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臨床で薬剤を使用する際に重要となってくる臨床薬理学についてまとめたものです.約10年前に作成したので、一部古い部分もあると思いますが、ご了承ください.
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臨床薬理
・薬動学(PK:pharmacokinetics) 薬物濃度の速度論 →生体による薬物の処理過程(吸収、分布、代謝、排泄) それに関与する酵素等を研究 →生体内における動態を解明する学問 ⇒薬物の濃度と時間の関係をみる
・薬力学(PD:pharmacodynamics) 薬理効果の速度論 →組織に分布して作用部位に到達した薬物が, 生体の機能を修飾し薬理作用を発現する過程を研究 ⇒薬物の濃度と効果の関係をみる
例:容量と効果の関係 容量・反応曲線 結合曲線
・薬動力学(PK/PD) 薬動学モデルと薬力学モデルの合理的な結合 →薬物の効果と時間の関係をみる事が出来る
Kenichi Sato
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体内での薬物の流れ
薬物動態:吸収相,分布相,(分布平衡相)、代謝相、排泄相 ⇒生体に投与された薬物が効果を発現し、生体内から消失する過程
1.吸収相 投与部位から生体内のバリアーを透過して薬物が循環血液中に移行する現象.最初に血中濃度の上がる時期でもある.
主な経路*経口投与:消化管を介して薬剤を投与する. 利点:簡便で確実、安全性が高い 欠点:投与部位と吸収部位に距離がある 肝臓で初回通過効果を受ける(経口では全ての薬剤)(関係する数値:生体内利用率、吸収速度定数)
*皮下注射:皮下組織に注入するので多量の薬液が注入*筋肉注射:毛細血管が多いため皮下注射よりも吸収が更によい*静脈注射:全投与量が全身に回るので早期・強力に薬剤の効果が出る
Kenichi Sato
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2.分布相 血流で各部位に運ばれ血管壁を透過 →臓器や組織の細胞内液・組織間液へと移行する現象 薬理効果の程度や持続時間を支配する重要な時期 副作用とも関係(関係する数値:分布容積、蛋白結合率)
・(分布平衡相) 血液と組織内の薬剤濃度が同じになる
3.代謝相 体内に取り込まれた薬物が受ける化学構造の変化 代謝により作用が消失したり、薬理効果を発現したり、 毒性を示す事がある 主な代謝部位は肝臓、その他として腎臓、肺、皮膚、消化管など
4.排泄相 血液内・組織内の分布比率を保ちながら代謝され一定の早さで消失 排泄先:腎、胆汁、消化管(関連する数値:クリアランス、腎クリアランス、代謝クリアランス、 未変化体排泄率、消失速度定数.生物学的半減期)
Kenichi Sato
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薬動学の考え方
2コンパートメントモデル速度論的に2つの部分に分けてその間を薬物が移動すると考える →薬剤の濃度を解析する方法
・中心コンパートメント:血液+血流が多く速やかに薬が分布した組織 例:肝臓,腎臓,心臓,肺
・末梢コンパートメント:すぐには薬が行き渡らなかった末梢組織 例:筋肉,脂肪,皮膚,骨髄、骨
体内での薬剤の動き・吸収相~分布相 はじめに中心コンパートメント内の血中濃度が高くなる 少しずつ薬剤が末梢コンパートメントへと移動していく ・分布平衡相~消失相 中心コンパートメントと末梢コンパートメントの濃度が同じになり その濃度を保ったまま(代謝され)体内から排泄されていく
Kenichi Sato
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副作用との関係☆・副作用とピーク値の関係 →副作用を起こす効果器が中心コンパートメントにあるかどうか 中心コンパートメントにある:ピーク値時に副作用がでる 末梢コンパートメントにある:ピーク値時に副作用がでない
薬物の血中濃度曲線☆
・最高血中濃度(Cmax): 血中の薬物濃度が一番高くなった時 理由:投与速度の方が組織への分布速度よりも早いため 血液(中心)コンパートメントの濃度が高い
・最高濃度到達時間(Tmax): 薬剤を投与してから最高血中濃度に達するまでの時間・ピーク値(Cpeak): 組織の薬物濃度が一番高くなった時
Kenichi Sato
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理由:血液から組織に薬剤が移動し平衡状態になった時に 組織内の濃度が最高になる
・半減期(T1/2): 血中の薬物濃度がある量から半分に減少するのに要する時間
・血中濃度ー時間曲線下面積(AUC) 血中濃度曲線のグラフと横軸によって囲まれた面積
重要なこと 薬物を投与した後どれ位たつと薬物血中濃度と効果や副作用と 対応できるものになるか.
血中の薬剤の動き結合型薬物 ⇔ 遊離型薬物 血管壁を通過し細胞外液中に分布する 脂溶性薬剤は細胞膜を透過して分布する 細胞外液中に入った遊離型薬物の動き 細胞外液中でも結合型薬物と遊離型薬物として存在(可逆的) →遊離型薬物のみが受容体などと作用しあう 定常状態になると全身循環血液中と細胞内遊離薬物は平衡状態となる
Kenichi Sato
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薬物体内動態を表現するパラメーター 5大重要パラメーター1.生物学的利用率:F2.見かけの分布容積:Vd3.全身クリアランス:CLtot4.薬物尿中排泄量:Ae(%)5.血漿蛋白結合率:
生物学的利用率:F定義(バイオアベイラビリティ bioavailability) 薬物の投与部位における吸収性の程度=生体への利用されやすさ 血管外投与では全てが全身循環血中に到達するわけではないため
投与された薬物が体循環血液中に到達する割合とその際の速度・到達する割合=生物学的利用率 EBA: extent of bioavailability・その際の速度=生物学的利用速度 RBA: rate of bioavailability
影響を及ぼす要因1.薬剤の溶解度 2.薬物の生体膜への透過性(Fa)3.初回通過効果(肝臓、小腸上皮)4.吸収部位の広さ
・生物学的利用率 EBA: extent of bioavailability =体循環血液中に入った薬物量/投与薬物量×100 体循環血液に入った薬物量は直接測定できない ⇒AUCを代わりに使って推定する
・生物学的利用速度 RBA: rate of bioavailability実際に用いられる指標としては、CmaxとTmax 初回通過効果吸収部位から全身循環血中に入るまでに消失臓器があると影響を及ぼす影響を及ぼす部位:肝臓(Fh)、消化管粘膜上皮(Fg)
Kenichi Sato
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F=Fa×Fg×Fh
分布容積:Vd 定義 体内に存在する薬がその時の血漿中濃度と同じ濃度で分布していると 仮定したときに占める体積(架空の体積). =体を一つの均一な容器とした時に薬が貯まる量薬剤で固有値をとる(疾患罹患時は変動しうる)
*分布容積(Vd)=体内薬物量/血漿中薬物濃度
なぜ分布容積の考えが必要なのか?・薬剤は血中だけなく、組織内にも一定の割合で蓄えられている.その為、薬物の濃度を考える時にはその部分に存在する薬剤量も考慮する必要あり
・循環血液中に到達するまでは「量」で換算できるが、循環血液中にはいると「濃度」でしか情報が入ってこないため
組織
組織液
血漿
全体液量:全体重の60%(0.6L/kg) 細胞内液:全体重の40%(0.4L/kg) 細胞外液:全体重の20%(0.2L/kg) 組織間液:16%(0.16L/kg)、血管内液:4%(0.04L/kg)
Kenichi Sato
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Vdによる貯留部位の推定
BW 60kgとして換算・血管内に留まる⇒ Vd≦0.04L/kg(3L) →蛋白との結合が強く血管内に留まっている
・細胞間に分布 ⇒0.04L/kg(3L)<Vd≦0.2L/kg(12L) →血管壁は通過するが蛋白結合性が強く組織より血漿内濃度が高くなる
・細胞内に入る ⇒ 0.2L/kg(12L)<Vd≦0.6L/kg(36L) →細胞膜を容易に通過するため全体液中に分布する
・組織に蓄積 ⇒ 0.6L/kg(36L)<Vd →体内の特定に組織中に強く結合して蓄積する
分布容積に影響を及ぼす因子毛細血管壁透過性、蛋白結合性、組織親和性・組織からの考え方 *脂肪分が増える=脂溶性薬剤では脂肪への組織移行がおこる 水溶性薬剤では脂肪への組織移行はない *水分が増える=脂溶性薬剤では脂肪への組織移行はない 水溶性薬剤では脂肪への組織移行がおこる
・薬剤からの考え方 *組織移行が良好な薬剤 =脂溶性薬剤、タンパク結合率が低い ⇒分布容積が大きくなる(組織にもたくさん貯まる)
*組織移行が不良な薬剤 =水溶性薬剤、タンパク結合率が高い ⇒分布容積が大きくならない(組織にはあまり貯まらない)
Kenichi Sato
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半減期生体内の薬物が代謝・排泄されて半分になるのに要する時間
半減期(t1/2)=0.693×Vd÷CL (=0.693/kel) Vd:分布容積、CL:クリアランス消失速度定数(kel)=CLtot/Vd
α相(分布相);速い相 薬剤が血中から組織中に移行するために速やかに血中濃度が減少 →作用部位の組織中濃度と血中濃度は平衡ではない
β相(消失相):遅い相 平衡状態となった薬剤が代謝・排泄によって血中濃度が減少 →作用部位の組織中濃度と血中濃度は平衡となっている
添付文書では通常は消失相の半減期が書かれている
Kenichi Sato
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定常状態と非定常状態☆血中濃度を測定するには定常状態になっている時に行う事が望ましい
・非定常状態:定常状態に到達するまでの状態 *非定常状態での採血で投与設計を行った時は 定常状態になった頃を見計らってもう一度確認した方がよい
・定常状態:体内に薬物が蓄積しきった状態 =投与した量と排泄される量が等しくなる この時の血中濃度はある一定の幅の中で変動する
特徴:血中薬物濃度が上がると排泄される薬剤量も増える 単位時間あたりの排泄量が多いと早く定常状態に近づく 半減期×5で定常状態の96.9%に達する *定常状態の時に投与量を2倍にすると血中濃度も2倍となる
Kenichi Sato
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投与間隔と定常状態の関係 *薬物相互作用によって変化しうるので注意1.血中濃度半減期より短い投与間隔で投与 →高い血中濃度で定常状態に達する(定常状態到達時間は同じ)
2.投与間隔が血中濃度半減期の5倍以内のとき →投与するたびに血中濃度は確実に上昇するので 必ず定常状態に到達する
3.投与間隔が血中濃度半減期の5倍以上のとき →体内の薬は完全に消失しているので血中濃度の動きは 初回投与の時と同じ(定常状態にはならない)
服用回数と最低限必要な半減期服用回数:1日1回→血中濃度半減期:4.8hr位服用回数:1日2回→血中濃度半減期:2.4hr位服用回数:1日3回→血中濃度半減期:1.6hr位服用回数:1日4回→血中濃度半減期:1.2hr位
クリアランス 定義肝臓や腎臓などの排泄臓器によって薬を含んだ血液がどの程度除去できたかの指標 *薬物消失速度=血漿中濃度(Cp)×クリアランス(CLtot) *血中濃度に依存しCLだけではどれ位除去されたかは分からない
CLtot=CL肝+CL腎CL肝:薬物が代謝されて消失していく(測定できない)→腎外クリアランスCL腎:薬物が排泄されて消失していく(測定可能)→腎クリアランス
*(参考)1日・1回投与量の薬理的な考え方* 血中濃度が分かったとしての計算
Kenichi Sato
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・1日投与量=Cp×CL×投与間隔 Cp:維持したい血中濃度(mg/L)、投与間隔:1日投与量では24時間 CL:クリアランス(L/hr) ⇒同じクリアランスであれば分布容積に左右されず同じ投与量でいい
・1回投与量→薬剤の血中濃度の振れ幅によって決定される 1回投与量=Cp×Vd×体重 Cp:維持したい血中濃度(mg/L)、Vd:分布容積(L/kg)
・loadingについて薬剤の投与直後より血中濃度を維持したい時はまず初期量を静注その後より点滴静注を行っていく
タンパク結合率体内で薬剤は結合型と遊離型が存在している
・結合型(bound):血漿蛋白(7%)と結合している 蛋白:アルブミン、α1酸性糖蛋白、グロブリン ・アルブミン:酸性系の薬が結合 ・α1酸性糖蛋白:塩基性の薬が結合 ・グロブリン:グロブリンと特異的な薬剤・遊離型(free):蛋白に結合していず、そのままの状態で存在
*遊離型薬剤が血液、間質液、細胞内へと拡散し作用を発揮 →蛋白結合の強さが代謝・排泄臓器への移行や体内での組織分布に 関わっている
蛋白結合率=(1ー遊離型薬分率)×100(%)
*遊離型薬分率=遊離型薬物血中濃度÷総薬物血中濃度×100(%) 採血で分かるのは総薬物血中濃度のみ 蛋白量が一定なら存在比率は飽和が起こるまでは一定の割合
Kenichi Sato
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→総薬物血中濃度を遊離型濃度の代わりとして扱う *蛋白量が変化すると存在比率は変わる =蛋白量が変化する疾患や病態を理解しておく必要がある *一般に脂溶性が増大すると結合率も増大する
蛋白結合に影響を及ぼす病態・薬剤相互作用(常に蛋白結合率は一定でない事には注意)一般的に蛋白結合率が80%以上だと蛋白結合率が高い
蛋白結合率が問題となるのは蛋白結合率が高い薬(80%以上) ⇒蛋白結合率が低下すると遊離型薬剤は増加する
・薬物相互作用:血漿アルブミンが中心 結合部位:ワルファリンサイト、ジアゼパムサイト、ジゴキシンサイト ⇒結合部位が同じで蛋白結合力が強い薬があると結合部位で競合し 結合力が相対的に弱い薬が追い出され遊離型薬剤の量が増える *薬の競合以外にビリルビンや遊離脂肪酸、尿毒症などでも結合率が 変化するので注意が必要
・病態による影響ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養状態など アルブミンの喪失・合成不足による低アルブミン血症 →遊離型薬剤の比率が増加 フェニトインはアルブミン値が変動しても遊離型血中濃度は変化しない
*一過性に遊離型薬剤が増えても組織への移行・排泄亢進などで 調整されて遊離型薬剤血中濃度が急激に高くなる事はない しかし、薬の特性によって蛋白結合率の変動が遊離型薬剤濃度に どのように影響するかを考える必要がある
Kenichi Sato
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遊離型血中濃度が増加した時の薬物動態 大きな流れ1.分布から考えた遊離型薬物の組織への移行2.クリアランスからみた遊離型薬物の生体外への排泄 *通常遊離型薬物は血液よりも容量の大きな組織に分布 組織との平衡を保つ
アルブミン低下・蛋白結合部位での競合が起きた時の変化1)一時的な遊離型薬物血中濃度の上昇 (薬物がアルブミンから遊離するため)
2)遊離型薬物が組織へ移動していく 血液中と組織内の薬物濃度が平衡状態となっていく
3)全体としての血中濃度が上昇するとクリアランスが変わらない限り 腎臓からの排泄量が増えていく (排泄量=血液濃度×クリアランスの関係から)
*薬理学的な相互作用は結合部位の競合だけではなく代謝阻害等による 影響も考慮する必要がある
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薬剤代謝 定義体内に取り込まれた薬物が受ける化学構造の変化(水溶性物質に変化する) 代謝と薬効薬剤の効果が消失するだけではなく、活性化されたり、毒性を発現したりする
脂溶性薬剤:肝細胞内で代謝⇒極性の強い代謝物に変化した後で排泄非脂溶性薬剤:未変化のまま腎糸球体で濾過され、その極性のため糸球体 で再吸収を受けず排泄される
活性代謝物 代謝物が生物活性を持ち、代謝される前の物質よりも生物活性が高い親 薬 物 活 性 代 謝 物フェニルブタゾン オキシフェンブタゾンプロントジル スルファニルアミドフェナセチン アセトアミノフェンプリミドン フェノバルビタールジアゼパム オキサゼパムイミプラミン デシプラミンアロプリノール オキシプリノールコデイン モルヒネ 、モルヒネ6-グルクロニド
Kenichi Sato
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肝臓での代謝・細胞分画と行われる薬物代謝反応ミクロソーム☆:酸化、還元、加水分解、グルクロン酸抱合 *実験操作上の言葉で生体内にはこの名称の器官はない 可溶性画分:グルタチオン抱合、硫酸抱合、アセチル化、 アルコール類やアルデヒド類の酸化ミトコンドリア:酸化的脱アミノ化、アミノ酸抱合 リソソーム:エステル加水分解
薬物の代謝様式 第1相反応:薬剤分子中で官能器の露出 酸化、還元、加水分解1.酸化 生体内で最もよく見られる薬物代謝反応.チトクロームP-450が関与2.還元 ミクロソーム酵素によるニトロ基の還元など 主に肝臓で行われるが腸内細菌も関与してくる3.加水分解 非特異的エステラーゼによるエステルの加水分解など
第2相反応:生体成分(グルクロン酸など)が結合し水溶性の 高い抱合体を生成 →生体膜透過性低下、尿中・胆汁中への排泄促進 抱合:グルクロン酸抱合、硫酸縫合、メチル抱合、アセチル抱合 アミノ酸抱合、グルタチオン抱合
Kenichi Sato
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チトクロームP-450の分類CYP1A2:喫煙により誘導を受ける酵素.肺に多く、肝に少ないテオフィリン、カフェイン、フェナセチン、プロプラノロール 拮抗:キノロン系抗生剤 (エノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン)
CYP2C9:酸性薬物で蛋白結合率が高い.ヒト常在型トルブタミド、フェニトイン、ワーファリン、ピロキシカム、テノキシカム、ジクロフェナック、ナプロキセン、イブプロフェン、メフェナム酸、スルファフェナゾール 拮抗:サルファ剤
CYP2C19:遺伝多型性を示す酵素.日本人では20%が欠損オメプラゾール、ジアゼパム、イミプラミン、プログアニル、ヘキソバルビタール、メフェニトイン、メホバルビタール 拮抗:オメプラゾール
CYP2D6:遺伝多型性を示す酵素.日本人では欠損少ないアミトリプチン、クロミプラミン、コデイン、デシプラミン、デキストロメトルファン、エンカイニド、フレカイニド、フルフェナジン、イミプラミン、メトロプロロール、ノルトリプチン、ペルフェナジン、プロパフェノン、スパルテイン、チオリダジン、プロプラノロール、チモロール、ハロペリドール 拮抗:キニジン、シメチジン、プロパフェノン、ハロペリドール
CYP3A4:多種多様な薬物が関与する酵素ニフェジピン、コルチゾール、シクロスポリン、エリスロマイシン、リドカイン、キニジン、ジルチアゼム、ベラパミル、ゾニサミド、ジアゼパム、デスメチルジアゼパム、タモキシフェン、アミオダロン、エトポシド、ミダゾラム、トリアゾラム、コカイン、ダプソン、テルフェナジン、カルバマゼピン、クラリスロマイシン 拮抗:マクロライド系抗生剤、シメチジン、アゾール系薬物 クロトリマゾール
Kenichi Sato
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薬物代謝酵素阻害型相互作用が起こりやすい薬特徴1.肝臓代謝型(尿中未変化体排泄率が高い)2.血中濃度が非線形の速度過程を示す(血中濃度が投与比以上に上昇) →一定量を超えると代謝が十分に行われなくなる
腎排泄と肝排泄☆
・腎排泄型薬剤:未変化体で尿中に排泄される・肝排泄型薬剤:肝臓で代謝されて薬効を失い排泄される →尿中未変化体排泄率(fu)を目安とする 60%以上:腎排泄型 40~60%:肝・腎排泄型 40%以下:肝排泄型
*投与した全てが未変化で排泄された時が100% *経口剤では吸収率が問題となる *代謝物に活性がある時は未変化体と代謝物を合わせて考える *未変化体が多く排泄される時は腎機能低下がないか注意が必要 fu≧70では注意(特に高齢者) *尿中未変化体排泄率が書いていない時もあるので注意
Kenichi Sato
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肝排泄型と腎排泄型の違い
項目 肝排泄型薬物 腎排泄型薬物体外への消失 肝臓で代謝 腎臓から排泄酵素誘導・阻害 影響が多い 影響が少ない肝疾患時血中濃度 上昇 変化なし肝疾患時投与量 減量 不変腎疾患時血中濃度 変化なし 上昇腎疾患時投与量 不変 減少
尿中未変化体排泄率が分からない時 ⇒油水分配係数(P)にて判断する 油と水のどちらに溶けやすいかを表している
・分配係数>1:脂溶性薬物→殆どは肝排泄型 吸収はよい 初回通過効果を受けやすい 組織に移行しやすい
・分配係数<1:水溶性薬物→殆どは腎排泄型 吸収は良くない 初回通過効果を受けにくい 血液・脳関門を通過しにくい
Kenichi Sato
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薬剤の副作用・薬理作用の過剰発現 元々その薬が備えている薬理作用のため、発生頻度が高い 日常の効果の観察によって副作用をチェックする 副作用が発現した時の対処:減量、他剤に変更
・薬物毒性 多くは投与量・投与期間に依存するので長期投与・大量投与では注意 腎毒性、肝毒性、血液毒性が主なもの →定期的な採血などで評価する 添付文書で臨床検査値への影響があれば起こりうる
・薬物過敏症 投与量に関係なくあらゆる薬・あらゆる臓器に起こる可能性がある *多くは6ヶ月以内に発現する 問診やアレルギーテストに頼るしかない 副作用が発現した時の対処:即座に中止 添付文書に好酸球上昇があるかどうかが目安にもなる
Kenichi Sato
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TDMと薬剤投与TDM: Therapeutic Drug Monitoring 血中濃度を効果判定の指標にし,副作用が起こらないように投与量を調整していく事
TDMが必要な薬剤 抗てんかん薬,強心配糖体,抗不整脈薬,テオフィリン, 免疫抑制剤(タクロリムス.シクロスポリン),メトトレキセート 抗生剤(アミノ配糖体,グリコペプチド系)など
なぜTDMを行うか ・血中濃度と治療効果・副作用発現が相関する ・治療域と副作用発現域が近く,副作用を起こしやすい薬物 ・薬物の吸収,分布,代謝,排泄に個人差が大きい薬物 ・濃度依存的に生じる副作用が重篤な薬物
有効血中濃度について あくまでも効果判定のための平均的な参考値として考える →ある時点で得られた血中濃度がその時点でどのような効果が あるかを評価し,その濃度からの変化率を個々の例で考えていく *有効血中濃度を示した例と異なる時は参考にならない
採血時間を決めるポイント・現在の投与量と予想される血中濃度・採血の目的が効果もしくは副作用の確認のためか
採血を行うタイミング・トラフ値:次回投与直前の谷間に採血する・ピーク値:臨床効果が最大となる時の血中濃度
・トラフ値で採血する薬剤 理由:効果と副作用の確認のため (薬剤によっては副作用の確認にピーク値を採血する必要がある)ジギタリス製剤,抗てんかん薬,グリコペプチド系抗生剤,タクロリムス
Kenichi Sato
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シクロスポリン,抗不整脈薬,ハロペリドール,ブロムペリドール,リチウム,サリチル酸系製剤.テオフィリン製剤(場合によってピーク値も採血する薬剤:テオフィリン製剤,バンコマイシン,リドカイン,プロカインアミド,メキシレチン,キニジン)
・トラフ値とピーク値を採血する薬剤 理由:効果はピーク値に依存し,副作用はトラフ値に依存するため 特に腎機能障害時はトラフ値が上昇する事が多いアミノ酸配糖体系抗生剤
・投与開始後24, 48,72時間後に採血する薬剤 理由:投与終了後も一定の血中濃度が続くと重篤な副作用を起こしうるメトトレキセート
トラフ値とピーク値の解釈1.トラフ値とピーク値共に副作用域に入っている時 →投与量が多いので減量する2.トラフ値とピーク値共に治療域に入っている時 →投与量はちょうどいい3.トラフ値は治療域だがピーク値が副作用域に入っている →検査対象となる薬剤によって異なる 理由:ピーク値によって副作用が起こるか起こらないかによる →副作用を起こす臓器が血液部分に存在するかどうか
採血の緊急性・すぐに確認したい採血 1.予想外に副作用症状が現れている 2.病態変化が激しく,著しく薬物動態が変動する 3.自殺などで中毒量を服用している
Kenichi Sato
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・投与量を変更してからあるいは様子を見て採血 1.腎,肝機能が悪く投与量を検討する必要がある 2.投与量が多いあるいは少ない 3.相互作用によって血中濃度が変化している 4.コンプライアンスを確認する 5.投与量が十分なのに効果が得られていない
・急を要しない採血 1.治療効果が十分得られ投与量も一般的だが定期確認を行う場合
Kenichi Sato
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