23
1 6.開いた系と化学ポテンシャル June 3, 2011 ここまでは粒子数は一定に保たれた系を考えたが、 本章では粒子の出入りを考えて平衡を考える 6-1 化学ポテンシャル 粒子の出入りを考慮するために、化学ポテンシャルという概念を導入する。 粒子数が変わる系の熱平衡 2つの領域の間で粒子が行き来するとする。 2 1 N N N (6.1) 各領域の自由エネルギーを、 1 1 1 , , V T N F 2 2 2 , , V T N F とおくと、全系の自由エネルギーは 2 2 2 1 1 1 , , , , , , V T N F V T N F V T N F (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、 1 N を変数として、 F の最小化を行うと、 0 , , , , , 2 2 , 1 1 1 2 1 2 1 1 1 1 1 V T V T N F N F N V T N N F N V T N F N F V T V T N F N F , 2 2 , 1 1 (6.3) (ここで、粒子数は十分マクロな量なので、連続変数と見做す) 化学ポテンシャル 以前既に用いたが、直観的にはその粒子が存在する事により増加するエネルギー温度と体積が一定の場合 =========================== 注: pdV SdT dF (3.81) =========================== N1 N2 N1 + N2 = N (一定) 6-1 粒子数が変わる系

June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

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Page 1: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

1

6.開いた系と化学ポテンシャル

June 3, 2011

ここまでは粒子数は一定に保たれた系を考えたが、

本章では粒子の出入りを考えて平衡を考える

6-1 化学ポテンシャル

粒子の出入りを考慮するために、化学ポテンシャルという概念を導入する。

粒子数が変わる系の熱平衡

2つの領域の間で粒子が行き来するとする。

21 NNN (6.1)

各領域の自由エネルギーを、

111 ,, VTNF 、 222 ,, VTNF

とおくと、全系の自由エネルギーは

222111 ,,,,,, VTNFVTNFVTNF

(6.2)

熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。

粒子数はマクロ量なので、1N を変数として、F の最小化を行うと、

0

,,,,

,2

2

,1

1

1

212

1

111

1

VTVTN

F

N

F

N

VTNNF

N

VTNF

N

F

VTVTN

F

N

F

,2

2

,1

1

(6.3)

(ここで、粒子数は十分マクロな量なので、連続変数と見做す)

化学ポテンシャル

以前既に用いたが、直観的にはその粒子が存在する事により増加するエネルギー。

温度と体積が一定の場合

===========================

注: pdVSdTdF (3.81)

===========================

N1 N2

N1 + N2 = N (一定)

図 6-1 粒子数が変わる系

Page 2: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

2

VTN

F

,

(6.4)

とおく。 これを用いると、粒子数についての熱平衡の条件 (6.3) を書き直すと、

222111 ,,,, VTNVTN (6.5)

温度と圧力が一定の場合

==================================

Gibbs の自由エネルギー

3-5 節、或いは熱力学で既に習っている様に、ギブスの自由エネルギーは

pVFG (3.68)

よって、

VdpSdTVdppdVdFpVddFdG (3.69)

即ち、温度・圧力一定の時、Gibbs free energy が定まる。

====================================

という訳で、領域1,2に含まれる物質の Gibbs free energy を考える。

pTNG ,,11、 pTNG ,,22

全系では

pTNGpTNGpTNG ,,,,,, 2211 (6.6)

これを粒子の配分により最小化すると (6.3) 同様

pTpTN

G

N

G

,2

2

,1

1

(6.7)

ここに、 pVFG だが、 pTNG ,, と VTNF ,, と変数が異なるので、 pTNV ,, と

して、

pTNVppTNVTNFpTNG ,,,,,,,,

を考える。 よって、温度・圧力一定で、粒子数による偏微分を行うと、

pTpTTNVTpT N

Vp

N

V

V

F

N

F

N

G

,,,,,

ここに、(3.82) より

TNV

Fp

,

なので、上式は

VTpT N

F

N

G

,,

(6.8)

よって、熱平衡の条件 (6.7) は

pTNpTN ,,,, 2211 (6.9)

Ref. 222111 ,,,, VTNVTN (6.5)

Page 3: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

3

化学ポテンシャルの性質

理想気体の化学ポテンシャルを考える。

理想気体の並進運動に関する自由エネルギーは (3.48) で求まっており、

1

2log

23

2

Tmk

N

VTNkF B

B

これに、1分子当りの回転運動の自由エネルギー Tr を加え

TNN

VTmkTNk

TNTmk

N

VTNkF

rB

B

rB

B

1log2

log2

3

12

log

2

23

2

化学ポテンシャルの定義 (6.4)より、

TN

VTmkTk

TN

VTmkTk

TTkN

VTmkTk

TN

TNkN

VTmkTk

N

F

rB

B

rB

B

rBB

B

rBB

B

VT

23

2

2

2

2

,

2log

log2

log2

3

1log2

log2

3

11log

2log

2

3

(6.10)

1分子当りの回転運動の自由エネルギー Tr は4章で求めており、(4.57) より

2

2loglog

TIkTkzTkT B

BBr

ところで、

TN

VTmkTk r

BB

23

22log

(6.10)

を温度と圧力の関数に書き換えると TNkpV B より、

Tp

TkTmkTk r

BBB

23

22log

(6.11)

この値は粒子数に依存しない。 ところで、Gibbs の自由エネルギーは示量変数なので、 pT , 一定

の下で粒子数 N を倍にすれば、G も倍になる筈で、

pTNgpTNG ,,, (6.12)

よって、(6.8) より、

pTpTgN

G

pT

,,,

(6.13)

Page 4: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

4

となり、化学ポテンシャルは1粒子当りの Gibbs の自由エネルギーに等しい。

同様に、1粒子当りの 自由エネルギーを N

F 、 体積を

N

Vv とすれば

pv (6.14)

と記述できる。

熱力学の関係

化学ポテンシャルについての微小変化を考える。 Gibbsの自由エネルギーに関する微分式は

VdpSdTdG (3.84)

で与えられており、上で求めた様に、化学ポテンシャルは1粒子当りの Gibbs の自由エネルギーに相

当するので、(3.84) において、エントロピー・体積についても1粒子当りのものを考える。

(注: NSs で定義するが、無論、本当に粒子1個でエントロピーを求めている訳ではない)

よって、

vdpsdTd (6.15)

pT

s

,

Tp

v

(6.16)

一方、化学ポテンシャルは、(6.4) VTN

F

,

で定義しており、

pdVSdTdF (3.81)

であるが Helmholtz 自由エネルギーを温度、体積、粒子数、の関数 VTNF ,, とみると、

dNpdVSdTdF (6.17)

同様に

dNVdpSdTdG (6.18)

一方、 TSFE 、

dNpdVTdS

SdTTdSdNpdVSdTSdTTdSdFdE

(6.19)

よって、

VSN

E

,

(6.20)

更に、

dNpdVTdSdE

∴ dNT

dVT

pdE

TdS

1 (6.21)

すると、

VEN

S

T ,

(6.22)

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5

6-2 Gibbs の相律

相: 均一な物質が占めている領域

eg. 液体と気体

右図では、水と水蒸気の2相

液体と気体で熱平衡

相平衡の条件

一定の温度、圧力 pT , の下で、n 種類の粒子からなる n 成分系、が m 個の相に分かれて

熱平衡にあるとする。

番目の相にある i 番目(種類)の粒子の数を

iN とすると、全系の Gibbs の自由エネルギ

ー G は各相の Gibbs の自由エネルギー G の和として、

m

GG1

(6.23)

nNNNNpTGG ,,,,, 321

: 相: 液相、気相、固相、等

i: 分子の種類、等

で与えられる。 熱平衡で粒子が各相にどの様に配分されるかを定めるには、粒子数についてG を

最小化すればよい。 但し、種類毎の粒子数は一定、即ち

i

m

i NN 1

ni ,,2,1 (6.24)

(6.24) の条件下で (6.23) の最小を求める、というのは以前やった Lagrange の未定係数法を利用。

n ,,,, 321 を未定係数として、

m

i

n

i

i NGG11

~

(6.25)

の最小を求める。

0

~

iN

G

より、

0

i

i

a

N

G

mni ,,2,1;,,2,1

ここで、

ijNpTi

a

i

i

N

G

,,

(6.26)

= 1

= 2

i = 1 i = 2

水蒸気

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6

を 相における粒子 i の化学ポテンシャルとすると、条件は、

11

3

1

2

1

1

1 m

22

3

2

2

2

1

2 m

…… (6.27)

n

m

nnnn 321

これは、「粒子 i の化学ポテンシャルはどの相でも同じ」という事 (平衡の条件)。

(水分子の化学ポテンシャルは、水(液体)でも水蒸気でも同じ)

Gibbs の相律

化学ポテンシャルは温度、圧力、粒子数 の関数。

一方、化学ポテンシャルは 示強関数。 → 変数も示強関数のみ。

相の総粒子数は

a

n

i

i NN 1

m,,2,1 (6.28) (cf. (6.24) )

よって、相における粒子 i の濃度を

a

ia

iN

Nc

(6.29)

とすれば、 i は、 pT , と濃度

a

n

aa ccc ,,, 21 の関数。 この時、(6.29) の濃度の定義より、

1

1

n

i

a

ic (6.30)

物理的には、1つの相にある n 種の粒子の合計で規格化。 これが m 個の 相各々に。

従って、この系の熱平衡を定める変数は各相に共通な温度・圧力 pT , の他、mn 個の濃度。

但し、濃度には (6.30) の条件式 m 個がつくので、独立した変数の数は、

mnmmn 122

熱平衡の条件自体は、(6.27) の nmn 個あるので、全部では自由に変えうる変数の数 f は

mnnmnmnf 212 (6.31)

これを Gibbs の相律という。

6-3 1成分系の相平衡

1成分系の相図

1成分系における Gibbs の相律は、(6.31) より

mmnf 32 (6.32)

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7

全体が均一な1相であれば、 1m 、よって 2f 。 基本的に、これは温度・圧力 pT , の 2変

数の関数となっている事を示している。

しかし、温度・圧力 pT , の変化により、物質の状態が変化する場合がある。

これを相図(phase diagram: 図 6-2)で表す。

2相( 2m )共存では、 1f → 温度・圧力 pT , は独立でなく、自由度は1。

→ 2相共存曲線

3相( 3m )共存では、 0f → 温度・圧力 pT , の自由度は0。 → 点

→ 3重点

2相共存曲線: 3重点で終了、または途切れる

→ 液体と気体は共に対称性がなく、高温・高圧領域では区別できない。

→ 臨界点 液体と気体の様に連続的な変化の場合

(液体と固体の場合、対称性が異なり連続的な変化ではないので、臨界点はない)

2相平衡の熱力学

(1) 圧力一定 の時の化学ポテンシャル

化学ポテンシャルの温度依存性は (6.16) より pT

s

よって、1粒子当りの定圧比熱を考えると、(2.88) より

p

pT

sTc

(6.33)

物理的な意味と定義より、 0s , 0pc なので、化学ポテンシャルの温度変化は

0

pTs

∴ 0

pT

02

2

pp

pT

TT

sTc

∴ 0

2

2

pT

(6.34)

即ち、化学ポテンシャルは圧力一定の条件化では、温度T に対し、上に凸の単調減尐関数。

2つの相 A, B の化学ポテンシャルがある圧力の下で温度の関数

として、図 6-3(右図)の様に得られたとする。

熱平衡は、Gibbsのエネルギーの最小として求まるので、交点 0T

より低温で A 相、高温で B 相。 交点では、

BA (6.35)

で、 0T で A, B 2相が共存。

B

A

T0 T

T

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8

1粒子当りのエントロピーは、(6.16) で定義した通り、pT

s

なので、図 6-3 の曲線の勾

配の符号を反転したもの。 交点 0T で A, B 2相のエントロピーを比較すると、

BA ss (6.36)

即ち、低温で安定な相より、高温で安定な相の方がエントロピーが大きい。

低温より、昇温していくと、温度 0T で物質は A → B の相転移を起こす。

この時、1粒子当りのエントロピーは

0 AB sss (6.37)

だけ増加。 これは、相転移の際に熱の吸収が、1粒子当り、

AB ssTsTq 00 (6.38)

だけ起こっている事に相当。 (逆に、B → A の相転移の際は、この熱量を放出)

この熱量を、潜熱(latent heat) という。 潜熱の吸収・放出を伴う相転移を、1次の相転移。

(2) 温度一定 の時の化学ポテンシャル

(6.16) より、

Tp

v

ここに、 0v なので、 0

Tp

等温圧縮率は (3.63)

T

Tp

V

V

1 再度1粒子当りで考えると、

T

Tp

v

v

1

ここに、 Tkpv B より、

0T 、 0

Tp

v (6.39)

すると、

0

Tp

、 0

2

2

TTpp

v (6.40)

化学ポテンシャルは圧力 p に対し、上に凸の単調増加関数。

交点 0p より低圧で C 相、高圧で D 相が安定。 交点では DC 。

C

D

p0 p

T

図 6-4 温度一定

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9

Tp

v

なので、傾きは1粒子の体積v を表し、よって、2相共存の交点 0p で、

DC vv (6.41)

従って、温度一定の下で、圧力を上げて、相 C → D の相転移を起こさせると、体積の減尐を伴う。

Clapeyron-Clausius の関係

(6.35) BA は、A相と B相が共存する時の条件。 この共存曲線に従い、温度・圧力 pT ,

を変化させたとする。 pppTTT , と変化させた場合、

pTpT BA ,,

ppTTppTT BA ,,

両辺を pT , で展開して、

pp

TT

pTppTT

pp

TT

pTppTT

T

B

p

BBB

T

A

p

AAA

,,

,,

∴ pp

TT

pp

TT

T

B

p

B

T

A

p

A

更に、(6.16) pT

s

,

Tp

v

より、

pvTspvTs BBAA

pT , は微小量なので、T

p

は共存曲線の微係数。 これを

ABdT

dp

と書けば

pvvTss ABAB

なので、

vT

q

v

s

dT

dp

AB

(6.42)

AB sss

AB vvv (6.43)

これを Clapeyron-Clausius の式という。

(以下の教科書の議論は省略)

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10

上図で (a) は 0

ABdT

dp で、かつ、 0s , 0v (相転移の際、エントロピーは増加)

(b) は 0

ABdT

dp で、かつ、 0s , 0v

準安定平衡状態

図 6-3(定圧変化)において、A:液相、B:気相、として、気体を高温 0TT からゆっくり冷却

する事を考える。 単純には、

0TT 気体

0TT 液化(気体→液体)

0TT 液体

だが、実際にはそれ程簡単ではない。 今、液化のプロセスが 0TT でも起こると考えると、そ

の時の2相の化学ポテンシャルの差を 0 AB とする。

液化が始まると、気体中に小さな液滴が発生。 1個の液滴に n 個の分子が集まったとする。

これによる、Gibbsの自由エネルギーの変化は、

nG

である。 この議論だけでは、液化が進めば進む程自由エネルギー

は減尐するので、全ての気体が液体に変わる事になる。 しかし、

実際には、系の表面・界面を考慮する必要がある。

右図で分かる通り、表面の原子数を sn 、表面積を sA とすると、

nV 、 3

3

4rV 、 ss nA 、

24 rAs

∴ 32

1

32

2

4

344 VcVrAs

32cnns

r

A

B

T

p

T

A

B

T

p

T 図 6-5 2相共存曲線

(a) (dp/dT)AB > 0 (b) (dp/dT)AB < 0

Page 11: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

11

表面に原子・分子が存在する事で生じる表面自由エネルギーは1個当り 0 であり、液滴の形成

による Gibbs の自由エネルギーは

32cnnG (6.44)

これは、図 6-6 の様な関数であり、

3

max3

2

n で極大値、

3

cnc で 0G

となる。 よって、液滴形成のためには、

3

cnn c でなくてはならない。

(表面エネルギーが増える以上に、化学ポテンシャル(の総和)を減らさなくてはならない)

ところで、再び、図6-3を考えると、 0 AB (但し、 0TT )では、 0TT で、 0 、

即ち、 0TT においては、 cn は極めて大きくなる。

液滴は、先ず小さいものが出来てから、大きくなる、という事を考えると、これは、物理的には、

「十分に冷えていないと、液滴が出来ない」事を意味する。

(言い換えると、 0TT では殆ど液滴は出来ない、という事)

液滴の形成初期には、表面エネルギーによる自由エネルギー増加の

効果が大きく、十分に冷えないと化学ポテンシャルでこれを埋め合

わせる事ができない。

つまり、 0TT においては、気体の Gibbs の自由エネルギーは、均一な液体の状態に比べると高

いが、局所的には極小となっている。 これを準安定平衡状態という。 (図 6-7)

T が 0T より十分小さくなると、 は大きくなり、 cn は十分小さくなる。 そのため、液滴

は出来易くなる。

注:実際には、液化は容器の壁や気体中の塵・イオンの周囲で始まる → 引力が働くため

B

A

T0 T

T

nc

nmax

n

G

図 6-6

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12

6-4 2成分系の相平衡

混合気体・溶液、等の場合

混合理想気体の化学ポテンシャル

2種の分子 ba, からなる混合理想気体を考える。 各々分子数 ba NN , 個、体積 V とする。

理想気体の Hamiltonian は

N

i

i

i Um

H1

2

2r

p (4.27) ここに、

outer

innerU

:

:0

r

rr (4.28)

要は、各粒子の Hamiltonian の和。

これを、分子種に分けて記述すると、

ba HHH (6.45)

ここで、粒子の識別は、同種の粒子では出来ないが、異種粒子 ba, 間では出来るので、分配関数は、

(4.29) より

ba

bbaa

B

ba

NN

ba

ZZ

dqdpdqdpTk

HH

NNZ

ba

exp

22

1

!!

133

(6.46)

但し、 ba, の運動量と座標をまとめ、 aa qp , 、 bb qp , で表した。 また、

aa

B

a

N

a

a dqdpTk

H

NZ

a

exp2

1

!

13

(6.47)

baBB ZZTkZTkF logloglog なので、

ba FFF (6.48)

(3.82) より、 VT

FS

,

TV

Fp

すると、2番目の式より、

ba ppp (6.49)

この ba pp , を分圧という。 各成分の濃度を

ba

a

aNN

Nc

,

ba

b

bNN

Nc

(6.50)

とおくと、

Page 13: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

13

pcp aa , pcp bb (6.51)

各成分の化学ポテンシャルは、(6.11) Tp

TkTmkTk r

BBB

23

22log

より、成分 a の化学ポテンシャルは、

Tpc

TkTkmTkcpT ra

a

BBa

Baa

23

22log,,

(6.52)

ここに、混合気体でなく、100%成分 a の気体を考え、同じ温度で、全圧を同じ p とすると、

Tp

TkTkmTkpT ra

BBa

Ba

23

202

log,

∴ aBaaa cTkpTcpT log,,, 0 (6.53)

混合気体のうち、成分 b が希薄 ccc ba だとすると、

TckpTcTkpTcpT BaBaa ,1log,1,, 00 (6.54)

cTkpTcpT Bbb log,,, 0 (6.55)

混合のエントロピー

2種の気体が容積 ba VV , の容器に入っていて、これを混合する。

混合前の両気体の濃度は等しいものとする。 b

b

a

a

V

N

V

N

混合による自由エネルギーの変化は、(3.48)

1log

2log

2

32 N

VTmkTNkF B

B

より、

1log

2log

2

31log

2log

2

322

b

bBbBb

a

aBaBainit

N

VTkmTkN

N

VTkmTkNF

Page 14: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

14

1log

2log

2

31log

2log

2

322

b

BbBb

a

BaBafin

N

VTkmTkN

N

VTkmTkNF

b

b

a

aB

b

b

b

b

a

a

a

aBinitfin

V

VN

V

VNTk

N

V

N

VN

N

V

N

VNTkFFF

loglog

loglogloglog

混合前の密度が等しいという条件は、

b

b

a

a

V

N

V

N なので、

a

aa cN

N

V

V , b

bb cN

N

V

V NNN ba (6.56)

とおく事ができ、

bbaaB cNcNTkF loglog (6.57)

Helmholtz の自由エネルギーの定義は、 TSEF で、今、内部エネルギーと温度不変なので、

変化は全てエントロピー。

bbaaB cNcNkS loglog (6.58)

これを混合のエントロピーという。

混合気体のうち、成分 b が希薄 ccc ba だとすると、

cNcNkcNcNkS baBbaB loglog1log (6.59)

(6.54), (6.55) の第2項は混合のエントロピー由来。 (体積が大きい容器への移行由来)

希薄溶液

2成分液相系で、片方の液体の量が他方より遥かに尐ない場合。

前者(尐ない方)を溶質(solute)、後者(多い方)を溶媒(solvent)。

N 個の溶媒分子、n 個の溶質分子からなる希薄溶液を考える。 nN

古典統計力学が成り立つとし、溶媒・溶質分子の運動量、座標、質量を各々

MQP ii ,, 、 mqp jj ,,

とすると、全系の Hamiltonian は

qQVm

p

M

PH

j

j

i

i ,22

22

(6.60)

Page 15: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

15

但し、 qQV , は分子間の相互作用ポテンシャルで、全ての分子間の総和である。 これは液相で

は求める事は難しいが、希薄溶液においては、以下の様な近似で考える。

溶質分子を空間的な配置で静止しているものとし、その間を溶媒分子が動き回っていると考える。

この時の Hamiltonian は

qQVM

PH

i

i ,2

2

(6.61)

溶質分子は低濃度なので、溶媒分子が2個以上の溶質分子から同時に相互作用を受ける事がないと考

えられる。

この様な場合、系の自由エネルギーへの影響は、溶質分子の数に比例し(する部分がある)、その

比例係数は溶媒の局所的な性質のみに依存。

よって、溶質分子を空間的に止めた時の Gibbs の自由エネルギーは pT ,0 を純粋な溶媒の

化学ポテンシャルとして、

pTnpTNqG ,,0 (6.62)

となり、溶質分子の座標 mqp jj ,, に依存しない。 pT , が上に述べた溶質分子の数に比例す

る部分の比例係数である。 (溶質-溶媒の相互作用で決まる)

ところで、(6.46), (6.47) の様に分配関数を求めるにあたり、実際には溶質分子は動き回るので、

運動量・位置座標に関する積分を考えてやらなくてはならない。 しかし、(6.62) は既に位置座標に

は依存していないので、運動量に関する積分だけ考えれば良く、これは理想気体の計算に相当。

実際、図 6-9 で、溶質の周囲は十分隙間があると見れば、理想気体の状態を調べているのと同等で

ある事が見て取れる。 更に、簡単のため、溶質に1原子分子を考え内部自由度を無視すると、化学

ポテンシャルは (6.10) の回転自由度を除いた項

n

VTmkTk B

B

23

22log

(6.10)’

溶質分子: n個

(pj, qj)

影響を受ける

領域

溶媒:分子 N個

(Pi, Qi)

図 6-9 希薄溶液:溶媒と溶質分子

Page 16: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

16

が (6.62) に加わる(この様な分子が n 個)。

よって、

n

NTnkpTnpTN

n

NTnk

N

VTmkTnkpTnpTN

n

VTmkTnkpTnpTNpTG

B

BB

B

BB

log,,

log2

log,,

2log,,,

0

23

20

23

20

(6.63)

ここに

N

VTmkTkpTpT B

B

23

22log,,

(6.64)

である。

(6.63) に、化学ポテンシャルの定義 pTN

G

,

(6.5) を用い、溶媒・溶質の各々に対する

化学ポテンシャル 、 は、 pT , 、 pT , を N と無関係な関数と見做して、

TckpTTkN

npT

N

GBB

pT

,, 00

,

(6.65)

cTkpT

TkcTkpTTkn

NTkpT

n

G

B

BBBB

pT

log,

log,log,,

(6.66)

但し、ここで、

1N

nc (6.67)

なので、 0log c として、(6.66) で、第3項の TkB を無視した。

(6.65), (6.66) は基本的に混合理想気体のエントロピー(この時片方の成分が希薄と仮定した)

(6.54), (6.55) と同じである。

(当たり前と言えば当たり前の結果。 (6.60), (6.61) で Hamiltonian にポテンシャル項が出てきて

いるが、結果的に、これが化学ポテンシャルの中に取り込まれていると思えば良い)

浸透圧

図 6-10 の様に、同種の溶媒・溶質を用い、濃度のみ異なる希薄溶液1,2を半透膜で仕切る。

この時、半透膜の存在により、平衡を決めるのは圧力ではなく化学ポテンシャルである。

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17

2溶液の濃度・圧力を図の通り、2121 ,,, ppcc とおくと、(温度は何れも同じとする)

2211 ,,,, cpTcpT (6.68)

ここに、(6.65) TckpT B ,0 を代入して、

TkcpTTkcpT BB 220110 ,,

∴ TkccpTpT B212010 ,, (6.69)

濃度差 21 ccc 、圧力差

21 ppp のどちらも小さいとすると、(6.69) を展開し

TckpTppT B 2020 ,, ∴

Tckpp

pTB

20 ,

ところで、(6.16) より、

Tp

v

なので、(但し v は溶質1分子当りの占める体積)

Tckpv B ∴ Tkv

cp B

(6.70)

この時生じる圧力差を浸透圧(osmotic pressure)と呼ぶ。

希薄な2成分系の2相平衡 省略

2成分1、2で、1が希薄に混合されているとし、

これが A、B の2相(eg. 液相と気相)に分かれていて、

平衡状態にあるとする。 (半透膜はない)

媒質(溶媒:例えば成分1)のみの純粋な系が温度 T 、圧力 p

で2相平衡にあるとすれば

pTpT BA ,, (6.71)

ここに、微小量の成分2を加えたとして、各々の相における成分2の濃度をBA cc , とおく。

同じ圧力の下で平衡の温度が TT に変わったとすると、(6.65) より、

溶液1

溶液2

p1, c1 p2, c2

半透膜

図 6-10 半透膜で仕切られた

濃度の異なる溶液

= A

= B

i = 1 i = 2

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18

TTkcpTTTTkcpTT BBABAA ,,

両辺の第2項では、 Tcc BA ,, は何れも微小項なので、両方が掛け合わさった部分を無視し、

TkcpTTTkcpTT BBABAA ,, (6.72)

TT であれば (6.16) pT

s

を用いて、

TspTTT

pTpTT AA

p

AAA

,,,

TspTpTT BBB ,,

但し、BA ss , は成分1の分子1個当りのエントロピー。

よって、(6.71) に留意しつつ、(6.72) を変形すると、

TkcTspTTkcTspT BBBBBAAA ,,

∴ TkccTss BBABA (6.73)

ここで例えば、A を低温で安定な相(eg. 固体)、B を高温で安定な相(eg. 液体)とすれば、

qTss AB

は、6-3節で定義した相転移の際の1分子当りの潜熱。 すると、T

qss BA を用い (6.73) は

2TkccTq BBA ∴ q

TkccT B

BA

2

(6.74)

固体(A)と液体(B)が相平衡のある時、液体には溶けるが固体には溶けない(例えば、塩は水

には溶けるが、氷には溶けない)物質を加えると、BA cc で、 0Ac 、 ccB とおくと

q

TkcT B

2

(6.75)

で、液体(B)に固体を溶かすと、相平衡温度(融点)が下がる。

以上の考察から分かるのは、凝固点以下で溶けにくい溶質を溶媒に溶かせば融点が下がる、という

事である。 原理的には、液体には溶けにくく固体に溶け易い溶質を溶かせば融点が上がる事になる。

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19

6-5 化学平衡

粒子数が変化する時を考える。

化学平衡の条件

A分子とB分子が化学結合してC分子になる化学反応

CBA (6.76)

ある瞬間の各分子の数を、 CBA NNN ,, とする。 反応速度が十分遅いとすると、部分平衡にあ

ると考えられる。 この状態での Gibbs の自由エネルギーを

CBA NNNpTGG ,,;, (6.77)

とすれば、熱平衡はこれを分子数について最小にするもの。

一方、反応による質量保存より、

CACBBA NNBNNANNCC N

G

N

G

N

G

dN

dG

,,,

(6.26)

ijNpTi

a

i

i

N

G

,,

より、上式右辺は、C, A, B 分子の化学ポテンシャル。

よって、 0CdN

dG より、化学平衡の条件は、

CBA (6.78)

気体の化学平衡

反応にかかわる分子が全て気体とする。 (6.76) でA,Bは1原子分子、Cは2原子分子ABであ

るとする。 (6.52) より、A分子の化学ポテンシャルは、

pc

TkTkmTkcpT

A

BBABAA

23

22log,,

(6.79)

pc

TkTkmTkcpT

B

BBBBBB

23

22log,,

(6.79)

AB分子の結合エネルギーを b , 回転エネルギー式 (4.57) と併せ、

2

2loglog

TIkTkzTk B

BB (4.57)

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20

b

B

B

AB

BBAB

B

brAB

AB

BBAB

BABAB

TIkTk

pc

TkTkmTk

Tpc

TkTkmTkcpT

2

23

2

23

2

2log

2log

2log,,

(6.80)

これらを (6.78) に代入し、

bB

B

AB

BBABB

B

BBBB

A

BBAB

TIkTk

pc

TkTkmTk

pc

TkTkmTk

pc

TkTkmTk

2

23

2

23

2

23

2

2log

2log

2log

2log

Tk

TIk

pc

TkTkm

pc

TkTkm

pc

TkTkm

B

bB

AB

BBAB

B

BBB

A

BBA

2

23

2

23

2

23

2

2log

2log

2log

2log

Tk

TIk

pc

TkTkm

pc

TkTkm

pc

TkTkm

B

bB

AB

BBAB

B

BBB

A

BBA

2

23

2

23

2

23

2

2

2log

22log

Tk

TIk

cm

p

TkTk

ccmm

B

bB

AB

ABBB

BA

BA

2

23

23

2

23 21log

2

1log

TkTkpI

mm

m

Tk

TIk

TkTk

p

mm

m

cc

c

B

b

BBA

AB

B

bB

BBBA

AB

BA

AB

2323

2

232

23

22log

22loglog

TkTkIp

mm

m

cc

c

B

b

BBA

AB

BA

AB exp

22

2323

(6.81)

この右辺を化学平衡定数という。

bBTk の低温では、 1exp

TkB

b なので、AB分子増大。

bBTk の高温では、 1exp

TkB

b なので、AB分子減尐。

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21

6-6 グランドカノニカル分布

第3章での議論

「ミクロカノニカル分布」 は孤立系

「カノニカル」 は熱浴中の部分系

「グランドカノニカル」は開いた系: エネルギーだけでなく粒子のやりとりがある。

開いた系の統計分布

図 6-11 に示す様に、対象とする系をA,外界をBとする。

AとBを併せたものを全系とし、粒子数・エネルギーの保存則

は、

TB NNN (6.82)

TB EEE (6.83)

但し、AとBとの相互作用は無視。

全系の量子状態は、Aと B各々の量子状態を指定する事で定まる。 ここに、等確率の原理を適用。

・Aが粒子数N 、エネルギー E の一つの状態にある確率を ENP , とおく。 すると

・Bは粒子数 NNN TB 、エネルギー EEE TB の量子状態の何れかにある。

この場合の数を EENNW TTB , とすれば、

EENNWENP TTB ,, (6.84)

B のエントロピーは

BBBBBBB ENWkENS ,log, (6.85)

よって、

EENNSk

EENNW

ENSk

ENW

TTB

B

TTB

BBB

B

BBB

,1

exp,

,1

exp,

EENNSk

ENP TTB

B

,1

exp, (6.86)

外界BがAに比べ十分大きいとすると、

TNN ,

TEE (6.87)

すると

EE

SN

N

SENSEENNS

BB NB

B

EB

BTTBTTB

,,

A

B

Page 22: June 11, 2007...2 2 2 とおくと、全系の自由エネルギーは N 1 1 1 F 2 N 2, T V 2, (6.2) 熱平衡は、自由エネルギー最小で決まる。 粒子数はマクロ量なので、

22

外界の温度を T 、化学ポテンシャルを とすれば

TdE

dS 1 (1.44)

VEN

S

T ,

(6.22)

より

NET

ENS

ET

NT

ENSEENNS

TTB

TTBTTB

1,

1,,

(6.88)

外界は十分に大きく、微小変化に関し、化学ポテンシャルを は一定とする。

(6.88) を (6.86) に代入し、 TTB ENS , が定数である事に留意すると、

NETk

ENPB

1

exp, (6.89)

これを規格化して、係数を定めると、

NETkT

ENPB

1exp

,

1, (6.90)

Grand canonical 分布 (大きな正準分布)

N n

n

B

NNETk

T 1

exp, (6.91)

NEn : 粒子数が N の量子状態 n のエネルギー

,T : 大分配関数 (グザイ)

粒子数 N が与えられている時の分配関数は

n

n

B

NETk

TNZ1

exp, (6.92)

で、大分配関数との関係は

N

TkNTNZeT B ,,

(6.93)

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23

粒子数のゆらぎ

開いた系では粒子数も変化。 粒子数が N である確率は

TNZe

T

NNETkT

NENPNP

TkN

n

n

Bn

n

B ,,

1

1exp

,

1,

(6.94)

よって、粒子数の平均値は

N

TkN

N

TNZNeT

NNPN B ,,

1

(6.95)

ところで、大分配関数 (6.93) を で微分すると、

N

TkN

B

TNZNeTk

TB ,

1,

よって、

,log

,

,

1TTkTk

T

TN BB

(6.96)

粒子の揺らぎは (以下、参考まで。 余り拘る必要ない)

222NNNN

(6.95) より

22

2

2

2

2

1

,

,,,1

,

,,

,,

,,

1

NNTkT

TNZNeTNZeNT

Tk

T

TNZNeT

TNZNeTk

NT

TNZNeT

N

B

N N

TkNTkN

B

N N

TkNTkN

B

N

TkN

BB

BB

B

系の体積を V 、平均の粒子密度を とすれば、 VN

∴ T

BB

TkNTk

NNNNN

222 (6.97)