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案件概要表 技術協力プロジェクト 2019 03 15 日 現在 主管区分:本部主管案件 人間開発部 案件名 () アフリカ型イノベーション振興・JKUAT/PAU/AU ネットワークプロジェクト () AFRICA - ai - JAPAN Project: African Union - african innovation - JKUAT AND PAUSTI Network Project 対象国名 ケニア アフリカ諸国 分野課題 1 教育-高等教育 分野課題 2 民間セクター開発-産業基盤制度 分野課題 3 分野分類 人的資源-人的資源-高等教育 プログラム名 高等教育プログラム 援助重点課題 人材育成 開発課題 高等教育の拡充 プロジェクトサイト 署名日(実施合意) (*) 2014 03 25 協力期間 (*) 2014 06 4 2020 06 3 相手国機関名 (*) () ジョモ・ケニアッタ農工大学 ( ) Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology (JKUAT) プロジェクト概要 ・背景 アフリカの多くの国が産業発展、工業化、科学技術立国を政策目標として 掲げているが 、科学技術イノベーション(STI)分野を担う人材、予算、 質を伴った実践の不足等により、それら政策実現が遅々として進まない現 実に直面している。 また、アフリカにおいては、 brain-drain の問題が依 然指摘されている。 このような状況の下、アフリカ域内の社会開発を担う人材を養成・確保す るためには域内の高等教育の強化が重要との認識に立ち、2008 年にアフ リカ連合委員会(以下、 AUC)は、汎アフリカ大学(Pan African University

JKUAT/PAU/AU...以下PAU)構想を立ち上げた。PAUはアフリカを5つの地域(北部、西 部、中部、東部、南部)に分け、各地域に対象分野を定め、各々ホスト国・

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 03 月 15 日 現在

主管区分:本部主管案件

人間開発部

案件名 (和) アフリカ型イノベーション振興・JKUAT/PAU/AUネットワークプロジェクト

(英) AFRICA - ai - JAPAN Project: African Union - african innovation - JKUAT AND PAUSTI Network Project

対象国名 ケニア アフリカ諸国

分野課題 1 教育-高等教育

分野課題 2 民間セクター開発-産業基盤制度

分野課題 3分野分類 人的資源-人的資源-高等教育

プログラム名 高等教育プログラム

援助重点課題 人材育成

開発課題 高等教育の拡充

プロジェクトサイト

署名日(実施合意) (*) 2014 年 03 月 25 日

協力期間 (*) 2014 年 06 月 4 日 ~ 2020 年 06 月 3 日

相手国機関名 (*) (和) ジョモ・ケニアッタ農工大学

( 英 ) Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology (JKUAT)

プロジェクト概要

・背景

アフリカの多くの国が産業発展、工業化、科学技術立国を政策目標として

掲げているが 、科学技術イノベーション(STI)分野を担う人材、予算、

質を伴った実践の不足等により、それら政策実現が遅々として進まない現

実に直面している。 また、アフリカにおいては、brain-drain の問題が依

然指摘されている。

このような状況の下、アフリカ域内の社会開発を担う人材を養成・確保す

るためには域内の高等教育の強化が重要との認識に立ち、2008 年にアフ

リカ連合委員会(以下、AUC)は、汎アフリカ大学(Pan African University、

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以下 PAU)構想を立ち上げた。PAU はアフリカを 5 つの地域(北部、西

部、中部、東部、南部)に分け、各地域に対象分野を定め、各々ホスト国・

ホスト大学・支援パートナー国(Lead Thematic Partner、以下 LTP)を設け

ている。また、各ホスト大学と同等の「センター」、が、各地域に 10 か所

設けられることになっている。PAU は既存のホスト大学のアセット(施

設・人材)や LTP の支援、各センターとの協力による様々な海外教員の人

脈等も活用しつつ、アフリカ大陸内において、アフリカの多国籍の修士・

博士課程の学生を指導する大学院大学である。

PAU の東部拠点(PAUSTI)の対象分野は「科学技術イノベーション(STI)」、ホスト国は「ケニア」、ホスト大学は競争的な選考プロセスを経てケニア

国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学(以下、JKUAT)となった。PAUSTI は、

JKUAT キャンパス内に設置され、2012 年 10 月に既に開講している。

上記 PAUSTI のホスト大学である JKUAT に対しては、日本が 1978 年か

ら 2000年まで継続的な支援を行ってきた。協力終了時には学生数が 3,000に満たなかったが、現在では約 30,000 人へと大発展しており、また、同

大学で育成された教員が教育省により他大学の強化のためにプロモート

されていくなど 、東部アフリカにおける中心的な大学の一つに成長して

いる。その一方で、同大学の現状は、大学運営・教育については十分な能

力・経験を有するものの、上記の教員プロモート策による異動もあり、質

の高い教員が引き抜かれて学内に不足する傾向にあること、また、施設・

機材の老朽化が進んでいることなどから、イノベーション活性化に向けた

研究活動の推進体制に課題を抱えている。したがって、PAUSTI を推進す

るためにも、研究環境の整備・強化が必要である。

日本政府は、PAU 支援に積極的な姿勢を示している。AU からの継続的な

強い要請に応じ、2013 年 1 月に PAUSTI の LTP に就任した(日本政府

は、2013 年 1 月に AUC と 2 者間の覚書を締結。)。また、2014 年 1 月に

は、PAUSTI への協力に関し、AUC、日本政府及びケニア政府の 3 者間で

覚書が締結されている。ケニア政府は、事前に AUC に確認した上で、LTPである日本政府に期待する役割のひとつとして、PAUSTI の持続的推進の

原動力となる JKUAT の研究環境の整備・強化を支援する本プロジェクト

を我が国に要請したものである。

・上位目標

アフリカにおいて科学技術イノベーション(STI)分野の産業人材が育成さ

れる。

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・プロジェクト目標

JKUAT/PAUSTI で、STI を生み出す学生を輩出する。

・成果

成果 1:JKUAT/PAUSTI の STI 分野の研究環境が整備される。

成果 2:JKUAT/PAUSTI においてケニア及びアフリカに特徴的な STI に繋

がる活動(研究等)が実践される

成果 3:JKUAT/PAUSTI の研究・実践活動及びその成果がアフリカ内外の

高等教育機関や産業界等に情報発信される。

・活動

1-1.研究機材の現況調査の実施

1-2.上記調査結果に基づく研究機材の調達管理計画の策定

1-3.上記計画に基づく必要機材の修理・補充

1-4.既存の機材維持管理システムのレビューと課題抽出

1-5.機材維持管理にかかるマニュアル類の整備と更新

1-6.機材維持管理を担う人材への研修実施

1-7.各ラボの人員、機材に関する情報整理、更新及び発信

1-8.イノベーション分野の研究を担う若手教員および機材管理を担う技

官への能力強化研修の実施(本邦研修(長期/国別研修))

2-1.イノベーション戦略作成実施に係る作業部会の設立

2-2.イノベーションの全体戦略/中期計画の立案

2-3.上記、中期計画に基づいた年次行動計画の策定

2-4.パイロット研究の実施(1 年次のみ)

2-5.公募研究にかかる選定委員会と選定基準の設置

2-6.研究プロポーザルの公募方法の導入

2-7.JKUAT/PAUISTI の教員を対象とした研究プロポーザルの公募促進

2-8.採択された研究の実施

2-9.採択された研究の実施を通じた研究者(教員/大学院生)への実践的

な研修の実施

2-10.研究進捗のモニタリング実施と報告会の開催

2-11.研究成果の取り纏めと情報共有の促進

2-12.研究論文の査読付き学術誌(Peer Reviewed Journal)への投稿

2-13.採択された研究成果をベースにした全体戦略/計画のレビューと

更新

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3-1.JKUAT/PAUISTIのウェブサイトを通じた研究活動に関する情報発信

3-2.アフリカ内外の学生の学術交流の推進

3-3.産業界と協働したセミナー等の企画・実施

3-4.JKUAT/PAUISTI の研究成果に係るワークショップ/発表会の開催

・投入

・日本側投入

・専門家派遣

長期:4 名(チーフアドバイザー、業務調整/情報、バイオテクノロジ

ー分野(農学系)、工学系分野 合計 235 MM短期 若干名(大学・産業界等) 合計 10MM・研修(長期本邦研修) 若手研究者 2 人× 3 期

・研修員受入(バイオテクノロジー分野(農業、科学)、工学系分野)

20 名

・機材供与(科学技術イノベーション(STI)分野に関する基本機材・実

用機材)<一部>・ローカルコスト:JKUAT/PAUSTI 用の公募研究費、研修・セミナー

費用等、STI 実践活動/情報発信活動整備、研究活動施設の整備

広報用資料映像の製作

・相手国側投入

JKUAT・カウンターパートの配置

プロジェクトディレクター:JKUAT 副学長(アカデミック担当)

プロジェクトマネジャー:JKUAT イノベーションタスクフォース

プロジェクトスタッフ:JKUAT イノベーションタスクフォースメ

ンバー

JKUAT/PAUSTI のアカデミックスタッフ

・プロジェクト事務所の提供、必要事務機器の維持管理費、光熱費、

通信費

・研究活動用の施設と機材<一部>

・外部条件

・PAUSTI の学生に対する奨学金が継続的に確保される。

*その他の留意点として以下があげられる。PAU のガバナンスは、現在

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AUC の担当部署が暫定的に対応しており、人員不足の状態である。PAU規約はAUにて設定されており、それに沿って今後PAUの各種規則がPAU評議会により決定されていき、PAUSTI に Director が PAU Rector(現在空

席)の任命により配属されるなど、PAU のガバナンスが動き出すこととな

るが、その後、研究教育の実態をつかさどっている JKUAT のガバナンス

と、PAUSTI のガバナンスの間に良好な協働関係が築けるのかは未知数で

ある。また、未設定である 10 か所のセンターとホスト大学との研究教育

における関係も未知数であり、これらの関係性の変化により、プロジェク

トで対応すべき内容に影響が出る可能性がある。これらの不確定要素につ

いては、今後の事業の過程において十分に配慮し、適切な措置が取られる

よう、日本政府とも共同して取り組むこととする。

実施体制

・現地実施体制

PAU の東部拠点(PAUSTI)のホスト国は「ケニア」、ホスト大学は競争的

な選考プロセスを経てケニア国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学(以下、

JKUAT)となった。PAUSTI は、JKUAT キャンパス内に設置され、2012年 10 月に既に開講している。

PAUSTI のホスト大学である JKUAT は、1981 年に農学・工学分野の中堅

カレッジとして開講して以降、日本の支援により着実に成長し、1988 年

にはケニヤッタ大学の子大学として大学に昇格。1994 年には総合大学と

なり、その後、親大学として 4 つのカレッジを大学に昇格させ、現在も 4つのカレッジの大学昇格を支援している。

本プロジェクトの実施に際しては、JKUAT 副学長(アカデミック担当)が

プロジェクトディレクターを務め、また、イノベーション活動を推進する

ための JKUAT イノベーションタスクフォースを設置する。

・国内支援体制 (*)【政府】外務省、文部科学省

【大学】工学系:京都大学、鳥取大学(予定)、長崎大学(予定)

農学系:岡山大学、帯広畜産大学(予定)、くらしき作陽大学(予

定)

【産業界】日本プラント協会(予定)、日本機械輸出組合(予定)、エンジ

ニアリング協会(予定) 等

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関連する援助活動

・我が国の援助活動

JKUAT を実施機関の一つとして「再生可能エネルギーによる地方電化推

進のための人材育成プロジェクト(2011 年~2015 年)」および「(現地国

内研修)持続可能な社会経済開発及び生計向上のための農村女性能力向上

(2012 年~2015 年)」を実施中である。それら事業は、JKUAT の有する

技術・知識を地方で実証・普及する活動を行っている点で、当該案件と類

似性があることから、連携を図ることとする。また、アフリカの産業人材

育成を目的として実施される ABE イニシアティブとも効果的な連携を図

る。さらに、JICA 以外でも、本邦大学が JKUAT と共同研究の実施や、日

系企業が JKUAT と合弁事業を立ち上げるなど、日本の産業界との協力も

見られるため、それら産業界とも情報共有を図り、連携の可能性を探るこ

ととする。

・他ドナーの援助活動

PAU の 5 つの地域拠点ネットワークの枠組み等を活用し、分野的に類似

している北部拠点(水・エネルギー科学)との連携が特に期待できる。PAUの関係他ドナー国等は、ドイツ・スウェーデン・インド・EU・AfDB など。

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

個別案件(専門家) 2019 年 03 月 12 日 現在

主管区分:本部主管案件

人間開発部

案件名 (和) 疾病サーベイランスアドバイザー

(英) Disease Surveillance Advisor対象国名 ケニア

分野課題 1 保健医療-保健医療システム

分野課題 2分野課題 3分野分類 保健・医療-保健・医療-保健・医療

プログラム名 健康危機準備対応プログラム

援助重点課題 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ

開発課題 健康危機準備対応

プロジェクトサイト

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2019 年 03 月 1 日 ~ 2021 年 03 月 31 日

相手国機関名 (*) (和) ケニア国保健省疾病サーベイランス対応課

(英) Disease Surveillance and Response Unit, Ministry of Health, Kenya

プロジェクト概要

・背景

ケニア及び東アフリカ諸国では蚊媒介性の黄熱病やリフトバレー熱など

重篤な感染症のアウトブレイクが発生しており、早期発見、早期封じ込め

のための簡易な診断法の開発と持続的に運用できる早期警戒・対応システ

ムの構築と普及が課題である。

かかる状況を受けて、JICA はケニア側の要請に基づき、2012 年から 2017年に地球規模課題に対応する科学技術協力(SATREPS)「黄熱病およびリ

フトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒シス

テムの構築プロジェクト」を実施し、感染症の早期封じ込めに向けたポイ

ント・オブ・ケア(Point-of-Care: POC)テストを含む迅速診断法の開発と病

原体確定診断を行うリファレンス機能の強化、そして黄熱病とリフトバレ

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ー熱のアウトブレイク早期警戒・即時対応メカニズムの構築を目的とし

て、携帯電話の SMS を利用したアウトブレイク警戒システム(mSOS; mobile SMS-based disease outbreak alert system)を開発し、試験的な導

入に成功した。2014 年からは全国化に向けて同システムの国の保健情報

システムである DHIS(Demographic Health Information System、ケニア

中央保健省とカウンティ・サブカウンティ保健局で使われている情報シス

テム)への移行、関連研修教材の改訂、カウンティ・サブカウンティ向け

の研修を実施してきた。今後、このシステムを全国展開していくには、地

方分権化したカウンティ・サブカウンティ保健局との連携や疑い症例を報

告する各医療施設の積極的参加を促すための支援が不可欠である。

また、ケニアでは、2016 年 5 月に、公衆衛生危機の監視と対応のための

緊急オペレーションセンター(EOC: Emergency Operation Center)が新

設されたことから、mSOS と EOC との連携を図り、保健省の公衆衛生危

機早期対応能力強化に資する支援が求められている。加えて、WHO-AFROがアフリカ諸国に導入した IDSR(Integrated Disease Surveillance and Response)との相乗効果とともに IHR(国際保健規則)実施の促進も期

待されている。

こうした状況の下、ケニア保健省は「黄熱病およびリフトバレー熱に対す

る迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒システムの構築」プロジェ

クトの成果を踏まえ、2017 年に個別専門家「疾病サーベイランスアドバ

イザー」を要請した。本専門家は、上述したアウトブレイク警戒システム、

mSOS と IDSR の相互連携を促進しながら、疾病サーベイランスシステム

の全国的な普及および周辺国への展開支援、さらにはアフリカ CDC の東

アフリカ域内の RCC(Regional Collaboration Center)との連携促進を目的

として派遣される。

なお、普及展開されるアウトブレイク早期警戒システムモデルは、ケニア

のみならず東アフリカ諸国の社会経済インフラ状況にも即したものであ

ることから、各国の感染症対策に貢献することが期待される。

・上位目標

・プロジェクト目標

1.ケニアにおいて、mSOS/IDSR を用いた疾病サーベイランスシステムが

全国的に稼働・普及する。

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2.疾病サーベイランスシステムから得た情報に基づき、早期および複数セ

クターによる迅速な対応が促進される。

3.ケニアで開発した mSOS/IDSR システム・ツールの有効性が、東アフリ

カ地域およびサブサハラアフリカ地域に広く周知される。

・成果

1.mSOS/IDSR の全国運用が開始され、その使用率や情報の質が改善する。

2.mSOS/IDSR に対するケニア国保健省の他部署や他ステークホルダーの

理解が深まり、相互の情報交換や調整機能が強化される。

3.mSOS/IDSR の実証研究を行い、研究結果がケニア以外の国や地域へ発

表され、東アフリカ RCC との連携が強化される。

・活動

1.1 国内の疾病パターンのモニタリングを実施する。

1.2 全国運用に伴い、国内の mSOS の利用状況(報告時の迅速性やデー

タの包括性・正確性など)の定期的なモニタリング、問題点の洗い出し、

課題解決のための研修や研究の提案および実施を支援する。

1.3 関連する疾病サーベイランスやアウトブレイクタスクフォースに参

加し動向を分析し、早期対応・早期解決への技術的提言をおこ なう。

2.1. 国内・サブサハラアフリカ域内で疾病サーベイランス分野の活動を支

援している他のステークホルダーのマッピングと動向調査を実施する。

2.2. ケニア国立公衆衛生院 (NPHI)内に設置した緊急オペレーションセン

ター(EOC)と mSOS/IDSR の相互連携・データ連動に向けて助言をおこ

なう。

2.3. ケニアにおける IHR 自己・外部評価実施を支援する。

3.1 OS/IDSR の実施状況のモニタリングデータ分析や実証研究を通じて、

様々な視点から質的・量的評価を実施する。

3.2 3.1 の研究をアフリカ、グローバルレベルの会議や学術誌にて発表す

る。

3.3 疾病サーベイランスの域内連携を強化するため、RCC と協調し関連

活動に参加・助言し、域内ネットワークの構築を図る

・投入

・日本側投入

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・相手国側投入

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

有償技術支援-有償専門家 2019 年 03 月 12 日 現在

主管区分:本部主管案件

人間開発部

案件名 (和) 保健円借款案件形成/保健財政協力専門家

(英) Health Finance Policy Advisor対象国名 ケニア

分野課題 1 保健医療-保健医療システム

分野課題 2分野課題 3分野分類 保健・医療-保健・医療-保健・医療

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2017 年 11 月 1 日 ~ 2020 年 11 月 30 日

相手国機関名 (*) (和) (英)

プロジェクト概要

・背景

ケニア政府は、国家開発計画である「Vision 2030」で、公正で費用負担可

能な質の高いヘルスケアの提供を目標に掲げ、2015 年の大統領年次教書

演説においても UHC に向けた関連事業の展開について言及するなど、

UHC の達成に強くコミットしている。また、UHC は、2016 年の TICAD VI ナイロビ宣言の優先分野の一つである「質の高い生活のための強靱な保

健システムの促進」の中でも重要な位置を占めている。

JICA は、2012 年に「ケニア保健セクター情報収集・確認調査」を実施し、

ケニアにおける保健財政及び医療保障分野の現況を明らかにすると共に、

同国の保健セクターの協力方向性を UHC 達成支援に定めることとした。

同調査の結果に基づき、2013 年には「保健円借款案件形成/保健財政協

力【有償勘定技術支援】」(単独型)が派遣され、ケニアにおける保健財政

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の現状、具体的には財源や支出内訳、国家病院保険基金の財政状況及び給

付内容・加入率、その他の医療保障プログラムや世銀をはじめとする他ド

ナーの UHC 支援内容、資金フロー等を調査し、UHC 分野での円借款案件

概要や実施方針に対し提言をまとめた。

その後保健省に派遣された長期専門家「UHC アドバイザー」による情報

収集、JICA 本部による調査等を通じ、「UHC 達成のための保健セクター

支援政策借款」が形成され、2015 年 8 月 17 日に交換公文・借款契約の調

印を行った。

上記円借款では、UHC 達成のために優先的に実施すべき重点施策を「政

策アクション」として定め、同アクションの達成を以てディスバースが行

われる形態をとり、主に①UHC 関連政策文書(UHC ロードマップ、保健

財政戦略等)の策定、②UHC 関連プログラム(産科無料サービス、健康保

険補填プログラム、一次保健施設の成果連動型資金プログラム)のマニュ

アル作成とケニア政府予算の確保、③カウンティ政府を主体とした保健シ

ステムの強化の 3 区分から政策アクションを選定した。また、世銀の

「Health Sector Support Programme」(Additional Financing)と対象 UHCプログラムや指標を同一のものとし、ケニア側の政策にアラインすると同

時に、合同で関連プログラムの進捗がモニタリングできるよう留意した。

UHC 支援を本格的に開始し3年半が経過したことから、本専門家は、

こうした借款で支援する UHC 関連プログラムの進捗や課題、今後の方向

性のほか、ケニアにおける保健財政政策・戦略を随時整理・分析、次期円

借款の形成支援を行い、継続的に UHC 関連案件を支援することを目的と

して派遣される。

・上位目標

・プロジェクト目標

1.ケニア保健省による、UHC 達成に向けた保健財政政策・戦略の策定およ

び実施を支援する。

2.JICA の協力する UHC 関連プログラムの支援、助言を行い、特に既往の

円借款事業「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のための保健セク

ター政策借款」のフォローアップ及び新規円借款案件形成を行う。

3.ケニア保健省が UHC 関連プログラムの進捗状況を取り纏め、日本政府

や他ドナーへ進捗を提示することができるよう支援する。

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・成果

1.保健省により、UHC 達成に向けた保健財政戦略などの取組みが、関連省

庁やカウンティ政府などのステークホルダーとの連携の下、計画、実施さ

れる。

2.保健省により、地方分権下での UHC にかかる政策、戦略、モニタリン

グフレームワークが構築される。

3.保健省により、既往の円借款事業「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ

達成のための保健セクター政策借款」が適切にモニタリングされる。

4.保健省により、ケニアの保健セクターの現状及び今後の展望について、

ケニア国内外の関係者の理解を促進すべく、随時情報発信がなされる。

5.保健省より、UHC 支援のための次期円借款事業(案)が要請される。

6.ケニア政府関係者が、UHC 達成に向けた保健システム強化などの人材

育成の機会を得る。

・活動

1.UHC 達成のための政策策定・実施支援

1.1UHC 達成のための保健セクター中期計画、UHC ロードマップや関連

調査を含む保健財政戦略・政策の計画、実施を支援する。

2.UHC 達成に向けた進捗のモニタリング・評価

2.1UHC の進捗状況、特に SDGs にかかる分野や国内の現況のモニタリン

グ・評価を促進する。

2.2 ケニアにおける UHC 達成に向けた取り組みの課題・障壁にかかるデ

ータや情報を収集・分析する。特に、下記2点の情報収集・分析を行う。

(i)地方分権下での保健サービス提供やカウンティレベルにおける保健予

算割当、(ii)効果的な公共財政管理システム及びカウンティの保健システム

強化を支援するためのドナー資金のフロー。

2.3TICAD VI にて表明された UHC 推進にかかる保健省の取組みを支援す

る。

3.ケニアの保健分野における技術的助言

3.1 ケニアにおける UHC 達成に向けた保健システム強化の領域に関する

JICA の支援戦略、実施(円借款、カウンティ保健システムマネジメント強

化、本邦研修)について提言を行う。

3.2「UHC 達成のための保健セクター政策借款」のフォローアップを支援

する。保健省が指標の達成度合いを進捗報告書に纏めることを支援する。

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3.3 他ドナーの支援による、保健財政・サービス改善にかかるプログラム

(特に世銀、DANIDA、KfW)の進捗、情報を随時収集する。

3.4UHC 支援のための新規円借款案件の形成案を検討する。

3.5 ケニアにおける UHC 政策策定・実施を強化するための研修案(本邦

研修、第三国研修)を保健省と協議する。

3.6 計画、マネジメント、モニタリング・評価にかかる関係者・パートナ

ー間の調整および連携強化を促進すべく JICA 事務所と保健省へ技術的助

言を行う。

4.UHC プログラムの対外発信支援

4.1 ケニア政府が SDGs や UHC に向けた取り組みの進捗や課題を国内外

へ対外発信していくよう支援する。

・投入

・日本側投入

・相手国側投入

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・他ドナーの援助活動

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(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2020 年 4 月 23 日 現在

主管区分:在外事務所主管案件

ケニア事務所

案件名 (和) アフリカ保健システム強化パートナーシッププロ

ジェクト フェーズ2

(英) Partnership for Health Systems Strengthening in Africa (PHSSA) Phase II

対象国名 ケニア ケニア、セネガル、モザンビーク、タンザニア、

ガーナなど

分野課題 1 保健医療-保健医療システム

分野課題 2分野課題 3分野分類 保健・医療-保健・医療-保健・医療

プログラム名 保健システム強化プログラム

援助重点課題 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ

開発課題 保健システム強化

プロジェクトサイト ケニア・ナイロビ、セネガル・ダカール、マプト・モザ

ンビークなど

署名日(実施合意) (*) 2016 年 11 月 21 日

協力期間 (*) 2016 年 11 月 21 日 ~ 2021 年 03 月 31 日

相手国機関名 (*) (和) ケニア国保健省

(英) Ministry of Health, Kenya

プロジェクト概要

・背景

サブサハラアフリカ地域では、保健・医療従事者(ヘルスワーカー)が

絶対的に不足しており、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage:UHC)推進上大きな制約要因となっている。アフリカ

では農村人口の 77%が保健サービスへのアクセスがない状況に置かれて

おり、その主因は保健人材不足とされている。アフリカにおいて人口 1 万

人に占める保健人材の割合は 12.4 人に過ぎず、世界平均の半数以下にと

どまっている。そのため、保健・医療従事者の育成・強化は喫緊の課題で

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あり、サブサハラアフリカにおける保健人材育成のための教育機関の質的

なキャパシティの向上が求められている。また、公正性の観点から適切に

人材を配置する管理能力の向上も含めた保健システム強化が必要とされ

ている。

保健・医療従事者の育成・強化は基本的に各国保健省が担っているが、

サブサハラアフリカ地域では人材開発・人材管理を含む保健システム強化

(Health System Strengthening: HSS)に係る研修実施能力を有する機関

は少なく、保健・医療従事者が容易に研修・訓練機会にアクセスできる状

態には至っていない。

本事業の第一フェーズ(第三国研修「アフリカ保健システム強化パート

ナーシッププロジェクト(PHSSA) 」 (2011 年~2015 年)では、サブサハ

ラアフリカ地域の各国保健省とともに、既存の研修機関の能力強化や研修

機関間のネットワーキングを通じて、HSS のうちリーダーシップ/マネジ

メント/ガバナンス(LMG)に焦点を当てた人材育成に関する研修モジュ

ール(HSS-LMG)を開発し、3 ヵ国語(英語、仏語、葡語)による指導者

向けの研修を計 300 人以上が受講した。その結果、研修参加者が帰国後に

カスケード式で保健・医療従事者に対して研修を実施するケースも見られ

た。しかし、HSS の推進に必要な能力を有する保健・医療人材引き続き不

足しており、更なる人材育成が求められている。

・上位目標

サブサハラアフリカ地域における各国の HSS に係る研修実施能力が強化

される

・プロジェクト目標

アフリカ地域の既存ネットワークや研修機関とのパートナーシップの下、

サブサハラアフリカの保健システム強化に貢献する人材が持続的に輩出

される。

・成果

成果 1:フェーズ I で開発した保健分野のマネジャーとリーダー向けの

HSS-LMG 研修カリキュラムと教材を見直し、内容も更新した上で、eHSS-LMG 研修として提供される。

成果 2:eHSS-LMG 研修実施に対する各国政府やメンバー機関の資源・資

金配分を増やす。

成果 3:研修機関同士で eHSS 関連の活発なネットワーキングや情報共有

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ができるオンラインプラットフォームが開発される。

成果 4:研修受講者へのフォローアップと受講者からのフィードバックが

受け取れるメカニズムが構築される。

成果 5:保健システム強化へのダイナミックな需要に呼応するための、

eHSS-LMG 研修のカリキュラムとモジュールを定期的に見直す体制がつ

くられる。

成果 6:研修の実施を通じて得られたベストプラクティスや教訓を抽出し、

記録に残す体制がつくられる。

・活動

活動 1:既存カリキュラムと教材の見直しと更新、研修教材の E-ラーニン

グコース化、選定国におけるパイロットテストの実施、英語圏 16 か国へ

の展開、研修教材の仏語・葡語への翻訳(仏語・葡語の文脈に合わせた改

訂含む)及びその E-ラーニングコース化、仏語圏・葡語圏への展開

活動 2:各地域の AHLMH 内フォーカルメンバーの決定及びそこを通じた

対各国施府への eHSS-LMG に対する資金動員の呼びかけ、アドボカシー

ガイドラインの作成、ガイドラインの仏語・葡語への翻訳、AHLMN メン

バーへのガイドラインの配布、アドボカシー活動のモニタリング及び評価

活動 3:AHLMN ウェブサイトにおけるサブドメインの立ち上げ、フェー

ズ I 参加者向けソーシャルメディアプラットフォームの作成、eHSS-LMG研修のメンターとなるフェーズ I 受講者(トレーナー)をリクルートし、

eHSS-LMG 研修受講者にもソーシャルメディアプラットフォームへの参

加を呼び掛ける

活動 4:ベースライン調査の実施及びオペレーショナルリサーチの枠組み

作成、実施した研修のレポート・参加した機関・人材のデータベースの立

ち上げ、中間レビューの実施、終了時評価の実施

活動 5: eHSS-LMG 研修のカリキュラム及び教材の見直し、研修教材の

定期的更新及び仏語・葡語への翻訳、E ラーニングコースへの変換

活動 6:eHSS-LMG 研修におけるベストプラクティスと教訓の文書化

・投入

・日本側投入

① 第三国専門家(フェーズ1で育成された周辺国人材の活用)

② 現地活動費:フェーズ1で開発した研修モジュールの E ラーニン

グ向けコンテンツへの改定経費、オンラインプラットフォーム及

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び研修実施に係る経費

・相手国側投入

①ケニア保健省医療サービス長(Director Medical Service)・カウンターパートの配置

②Amref Health Africa(委託先)研修局

・カウンターパートの配置

・施設、機材、備品(研修モジュールの改定、研修の実施に必要な資

機材)

・外部条件

【プロジェクト目標達成のための外部条件】

・AHLMN の役割とメンバー国・機関に大きな変更が生じない。

【上位目標達成のための外部条件】

・引き続き及び国際レベルにおいて HSS が優先課題と位置付けられる。

実施体制

・現地実施体制

プロジェクト実施体制としては、ケニア保健省が全体総括の責任を担

い、Amref は JICA との業務実施契約の下、活動の実施を行なう。また、

保健省は他国の研修員がナイロビに派遣される際の便宜を図る役割も担

う。Amref は、アフリカ保健リーダーシップ・マネージメントネットワー

ク(AHLMN)を主宰し、同ネットワークを活用した研修スケールアップを

図る。

研修の実施体制については、各国の政府及び研修機関が E ラーニングコ

ースの運営を担い、係る人材や資金の動員を主体的に行なう。また、政府

公認研修としての承認プロセスや研修の証明発行など本研修の位置付け

については、政府及び研修機関と共に協議し枠組みを明らかにする。なお、

コースの維持管理に関しては、Amref 及び各国政府・機関が責任を担う。

広域のネットワークとしては、AHLMN が 33 カ国で 106 機関に拡大し

ていることを最大限に活用し、ネットワーキングの強化や、パートナー機

関のアドボカシー能力の向上を図り、オンラインプラットフォームを活発

化することで、情報交換を円滑に行い、LMG というコモンアジェンダを

SSA 内で促進する。

JICA 内の実施体制として、本案件は JICA ケニア事務所の主管案件であ

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り、企画調査員及び保健セクターインハウスコンサルタントがプロジェク

トの実施監理を担い、JICA 在外事務所への情報発信・情報共有を活発に

行うことで、各国での連携促進を図る。

・国内支援体制 (*)人間開発部保健第 1 チームが、WHO や世銀との連携で得られる情報や、

ケニア事務所から共有される情報を総合的に分析して、本案件の将来の方

向性を事務所と継続的に協議する。

関連する援助活動

・我が国の援助活動

第 1 フェーズでは、10 モジュールからなる研修カリキュラム、マニュ

アル、ファシリテーターガイド、モニタリング・評価ガイドを開発し、英

語・仏語・葡語版を印刷し、関連機関や研修参加者に配布した。そして対

面式集団研修を 12 回実施し、300 人を超える研修受講者を輩出した。

・他ドナーの援助活動

本事業は AHLMN のネットワークを活用しアフリカ各国における研修

の実施を促進しているが、本事業を通じて AHLMN メンバー機関の研修能

力の強化を図ることにも貢献している。また同ネットワークを通じた連携

を促進し、相互で補完しながらアフリカ域内全体での人材育成能力強化が

図られている。

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 02 月 14 日 現在

主管区分:本部主管案件

人間開発部

案件名 (和) 地方分権下におけるカウンティ保健システム・マ

ネジメント強化プロジェクト

(英) Project for Organizational Capacity Development for Devolved County Health Systems in Kenya

対象国名 ケニア

分野課題 1 保健医療-保健医療システム

分野課題 2分野課題 3分野分類 保健・医療-保健・医療-保健・医療

プログラム名 保健システム強化プログラム

援助重点課題 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ

開発課題 保健システム強化

プロジェクトサイト ケニア国全域(全 47 カウンティ)

署名日(実施合意) (*) 2014 年 07 月 08 日

協力期間 (*) 2014 年 10 月 20 日 ~ 2019 年 10 月 19 日

相手国機関名 (*) (和) 保健省

(英) Ministry of Health

プロジェクト概要

・背景

The Kenya Health Policy 2012 - 2030 gives directions to ensure significant improvement in overall status health in Kenya in line with the country’s long term development agenda, Vision 2030 and the Constitution of Kenya 2010. It demonstrates the health sector’s commitment, under government stewardship, to ensuring that the Country attains the highest possible standards of health, in a manner responsive to the needs of the population and realization of fundamental human rights. It focuses on ensuring equity,people centeredness and participatory approach, efficient, multi-sectoral approach and social accountability in delivery of health care services.

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The Constitution of Kenya 2010, introduces a devolved system of government which would enhance access to services by all Kenyans, especially those in rural and hard to reach areas. At this juncture, the capacity of the Ministry of Health was strengthened particularly in leadership, governance, strategic management and efficient planning and monitoring. Sub-national management functions at County and Sub-county levels have been strengthened to allow them to better facilitate and supervise service delivery, though this mandate has been exercised differently in the various provinces/regions, and districts in the context of decentralization by devolution of the central level Ministry of Health. 【別紙へ】

・上位目標

To contribute to the achievement of universal health coverage with equitable and accessible health service delivery in Kenya.

・プロジェクト目標

To foster leadership and managerial capacity in County and Sub-County Health Systems in Kenya

・成果

1. To support organizational development of “County Support Unit” in MOH.2. To foster “Health Systems Management” for County and Sub-county Health Management Teams.3. To foster “Service Quality Management” for County Referral Hospitals and Model Health Centers.4. To disseminate lessons-learned and best practices experienced by the Project locally in Kenya and externally in the Sub-Saharan Africa region.

・活動

1. To support organizational development in “County Support Unit” in MOH1.1 To identify County Support Unit and develop TOR/COC for effective implementation1.2 To establish working mechanism to guide County Health Systems1.3 To develop M&E tools for management of County Health Management Systems

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1.4 To develop mechanism and tools for support supervision for County Health Management Teams1.5 To build the leadership and management capacity for County Support Unit.1.6 To conduct regular supportive supervision to County Health Management Teams1.7 To update the information and articulate best practices in County Health Systems and Management 【別紙へ】

・投入

・日本側投入

4 Japanese Long-term experts? Chief Advisor? Health Systems Management Training Advisor? Service Quality Management Advisor (Gemba-Kaizen)? Project Coordinator/Procurement AdvisorProject implementing cost (In-service training, supervision, publication etc.)5 Counterpart Training in Japan each year (County Directors)Minor rehabilitation and equipment support to 8 branches of Kenya Medical Training College (KMTC) (max 15,000,000 Ksh each year)

・相手国側投入

Government of Kenya assigns Project Director (MOH), Manager (MOH) and Field Manager (County Directors).Avails Project Office and Implementing Officers.GOK shares the cost of implementing project activities on demand basis

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

MOH County Support Unit (main implementing agency)

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MOH Human Resource Development Unit and other relevant unitsCounty Directors and Health Management Teams (47)County Referral Hospital Directors (47), Model Health Center in Charges (250)KMTC and 8 major branches (Nairobi, Mombasa, Kisumu, Nakuru, Nyeri, Kakamega, Machakos, Erdolet)**Partnership with USAID, especially Leadership and Sustainability Management Project by Management Science for Health (MSH).

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1)Related aid activities by Japan (Name of related projects / cooperation activities implemented by Japan and explanation of relationship with the Project)“Project for Strengthening Management for Health in Nyanza Province”, known as JICA SEMAH Project that (July 2009 - June 2013). The Project aims at enhancing “mindset change” in organizational capacity development through Whole Systems Approach in strengthening the overall health systems in an autonomous and self-reliant manner.

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

草の根技協(支援型) 2019 年 03 月 06 日 現在

主管区分:国内機関主管案件

九州国際センター

案件名 (和) ケニア国における医療検査診断技術向上プロジェ

クト

( 英 ) Improving the medical laboratory diagnosis in Kenya Project

対象国名 ケニア

分野課題 1 保健医療-その他保健医療

分野課題 2分野課題 3分野分類 保健・医療-保健・医療-保健・医療

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト ケニア国ナイロビ市

署名日(実施合意) (*) 2016 年 06 月 02 日

協力期間 (*) 2016 年 06 月 6 日 ~ 2019 年 05 月 31 日

相手国機関名 (*) (和) ケニヤッタ国立病院

(英) Kenyatta National Hospital

プロジェクト概要

・背景

ケニア共和国に於ける医療・保健・福祉レベル(設備・技術・教育レベル

等ハード面ソフト面双方において)は、日本と比較するとはるかに低水準

である。首都であるナイロビ市内の公立病院に於いてでさえ、未だに先進

国並みの医療機器・医療技術や医療制度は十分に整備されていない。また、

医療者として患者への接遇(配慮)、安全、安心な医療提供が乏しい現状

であり、意識改革が必要である。そこで、事業終了後もケニア人医療従事

者が主体性を持って活動を継続できるよう、ケニア人医療従事者の要望に

応じた活動を実施することで、医療環境改善の重要性を理解してもらい、

意識改革に繋げていくものである。ひいては、ナイロビ市内及び周辺住民

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に質の高い医療検査・診断の提供が可能となり得る。

・上位目標

ナイロビ市内及び周辺住民に質の高い医療及び検査・診断が提供される。

・プロジェクト目標

ケニヤッタ病院及び周辺医療施設の医療従事者の医療サービス質向上に

関する意識が改革される。

・成果

0.講習会のプログラム(立案、実行、改善含む)が構築される。

1.講習会で取り上げられた内容に関する技術力(排泄ケア・清潔ケア等)が向上する。

2.講習会に参加したケニア人医療技術者に日本の医療技術が周知される。

3.国際協力に対する理解が進む。

・活動

0-1 日本より医療従事者を派遣し、ケニアに於ける医療従事者の現状のレ

ベルを把握、分析する。

0-2 上記結果に基づいて、講習会を立案、実行、改善する。

1-1 日本人医師が、ケニア人消化器科医師に、上下部消化管トレーニング

シミュレーター(事業実施団体所有)を使用して、講習会を行う。

1-2 日本人看護師が、ケニヤッタ国立病院及び周辺医療施設の看護師に、

安楽なおむつ交換方法の講習会を実施する。

1-3 日本人セラピストが、ケニヤッタ国立病院及び周辺医療施設の看護師

及びセラピストに、車椅子への安全な移乗の講習会を実施する。

1-4 日本人臨床工学技士が、ケニヤッタ国立病院及び周辺医療施設の医療

従事者(主に透析専門看護師)に、透析技術の講習会を実施する。

2-1 本邦研修を実施する。

2-2 テーマ別の講習会を自身で実施する。

3-1 日本国内でケニア活動報告会を実施する。

・投入

・日本側投入

【人材】医師、看護師、セラピスト、臨床工学技士、現地国内調整員

【機材】⇒事業実施団体負担

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・上下部消化管トレーニングシミュレーター

・Endoscopy【教材】⇒事業実施団体負担

・講習会資料等

・相手国側投入

・ケニヤッタ国立病院および周辺医療施設の医療従事者

(医師・看護師・セラピスト等)

・外部条件

【上位目標達成に影響を与える阻害要因】理解したケニア人医療従事者が

離職しない。

【プロジェクト目標達成に影響を与える阻害要因】医療従事者の大規模な

ストライキが起こらない。

【アウトプット達成に影響を与える阻害要因】本邦研修に参加したケニア

人医療従事者が離職しない。

実施体制

・現地実施体制

相手国協力機関:ケニヤッタ国立病院

事業実施団体の人員配置・連絡体制:プロジェクトマネージャー及びプ

ロジェクトサブマネージャーを定期的に配置。

また、現地調整員 1 名、国内現地業務調整員:1 名、国内会計・調整・事

務担当 1 名の他、協力医療機関より現地教育、国内教育担当として 6 名を

交代で配置。

・国内支援体制 (*)国内調整員 1 名

関連する援助活動

・我が国の援助活動

JICA 技術協力プロジェクト

・地方分権下におけるカウンティ保健システム・マネジメント強化プロジ

ェクト

2014 年 10 月~2019 年 10 月

・黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウト

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ブレイク警戒システムの構築

2012 年 1 月~2017 年 1 月

・コミュニティヘルス戦略強化プロジェクト

2011 年 10 月~2014 年 9 月

エイズ対策強化プロジェクト フェーズ 22010 年 1 月~2014 年 1 月

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

1.案件名

国 名: ケニア国

案件名: トゥルカナ持続可能な自然資源管理及び代替生計手段を通じたコミ

ュニティのレジリエンス向上プロジェクト

(Project on Enhancing Community Resilience against Drought through Sustainable Natural Resources Management and Livelihood Diversification in Turkana County)

2.事業の背景と必要性

(1)当該国における気候変動対策セクター/トゥルカナ地域の開発実績(現状)

と課題

国土の 8 割を乾燥・半乾燥地が占めるケニア国では近年、干ばつや洪水など

の自然災害が連続的に発生し、牧草地帯の減少により牧畜民の生活基盤が不安

定化しており、洪水・干ばつ対策や自然資源管理などへの対応が喫緊の課題と

なっている。

特に 2010 年秋以降に深刻化したアフリカ東部の「アフリカの角」と呼ばれる

地域(ジブチ、エチオピア、ケニア及びソマリア)の干ばつは、過去 4 年間に

わたり、ケニアではトゥルカナ郡を含む北部地域を中心に 380 万人以上が被災

した。

ケニア国内で最も貧困率の高いトゥルカナ郡では、乾燥地のため人口の 60%が牧畜を生業としており、地下水や自然草地など自然資源への依存度が高いこ

とから、来たるべき干ばつへの備えとしてのレジリエンス(強靭性)向上に資

する持続可能な自然資源管理(地下水利用と自然草地管理)とともに、脆弱性

軽減のための生計手段の多様化が求められている。

加えて、2013 年の総選挙以降本格化した地方分権化及び中央省庁再編の結果、

これら対策の実施主体が郡政府となったことから、郡政府の実施能力向上が急

務となっている。

かかる状況の下、ケニア政府は我が国に対し、牧畜民コミュニティにおける

持続可能な自然資源管理(地下水利用と自然草地管理)と生計手段の多様化に

取り組みからなる、トゥルカナ郡における干ばつに対するレジリエンス向上を

目的とした本事業を要請した。

(2)当該国における気候変動対策セクター/トゥルカナ地域の開発政策と本事業

の位置づけ

上記の課題に対してケニア国の国家開発計画「Vision 2030」(2008 年~2030年)では、水源林の保全、森林率の増加(目標値 10%)や洪水・干ばつなどの

気候変動に起因する自然災害への適応などを気候変動対策セクターの主要課題

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として位置づけている。

またケニア政府は 2011 年 9 月に「アフリカの角危機サミット」を主催し、「中

長期的な干ばつ対応メカニズム」の構築を柱とする「ナイロビ宣言」をまとめ

た。同サミットの場では、ナイロビ宣言に基づき国別アクションプランである

干ばつ危機終焉政策(Ending Drought Emergency:EDE)も協議され、ケニア

においては「短期的な人道支援のみならず干ばつに対する強靭性(レジリエン

ス)の向上を中長期的に推進すること」の必要性が確認された。また 2015 年

11 月には EDE 支援のための援助協調の枠組みとなる共同プログラム枠組み

(Common Programme Framework:CPF)が始動した。

EDE では干ばつ発生時の緊急対応システムの構築及び乾燥・半乾燥地の総合

的な開発が重要であるとされ、そのための方策として担当省庁の体制強化、干

ばつ対策のための基金設置、早期警報システムの始動、干ばつ時緊急支援のた

めの計画策定等の各種事業が CPF の枠組みのもと実施されている。

本事業は、これら重要政策のうち、来たるべき干ばつへの備えに必要となる

各種公共事業(水源設置等)を本来担うべきケニア側関係機関、特にトゥルカ

ナ郡政府の体制強化を図ることにより、EDE の実施を推進する協力であると位

置づけられる。

(3)気候変動対策セクター/トゥルカナ地域に対する我が国及び JICA の援助方

針と実績

我が国は対ケニア共和国国別開発協力方針(2012 年 4 月)において、「持続

的な経済・社会の発展の促進」の基本方針(大目標)のもと、環境保全を援助

重点分野(中目標)、気候変動対策を開発課題(小目標)としている。

また、JICA は協力プログラム「気候変動対策プログラム」の中で、「干ばつ危

機終焉政策への共同プログラム枠組みなど援助協調の枠組みの下、主に乾燥地

の牧畜民に対する干ばつ対策能力強化を中心とした支援を行う」としている。

特に本事業については、第 3 回国連防災世界会議にて日本政府が表明した「仙

台防災協力イニシアティブ」の基本方針 3 点(長期的視点に立った防災投資、「よ

り良い復興(Build Back Better)」、中央政府と多様な主体の連携)に沿うもので

ある。

なお、気候変動対策セクターのうち、干ばつ対策に関するこれまでの協力と

して、2 件の開発計画調査型技術協力「北部ケニア干ばつレジリエンス向上のた

めの総合開発及び緊急支援計画策定プロジェクト(ECoRAD)」(2012 年 2 月~

2015 年 10 月)、「半乾燥地持続的小規模灌漑開発管理プロジェクト」(2012 年 8月~2016 年 6 月)を実施した。

このうち ECoRAD では、パイロット事業の実施を通じてコミュニティ主体の

災害管理(コミュニティ防災)と開発の視点を融合した新たな干ばつレジリエ

ンス向上モデルを構築するとともに、関連する政府関係者の能力強化を行った。

(4)他の援助機関の対応

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ケニアにおける干ばつ対応のうち短期的な緊急人道支援については、UNICEFや UNHCR といった国連機関、欧州委員会人道援助・民間保護総局、英国国際

開発省、国際赤十字やケニア赤十字など多くの機関が長期に亘って支援を実施

している。

本事業の類似案件としては、欧州委員会人道援助局がコミュニティ主体の干

ばつ管理手法を支援中であるが、本事業との重複はない。

3.事業概要

(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、トゥルカナ郡において、牧畜民の行動特性及び科学的な根拠に基

づく地下水利用を通じた持続可能な自然草地管理と、対象コミュニティによる

牧畜以外の代替生計手段を確立することにより、対象コミュニティによる干ば

つへの備え(生活水準の底上げ、被害の緩和、早期回復)の強化を図り、もっ

て対象地域の干ばつに対する強靭性(レジリエンス)の向上に寄与するもので

ある。

(2)プロジェクトサイト/対象地域名:トゥルカナ郡

(人口:約 86 万人、面積:68,680km2)

(3)本事業の受益者(ターゲットグループ):

直接受益者:トゥルカナ郡政府職員、最終受益者:対象コミュニティ

(4)事業スケジュール(協力期間):2017 年 2 月~2022 年 1 月を予定

(計 60 ヶ月)

(5)総事業費(日本側):約 5.5 億円

(6)相手国側実施機関

地方分権化・計画省、国家干ばつ管理庁、トゥルカナ郡政府

(7)投入(インプット)

1)日本側

・専門家派遣:総括/コミュニティ開発、水資源開発/井戸掘削施工監理、

牧草地/放牧地管理、生計多様化、環境管理/地理情報システム(GIS)、外来樹種管理、等

(5 年間で合計 110 MM 程度)

・本邦研修及び第三国研修:自然資源管理、生計多様化、防災等

・機材供与:車両、コンピューター等

・現地活動費:水源(井戸)設置(最大で 10 箇所程度を想定)やアクシ

ョンプラン実施支援にかかる経費等

2)ケニア国側

・カウンターパート(C/P)配置(トゥルカナ郡内防災省、水省、畜産省

等政府職員(約 20 名))

・プロジェクト事務所(トゥルカナ郡政府内に設置)

・現地活動費(水源(井戸)設置にかかる事業費、プロジェクト事務所・

研修施設等の光熱費、通信費等)

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(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境社会配慮

① カテゴリ分類:C② カテゴリ分類の根拠

本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010 年 4 月公布)

上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため。

2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減

対象コミュニティにおける牧畜以外の代替生計手段の担い手の多くが女性で

あることを踏まえ、本事業の一環として実施する生計多様化活動では、その選

定時から男女双方のニーズが反映されるよう留意する。

3)その他:特になし

(9)関連する援助活動

1)我が国の援助活動

林野庁補助事業「途上国森づくり事業/貧困削減のための森づくり支援

事業」にて、本事業でも活用法を検討することとしている、外来侵入種で

あるプロソピスの管理方策(間伐、除去)の検証と、生計向上活動の一環

としての薪炭材としての活用が検討された。

2)他ドナー等の援助活動:特になし

4.協力の枠組み

(1)協力概要

1)上位目標と指標

トゥルカナ郡において確立された干ばつレジリエンス向上のためのアプ

ローチが、国内の他の乾燥地・半乾燥地において適用される。

【指標】本事業にて導入するアプローチを適用する郡の数が増加する。

2)プロジェクト目標と指標

トゥルカナ郡において干ばつへのレジリエンスが向上する。

【指標1】水源施設(井戸)が郡政府によって 150 箇所増加する。

【指標2】推奨乾季放牧地域内における水源施設周辺の牧草地面積が

1,732 km2 増加する。

【指標3】コミュニティ干ばつレジリエンス活動計画が策定され、必要

な予算が郡政府により配分される。

3)成果

成果1:対象コミュニティにて持続可能な自然資源管理がなされる。

成果2:郡政府の支援により対象コミュニティの生計が多様化される。。

成果3:トゥルカナ郡政府職員の干ばつ管理に関する能力が向上する。

4)活動

1-1 i)自然資源管理、ii)政府職員の能力、iii)ECoRAD より享受し

た教訓に関する全般的な現状のギャップアセスメントを行う。

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1-2 郡政府の協力の下、水資源 GIS データベースシステムが構築さ

れる。

1-3 水資源開発(水資源ポテンシャル調査に基づく)並びに牧草地

創出/開発に係る戦略的な活動実施箇所の選定を政府との合意

の下で行う。

1-4 活動 1-2 に基づき、深井戸設置/開発を行う。

1-5 活動 1-3 に基づき、持続的な飼料作物生産や牧草地の再生を行

う。

1-6 活動 1-4、1-5 に係る持続的な自然資源管理および運営維持管理

に関する対象コミュニティの能力強化プログラムを実施し、モ

ニタリングを行う。

2-1 代表的な既存の干ばつ管理に係るコミュニティアクションプラ

ン(CAP)の妥当性に関し、レビュ-を行う。

2-2 現状の生計多様化活動内容をレビューし、本プロジェクトの主

要な3活動方法(1.リシーディング圃場、2.炭生産/外来樹

種管理3.小規模野菜栽培)を策定・実施する。

2-3 活動 2-2 の結果を踏まえ、郡職員によって他地域に主要3活動

を展開するための提案と技術支援を行う。。

2-4 選定したコミュニティにおける収入創出活動の実施状況に関す

るモニタリング・評価を行う。

3-1 トゥルカナ政府職員に対する干ばつ管理に関する能力強化プロ

グラム(持続的な自然資源管理とその維持管理、生計多様化等)

を行う。

3-2 地方分権に基づくカウンティ政府体制において活動 3-1 に関す

るナレッジマネージメント、モニタリング、フォローアップ(OJT等)を行う。

5.前提条件・外部条件

(1)前提条件:対象地域の政情及び治安状況が悪化しない。

(2)外部条件(リスクコントロール):

・地方分権化が当初の想定に沿って進展する。

・2017 年 8 月に予定されている総選挙の前後に行政機能が低下しない。

・EDE(ナイロビ宣言の国レベルアクションプラン)による様々な支援が他

の援助機関の支援のもと継続される。

・水源(井戸)設置にかかる事業費がトゥルカナ郡政府により確保される。

6.評価結果

本事業は、ケニア国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致

しており、また計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。

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7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用

(1)類似案件の評価結果

開発計画調査型技術協力「北部ケニア干ばつレジリエンス向上のための総合

開発及び緊急支援計画策定プロジェクト」では、水源設置の計画段階(設置箇

所の特定)から対象コミュニティへの介入(設置後の料金徴収や維持管理の必

要性の説明等)を行うことによって、設置した水源の持続可能な維持管理の観

点に留まらず、以降の生計多様化に関する活動を実施する際に重要となる、対

象コミュニティの自立性を高めることにつながる、との教訓が得られた。

(2)本事業への教訓(活用)

本事業においても、上記と同様のアプローチを採用する。

8.今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

4.(1)のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始 6 ヶ月以内 ベースライン調査

事業終了3年後 事後評価

(3)実施中モニタリング計画

事業開始後 6 ヶ月に 1 回 JCC における相手国実施機関との合同レビ

ュー

事業終了 1 ヶ月前 終了前 JCC における相手国実施機関との合同レ

ビュー

9.広報計画

(1)当該案件の広報上の特徴(アピールポイント)

1)相手国にとっての特徴

・国内で最も貧困率の高いトゥルカナ郡における事業の実施

2)日本にとっての特徴

・我が国が長年にわたり蓄積した文化人類学の知見の活用

・気候変動に脆弱な牧畜民に対する日本の直接的な貢献

(2)広報計画

広く一般からの理解と認知を高め、かつ関連諸機関との情報共有のために、

メディア、マスメディア及び情報通信技術(Information and Communication Technology: ICT)を活用して、積極的な広報活動を行う。

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案件概要表

個別案件(専門家) 2020 年 08 月 11 日 現在

主管区分:在外事務所主管案件

ケニア事務所

地球環境部

案件名 (和) 水資源管理アドバイザー

(英) Water Resources Management Expert対象国名 ケニア

分野課題 1 水資源・防災-総合的水資源管理

分野課題 2分野課題 3分野分類 公共・公益事業-公益事業-公益事業一般

プログラム名 給水・水資源管理プログラム

援助重点課題 環境保全

開発課題 水資源保全

プロジェクトサイト ケニア国全土

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2016 年 12 月 1 日 ~ 2019 年 06 月 30 日

相手国機関名 (*) (和) 水資源庁

(英) Water Resources Authority

プロジェクト概要

・背景

ケニア国において、一人あたりの水資源賦存量は、人口増加に伴い、2010年の 1093m3 から 2030 年には 475m3 に減少すると推計されている。ま

た、国の 8 割が乾燥・半乾燥地域を占めるため、水資源の保全・開発・管

理が重要課題となっている。加えて、世界的な気候変動による影響は、ケ

ニア国においても大きな問題となっており、近年、エルニーニョ現象やラ

ニーニャ現象も伴い、洪水および旱魃のリスクが増加してきているとされ

ている。

ケニア国は、流域単位での水資源管理を実施するために、2002 年策定の

水法のセクターリフォームを通じて、水衛生省の傘下に、水資源管理全体

の実施機関である水資源庁(以下、WRA(Water Resources Authority))

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を設置している。WRA は、水への持続的なアクセス及び公平な分配を保

証し、環境の持続可能性を確保しつつ、水資源の効率的かつ効果的に管理、

規制及び保全することを使命としている。WRA は、モニタリングにより

水資源の量と質を正確に把握・評価し、水利権の許認可を通じて、水資源

の公平な配分に努めてきている。

我が国は開発計画調査型技術協力「ケニア国全国水資源マスタープラン

2030 策定プロジェクト」を実施し、WRA の水資源管理能力強化のための

アクションプランの策定を支援している。同プランにおいて、流域ガバナ

ンスの強化のための各地域事務所の強化、水文情報マネジメント強化、洪

水及び渇水災害管理の改善などが早期にかつ優先的に実施すべき活動と

して提案されている。

その後、WRA は、水文観測体制の強化や流域管理戦略やサブ流域管理計

画の策定を実施し、ケニア国における水資源管理の強化を行ってきてい

る。しかしながら、依然として、水文データの収集、評価、分析が十分な

水準に至っておらず、データ管理も低い水準となっている。また、水文デ

ータは、WRA の任務である水配分の決定や水資源の現状把握の際におい

ても必要不可欠な情報のひとつである。これらの状況から、表流水モニタ

リングを担当する WRA 職員の能力を強化し、水資源管理の強化を図るこ

とが必要となっている。

・上位目標

WRA による水資源管理能力が強化される。

・プロジェクト目標

WRA による水文情報マネジメント能力が強化される。

・成果

1)水文観測体制が強化される。

2)気象・水文データベース管理が強化される。

3)我が国の ODA で実施された水資源管理プロジェクトの成果がケニアに

おいて定着・普及される。

・活動

1-1)主要河川、湖沼及び湧水において、代表観測地点の設定を支援する。 1-2)気象・水文モニタリングネットワークの見直しを支援する。

1-3)水位流量曲線作成のための支援を行う。

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1-4)気象・水文観測所の運用改善に向けた支援を行う。

1-5)水文観測に使用する機材の研修を行う。

1-6)河川維持流量の設定を指導する。

2-1)気象・水文データベースの現状把握を行う。

2-2)気象・水文データベースの改善に向けた支援を行う。

3-1)ケニア国における我が国の将来の水資源管理プログラムについて助

言を行う。

3-2)研修が必要な課題を特定し、研修プログラムを作成する。

・投入

・日本側投入

・短期専門家 1 名 16.0M/M・機材(水位計、流速計、GPS 等)

・現地再委託(地形測量、水位計設置、流量観測)

・相手国側投入

・WRA 事務所内の執務スペース(机等含む)

・カウンターパートの配置(人件費含む)

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

水衛生省 水資源庁

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA・「全国水資源マスタープラン 2030 策定プロジェクト」(2013 年 10 月完

了)

・「洪水に脆弱な地域における効果的な洪水管理のための能力強化プロジ

ェクト」(2014 年 9 月完了)

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2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.・世銀、GIZ による支援

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 02 月 22 日 現在

主管区分:本部主管案件

地球環境部

案件名 (和) 無収水削減能力向上プロジェクト

(英 ) The Project for strengthening capacity in Non-Revenue water reduction

対象国名 ケニア

分野課題 1 水資源・防災-都市給水

分野課題 2分野課題 3分野分類 公共・公益事業-公益事業-上水道

プログラム名 給水・水資源管理プログラム

援助重点課題 環境保全

開発課題 水資源保全

プロジェクトサイト 全国

署名日(実施合意) (*) 2016 年 03 月 07 日

協力期間 (*) 2016 年 10 月 1 日 ~ 2021 年 09 月 30 日

相手国機関名 (*) (和) 環境・水・天然資源省、水サービス規制委員会、ケ

ニア水研修所、カウンティ行政体

( 英 ) Ministry of Environment, Water and Natural Resources, Water Service Regulatory Board(WASREB), Kenya

プロジェクト概要

・背景

ケニア政府は Vision2030 において、無収水率を全国平均 20%まで削減

することとしているが、現在の無収水率は 46%(2013WASREB)と報告さ

れており依然として高い無収水率となっている。また、全国水資源マスタ

ープラン 2030 において、気候変動の予測を踏まえた持続的利用可能な水

資源量は人口増加と共に不足することが懸念されており、水の効率的な利

用や水資源の開発の必要性が提言されている。

無収水削減対策は水の効率的な利用のために重要であり、また、国家財

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政の損失でもあるため、水道事業体の経営改善の観点からも至急の対応が

望まれている。JICA は 2014 年 10 月まで無収水管理能力向上プロジェク

トを実施しており、無収水削減に係るガイドライン、マニュアル、ハンド

ブックを作成し、水道事業体が無収水状況の自己評価に基づく無収水削減

計画の策定をするための全国的基準を定めた。また、同計画策定に必要な

技術的な人材育成のための KEWI(Kenya Water Institute) による無収水対

策研修コースの策定もあわせて行ってきた。

本プロジェクトはその後継案件として、水省主導による水道事業体の基

礎的運営維持管理体制の強化と、KEWI の無収水対策研修コースによる技

術補完により、全国の都市水道事業体の無収水率の削減を持続的に実現し

ていくことを目指すもの。

・上位目標

全国の水道事業体において無収水率が低減する。

指標;2030 年までに全国の Urban WSP の無収水率が 15%まで低減す

る。

・プロジェクト目標

無収水削減計画に基づき、Urban WSP による無収水率低減事業が戦略的

かつ継続的に実施される。

指標 1;2020 年までに対象 Urban WSP の平均無収水率が 20~25%に低

減する。

指標 2;2020 年の予算年度において対象の全 Urban WSP にて無収水削

減計画に基づく予算措置がなされる。

・成果

(1) KEWI の無収水削減研修の実施能力が向上する。

指標 1;対象の全 Urban WSP が無収水削減研修を受講する。

指標 2;無収水削減研修コースが新設・改訂される。

(2) Urban WSP による無収水削減計画が実施される。

指標 1;対象の全 Urban WSP のメーター率が 100%となる。

指標 2;少なくとも 15 の Urban WSP にて 3 ヶ月以上の On-site Trainingが実施される。

指標 3;対象の全 Urban WSP にて無収水削減計画が策定される。

指標 4;対象の全 Urban WSP にて少なくとも 1 つの DMA 内にてパイロ

ット事業が実施される。

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(3) 無収水削減基準に沿ったモニタリング・評価能力が向上する。

指標 1;毎年 1 回の無収水削減基準に係る WS の開催

指標 2;各種 WARIS の指標の正確度、IMPACT Report における Score の

上昇度

指標 3;無収水削減基準改訂への提言

・活動

1-1.Leading WSP 等のリソース人材を特定し活用を計る。

1-2.給水域での OJT 研修への協力を Leading WSP より取り付ける。

1-3.WSP に対し無収水対策研修(モジュール 1~3)を実施する。

1-4.WSP の状況に応じ、個人研修・技術補完研修を計画・実施する。

1-5.各 WSP での無収水削減計画のモニタリング・評価結果より、研修内

容の評価を行う。

1-6.評価結果を基に、研修内容を改善或いは新たな研修コースを策定する。

1-7.改訂或いは新設された研修コースを実施する。

2-1.KEWI の無収水対策研修・WASERB の無収水削減基準の普及活動に参

加した WSP に対し、無収水削減の前提となる基礎的準備の実施を促進す

る。

2-2.基礎的準備の状況に応じ、On-Site Training を County と共に実施す

る。

2-3.County 及び WSP と共に水道事業に係る給水域の現況を把握する。

2-4.現況把握に従い、WSP による無収水削減計画の策定を支援する。

2-5.WSP の無収水削減計画の実施に必要な技術的・資金的支援に関する、

所轄 WSB/County および KEWI への申請を促進する。

2-6.WSP の申請に基づき、WSP の無収水削減計画の実施を支援する。

2-7.モニタリング・評価結果に基づき、WSP の無収水削減計画を適宜修正

し、実施を促進する。

3-1.WASREB と共に、無収水削減基準に関する普及活動を継続して実施

する。

3-2.無収水対策に係る取り組みをまとめ、上水セクター関係者および住民

向け啓発活動を実施する。

3-3.各 WSP の無収水削減を WASREB/WSB/County と共にモニタリング

を行い、各種指標の収集を行う。

3-4.各種指標の精度を WASREB と共に確認し、IMPACT Report に反映す

る。

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3-5.各 WSP の無収水削減計画の進捗を WSB/County と共に評価し、無収

水削減のための新たなニーズ・課題を抽出する。

3-6.抽出したニーズ・課題に基づき、WASREB に対し無収水削減基準の改

定案を提言する。

・投入

・日本側投入

長期専門家 4 名(チーフアドバイザー、水道事業運営技術アドバイザ

ー、研修アドバイザー/M&E、業務調整/広報)

短期専門家(GIS、機器維持管理、水収支分析等ニーズに応じた技術支

援)

ローカルコンサルタント(水道事業体の基礎的水道事業運営に関する

On-Site 指導)

メーター等基礎的水道事業運営に必要な機材(各地での試験事業開始

に必要最低限の仕様・数量)

本邦研修あるいは第三国研修(カンボジア、フィリピン等の JICA の

他国優良事例)

モニタリング・評価調査

・相手国側投入

環境・水・天然資源省内の無収水技術支援ユニット(案)の設置とカ

ウンターパートの配置

KEWI 内の無収水対策研修ユニット

その他必要な支援要員、技術スタッフの配置

執務スペースおよび必要なオフィス機器

省関連機関およびカウンティによる各事業体の無収水削減事業に必

要な予算・資金

・外部条件

(1) Preconditions・無収水削減基準が公式に認定される。

・無収水技術支援ユニットが水省内に公式に立ち上げられる。

・KEWI による無収水削減研修のカリキュラム・コースが継続して実施さ

れている。

(2) Assumptions・水法 2014 の制定・移行期にあわせた速やかな実施体制の変更・承認。

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・申請し、受理された資金申請に対し、ケニア政府およびカウンティ政府

が着実に予算を執行する。

実施体制

・現地実施体制

環境・水・天然資源省は、省内に水サービス局長をユニット長とする無収

水技術支援ユニットを形成し、WASREB、KEWI、優良水道事業体等のリ

ソースと協力し、全国の水道事業体の基礎的な水道事業運営(管路図の作

成、メーターの設置・測定・検針、水収支計算、自己分析)に係る技術指

導を実施する。

KEWI は基礎的な水道事業運営を行う水道事業体に対し、無収水対策研修

を実施する。その際、優良な水サービス委員会や水道事業体と協力し、優

秀な水道事業体技術者の講師としての活用や、水道事業体の現場での OJT研修を実施し、水道事業体の無収水削減計画の立案および実施を支援す

る。

カウンティ政府と水サービス委員会は、水道事業体が立案した無収水削減

計画や関連活動に対し予算を確保し資金支援を行い、水道事業体の活動の

モニタリングを実施する。

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA無収水管理プロジェクト(2010 年~2014 年)等

都市給水事業(ナロック、カプサベット、エンブ、メルー)

2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.水セクター技術会合では、無収水タスクを形成し、ドナー間での情報共

有および省庁・関係機関・カウンティ政府への無収水対策に係る提言を行

っている。これらの活動に関連し、世界銀行やオランダ開発公社(SNV)が一部の都市を対象とした無収水活動を実施している。また、GIZ は

WASREB を支援し、各種水道事業に関する指標の精度向上と技術支援の

ほか、水サービスに関する政策支援を実施している。

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・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

個別案件(国別研修(本邦)) 2019 年 02 月 20 日 現在

主管区分:本部主管案件

産業開発・公共政策部

案件名 (和) ケニア競争庁能力強化プロジェクト

(英) Training Project for the Capacity Development of the Competition Authority of Kenya

対象国名 ケニア

分野課題 1 ガバナンス-その他ガバナンス

分野課題 2分野課題 3分野分類 計画・行政-行政-行政一般

プログラム名 産業振興・貿易投資促進プログラム

援助重点課題 経済インフラ整備

開発課題 民間セクターの開発

プロジェクトサイト 日本

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2017 年 07 月 1 日 ~ 2019 年 07 月 1 日

相手国機関名 (*) (和) 財務省/ケニア競争庁

(英) Kenya Competition Authority, National Tresury

プロジェクト概要

・背景

経済成長を通じた貧困削減には、貿易・投資を通じた産 業振興の促進、

雇用機会の創出や所得向上が不可欠である ところ、ケニアは、その長期

的国家戦略である「ビジョン 2030」において、2030 年までの中所得国入

りを目指し、工 業化を目標として産業振興に努めている。またケニア政

府 は、2030 年まで年間 2 桁の経済成長を目標として掲げ(実 質 GDP 成長率 5.6%、2015 年、世銀)、これを達成するた め、付加価値商品の

生産、生産性向上、新たな市場形成、 ビジネス環境整備等、域内貿易を含

めた貿易投資促進を経 済部門の重点項目としている。

こうした背景から、ケニアでの公正な競争環境を通じた ビジネス環境整

備を目的に、ケニアは、2010 年に新競争法 を制定し、2011 年 8 月に

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は、同法を執行する行政機関とし てケニア競争庁(CAK)が財務省傘下

に設置された。

CAK はケニアにおける公正競争の促進に係る法制度の整 備及び法執行

を担うが、法律自体が比較的新しく実務レベ ルでの運用の詳細が定まっ

ていないこと、組織としての歴 史・経験が浅く人材が育っていないこと

等の諸要因によ り、その機能を十分に果たせるに至っていない状況にあ

り、その能力強化が求められている。そこで、CAK の競争 法執行に関す

る能力強化を行い、ケニアにおける公正競争 の確保及びこれを通じた消

費者の利益の保護を促進する ため、本件国別研修の実施が求められる

・上位目標

ケニア公正競争政策や競争法の円滑な実施を通じてマーケットでの公正

な競争が確保され、消費者の生活が保護される

・プロジェクト目標

ケニア競争庁の法整備及び法執行能力が強化され、ケニア の競争環境の

改善がなされる。

・成果

競争法・競争政策に係る以下の各分野等において、CAK の 能力が強化さ

れる。

① 合併分析・審査

② 競争効果分析

③ カルテル調査

④ 立ち入り検査の実施

⑤ 証拠収集

⑥ 政策分析

⑦ セクター分析・市場調査

⑧ 政策提言

⑨ 市民に対する啓発

・活動

1.上記成果分野において、日本公正取引委員会の協力の下、日本におい

て研修を実施する

2.研修期間中に、上記分野についてガイドライン/マニュアル(案)を作

成する

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3.研修終了後、ケニア競争庁において、ガイドライン/マニュアル(案)

のレビューを行う

日本の公正取引委員会の協力の下、以下研修を日本において実施する。

① 本邦研修 実施回数:1~3 回程度/年(※) ※2017 年度の第 1 回研

修については、課題別研修「競 争法・競争政策」への上乗せによる実施と

する(対象 者数 5 名)。 実施期間:約 1 週間 対象者:上記「期待され

る成果」記載の各課題に対応 する CAK の実務担当者及び中堅管理職等

対象者数:約 10~15 名/回② ガイドライン・実務マニュアル(案)作成支援 メールベースでの助言

等による対応を想定。

③ 現地セミナー等による上記ガイドライン・マニュアル の作成・運用に

ついてのレビュー 実施回数:1~2 回/年 実施期間:約 2~3 日間 派遣

予定:公正取引委員会の担当者等 2~3 名/回

・投入

・日本側投入

同研修に年 10 名参加するための研修費用(渡航費、日当宿泊、講師

代、国内移動費など)

・相手国側投入

研修終了後のケニア国内でのレビュー活動に係る費用

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA課題別研修「競争法」

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2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.英国・南ア競争庁などを通じた技術支援

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

草の根技協(パートナー型) 2019 年 03 月 16 日 現在

主管区分:国内機関主管案件

関西国際センター

案件名 (和) 民族対立緩和のためのケニア国立博物館における

ICT 異文化理解教育ファシリテータ育成事業

(英) .対象国名 ケニア

分野課題 1 平和構築-その他平和構築

分野課題 2 教育-その他教育

分野課題 3 市民参加-市民参加

分野分類 人的資源-人的資源-人的資源一般

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト ナイロビ及びキスム

署名日(実施合意) (*) 2018 年 02 月 16 日

協力期間 (*) 2018 年 03 月 30 日 ~ 2021 年 06 月 30 日

相手国機関名 (*) (和) (英)

プロジェクト概要

・背景

ケニアは国内での民族対立が激しい。同国は、民族融和のため行政改革

を行う一方、市民が非暴力の紛争解決手法を学ぶ重要性を謳う。

ケニア国立博物館(NMK)は、多文化と自然科学を尊重する児童教育を

展開している。提案団体は、UNESCO を介し、NMK にて ICT を用いた異

文化理解教育を試験実施した。成果(現地紙掲載、活動継続要請など)が

認められる一方、NMK のノウハウ不足・人材不足等、課題が浮き彫りと

なった。

NMK は、特に民族対立が激しいナイロビ及びキスムでの平和教育充実

の必要性を認識しており、近隣学校と協力した国内の部族間の異文化理解

教育を求めている。

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・上位目標

ケニアに 19 か所の博物館を傘下に有するケニア国立博物館において ICT異文化理解教育ファシリテータの研修体制が構築される。

・プロジェクト目標

ケニア国立博物館(NMK)ナイロビ館およびキスム館において、ICT 異文

化理解教育を円滑に運営する研修を受けたファシリテータを育成する仕

組が構築される。

・成果

1. NMK の異文化理解教育を実施する組織体制が構築される

2. NMK の ICT 異文化理解教育ファシリテータが養成される

3. ICT 異文化理解教育の定点モニタリングが開催される

4. ケニア人講師によって ICT 異文化理解教育ファシリテータ研修が実施

される

・活動

1-1.NMK と事業計画を作成

1-2.NMK の当事業担当者を選定

1-3.NMK、大学、小中学校等の組織から研修者募集体制の構築

2-1.研修マニュアルの作成

2-2.エントリレベル研修を実施

2-3.リーダーレベル研修を実施

2-4.講師レベル研修を実施

3-1.ナイロビにて定点モニタリングの参加児童を募集

3-2.NMK がナイロビ館にて児童を交えた定点モニタリングを実施

3-3.キスムにて定点モニタリングの参加児童を募集

3-4.NMK がキスム館にて定点モニタリングを実施

4-1.ケニア人講師が研修マニュアルを改訂

4-2.ケニア人講師が研修を実施

4-3.ケニア人講師が事業実施運営マニュアルを作成

4-4.研修効果のモニタリング(実地およびオンライン)

・投入

・日本側投入

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a.専門家(異文化理解教育)

b.専門家(ICT 技術者)

c.現地調整員(ケニア勤務)

d.調整員(日本勤務)

e.ワークショップ資機材

f.プロジェクト実施のための補足経費(講師用指導ガイド試用版の印

刷費など)

g.広報(ニュースレター、プレスリリースなど)

・相手国側投入

a.ケニア国立博物館職員

b.ワークショップスペース(ネット接続含む)

c.事務スペース(ネット接続、光熱費・印刷費などの維持経費を含む)

d.ボランティアスタッフの募集用広報

e.参加児童の募集用広報

f.実地研修時の運営費

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

ケニア国立博物館(National Museums of Kenya; NMKs)のナイロビ国立博

物館及びキスム国立博物館が中心となる。

・国内支援体制 (*)事業提案団体の(特活)パンゲア(Pangaea)(京都市所在)が、2017 年度

第 1 回草の根技術協力事業(パートナー型)案件として実施する。

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・他ドナーの援助活動

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(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

草の根技協(支援型) 2019 年 08 月 22 日 現在

主管区分:国内機関主管案件

東京センター

案件名 (和) ケニア共和国マチャコス地方の地域社会における

非行少年及び青年の更生保護活性化事業

( 英 ) Project for Enhancing Community Based Supervision, Rehabilitation and Re-integration of Juveniles and Youthful Offenders in Machakos County, Kenya

対象国名 ケニア

分野課題 1 社会保障-その他社会保障

分野課題 2分野課題 3分野分類 社会福祉-社会福祉-その他福祉

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト ケニア共和国マチャコス地方 アティリバー県及びム

ワラ県

署名日(実施合意) (*) 2018 年 07 月 20 日

協力期間 (*) 2018 年 07 月 21 日 ~ 2020 年 07 月 20 日

相手国機関名 (*) (和) マチャコス県保護観察所

アティリバー県保護観察所

(英) Machakos Sub-County Probation Office Athi river Sub-County Probation Office

プロジェクト概要

・背景

ケニアの非行少年の多くは衣食住の基本的ニーズが欠乏した状況から犯

罪に走る傾向が強いが、彼らの更生と福祉的ニーズへの支援は少ない。非

行少年が社会的に疎外され、反社会的態度や思考をさらに強めることは、

若者の過激化と治安悪化をさらに進める不安要因となる。非行が深刻でな

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い子どもや若者については、施設での矯正よりも社会内処遇での更生が望

まれる。社会内での更生保護を担当任務としている保護観察局は、地域社

会の人材を活用する保護司制度を導入しており、制度定着への意欲があ

る。保護司活動の活性化のためには、保護観察官の理解促進や官と民(保

護司)の連携体制の構築を図る事業が望まれる。

・上位目標

ケニアの地域社会における子どもの保護の状況が改善される。

・プロジェクト目標

対象地域において、関連行政機関と協力して、地域住民が子どもの保護、

少年の更生保護・非行の予防に従事するための実施モデルができる。

・成果

1.地域住民及び地域の関連機関の非行少年の更生、人権についての理解が

深まり、また保護観察所の業務内容及び任務についても理解が促進され

る。

2.保護司とその役割が広く認知され、適切な人材が保護司として選出され

る。

3.保護司の保護観察所への帰属意識が醸成され保護観察官との協力関係

と体制が構築される。

4.個別処遇計画の作成を含む研修により、計画作成と保護司の役割の反映

が定着化する。

5.日本から保護司専門家を招聘し、日本の保護司制度による少年処遇の効

果や諸外国における少年処遇の地域社会の貢献について講義することで、

日本の保護司による技術移転がケニアで直接新任の保護司に対して行わ

れる。

6.保護司の報告書提出の体制が整備される。

7.モニタリングにより保護司の活動の実態が把握される。

8.地域ボランティア(VCO,VPO)による少年の非行予防活動形成計画書が

作成され実施され、非行予防活動実施後には報告書が提出される。

・活動

1-1. 対象地域の行政官を訪問し、事業内容の共有と実施許可の取り付け及

び住民集会開催の協力を依頼を行う。

1-2. 準区レベルの地域住民リーダー、学校教員などを呼び共通理解、事業

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実施の合意形成のための会議を実施する。

2-1.地域住民が参加する準区レベルの住民集会で、保護観察局の業務の紹

介、非行少年及び子どもの保護に関する課題について討議し、保護司の資

格・条件について説明後、候補者を選出する。

2-2. 対象地の保護観察事務所にて保護司候補の最終面接、選考が行われ

る。

3-1. 保護司の新任研修実施のための調整・準備を行う。

3-2. 保護観察官も共同で参加する保護司の新任研修を実施する。

4-1. 保護観察官、保護司の合同会議にて、個別処遇計画の作成、処遇目標

の共有と計画内の保護司の具体的役割について確認する。

5-1. 保護司新任研修の中で日本の保護司による講義を行う。

6-1. 保護司活動報告、連絡のための様式が作成され、保護司から保護観察

所への活動報告の体制ができる。

7-1. 保護司の活動地域を訪問し、活動及び課題の確認を行う。

8-1. 非行予防の活動計画を進める体制作りの会議を実施し、児童事務所及

び保護観察所の保護司・及び担当職員が参加して計画を策定する。

8-2. 非行予防活動が実施され、報告書が提出される。

・投入

・日本側投入

・ プロジェクトマネージャー(日本人)1 名・ プロマネ補佐(日本人)1 名・ 現地職員(ケニア人)1 名

・ 国内調整員(日本人)1 名

・相手国側投入

・自治省・国家調整 保護観察局(本局)

・マチャコス地方保護観察事務所

・マチャコス保護観察所

・アティリバー保護観察所

・マチャコス児童官事務所

・アティリバー児童官事務所

・ムワラ県知事

・アティリバー県知事

・ムワラ県対象地区長 3 名、助役 13 名

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・アティリバー県対象地区長 2 名、助役 4 名

・外部条件

・子どもの保護の活動に従事する地域社会の人材の活用に対し必要十分

な予算・人員措置が行われる。

・ケニアにおける子どもの保護にかかる政策的重要性が失われない。

・保護観察局本部より、保護司選考過程、研修実施体制、個別処遇計画の

策定とモニタリング、及び報告書提出の体制、非行予防プログラム実施体

制についての合意が得られる。

実施体制

・現地実施体制

保護観察局(本局)及び対象地域の保護観察事務所と共に、活動実施に際

してはケニア、日本の専門家等、同団体のスタッフが従事する。

・国内支援体制 (*)国内調整員が四半期報告の作成支援・内容確認を行うとともに、プロジェ

クトマネージャーと現地調整員の事業実施状況をモニタ

リングする。

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

有償技術支援-有償専門家 2019 年 03 月 16 日 現在

主管区分:本部主管案件

アフリカ部

案件名 (和) ケニア・AfDB 東部ハブ事務所局長付アドバイザー

(EPSA Portfolio Specialist)(英) EPSA Portfolio Specialist

対象国名 ケニア タンザニア、エチオピア、ウガンダ、ルワンダ

など

分野課題 1 運輸交通-運輸交通行政

分野課題 2 資源・エネルギー-エネルギー供給

分野課題 3分野分類 公共・公益事業-運輸交通-都市交通

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト ケニア、タンザニア、エチオピア、ウガンダ、ルワンダ

など

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2018 年 04 月 5 日 ~ 2020 年 04 月 4 日

相手国機関名 (*) (和) アフリカ開発銀行(東部ハブ)(英) African Development Bank(East Hub)

プロジェクト概要

・背景

2016 年に実施された TICADⅥではナイロビ宣言が採択され、「ピラー1:経済の多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進」及びアフリカ開発銀行

(以下、AfDB)と連携スキームである EPSA3(Enhanced Private Sector Assistance for Africa 3)を通じて今後 3 年間(2017 年~2019 年)におい

て、JICA-AfDB 共同で最大 30 billion USD の資金協力を今後推進していく

ことが決定した。ナイロビに所在する各種ハブ、特に AfDB 東部ハブ(East Africa Regional Development and Business Delivery Office(RDGE))は、

現アデシナ AfDB 総裁が進める組織分権化の下、アフリカ東部地域(13 か

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国、詳細は対象国参照)における戦略策定、個別案件形成、実施監理等の

中心的な役割を担うことが期待されている。JICAは、AfDBと今までEPSAを通じて密接な連携を行ってきた。特に、協調融資スキームである ACFA(the Accelerated Co-financing Facility)を通じて連携を図ってきており、

過去の EPSA 案件のうち約 35%が東部地域に集中している。JICA と AfDBとの政策的な連携を更に進める共に、優良案件をより上流部分から発掘

し、既存案件の早期トラブルシューティングを行い、今後サブサハラにお

ける円借款増加に伴う実施体制強化の必要性が高まっている。

・上位目標

TICADⅥ「ピラー1:経済の多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進」

及び EPSA3 に基づき、JICA と AfDB との政策的な連携を更に進める。

・プロジェクト目標

①AfDB と連携した既往円借款案件(ACFA 案件)の実施促進

②サブサハラアフリカのマクロ経済(含む債務持続性)及び開発政策を踏

まえた新規円借款案件(ACFA 案件)の形成促進

③TICADⅥを踏まえた本邦企業のサブサハラ地域への進出および投資支

・成果

①AfDB および先方政府がディスバース、返済、調達手続き等の円借款関

連業務に習熟し、結果、既往 ACFA 案件の進捗が迅速化する②マクロ経済

状況、開発政策の支援方針に係る情報収集・分析が行われ、債務持続性及

び開発政策を踏まえた協力の方向性と新規

円借款案件の形成に係る助言がなされるとともに、各国政府、AfDB、日本

政府間の共通認識が醸成される

③投資・ビジネス環境にかかる情報収集・分析が行われ、本邦企業へ情報

提供が行われるとともに、東部アフリカ進出に興味を

持つ本邦企業へ情報提供が行われる。

・活動

①既往 ACFA 案件の迅速化に資する業務

1)ディスバース促進支援

貸付実行時資金フロー及びサプライヤーへの支払いや JICA への ACFA ノ

ーティス発出の問題点を調査・分析、ディスバース実施体制の改善策を提

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言。関連証憑書類の保管、及び貸付実行書類作成を支援・指導。

2)返済促進支援

返済遅延の原因を分析の上、解決策を提言し、返済状況をモニタリング。

3)調達手続き促進支援

調達に遅延が生じる場合には在外事務所等の求めに応じ、その解消のため

に必要な調整を支援。

②新規 ACFA 案件の形成に資する業務

1)マクロ経済、開発政策、社会経済環境等の支援方針の情報収集。

2)特に東部アフリカ各国の債務持続性に関する情報収集・分析。

3)上記分析に基づき新規円借款案件形成を含む今後の日本との協力の方

向性を AfDB 東部ハブ、各国政府に助言、両政府間の共通認識醸成を支援。

4)新規案件の形成過程において審査・L/A 交渉等の円借款案件サイクルの

理解

促進及び円滑な実施を支援

5) EPSA セミナー開催等を通じた、連携スキームの周知

③本邦企業の進出支援に関する業務

1)各国及び東アフリカ共同体を含む周辺地域を一体の市場としてみた場

合の投資・ビジネス環境にかかる情報収集・分析。

2)アフリカ進出に興味を示す本邦企業に対し、情報提供を行うとともに必

要に応じ AfDB、先方政府との調整支援。

・投入

・日本側投入

有償資金協力専門家 1 名

・相手国側投入

相手国側の事業計画

事務局、運営支援、有償資金協力専門家活動費(旅費含む)

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

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・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

AfDB とのアフリカにおける円借款の協調融資案件。

AfDB(コートジボワール本部)への出向者 1 名の派遣。

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

有償技術支援-有償専門家 2019 年 03 月 14 日 現在

主管区分:本部主管案件

アフリカ部

案件名 (和) ケニア国運輸交通政策アドバイザー

(英) Kenya: Transport Policy Advisor対象国名 ケニア

分野課題 1 運輸交通-運輸交通行政

分野課題 2分野課題 3分野分類 公共・公益事業-運輸交通-運輸交通一般

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト ナイロビ

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2017 年 05 月 22 日 ~ 2019 年 05 月 21 日

相手国機関名 (*) (和) 運輸・インフラ都市住宅開発省

(英) Ministry of Transport, Infrastructure, Housing and Urban Development

プロジェクト概要

・背景

ケニア政府は、国家開発計画「Vision 2030」において、経済開発を 3 本柱

の一つに据え、それを実現するために道路・鉄道・港湾・空港といった運

輸インフラの開発を重点課題の一つとしている。同政府は、Vision 2030 の

下で、空港の拡張、港湾の浚渫、鉄道建設への着手、道路建設等の着実に

実施してきたものの、Vision 2030 の中期実施計画「第二次中期計画 2013-2017」では、運輸インフラ分野において同期間内に取り組むべき課題とし

て、以下のものが挙げられている。

・都市部の交通混雑

・急速な都市化及び増加の一途をたどる交通量

・道路の維持管理体制の欠如

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・港湾での長い税関手続き 等

これらを踏まえ、同政府運輸・インフラ都市住宅開発省はインフラへの

投資や制度改善を積極的な姿勢を見せているが、ドナー・国際機関・民間

企業からの多種多様な提案や開発プロジェクト間の優先順位付けや投資

効果の検討が十分に行えていない結果、多くの運輸交通計画がとん挫、ま

たは遅延してしまっている。各提案や開発計画を整理し、ケニアの運輸交

通計画を着実に実施していくことが、高まるインフラ需要に対応していく

ための喫緊の課題であるものの、そのためには同省の行政能力及び調整能

力の向上が課題となっている。また、同省内のインフラ局と運輸局の間や

同省と下部組織(ケニア高速道路公社(Kenya National Highway Authority:KeNHA)やケニア都市道路公社(Kenya Urban Roads Authority: KURA)等)間の調整も適切に行われていない状況であることから、同省の行政能

力や調整能力の前提として、効率的な組織体制の整備も求められている。

・上位目標

ケニアの運輸交通政策及び計画が円滑に実施され同国の運輸交通インフ

ラの整備状況が改善される

・プロジェクト目標

運輸・インフラ都市住宅開発省の行政能力及び調整能力が向上する

・成果

1. 運輸交通政策及び計画の立案に資する効率的な体制が省内で構築さ

れる

2. JICAが支援した(支援中の)運輸・インフラ分野のマスタープラ

ンが個別の運輸交通政策の立案に効果的に活用される

3. JICAが支援予定の運輸・インフラ分野の事業(特に運輸・インフ

ラ都市住宅開発省及び同省下部組織が実施機関となる事業)が適切に促

進・監理される

・活動

1. 運輸・インフラ都市住宅開発省が持つ運輸交通政策・戦略、開発計

画、更には、同省の組織体制等をレビュー・分析する

2. 1.に基づき、必要な改善案を同省に提案する

3. 同省に対して、運輸交通に係る政策立案、制度構築、開発計画策定等

の技術指導を行う

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4. 同省が行う他援助機関・民間との連絡・調整に対して適切な助言を

行う

5. JICA の協力済・協力中のマスタープランや事業(特に同省及び下部

組織主管の円借款事業)の円滑な実施を支援する

6. JICA ケニア事務所の実施する ODA モニタリング会合や運輸交通分

野の政策対話の側面支援を行う

7. 同分野に関心のある日本企業に対して情報提供を行う

8. 日本が支援を予定する案件にかかる案件形成促進(関係機関間調整

を含む)を行う

9. JICAが支援中のインフラ分野の円借款事業に係る調達・ディス

バース支援を行う

・投入

・日本側投入

1.専門家

運輸交通政策アドバイザー(直営)24M/M (2017 年 6 月~2019 年

5 月)

2.在外事業強化費

現地ワークショップ、ローカルコンサルタント、現地調査費 等

・相手国側投入

カウンターパートの配置、執務室の提供

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・ウゴング道路拡張計画フェーズ 1 及びフェーズ 2

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・ナイロビ都市開発マスタープランプロジェクト

・ナイロビ都市公共交通システム整備計画プロジェクト

・ナイロビ高架橋建設・道路拡幅事業

・モンバサ港開発事業フェーズ 1、2、及び 3・モンバサ港周辺道路開発事業フェーズ 1、2・モンバサ・ドンゴクンドゥ港開発計画策定支援プロジェクト

・北部回廊物流網整備マスタープランプロジェクト

・モンバサゲートシティ総合都市開発マスタープランプロジェクト

・モンバサ港ゲートブリッジ建設事業

・道路メンテナンス業務の外部委託化に関する監理能力強化プロジェク

トフェーズ 1、2、及び 3

・他ドナーの援助活動

同セクターは、JICA に加え世界銀行(WB)、アフリカ開発銀行(AfDB)、EU、中国等が主要ドナー。

【ナイロビ】

・各ドナーは、道路建設やナイロビ市内を起点とする高速道路の建設を支

援。また、WB 等が BRT 導入のための協力を実施中。

【モンバサ】

・モンバサ港については、WB がオペレーション・通関等の各種システム

の一元化等、港湾の運営維持管理に係る支援を実施中。また、英(Trade Mark East Africa: TMEA)がケニア港湾公社の組織強化や荷役業務効率化

への支援を実施中。

・モンバサ周辺では、AfDB が国道 A109 号線の一部(モンバサ~マリア

カニ間)及び海岸沿いの国際幹線道路 A14 号線(キルフィ~ モンバサ~

ルンガ・ルンガ間)の F/S を実施済。また、TMEA がモンバサ港周辺の道

路整備の支援を実施中。さらに、中国がモン バサ‐ナイロビ間の鉄道建

設のための支援を実施中。

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 03 月 16 日 現在

主管区分:本部主管案件

社会基盤・平和構築部

案件名 (和) 道路維持管理業務の外部委託化に関する監理能力

強化プロジェクト(フェーズ3)

(英 ) Project for Strengthening of Capacity on Road Maintenance Management through Contracting (Phase 3)

対象国名 ケニア

分野課題 1 運輸交通-運輸交通行政

分野課題 2分野課題 3分野分類 公共・公益事業-運輸交通-道路

プログラム名 広域輸送インフラ改善プログラム

援助重点課題 経済インフラ整備

開発課題 輸送インフラ整備

プロジェクトサイト

署名日(実施合意) (*) 2016 年 09 月 02 日

協力期間 (*) 2016 年 12 月 1 日 ~ 2019 年 11 月 30 日

相手国機関名 (*) (和) 運輸インフラ省、道路基金、道路公社(高速道路公

社、都市道路公社、農村道路公社)、野生生物公社、高

速道

(英 ) Ministry of Transport and Infrastructure, Kenya Roads Board, KeNHA, KURA, Kerra, KWS, KIHBT, NCA

プロジェクト概要

・背景

(1)当該国における運輸交通セクターの開発実績(現状)と課題

ケニアにおいて中央政府が管理する道路延長は約 16 万 km に及ぶが、

うち良好(good)以上の状態の道路は約 4 割に留まる。輸送手段のうち

道路交通が 90%以上を占める中、道路網の整備と維持管理は同国の経済

成長にとって重要な開発課題である。

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ケニアの道路行政は、運輸インフラ省の監督の下、高速道路、都市内道路、

村落道路、国立公園内の道路等の道路種別に異なる機関が道路管理を行っ

ている。道路の維持管理作業の多くは民間業者への外部委託により行われ

ているが、道路管理機関の積算並びに契約監理能力は十分ではなく、予算

計画・業務計画の未策定、業者調達や維持管理業務そのものの遅延、品質

の不均一等の問題が発生している。こうした状況を受けて JICA は、2010 年 5 月から「道路維持管理業務の外部委託化に関する監理能力強化プロ

ジェクト」を 2 フェーズに分けて実施した。プロジェクトでは道路維持

管理業務への性能規定型契約(Performance Based Contract、以下「PBC」)

の導入のため、標準契約書、手順書、積算システム等の作成等に係る協力

を実施した。また、本邦の大学が開発した道路状況の簡易な測定器である

DRIMS(Dynamic Response Intelligent Monitoring System)の導入等を通

じて、道路管理機関が客観的なデータに基づき補修計画を策定できるよう

支援した。これまでの支援を通じ、PBC による維持管理が行われる道路

延長距離は 2011/12 年度の約 14km から 2014/15 年度の約 1730km へと拡大し、DRIMS を年次道路状況調査の標準測定機器として定めた道

路機関も出てきた。各道路管理機関においては、積算ユニットを設立して

単価調査並びに積算に係るノウハウを組織内に定着させることを検討中

である。

本プロジェクト(フェーズ 3)は、道路管理機関並びに民間建設業者等を

対象とした研修コースの立ち上げ等を通じ、これまで 2 フェーズに渡っ

て行われた協力の成果を全国に展開させるとともに、道路管理機関等にお

いて公共積算並びに契約監理に係る協力成果を定着させることを目的と

して、2015 年 9 月に先方政府から要請のあったものである。

(2)当該国における運輸交通セクターの開発政策と本事業の位置づけケ

ニア政府は、国家開発計画「Vision 2030」において、経済開発を実現する

ための運輸インフラ開発を重点課題の一つとしている。また「Vision 2030」の中期実施計画を示した「第二次中期計画 2013-2017」では、運輸インフ

ラ分野において取り組むべき課題として、道路網の拡張及び道路維持管理

の強化が取り上げられている。

(3)運輸交通セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績

本事業は、対ケニア共和国国別援助方針の重点分野「経済インフラ整備」

に位置づけられ、道路維持業務の外部委託に係る先方政府の能力向上に貢

献するものである。JICA 国別分析ペーパー(2011 年 4 月)では、道路

整備とともに維持管理キャパシティの強化を図るとしており、本事業はこ

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れにも沿ったものである。これまで JICA は「ナイロビ西部環状道路建設

計画」(2010 年贈与契約(G/A)締結)、「ウゴング道路拡幅計画」(2012 年 G/A 締結)などの無償資金協力や、「モンバサ港周辺道路開発事業」

(2012 年借款契約(L/A)締結)等の有償資金協力を通じて同国内の道路

整備を支援してきている。

(4)他の援助機関の対応

フランス開発庁(AFD)等は、ケニア村落道路公社(KeRRA)に対し、村

落道路の建設、維持管理に係る支援プログラム(Road 2000)を実施して

いる。欧州共同体(EU)は、北部回廊を含む道路のリハビリに関する支援

を実施している。

・上位目標

プロジェクトで開発した道路維持管理手法が建設業界で主流化する

・プロジェクト目標

道路維持管理手法が改善されケニアで広く活用されている

・成果

1 各道路維持管理機関における公共積算能力が向上する

指標 1-1 積算調査手法が確立し、それぞれの工種の積算単価が更新される

(主要工種についてはプロジェクト実施中に確定する)

指標 1-2 道路公社による PBC 業務全体の 80%以上に COSTES が利用さ

れている

2 PBC による道路維持管理に係る道路管理機関の監理能力が強化される

指標 2-1 プロジェクト開始 1 年後までに、契約評価が試行される

指標 2-2 NCA の業者登録に道路維持管理(PBC)が職種区分として追加

される

3 PBC による道路維持管理に関し訓練機関(KIHBT、NCA、RA 等)の能

力が強化される

指標 3-1 KIHBT による PBC 研修コースが正式なコースとして認定され

指標 3-2 PBC に関する研修講師が、23 人から 50 人以上に増える

4 DRIMS による道路の平坦性調査手法が国内外の道路管理機関に広まる

指標 4-1 DRIMS による道路性状データが PBC に活用されている

指標 4-2 DRIMS の研修コースが設置される

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・活動

1-1 PBC 積算データベースシステム(COSTES 2011 及び 2015)をレビ

ューし、改善策を検討する

1-2 歩掛、単価調査等に係る標準的手法を検討する

1-3 積算調査を実施し、COSTES データベースを改善する

1-4 COSTES のソフトウエアを改善する

1-5 各道路管理機関におけるコスト積算ユニットの設置に向けたワーク

プランを作成する

1-6 設置された積算ユニットの活動支援を行う

1-7 COSTES を利用し道路維持管理のコストの指標化を行う

2-1 標準契約図書の改訂のための技術的支援を行う

2-2 道路公社による PBC 業務の実施内容について確認し、課題を洗い出

2-3 PBC ガイドラインの改訂を支援する

2-4 道路公社に対し契約実績評価を導入のための技術的支援を行う活動

2-5 PBC 業者職種区分の設置支援を行う

3-1 KIHBT による PBC 研修をモニタリングし、改善のための提案を行う

3-2 PBC 研修マニュアル/教材の改訂・更新の支援を行う

3-3 PBC に関する普及セミナーを実施する

3-4 PBC に関する講師育成研修を実施する 活動 3-5 DRIMS に関する講

師育成研修を実施する

3-5 DRIMS に関する講師育成研修を実施する

4-1 道路調査に係る先方実施機関の現状を確認する(調査の現状、使用機

器、技術基準等)

4-2 上記 4.1 を踏まえ、DRIMS の活用方法について提案を行う

4-3 ケニアの道路維持管理において DRIMS の機器標準化のための支援

を行う

4-4 DRIMS に関する啓蒙活動を近隣諸国向けに実施する

4-5 ワークショップ等を通じてプロジェクト全体の成果を発表する

・投入

・日本側投入

・相手国側投入

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・外部条件

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2020 年 7 月 31 日 現在

主管区分:本部主管案件

社会基盤部

案件名 (和) 地熱開発のための能力向上プロジェクト

( 英 ) The Project for Capacity Strengthening for Geothermal Development in Kenya

対象国名 ケニア

分野課題 1 資源・エネルギー-再生可能エネルギー

分野課題 2 資源・エネルギー-エネルギー供給

分野課題 3分野分類 エネルギー-エネルギー-新・再生エネルギー

プログラム名 発電・送配電能力向上プログラム

援助重点課題 経済インフラ整備

開発課題 電力アクセス改善

プロジェクトサイト GDC 本部:ナイロビ、GDC 支部:ナクル、ナイバシャ

地熱開発サイト:メネンガイⅠ、メネンガイⅡ、シラリ、

パカ、アルス、コロシ、チェプチャク、ススワ

署名日(実施合意) (*) 2013 年 06 月 28 日

協力期間 (*) 2013 年 09 月 24 日 ~ 2020 年 3 月 31 日

相手国機関名 (*) (和) 地熱開発公社(GDC)

(英) Geothermal Development Company (GDC)

プロジェクト概要

・背景

ケニア国の電力開発計画「最少費用電源開発計画」(Least Cost Power Development Plan。以下、「LCPDP」という)によると、中所得国入りを

目指す観点での経済成長、並びに年 2.64%の人口増加により、ケニア国の

ピーク電力需要は 2010 年の 1,227MW から、20 年後には 12,738~22,985MW へと大幅に増加すると予測されている。これに対し発電設備容

量は、2011 年の段階で 1,593MW であり、今後大規模な電源開発が必要な

状況にある。また、発電設備容量のうち、水力発電が 763MW(48%)、火

力発電が 586MW(37%)、地熱発電が 212.5MW(13%)である。水力発

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電に発電設備容量の約半分を依存しているため、電力供給は干ばつなどの

天候の影響を受けやすい不安定な状況にある。安価かつ低炭素でベースロ

ードとなる電源の増強が必要な状況のもと、ケニア政府はポテンシャル

7,000MW と言われる豊富な地熱資源に着目し、地熱エネルギーの発電量

を 2030 年までに 5,530MW まで引き上げる計画を進めている。

このような状況のもと、より迅速かつ効果的な地熱資源開発を進めるた

め、ケニア政府は 2009 年にケニア電力開発公社(Kenya Electricity Generating Company Ltd.。以下、「KenGen」という)から地熱部門を独

立させ、地熱開発公社(Geothermal Development Company Ltd.。以下、

「GDC」という)を設立した。現在 GDC は、ナイロビから北西約 150kmのメネンガイ地区を中心に、AFD、世銀、アフリカ開発銀行等から 400 百

万米ドルを超える融資を受け、試掘等の地熱開発を実施している。資金面

での支援は概ね充足している一方で、GDC の探査、掘削、貯留層評価の

一連の技術レベルは低く、①適切な掘削地点が選定できない、②狙ったタ

ーゲットを掘り当てられない、③持続可能な蒸気生産量を見極められない

等、技術面での事業リスクを抱えており、技術向上を通じた地熱開発のリ

スクそのものの軽減が喫緊の課題となっている。

加えて、GDC が地熱開発を促進するためには、蒸気の性状に応じた適

正な発電プラントを建設するため、蒸気供給者として電力事業者が必要と

する正確な蒸気データを提供する必要がある。また、周辺住民の地熱開発

への理解促進等を進めるため、住民向けの地熱の多目的利用を説明するた

めの知識の習得が必要な状況にある。

本プロジェクトは、地熱開発に伴うリスクの低減を図り、GDC が電力

事業者に対して安定した蒸気供給を行うことが出来るように、GDC の能

力向上を行うことを目的とする。

・上位目標

GDC が電力事業者に対して適切に蒸気供給を行うことができる。

・プロジェクト目標

地熱開発上の技術面でのリスクが低減されるべく、GDC の人材が育成さ

れる。

・成果

成果1:GDC 職員の能力開発に必要な研修プログラムが構築される。

成果2:貯留層の概念モデルの開発や適切な掘削地点を選定する能力が改

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善される。

成果3:掘削ターゲットを掘り当てる能力が改善される。

成果4:坑井データの解析、貯留層モデルの較正及び貯留層評価に関する

能力が改善される。

成果5:蒸気供給者として経済面や環境面から適切な事業計画を策定する

能力が向上すること。

成果6:地熱エネルギーの多目的利用事業実施に関する能力が向上するこ

と。

成果7:GDC 内部に継続的に研修を実施・改善する体制が整う。

・活動

1-1:GDC の人材育成計画と職員の能力評価

1-2:GDC が抱える課題の抽出と改善策のとりまとめ

1-3:GDC 経営層への提言とトレーニングの方向性の決定

1-4:トレーニングプログラムの計画

1-5:トレーニング用の教材の作成

1-6:地熱開発に必要な技術能力チェックリストと評価表の作成

1-7:ベースラインの特定と目標水準の設定

2-1:概念モデル構築に関するトレーニング

2-2:掘削地点選定に関するトレーニング

3-1:掘削作業に関するトレーニング

3-2:掘削関連機材の調達・ロジスティクス管理に関するトレーニング

3-3:健康・安全・環境(HSE)に関するトレーニング

3-4:掘削技術の理論に関するトレーニング

4-1:坑井データの解析に関するトレーニング

4-2:貯留層評価に関するトレーニング

4-3:データベースの構築・管理に関するトレーニング

5-1:環境モニタリングと環境計画に関するトレーニング

5-2:プラントエンジニアリングに関するトレーニング

5-3:官民連携スキームの構築に関するトレーニング

5-4:IPP との合意形成・交渉に関するトレーニング

5-5:電力事業者との意見交換会

6-1:ケニアの地熱有望地点で適用可能な地熱エネルギー多目的利用事

業の特定

6-2:パイロット・プロジェクトの計画に関するトレーニング

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6-3:パイロット・プロジェクトの実施に関するトレーニング

7-1:トレーニング用教材とプログラムの課題の抽出

7-2:トレーニング用教材の改定とトレーニングプログラムの改善

7-3:GDC トップマネージメントへの改訂版トレーニングプログラム

の提言及び GDC の人材育成方針の再確認

7-4:トレーニングプログラムの人材開発プログラムへの統合

・投入

・日本側投入

【短期専門家】総括/掘削計画、副総括/地熱開発計画/貯留層評価、業

務調整/研修管理、機材調達、地質、地化学、物理探査、データ統合・

管理・貯留層シミュレーション、掘削地点選定、坑井調査、噴気試験、

経済性評価、経営・財務、蒸気供給契約促進、環境社会配慮、プラン

トエンジニアリング、地熱多目的利用、掘削アドバイザー、プロジェ

クトマネジメント

【長期専門家】地熱開発促進アドバイザー、地熱研修体制強化

【供与機材】地熱開発に必要な機材

【本邦研修】掘削技術:毎年 6 名程度(4 週間)×8 回、貯留層評価:

毎年 6 名程度(6 週間)×4 回)、探査データ解析・評価:8 名(2 週

間)×1 回

・相手国側投入

執務室

カウンターパート

掘削リグ

探査機器等

・外部条件

・掘削に必要な水が確保されること。

・開発予定地に発電に利用可能な地熱資源が賦存すること。

実施体制

・現地実施体制

Project Director: GDC の CEOProject Manager: GDC 戦略・研究・イノベーション部の General Manager

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・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・有償資金協力「オルカリア V 1・2 号機地熱発電事業」(2016 年から継

続中)

・有償資金協力「オルカリアⅠ 4・5 号機地熱発電事業」(2010-2014 年)

・有償資金協力「ソンドゥ・ミリウ/サンゴロ水力発電所建設計画」(2006-2013 年)

・有償資金協力「オルカリア-レソス-キスム送電線建設計画」(2010-2015年)

・技術協力「GDC の地熱開発戦略更新支援プロジェクト」(2014 年から

継続中)

・技術協力「再生可能エネルギーによる地方電化推進のための人材育成プ

ロジェクト」(2011-2017 年)

・技術協力「再生可能エネルギーによる地方電化モデル構築プロジェク

ト」(2012-2015 年)

・他ドナーの援助活動

GDC に対しては、アフリカ開発銀行、世界銀行、米国輸出入銀行、フラ

ンス開発庁、ドイツ復興金融公庫、インド輸出入銀行等が試掘のための融

資等の資金供与を実施・計画中である。

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 03 月 01 日 現在

主管区分:本部主管案件

産業開発・公共政策部

案件名 (和) 東部アフリカ地域における貿易円滑化及び国境管

理能力向上プロジェクト

( 英 ) Project on Capacity Development for Trade Facilitation and Border Control in East Africa

対象国名 ケニア

分野課題 1 経済政策-財政(税関)

分野課題 2分野課題 3分野分類 計画・行政-行政-財政・金融

プログラム名 産業振興・貿易投資促進プログラム

援助重点課題 経済インフラ整備

開発課題 民間セクターの開発

プロジェクトサイト EAC 加盟国全域

署名日(実施合意) (*) 2017 年 11 月 23 日

協力期間 (*) 2017 年 12 月 16 日 ~ 2021 年 6 月 30 日

相手国機関名 (*) (和) 財務省/ケニア歳入庁

(英) Kenya Revenue Authority, National Treasury

プロジェクト概要

・背景

東アフリカ共同体(East African Community:EAC)は、2000 年 7 月に

設立さ れて以来、加盟国を増やしながら着実に成長してきた。過去 5 年間の GDP 平均 成長率は 5%で、総人口 2 は約 1 億 6,200 万人に達し

ている。この成長の一因と して地域統合・関税同盟をすすめるための取

組や税関行政の近代化が挙げられ ており、特に単一関税領域(SCT)の

実施、EAC 関税管理法やワンストップボー ダーポスト(OSBP)法の採

択、地域通関所要時間調査や通関手続きの簡素化、 各国税関管理システ

ムの近代化、国際水準に沿った認定事業者(AEOs)制度の 導入等、貿易

円滑化を促進するための多様な努力が行われている。 しかしながら、当

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該地域は貿易・ロジスティックスの観点からは、未だ国境 通関やインフ

ラ面での課題を抱えている。特に主要回廊の物流効率化の観点か らは、

北部回廊の物流の道路輸送への過度の依存、モンバサ港の港湾運営、並 び

に越境の効率性などが課題として掲げられている。また地域内及び地域間

の 貿易・物流にかかるコストが先進諸国と比較して 60-70%高いことが

報告され ており、貿易円滑化を促進することで投資の誘致、地域のビジ

ネスコストの削 減につながり、更なる発展の鍵になるとして広く認識さ

れている。更に、世界 的なテロの脅威やサプライチェーンの複雑化を受

けて、合法的な人とモノの移 動の円滑化のためには、税関や国境管理分

野の能力強化や関係機関・ステーク ホルダー間の協調体制を強化し、貿

易・税関における安全とセキュリティを確 保することが、ますます重要

となっている。

・上位目標

東部アフリカ地域において、貿易円滑化と、安全と治安環境の確保を通じ

た 地域経済発展が更に促進される。

・プロジェクト目標

プロジェクト目標:東部アフリカの対象国境において国境手続きの効率性

と 国境取締のための能力が向上する。

・成果

成果 1:OSBP が対象陸路国境において効率的かつ地域協調的に運営さ

れる。

成果 2:効率的かつ効果的な国境管理のための税関当局の能力が強化され

る。

・活動

【ナマンガとルスモを含む、効率的な OSBP 運用支援】

活動 1-1:ナマンガとルスモ以外の選定された OSBP がプロジェクトス

コープ に含まれる。

活動 1-2:ナマンガとルスモ OSBP でのパフォーマンス指標を確立し、

運用状 況のモニタリングを実施し、更に通関時間調査、その他の必要な

手段により手 続を改善する。

活動 1-3:ナマンガとルスモ以外の選定された OSBP の運用能力を調査

し、課題を抽出する。

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活動 1-4:選定された OSBP の効率的な運営のために共同国境調整委員会

(JBCC) と技術実行委員会(JTC)を組織する。

活動 1-5:選定された OSBP の運用能力強化のためのアクションプラン

を策定する。

活動 1-6:選定された OSBP において支援結果の確認及び提言の抽出の

ために アクションプラン及び通関時間調査(必要に応じてインパクト評

価)を実施する。

【EAC 地域 OSBP 手続マニュアル活用状況のモニタリング】

活動 1-7:ナマンガ、ルスモ及び活動 1-1 に基づき選定された OSBP において EAC 地域 OSBP 手続マニュアルを利用するための計画を策定

する。

活動 1-8:活動 1-7 で策定した計画を実施する。

活動 1-9:ナマンガ、ルスモ及び選定された OSBP において EAC 地域

OSBP 手続 きマニュアルや EAC の OSBP トレーニングカリキュラム

に反映するために、OSBP 運用化と OSBP 手続マニュアル利用状況から

教訓を抽出する。

②成果 2(効率的かつ効果的な国境管理のための税関当局の能力が強化さ

れる。)

【リスクマネジメント強化(RM にかかる提言から提示された共通課題に

集中す る予定。IPR にかかる能力強化等を検討中)】

活動 2-1:各パートナー国の RM に係る実施と手続の現状を確認し、能

力強化 のニーズを特定し、各パートナー国の担当者/グループを選定す

る。

活動 2-2:活動 2-1 で特定したニーズに基づき、RM 改善のための技術支

援を、 他の関連援助との重複を避けつつ実施する。

活動 2-3:RM の実施状況をモニターする(MT による情報分析に係る研

修を含む)。

【事後調査(PCA)能力強化】

活動 2-4 事後調査における現在の能力強化に係るニーズを確認し、PCA に関する MT プログラムについて各対象国で WG メンバーを配置する。

活動 2-5 事後調査に係る MT 要員増加のための技術支援を実施する。

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活動 2-6 必要に応じて、各国の MT が実施する研修のレベルをモニターす

る。

【国境管理強化(グローバル・シールド・プログラム(PGS)の実施を含

む)】

活動 2-7 対象国に対して PGS を紹介するとともにニーズを確認する。

活動 2-8 活動 2-7 の結果に基づいて、対象国境における税関管理改善の

ための研修を実施する。

活動 2-9 PGS の実施を含む運営体制を構築するとともに、更なる改善の

ため に運用結果をレビューする。

活動 2-10 日本の無償資金協力によって供与される機材を有効活用する

ための研修を実施する。

活動 2-11 日本の無償資金協力によって供与される機材の有効利用と維

持管 理を含む、合同国境監視/合同水上監視(JBS/JWS)の実施状況をモ

ニターする。

・投入

・日本側投入

1.専門家

チーフ・アドバイザー、税関行政、上級人材育成管理、モニタリン グ

及び評価、業務調整、OSBP 運用化支援

2.供与機材

国境監視に係る資機材(車両、ボート、X 線検査機器)

3. 研修員受入れ(日本/第三国): 必要に応じて実施。

4.活動に係る在外事業強化費

・相手国側投入

1.カウンターパートの配置

2.事務スペースの確保(プロジェクトの専門家及びスタッフに必要な

執務スペース、機器 )3. プロジェクト活動経費(OSBP 施設、国境管理の運営管理コストを

含む必要経費 )

・外部条件

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実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA- 北部回廊マスタープラン

・他ドナーの援助活動

2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.- 世銀、Trade Mark East Africa、アフリカ開発銀行などによる OSBP 支

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

個別案件(第三国研修) 2020 年 07 月 31 日 現在

主管区分:在外事務所主管案件

ケニア事務所

案件名 (和) アフリカ地場産業貿易振興(一村一品)

( 英 ) Local Industry Development through OVOP Approach

対象国名 ケニア、ボツワナ、マダガスカル、ナミビア、モザンビ

ーク、マラウイ、エチオピア、ザンビア、タンザニア他

分野課題 1 民間セクター開発-中小企業育成・裾野産業育成

分野課題 2分野課題 3分野分類 商業・観光-商業・貿易-商業経営

プログラム名 産業振興・貿易投資促進プログラム

援助重点課題 経済インフラ整備

開発課題 民間セクターの開発

プロジェクトサイト ナイロビ及びパイロット地方自治体

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2017 年 02 月 1 日 ~ 2020 年 01 月 31 日

相手国機関名 (*) (和) 産業・貿易・協同組合省 一村一品事務局

(英) Ministry of Industry, Trade and Cooperative, OVOP Secretariat

プロジェクト概要

・背景

ケニア国においては、2008~2030 年までの長期的な開発計画を示した「ビ

ジョン 2030」において新興工業国化による中所得国化を目指しており、

「経済」「政治」「社会」の 3 つの柱でそれぞれ優先セクターを設定すると

ともに、同国の競争力強化と経済成長に欠かせない課題の一つとして、「製

造業の育成」が言及されている。この製造業の育成の中でも、特に、地方

レベルでの中小零細企業の能力強化が重要と考えられており、同分野の活

動の実施機関である産業・貿易・協同組合省が 2015 年 4 月に策定したロ

ードマップにも明記されている。

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ケニアにおける JICA からの一村一品支援は、2014 年 11 月の「一村一品

サービス改善プロジェクト」の終了をもって区切りとなったが、その後も、

ケニア政府独自に各カウンティーへの一村一品普及活動などを行ってい

る。

こうした成果を受け、2015 年要望調査時には、第三国研修「アフリカ地

場産業貿易振興広域研修プロジェクト(南南協力、一村一品)」の要請が

産業・貿易・協同組合省より出された。要請の目的は、マーケティングを

中心に据えることで「持続的なビジネス推進能力の強化」を目的に実施し

てきたケニア一村一品活動の生産者支援モデルを、一村一品立ち上げを検

討している周辺国や、既に一村一品を立ち上げている国(マラウイ、エチ

オピア、ウガンダ)に対して、普及することであった。

この要望に対して、JICA からは、案件可否検討に先立ち、ケニア一村一品

活動の成果を検証する必要があるとして、簡易的な「OVOP インパクト調

査」の実施を提起し、一村一品事務局と JICA ケニア事務所が協力し、2016年 3 月~6 月にかけて、全国の OVOP グループ及び地方政府を対象に、

サンプル調査を実施した。同調査結果では、これまでの支援が OVOP グ

ループの持続的な経営に寄与していることが判明しつつも、その更なる成

長や、ケニア地方行政官レベルでのグループ支援体制に課題が残っている

ことが明確となった。こうしたことから、本研修は、ケニア国内でのフォ

ローアップ活動を実施しつつも、内容をマーケティングに限定することな

く、OVOP が中小零細企業の持続的経営に果たしている成功要因につい

て、周辺国に普及させることを目的に実施するものである。

・上位目標

ケニア及び周辺諸国のビジネス実施環境に係る各種指標が改善する

・プロジェクト目標

ケニア及び周辺諸国の中小零細企業支援部署行政官の地場産業振興にか

かる能力が向上する

・成果

1.地域のビジネス・サービス・プロバイダー(BDS)の役割について、

国・地方の行政官が理解する

2.BDS と良好な関係を築く上で必要な能力について、地域の付加価値製

品生産者が理解する

3.地域の付加価値製品生産者の持続的・自立的ビジネスを強める支援の

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アプローチについて、国・地方の行政官が理解する

・活動

1.ケニア国内フォローアップ

1-1 パイロットカウンティー地方行政官向け F/U セミナー

1-2 OVOP グループ向けビジネス F/U 研修

(期間中計7回開催、1回あたりの参加者 20~50 名程度)

1-3 リソースマッピングの作成

2.第三国研修

2-1 各国の OVOP を含む地場産業・中小企業振興プログラム・活動に

ついて知見を共有

2-2 プラットフォームの役割について講義・検討

2-3 アクションプラン作成

(期間中計 3 回開催、1回あたりの参加者 10 カ国 30 名程度)

*1 回当たりの人数を増やし、7 回から 3 回に変更

2-4 ナミビア行政官を対象としたワークショップの開催

・投入

・日本側投入

1.講師派遣経費(本邦、第三国)

2.研修諸経費(航空券、日当宿泊費、会場借上費、外部講師傭上費、

研修補助員傭上費、通信費、交通費など)

3.研修資機材購入費(コピー機、ラップトップ PC、プリンター)

4.F/U 訪問諸経費(航空券、日当宿泊費、交通費、通信費など)

5.運営指導調査団派遣経費

6.リソースマッピング作成経費

7.ローカルコンサルタント経費

・相手国側投入

1.研修実施にかかる政府職員の配置

2.上記政府職員の給与、日当宿泊費

3.研修実施にかかる政府車両の提供

・外部条件

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実施体制

・現地実施体制

産業・貿易・協同組合省一村一品事務局 C/P として、研修に係る予算支出

については、傭上のローカルコンサルタントを通じて管理する。研修場所

は、ナイロビ及びパイロットカウンティー(地方自治体)にて実施する。

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

現地国内研修「農村女性の生計・企業能力向上プロジェクト」(1994 年-2016)技プロ「中小輸出事業者向け貿易研修プロジェクトフェーズ 2」(2010 年

8 月-2012 年 12 月)

技プロ「ケニア生産性向上プロジェクト」(2012 年 2 月~2014 年 2 月)

技プロ「一村一品サービス向上プロジェクト」(2011 年 11 月-2014 年 11月)

・他ドナーの援助活動

UNDP「Biashara Centre Project」DANIDA「Green Growth & Employment Programme」UNDP「Youth Employment Project」

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表(専門家)

派遣国名 ケニア共和国

協力対象国名 ケニア共和国

指導科目 モンバサ経済特区開発促進アドバイザー

指導科目(英) Mombasa SEZ Development Advisor配属機関 産業化省

配属機関(英) Ministry of Industrialization and Enterprise Development任地 ※全角カナ ナイロビ

派遣予定 M/M 33MM(業務実施契約分 9MM を含む)

要請背景

ケニア共和国(以下、「ケニア」という。)政府は産業育

成や雇用創出による貧困削減及び経済開発の観点から、海

外直接投資の誘致を重視しており、経済特区(以下、「SEZ」という。)の開発を進めている。ケニア唯一の国際貿易港

であるモンバサ港は、ウガンダやルワンダ等に続く東アフ

リカ北部回廊の起点として、これらの国への物流拠点とな

っている。ケニア政府は、国家開発計画「Vision2030」に

おいて、物流の結節点であるモンバサ等に SEZ を設置し、

外国企業の誘致、国内外の投資促進及び産業の多角化を行

い、ひいては同地域を含むケニア全体の経済活性化を図る

こととしている。我が国は、2016 年 8 月に行われた日本・

ケニア首脳会談において、モンバサ SEZ を両国で協力し

て開発する旨合意しており、資金協力(有償及び無償)に

より関連インフラ整備(電力、上下水道、排水、道路、港

湾、土地整備等)を実施すべく、現在、協力準備調査を実

施中である。

ケニアの SEZ 開発に関しては、SEZ 制度の基本となる

SEZ 法が 2015 年に策定された。しかしながら、同法の実

施に必要となる各種細則の制定、関連法令との調整等は未

だ実施途上にあり、SEZ の事業化の観点を踏まえ、民間企

業の視点に立った技術的・専門的見地から、これらの作業

を進めることが必要な状況にある。また、SEZ 開発を担当

する組織として、同法に基づき SEZ 庁が設置されている。

同庁は産業化省の傘下にあり、現在、人員配置等の組織化

が進められているが、理事会を含む組織体制・意思決定機

能が十分でないことに加え、事業推進のためのシステム

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(デベロッパーの選定、企業誘致及び企業に対する操業に

必要な行政手続き支援等を含む)が十分に機能しておら

ず、認可済 SEZ を継続的に運営するための経験や知見も

不足している状況にある。

上記のとおり円借款事業「モンバサ経済特区開発事業」

において協力準備調査が実施されたが、同事業で建設予定

のインフラ(港湾、電力施設、港湾へのアクセス道路)が

十分に活用されるためには、SEZ へ十分な数の企業の入居

が進むことが必要となる。特に、インフラ完成後に企業入

居が進むためには、SEZ 法制度・組織体制の確立及び企業

誘致活動の実施を通じて、インフラ完成前までに同 SEZへの進出計画を有する企業を一定数確保しておく必要が

ある。しかし、上記で指摘されたとおり SEZ 法制度、及

び企業誘致や企業への行政手続き支援等に係る運営体制

の整備は十分に進んでいないため、入居予定の企業が確保

されず円借款事業で建設したインフラが十分に活用され

ないことが懸念される。

このような状況を改善し、モンバサ SEZ をはじめとす

るケニア国の SEZ 開発及び SEZ への企業入居を促進する

ため、SEZ 関連法令・制度の策定、組織体制の整備、及び

関係機関との調整等への支援を行う専門家を派遣するも

のである。

派遣の目的

SEZ 庁の組織能力強化等を通じて、モンバサ SEZ をはじ

めとする SEZ 開発及び運営円滑化を進め、これにより

SEZ への企業入居を促進させ、円借款事業で整備されるイ

ンフラの十分な活用に資する支援を行う。

期待される成果

1. SEZ に係る関連法令、細則等が整備されると共に、実

効性が向上する。

2. SEZ の開発・維持管理等を担当する SEZ 庁の組織能

力が強化される。

3. モンバサ SEZ 開発及び運営に関する各種業務が円滑

に実施される。

活動内容

1. SEZ 庁の組織体制整備に必要な支援(他国の SEZ 庁

の組織/管理運営体制に係る情報収集・分析、組織図

の策定支援、開発計画の策定からインフラ整備、民間

ディベロッパー、民間企業誘致、操業後の運営まで、

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SEZ 庁に求められる一連の機能・活動に関する他国参

考事例の情報収集・提供等)を行う。

2. SEZ に係る関連法令・制度(各種法・規制、優遇措置、

ワンストップサービスを含む)の他国事例等の情報収

集・分析・提供を行う。

3. SEZ の運営・維持管理や企業誘致、制度策定等に係る

SEZ 庁の能力強化のための、OJT や業務の定期モニタ

リングを通じた活動支援や、庁内セミナー等による情

報共有を実施する。

4. モンバサ SEZ に係る投資プロモーション活動を実施

する。

5. モンバサ SEZ に関係する機関の役割・機能を確認した

上で、各機関との調整及び協議の実施に係る能力強化

のための OJT を実施する。

6. モンバサ SEZ 開発に係る関係機関との協議の枠組み

を形成し、円滑な協議を推進する。

7. 上記 6.の協議を適切にリードし、モンバサ SEZ の円

滑な運営開始及び事業化に必要な技術的支援(協議資

料作成に係るインプット、モンバサ SEZ 開発・運営実

施体制のオプション検討、関係機関との調整支援等)

を行う。

*円借款で雇用されるコンサルタントは、円借款のコンポ

ーネントに係る入札補助及び施工監理を行う予定であり、

本専門家の TOR と重複することはない。

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 03 月 16 日 現在

主管区分:本部主管案件

産業開発・公共政策部

案件名 (和) 産業人材育成プロジェクト

( 英 ) Project on Human Resource Development for Industrial Development

対象国名 ケニア

分野課題 1 民間セクター開発-その他民間セクター開発

分野課題 2分野課題 3分野分類 商業・観光-商業・貿易-商業経営

プログラム名 産業振興・貿易投資促進プログラム

援助重点課題 経済インフラ整備

開発課題 民間セクターの開発

プロジェクトサイト ナイロビとその周辺地域(Thika,Athi River 地域を想定)

署名日(実施合意) (*) 2015 年 04 月 29 日

協力期間 (*) 2015 年 09 月 5 日 ~ 2019 年 09 月 4 日

相手国機関名 (*) (和) ケニアビジネス研修所

(英) Kenya Institute of Business Training

プロジェクト概要

・背景

本事業の実施機関となるケニアビジネス研修所(Kenya Institute of Business Training: KIBT)は東アフリカ商業観光省の傘下で、経営戦略、

マーケティングといったビジネス研修を行っている。ケニア国の産業人材

育成に関しては、同機関以外にも産業化省傘下で主に就業前の人材に対し

て技術的な研修を行うケニア産業研修機構(Kenya Industrial Training Institute: KITI)、労働・社会保障サービス省の傘下で主に生産管理に関する

現場指導を行うケニア生産性センター(Productivity Center of Kenya: PCK)、民間ではトヨタケニア財団の支援の基、自動車産業、農業起業家

向けの研修を行うトヨタケニアアカデミー(Toyota Kenya Academy:TKA)が事業を行っている。しかしながら、これら研修機関の対象は共通して事

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業開始前の起業家や個人事業主が中心となっており、一定の従業員を擁す

るいわゆる中小企業向けの研修はその範囲に含まれていない。また、ビジ

ネス研修に加えて技術的な研修を求められる場合等、各研修機関が単体で

有するサービスでは対応できないニーズに対して研修機関同士が連携し

て対応するなど、組織的対応できる体制は整っていない。さらに、これら

研修機関はナイロビ中心地に設置されているが、産業が集積しつつあるそ

の周辺地域(車で 1 時間程度)への事業展開は行っていない。

このような状況を踏まえ、公的研修機関の中でも豊富な講師リソースを

要する KIBT において、これまでの個人・零細企業向けの研修に加えて新

たに中小企業向けの新規ビジネスサービス(ビジネス研修・コンサルテー

ションサービス)を行うとともに、ナイロビ周辺地域に対しては自ら訪問

することで同サービスを提供することとし、さらに多様化するニーズに対

しては前述の研修機関等(以下、「連携研修機関」という)との連携体制を

構築することで、上記課題の解決を行う。

・上位目標

KIBT 及びその連携研修機関のビジネスサービスによりケニア中小企業の

業績が向上する。

・プロジェクト目標

ケニアビジネス研修所のビジネスサービス(中小企業向けの新規のビジネ

ス研修・コンサルテーションサービス(以下「新規ビジネスサービス」)の

品質が向上する。

・成果

1.KIBT における新規ビジネスサービス実施のための運営体制が構築され

2.KIBT の研修講師が新規ビジネスサービスを実施する能力を身に付ける

3.(KIBT の新規ビジネスサービスを受講した)パイロット企業において企

業業績が向上する

・活動

1-1.過去の調査結果を基に分析を行い、企業向けの新規ビジネスサー

ビスについてのニーズを把握する

1-2.1-1で把握されたニーズに基づき、KIBT の新規ビジネスサー

ビス実施に当たっての事業計画を策定する

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1-3.1-1で把握されたニーズに基づき、KIBT の新規ビジネスサー

ビスのためのガイドライン(カリキュラム、シラバス)を開発する

1-4.ガイドラインに沿って研修実施に当たってのツール(テキスト、

講義マニュアル)を開発する

1-5.継続的にサービスを実施するための体制(1)ニーズ調査の実施方

法、2)研修企画、3)サービス実施、4)評価、5)顧客開拓)を確立する

1-6.中小企業のニーズに沿ってビジネスサービスの品質と対象範囲を

最大化するため、KIBT と他の研修機関と連携関係を組織レベル確立する

2-1.新規ビジネスサービスを実施するマスタートレーナーの候補とし

て、各選択科目につき KIBT の講師から 3 名ずつ選抜する

2-2.選抜された KIBT 講師それぞれについて、マスタートレーナーと

なるための達成指標を設定する

2-3.マスタートレーナー候補生には日本人専門家より、また、その他

の KIBT 講師にはマスタートレーナーより、新規ビジネスサービス実施の

ための講義を実施する

2-4.選抜された KIBT 講師がパイロット企業への新規ビジネスサービ

スに基づく現場コンサルテーショを実施する

3-1.KIBT および連携研修機関からの推薦リストより、毎年少なくと

も 6 社のパイロット企業を選定する

3-2.パイロット企業の業績を把握し、プロジェクト実施による成果把

握にむけた評価指標を設定するためのベースライン調査を実施する

3-3.2-4実施後、適切なフィードバックを行うためにその効果を測

定する

3-4.パイロット企業へのサービス実施後の成果を取りまとめ広報する

・投入

・日本側投入

①専門家派遣

総括/連携調整/ビジネス研修講師(一般ビジネススキル※)

広報

ビジネス研修講師(生産・品質管理)

ビジネス研修講師(マーケティング・営業)

ビジネス研修講師(財務管理)

業務調整/研修運営補助

※時間厳守、PDCA、管理者とのコミュニケーション等

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②KIBT マスタートレーナー等を対象とした本邦または第 3 国研修

③機材供与

ラップトップパソコン 5 台

プロジェクター3 台

複合機(コピー・Fax・スキャナー)1 台

デジタルビデオカメラ 3 台

自動車(4WD)1 台

④その他現地活動費

ケニアでのセミナー等実施費用の一部

研修資料等の印刷費用

・相手国側投入

①カウンターパートの配置

②KIBT 内の専門家の執務室

③プロジェクト活動に必要な経費

機材等の運用・交換・保険に関する費用、C/P の交通費等

④その他プロジェクト実施に関する費用

・外部条件

・自然または人的災害や治安の悪化によりプロジェクト活動が著しい影

響を受けない。

・プロジェクトでトレーニングを受けた KIBT 講師が離職しない。

・産業開発のための政策・戦略が大きく変化しない。

・ケニアの企業を取り巻くビジネス環境が急激に悪化しない。

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.

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・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

技術協力プロジェクト 2019 年 11 月 01 日 現在

主管区分:本部主管案件

地球環境部

案件名 (和) 持続的森林管理のための能力開発プロジェクト

( 英 ) Capacity Development Project for Sustainable Forest Management in the Republic of Kenya

対象国名 ケニア

分野課題 1 自然環境保全-持続的森林管理

分野課題 2分野課題 3分野分類 農林水産-林業-林業・森林保全

プログラム名 気候変動対策プログラム

援助重点課題 環境保全

開発課題 気候変動対策

プロジェクトサイト ケニア国全域であるが、成果 2(カウンティ 政府と民

間セクターを通したパイロット事業)及び成果 4(林木

育種)に関してはケニア国内の 乾燥・半乾燥地(Arid and Semi-arid Lands: ASALs)である。

署名日(実施合意) (*) 2016 年 02 月 10 日

協力期間 (*) 2016 年 06 月 12 日 ~ 2021 年 06 月 11 日

相手国機関名 (*) (和) 環境・森林省、ケニア森林公社、ケニア森林研究所

(英) Ministry of Environment and Forestly, KFS, KEFRI

プロジェクト概要

・背景

(1)当該国における森林管理分野の開発実績(現状)と課題

ケニアは乾燥・半乾燥地が国土の約8割を占めており、森林面積は国土の

約 7%に過ぎないが、国内総エネルギーの約 70%を占める薪炭材の利用や

農地転用により森林資源の荒廃が進んでいる。自然資源に依存して生活す

る住民が多いが、乾燥・半乾燥地が多いケニアにとって、森林面積の増大

による自然資源の確保と維持は国家の重要な開発課題となっている。

また、近年は気候変動の影響を最も受けやすい国の一つと考えられてお

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り、東アフリカ地域においては今後 100 年間で平均気温が 3上昇すると

の試算もあり、干ばつなどの異常気象の頻繁な発生が懸念されている。よ

って、REDD+の推進や持続的森林管理に係る能力開発は、森林面積の増大

のみならず、気候変動緩和策の観点からも重要な開発課題である。

(2)当該国における森林管理分野の開発政策と本事業の位置づけ

ケニア政府は、2010 年に制定された憲法と国家発展計画である

Vision2030(2008 年)において、2030 年までに森林率を 10%とすること

を目標に掲げている。

こうした中、ケニア政府は 2007 年に策定された国家森林政策の改訂作業

を進めており、そのドラフトの中で持続的森林管理に向けて、森林の種類

(Indigenous forests、Plantation forests、Dryland forests、Urban forests and roadside tree planning、Farm forestry)ごとに、政府として取り組む

政策を明記し、特に農地林業(Farm forestry)については、国家目標であ

る被覆率 10%の達成に向けては大規模な植林を Community Land 及び

Private Land で進める必要があるとし、農林地への森林普及・技術サービ

スの促進などを記載している。

これらの背景を踏まえて、これまで森林分野で支援実績のある日本政府に

対して、本分野に関する関係者の能力強化にかかる技術協力の要請があっ

た。

(3)森林管理分野に対する我が国及び JICA の援助方針と実績

外務省の国別援助方針及び JICA の国別分析ペーパーにおいて、重点分野

「環境保全」及び開発課題「気候変動対策」の下に、プログラム「気候変

動対策プログラム」が位置付けられている。

日本政府はこれまで、1986 年に無償資金協力によりケニア森林研究所

(KEFRI: Kenya Forest Research Institute)建設を支援して以来、KEFRIやケニア森林公社(KFS: Kenya Forest Service)に対して、約 30 年にわた

って社会林業の推進や乾燥地耐性育種などの技術協力を行ってきている。

現在は、KEFRI を実施機関として、乾燥地・半乾燥地における郷土樹種の

植林促進のための研究能力及び普及システムの強化を図る「気候変動への

適応のための乾燥地耐性育種プロジェ クト」(2012~2017 年)が実施さ

れている。また環境プログラム無償支援「森林保全計画」(2010~2013 年)

により、KFS において 1990 年、2000 年、2010 年の衛星画像を基に土地

利用地図(森林被覆地図)の作成を支援し、REDD+の国家森林モニタリン

グシステム(NFMS:National Forest Monitoring System)にも資する協力

が行われた。さらに、KEFRI は 1995 年から第三国 研修を実施しており、

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現在その第 5 フェーズである「気候変動適応コース」(2014~2018 年)に

対しても支援している。

(4)他の援助機関の対応

ケニアは 2010 年に UN-REDD のパートナーとなり、2012 年より FAO、

UNDP、UNEP の 3 機関による支援が開始された。この中で特に FAO は、

現在、REDD+準備段階で重要な NFMS 構築および FRL(Forest Reference Level: 森林参照レベル)設定に関し「Kenya NFMS Road Map」のドラフ

ト作成(フィンランド政府が支援する Miti Mingi Maisha Bora(MMMB)プロジェクトの中で 2012 年に作成された「MRV(Measurement ・Reporting・Verification) Road Map」のアップデート)を KFS とともに進

めている。また、日本の環境プログラム無償支援「森林保全計画」におい

て作成された土地利用地図の正確性のアセスメントも実施中である。

フィンランド政府については、同じく MMMB プロジェクトの中で環境・

天然資源・地方開発権限省(MENRRDA: Ministry of Environment, Natural Resource and Regional Development Authorities)の「国家森林プログラ

ム」作成を支援している。さらに国家森林モニタリングシステム(NFMS: National Forest Monitoring System)の要素として重要な全国レベルの森

林インベントリー作成に向けて、2015 年 12 月に終了する「ICFRA: Improved Capacity in Forest Resource Assessment」プロジェクトの後継

となる「National Forest Resources Assessment: NFRA」プロジェクトを、

KFS と共に準備中である。

また、ケニア政府は、「クリントン気候イニシアティブ」を実施パートナ

ーとした「ケニアの土地ベースの排出推定システム(System for Land-based Emissions Estimation in Kenya: SLEEK)」を実施しており、その中

で、鉱業省の資源調査・ リモートセンシング部(Directorate of Resource Survey and Remote Sensing: DRSRS)における 2014 年土地利用地図の

作成が進んでいる。

なお、世界銀行の FCPF 基金による R-PP(REDD+レディネス準備プロポ

ーザル)が 2010 年に承認されたが、その後、先住民族の土地問題につい

て REDD+のセーフガードに抵触する状況とされ、R-PP 実施のためのケ

ニアへの基金(360 万ドル)は、2015 年 11 月時点で拠出されていない。

・上位目標

ケニアおける森林率 10%達成に向けて、持続的な森林管理が促進される。

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・プロジェクト目標

中央およびカウンティ政府の持続的森林管理のための能力が強化される。

・成果

成果 1:中央レベルにおける森林関連政策・戦略の実施・モニタリング能力

が強化される。

成果 2:森林普及活動の実施を通じ、政府部門、民間部門および

NGOs/CBOs の ASALs における植林推進の能力が向上する。

成果 3:KFS における REDD+の準備段階活動及び持続的森林管理のため

の森林モニタリングに関する技術的な能力が強化される。

成果 4:KEFRI における耐乾性林木育種のための能力が改良される。

成果 5:KEFRI における地域協力のための能力がサブサハラアフリカ地

域における気候変動・ 旱魃のレジリエンス強化ための知識及びグッド・プ

ラクティスの共有を通して強化される。

・活動

成果 1 のための活動

1-1. 既存及び計画されている森林関連の政策・戦略をレビューする。

1-2. 既存の森林関連の政策・戦略と現場レベルでのその実際の取組みとの

ギャップを分析する。

1-3. 国家森林プログラムの計画とモニタリングを支援する。

1-4. NFMS を活用したプロジェクトの現場活動に基づく政策提言を作成

する。

成果 2 のための活動

2-1. パイロット事業実施のための実現可能性調査及びアプローチの試験

を行い、パイロット・カウンティを選定する。

2-2. パイロット・カウンティにおける PFMP の策定及び実施を支援する。

2-3. パイロット・カウンティにおいて、PFMP 実施と戦略的に連携する形

で農民による FFS の実施を支援する。

2-4. ASALs における植林推進のため政府機関、民間企業、NGOs/CBOs 間

の連携を促進する。

2-5. ASALs における改良 Melia volkensii の植林を推進する。

成果 3 のための活動

3-1. ケニアの国家森林モニタリングシステム(NFMS)を設計、開発、試

験する。

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3-2. 森林情報プラットフォームを運用する。

3-3. SLEEK(ケニア国土地ベース排出推定システムプログラム)によって

作成された 2014 年版土地被覆/土地利用図の正確性のアセスメントを行

う。

3-4. 4 時点の土地被覆/土地利用図を基に土地被覆/土地利用変化図を作成

する。

3-5. 排出係数の情報を集め、排出係数を設定するとともに 2014 年のカー

ボンマップを作成する。

3-6. 4 時点の土地被覆/土地利用図を基に土地被覆/土地利用変化を分析す

る。

3-7. 関係者と共に FRL を作成・評価する。

3-8. 2020 年の土地被覆/土地利用図を作成するための能力強化を行う。

3-9. MRV(測定・報告・検証)の新技術及び手法取得のため C/P をトレー

ニングし、ケニアにおける MRV の将来的な開発に向けて試験する。

成果 4 のための活動

4-1. Melia volkensii の採種園の質の改良を行う。

4-2. Melia volkensii の第二世代に向けて人工交配を研究する。

4-3. Acacia tortilis の採種林を改良する。

成果 5 のための活動

5-1. 関連国と連携することにより、地域協力の枠組みと TOR をデザイン

する。

5-2. 地域協力会議及びフォーラムを開催する。

5-3. サブサハラアフリカの気候変動及び旱魃のレジリエンス強化に資す

る優良事例情報をケニア及び周辺国から収集する。

5-4. 収集した情報を蓄積し、KEFRI のウェブサイト上にデータベースを

構築する。

5-5. 収集した知見と技術を他のサブサハラアフリカ諸国と共有する。

5-6. 砂漠化防止のための資金へのアクセスを改善する。

・投入

・日本側投入

① 長期専門家:チーフアドバイザー/森林政策、サブチーフアドバイ

ザー/森林普及、地域協力/業務調整

②短期専門家:国家森林モニタリングシステム(NFMS)、森林参照レ

ベル(FRL)、測定・報告・検証(MRV)、林木育種、そのほか必要に応

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じて。

③機材:車両、バイク、パソコン、林木育種や REDD+準備支援に係

る資機材(画像解析ソフト、ストレージ等)

④在外事業強化費

・相手国側投入

①カウンターパート:プロジェクト・ダイレクター、プロジェクト・

マネージャー、コンポーネント(各成果の)マネージャー 、各コン

ポーネントのカウンターパート及びアドミニストレーション・スタッ

② 土地及び設備:ナイロビ(MOEF、KFS、KEFRI)における専門家

用執務室の提供、林木の種子・苗木に係る活動のための土地及び育

苗施設

③ローカルコストの負担(供与機材の維持管理経費、C/P の国内旅費

等)

・外部条件

成果達成のための外部条件

- 現在進行中の取り組み(国家森林プログラムの策定、ケニア NFMSロードマップの改訂、国レベルでの森林インベントリー作成など)

がプロジェクトと協力する。

- DRSRS 及び開発のための資源マッピング地域センター(RCMRD: Regional Center for Mapping of Resources for Development)等の協

力機関よりデータが共有される。

- プロジェクトの効率的な実施に向けてパイロット・カウンティ政

府の選定が適時に完了する。

プロジェクト目標達成のための外部条件

- 中央政府、カウンティ政府、民間セクター、NGO との連携が効果

的に進行する。

- プロジェクト成果の達成に十分な農家の理解と協力が得られる。

- 現在審議中の関連政策(国家森林政策、森林保全管理法案、気候変

動枠組み政策など)が最終化される。

上位目標達成のための外部条件

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- 森林および気候変動政策について政府の体制・組織に大きな変化

が生じない。

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA・環境プログラム無償「森林保全計画」

・技術協力プロジェクト「乾燥地耐性樹種育種プロジェクト」

・第 3 国研修「社会林業を通じた気候変動への適応」

2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.クリントン気候変動イニシアチブ:Sleek ProgramFAO:MRV の構築

UN-REDD プログラム:短期専門家の派遣

・他ドナーの援助活動

- UN-REDD/FAO 「Kenya NFMS Road Map」- フィンランド政府 「National Forest Resources Assessment: NFRA」- クリントン気候イニシアティブ 「SLEEK プログラム」

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

草の根技協(支援型) 2018 年 09 月 22 日 現在

主管区分:国内機関主管案件

九州センター

案件名 (和) ケニア国における廃棄物管理分野に関する人材育

成及び改善プロジェクト

(英) Project for capacity development and improvement of solid waste management by Fukuoka Method in Kenya

対象国名 ケニア

分野課題 1 環境管理-廃棄物管理

分野課題 2分野課題 3分野分類 公共・公益事業-公益事業-都市衛生

プログラム名 プログラム構成外

援助重点課題 -開発課題 -プロジェクトサイト ケニア キアンブ県

署名日(実施合意) (*) 2018 年 08 月 29 日

協力期間 (*) 2018 年 09 月 26 日 ~ 2019 年 12 月 27 日

相手国機関名 (*) (和) (英)

プロジェクト概要

・背景

キアンブ県は、首都ナイロビのベットタウンとして発展しているが、観光

地化され、廃棄物量はナイロビに続き2番目の多さである。廃棄物の収集

運搬作業は、利用している道具などの老朽化や、作業者のスキルが低いこ

とから、作業が長時間におよび、作業員のモチベーションは停滞したまま

である。また、資金が不十分であることや廃棄物管理能力が低いため、粗

野な廃棄物管理の影響から、結果として未収集の地域が残る状態にある。

そのため、公衆衛生上のリスクを抱えている状況にある。このまま、放置

した場合は、県の都市部の公衆衛生状態はますます悪化すると見込まれる

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が、人々は、廃棄物管理は行政の責任だと考えており、NIMBY などネガテ

ィブな意識が蔓延して、廃棄物管理部門における改善の見通しは全くない

状況である。

このような状況を改善するため、県は衛生埋立場(国連ハビタットが行っ

ておりアフリカ初の「福岡方式」の採用)を建設し、2015 年に完成して埋

立が開始されているが、本プロジェクトによって、県の実務担当者の廃棄

物管理能力が向上するとともに、衛生埋立場の適切な管理が実現し、埋立

場が都市部からより近いところに立地できるようになれば、運搬の距離が

短縮され労働時間が短縮され、収集運搬効率が改善され、都心部の公衆衛

生が改善されると考えられる

・上位目標

キアンブ県の福岡方式の処分場やごみの早朝収集・運搬システムがモデル

となり、ケニアの他の地域の廃棄物管理分野が改善される。

・プロジェクト目標

人材能力向上されたカウンターパートの担当実務者により衛生埋立場が

適切に運営され、収集運搬業務が改善され始めている。

・成果

1.収集運搬の効率化

2.埋立作業及びモニタリングの改善

3.廃棄物管理分野の専門家を目指す人材の育成

・活動

1-1 収集運搬の効率化(早朝収集)技術指導

①キアンブ県の現状のごみ収集・運搬方法について現況調査

②キアンブ県の現状の早朝道路清掃作業について現況調査

③タイム&モーションスタディの実施

④上記を踏まえてごみ収集・運搬作業改善方法について指導(講義)

⑤上記の中で、ごみの早朝収集・運搬について提案

⑥ごみの早朝収集・運搬方法導入について検討・協議

⑦ごみの早朝収集・運搬について試行

⑧事業期間内でごみ収集・運搬方法の改善状況の確認(2、3回目)

2-1 埋立場での簡易コンポスト技術指導

①埋立場に設置済みの簡易コンポストヤードについて現況調査

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②簡易コンポストヤードの運用状況について課題抽出・改善点検討

③上記を踏まえて簡易コンポスト手法について指導(講義)

④簡易コンポストの実施に必要な分析方法について実習

⑤今後の簡易コンポストヤード運用方法について指導(協議)

⑥事業期間内で簡易コンポストヤード運用状況の確認(3回目)

2-2 モニタリング手法技術指導

①埋立場に関する簡易モニタリング手法について実習

②埋立場の環境モニタリング計画について検討・指導

2-3 埋立場管理技術指導

①福岡方式埋立場の現状調査

②既存埋立場の運用管理状況の課題抽出、改善点検討

③上記を踏まえて、埋立場管理の改善方法について指導(協議)

1-2 及び 2-4 現地指導(1-1⑥、⑦、⑧、2-1⑤、⑥、2-3③)、セミナー開

催(1-1④、2-1③)

3-1 本邦研修

3-2 帰国 JICA 研修員との連携(情報提供、セミナー参加)

期待される事業の成果

・キアンブ県の廃棄物管理担当者の能力向上が達成される

・福岡方式を導入した埋立場の管理が適切に運営される

・ごみの収集運搬業務が改善され始める

今後の持続的、継続的な業務の改善への方向性の確認方法

・第1回及び第2回派遣で主な指導を行い、第3回でそれまでの改善状況

を評価する。

・本事業後も実施団体メンバーが福岡大学と JKUAT の学術交流協定に基

づき現地訪問に同行する際に、フォローアップを行う。

・帰国 JICA 研修員と SNS 等を活用して連携し、フォローアップする。

・投入

・日本側投入

1.及び2.日本から専門家の派遣(福岡方式、収集・運搬、コンポ

スト、環境保全)延べ 13 名

1回目 2018 年 10-11 月(約1週間) セミナー、OST 等 30 名

2回目 2019 年 2-3 月(約1週間) セミナー、OST 等 30 名

3回目 2019 年 6-7 月(約1週間) セミナー、OST 等 30 名

3.国内研修

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日本(福岡市)での JICA 研修(福岡方式)に参加

・相手国側投入

1.セミナー開催:会場費:会場はキアンブ県の施設利用

送迎費:キアンブ県が負担

会議費:キアンブ県が負担

2.本邦研修:2名選出、派遣手続き日本側で支援

・外部条件

・国内情勢が不安定にならない

・選挙による首長の交代に伴い担当者が異動しない

実施体制

・現地実施体制

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表(専門家)

派遣国名 ケニア

協力対象国名 ケニア

指導科目 北部回廊農業開発アドバイザー

指導科目(英) Northern Corridor Agricultural Promotion Advisor

配属機関 農業・畜産・水産・灌漑省

配属機関(英)Ministry of Agriculture, Livestock, Fisheries and

Irrigation

任地 ※全角カナ ナイロビ

派遣予定 M/M 24 MM

要請背景

ケニア共和国(以下、ケニアという)における農業セ

クターは GDP の 32.4%、輸出額の 65%、総雇用の 40%(農

村人口の 70%)を占める主要産業である。そのため、ケニ

ア政府は、農業を経済発展の柱に据える長期開発計画

(Vision 2030)の下、農業セクター構造転換及び成長戦

略(2019 年-2029 年)(以下、ASTGS という)を策定し、

農業を成長産業として位置づけ、自給的農業から商業的農

業への構造転換を通じた農業付加価値化、産業多角化、雇

用創出を目指している。そのためには、農業投入財から消

費までの農業バリューチェーンの全段階における民間セ

クター(アグリビジネス)の活性化及び官民連携を強調し

ており、第1の柱では農業関連中小企業による小農支援、

第2の柱では官民連携による農業・食品加工団地の設立及

び運営が掲げられている。更に、全ての柱の実現要因・条

件として、民間企業との連携及び活用が掲げられており、

そのための官民ともにアグリビジネス能力強化の必要性

も挙げられている。

係る状況の下、JICA は「市場に対応した農業開発」を

対ケニア協力プログラムに定め、市場とのリンケージ強化

や意識改革を通じた生産者(小農)を対象として市場ニー

ズ対応型農業の推進に加え、加工・流通段階等を含む民間

ビジネス関係者の有機的な連携及び能力強化等を通じ農

業全体を俯瞰するバリューチェーン強化を図ることとし

た。また、開発計画調査型技術協力「アフリカ地域・北部

回廊物流網整備マスタープラン策定支援プロジェクト」

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(2014-2017)により策定したマスタープランを踏まえ、

経済基盤強化を通じたビジネス環境を整備し、民間投資促

進と開発効果の広い波及を目指している。更には、ケニア

はアフリカビジネスを展望する日本企業にとって有望な

進出候補地となっており、日本企業との有機的な連携によ

るケニア農業ビジネス振興への貢献が期待される。

一方で、物流インフラの脆弱性、一部の既存企業による

寡占状態、未発達な信用取引に起因する代金回収リスクや

銀行融資の貸し渋り、インフォーマルセクター含む適切な

市場把握の難しさ、高度なマネジメント人材不足等、民間

ビジネスが事業を行ううえのハードルも多い。特に、国土

の8割が乾燥・半乾燥地であるケニアの農業セクターにお

いては、干ばつ等昨今の気候変動による天候不順の影響を

受けやすいうえに、小規模な農地、農業技術や加工技術の

不足、収穫後のロス、多様な流通販売チャネル及び購買層

(近代的なスーパーマーケットから伝統的な露天商まで)

等、農業特有の課題もある。

このような背景を踏まえ、本アドバイザーは、ケニア政

府による農業ビジネスに係る政策策定及び事業実施促進

(含む民間投資促進)の支援を通じて、ケニア政府(中央・

地方政府)と民間農業関連ビジネスとの連携強化を図り、

北部回廊における農産品流通の喚起およびケニア農業の

振興に貢献するものである。

派遣の目的

北部回廊開発における農業振興政策の策定・推進、事

業実施が促進される。

北部回廊開発に資する農業セクターへの民間投資が

促進される。

期待される成果

1. 農業政策立案、事業実施能力が強化される。

2. 農業ビジネス投資促進を促す情報が提供される。

3. 農業ビジネス環境が改善される。

4. 農業ビジネス投資に対する関心が喚起される。

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活動内容

1-1. 既存の農業政策の立案及び実施状況をレビューす

る。

1-2. (1-1 に関連して)アグリビジネスの活性化、民間

投資促進など、民間ビジネス面からの課題解決アプ

ローチを検討する。

1-3. 1-1および1-2の結果を踏まえ、必要に応じて助言、

提言を行う。

1-4. 関連する JICA 事業の円滑な実施を側面支援する。

2-1. 農業セクター民間投資に必要なデータの整備状況、

公開状況を確認する。

2-2. 農業セクター民間投資を促進するための必要なデ

ータ整備、公開について助言する。

3-1. 農業セクター民間投資にかかわる関係機関、制度面

の実態、課題を把握する。

3-2. 各ドナーや関連ビジネス支援機関におけるアグリ

ビジネスや民間企業活動の実態、ケニアの農業民間

投資における現状を調査する。

3-3. これらから導かれる改善策について、関係機関に対

し助言等の働きかけを行う。

4-1. 本邦企業に対し、課題の発信、投資機会の情報を発

信する。

4-2. ケニア農業分野における投資ツアー、セミナーを開

催する。

4-3. 民間セクターに関する各種情報について、JICA か

ら別途派遣される他省庁配属のアドバイザーと共

有し、効果的な連携及び活動を行う。

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案件概要表

個別案件(専門家) 2020 年 08 月 11 日 現在

主管区分:在外事務所主管案件

ケニア事務所

案件名 (和) 農業振興アドバイザー

(英) Agricultural Promotion Advisor対象国名 ケニア

分野課題 1 農業開発-農業政策

分野課題 2分野課題 3分野分類 農林水産-農業-農業一般

プログラム名 小規模農民収入向上プログラム

援助重点課題 農業開発

開発課題 市場に対応した農業開発

プロジェクトサイト ケニア全土

署名日(実施合意) (*)協力期間 (*) 2017 年 09 月 14 日 ~ 2019 年 09 月 13 日

相手国機関名 (*) (和) ケニア農業・畜産・水産省

(英) Ministry of Agriculture, Livestock and Fisheries

プロジェクト概要

・背景

ケニアの農業分野では、稲作や園芸作物栽培を中心に、市場志向型農業の

振興を目指した協力を進めているが、引き続き、これらに関連した中央政

府における政策推進への支援、事業の実施促進支援などが必要である。特

に地方分権化により、農業普及など、これまでの協力の成果の定着・拡大

に関わる権限、実務が地方政府(カウンティー)に移管される方向にある。

カウンティーが求められる責任・役割を果たせるよう、中央政府が如何に

政策策定、実施に係るサポートを行うかが、重要な課題となっている。

JICA の農業分野におけるこれまでの協力成果を定着・拡大するために、

本アドバイザーの派遣により、中央政府(農業省)に対する助言を通じた

能力強化が行われることが期待されている。

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・上位目標

農業振興を通して、小規模農民の収益性が向上する。

・プロジェクト目標

・農業振興にかかる政策策定・推進、事業の実施促進が為される。

・農業普及に関する、中央政府によるカウンティーへの支援・サポートの

仕組みづくりや政策策定が為される。

・JICA のこれまでの技術協力の成果(SHEP アプローチ、ジェンダー主

流化パッケージ等)の普及・推進が為される。

・成果

1.農業振興における農業省の計画立案、実施監理、評価の各能力が強化

される。

2.農業振興における課題の解決策が提示される。

3.農業省の農業政策や振興の方向性、他ドナーの支援の動向が整理され

る。

4.JICA の既往及び現行案件の知見が整理される。

5.稲作振興のための Rice Promotion Programme (RiPP)の能力が向上す

る。

・活動

1.農業振興に関する活動の計画立案、実施監理、評価の各段階において、

農業省へ助言を行う。

2.農業振興を妨げる課題について、関連する情報収集とその分析を行う。

3-1.農業省、ドナー主催の会合へ参加し、情報収集と分析を行う。

3-2.農業省の農業政策や振興の方向性について、情報収集と分析を行

う。

4-1.JICA の既往の農業・農村開発案件の知見を整理する。

4-2.JICA の現行の農業・農村開発案件で残ることが想定される知見

を整理する。

5.稲作振興に関する活動の計画立案、実施監理、評価の各段階において、

RiPP へ助言を行う。

・投入

・日本側投入

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長期専門家

・相手国側投入

a. カウンターパートの配置

b 執務場所、カウンターパートの活動経費の確保

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

農業・畜産・水産省

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動

わが国は、ケニアの農業セクターにおいて、「小規模農民収入向上プロ

グラム」のもと、主に稲作と園芸作物に対して支援を行っている。

稲作においては、円借款「ムエア灌漑開発事業」(2010 年~2021 年)

において、新規ダムの建設、水路の新設/改修等が計画されている。また、

技術協力プロジェクト「稲作を中心とした市場志向農業振興プロジェクト

(RiceMAPP)」において、稲基本栽培技術や節水栽培技術を農家に移転

し、現在、これらの成果を西部灌漑地区へ展開すべく、「灌漑地区におけ

るコメ生産強化のための能力開発プロジェクト」を実施中である。2) 他ド

ナー等の援助活動

・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

1.案件名(国名)

国 名: ケニア国

案件名: 小規模農民組織強化・アグリビジネス振興プロジェクト

Project for Smallholder Empowerment and Agribusiness Promotion (SHEP Biz)2.事業の背景と必要性

(1)当該国における農業セクターの開発の現状・課題および本事業の位置付け

ケニア共和国(以下、ケニアという)政府は、農業開発及び食糧安全保障を国家長期開

発計画(Kenya Vision 2030)及び第三期中期開発計画(2018 年~2022 年)における重点

経済政策の一つに位置付けている。ケニアの農業セクターは、GDPの33%、輸出額の62%、

農業従事者数、利用農地面積、農業生産高の約 2/3 を小規模農家1が占める主要産業であ

る2。さらに地方人口の 70%が農業に従事していることから、同国の更なる経済発展のた

めには地方部における農業セクターの成長が不可欠である。

2019 年に策定された農業セクター構造転換及び成長戦略(2019 年~2029 年)

(Agriculture Sector Transformation and Growth Strategy :ASTGS)が掲げる 3 つの柱

のうち、第 1 の柱として小規模農家の収入向上、第 2 として農業生産量増と高付加価値

化に取り組むとしている3。これらの実現のために、成長性の高い品目として園芸作物を

含む 13 の優先作物が選定され、中小農業関連企業(アグリビジネス企業)による小農支

援、農業・食品加工団地の設立及び運営が構想されているが、原材料である農産物の品質

と供給量の確保、そのための幅広い関係者間の連携が鍵とされている。本事業は、農業セ

クター振興の担い手(生産者、女性や若者を含む農業ビジネス人材、それらを支援する中

央・地方政府行政官等)の育成・能力強化を支援することから、上記政策に合致する。

(2)当該国における農業セクターに対する我が国および JICA の協力方針等と本事業の位

置付け

我が国は対ケニア国別援助方針(2012 年 4 月)において、「持続的な経済・社会の発展

の促進」の基本方針(大目標)のもと、農業開発を重点分野の一つに定め、園芸作物など

の市場ニーズ対応型農業の開発などを支援することとしている。協力プログラム「小規模

農民収入向上」では、小規模農家を対象とした市場とのリンケージ強化や意識改革を通じ

た市場ニーズ対応型農業の推進に加え、加工・流通分野の関係者の能力強化、関連インフ

ラ整備を通じてバリューチェーンを強化するとし、2006 年に「小規模園芸農民組織強化計

画プロジェクト(SHEP)」(2006 年~2009 年)を開始し、農業・畜産・水産省(MoALF4)

と農業食料公社園芸作物局(AFA - HCD5)と共に SHEP(Smallholder Horticulture 1 後出の ASTGS において、保有、耕作あるいは経営する農地面積が 0.5~5ha は小規模農家、5~100ha は中規模農家、

100ha 以上は大規模農家と分類される。2 ASTGS, 20193 第 3 の柱は家庭の食料レジリエンス向上4 Ministry of Agriculture, Livestock and Fisheries の略。事業実施当時は農業・畜産・水産・灌漑省(MOALFI)。5 Agriculture and Food Authority - Horticultural Crops Directorate の略。事業実施当時は園芸作物公社(Horticultural

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Empowerment and Promotion)アプローチ6を確立した。続く「小規模園芸農民組織強化・

振興ユニットプロジェクト(SHEP UP)」(2010 年~2015 年)では全国展開を図り、地

方分権化に伴い農業普及を含む行政サービスの一義的な提供主体となった地方政府(カウ

ンティ政府7)による SHEP アプローチの活用及び定着を図る「地方分権下における小規

模園芸農民組織強化・振興プロジェクト(SHEP PLUS)」(2015 年 2 月~2020 年 3 月)

の実施に至っている。

また、開発計画策定型技術協力「アフリカ地域・北部回廊物流網整備マスタープラン策

定支援プロジェクト」(2014 年~2017 年)により、モンバサ港からウガンダひいてはル

ワンダ、ブルンジ等へ続く回廊の物流と同回廊沿いの経済発展に寄与するマスタープラン

を策定した。

本事業は、小規模農家への支援のみならず、加工・流通業者等中小アグリビジネス企業

に対する支援策の実証及び検証をすることで、農業バリューチェーン全体の強化を図るも

のであり、我が国及び JICA の協力方針と合致する。更に、アグリビジネス支援能力の向

上を通じて地方部の生計向上に資するものであり、SDGs ゴール 1「貧困削減」、ゴール 2「飢餓撲滅」、ゴール 5「ジェンダー平等」、ゴール 10「不平等是正」に貢献するものであ

る。

(3)他の援助機関の対応

スウェーデン政府は、47 全てのカウンティを対象とする Agricultural Sector Development Support Programme (ASDSP)を 2017 年から 2022 年まで実施している。小

規模農家の収入向上と食糧安全保障、栄養改善を目指し、カウンティ毎に作物、畜産、漁

業のサブセクターの中から優先品目を合計 3 品目選定し、生産者組織や加工業者等のバ

リューチェーン関連組織の能力強化を行っている。先行案件において SHEP アプローチ

を通じて能力強化された小規模農家グループが当該プロジェクトの裨益対象に含まれる。

世界銀行は、21カウンティを対象とするNational Agriculture and Rural Inclusive Growth Project (NARIGP)を 2016 年から 2021 年まで実施している。生産者組織の強化とバリ

ューチェーン開発等を通じた農業生産性と収益性の向上を目指すもので、カウンティ毎に

作物、畜産、漁業のサブセクターの中から優先品目を合計 4 品目選定し、農協設立、農協

による優先作物事業提案作成、同提案に対する補助金及び民間企業による栽培技術や販路

開拓等のコンサルティングサービスの提供を行っている。

国際農業開発基金(IFAD)は、6 カウンティを対象とする Upper Tana Natural Resource Management Project (UTaNRMP)を 2012 年から 2020 年まで実施している。自然資源

の持続的管理と農村貧困世帯の持続的な食糧生産・収入向上を通じた貧困削減を目的とし

ている。農業普及には関連しているが、マーケティング関連の活動は実施されていない。

Crops Development Authority: HCDA)。6 農家の意識を「作ってから売る」から「売るために作る」へと変革し、農家自ら実践するための支援の考え方や手

法。同アプローチの手法等は HP を参照。www.jica.go.jp/activities/issues/agricul/approach/shep/about/index.html7 County はケニアでは中央政府に次ぐ行政単位であるが日本語には正しい語感を伴う単語がないことからそのまま「カ

ウンティ」と表記する。

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3.事業概要

(1)事業目的

本事業は、ケニアの地方部において SHEP アプローチを通じた小規模農家の収入向上

とアグリビジネス企業活動支援を行うことにより、アグリビジネス支援能力の向上を図り、

もって、地方部の生計向上に寄与するものである。

(2)プロジェクトサイト/対象地域名

ナイロビ(プロジェクト事務所)及び北部回廊沿いのカウンティ8

(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)

直接受益者:農業・畜産・水産省の本プロジェクト調整ユニット 11 名、農業関連教育機関

職員 92 名、農家 7,500 名、カウンティ政府職員 560 名、アグリビジネス企業

間接受益者:農業関連教育機関生徒 400 名、カウンティ政府職員 741 名、園芸振興官民

協議会9参加 43 組織

(4)総事業費(日本側) 8 億円

(5)事業実施期間 2020 年 6 月~2025 年 5 月を予定(計 60 ヵ月)

(6)事業実施体制

MoALF 作物庁作物資源・アグリビジネス・市場開発局

プロジェクト対象カウンティ政府

(7)投入(インプット)

1)日本側

① 専門家派遣(合計約 280MM):チーフアドバイザー/SHEP アプローチ、園芸生産

/普及、業務調整、バリューチェーン分析、農産物流通/農産物加工、組織/制度、

その他短期専門家(必要に応じて検討)

② 研修員受け入れ(必要に応じて検討):本邦研修・第三国研修

③ 機材供与:本事業活動に必要な資機材の供与(車輛、事務機器)

2)ケニア国側

① カウンターパートの配置:(6)に記載の実施機関がプロジェクト担当者を配置。

② 案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供

(8)他事業、他援助機関との連携・役割分担

8 具体的な対象カウンティはプロジェクト開始後に正式に確定するが成果 2 においては 20 程度を想定。9 国家園芸セクター転換技術作業部会(National Horticulture Transformation Technical Working Group)

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1)我が国の援助活動

本プロジェクトの実施機関である MoALF に派遣予定の「北部回廊農業開発アドバイ

ザー(2020 年 3 月~2022 年 2 月予定)」を通じて本プロジェクト成果の関連政策への

反映、他省・援助機関を含むステークホルダーとの連携を図る。

2)他援助機関等の援助活動

ASDSP 及び NARIGP にて作物別バリューチェーン関係者ネットワーク(プラットフ

ォーム)が形成されている。本事業におけるアグリビジネス企業活動支援では特定の作

物を選定するのではなく、一定の作物群において共通課題に対する支援策を講じる事を

想定しているが、必要に応じてこれらの既存の枠組みを利用しながら本事業活動を進め

ることで、より現場の実情に沿った支援を効率的に行う。

(9)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境社会配慮

① カテゴリ分類 C② カテゴリ分類の根拠:本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010

年 4 月公布)上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため、カ

テゴリ C に該当する。

2)横断的事項:特になし

3)ジェンダー分類:【ジェンダー案件】GI(S)(ジェンダー活動統合案件)

<活動内容/分類理由>ケニアでは女性は 75%が農業従事者10であり、農業において

女性は大きな役割を担っている。本事業を通じて農家経営における男女共同参画を促進

し、ジェンダーの視点に立った取組を行う計画である。

(10)その他特記事項

2019 年 8 月の第 7 回アフリカ開発会議(TICAD 7)において SHEP アプローチの活

用を通じたより多くの小規模農家の生計向上を目指すことが合意されている11。更に、

同 TICAD7 官民ビジネス対話では、民間企業のアフリカ進出促進を目的とするアフリ

カ・ビジネス協議会(農業ワーキンググループ)が取り纏めた「アフリカ農業イノベー

ションプラットフォーム構想」が表明された。本事業を通じてこれらの実現を側面支援

する。

4.協力の枠組み

(1)協力概要

1)上位目標と指標

地方部の生計が向上する。

<指標>

10 ASTGS, 201911 「SHEP を通じた小規模農家 100 万人のより良い暮らしを目指す共同宣言」

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① プロジェクト終了 3 年後において、園芸所得により 50%の小規模農家の生計が向

上する。12

② アグリビジネスが活性化する。13

2)プロジェクト目標と指標

地方部のアグリビジネス支援の能力が向上する。

① XX%の農業関連教育機関が SHEP アプローチをカリキュラムに導入する。

② 対象カウンティの 80%が SHEP アプローチ実施のための予算を確保する。

③ パイロット活動を基にした支援策が国家レベルで承認される。

3)成果

成果 1:公的及び民間の農業関連教育機関において SHEP アプローチにかかる職員の

能力強化が行われ、SHEP アプローチが体系的かつ持続的に導入される。

成果 2:モデル農家グループ14の収入が向上し、SHEP アプローチが対象カウンティの

農業普及において主流化15される。

成果 3:農家及び中小アグリビジネス企業のバリューチェーン上の課題が特定され、そ

の支援策が優先度付けされる。

成果 4:課題を克服するための支援策が実施され、検証される。

<成果 1 指標>

1. XX 農業関連教育機関に SHEP アプローチが導入される。

2. カウンティの農業普及サービス以外でのSHEP アプローチを使った普及活動が実施

される。

成果1の活動:

1-1. SHEP アプローチを導入する農業関連教育機関を特定する。

1-2. 対象機関と協議のうえ SHEP アプローチの導入方法と実施体制を確認する。

1-3. SHEP アプローチのカリキュラムならびに研修教材を作成する。

1-4. 対象機関において生徒/研修生に対し講義/研修を行う。

1-5. 活動 1-4 を検証し、内容を改善する。

<成果 2 の指標>

1. 対象カウンティの XX%がカウンティの計画文書に SHEP アプローチの活動計画を

盛り込む。

2. プロジェクト終了時までに、各対象カウンティが最低 10 農家グループに対しカウ

12 対象農家へのインタビュー等を通じ、所得向上による生活水準の変化(教育や医療へのアクセス改善等)を測る。13「活性化」を測る具体的な基準は、プロジェクト開始後1年以内に成果 3 を踏まえ設定する。14各カウンティにおける第 1 年目活動の対象農家グループ(想定数:10 グループ)15カウンティ独自の人的・資金的リソースによる SHEP アプローチの展開促進を通じ、カウンティの農業普及における

SHEP アプローチのコンセプトと手法の定着を目指す。

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ンティ独自のリソースを用いて SHEP アプローチの研修を行う。

3. プロジェクト終了時までに、モデル農家グループの実質園芸所得が XX%向上する

4. プロジェクト終了時までに、モデル農家グループの、推奨される園芸生産技術利用

率が XX%増加する。

成果 2 の活動:

2-1. SHEP アプローチにかかる啓発を行う。

2-2. 選定基準に基づき、対象カウンティを選定する。

2-3.各対象カウンティで、10 モデル農家グループに対し、SHEP アプローチの一連の活

動を行う。

2-4. 対象カウンティによる SHEP アプローチの活動の実施を支援する。

2-5. 各対象カウンティでデータ調査と SHEP アプローチの活動のフォローアップを行う。

2-6. データ調査の結果が対象カウンティに共有され、カウンティでの SHEP アプローチ

の更なる展開に活用される。

<成果 3 の指標>

1. 課題が特定される。

2. 課題を改善するためのパイロットプロジェクトが形成される。

成果 3 の活動:

3-1. バリューチェーンとアグリビジネスにかかる課題を特定するための調査を行う。

3-2. 調査結果の分析を通じ共通の課題を特定し整理する。

3-3. 課題解決のためのパイロットプロジェクト実施計画を策定する。

3-4. パイロットプロジェクト実施対象カウンティを選定する。

<成果 4 の指標>

1. パイロットプロジェクト実施の成果、課題、教訓が整理される。

2. 支援計画が検証され取り纏められる。

成果 4 の活動:

4-1 対象カウンティでパイロットプロジェクトを実施する。

4-2 活動 4-1 を検証し成果、課題、教訓を取り纏める。

5.前提条件・外部条件

(1)前提条件

ケニア国政府がプロジェクトへの予算配置を継続する。

(2)外部条件(リスクコントロール)

(プロジェクト目標達成のための外部条件)

プロジェクト実施を阻害する政治的・マクロ経済的環境の発生がない。

(成果達成のための外部条件)

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安定した政治的・マクロ経済的環境の継続。

園芸生産に不向きな天候の発生がない。

6.過去の類似案件の教訓と本事業への適用

SHEP PLUS プロジェクトの教訓では、地方総選挙の結果一部のカウンティの政策決定

レベルの交代が生じ、カウンティの農業普及方針の転換、普及予算の配分の低下等、プロ

ジェクト実施の基盤に多大な影響が生じた(終了時評価:2019 年 9 月)。次回地方総選挙

が 2022 年に予定されているが、地方政府の方針変更がプロジェクト活動に負の影響をも

たらさないよう、プロジェクト活動地域を決定する際には予めカウンティ政府のプロジェ

クトに対するコミットメントを確認し、維持する対策16を講じるものとする。

アグリビジネス支援に関しては、行政の役割は政策策定、制度・基準作り、農家や生産

者組合への技術支援提供など多岐にわたること、農業省以外の組織の関与を必要とする場

合も多いことから17、MOALF 既存の官民協議会(含むドナー)を活用し、関連機関との

役割分担・連携を追求する。

7.評価結果

本事業は、当国の開発課題・開発政策ならびに我が国及び JICA の協力方針・分析に合致

し、アグリビジネス支援能力向上により地方部の生計向上に資するものであり、SDGs ゴー

ル 1「貧困削減」、ゴール 2「飢餓撲滅」、ゴール 5「ジェンダー平等」、ゴール 10「不平等是

正」に貢献すると考えられることから、実施の意義は高い。

8.今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

4.(1)のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始6か月以内 ベースライン調査

事業終了6か月前 終了時評価

事業終了3年度 事後評価

以 上

16 然るべきレベルで書面合意を交わす等17 JICA, 2018 技術協力 開発課題別の指標例及び代表的教訓レファレンス(農業・農村開発:農産品加工業の振興)

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案件概要表

技術協力プロジェクト-科学技術 2019 年 03 月 15 日 現在

主管区分:本部主管案件

農村開発部

案件名 (和) 生物遺伝資源と分子遺伝学を利用した養蚕研究基

盤構築

(英) The Project for development of sericulture research by applying biological resources and molecular genetics

対象国名 ケニア

分野課題 1 農業開発-農業サービス(普及,研究,金融,農民組織等)分野課題 2分野課題 3分野分類 農林水産-農業-養蚕

プログラム名 その他

援助重点課題 農業開発

開発課題 市場に対応した農業開発

プロジェクトサイト 主にケニア中央部、西部、南部の(全 47 郡の内の)11郡(ムランガ、キアンブ、ライキピア、メル―、カカメ

ガ、ホマベイ、ナクル、ウアシンギシュ、キツイ、キリ

フィ、マチャコス)

署名日(実施合意) (*) 2016 年 03 月 14 日

協力期間 (*) 2016 年 10 月 2 日 ~ 2021 年 10 月 1 日

相手国機関名 (*) (和) ケニア農業・畜産研究機構

( 英 ) Kenya Agricultural and Livestock Research Organization

プロジェクト概要

・背景

ケニアにおける養蚕業は、桑木生育などの諸活動は実施されているもの

の、そのレベルは低く、国内には約 600 農家が桑の葉茶や飼料生産用に従

事するのみで、カイコを有する農家はその 10%に満たない。また1養蚕農

家当たりの所有面積は 1/4~1/2 エーカー(1 千~2 千 m2)、総面積でも 225エーカー(9 万 m2)と小規模である。

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ケニアは GDP の 25%前後を農(林水産)業が占める農業国であるもの

の、同国の養蚕業の拠点となる国家養蚕場(NSS)は、予算不足やそれに

伴う研究人材不足、機材・設備の老朽化等の課題を有し、研究基盤が脆弱

である。

係る状況にあるものの、ケニア政府は農産物の付加価値化を重視し、本案

件による桑とカイコの品種開発は、絹製品の付加価値化に加え、養蚕業の

産業化により、地方部における女性や若者の雇用創出というケニア政府の

政策にも合致するとしている。また、中長期国家戦略であるケニア・ビジ

ョン 2030 では織物産業を重要セクターに位置付けており、養蚕業の産業

化はこれに資するものと捉えている。

・上位目標

最先端の分子遺伝学的手法を利用し、ケニアの環境に適応し、高い生産性

を有する桑やカイコの品種育成を行うことにより、持続性のある養蚕産業

が確立され、養蚕農家の収入が向上するとともに、新たな雇用が創出され、

外貨獲得や貧困削減に資する。

・プロジェクト目標

① 分子遺伝学に基づき、ケニアの環境に適応した、生産力が高く、耐病

性のあるクワやカイコの品種を育成するカイコは一個当たり2グラムか

つ繊維長 1,400m の繭を生産できる品種を、クワは、班点病やさび(菌)

病に耐性のある、年間・ヘクタール当たり 30 トン以上(のクワの葉を)

生産できる品種を育成する。

② 最先端の分子遺伝学を駆使し、ケニア(アフリカ)に適したカイコと

クワの育成方法を確立する。

③ 分子レベルで野蚕

・成果

① ケニア国内における種々の系統のクワのジーン・バンク・システム(遺

伝資源のデータベース化及び特性評価)が構築される。これにより、生産

能力や耐病性、環境適応性などが管理される。

② 高い生産能力、耐病性、環境適応性等、特定又はそれら複数の特性を

有した新品種・新系統のクワが育成される。

③ 高い繭糸生産能力、耐病性、環境適応性等を有した新系統の蚕が育成

される。

④ 分子マーカーを用いた選抜や交配により新品種のクワ、新系統の蚕の

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育成方法が確立される。

⑤ ケニアに固有の野蚕の遺伝資源や特定用途のシルクに対応する遺伝子

を明らかにする。

⑥ 分子遺伝学の技術を用いた養蚕に関する科学技術、特に、クワの品種

育成やカイコの育成技術が発展する。

⑦ 養蚕研究センターが、養蚕分野の技術開発や科学研究のハブとして機

能する。

・活動

1. ジーン・バンク・システム構築

(1) クワ遺伝資源の調査 (2)遺伝資源の特性(形態・組織)評価 (3)高い生

産能力を有するクワについて、異なる環境で生育させた場合の適応性評価

(4)耐病性、耐乾燥性を有するクワについて、異なる環境で生育させた場合

の適応性評価

2. クワの品種育成

(1)ケニアにおける高い生産能力や耐病性を有するクワの品種の交配、選

抜、評価 (2)ケニアにおけるカイコについて、耐病特性を有する種を分子

マーカーを用いて選抜

3. カイコの品種育成

(1) 耐病性、高い生産能力、ケニア国内の異なる環境条件下での適応性等

の特性を有する品種の繭糸を用いて、飼育実験及び繭を評価 (2)分子マー

カーを用いた選抜により特定の特性を示す遺伝子マーカーを作出

4.品種育成プログラム

(1) 各過程を正確に記録する (2)その結果に基づき、各過程を評価する

(3)更なる品種育成のため、効果的な過程を構築する。

5.野蚕

(1)ケニアにおける野蚕の調査 (2)飼育実験や繭の評価による野生蛾及び

その繭糸の特性把握 (3)野蚕の物理化学的分析

(4)野蚕の特性を表わす遺伝分子の同定

6.技術を持った科学者並びに養蚕研究所

(1)ケニアと日本の科学者による研究作業の協力 (2)日本の研究施設にお

ける長期研修 (3)関連する国際会議への出席や国際的な科学誌への寄稿

・投入

・日本側投入

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・カイコの育成/分子生物学の博士1名以上、植物生理学の博士1名以

上、昆虫学者博士 1 名以上、繭糸関係技術者修士 1 名以上

・相手国側投入

・プロジェクト・マネージャー(JKUAT より派遣)

・チーム・メンバー8名(JKUAT、KARLO、NSS、モイ大学、ケニア

農畜水産省から Dr、Prof 等)

・事務所及び車両(KARLO より提供)・活動費(出費、人件費)の部分的補助(プロジェクト及び JKUAT よ

り)

(クワ園約 4,050m2 等が JKUAT より提供予定含む )

・外部条件

実施体制

・現地実施体制

ジョモ・ケニヤッタ農工大学、国立養蚕場(National Sericulture Station : NSS)

・国内支援体制 (*)

関連する援助活動

・我が国の援助活動

1) 我が国の援助活動 Cooperation of the Japanese ODA2KR の見返り資金を用いて、「ケニア高品質シルクプロジェクト」とし

て、ケニアにおける高品質のシルク生産に関する FS を現在実施中(~

2014 年 12 月まで)。同案件では、ケニアはシルク生産に関し、高いポテ

ンシャルはあるものの、充分な研究施設や人員体制の欠如が課題とされて

いる。詳細は案件終了後の報告書(仮)を参照ありたい。

2) 他ドナー等の援助活動 Cooperation by Other Donor Agencies, etc.(他ドナーではないものの)1973 年に始まった JICA による協力により、

ケニア各地で養蚕業が実施できるようになったものの、同協力の終了後

は、(ケニアの)財政的制約や世界的な不況から大規模産業に成長するこ

とに失敗したと、要請書には記載されている

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・他ドナーの援助活動

(*) 該当する場合のみ記載

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案件概要表

1.案件名

国 名: ケニア国

案件名: 和名 地方分権下における小規模園芸農民組織強化・振興プロジェクト

英名 Smallholder Horticulture Empowerment and Promotion Project for Local

and

Up-scaling

2.事業の背景と必要性

(1)当該国における農業セクターの開発実績(現状)と課題

ケニア国の農業セクターは、国内総生産(GDP)の 24%、直接・間接雇用の 80%、外貨獲得の

65%を創出し、国家経済の重要な役割を果たしている。なかでも園芸分野は、過去十年で毎年

平均 15%~20%の成長を遂げた主要サブセクターであり、ケニア国内で、直接・間接的に約 6 百

万人超の雇用を生み出している。

ケニアの耕作地の平均面積は 0.97 ヘクタール(2.4 エーカー)で、小規模農家がケニアの

農業の主要な担い手であり、市場向け農産物の 70%を生産している。また、小規模農家の 8割

以上は園芸作物栽培に従事しており、園芸作物の 8 割はこうした小規模農家によって生産さ

れているが、多くの農家は生産技術やその販売、流通などに問題を抱えており、生産物を「よ

い価格」で販売できず、十分な収入を得られていない。こうした背景から、小規模農家を対象

とした支援は農業セクターの振興にとって必要不可欠となっている。小規模園芸農家の所得

向上には、農民組織化と農業普及員を含む行政サービスの提供能力の向上に加え、園芸作物の

引取先である、国内市場との連携強化が必要となっている。

上記背景の下、JICA は、ケニア国農業・畜産・水産省(MOALF)と園芸作物開発公社(HCDA)

をカウンターパート機関として、小規模園芸農民組織の組織強化・収入向上を目的とした技術

協力プロジェクト「小規模園芸農民組織強化計画プロジェクト(SHEP)」(以下、「SHEP フェー

ズ 1」)(2006 年 11 月から 2009 年 11 月、F/U を 2010 年 3月まで実施)を実施した。SHEP フェ

ーズ 1では、小規模農家が市場に対応した課題に取り組めるよう、その能力強化を支援した結

果、対象農家は、平均 2倍以上の園芸純所得(名目)の向上を実現した。

SHEP フェーズ 1の成果を高く評価したケニア政府は、農業・畜産・水産省内に SHEP ユニッ

トを設け、小規模園芸農家への効果的な支援システムが全国的に確立されることを目指した。

このような状況から、JICA は本 SHEP ユニットの活動を支援するため、技術協力プロジェクト

「小規模園芸農民組織強化・振興ユニットプロジェクト」(以下、「SHEP UP」)(2010 年 3月から

2015 年 3月)を実施中であり、SHEP フェーズ 1で取り組んだ手法(以下、「SHEP アプローチ」

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1)を踏襲するとともに、全国展開に向けた各種取り組みを行っている。

他方、2013 年よりケニア国では、地方分権化(カウンティ制2)及び本省組織改編が行われ

ており、これに伴い、今後の小規模農民支援・普及の主体は地方行政(カウンティ)に移って

いくことが確実となっている。こうしたケニア国が置かれた状況下において、今後、より効果

的・効率的な「SHEP アプローチ」の改善を行い、カウンティ政府が「SHEP アプローチ」を継

続的に実施・普及していくための体制作りを行っていくことが求められている。

(2)当該国における農業セクターの開発政策と本事業の位置づけ

アフリカ各国では、その農業政策において、自給自足的農業から商業的農業への転換が提唱

されている。ケニアでは、Vision 2030 において、農業は経済発展の柱との点が明確にされて

おり、その鍵として小規模農家を自給自足型から商業的・近代的な農業の担い手とすることが

挙げられている。Vision 2030 の下、策定された「農業セクター開発戦略(Agricultural Sector

Development Strategy: ASDS)」(2010-2020)では「革新的で商業志向の競争力のある近代的

農業」をビジョンとして掲げ、その手段として「農産品及び農業事業の競争力、生産性、商業

性の向上」を挙げている。

また、「農業セクター中期投資計画(A Medium-term Investment Plan 2010-2015)」では、

6つの投資分野の一つとして、農業の「生産性や商業化、競争力の向上」を挙げており、天水

農業を営む多様な小規模農家を市場志向型の農業に転換させることが重要課題としている。

本事業は、「ビジネスとしての農業」を推進するものであり、以上の農業セクターの中長期

開発政策と合致している。

(3)農業セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績

我が国のケニア国に対する国別援助方針(2012)では、5つの援助重点分野の一つとして農

業開発が掲げられている。主要産業である農業の一層の振興による食料安全保障の確保なら

びに小規模農民の収入向上を実現するために、園芸作物などの市場ニーズ対応型農業への開

発支援が重要とされ、開発課題「市場に対応した農業開発」の中で「小規模農民収入向上プ

ログラム」を協力プログラムとして位置づけている。JICAは左記協力プログラムの下、上記

2.(1)、記載のSHEPフェーズ1やSHEP UPを始めとする市場志向型の農業振興支援を行ってい

る。

なお、SHEPフェーズ1及びSHEP UPの成果を受け、2013年6月に開催された第5回アフリカ開

発会議(TICAD V)においても重点方針の一つとして、農業、食糧・栄養安全保障分野の中で

1 SHEP アプローチ:従来の「農業技術を支援し、増産に励んだ後に販売先を探す」という発想を転換し、「市場のニーズにあった農業生産ができる農民を育てる」という手法や考え方。SHEP フェーズ1、SHEP UP では、農家に市場でどのように農産物が売られているかを事前に把握することなしに漫然と作物を栽培する「作って売る」という意識から、市場が求める商品をつくる、すなわち「売るために作る」への意識変革を起こし、それを農家自らが実践するための各種支援活動を実践した。2 2013 年より、ケニア国は従来の8つの州(Province)を廃止し、47のカウンティに再編成するカウンティ制が導入された。従来国が持っていた多くの権限をカウンティに委譲することで地方分権化が進むことが期待されている。なお、カウンティ制導入に伴い、従来の県(District)は、同じ行政区割りのまま、サブカウンティとしてカウンティに編成されることになる(全国で 286 の県(サブカウンティ)が存在)。

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「SHEPアプローチ」のアフリカ広域展開の方針を打ち出しており、現在JICAはSHEPを推進す

るアフリカ各国の行政官育成のための研修等の取り組みを行っている。

(4)他の援助機関の対応

米国国際開発庁(USAID)は Kenya Agricultural Value Chain Enterprises (KAVES) Project

を 2012 年から 5年の協力期間で実施中であり、21カウンティの小規模農家を対象に、小農や

バリューチェーンに関連する人々の生産性と収入を向上させ、食料安全保障や栄養改善への

貢献を目指している。また、USAID はケニアにおける園芸作物栽培、家畜飼育、稲作などを行

う小農支援の案件をバリューチェーンの観点から比較した調査を 2011 年に実施したが、同調

査報告書にはバリューチェーン開発と改善が重要であることに加え、SHEP フェーズ 1 及び

SHEP UP の活動がバリューチェーン開発の成功事例として紹介されている。

アフリカ開発銀行(AfDB)は、Small-scale Horticulture Development Project (SHDP)を

2008 年から 2014 年 12 月まで実施中であり、園芸農業とマーケティングの向上による小規模

園芸農家の世帯収入向上を通じた貧困削減と食料安全保障への貢献を目指している。

国際農業開発基金(IFAD)は、Smallholder Horticulture Marketing Programme (SHoMaP)を

2007 年から 2014 年 6月まで実施した。同プログラムは、国内市場向けに園芸作物を生産する

小農に対し、生産性の向上に伴う単位面積当たりの収益向上、園芸作物生産・加工にかかる雇

用機会増大、園芸作物のコスト低下と品質向上に主眼を置き、普及活動の強化やインフラ整備

などを実施した。

3.事業概要

(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、①農業・畜産・水産省における、「SHEP アプローチ」をカウンティと共同で実施

するための体制確立及び②選定された 14~183カウンティにおける、「SHEP アプローチ」を継

続的かつ効果的・効率的に実施するモデル4確立により、同カウンティでの「SHEP アプローチ」

を活用した小規模園芸農家支援の実施体制5確立を図り、もって同カウンティにおける「SHEP

アプローチ」を実践する小規模園芸農家の増加とその農家所得向上に寄与するものである。

(2)プロジェクトサイト/対象地域名

先行フェーズで対象とした 33カウンティ中、面的展開の高い可能性を有する 18県(1 カウ

ンティあたり1県を選定)。選定の結果、第 1バッチ 6カウンティ、第 2バッチ 8カウンティ、

第 3バッチ 4カウティとなった。

3 3 バッチに分けて、各バッチ 6カウンティずつ活動を進める予定であるものの、事業の実施状況に鑑み、2年目以降の活動実施カウンティ数は調整予定(各バッチ、最少4カウンティは行う予定)。4 「SHEP アプローチ」を活用した小規模園芸農家支援の実施体制とは、農業・畜産・水産省内のプロジェクトコーディネーションユニットによる支援の下、活動実施カウンティが主体的に「SHEP アプローチ」のコンセプトを活用した小規模園芸農家支援を行うための体制。5 活動実施カウンティ政府での「SHEP アプローチ」を継続的かつ効果的に実施するモデルとは、活動実施カウンティにおいて、「SHEP アプローチ」のコンセプトに基づく研修パッケージを実践し、その考察と改良を行うと共に、「SHEP アプローチ」展開のための年間実施計画の策定・予算確保及びコア人材育成を図ることを指す。

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(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)6

農業・畜産・水産省内プロジェクトコーディネーションユニット 15 名、活動実施カウンテ

ィ及び活動実施県農業普及関係者約 2000 名、活動実施県のモデル農家グループ7約 11,790 名

(4)事業スケジュール(協力期間)

2015 年 3月~2020 年 3月(計 60ヶ月)

(5)総事業費(日本側)

9.5 億円

(6)相手国側実施機関

農業・畜産・水産省(MOALF)作物資源・アグリビジネス・市場開発局、農・漁・食料公社傘

下園芸作物開発局及びカウンティ政府8

(7)投入(インプット)

1)日本側

① 長期専門家(チーフアドバイザー/園芸政策、副チーフアドバイザー/事業実施計画・管

理、園芸生産・普及、モニタリング・評価/広域協力、業務調整)60.0MM/年間

② 短期専門家(ジェンダー、農産物加工、農村インフラ(土のう)等)6.0MM/年間

③ 在外事業強化費

④ 本邦研修或いは第三国研修(課題別研修「アフリカ市場志向型農業振興(行政官)」コース

等関連分野の受講を想定)

⑤ 供与機材(車輛、事務機器等)

2)ケニア国側

① カウンターパート人員配置:中央省庁 15 名、活動実施カウンティ・県政府職員各 3名

② プロジェクトのための事務所スペースと機材

③ プロジェクトを実施するための必要な運営・活動費用

(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転

① カテゴリ分類(A,B,C を記載) C

② カテゴリ分類の根拠

本事業は、研修実施による農家や農民組織の能力強化を目指す技術協力であり、用地取

得・住民移転等は想定されず、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010 年 4 月公

布)上、環境面や社会面における望ましくない影響は最小限であると判断されるため。

2)ジェンダー平等推進/平和構築・貧困削減

前フェーズとなる SHEP フェーズ 1、 SHEP UP プロジェクト共に、農家経営における男女共

6最大数で積算(事業の実施状況に鑑み、2年名以降の活動実施カウンティ数及び対象農家グループ数は調整予定)。モニタリング・評価活動を行う SHEP UP 活動実施県職員を含む。7各活動実施カウンティにおける 1年目及び 2年目に対象とするモデル農家グループ8 対象とするカウンティ政府はプロジェクト開始後に決定予定。

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同参画促進等のジェンダー配慮が十分に行われて実施された案件であり、本案件も同様にジ

ェンダー配慮をプロジェクト活動に統合した案件である。

(9)関連する援助活動

1)我が国の援助活動

「SHEPアプローチ」のコンセプトを取り入れたケニア国の技術協力としては、①一連の

「SHEPアプローチ」の中からジェンダー主流化アプローチ部分を切り出し、多様な営農形態

の小規模農家に適用可能なジェンダー主流化パッケージ開発を目的とした「ジェンダー視点

に立った農業普及推進プロジェクト」、②ムエア灌漑事業区を対象に、稲作農家の収益に注

目した農業アプローチ確立を目指した「稲作を中心とした市場志向農業振興プロジェク

ト」、③半乾燥地での農民参加型による小規模灌漑開発・「SHEPアプローチ」を活用した営

農推進を通じて干ばつレジリエンス強化を目指す「半乾燥地持続的小規模灌漑開発管理プロ

ジェクト」がある。本案件では、上記関連プロジェクトとも地方分権化後のカウンティレベ

ルでの業務の実態、多様な状況下での「SHEPアプローチ」の効率化・軽量化トライアル結果

等について情報交換を行い、より効果的・効率的なカウンティ制下での「SHEPアプローチ」

確立を図っていく。また、「SHEPアプローチ」の広域支援についても、JICAの各国への支援

結果から得られた知見・教訓をカウンティ制下での「SHEPアプローチ」確立に反映させてい

く。

2)他ドナー等の援助活動

前項 2.(4)で記載した、SHoMaP(IFAD 支援)の活動実施に際し、「SHEP アプローチ」が実

施された県の普及員の一部による SHEP で開発された教材(例:野菜栽培技術を説明した紙芝

居)の使用や「SHEP アプローチ」の活動内容の一部取込(販売業者とのお見合いフォーラム

等)が確認されている。今後、他ドナーの実施する案件との連携の可能性として、世界銀行や

IFAD、AfDB 等国際機関による支援案件の中で、上記「SHEP アプローチ」で用いた開発教材や

活動内容の取込を図ることにより、これまでの「SHEP アプローチ」の成果の波及が見込まれ

る。

4.協力の枠組み

(1)協力概要

1)上位目標と指標

「SHEP アプローチ」の活動実施カウンティにおいて、小規模園芸農家の生計が向上する。

<指標>プロジェクト終了 3年後において、「SHEP アプローチ」を実践した小規模園芸農家

の実質園芸所得が、プロジェクト開始時(ベースライン調査時)と比較して 50%

向上する。

2)プロジェクト目標と指標

活動実施カウンティにおいて、「SHEPアプローチ」を活用した小規模園芸農家支援の実

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施体制(Implementation System)が確立される。

※Implementation System:プロジェクトコーディネーションユニットの支援の下、活動

実施カウンティが、「SHEP アプローチ」の採用(adopting)/適用(adapting)により小

規模園芸農家支援を行うための体制。

<指標>プロジェクト終了までに、50%の活動実施カウンティが、「SHEPアプローチ」を採

用(adopt)/適用(adapt)する。

※採用(adoption):「SHEPアプローチ」の採用とは、活動実施⑧カウンティにおい

て、オリジナル版「SHEPアプローチ」活動パッケージが用いられることを指す。

※適用(adaption):「SHEP アプローチ」の適用とは、他のプロジェクトや支援プログラ

ムの中で、「SHEP アプローチ」がカウンティの事情に合うよう修正された形で農家に用

いられたり取り込まれることを指す。

3)成果

成果1:「SHEP アプローチ」がプロジェクトコーディネーションユニットにより改良され、

活動実施カウンティにおいて採用(adopted)/適用(adapted)される。

成果2:活動実施カウンティにおける「SHEP アプローチ」の実施を通じ、小規模園芸モデ

ル農家グループの個々のメンバーの所得が向上する。

成果3:プロジェクトコーディネーションユニット及び活動実施カウンティ政府間のモニ

タリング・評価機能が強化される。

成果4:ケニア国内研修およびアフリカ諸国への助言ミッションへ従事した経験を通じ、

「SHEP アプローチ」が改善される。

4)活動

成果1の活動:

1-1 農業・畜産・水産省のプロジェクトコーディネーションユニットにおいて、「SHEP

アプローチ」展開のための計画を策定する。1-2 農業・畜産・水産省のプロジェクトコーディネーションユニットにおいて、

「SHEPアプローチ」を継続的に改良する。

1-3 カウンティによる「SHEP アプローチ」の採用/適用に向けた働きかけを行う。

成果2の活動:

2-1 プロジェクトコーディネーションユニットが、活動実施カウンティにおける「SHEP アプローチ」の実施準備のための活動を支援する。

2-2 活動実施カウンティ及び県における 1年目の対象農家グループに対する、「SHEP

アプローチ」の研修パッケージの実施を支援する。2-3 活動実施カウンティ及び県における 2年目の対象農家グループに対する、

「SHEP

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アプローチ」の研修パッケージ実施を支援する。

成果3の活動:

3-1 プロジェクトコーディネーションユニットの既存のモニタリング・評価に係るツ

ールやデータベースが改善される。3-2 活動実施カウンティと共に、モニタリング・評価にかかる活動を行う。3-3 活動実施カウンティ及び活動実施県における情報利活用を改善・支援する。

成果4の活動:

4-1 アフリカ諸国関係者の支援のため、ケニアにおける研修を実施する。

4-2 アフリカ諸国での「SHEP アプローチ」実施状況を確認するため、ケニア人専門

家の派遣を実施する。

5.前提条件・外部条件

(1)前提条件

ケニア国政府が農業・畜産・水産省のプロジェクトコーディネーションユニットを維持し、予

算配置を継続する。

(2)外部条件(リスクコントロール)

(プロジェクト目標達成のための外部条件)

カウンティ制が維持される。

園芸生産に不向きな天候及び/または、病害虫の発生がない。

深刻な社会的騒乱が発生しない。

(成果達成のための外部条件)

カウンティ制が維持される。

園芸生産に不向きな天候及び/または、病害虫の発生がない。

道路維持や道路ネットワーク開発のための政策が継続される。

深刻な社会的騒乱が発生しない。

6.評価結果

本事業は、ケニア国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、また計

画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。

7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用

(1)類似案件の評価結果

先行案件である SHEP UP の終了時評価では、「SHEP アプローチ」により対象農家の園芸純所

得(名目)の上昇が確認された。また、農家レベルでの習得技術の持続性、さらに対象農家以

外への拡大が確認され、SHEP フェーズ 1に引き続き、「SHEP アプローチ」の有効性・インパク

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トが再確認された。他方で、2011 年の干ばつやプロジェクト後半に開始された地方分権化に

よるスタッフの大量異動等により、「深刻な干ばつが発生しない」、「行政制度が変更されるこ

となく継続される」といった外部条件が満たされず、プロジェクトへの負の影響が大きかった

ことも確認された。

(2)本事業への教訓

SHEP UP の教訓として、ケニアにおける地方分権化及びこれに伴う MOALF 本省の人員体制

縮小・役割の変化に対応していくことが求められている。即ち、今後小規模農民支援の主体

は地方行政(カウンティ)に移っていくことを大前提として、本事業では、特にカウンティ

政府を基盤にした支援の在り方を検討していく必要がある。

また、SHEP UP では「SHEP アプローチ」実施後のフォローアップ(特に定期モニタリング

によるデータ収集・分析)の重要性が指摘されている。特に、カウンティ政府が「SHEP ア

プローチ」を継続的に実施・普及する体制作りを行うことが本事業の主眼となることから、

既存の「SHEP アプローチ」の活動の効率化/軽量化のトライアル結果のモニタリング・評

価やアフリカ広域支援で得られた知見・結果のフィードバックを通じてより効果的・効率的

な「SHEP アプローチ」の改善を行うことが求められる。

なお、広域協力として、アフリカ域内の展開を本事業に組み込んでいるが、同様にケニア

国を拠点として広域支援を行った SMASSE (Strengthening of Mathematics and Science in

Secondary Education) プロジェクトからの教訓として、①実施国自身の広域事業の実施意

義が明確になりにくいことや、②広域展開にかかるケニア国カウンターパートのモチベー

ションを維持することが難しいことなどが確認されており、本案件でもそれらの点に考慮

して、対応策を整理する必要がある。

8.今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

4.(1)のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始6か月以内 ベースライン調査

事業終了3年度 事後評価

(3)実施中モニタリング計画

事業開始 6か月/年 合同調整委員会における相手国実施機関との合同レビュー

事業終了 6か月前 終了前合同調整委員会における相手国実施機関との合同レビュー

9.広報計画

(1) 当該案件の広報上の特徴

1) 相手国にとっての特徴

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小規模農家の市場参入機会の拡大と商業としての農業の推進は、近年、食料安全保障及び個

人・国家の収支改善の観点から、重要な対策アプローチとして注目する機運が高まっている。

その中で、SHEP アプローチは、対象農家の園芸純所得向上という点で明確な成果を収めてき

ており、小規模農業従事者が大半を占める相手国国民に対し、分かりやすい形でアピールする

ことが可能。

2) 日本にとっての特徴

SHEP アプローチは、「ビジネスとしての農業の徹底」を図ることに加え、「人を動かす、人

を育てるための綿密な活動デザイン」の二つのコンセプトを兼ね備えていることが特徴と言

える。特に、後者については、JICA 技術協力の基本姿勢であるとも言え、先行案件の中で日

本人専門家が C/P と共に話し合いながら試行錯誤により対象エリアの環境にあった活動郡が

形成されてきており、今後とも他ドナーには類を見ない JICA 技術協力の持つ優位性としてア

ピールしていくことが可能。

(2) 広報計画

SHEP アプローチにかかる専用ウェブサイトの開設、すでに和・英版作成済のパンフレット

の仏語訳、実施主体者の理解促進に向けた動画作成、各種メディアでの取上げ協力等

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案件概要表

1.案件名

国 名: ケニア共和国

案件名:和名 灌漑地区におけるコメ生産強化のための能力開発プロジェクト

英名 Capacity Development Project for Enhancement of Rice Production in Irrigation Schemes

2.事業の背景と必要性

(1)当該国における農業セクターの開発実績(現状)と課題

ケニア共和国(以下、ケニアという)の農業セクターは GDP の 35.6%(世界銀行、2016)、就業人口の 60%、輸出金額の 65%を占め(Comprehensive Public Expenditure Review、2013)、同国経済開発及び貧困削減に資する重要セクターに位置付けられる。また小規模農家による農業

生産量はケニア全体の 75%以上を占めており、ケニアの農業において重要な役割を担っている。

ケニアにおいてコメの消費量は人口増加と経済発展に伴い、都市部を中心に急増しており、コ

メの国内生産量も高い伸びを示しているものの、自給率は 3 割弱にとどまっている(国家稲作

振興戦略(NRDS:National Rice Development Strategy)、2014)。このためケニアでは、食料

安全保障、経常収支改善の観点からコメの増産は重要な開発課題と認識されている。ケニアの三

大主食作物であるメイズ、小麦、コメの内、コメの消費が特に伸びている主な要因は、調理が比

較的容易であることや食味の良さ、栄養価の高さなどによるとされており、この傾向は都市部に

おいて顕著である。

ケニアにおけるコメ生産の 8 割弱はケニア中部のムエア灌漑地区において行われているが、

JICA は同地区における灌漑施設開発・稲作技術普及に資するべく、1980 年代より継続的に支援

を実施してきている。直近では、技術協力プロジェクト「稲作を中心とした市場志向農業振興プ

ロジェクト(以下、「RiceMAPP」という)」が 2012 年 1 月から 2017 年 1 月までの 5 年間実施

され、節水稲作(WSRC:Water Saving Rice Culture)技術を始めとした収益性の高い各種技術

の、同地区内の農家への普及体制が強化された。

係る状況下、ケニア政府は我が国に、RiceMAPP を通して開発された WSRC、改良型ヒコバ

エ生産、改良型水管理といった稲作関連技術のムエア灌漑地区内でのさらなる普及及び技術の定

着を推進するとともに、他灌漑地域への当該技術の展開を通したコメ生産性の向上を目的とした

技術協力プロジェクト(以下、「本事業」という)を要請した。JICA は、本事業の要請が日本政

府により採択されたことを受け、2017 年 2 月~3 月に詳細計画策定調査を実施し、ムエア灌漑

地区の他に、ケニア西部に位置し、稲作のポテンシャルが比較的高いと判断されるアヘロ灌漑地

区及びウェスト・カノ灌漑地区を対象地区として本事業を実施することにつきケニア政府と合意

した。

(2)当該国における農業セクターの開発政策と本事業の位置づけ

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ケニアの国家開発計画である「Kenya Vision 2030」において、農業は 3 本柱の一つ、Economic Pillar に位置付けられる重要なセクターとされている。また、「農業セクター開発戦略(ASDS)」では、上位目標として食料安全保障の改善と貧困削減が掲げられている。2009 年 10 月に策定

され、2014 年に更新された NRDS では、コメを農家の収入向上と食料安全保障のための重要な

穀物と位置付け、生産量の増大及び生産性の向上を目指すとしている。本事業はこれらの上位政

策・戦略を推進するものと位置付けられる。

(3)農業セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績

我が国の対ケニア共和国国別援助方針(2012 年 4 月)では、重点分野の一つとして「農業開

発」を掲げており、食料安全保障の確保及び小規模農民の収入向上のため、コメなどの生産技術

改善の支援をするとしている。

また、ケニアは TICAD IV において立ち上げられた「アフリカ稲作振興のための共同体

(CARD)」の支援対象国の一つであり、本事業の実施は、CARD の推進にも貢献するものであ

る。

JICA 国別分析ペーパー(2012 年 4 月)に記載の通り、JICA はケニアにおいて、開発調査「ム

エア地区灌漑開発計画実施調査」(1985 年)に始まり、長きに亘り灌漑稲作分野の協力を継続的

に実施してきている。直近では、RiceMAPP(2012 年~2017 年)を実施し、ムエア灌漑地区に

おける稲作技術の普及体制強化を行った。また、同じムエア地区において、技術協力プロジェク

ト「ジェンダー視点に立った農業普及推進プロジェクト」(PEGRES、2014 年~2017 年)を通

して農業普及におけるジェンダー主流化を促進した。この他、地球規模課題対応国際科学技術協

力プログラム(SATREPS)「テーラーメード育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェク

ト」(2013 年~2018 年)及び円借款「ムエア灌漑開発事業」(2010 年~2021 年)を実施中であ

る。この他、コメ振興に貢献する協力として、無償資金協力「貧困農民支援(2KR)」による農

業機械調達や、農業・畜産・水産省への農業振興アドバイザー派遣などを行ってきている。この

ように、特にムエア地区における灌漑稲作分野については、技術協力、有償資金協力、無償資金

協力による包括的な協力を行っている。

(4)他の援助機関の対応

ケニアでは様々な国際機関及び二国間協力機関等による農業及び稲作分野への支援が行われ

ている。ムエアでは韓国がケニア農業畜産研究機関と共同でポストハーベスト技術の研究を支援

しており、ケニア西部地域において国家灌漑公社(NIA)が管轄する灌漑地区の一つであるブニ

ャラでは中国の支援によるイネ研究センターの建設が予定されている。また、世界銀行が

「Eastern Africa Agriculture Productivity Project (EAAPP)」(2009-2015)の活動の一部として稲

作を支援しており、現在次フェーズの実施に向けて準備中である。

3.事業概要

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(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、RiceMAPP の成果を最大限活用し、その成果を効果的・効率的にケニアにおける

他の大規模灌漑地区に展開するためのケニア政府(農業・畜産・水産省 稲作振興プログラム(以

下、RIPP))の取り組みを中心に支援するものである。

本事業では技術展開(現地に適応した技術開発を含む)の対象灌漑地区を西部の2地区(アヘ

ロ、ウェスト・カノ)とする。NIA 傘下の農業研究機関(AIRS)の協力を得て、RiceMAPP で

開発された WSRC(節水稲作)、IRAP(改良型ヒコバエ生産)などの技術を中心に、改良・適

応を図り、コア農家や既存農家組織である灌漑水利組合などを通じて導入・普及を行う。

一方、RiceMAPP の対象サイトであったムエア灌漑地区においては、対象西部灌漑地区への

技術展開の拠点として普及員・コア農家等への研修を実施すると共に、RiceMAPP において成

果の普及が十分行えなかった、ティバ川及びニャミンディ川の中~下流域に位置する農家への普

及能力の強化も合わせて行う。

(2)プロジェクトサイト/対象地域名

ムエア灌漑地区、アヘロ灌漑地区及びウェスト・カノ灌漑地区

(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)

農業・畜産・水産・組合省職員、水・衛生・灌漑省職員、NIA 職員、キリニャガ・カウンテ

ィ及びキスム・カウンティ(郡)政府の農業関係職員、対象灌漑地区及びその他灌漑地区のコア

農家及び一般農家

(4)事業スケジュール(協力期間)

2019 年 3 月~2024 年 2 月を予定(計 60 ヶ月)

(5)総事業費(日本側)

約 5 億円

(6)相手国側実施機関

実施機関:農業・畜産・水産・組合省

協力機関:水・衛生・灌漑省、NIA、キリニャガ郡政府、キスム郡政府、KALRO

(7)投入(インプット)

1)日本側

①専門家(チーフアドバイザー/稲作政策/組織間調整、稲栽培/技術改良、灌漑水管理、普及

/研修、収穫後処理/マーケティング、調査/業務調整、他)計 150M/M 程度

②研修(本邦/第三国)

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③機材(普及活動用資機材、車両等)

④その他プロジェクトに必要な現地活動費

2)ケニア国側

①カウンターパート人員の配置

②プロジェクト実施に必要な執務室及び施設設備

③カウンターパート予算(活動費、光熱費等)

(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転

① カテゴリ分類:C② カテゴリ分類の根拠

環境や社会への望ましくない影響が最小限かあるいはほとんどない。

2)ジェンダー平等推進/平和構築・貧困削減

農家の男女間での仕事の役割やニーズが異なることを前提に、対象地域での技術普及にお

いては女性への配慮を十分に行うとともに、ジェンダー関係の改善による世帯内労働力の

再分配や女性労働力の軽減を図る。さらに、関連研修等実施の際には、女性の参加が確保

できるよう留意する。また、PEGRES においてはジェンダー主流化を推進することによ

り、農業活動における様々な正の効果が認められており、「ジェンダー主流化パッケージ

(以下、GMP)」が開発されている。本事業においても、同プロジェクトの経験及び GMPを活用することで、ジェンダー主流化を推進する。

3)その他

本事業は灌漑地区におけるコメ生産技術の改善を図ることから、気候変動による影響が

見込まれる降雨パターンの下でも一定程度安定した食料生産を実現することに貢献する

ことで、気候変動対策(適応策)に資する。

(9)関連する援助活動

1)我が国の援助活動

本事業の対象地域の一つであるムエア灌漑地区においては、SATREPS「テーラーメード

育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェクト」(2013 年~2018 年)によるイネ研究、

円借款「ムエア灌漑開発事業」(2010 年~2021 年)を実施中である。また、農業・畜産・

水産省へ個別専門家「農業振興アドバイザー」(2017 年~2019 年)を派遣中である。

2)他ドナー等の援助活動

世界銀行が「Eastern Africa Agriculture Productivity Project (EAAPP)」(2009-2015)の活

動の一部として稲作を支援しており、次フェーズの実施に向けて準備中である。EAAPP に

おいては PEGRES との連携実績があり、次フェーズ案件においても、特にジェンダーに配

慮した農業活動・研修実施等において、連携及び相乗効果が期待される。

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4.協力の枠組み

(1)協力概要1

1)上位目標と指標

1. 対象灌漑地区におけるコメ生産量が増加する。

2. コメ生産技術が他灌漑地区にも展開される。

(指標)

1-1 対象灌漑地区における 2028 年のコメ生産量(籾重量)が 2023 年と比べ 13%増加す

る。

1-2 2 ヶ所以上の灌漑地区において、現地に適応した 3 つのコメ生産技術が採用される。

2)プロジェクト目標と指標

灌漑地区間のコメ生産技術展開のための RIPP の調整能力の強化を通じ、対象灌漑地区に

おけるコメ生産技術が改善する。

(指標)

1. ムエア灌漑地区における RiceMAPP 技術、アヘロ灌漑地区及びウェスト・カノ灌漑地区

での現地に適応したコメ生産技術の普及率が合わせて 60%以上になる。

2. 対象灌漑地区における 2023 年のコメ生産量(籾重量)が 2018 年と比べ 8%増加する。

3)成果

1. RIPP の調整能力が強化されるとともに、コメ生産技術を全国展開するための具体的な

アクションプランが策定される。

2. RIPP による能力強化枠組みを通じ、対象西部灌漑地区の関係者へコメ生産技術が展開

される。

3. ムエア灌漑地区において RiceMAPP の実施を通じて得た経験に基づき、ムエア灌漑 地

区においては RiceMAPP 技術が、アヘロ灌漑地区及びウェスト・カノ灌漑地区におい

ては現地に適応したコメ生産技術が、既存の技術普及体制を通じてそれぞれの地区の

フォロワー農家 と一般農家に普及する。

4)活動

0. ベースライン及びエンドライン調査を実施する。

(成果 1 に係る活動)

1-1. 各灌漑地区において関連ステークホルダーにコメ生産技術を展開するための RIPP 及び

他ステークホルダーに期待される役割を明確にする。

1-2. 展開すべきコメ生産技術及び技術展開するにあたって実施すべき活動を確認する。

1-3. 活動 1-2 で選定された各技術を展開するための機関を確認する。

1-4. 成果 2 に係る活動から得られた教訓に基づき、RIPP 及び他ステークホルダーに期待さ

1各指標値は、プロジェクト開始後に実施予定のベースライン調査の結果を踏まえ、合同調整委

員会(JCC)にて決定予定。

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れる役割、展開すべきコメ生産技術、技術展開のための活動、及び技術展開活動を実施

する機関の見直し及び改定を行う。

1-5. 成果 2 に係る活動を通じて RIPP の能力向上を図る。

1-6. RIPP によってコメ生産技術が展開される灌漑地区における、自然・社会環境及び農業

活動についての情報を収集する。

1-7. 技術展開対象の各灌漑地区において展開すべき技術、技術展開のための活動、及び技術

展開活動を実施する機関を確認する。

1-8. 技術展開対象の各灌漑地区においてコメ生産技術を展開するためのドラフトアクション

プランを策定する。

1-9. 技術展開に関するアクションプランを最終化するためのステークホルダー会議を開催す

る。

(成果 2 に係る活動)

2-1. 関連機関との連携により、プロジェクトチームが RiceMAPP の実績(関連文献)を分

析する。

2-2. RIPP の監督の下、キスム稲ステークホルダーフォーラムと協力して西部地区の対象灌

漑地区へのコメ生産技術の展開に向けたアクションプランを策定する。

2-3. RiceMAPP で開発された技術をカスタマイズするために、関連機関との連携により、プ

ロジェクトチームが西部地区の対象灌漑地区における稲栽培や灌漑水管理等に関する

基礎情報調査を実施する。

2-4. KALRO Kibos の協力の下、RiceMAPP で開発された技術を西部地区向けにカスタマイ

ズするための試験を AIRS と共に行う。

2-5. AIRS の協力の下、稲栽培技術(いもち病、イネ黄斑病などの病虫害対策)の改善のた

めの試験を KALRO Kibos と共に行う。

2-6. 活動 2-4 及び 2-5 の結果に基づき、AIRS 及び KALRO Kibos と共に現地に適応したコメ

生産技術についてのガイドラインを策定する。

2-7. 活動 2-6 に基づき、AIRS 及び KALRO Kibos と共に TOT 及びコア農家向け研修のため

の研修教材を作成する。

2-8. 活動 2-6、2-7 に基づき、RIPP、キスム郡政府及びプロジェクトチームと共に、ベース

ライン調査に基づき、プロジェクト対象地外も含めた普及員を対象とした TOT を実施

する。

(成果 3 に係る活動)

【稲作に関する活動】

3-1. ムエア灌漑地区において、対象灌漑地区の普及員、コア農家及び他の関連ステークホ

ルダーを対象とした研修を実施する。

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3-2. ムエア灌漑地区、アヘロ灌漑地区、及びウェスト・カノ灌漑地区のコア農家の圃場に

おいて、稲栽培技術の展示(活動 3-3、3-4)及び研修(活動 3-5、3-6、3-7、3-8、3-9)のための圃場を整備する。

3-3. 活動 2-4 及び 2-5 で開発された現地に適応したコメ生産技術をコア農家の圃場で実践す

る。

3-4. カスタマイズした技術のコア農家の圃場における効果を AIRS と共にモニタリング及び

検証する。

3-5. アヘロ灌漑事業管理事務所(AIS)及びウェスト・カノ灌漑事業管理事務所(WKIS)のサポートの下、キスム郡政府及び AIRS と共に、他灌漑地区の篤農家に対する研修を

実施する。

3-6. 活動 2-7 で作成された研修教材を用いて、コア農家から一般農家へのコメ生産技術の移

転を支援する。

3-7. コア農家向け研修及びコア農家から一般農家へのコメ生産技術の移転活動の状況のモ

ニタリング及びフォローアップを行う。

3-8. 次年度の活動に向け、活動 3-7で実施されたモニタリング結果のフィードバックを行う。

【灌漑水管理に係る活動(NIA)】3-9. 活動 2-3 に基づき、灌漑水管理(二次水路及び三次水路)の現状について分析する。

3-10. 活動3-9で実施された現状分析の結果を受け、有効な水管理のための対策を検討する。

3-11. TOT 及びコア農家を対象とした灌漑水管理の研修教材を作成する。

3-12. 活動 3-11 で作成された研修教材を用いて、灌漑水利組合向けに稲作を中心とした営農

体系に即した水管理方法についての研修を実施する。

3-13 灌漑水利組合が実施する灌漑水管理活動の状況のモニタリング及びフォローアップを

行う。

3-14. 水管理方法の改善に向け、活動 3-13 で実施されたモニタリング結果のフィードバック

を行う。

【その他】

3-15. ネットワーク強化のため、キスム稲ステークホルダーフォーラムのメンバー間での技

術普及・意見交換を推進する。

3-16. 活動 2-3 の結果、文献調査、及び RiceMAPP の実績に基づき、収穫後処理技術、機械

化、及びマーケティング分野の改善に向けたフィージビリティ調査を行い、その優先

度を踏まえて活動を実施する。

3-17. フィールド・デイやラジオ、ポスターなどを通じてプロジェクト活動についての広報

活動を行う。

5.前提条件・外部条件

(1)前提条件

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・対象地域での治安が維持される。

・農業・畜産・水産省と水・灌漑省、キリニャガ郡政府、及びキスム郡政府との間で覚書(MOU)2が締結される。

(2)外部条件(リスク・コントロール)

・ケニア国の農業開発、特に稲作振興に関する政策が大幅に変更されない。

・深刻な自然災害・旱魃や甚大な病虫害・鳥害が発生しない。

・西部灌漑地区において、灌漑用ポンプ設備が詳細計画策定調査時と同様の状態を維持あるい

は改善され、稲作が行える状況が維持される。

6.評価結果

本事業は、ケニア国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、また計画の適

切性が認められることから、実施の意義は高い。

7.過去の類似案件の教訓と本事業への活用

(1)類似案件の評価結果

本事業の前フェーズ案件である RiceMAPP は、農業・畜産・水産省を実施機関として実施さ

れたが、カウンターパートの多くは同プロジェクトのために配置された人材であり、プロジェ

クト終了後は RiceMAPP のプロジェクトサイトであるムエア灌漑地区ではなく他所への配置

となる予定である。プロジェクト成果の持続性の観点からは、対象地域における継続的な業務

責任を担う機関からのカウンターパート配置を求め、プロジェクト終了後も移転技術が継続活

用されることが望ましい。また、郡の普及体制への依存では不十分なため、コア農家を通じた

技術普及を図る。

(2)本事業への教訓

詳細計画策定調査では、プロジェクトのカウンターパートとして、対象地域における稲作技

術開発・普及、水管理を行う機関からの人材の配置を求めるべく、先方と協議した。具体的な

人員配置は本事業開始までにケニア政府において対応される予定である。

8.今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

4.(1)のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始6か月 ベースライン調査

事業終了3年後 事後評価

2 本事業における各機関の役割及び責任範囲を明確にすることを目的に取り交わされるもの。

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(3)実施中モニタリング計画

事業開始 6か月/年 開始時及び最低年 1 回開催する JCC における相手国実施機関と

の合同レビュー

事業開始 6か月ごと モニタリングシートの作成・提出

事業終了 1か月前 事業完了報告書の作成・提出

9.広報計画

(1)当該案件の広報上の特徴

1)相手国にとっての特徴

ムエア地域は首都ナイロビにも近く、ケニア政府要人関係者も多く訪れる場所でもあり、プロ

モーションを強化する必要がある。また、ムエアの灌漑農業開発センター(MIAD)は、日本の

無償資金協力事業により設立され、またその後、KR 見返り資金で新オフィス(各セクション執

務室、会議室、検査・作業室等)が、2015 年 1 月に竣工し、ムエア地域の農業情報センター

の役割も担っている。

2)日本にとっての特徴

同様に、ムエア地域へは日本からの来訪者が訪問する機会も多く、JICA による資金協力・技

術協力(SATREPS を含む)の有機的な連携により、ケニアの稲作振興、CARD イニシアチブに

貢献している事業として本案件は位置付けられる。

(2)広報計画

プロジェクトの進捗に係る広報セミナー

プロジェクト活動に係るプレスリリース (TV、ラジオ、Web、ソーシャルメディア等)

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案件概要表(専門家)

派遣国名 ケニア

協力対象国名 ケニア

指導科目 灌漑普及アドバイザー

指導科目(英) Irrigation Extension Advisor

配属機関 水・灌漑省

配属機関(英) Ministry of Water and Irrigation

任地 ※全角カナ ナイロビ

派遣予定 M/M 24 MM

要請背景

ケニア共和国(以下、ケニア)の農業セクターは労働

人口の 75%を占めるものの、GDP への貢献は 3割にとどま

っており、生産性の向上が喫緊の課題となっている。ケニ

ア政府は長期の国家開発の基本方針である Kenya Vision

2030 及び中期国家開発計画(2013-2018)において、農業

を優先開発課題の一つとして位置付けており、農業セクタ

ー開発戦略(2010-2020)では、全耕作地の 1.7%にしか

過ぎない灌漑用地がGDPの3%相当に寄与しているとして、

灌漑開発を通じた生産量及び生産性の向上が喫緊の課題

としている。更に国土の 80%が乾燥・半乾燥地域に属す

るところ、農地拡大のためには、灌漑開発が必須となって

いる。このような背景の下、JICA は稲作及び園芸作物振

興を中心とした支援を行って来たが、ケニア政府は、これ

らの支援の補完性を確保し、且つこれまでの成果をケニア

における農業政策及び戦略に反映させ定着させるべく灌

漑アドバイザーの要請を行った。

なお本専門家は、アフリカ経済戦略会議での議論を踏ま

え、TICAD プロセスにおける農業分野への支援の促進を図

るべく設立された“アフリカ農業開発促進プラットフォー

ム”に貢献することを目的とし、本邦と現地の連携を強化

し、優良なODA案件の発掘・形成を促進するために派遣

することとする。

派遣の目的

ケニアにおいて水管理技術や栽培技術の全国展開に関す

る政策レベル含めた助言・調整及び成果発現拡大への支

援、灌漑分野の案件形成、既存案件の実施促進を行うこと

を目的とする。

期待される成果 1.灌漑開発セクターの政策立案・実施能力が強化される。

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2.灌漑開発セクターにおける開発アクター間の連携が強

化される。

3. 我が国の灌漑開発セクターにおける援助戦略が策定さ

れる。

活動内容

1-1 灌漑政策・戦略に係る情報収集・課題分析

1-2 同分析を踏まえた灌漑政策・戦略の立案にかかる支援

1-3 水・灌漑省における実施中灌漑事業の分析

1-5 同分析を踏まえた灌漑事業の実施にかかる支援

2-1 開発アクター戦略・プログラムマッピングの実施

2-2 同マッピングを踏まえた灌漑セクター援助調整に係

る助言

2-3 セクターワーキンググループ参加等を通じた JICA 灌

漑セクター戦略の上位への政策打ち込み

3-1 ケニアにおける我が国の実施済・中の案件の課題分析

3-2 ケニアにおける我が国の活用可能なリソースの分析

3-3 上述分析を踏まえた、灌漑開発セクターにおける援助

戦略の策定

3-4 同戦略に基づく新規灌漑開発案件の形成

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案件概要表(専門家)

派遣国名 ケニア

協力対象国名 サブサハラ・アフリカ 32 か国(ケニアを含む)

指導科目 アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)振興アドバイザー

指導科目(英)Rice promotion experts in Kenya and Sub-Sahara Africa (CARD Initiative)

配属機関 農業・畜産・水産・灌漑省

配属機関(英) Ministry of Agriculture, Livestock, Fisheries and Irrigation任地 ※全角カナ ナイロビ

派遣予定 M/M 48MM(2 名×2 年間)

要請背景

「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」は、JICAと AGRA(アフリカ緑の革命のための同盟)により、2008 年

の TICAD 4 の際に立ち上げられた国際イニシアチブである。

これまで 23 か国を対象国として、11 の運営委員機関により、

2018 年までの 10 年間でサブサハラ・アフリカのコメ生産量倍

増を目標に掲げ、稲作振興活動を推進してきた。ケニアは

CARD 対象国の一つであり、農業省を中心に国家稲作開発戦

略(NRDS)が策定され、それに基づき様々な稲作事業が実施

されてきた。また、ナイロビに位置する AGRA 本部には CARD事務局が設置され、JICA から派遣された企画調査員 2 名が

AGRA とともに CARD の運営に従事してきている。

現状、CARD はコメ増産の援助協調の枠組みとして機能し

ており、生産量倍増という目標は達成見込みである。しかし、

引き続きコメの需要増が認められることから、2019 年以降の

CARD フェーズ 2 の実施にかかる期待が対象国や関係機関よ

り寄せられ、2018 年 10 月の CARD 総会の場で、CARD フェ

ーズ 2 の枠組みが合意された。

CARD フェーズ 2 は 2019 年 1 月より開始しており、2019 年

8 月の TICAD7 の場で、正式にローンチが発表される予定であ

る。CARD 事務局は引き続きケニアの AGRA 本部内に設置さ

れ、ケニアを含む 23 か国に新たな対象 9 か国も加え、2030 年

までにさらなるコメ生産量倍増を目標に掲げて、稲作振興活動

をさらに加速していく予定である。

本専門家は、CARD 事務局で CARD フェーズ 2 の立ち上げ

や活動が円滑に進むよう、CARD 対象国の政府や他の運営委

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員機関とともに、CARD フェーズ 2 の実施促進や各種調整、

総会・運営委員会の実施を支援することを目的とし、ケニア政

府より要請されたものである。

派遣の目的

CARD 事務局で CARD フェーズ 2 の立ち上げや活動が円滑

に進むよう、CARD 対象国の政府や他の運営委員機関ととも

に、CARD フェーズ 2 の実施促進や各種調整、総会・運営委

員会の実施を支援する。

期待される成果

1. 稲作振興にかかる戦略策定・実施プロセスが円滑に行われ

る。

2. RICE アプローチを意識した各国支援策が強化される。

3. 関係機関との連携のもと、アフリカ地域間協力が推進され

る。

4. 関係者内外への情報共有が促進される。

5. CARD 関連会合が適切に運営される。

活動内容

1-1 23 か国 NRDS 改訂支援

1-2 新規対象国の NRDS タスクフォース立ち上げ支援

1-3 新規対象国の NRDS 策定支援

1-4 種子戦略・機械化戦略策定の支援

2-1 各国 CARD Action Plan の作成支援、ドナー連携促進

2-2 各国農業省による NRDS・CARD Action Plan の進捗に関

する CARD 事務局との情報共有体制の強化

2-3 民間セクターを含む関係機関とのネットワーク構築

3-1 地域共同体(RECs)の情報収集、協議

3-2 RECs と連携した域内流通促進策の検討

3-3 AU/NEPAD を通じた政策提言への働きかけ

4-1 地域別、分野別セミナー・ワークショップの開催

4-2 国際的な会合における CARD の取り組み発信

4-3 Web Site の充実化、有用コンテンツの体系化・発信

5-1 総会、運営委員会の実施支援

5-2 JICA 負担分を含む CARD 事務局の運営資金管理

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案件概要表(専門家)

派遣国名 ケニア

協力対象国名 ケニア

指導科目 海洋水産振興アドバイザー

指導科目(英) Marine Fishery Promotion Advisor for Blue Economy Development

配属機関 農業・畜産・水産・灌漑省

配属機関(英) Ministry of Agriculture, Livestock, Fisheries, Irrigation

任地 ※全角カナ モンバサ

派遣予定 M/M 18.0

要請背景

ケニア政府は、ケニアビジョン 2030 の第三期中期計画

(MTPⅢ)において、ブルーエコノミーを主要政策の一つ

として掲げ、海洋セクター(海運・海事、港湾インフラ、

観光、環境保全)および水産セクターの振興を重要な課題

として位置付け、水産振興による経済成長・雇用拡大を目

指している。

中でもケニアの水産セクターは、外貨収入、雇用創出、

食料安全保障を通じて国民経済に貢献し、漁業、漁船建造、

漁業施設運営、水産物加工・流通などの雇用者数は全体

4,850 万人の内 200 万人に及ぶが、同セクターのGDP貢

献率は 0.5%に留まっている。

JICA は 2018 年に「ケニア国ブルーエコノミーにかかる

情報収集・確認調査」を実施し、ケニア政府の開発方針、

現況・課題に対する情報を収集・分析した。その結果、内

水面での開発が進んでいるのに対し、沿岸域の開発が遅れ

ており、沿岸の水産資源が十分利用されていない状況が確

認された。2019 年 TICAD7 横浜行動計画では、経済の多角

化・産業化、競争力の促進の重点分野の中で、アフリカの

ブルーエコノミーの発展を支援することが明記されてお

り、日本として持続可能な水産資源利用強化を図ることを

コミットしている。

また、沿岸漁業は、同政府が進めているブルーエコノミ

ー開発の中心的課題であり、付加価値の増加など水産業の

高度化が求められている。

しかしながら、水産セクターに関するケニア政府・関係

機関の経験や能力は十分とはいえず、人的資源に対する課

題が多いのが現状であり、そのため専門家による沿岸漁業

振興のための人的資源1の能力強化が急務となっている。

1 人的資源:個人の能力強化に加え組織能力の強化を含める。(個々の人的資源

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この様な背景から農業・畜産・水産・灌漑省は日本政府

に対し、ブルーエコノミー開発に関する海洋水産振興アド

バイザーを要請した。

派遣の目的 ブルーエコノミー開発における沿岸漁業振興を推進する。

期待される成果

成果 1:ケニア沿岸の社会経済開発における沿岸漁業振興

の具体的な課題が特定される。

成果 2:成果1の課題に対し雇用創出や産業振興につなが

るパイロット活動が計画される。

成果 3:成果1の課題に対しパイロット活動の実施を通

し、雇用創出や産業振興につながる知見が得られる。

成果 4:パイロット活動の実施を通し、C/P 機関の職員と

ステークホルダーの人的資源の能力が強化される。

活動内容

【成果 1に関する活動】

活動 1-1、カウンターパート(C/P)機関と共にパイロッ

トプロジェクト候補地の沿岸漁業の基礎調査

を実施する。沿岸漁業に関する調査内容は、漁

業者・組織、漁船、漁具・漁法、漁獲物、水揚

施設、加工流通等を想定。

活動 1-2、C/P 機関と共にパイロットプロジェクト候補地

のケニア政府の漁業管理に係る現状調査を実

施する。漁業管理に関する調査内容は、漁民・

漁船登録、漁業法・漁業規則、海洋保護区 MMA

等を想定。

活動 1-3、C/P 機関と共にケニア政府とドナーが実施して

いるブルーエコノミーに関する沿岸漁業振興

事業やプロジェクト等の事業について現状調

査を実施する。

活動 1-4、C/P 機関と共にブルーエコノミーに関する沿岸

漁業振興の具体的な課題を整理する。

活動 1-5、C/P 機関と共にブルーエコノミーに関する沿岸

漁業振興の課題に対するアプローチを提示す

る。

活動 1-6、C/P 機関と共に、活動 1-1から 1-5の基礎調

査、他ドナーの協力内容、課題と実証可能なア

Human resource の能力強化はキャパシティービルディングと呼ばれるが、組織

能力強化キャパシティーデベロップメントの意味も含む。)

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プローチについて報告書にまとめる。

【成果 2に関する活動】

活動 2-1、ステークホルダー会議を開催し、活動1の調

査で明らかになった課題に対し、実証可能な目

標とアプローチを共有し、優先課題を決定す

る。

活動 2-2、ステークホルダー会議で設定した優先課題に

対し、対象コミュニティーがどのアプローチを

取るか決定し、実証可能なパイロット活動を計

画する。

活動 2-3、パイロット活動の実施コミュニティーの同意

を確認し、対象地域とパイロット活動2を選定す

る。

【成果 3に関する活動】

活動 3-1、選定された X漁村において、C/P 機関と共にパ

イロット活動 Iを支援する。

活動 3-2、選定された Y漁村において、C/P 機関と共にパ

イロット活動 IIを支援する。

活動 3-2、C/P 機関と共にパイロット活動の報告書を作成

する。

【成果 4に関する活動】

活動 4-1、活動1から活動3を通し C/P 機関職員と対象

コミュニティーのステークホルダーに対し On

the Job Training(OJT)を実施する3。

活動 4-2、C/P 機関と共に、パイロット活動から得られた

沿岸漁業振興のための雇用創出や産業振興に

かかる知見をまとめる4。

2 パイロット活動:2 つの漁村で各 1 つのパイロット活動の実施を想定。各パイ

ロット活動は、雇用創出や産業振興に関する活動の包括的な取り組みが想定さ

れる。例えば、漁民組織形成、漁業管理規則策定、漁獲データ(漁獲量、漁獲

努力量)整理、漁獲物の品質保持技術、加工販売促進、マイクロクレジット、

漁業訓練(延縄漁業、定置網漁業、船外機保守管理)。3パイロット活動の推進に必要な技術的な指導方法は、例えば漁法や加工マニュ

アルとしてまとめ配布・利用することが想定される。媒体は、パンフレットや

サッシや視聴覚資料(AVaid)等。4 沿岸漁業振興のための雇用創出や産業振興にかかる知見をまとめるのは、優良

事例集やガイドラインやハンドブックが想定される。

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活動 4-3、活動1から活動3の実施において、C/P機関職

員らに対して、ブルーエコノミーに関する沿岸

漁業振興の持続性向上に関係する政策アドバ

イスを行う。

活動 4-4、終了時ステークホルダー会議を開催し、パイ

ロット活動から得られた沿岸漁業振興のため

の雇用創出や産業振興にかかる知見を共有す

る。

【その他の活動】

本アドバイザーは JICAアフリカ支援との相乗効果を補

完することを目的とし、以下の活動に対して JICA および

関係機関に協力するとともに、JICA に情報を提供する。

・JICA の過去の協力(技術協力、第三国研修、課題別研

修等)の成果を維持・拡大するため C/P 機関を

支援する。

・JICA が実施する水産分野の協力(課題別研修を含む)

への支援を行う。