JXの水素ステーションと水素社会に向けた取組 · 水素社会に向けた取組 jxエネルギー株式会社新エネルギーカンパニー水素事業推進部

ＪＸの水素ステーションと水素社会に向けた取組

JXエネルギー株式会社

新エネルギーカンパニー水素事業推進部

高橋真澄

2016年11月1日

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愛知県「水素エネルギー社会形成研究会」平成２８年度第３回セミナー

ＪＸのエネルギー事業への取組み

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弊社は、日本を支える「エネルギー変換企業」として、環境にやさしく災害に強い、質の高いエネルギーを供給し続けることで、社会の持続可能な発展に貢献していきます

ご説明内容


I. 水素・燃料電池について

II. 水素の意義と普及に向けた動き

III. 水素供給ビジネスモデルと水素ST

IV. 商用インフラ構築と課題

水素の特徴


• 最も軽い元素

• 拡散が早い軽い

• 地球上に、水や化石資源の形で多く存在する豊富

• 酸素と反応し、容易に燃焼する反応

しやすい

燃料電池の仕組み


水素と酸素で発電し、排出物は水のみ。（電気分解の逆）2H2 + O2 → 2H2O

出典：燃料電池実用化推進協議会（FCCJ）ホームページ

燃料電池自動車（ＦＣＶ）について


出典：経産省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」

燃料電池自動車（ＦＣＶ:Fuel Cell Vehicle）は、燃料電池で水素と酸素から発電した電気エネルギーを使って、モーターを回して走る電気自動車。

ＦＣＶのエネルギー消費率


燃料電池自動車

内燃機関自動車

ディーゼル内燃機関自動車

ハイブリッド車

プラグインハイブリッド車

電気自動車

出典：「総合効率とGHG 排出の分析」財団法人・日本自動車研究所（平成23年3月）

ＦＣＶはガソリン車（ＨＶ含む）に比べ、１ｋｍ走行あたりの平均必要エネルギーが少なく、ＥＶとともに効率が良い。

CO2排出量の車種別の比較（Well to Wheel*）


ＦＣＶのＣＯ２排出量は水素製造源によって様々ではあるが、従来のガソリン車と比べると、ＥＶと同様にＣＯ２排出量削減が期待できる。また、再生可能エネルギー等を用いた場合の将来的な削減ポテンシャルも大きい。

*Well to Wheel (井戸元から車輪までのこと）出典：経産省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」

ＥＶとＦＣＶの比較


・ＦＣＶは既存のガソリン車と同程度の機能を持つ。

・ＥＶと比べ走行距離が長く、充填時間が短い（3分程度）。

出典：経産省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会第８回会合資料（平成25年10月）

短い長い走行距離

ご説明内容






エネルギーとしての水素の意義


貯める・運ぶ

電気水素

取り出す

石炭

太陽光

原子力

バイオマス

石油

天然ガス

風力

etc.

ＦＣＶ

使う

ＦＣＶ等

電気

ＣＯ２

水素は、エネルギーを貯める・運ぶための二次エネルギー（エネルギー媒体）

• 多様な一次エネルギーから製造→供給安定性向上

• 燃料電池と組み合わせて消費エネルギーを高効率利用→電気を貯めて安定供給

• 使用時はＣＯ２ゼロ

高効率多様な一次エネルギー

水素を取り巻く社会環境


2014年4月新しい「エネルギー基本計画」閣議決定

2014年6月経産省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」策定

2014年12月～ＦＣＶ市場投入

2016年3月 FCCJ「FCVと水素ｽﾃｰｼｮﾝの普及に向けたｼﾅﾘｵ2016」改訂

2016年3月経産省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」改訂

水素社会に向けた政府・業界の動きが加速している

出典：トヨタ自動車㈱殿ホームページ出典：本田技研工業㈱殿ホームページ

2020年

2030年

2040年

フェーズ1水素利用の飛躍的拡大（燃料電池の社会への

本格的実装）フェーズ2水素発電の本格導入／

大規模な水素供給システムの確立

フェーズ3トータルでのCO2フリー

水素供給システムの確立

2014年12月～ 2016年3月～


水素を取り巻く社会環境

自動車会社各社の動向（各社ニュースリリースベース）


◆トヨタ自動車殿• ２０１４年１２月ＦＣＶ「ミライ」を投入

◆日産自動車殿• ２０１６年６月バイオエタノールから発電した電気で走行する新しい燃料電池システム

「e-Bio Fuel-Cell」の技術を発表• ２０１６年８月 SOFC(*)を発電装置とする世界初の燃料電池電気自動車のプロトタイ

プをブラジルで発表(*)Solid Oxide Fuel Cell(固体酸化物型燃料電池）

◆日野自動車殿• ２０１５年７月トヨタ自動車殿と、東京都で燃料電池バスの実証実験を実施• ２０１５年１０月第44回東京モーターショー2015に燃料電池バスのコンセプトモデルを

出展

◆本田技研工業殿• ２０１６年３月ＦＣＶ「クラリティ・フューエル・セル」を投入

ご説明内容




III. 水素供給ビジネスモデルと水素ST既存インフラ（製油所、ＳＳ網）を活用した水素供給


既存インフラを活用した水素供給①

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• 石油業界は、製油所で水素を製造してきた

• 製造した水素は製油所内で自家使用

製油所における水素の利用

サルファ―フリー燃料

水素化脱硫装置

水素製造装置

蒸留装置

水素

原料油

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・「製油所等における水素製造」・「日本最大のサービスステーション網」を活用し、安定的な水素供給と、自動車関連サービス提供で、トータルでカーライフをサポートする

既存インフラを活用した水素供給②


水素供給サプライチェーン ⇒ＥＮＥＯＳブランドの最大の強味

水素製造拠点

水素ｶﾞｿﾘﾝ・軽油

水素

ｶﾞｿﾘﾝ・軽油

洗車・タイヤ等カーメンテナンス

ガソリン・水素等の燃料からカーメンテナンスまで、トータルでお客様のカーライフをサポート

ステーションの外観①


ガソリンスタンド一体型：DDセルフ海老名中央店

ＥＮＥＯＳブランドイメージとの親和性を図りつつ、環境に優しい水素を供給する拠点であることを表現すると共に、水素ステーションであることの分かりやすさを重視したデザイン

ステーションの外観②


移動式：横浜大さん橋ST

ガソリンスタンド一体型：DDｾﾙﾌ潮見公園店

単独型：東京目黒ST

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②運営方法

ガソリンスタンド一体型単独型

①設置方法

固定式移動式

水素製造装置を敷地内に有する

水素製造装置を敷地内に有さない

③水素製造場所

オンサイト式オフサイト式

水素ステーションの分類


水素ステーションの構成


オフサイト

オンサイト

水素製造出荷センター

水素トレーラー

圧縮機蓄圧器（水素容器）

冷凍機

ディスペンサー（計量機）

水素ステーション

ＦＣＶ

圧縮機蓄圧器（水素容器）

冷凍機

ディスペンサー（計量機）

水素ステーション

ＦＣＶ

製油所

ＬＰＧローリー

水素製造装置

水素

水素

LPG水素

LPG

冷媒

冷媒

圧縮機

●耐震設計●ガス検知器●●自動停止装置●換気設備●障壁

受け入れ・貯蔵設備

●耐震設計、温度検知器●ガス検知器●●自動停止装置、●火炎検知器、散水設備

蓄圧器

●耐震設計、温度検知器●ガス検知器、緊急遮断弁●「リークビフォーバースト」設計●火炎検知器、散水設備、

圧力リリーフ弁

ディスペンサー

●緊急離脱カプラー●ガス検知器●ガスが滞留しない

キャノピー構造●火炎検知器、

散水設備

基本的な考え方

●１水素を漏らさない●２漏れたら早期に検知し、拡大を防ぐ●３水素が漏れても溜まらない●４漏れた水素に火がつかない●５万が一、火災等が起こっても周囲に影響を及ぼさない

又は影響を軽減する

水素ステーションの安全対策


圧縮機室蓄圧器側の壁面は障壁仕様の鋼板製ケーシング

ステーション主要設備概要


圧縮機爆発、漏洩、損傷を防止するための措置

換気装置の設置換気装置停止時は、圧縮機が起動しないインターロック機構

圧縮機

◆ 特徴① 圧縮機で昇圧した水素を蓄える② 炭素繊維複合材を利用した高圧容器（軽量化と高強度を両立）③ 超高圧の水素を貯蔵するため、燃料電池自動車への急速充填が可能

⇒充填時間の短縮に寄与

遮断弁は同一フレームの内側に配置（地震対策）

漏えい検知器

遮断弁、逆止弁

散水設備（温度上昇防止）

圧力計、安全弁

ねじ接合



蓄圧器



緊急離脱カプラー（車が誤発進した場合、ホースを安全に切り離す）

車両衝突ガード

キャノピー（水素が滞留しない構造）

火炎検知器

障壁

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◆ 特徴① 燃料電池自動車に水素（70MPa）を充填する② 急速充填が可能（満充填まで約3分）

ディスペンサー

ご説明内容






インフラ整備：水素ステーション網の構築

【開所済み】1.茨城県つくば市2.埼玉県さいたま市見沼区3.埼玉県さいたま市見沼区4.埼玉県さいたま市緑区5.埼玉県春日部市6.埼玉県狭山市7.埼玉県越谷市8.千葉県千葉市花見川区9.千葉県松戸市

10.東京都江東区11.東京都品川区12.東京都杉並区13.東京都板橋区14.東京都八王子市15.神奈川県横浜市中区16.神奈川県横浜市南区17.神奈川県横浜市旭区18.神奈川県横浜市泉区19.神奈川県横浜市都筑区20.神奈川県川崎市川崎区21.神奈川県相模原市中央区22.神奈川県相模原市南区23.神奈川県藤沢市24.神奈川県伊勢原市25.神奈川県海老名市26.愛知県名古屋市緑区27.愛知県岡崎市28.愛知県刈谷市29.愛知県安城市30.愛知県みよし市31.京都府京都市伏見区32.大阪府枚方市33.大阪府茨木市34.福岡県北九州市八幡東区35.福岡県福岡市西区36.福岡県大野城市37.福岡県粕屋郡志免町【計画中】38.神奈川県横浜市港北区39.愛知県あま市40.福岡県古賀市※黒字はオフサイト、赤字はオンサイト

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• 「水素・燃料電池戦略ロードマップ」（2015年頃100箇所ST整備）にそって4大都市圏に40箇所程度のＳＴを目標に供給インフラを整備中

• 4大都市圏に37ヵ所を開所済み（2016年10月現在）今年度は、3ヵ所を計画中

：ｶﾞｿﾘﾝｽﾀﾝﾄﾞ一体型

：単独型

※ガソリン計量機と水素充填機を設置

※水素充填機のみを設置

：移動式

※トラックに圧縮機、蓄圧器、ディスペンサーを搭載

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：計画中

インフラ整備：水素ステーション開所状況（2016年10月）


出典：FCCJのHP ※一部情報は当社で更新 http://fccj.jp/hystation/index.html#hystop

都府県運営中計画中

合計当社他社当社他社

宮城 1 1茨城 1 1埼玉 6 2 8千葉 2 1 3東京 5 6 2 13

神奈川 11 1 2 14山梨 1 1岐阜 2 2静岡 1 1 2愛知 5 10 1 16三重 2 2滋賀 1 1京都 1 1 2大阪 2 5 7兵庫 1 1 2広島 3 3山口 1 1徳島 2 2香川 1 1福岡 4 3 1 1 9佐賀 1 1大分 1 1総計 37 41 3 12 93

ＥＮＥＯＳ水素サプライ＆サービス

インフラ整備：供給体制の構築


ガソリンスタンド運営店

ガソリンスタンド一体型ステーション単独型ステーション

水素トレーラー

水素製造出荷センター（横浜市中区）

ＦＣＶへの水素供給体制構築の一環として、「株式会社ＥＮＥＯＳ水素サプライ＆サービス」を設立

移動式ステーション

インフラ整備：供給体制の構築


水素製造出荷センターを、神奈川県横浜市に設置（２０１６年３月開所）

ＦＣＶへの水素供給体制を強化するため、神奈川県の当社施設内に、水素製造出荷センターを建設。これらの設備は、当社から委託を受けた株式会社ＥＮＥＯＳ水素サプライ＆サービスが運営。

①水素パイプラック（←至出荷設備）

②水素製造装置（２基）

③ＬＰＧタンク（３基）

①② ③

水素ステーションの課題①


水素供給インフラ構築の課題解決に、官民一体で取り組む

全社平均約3.9億円（ｷｬﾉﾋﾟｰ、防火塀等を除く）

⇒2020年代後半までに水素ステーション事業の自立化を目指す・技術開発 ⇒装置全体のパッケージ化・小型化

圧縮機・蓄圧器のコストダウン・規制見直し ⇒使用可能鋼材の拡大、障壁の技術基準の見直し、

海外規格材料の導入・標準化 ⇒設計費・工事費削減

課題①建設コスト

課題②ＳＴ運営コスト

・定期検査のさらなる効率化（検査項目簡素化、実施頻度・間隔の見直し）・機器補修費のコストダウン（例）ホース定期交換費用など

水素ステーションの課題②

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課題③水素への「親しみ」向上

自治体と連携した情報発信、体験・見学会等により、水素への「親しみ」向上を図る

・実使用条件での水素ST建設/運用評価を通じた「安全・安心」の実践・証明・地域の方々を対象とした啓発活動の推進（体験を通しての正しい情報の発信）

取組み例：水素STでの見学イベント


水素に関する情報発信事例①


Tsunashima SST(*)（横浜市港北区綱島）に建設中の水素ステーションに、常設の水素情報発信拠点の設置を計画中

(*)Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST）• パナソニック殿が進めるCRE（Corporate Real Estate）戦略に基づく

工場跡地等の企業不動産を活用したプロジェクト。• 当社も含めた異業種の複数事業者が協業し、

横浜市等の行政の協力を得ながら、タウン内のみならず、地域と繋がる次世代都市型スマートシティとして国内外に発信していく。

出典：Tsunashima SST ホームページ水素ステーション（イメージ）

日吉・綱島の再開発、新駅開業


異業種の複数事業者が協業し、横浜市等の行政の協力を得ながら、タウン内のみならず、地域と繋がる次世代都市型スマートシティとして国内外に発信

（前頁より続く）綱島サスティナブルスマートタウン（横浜）の事例

■街づくり推進体制 ■広域連携

FCVユーザーの育成

環境意識の高い顧客層が集まる場所

FCV普及期に中核ユーザーとなりえる若年層の存在

ニュースバリューが非常に高い

タウン参加企業、自治体の旺盛な情報発信意欲

ENEOS水素ブランド価値の向上

「サスティナブル」の街コンセプト


水素情報館「東京スイソミル」・子供が水素エネルギーのことや水素社会の将来像を、見て触って体験しながら楽しく学べる総合的学習施設（東京都環境公社が運営）・当社「東京潮見水素ステーション（ｶﾞｿﾘﾝｽﾀﾝﾄﾞ一体型）」と隣接。

水素に関する情報発信事例②

様々な用途様々な水素源

長期的な取り組み：再生可能エネルギー由来水素

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水素製油所

再生可能エネルギー

水素発電

ＦＣＶ

etc.etc.

長期的には再生可能エネルギー由来水素の活用や、ＦＣＶ以外の様々な用途への展開をはかる

CCS

家庭用・産業用電源（分散電源）


ご清聴ありがとうございました

エネゴリくん

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