最小値をゼロに設定することを意味することが提案された。その他の対処法としては,部品及

びパンチ部の公差を可能な限り小さくする検討も行ったが,実力寸法でも満足できない状況におい

ては,結論を出すに至らず,今後の課題となった。

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b) 回転の規格及び偏りの規格に対しては形式名 1608 以下の極小部品でも満足することができる。

さらに,偏りの規格に対しては形式名ごとに偏りを設けるべきであって,0603 に対しては 0.1 mm

以下,1005 に対しては 0.2 mm 以下,1608 に対しては 0.3 mm 以下という数値が提案された。この

数値は国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)で日本側が提案したP1=2 mm のときの偏りは,

0.3 mm 以下とした内容をさらに細分化した結果となった。

4.2 テーピングの性能

4.2.1 キャリアテープを継ぎ合せることについて キャリアテープの継ぎは実施してもよいという結

論とした。ただし,IEC 60286-3 において継ぎ目のそれぞれの側で送り穴のずれがどの方向に対しても

±0.15 mm 以下とするという内容であると,継ぎ目の部分とそれ以外の部分の規格公差が異なることに

なる。このような状態ではテーピング機において,カバーテープ貼付けや,部品収納において支障が発

生することが推測され,実装機において,部品吸着に問題が発生することが推測されるため,結論の付

帯条項としては継ぎ目の部分の規格公差は,それ以外の部分の規格公差と同等とすることとした。

4.2.2 カバーテープを継ぎ合せることについて カバーテープの継ぎは実施してもよいという結論と

した。ただし,多くのアンケート意見が提示され,その内容を満足することを付帯条項とすることとし

た。付帯条項として

a) はく離強度が継ぎ目の部分とそれ以外の部分で,同等レベルであると判断できる範疇にあって,

かつ,はく離強度規格を満足する。

b) 厚みが継ぎ目の部分とそれ以外の部分で規格内であれば好ましいが,厚み公差が変わるようであ

れば受渡当事者間で,事前に決めておく。

c) テーピング作業に支障を与えるようなことがなく,かつ実装機のフィーダの動作に影響を与える

ような粘着性がないこととする。

なお,付帯条項の b)については,カバーテープの厚みT1最大値を規格値 0.1 mm として国際提案して

いるため,その範疇での厚み変動内とすることの規定もできる。

4.2.3 カバーテープの接着剤が実装機のフィーダに与える影響について この問題については具体的

な結論をだすことができなかった。近年,さまざまな形態のカバーテープが市場にでていて,大きくは

熱溶着タイプと粘着タイプに区別される。問題点としてはどちらのタイプなのかは特定できないが,

キャリアテープからカバーテープをはがす際に接着剤が糸状に引いて,それが実装機のフィーダに絡む

ことの影響や,はがした後のカバーテープが何らかの要因で実装機のフィーダに貼り付くことなどが問

題提起された。しかし,アンケートでは意見もほとんどなく実態は掴めなかった。

4.2.4 カバーテープの厚みT1の最大値規格化について カバーテープの厚みT1の最大値規格を

0.1 mm とした。IEC 60286-3 においてカバーテープの厚みT1は規格値がないが,ANSI/EIA-481-B-2001

においてはT1は 0.1 mm max.と規格化されている。日本側としても国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:

2002 年)においてT1の最大値を 0.1 mm として提案した。IEC 60286-3 再構築検討 PG においても,現在

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使用されているカバーテープの厚みは 0.1 mm 以下であるという意見が大半であったことから問題なく

結論付けた。

4.2.5 カバーテープが送り穴をふさがない寸法 IEC 60286-3 においてはカバーテープは,送り穴をふ

さいではならないと要求されている。これに対応する実際のカバーテープ幅をどのようにすれば,数値

計算上送り穴にかからない寸法になるのかが明確でないため,数値計算を実施した結果を表5に示す。

表5 数値計算上の送り穴にかからないカバーテープ幅寸法

単位 mm

公称幅 最小 W 最大 E1 最大 D0 /2 最小 S 最大 d/2 計算値

8 7.9 1.85 0.8 - - 5.25

12 11.9 1.85 0.8 - - 9.25

16 15.9 1.85 0.8 - - 13.25

24 23.9 1.85 0.8 - - 21.25

32 31.7 1.85 0.8 28.3 0.125 26.575

44 43.7 1.85 0.8 40.3 0.125 38.575

56 55.7 1.85 0.8 52.3 0.125 50.575

72 71.7 1.85 0.8 68.3 0.125 66.575

88 87.7 1.85 0.8 84.3 0.125 82.575

104 103.7 1.85 0.8 100.3 0.125 98.575

120 119.7 1.85 0.8 116.3 0.125 114.575

136 135.7 1.85 0.8 132.3 0.125 130.575

152 151.7 1.85 0.8 148.3 0.125 146.575

168 167.7 1.85 0.8 164.3 0.125 162.575

184 183.7 1.85 0.8 180.3 0.125 178.575

200 199.7 1.85 0.8 196.3 0.125 194.575

計算方法の定義を次のようにした。公称幅 8 mm から 24 mm までのキャリアテープ(パンチキャリア

テープについては,公称幅 8 mm から 12 mm)については,テープ幅(W)最小値-(テープ上端と送り穴中

心距離(E1)最大値+送り丸穴の径(D0)/2 最大値)によって算出し,公称幅 32 mm から 200 mm までのエン

ボスキャリアテープについては,送り丸穴から送り長穴までの距離(S)最小値-(送り丸穴の径(D0)/2 最

大値+送り長穴の中心距離(d)/2 最大値+送り丸穴の径(D0)/2 最大値)によって算出した。その結果を表

5中の計算値欄に記載してあるが,この数値以下のカバーテープ幅を用いれば理論的には送り穴にかか

らない。IEC 60286-3 においては公称幅 56 mm までが規格であるが,日本側として国際会議(TC40/WG36

Berlin 会議:2002 年)において 200 mm までの公称幅テープを提案したため,カバーテープ幅も 200 mm

までの数値を結論付けした。

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なお,アンケートにおいてカバーテープの推奨幅を確認したが,現在使用している幅が回答されてき

ていると考えられ,統一性がなく各社各様であった。このため,現在使用している幅寸法にとらわれな

いで,送り穴にかからない寸法ということで協議した結果,表5の数値計算結果を結論とした。

4.2.6 キャリアテープの反りについて キャリアテープの反りについては IEC 60286-3 のままではな

く,受渡当事者間の協定がない場合には,テープの反りは,長さ 250 mm にわたりいずれの方向にも 1 mm

を超えてはならない,という一文を記載することを結論とした。キャリアテープの反りについては包装

材料メーカが部品メーカに納入する段階での反りと,部品メーカが部品を入れて実装するメーカに納入

する段階での反りがあるが,IEC 60286-3 及び JIS C 0806-3 に記載されている反りの規格は使用される

状態,つまりポケット部に部品が収納され,かつカバーテープが貼られた状態での規格であって,部品

メーカが部品を入れて実装するメーカに納入する段階のことを示している。しかし,実際の状況は包装

材料メーカに対しても同じ要求がなされる状況があるため,IEC 60286-3 再構築検討 PG ではそのことも

含め明確にした。

包装材料メーカが,部品メーカに納入する段階においては実際の実装機には装着できない供給形態で

ある複数列巻きで,一般的にスパイラル(トラバース,ボビン)巻きと呼ばれる特殊形態で納入すること

が,合理化要求から増えてきている。このため,従来の供給形態であれば反りに関して規格上の問題な

どが発生する状況は少なかったが,合理化対策の特殊形態であるスパイラル巻きにおいては,キャリア

テープに歪が残り,結果として反りという現象を発生させ易くしてしまうことは包装材料メーカと部品

メーカの間では共通認識となっている。図6に反りの模式図を示す。

図6 反りの模式図

この内容についてもアンケートを実施したところ,次の意見があった。部品メーカA社からは,[ス

パイラル巻きでは公称幅によって規格を分けていて,保証としては包装材料メーカB社から,8 mm 幅は

3 mm/250 mm 以下,12 mm 幅は 2 mm/250 mm 以下,包装材料メーカC社から,8 mm 幅は 1 mm/250 mm 以

下であるが,実力値 5 mm/250 mm 以下であって,現状も 1 mm/250 mm 以下を守れていない]。また,部

品メーカD社からは,[包装材料メーカE社からは 8 mm 幅,12 mm 幅とも 1 mm/250 mm を保証,実力値

単位 mm

一方向で 1 以下

カバーテープ

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0.8 mm/250 mm 程度で,部品メーカD社は部品包装後 8 mm 幅,12 mm 幅とも 1 mm/250 mm を保証]など

の状況が報告された。しかしながら,部品メーカあるいは実装現場で要求される反りのレベルは検証さ

れておらず[要求仕様の明確化]が必要であって,要求仕様が明確になった段階において,現在の一律

の規格ではなく,公称幅ごと,部品形状ごとに反りの規格を制定したらどうかという提案もなされた。

一方,実装機メーカからは反りが原因となる不具合の発生は確認されていないが,規格をゆるめる方向

での規格変更は芳しくないという意見があった。IEC 60286-3 再構築検討 PG 内での意見を整理すると,

実装機におけるキャリアテープの反りの影響は大きくなく,むしろテーピング工程における影響が大き

い。これは包装材料メーカが供給したスパイラル巻きキャリアテープに反りが発生していると部品を収

納する際に駆動部と収納位置が比較的離れているため,位置ずれを起こし挿入不良などを発生すること

や,テーピング工程におけるライン上で反りによる摩擦抵抗力が増し,位置ずれを起こす要因となるた

めと推測される。実装機における影響が大きくない理由は,駆動部と吸着部が近いためや,供給される

巻き形態は必ず単列巻きであるため,たとえ包装材料メーカが部品メーカにスパイラル巻きにて供給し

たり,カバーテープをキャリアテープに貼り付ける工程において,カバーテープへの加熱部分がキャリ

アテープ幅の中央になっていなく,反りが発生しても最終出荷形態である単列巻きにすることで歪が取

れるために不具合の発生が確認されないという意見の提示もあった。いろいろな意見の提案や,現実の

状況説明が IEC 60286-3 再構築検討 PG においてだされたが,公称幅ごと,部品形状ごとに反りの規格

の必要性については,要求仕様が明確になった段階で議論すべき議題であり,早急に IEC 60286-3 再構

築検討 PG において結論付ける問題ではない。

4.3 試験方法

4.3.1 カバーテープのはく離速度・測定環境条件・判定方法について はく離速度は,IEC 60286-3

のとおり,300 mm/min±10 mm/min とする。測定環境条件,判定方法については提案できなかった。カ

バーテープのはく離速度については,現実の実装機のはく離速度との乖離は認識されてはいるが,実装

機の機種によりその速度も異なる。このため,代表機種ごとの数値把握及びはく離速度を変更したとき

の数値把握を実施し,その後具体的なはく離速度を提案するかどうか決定していくことが必要であると

いう意見があった。IEC 60286-3 再構築検討 PG 委員において,はく離速度 300 mm/min,1000 mm/min,

3000 mm/min におけるはく離強度試験を実施した状況報告があったのでその一部のチャートを図7(a),

(b),(c),(d),(e)及び(f)として示す。図7(a),(b),(c),(d),(e)及び(f)のチャートの内容は,

連続的に途切れることなくカバーテープを剥がした場合で,図7(a)は,はく離速度 300 mm/min,図7

(b)は,はく離速度 1000 mm/min 及び図7(c)は,はく離速度 3000 mm/min である。図7(d)は,はく離

速度 300 mm/min,図7(e)は,はく離速度 1000 mm/min 及び図7(f)は,はく離速度 3000 mm/min である。

図7(a),(b)及び(c)についてはエンボスキャリアテープA社製とカバーテープB社製の組み合わせで

あって,図7(d),(e)及び(f)については,エンボスキャリアテープA社製とカバーテープC社製の組

み合わせである。同じはく離速度,同じエンボスキャリアテープであっても組み合わせるカバーテープ

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によっては,図7(a),(b)及び(c)並びに図7(d),(e)及び(f)のようにそのはく離強度は大きく異なる

ことがあることを示しているものである。

なお,使用したエンボスキャリアテープはすべてA社製であって,同じA社製のエンボスキャリアテ

ープを使用しても,テープ幅やエンボス部間ピッチが異なったり,A0,B0寸法が異なれば使用するカ

バーテープが同じであっても,はく離強度は異なることもあるという提示があった。

図7のチャートは一部であるが,そのはく離方法に対しても新たな提案がなされた。一つは連続的に

途切れることなくカバーテープをはがす方法と,もう一つは,実装機の状況と同じように断続的にカ

バーテープをはがす方法であるが,この違いによってもはく離強度自体が異なる状況がありそうである。

また,はく離強度は図7のようなチャートとして出力されることが多いと考えられるが,その測定感度

(例えば1秒間に何回測定するのか)の設定によってもその数値が異なる状況となることなどの提示が

あった。

(a)300mm/min での連続はく離 (b)1000mm/min での連続はく離 (c)3000mm/min での連続はく離

図7 はく離速度別のはく離強度チャート(2)

注(2) エンボスキャリアテープA社製とカバーテープB社製の組み合わせ

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(d)300mm/min での連続はく離 (e)1000mm/min での連続はく離 (f)3000mm/min での連続はく離

図7 はく離速度別のはく離強度チャート(続き)(3)

注(3) エンボスキャリアテープA社製とカバーテープC社製の組み合わせ

はく離速度別のはく離強度の調査はできるが,実際には多種多様なキャリアテープやカバーテープが

ある。はく離強度はキャリアテープ材料やカバーテープ材料による影響も大きいが,ポケット部の大き

さA0,B0寸法や,ポケット部間ピッチP1にも影響されることや,はがす方法の違いや,測定感度な

ど新たな提案内容もあることから,前提条件を決めることが必要で,実行に際しては包装材料メーカや

はく離強度測定器製造メーカの多大なる協力が必要である。

4.3.2 キャリアテープの反りの測定方法について 4.2.6 においてキャリアテープの反りについて記

載したが,その測定方法を次のように結論づけた。キャリアテープの一端を固定し,反対側の一端には

1Nの力を加える。このときに計測される部分のキャリアテープ上にはおもりを兼ねた透明な目盛付き

プラスチック板を載せる。これを図8として示す。

図8 キャリアテープの反り測定方法

テーピングのキャリアテープ

固定点

おもりを兼ねた透明なメモリ付きプラスチック板

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4.4 極小部品のテーピングにおける新提案寸法P3について 送り穴中心とその直下にあるポケット

部中心とのテープ取出し方向の距離をP3と定義し,その規格寸法公差は最大値 0.05 mm と結論付けた。

この結論は日本として,国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)に提案済みである。図9において

P3寸法を示す。

(a)現在の規格概要図 (b)P3寸法規格概要図

図9 P3寸法

図9(a)が IEC 60286-3 において規格となっているP0,P1及びP2寸法を表した図である。格子状に

示した送り穴を基準穴として考えると,ポケット部②はP2で規定され,引出し方向に対して後の送り

穴である1送り穴後の送り穴はP0で規定される。次にポケット部③の基準穴からの位置はP2+P1に

より規定される。この位置規定の方法では,極小部品の吸着に対し位置ずれを引き起こし,部品の吸着

不良を引き起こす可能性が高いという報告がされた。このため実装機メーカからは,図9(b)のように

P1=2 mm の場合に用いるP3寸法が提案された。本来であれば基準穴から吸着されるポケット部中心

までの距離を規定すれば最も効果的であるといえるが,各実装機メーカでその距離が必ずしも統一され

ている状況ではないことや,キャリアテープに非常に高い寸法精度が要求されることから早急に規格数

値を提案できなかった。しかし,P2+P1という数値計算上の値でなく,送り穴という基準穴からのず

れを直接管理することで多少なりとも実装機での吸着不良を低減できるのではないかということから

P3寸法を結論付けた。P3の起こりえるずれは,図9(b)で図示した方向のずれのように,引き出し方

向側へのずれとその反対側へのずれがあるため,寸法規格公差としては最大値 0.05 mm という表現にし

た。このようなP3という規格数値を設けて包装材料メーカが対応できるのかという意見があったが,

数社から実測数値が提示され,可能であるということであった。

4.5 幅広テーピング(72 mm幅以上のエンボスキャリアテープ)について 72 mm幅以上のテープとして,

88 mm,104 mm,120 mm,136 mm,152 mm,168 mm,184 mm 及び 200 mm を公称幅として結論付けた。ま

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た,この結果から規定しなければならないエンボス部外側寸法B1,送り丸穴中心からエンボス部中心

とのテープ幅方向の距離F,送り丸穴から送り長穴までの距離S,テープ総厚さ(カバーテープ厚み含

む)T2,部品とエンボス部の位置関係を示す傾き,及び Skew(Sk と称した)も結論付けた。この結論か

らの数値は日本側が国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)で提案したので詳細を添付資料表1,

添付資料表2及び添付資料表3に示し,エンボスキャリアテープ全体図を添付資料図1示し,附属書1

に Skew の測定方法を示した。

なお,72 mm 幅以上のテープを提案するにあたっては特に半導体メーカから,[半導体では現在 72 mm

幅以上を使用していないため,現段階で 72 mm 幅以上を決めても現実とそぐわない状況が発生すること

が予想される。]との意見があった。また,いったん規格化されると国際会議においてそれを改正する

ことなどが難しくなるため,56 mm 幅以下のエンボスキャリアテープと 72 mm 幅から 200 mm 幅までのエ

ンボスキャリアテープで規格をわけてもらいたいという意見があった。

これに対しては,接続・機構部品などで 72 mm 幅以上の実績が出始めていることや,IEC 規格に準拠

するのが原則であって,むしろ 72 mm 幅以上の規格を作成することに際し,各国が納得できるような提

案をするほうが好ましく,表面実装部品の連続テープによるパッケージングという範疇で規格を分ける

ことは適当でないということから,56 mm 幅以下のエンボスキャリアテープと 72 mm 幅以上のエンボス

キャリアテープの規格をわけないで,提案することとした。

4.6 方形でないエンボス部の中心定義 方形でないエンボス部形状は 24 mm 幅以上のテープ,特に 4.5

に示した 72 mm 幅以上のテープで用いる事例が多い。実装機はエンボス部の中心で部品をピックアップ

するため部品のどの部分をエンボス部の中心にするかは非常に重要な事項である。エンボス部中心の定

義の明確化が不可欠であるという提案が実装機メーカからなされ,結論を次のようにした。

接続・機構部品などの形状が規格化されていない部品を収納するエンボスキャリアテープを設計,製

作する場合は,収納する電子部品に設けられた自動実装時の吸着部分中心を,エンボス部の中心と一致

させる。また,部品の吸着面側に吸着部分となるような平滑面が設けられていない場合は,部品をチャ

ッキングして自動実装する必要があるため,図10に示すようなチャッキング爪が入る空間を設けるこ

ととする。この場合のエンボス部中心は,チャッキングされる部品面の中心と一致させることとする。

なお,チャッキング爪が入る空間寸法は,部品の形状,大きさ等に影響され一概に定義できないが,

一般的に,送り方向 3 mm,深さ 4 mm 程度以上,幅方向についてはテープ幅により区分けして,24 mm

幅以下のテープでは幅方向 12 mm 程度以上,32 mm 幅以上のテープでは幅方向 24 mm 程度以上の空間を

設けることで対応できることが多い。

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図10 チャッキング爪が入る空間模式図

5. 今後の検討課題

5.1 テーピング内寸法

5.1.1 部品とポケット部の位置関係を示す傾き,回転,偏りについて 部品とポケット部の位置関係

を示す傾きは,4.1.3 において記載したように,形式名 1608 以下の極小部品において IEC 60286-3 の

10°以下を満足することができない。このため,部品公差,テープ公差を出来うる限り小さくした結果

の一例として,パンチキャリアテープで表6及び表7のような計算値に基づき,表8の傾き数値を検証

した。しかしこのような公差を机上計算しても最終的に正面断面傾き規格を満足できる数値を表8に提

示することはできなかった。表6の数値決定は,表2の部品規格と表3の部品規格に対して形式名 0603

の公差を±0.02 mm,形式名 1005 の公差を±0.03 mm 及び形式名 1608 の公差を±0.05 mm として導き,

部品最小値から偏り最大値をそれぞれ 0.1 mm,0.2 mm,0.3 mm としパンチ部寸法を決めたものが表7

である。

なお,表6の部品寸法は,対象部品として固定抵抗器を選び,寸法例を示したものである。

チャッキング爪 エンボスキャリアテープ

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JEITA ETR-7017

- 21 -

表6 部品寸法表

単位 mm

L W T

形式名 計算値 最小値 計算値 最小値 計算値 最小値

0603 0.60±0.02 0.58 0.30±0.02 0.28 0.25±0.02 0.230

1005 1.00±0.03 0.97 0.50±0.03 0.47 0.35±0.03 0.320

1608 1.60±0.05 1.55 0.80±0.05 0.75 0.45±0.05 0.400

表7 パンチ部寸法表

単位 mm

B0 A0 T

形式名 計算値 最大値 計算値 最大値 計算値 最大値

0603 0.66±0.02 0.68 0.36±0.02 0.38 0.29±0.02 0.310

1005 1.14±0.03 1.17 0.64±0.03 0.67 0.41±0.03 0.440

1608 1.80±0.05 1.85 1.00±0.05 1.05 0.55±0.05 0.600

表8 傾き,回転,偏り表

傾き( °) 回転( °) 偏り(mm)

規格値 10 °以下 規格値 20 °以下 規格値 0.5 mm 以下

形式名 側断面 正面断面 水平方向 A0方向 B0方向

0603 8.17 19.40 10.40 0.10 0.10

1005 7.26 16.50 12.60 0.20 0.20

1608 7.54 16.80 11.80 0.30 0.30

ここで,さらに公差を小さくして正面断面傾き規格を満足できる数値を提示できるが,現実と比べて

乖離しているため,ここでは示すことを差し控えることとした。このような実状から,形式名 1608 以

下の部品についてはどのような考え方でこの規格を修正していくのか大きな検討課題である。

5.2 テーピングの性能

5.2.1 カバーテープが送り穴をふさがない寸法 数値計算上の送り穴をふさがない寸法を最大値とし

て計算で算出し数値結論としたが,実際にはカバーテープの幅を統一したいという意見が包装材料メー

カ,部品メーカ,実装機メーカにおいても多かった。しかし,アンケート結果を見る限り,現状使用し

ている幅における提案が多く,幅を統一するための IEC 60286-3 再構築検討 PG 内での意見統一までは

できなかった。しかし,今後のコストアップ要因のひとつである多様な幅寸法を統一することにより,

各メーカにとって利点もあることから,カバーテープ幅最大値を考慮することを前提に一定基準を設け,

統一寸法を提案することが今後の検討課題である。

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JEITA ETR-7017

- 22 -

5.3 試験方法

5.3.1 カバーテープのはく離速度・測定環境条件・判定方法について カバーテープのはく離速度に

ついては,現実のはく離速度との乖離の問題がある。まずは,実装機におけるはく離速度の実態調査と

その速度におけるはく離強度がどのような傾向を示すのかを調査し,その結果をもって,はく離速度を

変更することが必要であるかどうかを議論することが必要であるため,今後の検討課題である。また,

測定環境条件・判定方法についてはあまり議論もでなかったが,当然決められるべき事項であって,多

くの課題事項があるため今後の検討が必要である。

6. IEC への新規提案事項 国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)において日本が新規に提案した

事項としては,パンチキャリアテープにおけるパンチ部の中心間距離P1=2 mm における送り穴のピッチ

P0公差を±0.05 mm とする提案,パンチ部の中心間距離P1=2 mm の場合の送り穴の中心とその直下に

あるパンチ部中心とのテープ取り出し方向の距離P3寸法の最大値 0.05 mm の提案,及びパンチ部の中

心間距離P1=2 mm の場合の偏り公差を最大値 0.3 mm とする提案であった。エンボスキャリアテープに

おいても,エンボス部の中心間距離P1=2 mm の場合の送り穴の中心とその直下にあるエンボス部中心と

のテープ取り出し方向の距離P3寸法の最大値 0.05 mm の提案,エンボス部の中心間距離P1=2 mm の場

合の偏り公差を最大値 0.3 mm とする提案をし,底穴はオプションであることの確認をした。また,3.5

幅広テーピングでも記載したが 72 mm 幅以上について多くの寸法規格を提案した。

7. 今後の方向性について 国際会議(TC40/WG36 Berlin 会議:2002 年)において日本が提案した事項

に対しての回答とこの技術レポート及び,EIAJ EDR-7601「集積回路用エンボスキャリア形」の内容,

さらに今後の検討課題で挙げられた内容を総合的にまとめていき,SMD の連続テープにおけるパッケー

ジング全般にわたるテクニカルガイドを作成していきたい。

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JEITA ETR-7017

- 24 -

附属書1 送り丸穴中心と送り長穴中心のエンボスキャリアテープの取り出し方向の

位置ずれ測定方法

1. 適用範囲 32 mm 幅以上のエンボスキャリアテープに適用する。

2. 用語の定義 送り丸穴中心と送り長穴中心のエンボスキャリアテープの取り出し方向の位置ずれ

の距離を Skew と示すこととする。

3. 測定方法

3.1 連続した送り丸穴の中心点座標から回帰線を求める。

3.2 送り長穴の中心座標から回帰線に直行する直線との交点を求める。

3.3 求めた交点座標と送り丸穴回帰線上座標の距離が Skew とする。

3.4 Skew には送り丸穴を基準とし左右に発生する場合がある。

3.5 回帰線算出のための送り丸穴側定数は各社の取決めとする。

附属書1図1 Skew 図解

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添付

資料

表1

際会

議(

TC40/WG36 Berlin会

議:

2002年

)へ

の日

本提

Date

Document

2002-04-10

IEC 60286-3 Annex G1

National

Committee

Clause/

Subclause

Paragraph

Figure/Table

Type of comment

(General/

Technical/Editorial)

COMMENTS

Proposed change

OBSERVATIONS OF THE SECRETARIAT

on each co mment submitted

JP

P0

送り

穴のピ

Technical

P1=2の場合の公差

を規定する。

4,0±0,1(P1≧4)

4,0±

0,05(P1=2)

JP

P1

パン

チ間ピ

Technical

Annex G1に同意す

る。

4,0±0,1(P1≧4)

2,0±

0,05(P1=2)

JP

P3 max.

送り

穴中心

その

直下に

るパ

ンチ部

心と

のテー

取出

し方向

Technical

P1=2の場合, スプ

ロケットホールの

中心とエンボス中

心とのずれを

P3と

する。

0,05 mm (P1=2)

添付図面による。

Annex G1 Fig1.

JP

T1 max.

カバ

ーテー

厚み

Technical

Annex G1に同意す

る。

0,1 mm

JP

A0,

B0

収納

部内部

横方

向最大

Technical

P1=2の場合の公差

を規定する。

0,5 mm (P1≧

4)

0,3 mm (P1=2)

A0,B0

上下方向部品

最大

回転

Technical

設計値であること

を明記する。

10°ただし,設計

値であ

る。

JEITA ETR-7017

- 25 -

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添付

資料

表2

際会

議(

TC40/WG36 Berlin会

議:

2002年

)へ

の日

本提

Date

Document

2002-04-10

IEC 60286-3 Annex G2

National

Committee

Clause/

Subclause

Paragraph

Figure/Table

Type of comment

(General/

Technical/Editorial)

COMMENTS

Proposed change

OBSERVATIONS OF THE SECRETARIAT

on each co mment submitted

JP

B1 max.

エン

ボス外

寸法

Technical

Gを削除して、エン

ボスポケット外側

寸法

B1を採用す

る。

Annex G2に同意す

る。

8 mm tape : 4,35

mm

12 mm tape : 8,

2 mm

16 mm tape : 12,1

mm

24 mm tape : 20,1

mm

JP

D1 min.

底穴

Technical

前回の提案でオプ

ションとすること

が受け入れられた。

底穴はオプショ

ンと

する

JP

P3 max.

送り

穴中心

その

直下に

るエ

ンボス

中心

とのテ

プ取

出し方

距離

Technical

P1=2の場合, ス

ロケットホールの

中心とエンボス中

心とのずれを

P3と

する。

0,05 mm (P1=2)

添付図面による

Annex G2 Fig1.

JP

T1max.

カバ

ーテー

厚み

Technical

Annex G2に同意す

る。

0,1 mm

JP

A0,

B0

収納

部内部

横方

向最大

Technical

P1=2の場合の公差

を規定する。

0,5 mm (P1≧

4)

0,3 mm (P1=2)

JP

A0,

B0

上下

方向部

最大

回転

Technical

設計値であること

を明記する。

10°ただし,設計

値であ

る。

F

OR

M 8

C (

IEC

)

1998-08-01

JEITA ETR-7017

- 26 -

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添付

資料

表3

際会

議(

TC40/WG36 Berlin会

議:

2002年

)へ

の日

本提

Date

Document

2002-04-10

IEC 60286-3 Annex G3

National

Committee

Clause/

Subclause

Paragraph

Figure/Table

Type of comment

(General/

Technical/Editorial)

COMMENTS

Proposed change

OBSERVATIONS OF THE SECRETARIAT

on each co mment submitted

JP

B1 max.

エン

ボス外

寸法

Technical

Gを削除して,エンボ

スポケット外側寸法

B1を採用する。Annex

G3に同意する。

32 mm tape: 23,0

44 mm tape:35,

0

56 mm tape:46,

0

72 mm tape:60,

0

88 mm tape:76,

0

104 mm tape:91,0

120 mm tape:107,

0

136 mm tape:123,

0

152 mm tape:139,

0

168 mm tape:153,

0

184 mm tape:169,

0

200 mm tape:185,

0

JP

D1

底穴

Technical

前回

の提案

でオ

プシ

ョンとすることが

受け入れられた。

底穴はオプショ

ンと

する

JEITA ETR-7017

- 27 -

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National

Committee

Clause/

Subclause

Paragraph

Figure/Table

Type of comment

(General/

Technical/Editorial)

COMMENTS

Proposed change

OBSERVATIONS OF THE SECRETARIAT

on each co mment submitted

JP

F

送り

丸穴中

から

エンボ

部中

心との

ープ

幅方向

距離

Technical

Annex G3

に同意する。

32 mm tape:14,

2±0,

1

44 mm tape:20,

2±0.1

56 mm tape:26,

2±0,

1

72 mm tape:34,

2±0,

30

88 mm tape:42,

2±0,

30

104 mm tape:50,2±

0,35

120 mm tape:58,2±

0,35

136 mm tape:66,2±

0,40

152 mm tape:74,2±

0,40

168 mm tape:82,2±

0,45

184 mm tape:90,2±

0,45

200 mm tape:98,2±

0,50

JP

P1

パン

チ間ピ

Technical

72 to 200 mm tape

Annex G3

に同意する。

4,0±

0,1 to 72,

0±0,

1 in

4,0 increments

JP

P2

送り

穴中心

エン

ボス部

心と

のエー

取出

し方向

Technica

72 to 200 mm tape

Annex G3

に同意する。

2,0±0,2

JP

S/S0

送り

丸穴か

送り

長穴ま

の距

Technical

72 to 200 mm tape

Annex G3

に同意する。

72 mm tape:68,

4±0,

1

88 mm tape:84,

4±0,

1

104 mm tape:100,

4±0,

1

120 mm tape:116,

4±0,

1

136 mm tape:132,

4±0,

1

152 mm tape:148,

4±0,

1

168 mm tape:164,

4±0,

1

184 mm tape:180,

4±0,

1

200 mm tape:196,

4±0,

1

JP

T1 max.

カバ

ーテー

厚み

Technical

Annex G3

に同意する。

0,1 mm

JEITA ETR-7017

- 28 -

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National

Committee

Clause/

Subclause

Paragraph

Figure/Table

Type of comment

(General/

Technical/Editorial)

COMMENTS

Proposed change

OBSERVATIONS OF THE SECRETARIAT

on each co mment submitted

JP

T2 max.

テー

プ総厚

さ Technical

Annex G3に同意する。

32 mm tape:12,5

44 mm tape:16,

0

56 mm tape:20,

0

72 and 88 mm tape:30,0

104 mm tape:35,0

120 to 200 mm tape:40,

0

JP

W

テープ幅

Technical

Annex G3に同意する。

72 mm tape:72,0±0,3

88 mm tape:88,

0±0,

3

104 mm tape:104,

0±0,

3

120 mm tape:120,

0±0,

3

136 mm tape:136,

0±0,

3

152 mm tape:152,

0±0,

3

168 mm tape:168,

0±0,

3

184 mm tape:184,

0±0,

3

200 mm tape:200,

0±0,

3

JP

A0,

B0

上下

方向部

最大

回転

Technical

72 to

200 mm tape

公差を規定する。

設計値であることを

明記する。

32 mm to 56 mm tape : 10°

72 mm to 200 mm tape : 5°

ただし、設計値

であ

る。

JP

R min.

テー

プ最小

げ半

Technical

32W/44Wのリールハ

ブ径は

40 mm

min.と

する。56Wのリールハ

ブ径は

50 mm

min.と

する。日本ではリユー

スリールとして多く

使われている。

32 mm tape : 40 mm

44 mm tape : 40 mm

56 mm tape : 50 mm

72 to 200 mm tape : 75 mm

JP

Sk max.

Skew

Technical

スプロケットホール

と送り長穴とのずれ

をSkewとする。

添付図面による。

Annex G3 Fig1.

32 mm to

56 mm

tape : 0,05

mm

72 mm

to 88 mm

tape : 0,1 mm

104mm to 152mm tape : 0,

15 mm

168mm to 200m

m tape : 0,

2 mm

JEITA ETR-7017

- 29 -

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添付

資料

図1

エンボス

キャリアテ

ープ全体図

F

OR

M 8

C (

IEC

)

1998-08-01

JEITA ETR-7017

- 30 -

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