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July 2016Vol.84 No.3July 2016
Vol.84 No.3July 2016
Vol.84 No.3
ISSN 1347-4804
1
有 機 合 成
アマノリパーゼ …………………………………………… 13
V-MPS4 ………………………………………………… 14
nor-AZADO …………………………………………… 15
RAFT 剤 ………………………………………………… 16
環境・分析
ポジティブリスト関連 農薬標準品 …………………… 18
シリカゲル 40F254 TLCプレートーワコー ……………… 18
培 養
bFGF 溶液,MF ……………………………………… 17
SB431542,MF ……………………………………… 17
神経細胞関連試薬 ……………………………………… 32
免 疫
抗 Iba1,ウサギ,ビオチン結合、抗 Iba1,ウサギ,赤色蛍光標識(635)結合 …………………………… 7
細 胞 生 物
YNT-185・2HCl ……………………………………… 5リシルエンドペプチダーゼ ® 溶液 ………………………… 19
抗がん剤有効成分化合物 ……………………………… 20
TRPV4 アンタゴニスト HC-067047 ………………… 21
オセルタミビルりん酸塩 ………………………………… 21
タウタンパク質,ヒト,組換え体 ………………………… 22
抗タウ抗体シリーズ ……………………………………… 22
Block-ProTM 5×ブロッキングバッファー,プロテインフリー … 24
コンドロイチン硫酸 B ナトリウム,ブタ皮膚由来 ………… 25
遺 伝 子
MagCaptureTMシリーズ ………………………………… 10
pCAG-Fc (Fc 融合タンパク質発現ベクター) ………… 26
核酸染色液 SAFELOOKTMシリーズ ………………… 27
そ の 他
乾燥用 青色シリカゲル ……………………………… 14
〔製品紹介〕
〔総 説〕「睡眠覚醒を制御する世界初の分子:オレキシン2受容体作動薬YNT-185の創製」 斉藤 毅、長瀬 博……… 2
「ncRNAの機能解析~結合タンパク質を求めて~」 足達 俊吾……… 8
「リパーゼの特徴と有効性について」 佐藤 幸秀……… 11
〈テクニカルレポート〉「最近のミクログリア研究の動向と新しい標識 Iba1抗体」 佐栁 友規……… 6
OX2R作動薬とOX2Rのドッキングシミュレーション
〔お知らせ〕医薬品成分化合物シリーズ① がん研究用試薬 パンフレットのご紹介 ………………………………… 20
医薬品成分化合物シリーズ③ 試験研究用 神経系作用剤 パンフレット発行のご案内 ………………… 23
Phos-tag® SDS-PAGE ガイドブック 第 4 版 発行のご案内 ………………………………………… 25
〔化学大家〕「アレクサンドル・ポルフィリエビチ・ボロディン」 桜井 弘……… 28
esearchR
2
はじめに
オレキシンは、1998 年に柳沢、櫻井らによりオーファン G タンパク質共役型受容体(G-protein coupled receptor, GPCR)の内因性リガンドとして、同定された神経ペプチドである 1)。オレキシンを産生する神経細胞(オレキシン産生細胞)は、脳内視床下部外側野に特異的に存在し、オレキシンの脳室内投与実験において摂食量を増加させる作用があることから、発見当初は摂食行動を制御する神経ペプチドであると考えられていた。しかし、その後の遺伝学的研究から、オレキシン産生細胞を欠損させることで神経疾患であるナルコレプシーが発症することが明らかとなり、オレキシンは睡眠覚醒の制御に重要な役割を果たしていることが判明した 2)。オレキシンには、オレキシン A と B の 2 種類が存在し、オレキシン A はオレキシン 1 受容体(OX1R)とオレキシン 2 受容体(OX2R)に結 合 す る。 一 方、 オ レ キ シ ン B はOX2R に結合する。OX1R、OX2R ともに G タンパク質のサブクラスのうち Gq タンパク質に共役している 3)。
オレキシンの発見以降、オレキシン系の興味深い生理作用から、オレキシン受容体を標的とする創薬研究が盛んに行われるようになった 4a-c)。特にオレキシンシグナルは覚醒を司ることから、オレキシン受容体アンタゴニストが睡眠薬として有用であると期待され、これまでに様々な構造を有するオレキシン受容体選択、非選択的アンタゴニストが数多く見出されてきた(図1)4b, c)。2014 年には米国メルク社が見出した suvorexant5)が睡眠導入薬
(商品名:ベルソムラ)として日本にて承認され、販売に至っている。また、最近 OX1R がアルコールやコカイン、モルヒネなどの依存形成に深く関与していることが相次いで報告され、OX1R 選択的アンタゴニストは依
存症治療薬としても期待が持たれている 6)。
オレキシン系は睡眠覚醒を調節するだけでなく、情動やエネルギーバランスに応じ、摂食行動も適切に制御している 6, 7)。また、OX2R はレプチン感受性を向上させることにより、体重の恒常性にも関与する 8)。これらのことから、オレキシン受容体アゴニストは糖尿病、肥満およびメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の治療薬として期待されている。しかしながら、オレキシン受容体アゴニストとしては、改変型ペプチドである [Ala11, D-Leu15]-orexin B9)と SB-66887510)がOX2R 選択的アゴニストとして報告があるのみであり、非ペプチド性アゴニストについては特許 11)を含め十分な活性、選択性を示すものはなく、その薬物としてのポテンシャルは明らかになっていない。そのため、OX1R, OX2R共に薬理作用が十分解明されたと言うことはできない。
オレキシンとナルコレプシー
オレキシンが最も密に関与する疾患としてナルコレプシーがある。ナルコレプシーは、正常な睡眠覚醒パターンが維持できず、睡眠覚醒のステージが
頻繁に移り変わる難治性の睡眠障害であり 12)、日中の耐え難い眠気(睡眠発作)、情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚、睡眠麻痺を主症状とする。日本での有病率は 600 人に1人(0.16%)であり、決して稀な疾患ではない。疫学的な知見としては、ヒトナルコレプシー患者の 9 割で脳内オレキシン量の減少が見られており、ナルコレプシーはオレキシン欠乏により発症すると考えられている 13, 14)。これまでのマウスを用いた遺伝学的実験においては、OX1R 欠損マウスではナルコレプシー症状は見られないのに対し、OX2R 欠損マウスではその症状を発症することから、ナルコレプシーの発症には OX2R が介するシグナルが重要であることが示唆されている 15)。また、オレキシン欠損マウスや後天的にオレキシンを欠損させたマウスでは、オレキシンの脳室内投与によりナルコレプシー症状が改善することが報告されている 16)。
本稿では、ナルコレプシーをはじめとするオレキシンの関与する疾患の治療薬の創製を目指した、非ペプチド性オレキシン受容体アゴニスト、特にOX2R 選択的アゴニストの創薬研究ならびにその薬理作用について紹介する 17)。
睡眠覚醒を制御する世界初の分子:オレキシン2受容体作動薬YNT-185の創製
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 斉藤 毅、長瀬 博
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
図1. オレキシン受容体アンタゴニストの化学構造式
esearchR
3
YNT-185の発見
オレキシン受容体を標的としたアゴニストのハイスループットスクリーニング(HTS)は、共同研究者の柳沢らによりテキサス大学サウスウエスタン校所有の化合物ライブラリーを用いて実施された。オレキシン受容体は、主に Gq タンパク質に共役することから、カルシウムイオンを指標とする評価系を用いた。その結果、アリールスルホンアミド構造を有する2つの HTSヒット化合物 1,2を見出した(図2)。化合物 1および 2の活性は、OXA の活性を 100% とした際、レポーターアッセイでそれぞれ 36%、43% であったが、カルシウムアッセイでは活性を確認することは出来なかった。また、これらの HTS ヒット化合物は加水分解性を有する問題があった。しかし、スルホンアミドは、カルボキシアミドとは異なりアミド結合の回転自由度が高く、受容体とのファーマコフォア結合の確率が向上する可能性が高いため、化合物 1および 2のアリールスルホンアミド構造を基盤として、作動活性と安定性の向上を目指した Hit to
Lead 研究を展開した。これまでに、多くの研究グループに
より数多くのアンタゴニストが創製されてきたが、未だアゴニストの創製には至っていない。その理由として、多くのアンタゴニストの構造がオレキシン A, B の共通必須アミノ酸配列に比較して極端に小さいことに注目した。そこで我々は、アゴニストの構造を、既存のアンタゴニストより大きくする創薬アプローチを採用した。この仮説に立ち、種々の誘導体の設計・合成を行った結果、OX2R 選択的に完全作動活性を示す YN-1055を見出した(EC50 = 23 nM for OX2R, Emax=98%)。しかし、YN-1055はin vitro において十分な活性を示したものの、水への溶解性が極めて低く、またその塩も難溶性であったことから、in vivo での薬効試験は困難であった。そこで、水溶性を促進する置換基の導入を試みたところ、m 位にN, N- ジメチルアミノ基を導入した YNT-185が、YN-1055と同等の活性、受容体選択性を示すことを見出した(EC50=28 nM for OX2R, Emax=100%)。YNT-185は、塩酸を 2当量用いて塩化することで 2 塩酸塩
(YNT-185・2HCl)を形成し、高い水
溶性を示した。YNT-185・2HCl は生理食塩水にも 1.3 M という高濃度で溶解し、その至適 pH は 2.3 であり、浸透圧は 350 Osm であった。
OX2R アゴニストとOX2Rのドッキングシミュレーション
我々の OX2R アゴニストの発見と時を同じくして、OX2R と非選択的オレキシン受容体アンタゴニストsuvorexant との X 線結晶構造解析の結果が報告された 18)。そこで、最も強力な活性を示した YN-1055について、ドッキングシミレーションを実施した。
Suvorexant は、受容体活性化に必要な TM5 と TM6 の内向きの構造変化を馬蹄形に張り出したジアゼパン部位が妨げることで拮抗作用を発現しているとされる(図3)。一方で、我々のシミュレーションでは、YN-1055はスルホンアミド構造のねじれ角を利用し、suvorexant のジアゼパン部位が占有していた領域を避けるように配置していることがわかった。一般にGPCR の作動には TM5 と TM6 の内向きの構造変化が必要であることが知
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図2. HTS ヒット化合物 1, 2 と YN-1055, YNT-185 の構造図3. Suvorexant と YN-1055、OX2R のドッキングシミュレー
ション
4
られており、YN-1055と受容体とのシミュレーションでは TM5 と TM6の内向きの構造変化を受け入れられる相互作用様式であることがわかる。この差により我々の分子デザインした化合物は作動活性を誘導しているものと考えられる 17, 19)。なお、興味深いことに、YN-1055のスルホンアミド基をカルボキシアミド基に置換した化合物ではほとんど OXR に活性を示さなかった。この事実は、スルホンアミドを重要官能基として選択した我々の分子設計が正しかったことを示している。
YNT-185のin vivo 薬理作用
上記水溶性アゴニスト YNT-185・ 2HCl を用い、マウスを用いたin vivo薬理評価を行った。薬液は、生理食塩水に溶解した YNT-185・2HCl を用い、vehicle としては塩酸酸性生理食塩水を用いた。オレキシンは前述のように、睡眠覚醒の制御に関与しており、本稿では薬物投与が覚醒に与える影響について紹介する。明期中盤(ZT-6)、睡眠中の野生型マウスの脳室内にYNT-185・2HCl(300 nmol/6.0 µL)を脳室内(icv.)投与し、その後三時間の睡眠時間に与える影響について観察した(図4)。Vehicle を投与したマウスは、脳波および筋電図に変化はほとんど見られず、睡眠を継続していたが、YNT-185を投与したマウスでは投与後速やかに覚醒が誘導され、そ
の後一時間程度覚醒を維持していた。また、YNT-185により誘導される覚醒時間は濃度依存的に延長することが確認された(図5)。一方で、オレキシン受容体を欠損させたマウスでは、アゴニスト投与による覚醒時間の延長は見られなかった。YNT-185は icv. 投与で奏功を示し
たため、続いて本化合物の腹腔内(ip.)投与下での薬効を確認した。その結果、icv. 投与実験と同様に、vehicle投与では覚醒時間の延長は見られなかったのに対し、薬液投与下では 40, 60 mg/kg において優位に覚醒時間が延長された(図6)。また、受容体欠損マウスではその作用は見られなかっ
た。これらの結果から、YNT-185は確かにオレキシン受容体を介して覚醒を誘導、維持しており、腹腔内投与で活性を示したことから血液脳関門透過性を有することが強く支持された。
最後に
我々は睡眠覚醒を制御するオレキシン受容体を標的とした創薬研究を通して、世界に先駆けin vivo で効果を示す水溶性で血液脳関門透過性を有するOX2R 選択的アゴニスト YNT-185・ 2HCl を見出した。また、本稿では紹介できなかったが、YNT-185は共同研究者の柳沢らにより、ナルコレプ
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
図4. YNT-185 の icv. 投与時のヒプノグラム
図5. YNT-185・2HCl 脳室内投与が覚醒に与える影響(「MEDCHEM NEWS 26 巻 No.2 90-96 頁」より転載)
図6. YNT-185・2HCl 腹腔内投与が覚醒に与える影響(「MEDCHEM NEWS 26 巻 No.2 90-96 頁」より転載)
ZT-6 ZT-9投与後3時間
REM睡眠
NREM睡眠覚醒
REM睡眠
NREM睡眠覚醒
覚醒
覚醒
Vehicle投与(6.0 µL)
YNT-185投与(300 nmol/6.0 µL)
5
非ペプチド性オレキシン2受容体アゴニスト非ペプチド性オレキシン2受容体アゴニスト
●外観: 白色~わずかにうすい褐色、結晶性粉末~粉末
●含量(HPLC):98 . 0%以上●溶解性:生理食塩水(pH 2 . 4)…1. 3mol/ℓ1)
●EC 50:OX 2R…0. 028μmol/ℓ(free base)1)
OX 1R…2. 750μmol/ℓ(free base)1)C33H37N5O5S・2HCl・nH2O
(C33H37N5O5S・2HCl=688.66)CAS No. 1804978-82-2(無水物)
CH3
CH3
O
HN
HN
NH
O OS
H3CN
CH3OH3C
N
O
・HCl ・HCl ・nH2O
〔参考文献〕1) Nagahara, T., Saitoh, T., Kutsumura, N., Irukayama-Tomobe, Y., Ogawa, Y., Kuroda, D., Gouda, H., Kumagai, H., Fujii, H., Yanagisawa, M.
and Nagase, H. : J. Med. Chem., 58 , 7931(2015).
シーモデルマウスでもその症状を劇的に改善する結果を得ている。今後、オレキシンの関連する疾患の治療薬開発ならびにオレキシン受容体の薬理学研究において重要な化合物となると期待している。
謝 辞
本稿で紹介した研究成果は、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)に端を発し、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の重要研究課題として、多くの合成化学者と薬理学者との共同研究の末、成し得たものである。また、計算科学については昭和大
学薬学部 合田浩明教授にご協力いただいた。柳沢正史教授をはじめ、プロジェクトメンバーの皆様に心から感謝いたします。
〔参考文献〕 1) Sakurai, T. et al . : Cell , 92, 573 (1998). 2) Chemelli, R. M. et al . : Cell , 98, 437 (1999). 3) Zhu, Y. et al . : J. Pharmacol. Sci ., 92, 259
(2003). 4) a) Boss, C. et al . : J. Med. Chem., 52, 891
(2009)., b) Lebold, T. P. et al . : Bioorg. Med. Chem. Lett . 23, 4761 (2013)., c) Boss, C. et al . : Bioorg. Med. Chem. Lett . 25, 2875
(2015). 5) Cox, C. D. et al . : J. Med. Chem. 53, 5320
(2010). 6) Sakurai, T. : Nat. Rev. Neurosci . 15, 719
(2014). 7) Yamanaka, A. et al . : Neuron, 38, 701 (2003).
8) Funato, H. et al . : Cell Metab., 9, 64 (2009). 9) Asahi, S. et al . : Bioorg. Med. Chem. Lett .,
13, 111 (2003).10) Soffin, E. M. et al . : Neuropharmacology, 46,
1168 (2004).11) Yanagisawa, M. : US 8871794.12) American Psychiatric Association : “American
Psychiatric Association. Diagnostic and statistical manual of mental disorders, 5th ed.,” Amer psychiatric Pub. (2013).
13) Nishino, S. et al . : Lancet , 355, 39 (2000).14) Kubota, H. et al . : Sleep, 26, 555 (2003).15) Willie, J. T. et al . : Neuron, 38, 715 (2003).16) Mieda, M. et al . : Proc. Natl. Acad. Sci.
USA., 101, 4649 (2004).17) a) Nagahara, T., et al . : J. Med. Chem., 58,
7931 (2015)., b) Saitoh, T. et al . : Medchem News, 26, 90 (2016).
18) Yin, J. et al . : Nature , 519, 247 (2015).19) Heifetz, A. et al . : J. Med. Chem., 58, 7928
(2015).
関連商品
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
YNT-185・2HCl
コード No. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円)254-00641
YNT-185 Dihydrochloride Hydrate 細胞生物学用 5mg 14,000
250-00643 100mg 140,000
コード No. メーカーコード 品 名 規格・
メーカー 容量 希望納入価格(円)
オレキシン受容体アゴニスト
013-24771 ー [Ala11, D-Leu15]-Orexin B 細胞生物学用 1mg 53,000
194-17221 ー SB-668875 細胞生物学用 1mg 65,000オレキシン159-03161 ー Orexin A(Human) 細胞生物学用 0.1mg 20,000156-03171 ー Orexin B(Human) 細胞生物学用 0.1mg 14,500
153-03181 ー Orexin B(Rat, Mouse) 細胞生物学用 0.1mg 14,500
コード No. メーカーコード 品 名 規格・
メーカー 容量 希望納入価格(円)
オレキシン受容体アンタゴニストー 4558/10 EMPA Tocris 10mg 57,000ー 4558/50 50mg 262,000
104-00171 ー 10mg 25,000100-00173 ー JNJ 10397049 細胞生物学用 50mg 99,000108-00174 ー 250mg 370,000585-82244 1960/1 1mg 24,000581-82241 1960/10 SB 334867 Tocris 10mg 50,000587-82243 1960/50 50mg 244,000192-17761 ー SB-674042 細胞生物学用 5mg 23,000198-17763 ー 25mg 90,000
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
echnical Report
6
はじめに中枢神経系は神経細胞とグリア系細
胞から構成される。グリア系細胞は、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアに大別され、なかでもミクログリアは脳内免疫担当細胞として脳病態・損傷時における神経障害をいち早く感知して活性化される。活性化に伴いミクログリアはその数や形態を大きく変化させ、障害部位への遊走、死細胞の貪食、炎症性サイトカインなどの産生増加など様々な機能を発揮することから、種々の中枢神経系疾患への関与が示唆されている。ミクログリアは活性化されたときの形態や機能の変化が顕著であるため病態脳・損傷脳における役割が注目されてきたが、近年のin vivo イメージング技術の進展により正常脳における役割も明らかになりつつある。ミクログリアが細く分岐した突起を頻繁に動かしている様子や、ニューロンのシナプスに触れる様子が観察され、静止型ミクログリアも脳内で活発に活動することが報告された 1, 2)。大脳皮質の発達過程では、シナプスの過剰な形成とその後の除去によりシナプス数が適切に維持されているが、ミクログリアによるシナプスへの接触は、シナプスの形成と除去のどちらにも関与する可能性が報告されている 3, 4)。本稿では、ミクログリアの役割について近年注目されている精神疾患への関与に焦点をあてて述べる。また、ミクログリアのマーカー分子である Iba1 抗体を用いた免疫組織染色例を紹介する。ミクログリアと精神疾患
近年、精神疾患患者の急速な増加が報告されている。これらの疾患患者は社会生活が困難になる場合が多く、病態解明と早期診断・治療法の開発が急がれている。自閉症スペクトラム障害
(ASD)を含む発達障害や統合失調症は、脳発達過程における神経回路形成の異常や神経機能維持機構の破綻がその病因の一つであると考えられてい
る。ヒトを含む霊長類では、新生児期からシナプス数が急速に増大し小児期にピークに達する。この過剰に作られたシナプスは、青年期を経て成人となる過程で“刈り込み”により減少し、成熟脳へと発達する。自閉症ではシナプス形成に比べて刈り込みが少なく、一方、統合失調症では刈り込み過剰が報告されており、生後発達過程におけるシナプス数変動パターンの異常がその病態発現に関与することが示唆されている。自閉症や統合失調症患者の脳内でミクログリアの増加や炎症関連遺伝子の発現増加が報告された(図 1)5-8)。ミクログリアの活性化を抑制するミノサイクリン投与により患者の症状が改善されることが報告されていることからも 9, 10)、これらの疾患の病態発現にミクログリアを介した神経回路形成及び機能維持機構の異常が関与している可能性が考えられる。
我々の研究グループでは、コモンマーモセットという小型霊長類に注目し研究を行っている。マーモセットは家族で生活し、育児の分担、社会的行動、コミュニケーションなどの様々な行動を観察することができるため、ヒ
トの社会的脳機能の理解のために有用な実験動物であると考えられる。また薬物代謝経路、生理学的・解剖学的特徴、発現遺伝子などがヒトと類似しており、さらに大脳皮質発達過程におけるシナプス数変動パターンがヒトと類似していることからも 11)、霊長類の機能的神経回路形成を理解するために有用な実験動物であると考えられる。我々はマーモセットの胎生期にバルプロ酸を暴露することで、自閉症様モデルマーモセットを作製した 12, 13)。このモデルマーモセットを用いて自閉症病態におけるミクログリアの役割を理解することは、将来的に自閉症を含めた精神疾患の病態理解・治療法開発につながるものと期待している。Iba1抗体を用いた免疫組織染色~齧歯類から霊長類まで~
Iba1(Ionized calcium binding adapter molecule 1)は、中枢神経系ではミクログリアに特異的に発現する約 17kDa のカルシウム結合タンパク質である 14)。抗 Iba1 抗体はミクログリアマーカーとして汎用されているが、最近この Iba1 抗体にビオチンあるいは赤色蛍光色素を標識した商品が
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
最近のミクログリア研究の動向と新しい標識 Iba1抗体国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 微細構造研究部 佐栁 友規
図1. 自閉症スペクトラム障害(ASD)患者脳における活性化ミクログリアの増加活性化ミクログリアに特異的に結合するトレーサー[11C]PK11195を用いたPETにより、自閉症患者脳内で活性化ミクログリアが増加していることが示された(文献8)。
Control subject
Subject with ASD
echnical Report
7
発売された。我々はマウス及びラットの脳切片を用いて、ビオチン標識及び赤色蛍光標識の抗 Iba1 抗体による免疫組織染色を行った(図 2)。その結果、いずれの標識抗体でもミクログリアがその細い突起まで染色されることが確認できた。また、ビオチン標識抗体はマーモセット脳切片にも使用可能であることが分かった。いずれの動物種の脳切片でも二次抗体使用時より非特異的染色性が低く、従来の二次抗体を使用した場合に比べ染色時間や手順も少なくなることから、使用用途の拡大が期待される。おわりに
ミクログリアは活性化状態における役割が注目されてきたが、近年の画像解析技術の進展により正常脳でも脳機能の維持や調節に積極的に関与するという知見が集まりつつある。本稿で紹介した新しい標識 Iba1 抗体は、ミクログリア研究の幅を広げることに寄与するだろう。ミクログリアはまだ多くの可能性を秘めた細胞であり、今後さらに新しい機能や役割が明らかになることが期待される。謝 辞
本稿で紹介した研究は、真鍋朋子さんのご協力により遂行されたものであり、深く感謝いたします。
〔参考文献〕 1) Nimmerjahn, A., Kirchhoff, F. and Helmchen, F. :
Science, 308, 1314 (2005). 2) Wake, H. et al . : J. Neurosci ., 29, 3974 (2009). 3) Schafer, D. P. et al . : Neuron, 74, 691 (2012). 4) Parkhurst, C. N. et al . : Cell , 155, 1596 (2013). 5) Vargas, D. L. et al . : Ann. Neurol ., 57, 67
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macol. Biol. Psychiatry, 34, 550 (2010).10) Siller, S. S. and Broadie, K. : Neural Plast .,
2012, 124548 Epub (2012).11) Ichinohe, N. : Neurosci. Res ., 93, 176 (2015).12) Kawai, N. et al . : Biol. Lett ., 10, 20140058
(2014).13) Yasue, M. et al . : Behav. Brain Res ., 292, 323
(2015).14) Imai, Y. et al . : Biochem. Biophys. Res. Com-
mun., 224, 855 (1996).
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
コード No. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円)016-26461 Anti Iba1, Rabbit, Biotin-conjugated 免疫化学用 100μℓ 45,000013-26471 Anti Iba1, Rabbit, Red Fluorochrome(635)-conjugated 免疫化学用 100μℓ 45,000
コード No. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円)019-19741 Anti Iba1, Rabbit(for Immunocytochemistry) 免疫化学用 50μg 30,000016-20001 Anti Iba1, Rabbit(for Western Blotting) 免疫化学用 50μg 30,000
抗 Iba1,ウサギ,ビオチン結合抗 Iba1,ウサギ,赤色蛍光標識(635)結合
図2. 標識 Iba1 抗体を用いた免疫組織染色マウス、ラット及びマーモセットの大脳皮質において、標識抗体によりミクログリアがその細い突起まで染色されることが確認できた。
コモンマーモセット 学名Callithrix jacchus。体長 20-30 cmの小型霊長類。霊長類の中でも繁殖効率が高く、生後18ヶ月ほどで性成熟し、妊娠期間は約150日、出産は年2回である。1産2仔が多いが、飼育環境下では3仔や4仔の場合もある。2009 年には霊長類で初めて遺伝子改変モデルマーモセットの作出に成功し、その後も種々の疾患モデルマーモセットの作製が活発に行われている。
シナプス 神経細胞間に形成される接合部位の構造。シグナル伝達などの神経活動に関与し、シナプスを介してニューロンが神経回路を形成することが正常な高次脳機能の発現に必要である。
ミクログリアマーカー抗体ミクログリアマーカー抗体
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赤色
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標識
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1 はじめに
細胞にはリボソーム RNA やトランスファー RNA、snoRNA など、タンパ ク 質 を コ ー ド し な い non-coding RNA (ncRNA)が存在することは古くから知られていたが、次世代シークエンス技術に代表される近年の解析技術の発展により、以前に考えられていたよりもはるかに多くの ncRNA が存在することが明らかとなってきた 1, 2)。また、その機能についても癌を含めた疾患との関係や、クロマチン状態制御、細胞内の構造体維持など多種多様な役割が明らかとなり、現在最も盛んに研究が行われている領域の一つとなっている 3, 4, 5)。ncRNA の機能を解析するには、ncRNA のノックダウンやノックアウト、強制発現による細胞や個体への影響を確認する実験とともに、ncRNA が働く分子メカニズムを明らかとする必要がある(図 1)。多くの ncRNA は、タンパク質と結合することにより機能を発揮していると考えられていることから、ncRNA の機能 を 分 子 的 に 解 明 す る た め に はncRNA に結合するタンパク質を知ることがとても重要である。ncRNA に結合するタンパク質を知るためには、目的の ncRNA とともに ncRNA 結合タンパク質を精製、質量分析を用いて同定する必要があるが、ここには大き
な二つの問題がある。一つ目は、目的の ncRNA 及びその結合タンパク質を精製する良い方法が確立されていないこと、二つ目は、ncRNA に限らず細胞内の長鎖の RNA には数百種類ものタンパク質が同時に結合しており、数百種類ものタンパク質を同時に同定する必要があることに加え、その中から実際に解析を行うタンパク質を選び出す必要があるが、その基準がないことである。以下、これら二つの問題に対する我々のアプローチを紹介する(図1)。
2 RNA結合タンパク質の同定方法
我々はまず、特定の ncRNA に結合するタンパク質を体系的に同定する方法の確立を目指した。ポジティブコントロールとして 5 種類のタンパク質
(CDK9, CyclinT, Hexim, LARP7, MEPCE) の 結 合 が 知 ら れ て い る、7SK-RNA という ncRNA を用い、結合タンパク質同定の確認実験を行った。一般に RNA とタンパク質複合体の精製には Biotin 化 RNA 及び、ストレプトアビジン付加ビーズを用いた方法が用いられていることから(図 2)、我々は、Biotin 標識化された 7SK-RNAを in vitro 転写により合成、293T 細胞ライゼートと混ぜ合わせ、ストレプトアビジン付加ビーズ(以下ストレプ
トアビジンビーズ)を用い 7SK-RNA結合タンパク質を精製、質量分析を用い結合タンパク質を同定した。その結果、残念なことに Biotin 化 RNA 及び、ストレプトアビジンビーズを用いた 精 製 方 法 で は、LARP7 以 外 の、CDK9, CyclinT, Hexim, MEPCE は同定されなかった。ストレプトアビジンビーズは非常に多くの細胞由来タンパク質と結合し、それらが精製のバックグラウンドとして存在すること(図2)、また質量分析には、夾雑タンパク質が多いと目的のタンパク質が夾雑タンパク質に埋もれ同定が困難になるという性質がある。これらのことから我々は、既知 7SK-RNA 結合タンパク質の多くが同定できなかった原因としてストレプトアビジンビーズのバックグラウンドの高さにあると考え、新たな RNA 及び結合タンパク質精製方法を模索、バックグラウンドが低いことが知られている Flag-peptide-tag と抗Flag 抗体を用いた免疫沈降システム
(以下 Flag システム)に注目した。我々は Flag システムを RNA 結合タンパク質同定に応用するために、in vitro で 合 成 し た RNA の 3’末 端 にFlag ペプチドを化学的に付加(RNA-Flag)、抗 Flag 抗体を用い RNA を精製する方法を開発した(図 2,3)6)。次に、7SK-RNA を含む複数の RNAに つ い て RNA-Flag( ベ イ ト RNA)を合成、ベイト RNA と 293T 細胞ライ
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図1. ncRNA の解析の方向性と問題点 図2. 7SK-RNA を例とした ncRNA 結合タンパク質の同定例
ncRNAの機能解析 ~結合タンパク質を求めて~産業技術総合研究所 創薬分子プロファイリング研究センター 機能プロテオミクスチーム 足達 俊吾
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ゼートを混ぜ合わせ、抗 Flag 抗体を用いベイト RNA 及び結合タンパク質を精製、質量分析を用いそれぞれのベイト RNA に結合するタンパク質を網羅的に同定した。その結果、どのベイト RNA を用いた場合にも数百種類のタンパク質が同定されたが、既知の7SK-RNA 結合タンパク質 5 種類については、7SK-RNA をベイトとして用いた場合のみに特異的に同定されていることが明らかとなった(図 3)。この結果は、目的の RNA を含む複数のベイト RNA を用意し、それぞれに結合するタンパク質を網羅的に同定、その中から目的 RNA 特異的に結合するタンパク質を抽出することにより、重要な RNA 結合タンパク質が同定できる事を意味している。我々はこの方法を 用 い LDLR-mRNA の 3’UTR 領 域
(広義の ncRNA 領域)に特異的に結合、LDLR-mRNA の安定性を制御するタンパク質として ZFP36L1/L2 の同定にも成功 6)、結合特異性を指標に重要なRNA 結合タンパク質を同定するこの方法を iSRIM 法(in vitro specificity based RNA regulatory protein identi-fication method)と名付けた。以上のように我々は、バックグラウンドの低い RNA 精製方法の使用と、複数のベイト RNA 間での結合タンパク質を比較することにより上記の 2 問題の解決に成功した。以下にそれぞれの実験上のポイントをまとめた。
3 バックグラウンドの少ないRNA精製のためのポイント
バックグラウンドを少なくするための対策としては、上記のように精製システムそのものの選択も重要であるが、Biotin 化 RNA を用いる際でも別の方法が存在する。我々は最近、和光純薬工業から販売されている Tamavidin®
2-REV Magnetic Beads(以下 Tama-vidin® 2)による Biotin 化分子の精製システムを用いた実験を行っている。Tamavidin® 2 はストレプトアビジンビーズに比べ、バックグラウンドが低く(図 4)、実際に Tamavidin® 2 を用い Biotin 化 7SK-RNA の結合タンパク質の同定実験を行ったところ、ストレプトアビジンビーズを用いた場合には同定が困難であった5種類の既知7SK-RNA 結合タンパク質全ての同定に成功している。Flag 化 RNA を用いる方法については、現状どの研究室でも使えるわけではないことから、RNA 結合タンパク質の同定を考えて おられる研究者にとって有用なツールであると考えられる。ただ、興味深いことに Tamavidin® 2 は、すべての Biotin 化分子と均一に結合するわけではなく、ある種の Biotin 化分子について結合が弱くなることが知られており、我々の研究室でも確認している。このことから、Tamavidin® 2
を用いる際にはまず、使用する Biotin化分子との結合を確認することをお勧めする。
また、特定の精製システムを用いるとしても精製に用いるビーズの種類によって大きく差が出るため、適切なビーズを選択する必要がある(例えば、一般的にはアガロースビーズよりも磁気ビーズの方がよりバックグラウンドが少ない)。そして、ビーズの量やベイト量の調節も重要な要素となりうる。ビーズ量が少なければ、バックグラウンドが減る一方、ビーズ量を減らしすぎると当然ながら精製できるベイト RNA 量が減ってしまい、結合タンパク質の同定が困難となる。さらに、使用するベイト量が多すぎることもマイナスに働きうる。これまでの経験上、RNA 結合配列特異性の高いタンパク質(= 目的のタンパク質)は結合配列特異性の低いタンパク質と比べ細胞内の存在量が少ない事が多く、一定以上のベイト RNA 量を用いた場合、配列特異性の高いタンパク質の精製量は頭打ちとなり、配列特異性の低いタンパク質のみが増え、結果的に配列特異性の高いタンパク質(= 目的のタンパク質)の同定を妨げることになる(筆者らは通常 1 × 107 個程度の細胞のライゼートを用いる際、細胞内のmRNA の総量よりはるかに少ない量である 1pmol 程度のベイト RNA を用いて実験を行っている)。
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図3. 比較による重要な RNA 結合タンパク質の同定 図4. Tamavidin magnetic beads を用いた解析例
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4 重要な結合タンパク質を選び出すためのポイント
上述のように、1種類の RNA には数百種類もの RNA 結合タンパク質が結合していることから、同定された全てのタンパク質を解析することは不可能である。結合量の多いタンパク質から解析するという考え方もあるが、細胞内に多く存在し、RNA 結合配列特異性の低いタンパク質は1種類のRNA 上に複数結合している結果である可能性が高いため、ncRNA の機能として RNA スポンジ 7, 8)などを想定している場合を除き、結合量の多いタンパク質を解析することは必ずしも賢明な策とも言えない。我々は、上述のように複数の RNA 間で結合タンパク質を比較し特異性を基準に解析すべきタンパク質を選ぶことが最も有効であると考えている。比較対象の RNA としては例えば、目的 ncRNA と明らかに機能が異なると考えられる ncRNAや、目的 ncRNA の相補配列、ncRNA上の機能エレメントが明らかな場合はその領域を欠損させた欠損変異体をベイトとして用いる事などが考えられる
が、いずれの場合でも可能なかぎりベイト RNA 量や長さが同じになるように配慮することが重要である。当然ながら、ビーズのみの mock との比較は適切とは言えない。
5 今後の可能性
本稿では、ベイト RNA を合成し、in vitro においてベイト RNA と結合するRNA結合タンパク質を細胞ライゼート中から精製、同定する方法を紹介したが、最近、複数のアンチセンスオリゴを用いて内在性の RNA と結合するタンパク質を精製する方法として、CHART 法や CHARP 法などが開発され、実際に RNA 結合タンパク質の同定に威力を発揮している 9, 10, 11, 12, 13)。このような実験においても、上述したポイントの重要性は変わらないか、特に目 的 ncRNA の 長 さ が 長 い 場 合 やncRNA の発現量が少ない場合は、より重要性が増すと考えられる。
〔参考文献〕 1) Hirose, T. et al . : EMBO Rep., 15, 489 (2014). 2) Cech, T. R. and Steitz, J. A. : Cell , 157, 77
(2014). 3) Ulitsky, I. et al . : Cell , 147, 1537 (2011). 4) Lee, J. T. : Science, 338, 1435 (2012).
5) Batista, P. J. and Chang, H. Y. : Cell , 152, 1298 (2013).
6) Adachi, S. et al . : Nucleic Acids Res ., 42, 10037 (2014).
7) Dickson, A. M. and Wilusz, C. J. : Wiley Interdiscip Rev RNA., 1, 173 (2010).
8) Tay, Y. et al . : Nature , 505, 344 (2014). 9) Ideue, T. et al . : Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
109, 5693 (2012).10) Simon, M. D. et al . : Nature , 504, 465 (2013).11) Quinn, J. J. et al . : Nat. Biotechnol ., 32, 933
(2014).12) Engreitz, J. M. et al . : Cell , 159, 188 (2014).13) Chu, C. et al . : Cell , 161, 404 (2015).
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コード No. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円)
297-77501MagCaptureTM RNA Pull Down Assay Kit
(キット内容)Capture Magnetic Beads, Wash Buffer, Cell Lysis Buffer, Reconstitution Buffer, Biotin Elution Buffer
遺伝子研究用 10回用 58,000
136-18341 MagCaptureTM Tamavidin® 2-REV 遺伝子研究用 2mℓ 40,000
133-18611 MagCaptureTM HP Tamavidin® 2-REV 遺伝子研究用 2mℓ 58,000
MagCaptureTM シリーズ
ライセンスについて・・・Tamavidin®は日本たばこ産業株式会社の登録商標です。Tamavidin® 2は日本たばこ産業株式会社からライセンスを受けて販売しています。
タマビジン磁気ビーズタマビジン磁気ビーズ
質量分析分子の正確な質量を測定することにより、タンパク質を同定する方法。現在では一度の解析により数千タンパク質の同定、さらに定量が可能となっている。
Tamavidin®
タモギ茸より抽出されたBiotin結合タンパク質。Streptavidinと同様 Biotin化分子の精製に用いられる。
7SK-RNA細胞内に多量に存在する有名なncRNAの一つ。転写の活性に関わる。
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1 はじめに
19 世紀に、膵臓中にリパーゼの存在が確認され、リパーゼは、アミラーゼ、プロテアーゼとともに重要視され、産業的には医薬用消化酵素、診断薬、洗剤、食品加工、キラル合成などに利用されてきている 1, 2)。またそれ以外にも近年グリーンケミストリーの観点から、酵素や微生物などの生体触媒の利用は注目されており、特に光学活性な化合物を得る手法としてリパーゼは広く利用され、多くの研究成果が報告されている 3)。実用例では不二製油で行われたカカオ油脂の製造(1988年)や、田辺製薬によるジルチアゼム
「ヘルベッサー」の中間体の光学活性体の製造(1993 年)にリパーゼが利用されてきた 4)。1980 年以前は、合成医薬品中でキラルな化合物の殆どはラセミ体であったが、ラセミ体で上市するためには科学的根拠を要求されるようになったことから、光学活性な医薬品の割合が増えている。光学活性体の製造の中で、ラセミ体の分割に生体触媒が利用される場合、収率が最大でも 50 % であり、経済的にも環境面からも大きな問題となる。近年では、動的光学分割(DKR=Dynamic Kinetic Resolution)と呼ばれる、酵素とともに金属触媒等を作用させて、ラセミ化させながら目的の鏡像体に収束させる
(理論収率 100 %)手法がいくつか報告されている 5)。
リパーゼやプロテアーゼを代表とする加水分解酵素は、比較的多くの種類の酵素が安価に入手可能であるため現在でも最も手軽に利用されている。リパーゼはタンパク表面が比較的疎水性のアミノ酸で構成されているために、有機化学で使用される一般的な有機溶媒中で失活せず安定である。有機溶媒中で使用できる酵素は、反応系に有機溶媒を添加したり水層との 2 層系にしたりすることで基質(または生成物)
の溶解度の向上、生成物阻害の回避、生成物の有機溶媒層(または水層)への除去、酵素液の再利用などができる可能性があるため反応系をデザインする上で選択肢が大きく広がる。本稿では主に光学活性体製造用途における各種リパーゼの利用について、その特徴と有効性を紹介する。
2 リパーゼの特徴
リパーゼは脂質のエステル結合を加水分解する酵素の総称である(EC 3.1.1.3)。リパーゼは脂肪酸とグリセリンからなるトリグリセリドを基質として、加水分解、合成、または転移反応を行う。リパーゼは基質であるトリグリセリドの多様性から、分解特異性が異なる数多くの種類が知られている。リパーゼの基質特異性は次のように分類される 6)。
【位置特異性】リパーゼがトリグリセリドに作用し
て脂肪酸を遊離する時に、どの位置のトリグリセリド(1 位、2 位、3 位)を加水分解するのかはリパーゼの種類により異なる。Lipase AS “Amano” や Lipase M “Amano” 10 が比較的に1,3 位特異的に分解し、Lipase AYS
“Amano”は非特異的に分解する特徴をもつ。また Lipase G “Amano” 50はトリグリセリドに作用しないがジグリセリド、モノグリセリドに作用するユニークな酵素である(表1)。
【脂肪酸の鎖長特異性】トリグリセリドに結合している脂肪
酸の鎖長(炭素数)は 2 ~ 24 前後と幅が広い。短鎖の脂肪酸結合、あるいは中鎖の脂肪酸結合及び長鎖の脂肪酸結合を良く加水分解するリパーゼに分類される(表1)。
【反応様式】リパーゼの反応は可逆的であり反応
条件により、エステル結合の合成も触媒できる。加水分解、エステル化反応、エステル交換反応がある。
3 アマノリパーゼの紹介
リパーゼは主に脂質の加水分解反応に関わる酵素であるが、基質特異性が広く種々のエステル化合物に作用し、高い立体選択性を示す。その為アルコールやカルボン酸の光学分割に利用されている。ただしリパーゼの由来によってその立体選択性は大きく異なるので、要求される立体構造によって最も適した性能のリパーゼを選択することになる。リパーゼは動物以外にも、植物、微生物と広く分布しているが、その利用の多くが微生物由来のリパーゼとなっている。これは、遺伝子組換え技術等の菌株改良技術がすすみ、安定的に高発現させる製造技術が進んだ背景がある。また多種類のリパーゼが取得できるようになったことからその比較実験により、リパーゼの多様性が確認されつつある。一般的にBurkholderia cepacia 及び、Candida antarctica 由来のリパーゼ剤の研究報告が多いことが知られている。以下にアマノリパーゼとその特徴的な酵素についてまとめる(表1)。Lipase PS “Amano” SD
Lipase PS “Amano” SD は、Burkholderia cepacia 由来のアミノ酸数 320 のリパーゼでCandida antarctica 由来のリパーゼとともにキラル合成用途で研究報告例が多い酵素の一つである。選択性が非常に高いリパーゼであり、多数の報告例がある。スクリーニングを行う際にはまずは試してみる価値のある酵素剤である。Lipase AK “Amano”
Lipase AK “Amano”は、Pseudomonas fluorescence 由来のアミノ酸数 320 のリパーゼで、Lipase PS “Amano” SDほどではないが、キラル合成用途のリパーゼとして有用な酵素剤である。Lipase PS “Amano” SD と類似したアミノ酸配列であるが、選択性に違いがみられるためこちらも供に試すことを
リパーゼの特徴と有効性について天野エンザイム株式会社 佐藤 幸秀
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
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推奨する。Lipase AYS “Amano”
Lipase AYS “Amano” は Candida rugosa 由来の酵素剤でアミノ酸数は534 である。選択性は概して良くないが大きなアルコールで良い選択性を示すことがある。油脂の 3 つの位置のエステル結合を同程度に非特異的に加水分解することが大きな特徴である。
市販酵素剤の中には、粗酵素品の場合があり、複数の酵素が混合された状態で存在しているものもある。また賦形剤が含まれてタンパク質含量も数% に過ぎない酵素剤もあり扱いの際には注意が必要である。
4 酵素のスクリーニング例
先にも述べたとおり目的となる光学活性体を選択する方法として酵素を利用する場合、基質ごとに反応性を評価する必要がある。ここでは光学活性体を得るための酵素を選択する一例として加水分解とエステル交換反応によるスクリーニング例を以下に示す。≪加水分解反応≫
1mℓの終濃度 0.1M リン酸緩衝液(pH 7.0)に酵素粉末を 10mg 加えて溶解させる。さらに反応基質を 20mg加える。基質が不溶な場合は、そのまま懸濁させた状態で反応を行うか、数10%のアルコールやアセトンで混和させる方法をとることも可能である。一
晩撹拌させた後に、反応液を有機溶媒にて抽出して、TLC、GC、HPLC 等で生成物の有無や光学純度を確認する
(図 1,2)。またトルエンなどの水と混和しない有機溶媒を用いて水との 2相系を用いて行うこともできる。≪エステル交換反応≫
1mℓの有機溶媒(n- ヘプタン等)に反応基質を 20 mg 加えて溶解させる。さらに酢酸ビニル等のアシル化剤
を基質と等量モル以上加えて、酵素粉末もしくは固定化酵素を 10mg 加えて一晩撹拌反応させる。反応液からろ過や抽出により酵素を除いて、TLC、GC、HPLC 等で生成物の有無や光学純度を確認する(図 3,4)。
有用な酵素が選別された場合には、さらに反応を最適化させることになるが、基質濃度、酵素濃度、溶媒、反応温度、アシル化剤(エステル交換の場合)の種類等を検討することになる。なお反応系に有機溶媒を用いる場合には、タンパクの失活や立体選択性に影響を与えることが知られており、使用溶媒には注意が必要である。また最適な酵素が見つからなくても、新たな酵素をスクリーニングするのではなく基質の構造を変えることで解決できる場合がある。化学法と異なり基質濃度がどこまで上げられるかは酵素法の大きな問題点であり最低でも 5 ~ 10% が望まれる。
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リパーゼ 形態 油脂位置特異性 脂肪酸鎖長特異性
立体選択性報告例の数
Lipase AS "Amano" 粉末 1,3>>>2 短中鎖 ☆☆☆
Lipase AK "Amano" 粉末 1,3>2 短中長鎖 ☆☆☆☆
Lipase AYS "Amano" 粉末 無し 短中長鎖 ☆☆☆
Lipase G "Amano" 50 粉末 無し 中長鎖 ☆
Lipase M "Amano" 10 粉末 1,3>>>2 中長鎖 ☆
Lipase PS "Amano" SD 粉末 1,3>2 短中長鎖 ☆☆☆☆☆
Lipase PS "Amano" IM 固定化酵素 1,3>2 短中長鎖 ☆☆☆☆☆
表1. アマノリパーゼの性質
図4. エステル交換反応式例(* 不斉中心を示す)
図2. 加水分解反応式例(* 不斉中心を示す)
図1. 加水分解反応の操作概要 図3. エステル交換反応の操作概要
*1 : 水に混ざる有機溶媒 ; DMSO、アルコール、アセトン等*2 : 水に混ざらない有機溶媒 ; 酢酸エチル,ジエチルエーテル, クロロホルム等
反応組成20 mg 基質(もしくは有機溶媒で溶解*1)10 mg 酵素 1 ml 0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.0)
室温(もしくは30℃)で一晩反応
(有機溶媒で抽出*2)
TLC、GC、HPLCにより分析(変換率、光学純度を確認)
*1 : 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等*2 : n-ヘプタン、t-ブチルメチルエーテル、 イソプロピルエーテル等
反応組成20 mg 基質 アシル化剤*1(基質に対して等モル添加) 1 ml 有機溶媒*210 mg 酵素
室温(もしくは30℃)で一晩反応
抽出またはろ過
TLC、GC、HPLCにより分析(変換率、光学純度を確認)
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5 固定化酵素の利用
酵素の固定化は、有機溶媒中での反応性の向上、安定性の向上、繰り返し使用によるコストダウンなどが期待できることからプロセス開発における重要な項目となる。工業的には、抗生物質中間体である 6-APA の製造におけるペニシリンアシラーゼや光学活性アミノ酸製造におけるアミノアシラーゼなどが代表的な固定化酵素の実用化例である。
酵素の固定化には、一般的に担体結合法、架橋法、包括法が知られている。Lipase PS “Amano” IM は担体結合法により調製された固定化酵素であり、珪藻土に疎水的に吸着している。疎水結合による固定化酵素は立体構造の大きな変化を伴わずに結合していることが多い為、酵素本来の能力を維持できていることが多い。Lipase PS
“Amano” IM は従来の粉末品の Lipase PS “Amano” SD と比べてエステル交
換活性が非常に高く、有機溶媒耐性も高い固定化酵素であり、特に有機溶媒を用いた微水系の反応に適した固定化酵素である(図 5)。
6 おわりに
医農薬分野において光学活性体の需要は高く、簡便で効率的な光学活性体の製造法の確率は今後とも重要になっ
てくる。リパーゼの工業利用は、その目的にあったリパーゼを選択することが重要であるが、近年はバイオテクノロジー技術が進み、目的遺伝子の機能改変に関する報告が多くされている。今後は、有用な酵素を効率よく探索し、目的の基質にあったリパーゼに改変するなどテーラメイド酵素の開発に対応していく必要がある。
〔参考文献〕1) 井上國世 監修:「酵素応用の技術と市場 2015」
(シーエムシー出版)(2015).2) 日本酵素協会「日本高所産業小史」ワーキン
ググループ編」:「日本酵素産業小史」(日本酵素協会)(2009).
3) 吉岡龍臧 監修:「光学活性医薬品開発とキラルプロセス化学技術」(サイエンス&テクノロジー)(2011).
4) 国立科学博物館産業技術史資料情報センター編:国立科学博物館技術の系統化調査報告,14,(173)(2009).
5) 赤井周司:生産と技術,66(2),57 (2014).6) 天野エンザイム株式会社ホームページ http://www.amano-enzyme.co.jp/jp/
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コード No. 品 名 起 源 活 性 規 格 容 量 希望納入価格(円)015-26311
D-Aminoacylase Amano E. coli ≧ 5.0 Munits/g 有機合成用10Munits 13,000
011-26313 50Munits 32,000125-06541
Lipase AK Amano Pseudomonas fluorescens
≧ 20,000 FIP units/g 有機合成用
10g 6,500121-06543 50g 18,500129-06561
Lipase AS Amano Aspergillus niger
≧ 12,000 units/g 有機合成用
10g 6,000125-06563 50g 13,000122-06551
Lipase AYS Amano Candida cylindracea
≧ 30,000 units/g 有機合成用
10g 4,500128-06553 50g 10,500121-06521
Lipase G Amano 50 Penicillium camemberti
≧ 50,000 units/g 有機合成用
10g 7,500127-06523 50g 16,000328-58341
Lipase M Amano 10 Mucor javanicus − ワコーケミカル10g 3,300
324-58343 50g 7,000128-06531
Lipase PS Amano SD Burkholderia cepacia
≧ 23,000 FIP units/g 有機合成用
10g 5,500124-06533 50g 14,000127-06501 Lipase PS IM Amano, Immobilized on
Diatomaceous Earth Burkholderia
cepacia ≧ 500 units/g 有機合成用 5g 5,000
125-06502 25g 12,000
アマノリパーゼ
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
No treatment
Isopropyl ether
Toluene
t-Methyl butylether
Tetrahydrofurane
Acetone
4-Methyl-2-pentanone
Ethyl acetate
1,4-Dioxane
t-Butanol
Methanol
DMSO
Relative conversion rate (%)
図5. 各有機溶媒に対する L i p a s e P S “AMANO” IM の安定性25℃、24 時間で各有機溶媒処理した後のエステル交換活性の残存率
P ro d u c t s
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
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14和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
リパーゼ触媒による動的光学分割法 V-MPS4通常、加水分解酵素であるリパーゼを利用した反応は、
ラセミ体のうちの片方の鏡像異性体だけを反応させるため、生成物の収率は最大 50% になります。
本品は、メソポーラスシリカにオキソバナジウム化合物を担持した触媒で、リパーゼと同一の反応系で使用すると、ラセミ体アルコールから 1 つのエナンチオマーのみを収率 100%で得ることができます。
反応例2, 3)
■ 抗菌剤(+)-タニコライドの不斉全合成の鍵中間体(R)-4の合成への応用
従来法より短工程、高収率に(R)-4の合成に成功した。
〔参考文献〕1) Egi, M., Sugiyama, K., Saneto, M., Hanada, R., Kato, K. and Akai, S. :
Angew. Chem. Int. Ed., 52 , 3654 (2013).2) 赤井周司 : 生産と技術, 66 , 57 (2014).3) Fujioka, H., Matsuda, S., Horai, M., Fujii, E., Morishita, M., Nishiguchi, N.,
Hata, K. and Kita, Y. : Chem. Eur. J ., 13 , 5238 (2007).
再販のお知らせ 乾燥用 青色シリカゲル本品は、インジケーターに塩化コバルトを使用した、乾
燥用シリカゲルです。シリカゲルが吸湿することにより、青色から桃色に色が
変化します。吸湿したシリカゲルは加熱することで再生し、再利用可能です。
■ 吸湿による色調変化相対湿度: 0% 20% 50% 90%
シリカゲル 青(塩化コバルト)
関連商品乾燥用コバルトフリーシリカゲル
インジケーターに有機系色素(テトラフェニルリンポルフィリン二塩化物塩)を使用しています。
シリカゲルが吸湿することにより、緑色から桃色を経て橙色に変化します。相対湿度: 0% 20% 50% 90%
シリカゲル 緑(コバルトフリー)[再生時の注意]130℃以上で加熱した場合、インジケーターが分解し正しい湿度を示さない恐れがありますので、130℃以下で乾燥して下さい。加熱の目安は2時間です。
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 容量 希望納入価格(円)
199-18295 Silica Gel, Small Granular, Blue(粒径:約1-3mm) 500g 1,800
192-18305Silica Gel, Medium Granular, Blue
(粒径:約2-5mm)
500g 1,650 190-18301 3kg 9,800 198-18307 12.5kg 照 会192-18285 Silica Gel, Large Granular, Blue 500g 1,650 198-18287 12.5kg 照 会
コードNo. 品 名 容量 希望納入価格(円)緑色
196-16625 Silica Gel, Small Granular, Green(粒径:約1.2-2.4mm) 500g 2,900
190-16645Silica Gel, Medium Granular, Green
(粒径:約 1.7-4.0mm)
500g 2,600198-16641 3kg 15,000196-16647 12.5kg 照 会194-16665 Silica Gel, Large Granular, Green
(粒径:約 3.35mm 以上)500g 2,700
190-16667 12.5kg 照 会混合,緑色
193-16635 Silica Gel, Small Granular, Mixed(Green) (粒径:約1.2-2.4mm) 500g 3,500
197-16655 Silica Gel, Medium Granular, Mixed(Green) (粒径:約1.7-4.0mm)
500g 2,900193-16657 12.5kg 照 会191-16675 Silica Gel, Large Granular, Mixed
(Green) (粒径:約 3.35mm 以上) 500g 3,400
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
228-02341V-MPS4 有機合成用
1g 16,000
224-02343 5g 50,000
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
オキソバナジウムによる1,3-転位を伴うラセミ化
リパーゼによる化学選択的並びにエナンチオ選択的エステル化
従来法(北-藤岡らの(+)-tanikolideの不斉全合成)
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15和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
超高活性酸化触媒シリーズ nor-AZADOAZADO シリーズは、TEMPO 酸化の 20 倍以上の活性
を示す超高活性酸化触媒です。通常では、TEMPO 酸化で反応が進行しない立体障害の大きな 2 級アルコールの酸化が、AZADO シリーズを用いることにより可能となります。また、反応速度が速いため、TEMPO 酸化に比べ副反応生成物が少ない点が特長として挙げられます。
この度、nor-AZADO の大容量を追加しました。
反 応 例
①NaOClを用いたAZADO酸化
②空気酸化反応
③天然物合成への応用
〔参考文献〕1)岩渕好治:和光純薬時報,75 (1),2 (2007).2)岩渕好治:Organic Square,29,2 (2009).3)岩渕好治:Organic Square,45,2 (2013).4)澁谷正俊,岩渕好治:和光純薬時報,84 (1),8 (2016).
関連商品酸化触媒
AZADOL® は、日産化学工業株式会社の登録商標です。
共酸化剤
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
010-24921 100mg 4,600
016-24923 AZADOL® 有機合成用 1g 14,000
014-24924 5g 48,000
048-33891DMN-AZADO 有機合成用
100mg 11,000
044-33893 500mg 37,000
132-15261 1-Methyl-2-azaadamantane-N-oxyl
【1-Me-AZADO】 有機合成用
100mg 8,500
138-15263 500mg 29,000
209-195012,2,6,6-Tetramethyl-1-piperidinyloxy, Radical
【TEMPO】 危
5g 6,700
207-19502 有機合成用 25g 20,000
205-19503 100g 65,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
012-24981
nor-AZADO 有機合成用
100mg 10,000
016-24984 1g 16,000
012-24986 5g 65,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
197-02206Sodium Hypochlorite Solution 化学用
500mℓ 850
195-02207 20kg 照 会
195-17212 Sodium Hypochlorite Pentahydrate
結晶タイプ和光一級
25g 2,300
199-17215 500g 4,500
049-32961
(Diacetoxyiodo)benzene
5g 3,000
047-32962 有機合成用 25g 7,500
045-32963 250g 40,000
NEW
NEW
TEMPO AZADOL® 1-Me-AZADO
nor-AZADO DMN-AZADO
0.003 mol% nor-AZADONaOCl (1.5 eq.)
KBr (10 mol%), n-Bu4NBr (5 mol%)
sat. NaHCO3-CH2Cl2, 0℃, 40 min, 92%
Air (balloon), 99 %
1 mol% nor-AZADONaNO2 (20 mol%), AcOH (2 eq.)
MeCN, rt, 4 h,
nor-AZADO
CH2Cl2, rt, 93%
stepsPhI(OAc)
2
(-)-Acetylaranotin
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16和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
品目追加 RAFT剤本品は、制御リビングラジカル重合手法の一つである
RAFT 重合に用いられる連鎖移動剤です。分子量の分布範囲が狭いポリマーの合成に有効です。
特 長● 分子量の分布範囲が狭いポリマーを合成可能● 反応系にハロゲン・重金属を含まないため低環境負荷な
重合法● 適したRAFT剤(連鎖移動剤)を用いることで、広範
囲のラジカル重合性モノマーの重合制御が可能● 水やイオン性物質の影響を受けにくい重合系であるた
め、官能基をもつモノマーや水系での重合にも比較的容易に適用可能
反 応 例
〔参考文献〕1)Kang, H. et al . : Polym. Sci. A : Polym. Chemi ., 53 , 1777 (2015).
RAFT剤 試薬セット5種類のトリチオカルボネート型RAFT剤のセットです。共役モノマーのスクリーニングにご利用下さい。
セット内容: 上記価格表 No. 3、4、7、11、12の化合物各1gのセット
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No. コードNo. 品 名 規格/メーカー 容量 希望納入価格(円)
1357-40901 Bis(dodecylsulfanylthiocarbonyl)
disulfide ワコー
ケミカル1g 11,000
353-40903 5g 40,000
2029-17961 Bis{4-[ethyl-(2-hydroxyethyl)
carbamoyl]benzyl} Trithiocarbonate有機
合成用5g 7,000
027-17962 25g 16,000
3358-40931 4-[(2-Carboxyethylsulfanylthiocarbon
yl)sulfanyl]-4-cyanopentanoic Acid
ワコーケミカル
1g 17,000
354-40933 5g 57,000
4037-24651 2-{[(2-Carboxyethyl)
sulfanylthiocarbonyl]sulfanyl}propanoic Acid
有機合成用
1g 11,000
033-24653 5g 40,000
5354-40911 2'-Cyanobutan-2'-yl 4-Chloro-3,5-
dimethylpyrazole-1-carbodithioate
ワコーケミカル
1g 18,000
350-40913 5g 59,000
6034-25021 2'-Cyanobutan-2'-yl
3,5-Dimethylpyrazole-1-carbodithioate
有機合成用
1g 16,000
030-25023 5g 57,000
7030-24641 4-Cyano-4-
[(dodecylsulfanylthiocarbonyl)sulfanyl]pentanoic Acid
有機合成用
1g 17,000
036-24643 5g 57,000
8351-40921 Cyanomethyl 3,5-Dimethylpyrazole-1-
carbodithioate ワコー
ケミカル1g 17,000
357-40923 5g 57,000
9035-24691 Cyanomethyl N-Methyl-N-
phenyldithiocarbamate 有機
合成用1g 14,000
031-24693 5g 51,000
10047-33981 S, S-Dibenzyl Trithiocarbonate
有機
合成用1g 14,000
043-33983 5g 53,000
11351-40781 2-[(Dodecylsulfanylthiocarbonyl)
sulfanyl]propanoic Acid ワコー
ケミカル1g 11,000
357-40783 5g 40,000
12350-40751 Methyl 4-Cyano-4-
[(dodecylsulfanylthiocarbonyl)sulfanyl]pentanoate
ワコーケミカル
1g 17,000
356-40753 5g 57,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
183-03341 RAFT Reagent Set 1 有機合成用 1セット
(1g×5種類) 照 会
NEW
NEW
RAFT重合
H3C(CH2)11
S S
S CNOH
OH3C(CH2)11
S S
S N
CNOH
O
O
Mn=5,200 g/mol, PDI=1.2
n
O
AIBN65℃, 90 min1,4-dioxane
N
C26H50S6=555.07CAS No. 870532-86-8
①
S S S S
S
S
C25H32N2O4S3=520.73
CAS No. 948877-09-6
②
S S
S
HO
N N
O O
OH
C10H13NO4S3=307.41
③
HO
O
O
OHS S
S CN
C7H10O4S3=254.35
CAS No. 870451-09-5
④
O
O
OH
HO S S
S
C11H14ClN3S2=287.83
⑤S
S
CNN N
Cl
C11H15N3S2=253.39
⑥
S
S CNN N
C19H33NO
2S3=403.67
CAS No. 870196-80-8
⑦
S
S S
CN
OH
O
(CH2)11
H3C
C8H9N3S2=211.31
⑧S
S CNN N
C15H14S3=290.47CAS No. 26504-29-0
⑩S
S S
C16H30O2S3=350.60
CAS No. 558484-21-2
⑪
S
S S
OH
O
(CH2)11H3C
C20H35NO2S3=417.69CAS No. 870532-87-9
⑫S
S S
CNO
O
(CH)11H3C
C10H10N2S2=222.33CAS No. 76926-16-4
⑨S
S CNN
近日発売
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17和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
マスターファイル登録済み bFGF溶液,MF本品は、2016 年 5 月に原薬等登録原簿(マスターファ
イル:MF)にその他(培地添加物)区分として登録されました。
bFGF(塩基性線維芽細胞成長因子:basic fibroblast growth factor)は、ヒト ES/iPS 細胞培養時に未分化性を維持させながら、細胞を増殖させるために必須の因子とされており、未分化維持用培地に添加して使用されています。
当社は科研製薬株式会社が販売する褥瘡・皮膚潰瘍治療剤「フィブラスト ® スプレー」の有効成分である組換え型ヒト bFGF を同社より提供を受け、再生医療研究用試薬として販売しています。
特 長● MF登録済み※
● 生物由来原料基準クリア● 製造プロセスでの無菌保証● Ready-to-Useの溶液品 そのまま培地に添加してご使用頂けます
製品概要●形状: 溶液品●含量(SDS-PAGE):99%以上●タンパク質濃度: 0 . 9~1 . 1mg/mℓ (初回実績値 1 . 0mg/mℓ)●エンドトキシン:10EU/mg以下●比活性: 50万国際標準単位/mg以上(BHK- 21細胞を
用いたバイオアッセイ法による)
〔参考文献〕1)Akutsu, H. et al : Regenerative Therapy, 1 , 18 (2015).
マスターファイル登録済み SB431542, MF本品は、その他(培地添加物)区分として 2016 年 6 月
に原薬等登録原簿(マスターファイル:MF)に登録しました。製造工程や分析法のバリデーション、変更管理を実施し、恒常的に安定した品質の製品を得られる体制で製造しています。
SB431542 は、TGF- βスーパーファミリー 1 型アクチビンレセプター様キナーゼ(ALK)の選択的阻害剤で、ALK4、5、7 を阻害します。ES 細胞由来内皮細胞の増殖、分化、シート形成を刺激すると報告されています。また、チアゾビビン、PD0325901 とともに使用するとリプログラミング効率が 200 倍以上改善し、かつリプログラミングがスピードアップするとも報告されています。
特 長●MF登録済み※
●アニマルフリー 動物由来原料不使用の化学
合成品●国産 合成~包装までを全て日本
国内で製造●高い品質安定性 連続複数ロット合格実績
製品概要●外観: 白色~黄褐色、結晶性粉末~粉末●含量(HPLC): 98 . 0%以上●溶解性: DMSO、アセトニトリルに可溶●水分: 2 . 0%以下●エンドトキシン: 0 . 05EU/mg未満●生菌数試験、マイコプラズマ試験済み
関連商品MF登録品※
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
193-18031 SB431542, MF 細胞培養用 5mg 24,000199-18033 25mg 84,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
062-06661bFGF Solution, MF 細胞培養用
50μℓ 80,000
068-06663 50μℓ×4 260,000
C22H16N4O3=384.39
CAS No. 301836-41-9
O
O
O
N N
H
N
NH2
コードNo. 品 名 登録番号 規格 容量 希望納入価格(円)
259-00613Y-27632, MF 227MF40013 細胞
培養用 5mg 50,000
257-00614 25mg 200,000038-24821 CKI-7 Dihydrochloride,
MF 228MF40005 細胞
培養用 5mg 27,000
034-24823 25mg 96,500
近日発売近日発売
NEW
NEW
※ 原薬等登録原簿(MF)への登録は、厚生労働省(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による、品質及び安全性に関する確認または評価が行われたことを意味するものではありません。
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18和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
ポジティブリスト関連 農薬標準品ポジティブリスト関連の残留農薬試験用標準品の追加品
目をご紹介します。品目は順次追加しています。
■アメトクトラジン代謝産物B標準品化学名: 4-(7-Amino-5-ethyl[1,2,4]
triazolo[1,5-a]pyrimidin-6-yl)butanoic Acid
含量(HPLC):98.0% 以上外 観: 白色〜うすい黄褐色、結晶性粉末〜
粉末
■アメトクトラジン代謝産物G標準品化学名: 6-(7-Amino-5-ethyl[1,2,4]
triazolo[1,5-a]pyrimidin-6-yl)hexanoic Acid
含量(HPLC):95.0% 以上外 観: 白色〜わずかにうすい黄褐色、結晶
性粉末〜粉末
■クロピラリド標準品化学名: 3,6-Dichloropyridine-2-carboxylic
Acid含量(qNMR):98.0% 以上外 観: 白色、結晶〜結晶性粉末備 考: 除草剤
■フルシラゾール代謝産物D標準品化学名: [Bis(4-fluorophenyl)methyl]silanol含量(qNMR):98.0% 以上外 観: 白色、結晶性粉末〜粉末
■ヘキサジノン代謝産物C標準品(異性体混合物)化学名: 3-(4-Hydroxycyclohexyl)-6-
(methylamino)-1-methyl-1,3,5-triazine-2,4-(1H,3H)-dione
含量(HPLC):98.0% 以上(異性体混合)外 観: 白色、結晶性粉末〜粉末
■テルブチラジン標準品化学名: N 2-t -Butyl-6-chloro-N 4-ethyl-1,3,5-
triazine-2,4-diamine含量(qNMR):98.0% 以上外 観: 白色、結晶性粉末〜粉末備 考: 除草剤
その他のポジティブリスト関連品目は下記よりご参照下さい。当社試薬HP→カテゴリーから選ぶ→分析・環境→食品分析→01.残留農薬・動物用医薬品(ポジティブリスト制度)→1.ポジティブリスト制度対応 取扱い品目一覧(16. 07)
Presep® HC-N シリーズ対応TLCプレート シリカゲル40F254TLCプレート -ワコー本品は、細孔径4nmの高比表面積タイプのシリカゲル
を塗布したTLCプレートです。高分離能、高サンプル負荷量を実現する中圧分取用カラ
ムプレセップ®シリカゲル(HC-N)シリーズと相関性があり、これらを併用することによりカラム溶出時間を予測することが可能です。また、一般シリカゲルTLCプレート
(細孔径6~7nmのシリカゲルを塗布。)と比較してRf値が小さくなるため、展開液の極性溶媒の組成を上げることが可能で、難溶性化合物の分離に有効です。
デ ー タ■ 分離性能比較
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
011-26151 Ametoctradin Metabolite B Standard
残留農薬試験用 20mg 45,000
018-26161 Ametoctradin Metabolite G Standard
残留農薬試験用 20mg 45,000
038-24941 Clopyralid Standard 残留農薬試験用 100mg 10,000
067-06611 Flusilazole Metabolite D Standard
残留農薬試験用 100mg 40,000
086-10211Hexazinone Metabolite C Standard(mixture of isomers)
残留農薬試験用 100mg 30,000
206-20361 Terbuthylazine Standard 残留農薬試験用 100mg 9,000
NEW
NEW
NEW
NEW
NEW
NEWC11H15N5O2=249.27
NH2OH
ON
NN
N CH3
C13H19N5O2=277.32
NH2OH
ON
NN
N CH3
C6H3Cl2NO
2=192.00
CAS No. 1702-17-6
NCl
Cl
COOH
C13H12F2OSi=250.32
CAS No. 156162-13-9
CH3
OH
F FSi
C11H18N4O3=254.29
CAS No. 72585-88-7
CH3
CH3
O
O
HO
N N
N N
H
C9H16ClN5=229.71CAS No. 5915-41-3
NHC(CH3)3
NHCH2CH3
N
N N
Cl
プレート:2cm×10cm(7cm 展開)サンプル:DBP*1 0.01g/mℓ DMP*2 0.01g/mℓ in Hex/AcOEt=85/15チャージ量:0.5μℓ
*1 DBP = Dibutyl Phthalate*2 DMP = Dimethyl Phthalate
①一般 TLCプレート 85/15 0.41 0.21②40F254TLCプレート 85/15 0.31 0.11③40F254TLCプレート 80/20 0.42 0.19
① ② ③
Rf値TLCプレート
DBP*1 DMP*2展開溶媒(Hex/AcOEt)
[次頁に続く]
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19和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
■ 40F254 TLCプレート-ワコーと各分取用カラムの保持相関グラフ
関連商品シリカゲル 40F 254 TLC プレート-ワコーに対応した中
圧分取用カラム、カラムクロマト用シリカゲルです。
中圧分取用カラム
カラムクロマトグラフ用
使いやすい溶液タイプ登場 リシルエンドペプチダーゼ® 溶液本品は、リシンのカルボキシル基側のペプチド結合を極
めて特異的に切断するセリンプロテアーゼです。TLCK,PMSF及びDFPで阻害され、TACKでは阻害されません。
優れた特異性を利用して、タンパク質の一次構造解析のためのペプチド鎖の断片化や、ペプチドマッピングなどに利用されています。
この度、ご利用頂きやすい溶液タイプを発売しました。
特 長●基質特異性が高い●便利な溶液タイプ
製品概要●形状:溶液(2mmol/ℓ Tris-HCl Buffer, pH 8.0)●活性:8.0 ~ 12.0AU/mℓ(実測値ラベルに記載)●単位の定義: pH 9.5、30℃で 1 分間に 1μmol のp- ニトロ
アニリンを生成する酵素量を 1AU とする。● EC No.:3.4.21.50
〔参考文献〕1)Masaki, T. et al . : Agrie. Biol. Chem., 42 , 1443 (1978).2)Morihara, K. et al . : Biochem. Biophys. Res. Commun., 92 , 396 (1980).3) Schwert, G.W. and Takenaka, Y. : Biochim. Biophys. Acta ., 16 , 570
(1955).4)Tuppy, H. et al . : Hoppe Seyler’s Z. Physiol, Chem., 329 , 278 (1962).5)Masaki, T. et al . : Biochim. Biophys. Acta ., 660 , 44 (1981).6)Masaki, T. et al . : Biochim. Biophys. Acta ., 660 , 51 (1981).7) 網沢 進,正木 武治,広瀬 正明,副島 正美,崎山 文夫:蛋白質 核酸
酵素,31 (7),629 (1986).
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…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
125-02543Lysyl Endopeptidase® 生化学用
2AU 8,000
129-02541 10AU 37,500
125-05061 Lysyl Endopeptidase®, Mass Spectrometry Grade
プロテオーム研究用 20μg×5 17,800
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
127-06621 Lysyl Endopeptidase®
Solution 生化学用 5AU 25,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
194-18201 Silicagel40 F254TLC Plate-Wako
薄層クロマトグラフ用
5枚(20cm×20cm) 9,500
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
291-34041 Presep®(Luer Lock)Silica Gel(HC-N)Type M(13g/25mℓ)
分取用クロマトグラフ用
20本 35,000
297-34043 100本 照 会
295-34061 Presep®(Luer Lock)Silica Gel(HC-N) Type L(35g/70mℓ)
分取用クロマトグラフ用
20本 45,000
291-34063 100本 照 会
292-34071 Presep®(Luer Lock)Silica Gel(HC-N)Type 2L(50g/100mℓ)
分取用クロマトグラフ用
20本 60,000
298-34073 100本 照 会
294-34031 Presep®(Luer Lock)Silica Gel(HC-N)Type 3L(115g/200mℓ)
分取用クロマトグラフ用
5本 28,000
290-34033 30本 照 会
299-34081 Presep®(Luer Lock)Silica Gel(HC-N)Type 4L(230g/400mℓ)
分取用クロマトグラフ用
5本 38,000
295-34083 30本 照 会
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
235-02455カラムクロマト
グラフ用
500g 8,000
233-02451 Wakosil® HC-N 2kg 25,000
231-02457 10kg 照 会
NEW
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他社品一般カラム溶出理論曲線
®
®
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20和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
がんの研究に 抗がん剤有効成分化合物当社では、抗がん剤の有効成分化合物を多数品揃えして
います。この度、品目を追加しました。
■ カバジタキセル本品は、ヨーロッパイチイの針状葉から抽出された 10-
デアセチルバッカチンⅢから半合成されたタキソイド系化合物です。チューブリンの重合を促進し、脱重合を阻害することにより、細胞分裂を阻害します。
●外観: 白色~わずかにうすい褐色、結晶性粉末~粉末●メタノール溶状:試験適合●含量(HPLC):98 . 0%以上
■ エベロリムス(異性体混合物)本品は、ラパマイシンの誘導体であり、mTOR 阻害剤
です。FK506 結合タンパク質 -12(FKBP-12)と結合してmTOR の活性を阻害することにより、腫瘍細胞のシグナル伝達を阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑制します。さらに、腫瘍細胞からの VEGF の産生と VEGF による血管内皮細胞の増殖を抑制し、血管新生を抑制することにより、抗腫瘍作用を示すと考えられています。
●外観: 白色~うすい褐色、結晶性粉末~粉末●アセトニトリル溶状:試験適合●含量(HPLC)(異性体混合):97 . 0%以上
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医薬品成分化合物シリーズ①がん研究用試薬 パンフレットのご紹介
医薬品成分をはじめとするがん研究用試薬をまとめたパンフレットがございます。
ご希望の方は、当社営業員もしくは代理店にお問合せ下さい。
パンフレットは、当社 HP でもご覧頂けます。http://www.wako-chem.co.jp/siyaku/product/life/gan_kenkyu2/index.htm
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コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
036-25081 Cabazitaxel 薬理研究用 5mg 照 会
058-09141 Everolimus (mixture of isomers)
細胞生物学用 5mg 12,000
054-09143 25mg 48,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
タキソイド系化合物047-31281 Docetaxel 薬理研究用 5mg 22,000169-18616
Paclitaxel 生化学用
1mg 3,600169-18611 5mg 7,000165-18613 25mg 25,000163-18614 100mg 70,000mTOR阻害剤184-02531
Rapamycin (mixture of isomers)
細胞生物学用 1mg 20,000
180-02533 10mg 54,000188-02534 50mg 180,000203-20131 Temsirolimus (mixture of
isomers) 生化学用
5mg 13,000209-20133 25mg 52,000EGFRチロシンキナーゼ阻害剤048-32931
Dacomitinib 細胞生物学用 1mg 13,000
044-32933 10mg 78,000057-09111
Erlotinib Hydrochloride 薬理研究用100mg 8,000
053-09113 500mg 32,000
NEW
NEW
NEW
C53H83NO14=958.22
CAS No. 159351-69-6
CH3 H3C
H3C
H3C
CH3
CH3
CH3
CH3
H3C
H3C
OH
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
OH
OH
HH
N
O
H
C45H57NO
14=835.93
CAS No. 183133-96-2
CH3
CH3
CH3
CH3
CH3
CH3
H3C
H3C
H3C
H3C
O
O
OO
O
OO
O N
H
OH
OH
H
O
O
O O
Productsew
21和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
TRPV4アンタゴニスト HC-067047本品は、TRPV4(Transient Receptor Potential Vanilloid
4)の強力なアンタゴニストです。TRPV4 は、低浸透圧で活性化される浸透圧感受性受容体として発見され、浸透圧感受性のほかに温度感受性も示します。TRPV4 が皮膚のバリア機能に関与していることが報告されています。
HC-067047 は、TRPV1、V2、V3 に対する阻害活性と比べて TRPV4 に対して少なくとも 100 倍高い活性を示します。また、hEGF 及び TRPM8 に対しても TRPV4 に対する活性の 1/10 程度の活性を示します。
●外観: 白色~わずかにうすい褐色、結晶性粉末~粉末
●エタノール溶状:試験適合●含量(HPLC):98 . 0%以上
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TRPV4アンタゴニスト
※ Tocris社の製品は、製造バッチによって水和の程度や塩が変更される場合がございます。正式な分子量・分子式は現品バイアルのラベルと添付データシートをご確認下さい。
TRPV4抗体
インフルエンザウイルスの研究に オセルタミビルりん酸塩本品は、ノイラミニダーゼ阻害剤です。インフルエンザ
ウイルスはウイルスの表面に存在するノイラミニダーゼによって宿主細胞表面の糖鎖末端のシアル酸を切り離し、細胞から遊離することがわかっています。本品は、ノイラミニダーゼを阻害し、インフルエンザウイルスの細胞からの遊離を抑制することで、ウイルス増殖抑制作用を示します。
●外観: 白色~ごくうすい黄色、結晶性粉末~粉末または塊
●水溶状:試験適合●含量(HPLC):98 . 0%以上
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ノイラミニダーゼ蛍光プローブ
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コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
153-03441Oseltamivir Phosphate 薬理研究用
500mg 11,000
159-03443 5g 68,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
261-02151Zanamivir n-Hydrate 薬理研究用
100mg 15,000
267-02153 500mg 60,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
024-18011BTP3-Neu5Ac-Na 細胞生物学用
1mg 11,000
020-18013 5mg 30,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
085-10281 HC-067047 細胞生物学用 10mg 35,000
コードNo. メーカーコード 品 名 規格 /メーカー 容量 希望納入価格(円)
073-06491 ーGSK1016790A 細胞生物学用
5mg 15,000
079-06493 ー 25mg 60,000
166-26311 ー 4α-Phorbol 12,13-Didecanoate
【4α-PDD】 細胞生物学用
1mg 14,500
162-26313 ー 5mg 58,000
183-02981 ーRN-1747 細胞生物学用
10mg 10,000
189-02983 ー 50mg 40,000
コードNo. メーカーコード 品 名 規格 /メーカー 容量 希望納入価格(円)
ー 5106/10GSK2193874 Tocris
10mg 62,000
ー 5106/50 50mg 262,000
518-91941 3746/10RN 1734 Tocris
10mg 33,000
ー 3746/50 50mg 136,000
189-03181 ーRuthenium Red 和光特級
100mg 6,000
185-03183 ー 1g 23,500
コードNo. メーカーコード 品 名 規格 /メーカー 容量 希望納入価格(円)
305-33611 KM119Anti Mouse TRPV4 Polyclonal Antibody
(株)トランスジェニック
25μg(100μℓ) 49,000
NEW
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C26H28F3N3O2=471.51CAS No. 883031-03-6
CF3
CH3 O
ON N
H
N
C16H28N2O4・H3PO4=410.40
CAS No. 204255-11-8
CH3
H3C
H3C
H3C
H2N
・H3PO4
O
O
O
O
N
H
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22和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
アルツハイマー病研究関連試薬 タウタンパク質,ヒト,組換え体抗タウ抗体シリーズタウは、微小管結合タンパク質の一つで、主に中枢神経
系の神経細胞に発現しており、微小管の安定化を調節しています。また、40 か所以上のりん酸化部位を有しており、分子同士が重合してオリゴマー、顆粒状凝集体、線維といったさまざまな形態を取ることが知られています。
アルツハイマー病脳では、アミロイドβタンパク質(Aβ)が蓄積した老人斑だけでなく、りん酸化タウタンパク質が蓄積した神経原線維変化が形成されることが知られています。この神経原線維変化は、その出現の程度が認知症の重症度と相関すると報告されており、アルツハイマー病の原因究明や治療薬開発のために研究されています。成人脳では 6 種類のアイソフォームが存在しており、微小管結合部位を 3 つ持つ 3 リピートタウ(3R-Tau)と 4 つ持つ 4 リピートタウ(4R-Tau)の 2 種類に分けられます。
当社では、6 種類のアイソフォーム及び、2 種類の微小管結合領域の組換え体と 4 種類のタウ抗体を取り揃えています。
■ タウタンパク質,ヒト,組換え体製品概要●形状:凍結乾燥品●凍結乾燥前バッファー:20mmol/ℓ重炭酸アンモニウム●宿主:大腸菌●備考:6×Hisタグ付加
■ 抗タウ抗体シリーズ
製品概要
デ ー タ■ 3R-Tau抗体 ■ 4R-Tau抗体
R1 R2 R3 R4 1 383
R1 R3 R4 1 352
N1 R1 R3 R4 1 381
N1 N2 R1 R3 R4 1 410
N1 R1 R2 R3 R4 1 412
N1 N2 R1 R2 R3 R4 1 441
R2 R1 R3 R4 244 372
372
R1 R3 R4 244 274 306
Tau-352
Tau-381
Tau-383
Tau-410
Tau-412
Tau-441
3-Repeat Domain
4-Repeat Domain
N1 N2 挿入部位
R1 R4 微小管結合部位
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
204-20281 Tau-352 Protein, Human, recombinant 細胞生物学用 100μg 40,000
201-20291 Tau-381 Protein, Human, recombinant 細胞生物学用 100μg 40,000
204-20301 Tau-383 Protein, Human, recombinant 細胞生物学用 100μg 40,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
201-20311 Tau-410 Protein, Human, recombinant 細胞生物学用 100μg 40,000
208-20321 Tau-412 Protein, Human, recombinant 細胞生物学用 100μg 40,000
205-20331 Tau-441 Protein, Human, recombinant 細胞生物学用 100μg 40,000
202-20341Tau Protein 3-Repeat Domain, Human, recombinant
細胞生物学用 100μg 40,000
209-20351Tau Protein 4-Repeat Domain, Human, recombinant
細胞生物学用 100μg 40,000
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3R-Tau 抗体 4R-Tau 抗体 りん酸化 Tau T181 抗体 りん酸化 Tau S199 抗体コードNo. 016-26581 013-26591 016-26601 013-26611
概要
微小管結合ドメインを3つ有するTauア イソフォーム(Tau-410,381, 352)を認識
微小管結合ドメイン を 4 つ 有 す るTau アイソフォーム (Tau-441,412, 383) を認識
181 番目のスレオニン (T181) がりん酸化されたTau を認識
199 番目のセリン(S199)がりん酸化 さ れ た Tau を認識
抗原
ヒトTau267-274, 306-313a.a. 領域相同ペプチド
ヒト Tau の 273- 291a.a. 領 域 相同ペプチド
T181 をりん酸化さ せ た ヒ ト Tauの171-191a.a.領域相同ペプチド
S199 をりん酸化さ せ た ヒ ト Tauの189-209a.a.領域相同ペプチド
サブクラス ラットIgG2b,λ マウス IgG1,κ ラット IgG2b,κ ラット IgG2a,κ交差性 ヒト ヒト ヒト ヒト
クローンNo. 2A1-1F4 3E8-1A6 2E2-A6 5B8-1E2
適応ウエスタンブロット免疫沈降
ウエスタンブロット免疫沈降
ウエスタンブロット免疫組織染色免疫沈降
ウエスタンブロット免疫組織染色免疫沈降
(データご提供:名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学 藤岡先生、石垣先生)
[サンプル]3R-Tau : mCherry-3R Tauを過剰発現させたNeuro2a細胞破砕液4R-Tau : GFP-4R Tauを過剰発現させたNeuro2a細胞破砕液アプライ量 : 25μg
3R-Tau特異的なバンドの検出が見られた。
4R-Tau特異的なバンドの検出が見られた。
70-
100-
75-
50-55-
40-
[次頁に続く]
Productsew
23和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
■ りん酸化Tau T181抗体
サンプル: アルツハイマー病患者の脳組織パラフィン切片
神経原線維変化(りん酸化 Tau T181 を含む)の染色(データご提供:同志社大学生命医科学部 医生命システム学科 神経病理学 宮坂先生)
■りん酸化Tau S199抗体
サンプル: アルツハイマー病患者の脳組織パラフィン切片
神経原線維変化(りん酸化 Tau S199 を含む)の染色(データご提供:同志社大学生命医科学部 医生命システム学科 神経病理学 宮坂先生)
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老人斑・神経原線維変化特異的蛍光プローブ
セクレターゼ阻害剤
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
NEW
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コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)β-セクレターゼ阻害剤115-00901 KMI-429 細胞生物学用 1mg 45,000112-00911 KMI-574 細胞生物学用 1mg 45,000119-00921 KMI-1027 細胞生物学用 1mg 45,000116-00931 KMI-1303 細胞生物学用 1mg 45,000γ-セクレターゼ阻害剤021-17781
BMS299897 細胞生物学用 5mg 19,500
027-17783 25mg 79,000043-33581
DAPT 細胞生物学用 5mg 21,000
049-33583 25mg 84,000107-00161
JLK6 細胞生物学用 5mg 24,000
103-00163 25mg 96,000121-06141 L-685,458 細胞生物学用 1mg 50,000
コードNo. 品 名 検出感度(pmol/ℓ)※
標準曲線範囲
(pmol/ℓ)規格 容量 希望納入価格(円)
292-62301 Human βAmyloid(1-40) ELISA Kit Wako 0.12 1.0-100 免疫
化学用 96回用 78,000
298-64601 Human βAmyloid(1-40) ELISA Kit Wako Ⅱ 0.019 1.0-100 免疫
化学用 96回用 78,000
298-62401 Human βAmyloid(1-42) ELISA Kit Wako 0.08 1.0-100 免疫
化学用 96回用 78,000
296-64401Human βAmyloid(1-42) ELISA Kit Wako , High Sensitive
0.06 0.1-20.0 免疫化学用 96回用 90,000
294-62501 Human/Rat βAmyloid(40) ELISA Kit Wako 0.25 1.0-100 免疫
化学用 96回用 78,000
294-64701 Human/Rat βAmyloid(40) ELISA Kit Wako Ⅱ 0.049 1.0-100 免疫
化学用 96回用 78,000
290-62601 Human/Rat βAmyloid(42) ELISA Kit Wako 0.19 1.0-100 免疫
化学用 96回用 78,000
292-64501Human/Rat βAmyloid(42) ELISA Kit Wako , High Sensitive
0.024 0.1-20.0 免疫化学用 96回用 90,000
コードNo. 品 名 用 途 規格 容量 希望納入価格(円)
029-16361 BF-168 老人斑に比較的特異的なプローブ
細胞生物学用 1mg 15,000
026-16371 BF-170 神経原線維変化に比較的特異的なプローブ
細胞生物学用 1mg 15,000
022-18811 BF-187 老人斑・神経原線維変化を同一色で染色できるプローブ
細胞生物学用 1mg 25,000
025-18801 BF-188 老人斑・神経原線維変化を別の色で染色できるプローブ
細胞生物学用 1mg 30,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
016-26581 Anti 3R-Tau, Rat Monoclonal Antibody(2A1-1F4) 免疫化学用 50μℓ 30,000
013-26591 Anti 4R-Tau, Monoclonal Antibody(3E8-1A6) 免疫化学用 50μℓ 30,000
016-26601Anti Phosphorylated Tau T181, Rat Monoclonal Antibody(2E2-A6)
免疫化学用 50μℓ 30,000
013-26611Anti Phosphorylated Tau S199, Rat Monoclonal Antibody(5B8-1E2)
免疫化学用 50μℓ 30,000
※検出感度は、Std. 0OD+2SD(n=24)の濃度の代表例です。
医薬品成分化合物シリーズ③試験研究用 神経系作用剤 パンフレットのご案内
医薬品成分化合物で研究用試薬・神経系作用剤として使用されている化合物のパンフレットを発行しました。
ご希望の方は、当社営業員もしくは代理店にお問合せ下さい。
パンフレットは、当社 HP でもご覧頂けます。http://www.wako-chem.co.jp/siyaku/product/life/iyakuhincatalog3/index.htm
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24和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
ウエスタンブロッティング用ブロッキング試薬 Block-ProTM 5×ブロッキングバッファー, プロテインフリー本品は、ブロッキング用に開発した化学合成ポリマー
とトリス緩衝液を主成分とするプロテインフリーの5×ブロッキング試薬です。
タンパク質を含むブロッキング液では、抗体がタンパク質成分に非特異的に反応する場合がありますが、本品は合成ポリマーを使用しているため、抗体との相性によるバックグラウンドの上昇を抑制できます。
りん酸成分を含まないため、抗りん酸化タンパク質特異的抗体を用いた系にも使用できます。
特 長●プロテインフリー● 抗体との相性によるバックグラウ
ンドの上昇抑制●りん酸成分不含
デ ー タ■ Sf9細胞に発現させたDYKDDDDK融合糖タンパク質の検出
■ DYKDDDDK-BAPの検出
本品のバックグラウンドは、他社品E、Fと同等であり、他社品Aよりも低かった。
使用方法1. 本品を脱イオン水もしくは TBS-T で 5 倍に希釈し、
1 ×ブロッキングバッファーを調製する。 混合の際は 5 回ほど転倒撹拌する。 ミニゲル 1 枚(85mm × 80mm)に 14 ~ 20mℓの
1 ×ブロッキングバッファーを準備する。2. 転写後のメンブレンを脱イオン水、TBS、TBS-T な
どで振とうしながら約 1 分間洗浄する。 3. トレイもしくはビニールパックにメンブレンを入れ、
1 ×ブロッキングバッファーを加える。4. 室温で 1 時間振とうし、ブロッキングする。5. メンブレンを TBS-T で振とうしながら 5 ~ 10 分間
洗浄する。6.抗原抗体反応を行う。 抗体は TBS-T での希釈を推奨。
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円)
022-18931 Block-ProTM 5×Blocking Buffer, Protein-free
免疫化学用
50mℓ(250mℓ分) 6,000
028-18933 250mℓ(1,250mℓ分) 22,000本品は、最もバックグラウンドが低かった。
サンプル:DYKDDDDK-BAP(Lane 1)10ng,(Lane 2)2.5ng,(Lane 3)0.6ng転写:0.8mA/cm2 定電流で 1時間 ブロッキング:室温で 1時間 一次抗体反応:2,000 倍希釈(TBS-T),冷蔵でオーバーナイト二次抗体反応:30,000 倍希釈(TBS-T),室温で 4時間
A
サンプル:DYKDDDDK融合糖タンパク質を 発現させたSf9 細胞ライセート (Lane 1)200 倍希釈 (Lane 2)400 倍希釈 (Lane 3)800 倍希釈転写:0.8mA/cm2 定電流で 1時間ブロッキング:室温で 1時間一次抗体反応:1,000 倍希釈(TBS-T), 冷蔵でオーバーナイト二次抗体反応:30,000 倍希釈(TBS-T ), 室温で 4時間
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[次頁に続く]
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25和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
関連商品左記データで使用した試薬
ブタ皮膚由来 コンドロイチン硫酸Bナトリウム(デルマタン硫酸ナトリウム)コンドロイチン硫酸は、動物組織に存在し、基本二糖の
種類により、A、B、C、D、E、H、K の 7 種類に分類されます。これらは、さまざまな細胞増殖因子や細胞外マトリックス成分と相互作用し、細胞接着、移動、増殖、分化、形態形成といった、多くの細胞活動に関与していると考えられており、機能が研究されています。
製品概要●外観: 白色~わずかにうすい赤色、結晶~結晶性粉末ま
たは塊●水溶状: 試験適合●含量(電気泳動法):95%以上
〔参考文献〕1)Hardingham, T. E. and Fosang, A.J. : FASEB J ., 6 , 861 (1992).
関連商品
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試薬 コードNo. 品 名 規格/メーカー 容量 希望納入価格(円)
サンプルバッファー 199-16132
Sample Buffer Solution with 3-Mercapto-1,2-propanediol (×2)
電気泳動用 25mℓ 7,700
ランニングバッファー 184-01291 Running Buffer Solution
(×10) 電気
泳動用 1ℓ 5,300
SDS-PAGEゲル 198-15041 SuperSepTM Ace,
10-20%, 17well 電気
泳動用 10枚 14,000
メンブレン
033-22453ClearTrans® SP PVDF Membrane, Hydrophobic, 0.2μm
ブロッティング用 1巻 37,000
033-23813ClearTrans® PVDF Membrane, Hydrophobic, 0.45μm
ブロッティング用 1巻 28,500
転写バッファー 015-26213AquaBlotTM 10×High Efficiency Transfer Buffer
ブロッティング用 1ℓ 13,500
TBS-T 207-18061 TBS-T, pH 7.4(×10) ブロッティング用 1ℓ 9,200
一次抗体018-22381 Anti DYKDDDDK tag,
Monoclonal Antibody
免疫化学用
200μg 24,000014-22383 1mg 48,000012-22384 5mg 77,000
標識二次抗体 564-72861Peroxidase AffiniPure Donkey Anti-Mouse IgG
(H+L) JIR 0.5mℓ 40,800
化学発光試薬 297-72403 ImmunoStar® Zeta ブロッティング用 1,000cm2 30,000
JIR : Jackson Immuno Research Lab. Inc.
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
037-24391Chondroitin Sulfate A Sodium Salt, from Chicken
Cartilage 細胞生物学用 5mg 20,000
034-08801 Chondroitin Sulfate C Sodium Salt 和光特級
5g 4,900032-08802 25g 13,000032-14613 Chondroitin Sulfate C
Sodium Salt 生化学用 5g 5,200
034-14612 25g 15,500
034-23061Chondroitin Sulfate E Sodium Salt, from Squid Cartilage
細胞生物学用 2mg 20,000
087-04511 Hyaluronic Acid Sodium Salt, from Rooster Comb
生化学用100mg 2,850
083-04513 1g 10,700
082-05041 Hyaluronic Acid Sodium Salt, from Streptococous Zooepidemious
生化学用100mg 3,700
088-05043 1g 12,600
162-22131 Proteoglycan, from Salmon Nasal Cartilage
細胞生物学用 10mg 16,000
168-22133 50mg 64,000085-08054 25,000units 4,600081-08051 Heparin Lithium 生化学用 100,000units 10,500087-08053 500,000units 37,000085-00134
Heparin Sodium 和光特級
10,000units 2,550081-00136 100,000units 4,600081-00131 1,000,000units 29,800087-00133 4,000,000units 94,000
コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)
031-24811 Chondroitin Sulfate BSodium Salt, from Porcine Skin
【Dermatan Sulfate Sodium Salt】
細胞生物学用 25mg 15,000
037-24813 100mg 45,000
Phos-tag® SDS-PAGE ガイドブック第 4版 発行
タンパク質をりん酸化レベルに応じて分離できる「Phos-tag® SDS-PAGE 」ガイドブックの改訂版を発行しました。
ご希望の方は、当社営業員もしくは代理店にお問合せ下さい。 当社HPでもご覧頂けます。http://www.wako-chem.co.jp/siyaku/product/life/phos-tag/pdf/Acrylamide/2.pdf
● 改良型プロトコルが新登場分離能が大幅に向上● 応用例の紹介
ウエスタンブロッティング、質量分析、2D-PAGE など● 最新の知見を追加
トラブルシューティングに最新の知見を追加
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26和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
組換え抗体やキメラタンパク質の研究に最適 pCAG-Fc(Fc融合タンパク質発現ベクター)本品は、任意の Fc 領域を目的タンパク質の C 末端側に
融合し、ほ乳動物細胞で一過性発現できるシャトルベクターです。MCS の N 末端側にインターロイキン 2 の分泌シグナル配列が、C 末端側にヒンジ配列を含む Fc 配列が挿入されています。Fc 領域は、hIgG1,mIgG1,mIgG2a,mIgG2b,rIgG2a,rIgG2b の 6 種類をラインアップしており、任意の Fc 領域を選ぶことができます。
Fc 融合キメラタンパク質は、元のタンパク質の活性を保ちながら、長い半減期、ほ乳類細胞発現系における高発現、プロテイン A や G で簡便に精製可能という特長を持つため、主にタンパク質の機能解析や組換え抗体の基礎研究に使用されています。
特 長● CAGプロモーターを持つFc領域融合タンパク質発現ベ
クター● 6種類のFc領域をラインアップ● 分泌シグナル挿入済み● 多数の制限酵素を使用可能
ベクターマップ■ pCAG-Hyg mIgG1-Fc ■ pCAG-Neo mIgG2a-Fc
■使用可能な制限酵素
関連商品KANEKA KanCapATM
本品は、高架橋セルロースビーズと新規のアルカリ耐性プロテイン A リガンドから構成された、プロテイン Aビーズです。
組換え抗体や Fc 融合キメラタンパク質の精製には是非KANEKA KanCapATM をご使用下さい。
特 長●アルカリ耐性● 溶出条件を最適化●高い抗体結合能●リサイクル可能●容易にスケールアップ可能
■本品に使用しているプロテインA(改変型プロテインA)概要
当社HPにて、IgG溶出プロファイルなど詳細をご紹介しています。http://www.wako-chem.co.jp/siyaku/product/life/KanCapA/index.htm
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コードNo. 品 名 規 格 容量 希望納入価格(円)165-27741 pCAG-Hyg hIgG1-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000162-27751 pCAG-Hyg mIgG1-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000169-27761 pCAG-Hyg mIgG2a-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000166-27771 pCAG-Hyg mIgG2b-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000163-27781 pCAG-Hyg rIgG2a-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000160-27791 pCAG-Hyg rIgG2b-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000163-27801 pCAG-Neo hIgG1-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000160-27811 pCAG-Neo mIgG1-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000167-27821 pCAG-Neo mIgG2a-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000164-27831 pCAG-Neo mIgG2b-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000161-27841 pCAG-Neo rIgG2a-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000168-27851 pCAG-Neo rIgG2b-Fc 遺伝子研究用 20μg 75,000
コードNo. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円)
114-01071KANEKA KanCapATM
2mℓ(net 1mℓ) 10,000110-01073 遺伝子研究用 10mℓ(net 5mℓ) 40,000118-01074 50mℓ(net 25mℓ) 150,000
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ベクター Acc I BamH I Cla I EcoR I EcoR V Hind III Pst I Sal I Sma I Spe I Xho IpCAG-Hyg hIgG1-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Hyg mIgG1-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Hyg mIgG2a-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Hyg mIgG2b-Fc ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Hyg rIgG2a-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○pCAG-Hyg rIgG2b-Fc ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Neo hIgG1-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○pCAG-Neo mIgG1-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Neo mIgG2a-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Neo mIgG2b-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
pCAG-Neo rIgG2a-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○pCAG-Neo rIgG2b-Fc ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
野生型プロテインAリガンド
KANEKAプロテインAリガンド
多量体化
変異導入
サブ結合
メイン結合
メイン結合
Fab
Fc
Fc
1) Cドメイン5量体タンパク質2) アルカリ耐性の向上3) Fab 領域への非特異結合の減少
最適pH条件下でシャープに抗体を溶出
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27和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
安全に核酸を染色 SAFELOOKTMシリーズ本シリーズは、低変異原性で安全性の高い核酸染色液
で、エチジウムブロミド(EtBr)に代わる染色液として開発されました。
プレキャスト染色用、ポスト染色用、ローディングダイタイプをラインアップしています。ローディングダイタイプは光源照射下でリアルタイムに核酸を可視化することが可能です。
特 長●低変異原性● 安価● dsDNA, ssDNA, RNAを可視化* 1
● UVトランスイルミネーター及びLEDトランスイルミネーターに対応* 2
* 1 ロードホワイトはRNA染色に使用不可* 2 ロードホワイトはLEDトランスイルミネーターでは使用不可
使 用 例■ プレグリーン核酸染色液
■ ロードグリーン(6×)
推奨用途■プレキャスト染色用、ポスト染色用〈アガロースゲル〉
〈ポリアクリルアミドゲル〉
■ローディングダイタイプサンプルに添加して使用します。
○:推奨用途,△:使用可能であるが条件検討が必要(試薬量、核酸量、ゲルの厚さ、染色時間),×:推奨しない,-:使用不可
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。その他の略号は、巻末をご参照下さい。掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
コードNo. 品 名 励起(nm)
蛍光(nm)
対応サンプル規格 容量 希望納入
価格(円)dsDNAssDNA RNA
192-18121 SAFELOOKTM Pre-Green Nucleic Acid Stain
490
520(DNA) ○ ○ ○ 遺伝子
研究用
50μℓ 3,000
198-18123 635(RNA) 500μℓ 10,000
199-18131 SAFELOOKTM
Pre-Red Nucleic Acid Stain
540 630 ○ ○ ○ 遺伝子研究用
50μℓ 3,000
195-18133 500μℓ 10,000
196-18141 SAFELOOKTM Post-Green Nucleic Acid Stain
490 525 ○ ○ ○ 遺伝子研究用
50μℓ 3,000
192-18143 500μℓ 10,000
193-18151SAFELOOKTM Load-Green(6×)
○ ○ ○ 遺伝子研究用
25μℓ 3,000
199-18153 490 525 1mℓ 13,000
197-18154 1mℓ×5 52,000
190-18161SAFELOOKTM
Load-Red(6×)
○ ○ ○ 遺伝子研究用
25μℓ 3,000
196-18163 540 630 1mℓ 13,000
194-18164 1mℓ×5 52,000
197-18171SAFELOOKTM Load-White(6×)
○ ○ × 遺伝子研究用
25μℓ 3,000
193-18173 370 470 1mℓ 8,000
191-18174 1mℓ×5 32,000
品 名プレキャスト染色 ポスト染色
LED UV LED UV
プレグリーン ○ ○ △ △
プレレッド ○ ○ △ △
ポストグリーン △ △ ○ ○
品 名アガロースゲル ポリアクリルアミドゲル
LED UV LED UV
ロードグリーン ○ ○ ○ ○
ロードレッド ○ ○ ○ ○
ロードホワイト − ○ − ○
品 名プレキャスト染色 ポスト染色
LED UV LED UV
プレグリーン × × △ △
プレレッド × × △ △
ポストグリーン × × ○ ○
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SAFELOOKTMプレグリーン核酸染色液を 5μℓ/100mℓの濃度で添加した1.2%アガロースゲルを作製した。ランニングバッファー200mℓに5μℓのプレグリーン核酸染色液を添加し、電気泳動後、検出した。サンプル:Gene Ladder Wide 2(0.1-20kbp)
[コード No.310-06971] 左から5μℓ、 4μℓ、 3μℓ、 2μℓ、1μℓを準備し、各 ト々ータル5μℓになるように脱塩水を添加後、全量をアプライした。
検出:LEDトランスイルミネーター「ゲ ルみえーる」 [コードNo.290-33891]
1.0%アガロースゲルを作製し電気泳動後、検出した。サンプル:Gene Ladder Wide 2(0.1-20kbp)
[コード No.310-06971] 左から 5μℓ、 4μℓ、 3μℓ、 2μℓ、1μℓを準備し、各 ト々ータル 5μℓになるように脱塩水を添加した。次に 1μℓ のSAFELOOKTM ロードグリーンを各々に添加し(6倍希釈)、その全量をアプライした。
検出:LEDトランスイルミネーター「ゲ ルみえーる」 [コードNo.290-33891]
アレクサンドル・ポルフィリエビチ・ボロディン(1833. 12. 12~1887. 2. 15)京都薬科大学名誉教授 桜井 弘
化学大家 435
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ロシアの広大な情景を描いた音楽絵画『中央アジアの平原にて』、ロシア民族の叙事詩的物語のオペラ『イーゴリ公』の情熱的リズムの「ポロベッツ人(ダッタン人)の踊り」あるいは
『弦楽四重奏曲第 2 番』第三楽章の情緒豊かな「ノクターン」などを、耳にされた方が多いと思う。これらを作曲したのは、帝政ロシアに生き、ロシア音楽五人組の一人であったアレクサンドル・ポルフィリエビチ・ボロディンである。ボロディンは、わが国では、ロシアを代表する音楽家の一人であることはよく知られているが、彼の職業は、医師、化学者そして教育者であり、フッ素化合物の合成、ボロディン反応、あるいはアルドール反応などの草分け的研究をした大学教授であったことは、あまり知られていないようだ。化学に誠実に向き合いつつ、内からほとばしる音楽的情熱を抑えきれず、生涯を化学と音楽との葛藤で生きた稀有なボロディンの生涯を紹介しよう。
1. ボロディンの生涯 1-4)
ボロディンの生涯をみる前に、ボロディンが生きた時代背景を簡単に見ておこう。広大なロシア領土に、ミハイル・フョードロビチ・ロマノフ(在位1613 - 1645)は 1613 年にロマノフ朝
(1613 - 1917)を樹立し、農奴制と官僚制を基盤とする専制政治による強い帝国を目指した。1714 年に即位した第 5 代大帝ピヨートル1世(1682 -1725)は、西欧化・近代化政策を取り入れヨーロッパ列強に加わり、首都をペテルブルグに定めた。ボロディンは、西欧化・近代化が進んだロマノフ朝 の 15 代 ニ コ ラ イ 1 世(1825 -1855)の時代に生まれ、16 代アレクサンドル2世(1855 - 1881)と 17 代アレクサンドル3世(1881 - 1894)の統治下で生涯をおくった。ボロディンは、農奴制の下で生まれ、西欧化・資本主義が進む中、しかし革命の足音
が遠くに響きはじめる時代にペテルブルグで生涯を過ごした(表1)。ロマノフ朝は、18 代ニコライ2世(1894- 1917)の時代にロシア革命が起こり幕を閉じた。幼少時代 1833 年 12 月 12 日、サンクト・ペテルブルグで、公爵ルカ・スチェパーノビチ・ケーディアノフ(当時 54 歳)とその家政婦アブドーチヤ・コンスタンチーノブナ・アントーノワー(当時 24 歳)との間に男の子が生まれた。当時の習慣により、公爵に仕える農奴の一人ポルフィリイ・イオーン・ボロディンとその妻の子として出生届が出され、その子は父の農奴となった。アレクサンドル・ポルフィリエビチ・ボロディンである 5)。父にはタタール人の血が流れ、ボロディンの風貌も東洋的エキゾティズムを感じさせる(図1)。
ボロディンは生まれて 6 年間は父の下で過ごしたが、その後は母アブドーチヤと暮らした。母は、ボロディンに家庭教師をつけ、諸外国語を学ばせ
た。幼少のころから、音楽に才能を示した。オルガン、ピアノ、フルート、チェロなどを演奏し、西洋音楽に親しみ、9 歳の時にはポルカ『エレーナ』を作曲した。10 歳になったとき、父は、息子を農奴から解放し自由の身にする署名をして亡くなった。13 歳のときには、花火に興味を持ち、自宅に実験室をつくり、花火や絵の具を自作した。10 歳前後から、ボロディンはすでに芸術的才能と科学的才能の片鱗を示していることは注目される。母の努力により、ボロディンは男子中等学校を修了し、父の希望であった内科・外科アカデミーに入学した。学生時代 内科・外科アカデミーは、世界的に著名な教授陣を揃えていた。その一人に化学者ニコライ・ニコラエビチ・ジーニン(1812 - 1880)がいた。ジーニンは幅広い知識と高い見識を持ち、芳香環化合物を研究して、ニトロベンゼンからアニリンを合成する方法(ジーニン反応)を見つけ、ロシアのアニリン染料工業と有機合成化学の基礎を打ち立てた人物である。化学に関心を持っていたボロディンがジーニンの講義に引かれていったのは、当然の成り行きであった。ジーニンの研究室に通い、実験をさせてもらった。ジーニンもボロディンの才能を認め、自らの後継と考えたようだ。ボロディンは音楽活動や作曲にも情熱を注いでいたため、ジーニンは“二兎追うものは一兎も得ず”と忠告したという。ボロディンもまた、化学の仕事は天職と思い、ジーニンに継いでロシアの科学
(化学)と文化(音楽)の発展に貢献する決意を持った。1855 年、ボロディンは優秀な成績で内科・外科アカデミーを修了し、医師の資格を得た。翌年、第 2 陸軍病院の医師としての任務についた。しかし、この仕事になじめずにいたが、この間に、当時連隊将校であった音楽家ムソルグスキーと出会い、ボロディンにとって大きな出来事となった。1857 年、ボロディンはア
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
図1. ボロディンの肖像出典:Wikimedia Commons, free media repository(原作者:I. E. レーピン作)より引用
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カデミーの化学講座の助手に任命され、化学の道を本格的に進むこととなった。内科・外科アカデミー時代 研究を開始してまもなく、ボロディンは、化学的・毒性学的観点から学位論文
『人の組織に対するヒ酸とリン酸の作用の類似性』を仕上げ、1858 年に医学博士の学位を得た。今日でこそ、リンとヒ素は元素周期表の第 15 族元素として類似性と相違性が知られている
が、当時はまだ将来朋友となるドミトリー・イヴァノビチ・メンデレーエフ
(1834 - 1907)による『元素周期表』が発表されていない状況の中で、二つの酸の化学的・生物学的類似性を指摘したことは、ボロディンの研究への鋭さを感じさせる。ボロディンは二兎を追っているのではなく、真の仕事は化学研究であると確信を深める一方、余暇として音楽活動を続け、多くの友を得ながら音楽芸術へ身を捧げていっ
た。ジーニンの信頼の厚いボロディンは、1859 年 10 月ハイデルベルグへと出発し、3 年間の留学生活を体験した。ブンゼンの研究室では、同郷のメンデレーエフをはじめ多くの化学者と会い、親交を深め、エルレンマイヤーの研究室で仕事をした。この 3 年間には、ボロディンにとって素晴らしい出来事が二つあった。ひとつはジーニンとメンデレーエフの 3 人で 1860 年 9月にカールスルーエで開催された第 1
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
表1.ボロディンの生涯
・モアッサン フッ素ガスの単離
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回国際化学会議に出席したことであった。ケクレの化学構造式とベルセーリウスの原子量表の重要性が確認され、有機化学と無機化学において実りの多い会議であり、ボロディンとメンデレーエフがこの経験を共有できたことは、二人のその後の研究生活に大きな影響を与えることとなった。もうひとつは、ハイデルベルグで才能あふれるピアニスト エカテリナ・セルゲエブナ・プロトポーポアにめぐり合ったことである。彼女は、結核治療のために寒いモスクワからハイデルベルグへ来ていたのである。3 ヶ月後に、二人は婚約した。エカテリーナの病気はなかなか回復せず、一時はイタリアへ移った。その間、ボロディンはフッ素化合物の研究をした。1862 年、ペテルブルグに戻ったボロディンは、アカデミーの助教授となり、有機化学を担当した。作曲家バラキレフとも知り合い、ロシアでは『力強い仲間たち』と言われる音楽集団五人組 6)のメンバーとなり、ボロディンは作曲家としての道も進むこととなった。翌年、エカテリーナと結婚し、1864 年には、定年退職したジーニンの後継者として正教授に昇進し、化学講座の教授となった。アルデヒドの研究を進め、成果を上げていった。学会や大学運営にも力を注ぎ、自然科学者・医師会議を開催し、1868 年にはロシア化学会の創設にも加わった。一方、女子の高等医学教育にも力をいれた。1875 年、ジーニンが引退し、研究室の運営はボロディンが担当することとなり、ますます忙しくなった。晩 年 1878 年から、最後の研究となる尿素中の窒素の研究に着手した。しかし、1880 年、恩師のジーニンが亡くなり、翌年にはアレクサンドル 2世が暗殺され、ロシア帝国は反動政策をとるようになった。内科・外科アカデミーは軍医科大学と改称され、長年苦労してつくった女子医科コースが廃止に追い込まれた。そんな苦しい中、
ボロディンは、雄大な音楽絵画『中央アジアの平原にて』や愛妻に捧げる情趣あふれる『弦楽四重奏曲第 2 番』を作曲している。心の安らぎを求めて作曲したものと思われる。そして 1883年には、ロシア音楽協会の会長に選ばれ、名実ともに科学と芸術を両立させた。
長年の多くの苦労や疲労が蓄積していたのであろうか、1887 年 2 月 15 日、謝肉祭後の仮面舞踏会の最中、ボロディンは冠状動脈の破裂で帰らぬ人となった。54 歳であった。アレクサンドロ・ネフスキー墓地のムソルグスキーの隣に埋葬された。5 ヶ月後に、妻のエカテリーナも亡くなった。ボロディンの没後 3 年、完成を幾度も試み、大学運営などで完成できなかったオペラ『イーゴリ公』は、友人のリムスキー・コロサコフとグラズノフの手で完成され、1890 年 10 月 23 日にマリンスキー劇場で初演された。
2. 化学者ボロディンの研究成果 1-4, 7-10)
ボロディンは医師として研究生活をはじめたがジーニンの影響の下で化学領域に多くの成果を残している。論文は、ロシア語、ドイツ語、フランス語およびイタリア語で書かれ、論文数は 42 報ある。論文目録は、文献 2, 7 を参照されたい。ボロディンは時代を先取りした最先端の新しい研究をしている。彼の洞察力の確かさと情熱が感じ取られる。ボロディンの代表的な研究成果の概要を紹介しよう。(1)ベンズアルデヒド関連
ボロディンは、苦偏桃油のベンズアルデヒドや吉草酸に興味を持ち、最初の論文を著している。ベンズアルデヒドにアンモニアを作用しヒドロベンズアミドを得て、さらにそれを加熱してアマリンを得た。それらの化学構造を明らかにするため、ヨウ化エチルを作用して、NH基の数を
調べたが、ヨウ化物の構造については結論を得ていない。
(2)ボロディン反応の発見ボロディンは、1836 年に報告され
ていた方法で、有機酸の金属塩と臭素蒸気を用いて 2- ブロモ酪酸や 2- ブロモ吉草酸を作ろうとしたが、蒸留すると分解してしまった。そこで、酢酸銀と臭素蒸気とを反応させると臭化銀、炭酸ガスおよび臭化メチルが生成することを見出した。この成果は 1860 年に発表されたが、長い間知られることはなかった。有機酸の銀塩から臭化アルキル化合物を合成する一般的方法は、1942 年に見出された Hansdiecker 反応がよく知られている。ボロディンが 82 年も前に発表していたことは、ごく最近知られるようになった。Hansdiecker 反応は Borodin 反応ともよばれている。
(3)フッ素化合物の研究エカテリーナの病気療養のため、
イタリアのピサに移ったボロディンは、化学者ルカとタシナリの歓迎を受け、そこに滞在した。高価な白金製蒸留器がある立派な実験室で、彼はフッ素化合物の研究をする。有機化合物へのフッ化水素カリウム KHF2
の反応性を研究し、フッ化ベンゾイルを初めて合成した(1862, 1863)。この成果は最初の有機フッ素化合物の合成と言われてきたが、実は 1836年と 1854 年にすでにフッ化メチルやフッ化エチルの合成が報告されているので、ボロディンが最初の研究者ではなかった。
和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016) 和光純薬時報 Vol.84, No.3(2016)
ベンズアミド アマリン
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(4) アルデヒド関連―アルドール反応の幕開け
ボロディンはアルデヒドの性質を調べるため、吉草酸アルデヒドとナトリウムとの反応の研究を開始した
(1864 - 1872)。この反応は決して簡単なものではなく、様々な化合物とともにアルコール(C10H22OH)が得られた。実は、このアルコールはアルデヒド体が 2 分子で縮合し還元を受けたものであったが、ボロディンは詳しく調べなかった。その後、彼はヒマシ油の研究に移り、それを熱分解してヘプタナール(炭素数 7 の直鎖状アルデヒド)と有機酸を得た。これに関連して、アセトアルデヒド と塩酸の反応を調べ、アルドール化合物 11)が出来ることを見出した。この反応は、同じ年にフランスのビュルツによって報告され、彼の業績はよく知られている。ケクレもまたアルデヒドの縮合反応を研究したが、発表は遅れた。ケクレとボロディンの論争については、文献 9 に詳しく記載されている。このようにアルドール反応の発見についてはややこしいものがあるが、アルドール反応のその後の有機合成化学での大発展を考えると、ボロディンはその最先端を走っていたこととなる。ロシア語での報告は、ヨーロッパ化学界では認識されにくい状況にあったようだ。
(5)メディシナルケミストリー関連晩年のボロディンは、尿中の尿素
の定量について興味を持って研究した。尿素を次亜臭素酸ナトリウム
NaOBr で酸化して窒素量を測定する新しい方法を報告した。また、クリロフと共同研究して、心臓脂肪中のコレステロールをエステル化して定量する方法を発表した。しかし、この定量法は当時注目されなかった。今日の目からみれば、この方法は重要であるにもかかわらず、1871 年のこの成果は時代を先取りし過ぎていたようだ。さらに、茶の分析法や下等動物への過酸化水素の影響、また消毒におけるオゾンの意義などを研究した。
人間の大脳は、左右で異なった働きをしていることが 20 世紀後半から研究されている。左脳は、ロゴス脳=言葉脳として言葉、論理、計算を担当し、右脳は、パトス脳=音楽脳として非言語を感覚すると考えられている。化学と音楽を生涯通して愛してやまなかったボロディンは、左脳と右脳を存分に発揮して、化学と音楽を両立・開花させたと思われる。ところで、20 世紀終りころ、日本人はロゴスもパトスもともに左脳が担当し、右脳はイメージ脳として機能し、イメージしたことは右脳に配置・記憶しているという新しい考え方が提案された。わが国の宮沢賢治は、自らを科学者といい、そして素晴らしい詩=心象スケッチや童話を創作した 12)。賢治はイメージ脳を発揮していたのだろうか。ボロディンの風貌は東洋系を連想させるので、彼もまたイメージ脳を使い、化学と音楽を創作したのではないかと想像したくなる。ボロディンの美しい音楽を聴きながら、彼の生涯と化学に思いを馳せていただけば幸いである。
〔参考文献とノート〕 1) A・ゾーリナ著、佐藤保彦訳:「ボロディン
その作品と生涯」(新読書社)(1994).
2) 都築洋次郎:「化学者としての BORODIN」,科学史研究Ⅱ,18,148 (1979).
3) 都築洋次郎:「化学者としてのロシアの名作曲家ボロディン」,化学教育,34,192 (1986).
4) Getman, F. H. : “Alexander Borodin-Chemist and Musician”, J. Chem. Educ ., 8 1763
(1931). 5) ロシアでは、正式氏名は、名前・父称(接
尾語をつける)・姓の三つからなる . 6) ロシア五人組「力強い仲間たち」は、1867
年にスターソフがバラキレフグループをそう呼んだことに由来している . メンバーは、次の五人からなる。ミリイ・バラキレフ
(1837-1910)、 ツ ェ ー ザ リ・ キ ュ イ(1835-1918)、モデスト・ムソルグスキー(1839-1881)、アレクサンドル・ボロディン(1833-1887)、ニコライ・リムスキー=コルサコフ
(1844-1908). 7) Friedman, H. B. : “Alexander Borodin-Musician
and Chemist”, J. Chem. Educ ., 18 , 521 (1941).
8) White, A. D. : “Alexander Borodin : Full-time Chemist, Part-time Musician”, J. Chem. Educ., 64, 326 (1987).
9) Gordin, M.D. : “Facing the Music : How original was Borodin’s chemistry”, J. Chem. Educ., 83, 561 (2006).
10) Halton, B. : “Alexander Porfirevich Borodin (1834-1887)”, Chem. New Zealand , 78, 41 (2014).
11) アルドール反応は、酸または塩基触媒の存在下で、α位に水素を持つカルボニル化合物とアルデヒドまたはケトンとが反応してβ- ヒドロキシカルボニル化合物が生成する求核付加反応のひとつである . アルデヒド同士の反応の場合にはアルドールを生成するため、この名でよばれている .
12) 桜井 弘:「宮沢賢治は化学とどう向きあったか?-作品から読み取る賢治の化学観」,化学,70,52 (2015).
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当社の神経細胞関連試薬は、一般的に困難とされているラット、マウスの神経組織からの細胞分散と初代神経細胞培養を誰でも簡単にできることをコンセプトとした商品です。この度、住友ベークライト株式会社から技術協力を得てこれらを商品化しました。同社の神経細胞用培養液、凍結神経細胞シリーズ、神経細胞用分散液の後継品です。
神経細胞関連試薬
特 長■神経細胞用培地● 神経突起の伸展に優れ、シナプス形成、情報伝達など
の電気生理研究などに適している●低密度培養が可能で単一ニューロンの解析に適している
■凍結神経細胞シリーズ● 脳組織を凍結保存しているため、動物の解剖が不要● 神経細胞用分散液、神経細胞用培地と組合せて簡単に
神経細胞の培養が可能
■神経細胞用分散液●単離後の神経細胞の生存率が高い●誰でも簡単に安定して神経細胞の単離が可能
本品が神経突起の伸展に優れていることが確認できた。(データご提供:東京慈恵会医科大学 再生医学研究部 岡野 ジェイムス洋尚先生、小川優樹様)
■生存維持活性評価:神経突起伸展確認(MAP 2免疫染色)
…2 〜 10℃保存 …− 20℃保存 …− 80℃保存 150…− 150℃保存 表示がない場合は室温保存です。特定 …特定毒物 …毒物 …劇物 …毒薬 …劇薬 危…危険物 …向精神薬 …特定麻薬向精神薬原料
…化審法 第一種特定化学物質 …化審法 第二種特定化学物質 …化学兵器禁止法 第一種指定物質 …化学兵器禁止法 第二種指定物質 …カルタヘナ法覚…覚せい剤取締法 毒素等…国民保護法掲載内容は、2016 年 7 月時点での情報です。上記以外の法律及び最新情報は、siyaku.com(http://www.siyaku.com/)をご参照下さい。
誰でも簡単に初代神経細胞の培養が可能誰でも簡単に初代神経細胞の培養が可能
使 用 例
培養3日 培養7日 培養14日
培養3日
細胞数:6.6×105cells/mℓ(妊娠 18日目マウスの胎児小脳より分散)培養スケール:500μℓ/dish(ガラスボトムディッシュ)培養条件:培養3日目、7日目に培地半量交換、3日目よりAra-C 2μmol/ℓ添加
培養7日 培養14日
神経細胞用培地
他社培地+他社サプリメント+5%FBS
コードNo. 品 名 規 格 容 量 セット内容 希望納入価格(円) 対応住友ベークライト社コード
神経細胞用分散液
Neuron Dissociation Solutions 細胞培養用酵素液 5.0mℓ×4本
291-78001 4 セット 分散液 5.0mℓ×4本 31,100 MB-X9901除去液 5.0mℓ×4本
Neuron Dissociation Solutions S 細胞培養用酵素液 2.5mℓ×10本
297-78101 10 セット 分散液 2.5mℓ×10本 50,000 MB-X0801除去液 2.5mℓ×10本
コードNo. 品 名 規 格 容 量 希望納入価格(円) 対応住友ベークライト社コードNo.
神経細胞用培地148-09671 Neuron Culture Medium 細胞培養用 100mℓ 50,000 MB-X9501凍結神経細胞シリーズ
030-24881 Cerebral Cortex, from Mouse(embryonic day 15) 150 細胞培養用 2胎児/本 43,800 MB-X0305033-24871 Cerebral Cortex, from Rat(embryonic day 17) 150 細胞培養用 2胎児/本 50,000 MB-X0304036-24861 Cerebral Striatum, from Rat(embryonic day 17) 150 細胞培養用 2胎児/本 50,000 MB-X0505082-10291 Hippocampus, from Mouse(embryonic day 16) 150 細胞培養用 2.5胎児/本 56,300 MB-X0403085-10301 Hippocampus, from Rat(embryonic day 19) 150 細胞培養用 2.5胎児/本 62,500 MB-X0402